JPH10226900A - チタン製治具の前処理法及びアルミニウムの電解着色処理法 - Google Patents

チタン製治具の前処理法及びアルミニウムの電解着色処理法

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JPH10226900A
JPH10226900A JP3079797A JP3079797A JPH10226900A JP H10226900 A JPH10226900 A JP H10226900A JP 3079797 A JP3079797 A JP 3079797A JP 3079797 A JP3079797 A JP 3079797A JP H10226900 A JPH10226900 A JP H10226900A
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jig
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bath
aluminum
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JP3079797A
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English (en)
Inventor
Daisuke Nagasawa
大介 長沢
Takeshi Ebihara
健 海老原
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 チタン製治具を用いてアルミニウム被処理材
を電解着色処理を行う際に、この電解着色処理に先駆け
てチタン製治具に対して施す新しいチタン製治具の前処
理法を提供する。 【解決手段】 陽極酸化皮膜処理により陽極酸化皮膜が
被覆されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
アルミニウム被処理材を電解着色浴中に浸漬して電解着
色処理を行う際に、このアルミニウム被処理材を保持し
て電解着色浴中に浸漬するために用いられるチタン製治
具の前処理法であり、上記電解着色処理に先駆けて、ア
ルミニウム被処理材を保持したチタン製治具をpH4〜
7の電解着色浴中に浸漬して陰極電解処理を行うことに
より、チタン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応
する水酸化物を析出させる前処理法である。また、この
ような前処理が施されたチタン製治具を用いて行うアル
ミニウムの電解着色処理法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陽極酸化皮膜処
理により陽極酸化皮膜が被覆されたアルミニウム又はア
ルミニウム合金からなるアルミニウム被処理材に対して
行われる電解着色処理及びこの電解着色処理においてア
ルミニウム被処理材を保持するために用いられるチタン
又はチタン合金製の治具(以下、単に「チタン製治具」
という)の前処理に関する。
【0002】チタン又はチタン合金は、種々の電解浴に
対して優れた耐蝕性を有することから、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム材の表面処理
工程で、電解浴中にアルミニウム材を浸漬する際にこの
アルミニウム材を保持するめの治具として、あるいは、
対極として使用されている。
【0003】例えば、特開昭54−143738号、特
開昭58−71395号、特開昭63−38599号等
の公報には、陽極酸化皮膜処理の際にアルミニウム材を
保持するための治具の材料として、チタニウムあるいは
チタニウム合金が使用されることが記載されており、ま
た、特開平4−362196号公報や特許第25348
05号公報には、アルミニウム被処理材の電解着色処理
の前処理としての交流電解処理(中間処理)において、
チタン等の不溶性電極を対極として用いることが記載さ
れている。
【0004】しかしながら、アルミニウム被処理材の電
解着色処理において、このアルミニウム被処理材を保持
するための治具としてチタン製治具を用い、このチタン
製治具まで電解着色浴中に浸漬すると、この電解着色処
理ために供給する電流がチタン製治具側に優先的に流れ
てアルミニウム被処理材の電解着色が阻害され、満足の
行く電解着色処理を行うことができない。
【0005】そこで、従来においては、電解着色処理に
おいてチタン製治具を用いる場合には、このチタン製治
具が電解着色浴中に浸漬しないようにして使用されてい
たが、このような場合には、必然的にアルミニウム被処
理材において電解着色が施されない部分が生じ、結果と
してアルミニウム被処理材の歩留りが低下するという問
題があった。また、アルミニウム被処理材が小物である
と、このアルミニウム被処理材の全体を電解着色浴中に
浸漬しなければならない場合もあり、このような場合に
は、アルミニウム被処理材の電解着色処理において、チ
タン製治具そのものの使用ができず、このような場合に
は例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製の治具
(以下、単に「アルミニウム製治具」という)等、他の
材質の治具を使用せざるを得ず、耐久性に乏しいという
問題があった。特に、アルミニウム製治具を用いる場合
には、そのアルミニウム製治具を使い捨てにするか、あ
るいは、アルミニウム被処理材との間の接点を確保する
ために各使用後に表面研磨や表面研削等のメンテナンス
をする必要があり、治具の寿命が短いという問題があっ
た。
【0006】また、チタン又はチタン合金に代わる耐蝕
性に優れた材料として、ジルコニウム、バナジウム、タ
ンタル、ネオビウム等の金属も知られているが、これら
は何れもコストが高く、チタンに代わる材料として使用
できるものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、電解着色処理の際においても浸漬状態でチタン製治
具を用いることができるようにし、これによって電解着
色処理において治具のメンテナンスを容易にすると共に
繰り返し使用を可能にし、また、治具の寿命を大幅に改
善することができる手段について鋭意検討した結果、電
解着色処理に先駆けてチタン製治具の表面に電解着色浴
を構成する浴成分に対応する水酸化物を析出させてこの
析出した水酸化物でチタン製治具の表面を被覆すること
により、目的を達成できることを見出し、本発明を完成
した。
【0008】従って、本発明の目的は、チタン製治具を
用いてアルミニウム被処理材を電解着色浴中に浸漬した
状態で電解着色処理を行う際に、この電解着色処理が円
滑に進行するように、電解着色処理に先駆けてチタン製
治具に対して施す新しいチタン製治具の前処理法を提供
することにある。
【0009】また、本発明の他の目的は、チタン製治具
を用いてアルミニウム被処理材を電解着色浴中に浸漬し
た状態で電解着色処理を円滑に行うための新しい電解着
色処理法を提供することにある。
【0010】更にまた、本発明は、陽極酸化皮膜処理の
際に用いられ、優れた耐蝕性を有するチタン製治具を、
電解着色処理においてもそのまま使用することができ、
これによって電解着色処理の作業性を向上せしめること
ができるチタン製治具の前処理法あるいは電解着色処理
法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、陽
極酸化皮膜処理により陽極酸化皮膜が被覆されたアルミ
ニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム被処
理材を電解着色浴中に浸漬して電解着色処理を行う際
に、このアルミニウム被処理材を保持して電解着色浴中
に浸漬するために用いられるチタン製治具の前処理法で
あり、上記電解着色処理に先駆けて、アルミニウム被処
理材を保持したチタン製治具をpH4〜7の電解着色浴
中に浸漬して陰極電解処理を行うことにより、チタン製
治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応する水酸化物を
析出させ、この析出した水酸化物でチタン製治具の表面
を被覆する、チタン製治具の前処理法である。
【0012】また、本発明は、陽極酸化皮膜処理により
陽極酸化皮膜が被覆されたアルミニウム又はアルミニウ
ム合金からなるアルミニウム被処理材をチタン製治具を
用いて保持し、このチタン製治具で保持されたアルミニ
ウム被処理材を電解着色浴中に浸漬して電解着色処理を
行い、このアルミニウム被処理材の表面に着色を施すア
ルミニウムの電解着色処理法において、上記チタン製治
具として、アルミニウム被処理材を保持した状態でこの
チタン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応する水
酸化物を被覆せしめたチタン製治具を用いる、アルミニ
ウムの電解着色処理法である。
【0013】更に、本発明は、陽極酸化皮膜処理により
陽極酸化皮膜が被覆されたアルミニウム又はアルミニウ
ム合金からなるアルミニウム被処理材をチタン製治具を
用いて保持し、このチタン製治具で保持されたアルミニ
ウム被処理材を電解着色浴中に浸漬して電解着色処理を
行い、このアルミニウム被処理材の表面に着色を施すア
ルミニウムの電解着色処理法において、上記電解着色処
理に先駆けて、アルミニウム被処理材を保持したチタン
製治具をpH4〜7の電解着色浴中に浸漬し、水素ガス
発生反応が優先する電流密度帯域で陰極電解処理を行っ
て、チタン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応す
る水酸化物を析出させ、次いで電解着色処理に適した電
流密度帯域に戻して電解着色処理を行う、アルミニウム
の電解着色処理法である。
【0014】本発明において、電解着色処理の対象とな
るアルミニウム被処理材は、陽極酸化皮膜処理が施され
て表面に陽極酸化皮膜が被覆されたアルミニウム又はア
ルミニウム合金からなるアルミニウム材であれば特に限
定されるものではなく、例えば、硫酸浴100〜600
g/リットル、浴温0〜30℃、及び電流密度(直流)
6〜50mA/cm2 の条件でアルミニウム又はアルミ
ニウム合金からなるアルミニウム材に陽極酸化皮膜処理
を行い、用途に応じてその表面に5〜50μm程度の多
孔性皮膜(陽極酸化皮膜)を形成せしめて得られたもの
を挙げることができる。
【0015】また、本発明において、電解着色処理の際
に用いるチタン製治具は、チタン又はチタン合金で形成
されており、従来よりアルミニウム被処理材の形状に応
じて形成され使用されているものと同様な形状や構造を
有する液中浸漬型治具を適宜使用することができるもの
であり、例えば、図1に示すように、互いに所定の間隔
をおいて通電ビーム1に多数取り付けられ、各種の装飾
品や灰皿等の小物2を保持する小物用の治具A1 や、図
2及び図3に示すように、略水平に配設される通電ビー
ム1と、一端がこの通電ビーム1に固定されてこの通電
ビーム1から吊り下げられている固定通電杆3aと、一
端が通電ビーム1に移動可能に吊り下げられて上記固定
通電杆3aから所定の間隔をおいて位置する可動通電杆
3bとからなる横吊り装置の上記可動通電杆3bに取り
付けられ、これら固定通電杆3aと可動通電杆3bとの
間にサッシ用型材やカーテンウオール等の長尺アルミ押
出形材4等を横吊りする際に使用される横吊り用の治具
2 (実公昭63−8762号公報参照)等を例示する
ことができる。
【0016】更に、本発明において、アルミニウム被処
理材に対して行われる電解着色処理は、例えば、錫塩、
銅塩、ニッケル塩、コバルト塩、鉄塩等の各種の金属塩
を含み、必要により硫酸、燐酸、クロム酸、硼酸等の無
機酸や、スルホン酸、酢酸等の有機酸を添加した酸水溶
液を電解浴として用い、目標とする着色状態に応じてこ
れに交流、矩形波、パルス波、直流等の電流を定電流密
度法や定電圧法により印加し、陽極酸化皮膜中に所定の
金属酸化物や金属水酸化物を析出させ、これによってゴ
ールド、アンバー、ブロンズ、グレイ、ブラック等の色
調の着色を施す処理であり、従来公知の種々の方法を採
用することができる。
【0017】この電解着色処理の条件については、特に
制限されるものではないが、チタン製治具の前処理から
浴組成を変更することなく連続して電解着色処理を行う
のがコスト的にも望ましく、この観点から、Niイオン
及び/又はCoイオンを5〜50g/リットルの範囲で
含むニッケル及び/又はコバルトの硫酸塩、スルファミ
ン酸塩、蓚酸塩等の塩水溶液からなるNi浴、Co浴又
はNi−Co混合浴を用い、これに必要に応じてFe、
Zn、Mg、Mo等の他の金属塩を添加し、アンモニア
や酸化マグネシウム等を用いてpHを4〜7程度に調整
し、更に必要に応じて硼酸50g/リットル以下、硫酸
マグネシウム(7水塩)200g/リットル以下等を浴
安定剤として添加して調製された、pH4〜7のいわゆ
る中性電解着色浴を用い、浴温度10〜40℃、電流密
度1〜15mA/cm2 、電圧10〜100V、電解時
間30秒〜30分の条件で処理するのがよい。
【0018】そして、このような電解着色処理に先駆け
て上記チタン製治具に対して施す前処理は、電解着色処
理を行う場合と全く同様に、アルミニウム被処理材をチ
タン製治具に保持せしめ、その状態でアルミニウム被処
理材と共にチタン製治具をpH4〜7のいわゆる中性電
解着色浴中に浸漬し、所定の電流密度で所定の時間だけ
電流を流して陰極電解処理を行い、チタン製治具の表面
に電解着色浴の浴成分に対応する水酸化物を析出せし
め、この析出した水酸化物でチタン製治具の表面を被覆
する処理である。
【0019】このチタン製治具の前処理に用いるpH4
〜7の中性電解着色浴は、必要ならこのチタン製治具の
前処理のためのみに調製してもよいが、好ましくはアル
ミニウム被処理材を電解着色処理するのに用いる電解浴
と同じでよく、この場合にはチタン製治具の前処理とし
て行う陰極電解処理に引き続いてアルミニウム被処理材
の電解着色処理を行うことができる。
【0020】このチタン製治具の表面に予め施す陰極電
解処理は、基本的には、チタン製治具の表面に電解着色
浴の浴成分に対応する水酸化物を析出させて電気的な絶
縁皮膜を形成させることができればよいが、好ましくは
陰極電解処理の際に発生する水素ガス発生反応と着色金
属還元反応とにおいて水素ガス発生反応が優先する電流
密度帯域で行うのがよい。
【0021】そして、この水素ガス発生反応が優先する
電流密度帯域については、使用する電解着色浴の浴組成
によっても異なるが、例えば電解着色浴が上述したNi
浴、Co浴、Ni−Co混合浴である場合には、500
mA/cm2 以上であって実用上3000mA/cm2
以下であり、また、この陰極電解処理の際の他の処理条
件としては、浴温度10〜40℃、電圧10〜100
V、及び電解時間5秒〜5分の条件下であって、Niや
Coの水酸化物を電気的に絶縁皮膜として機能する程度
の厚さ、概ね0.1mm以上の厚さでチタン製治具の表
面に析出させる。その皮膜の厚さはその後の電解着色処
理での電解条件を考慮して設定される。
【0022】ここで、チタン製治具の前処理として陰極
電解処理を行う際に、水素ガス発生反応が優先する所定
の電流密度帯域に制御するための方法としては、各種表
面積のチタン製治具を用意して実験的に定めたり、ある
いは、チタン製治具にその表面積を調整するための表面
積調整片を取り付けてもよい。なお、水素ガス発生反応
が優先する電圧は、少なくとも電流密度帯域500mA
/cm2 以上、好ましくは500〜3000mA/cm
2 を維持できる電圧であって、一義的には決定されない
が、通常は15〜50V程度である。
【0023】従って、本発明によれば、アルミニウム被
処理材の電解着色処理を行う際に、このアルミニウム被
処理材を保持するチタン製治具の前処理から電解着色処
理までを、同じ電解浴を用いて連続的に行うことがで
き、これによってアルミニウム被処理材の電解着色処理
を能率的に行うことができる。すなわち、本発明の電解
着色処理法は、先ずチタン製治具を用いてアルミニウム
被処理材を保持し、この状態でアルミニウム被処理材と
共にチタン製治具を電解着色浴中に浸漬して陰極電解処
理を行い、チタン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に
対応する水酸化物を被覆せしめ、次いで引き続き電解着
色処理を行う方法である。
【0024】このアルミニウムの電解着色処理法におい
ても、チタン製治具の前処理としての陰極電解処理やこ
の陰極電解処理に引き続いて行う電解着色処理における
処理条件については、上記と同様であり、好ましくは、
先ず、アルミニウム被処理材を保持したチタン製治具を
pH4〜7の電解着色浴中に浸漬し、水素ガス発生反応
が優先する電流密度帯域で陰極電解処理を行って、チタ
ン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応する水酸化
物を析出させ、次いで、電解着色処理に適した電流密度
帯域に戻して電解着色処理を行うのがよい。
【0025】本発明の電解着色処理により得れた電解着
色アルミニウム材は、その後必要により、電着塗装や封
孔処理を行って最終のアルミニウム製品とされる。電着
塗装としては、従来公知の方法を適用することができ、
例えばアクリル−メラミン系等の電着塗装で5〜15μ
mの膜厚の塗装が施され、また、封孔処理としては例え
ばpH5.5〜6.5、温度95℃以上、及び20〜4
0分の条件で行われる沸騰水封孔、3〜5kg/cm2
及び20〜40分の条件で行われる蒸気封孔、Ni、C
o、Cd、Zn、Cu、Al、Pb等の酢酸塩、硝酸
塩、硫酸塩等を用いて70〜100℃及び20〜40分
の条件で行われる金属塩封孔等が挙げられる。
【0026】
【発明の実施の形態】アルミニウム被処理材を保持した
チタン製治具をNiイオン及び/又はCoイオンを5〜
50g/リットルの範囲で含むpH4〜7のNi浴、C
o浴あるいはNi−Co混合浴からなる電解着色浴中に
浸漬し、水素ガス発生反応が優先する電流密度帯域50
0〜3000mA/cm2 となるように、浴温度10〜
40℃、電圧15〜50V、及び電解時間5秒〜5分の
条件でチタン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応
する水酸化物を概ね0.1mm以上の厚さで析出させ、
次いで処理条件を浴温度10〜40℃、電流密度1〜1
5mA/cm2 、電圧10〜100V、及び電解時間0
〜30分に変更して電解着色処理を行い、電解着色浴の
金属成分に対応する色調の着色を行う。
【0027】チタン製治具に対して前処理として行う陰
極電解処理により、このチタン製治具の表面にはアルミ
ニウム被処理材と接触した部分を接点として残してNi
やCoの水酸化物が析出し、これが電気的な絶縁皮膜と
して機能し、引き続いて行われる電解着色処理において
チタン製治具側に電流が優先的に流れてアルミニウム被
処理材の電解着色が阻害されるのを防止することがで
き、これによって引き続き行われる電解着色処理を円滑
に遂行することができる。
【0028】また、チタン製治具の前処理の際にその表
面上に形成された絶縁皮膜のNiやCoの水酸化物は、
例えば、酸性溶液中での超音波洗浄処理等により容易に
剥離させ、また、溶解させることができ、比較的高価な
チタン製治具の反復使用が容易であり、また、アルミニ
ウム被処理材の形状が変化しても必要な電気的接点を容
易に確保することができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
方法を具体的に説明する。 〔試験用チタン製治具の調製〕工業用純チタンJIS1
種製の棒状チタンを用い、図4に示す形状に形成したの
ち、絶縁性の耐酸性樹脂を用いて2箇所のチタン露出部
5a,5bを残して絶縁樹脂被覆6a,6b,6cを行
い、チタン露出部5a,5b(チタン製治具に相当)の
全露出面積(Ti露出面積)がそれぞれ1.0cm2
び0.2cm2であるテストモデルM1 及びM2 を調製
した。
【0030】〔実施例1及び2並びに比較例1及び2〕
このようにして調製したTi露出面積1.0cm2 のテ
ストモデルM1 を用い、そのチタン露出部5a,5b間
に厚さ10μmの陽極酸化皮膜を有する大きさ100c
2 の6063T5製の試験片(アルミニウム被処理
材)を弾性保持して、NiSO4 ・6H2 O:160g
/リットル及びH3 BO3 :40g/リットルの組成を
有するpH5.0の中性電解着色浴中に浸漬し、対極:
SUS304、浴温度30℃、及び表1に示す条件で前
処理(直流)を行い、引き続いて電解着色処理(矩形
波:デューティー比0.1、5Hz)を行い、着色の有
無及びチタン露出部(チタン製治具)の状態を調べた。
結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】〔実施例3及び4〕Ti露出面積0.2c
2 のテストモデルM2 (実施例3)及び1.0cm2
のテストモデルM1 (実施例4)を用い、実施例3では
陰極電流/(Ti露出面積+Al面積)を3.0mA/
cm2 に維持して、また、実施例4では陰極電流/(T
i露出面積+Al面積)を前処理時に10.0mA/c
2 で電解着色処理時に3.0mA/cm2 とし、実施
例1及び2と同様にして前処理(直流)を行い、引き続
いて電解着色処理(矩形波:デューティー比0.1、5
Hz)を行い、着色の有無及びチタン露出部(チタン製
治具)の状態を調べた。結果を表1に示す。
【0033】
【表2】
【0034】〔着色アルミニウム材の色値Labの測定〕
上記実施例1〜4で得られた着色アルミニウム材につい
てその色値Labを測定した。結果を表3に示す。また、
実施例1で使用したチタン製治具のテストモデルM1
ついて、実施例1と全く同じ条件で3回繰り返して電解
着色処理を行い、3回目に得られた着色アルミニウム材
の色値Labを測定した。結果を表3に併せて示す。
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、種々の電解浴に対して
優れた耐蝕性を有するチタン製治具を用いて、アルミニ
ウム被処理材を電解着色浴中に浸漬した状態で電解着色
処理を行うことができ、これによって電解着色処理の作
業性並びに治具の耐久性を著しく向上せしめることがで
き、また、製品の歩留りも良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、チタン製治具の一例を示す説明図で
ある。
【図2】 図2は、チタン製治具の他の例を示す説明図
である。
【図3】 図3は、図2の部分拡大断面説明図である。
【図4】 図4は、実施例及び比較例で用いたチタン製
治具のテストモデルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 …小物用の治具、A2 …横吊り用の治具、M1 ,M
2 …テストモデル、5a,5b…チタン露出部、6a,
6b,6c…絶縁樹脂被覆。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化皮膜処理により陽極酸化皮膜が
    被覆されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
    アルミニウム被処理材を電解着色浴中に浸漬して電解着
    色処理を行う際に、このアルミニウム被処理材を保持し
    て電解着色浴中に浸漬するために用いられるチタン製治
    具の前処理法であり、上記電解着色処理に先駆けて、ア
    ルミニウム被処理材を保持したチタン製治具をpH4〜
    7の電解着色浴中に浸漬して陰極電解処理を行うことに
    より、チタン製治具の表面に電解着色浴の浴成分に対応
    する水酸化物を析出させ、この析出した水酸化物でチタ
    ン製治具の表面を被覆することを特徴とするチタン製治
    具の前処理法。
  2. 【請求項2】 陰極電解処理は、水素ガス発生反応が優
    先する電流密度帯域で行う請求項1に記載のチタン製治
    具の前処理法。
  3. 【請求項3】 陽極酸化皮膜処理により陽極酸化皮膜が
    被覆されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
    アルミニウム被処理材をチタン製治具を用いて保持し、
    このチタン製治具で保持されたアルミニウム被処理材を
    電解着色浴中に浸漬して電解着色処理を行い、このアル
    ミニウム被処理材の表面に着色を施すアルミニウムの電
    解着色処理法において、上記チタン製治具として、アル
    ミニウム被処理材を保持した状態でこのチタン製治具の
    表面に電解着色浴の浴成分に対応する水酸化物を被覆せ
    しめたチタン製治具を用いることを特徴とするアルミニ
    ウムの電解着色処理法。
  4. 【請求項4】 陽極酸化皮膜処理により陽極酸化皮膜が
    被覆されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
    アルミニウム被処理材をチタン製治具を用いて保持し、
    このチタン製治具で保持されたアルミニウム被処理材を
    電解着色浴中に浸漬して電解着色処理を行い、このアル
    ミニウム被処理材の表面に着色を施すアルミニウムの電
    解着色処理法において、上記電解着色処理に先駆けて、
    アルミニウム被処理材を保持したチタン製治具をpH4
    〜7の電解着色浴中に浸漬し、水素ガス発生反応が優先
    する電流密度帯域で陰極電解処理を行って、チタン製治
    具の表面に電解着色浴の浴成分に対応する水酸化物を析
    出させ、次いで電解着色処理に適した電流密度帯域に戻
    して電解着色処理を行うことを特徴とするアルミニウム
    の電解着色処理法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004029334A1 (de) * 2002-09-26 2004-04-08 Manfred Ingelsberger Eloxiergestell mit komponenten aus titanwerkstoffen

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