JPH10224165A - プッシュプル出力回路 - Google Patents

プッシュプル出力回路

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JPH10224165A
JPH10224165A JP2289597A JP2289597A JPH10224165A JP H10224165 A JPH10224165 A JP H10224165A JP 2289597 A JP2289597 A JP 2289597A JP 2289597 A JP2289597 A JP 2289597A JP H10224165 A JPH10224165 A JP H10224165A
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貴久 子安
Mitsuhiro Saito
斎藤  光弘
Hiroyuki Ban
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オペアンプの出力段等を構成するプッシュプ
ル出力回路を、出力停止時に出力端子をオープン状態
(高インピーダンス)に保持できるようにする。 【解決手段】 オペアンプ等に使用されるプッシュプル
出力回路を、信号出力用のNPNトランジスタTr1及
びPNPトランジスタTr2と、これら各トランジスタ
のベース−エミッタ間に設けられた抵抗器R1,R2
と、各トランジスタのベース間に設けられたダイオード
D1,D2と、バイアス電流供給用の定電流回路6a,
6bと、外部から出力停止信号が入力されると信号入力
を遮断すると共に定電流回路6a,6bの動作を停止さ
せる出力停止回路4とから構成する。このように構成さ
れたプッシュプル出力回路では、出力停止時に各トラン
ジスタTr1,Tr2のベース−エミッタ間が抵抗器R
1,R2により同電位に保持されるため、外部負荷から
の信号の回り込みによりトランジスタTr1,Tr2が
ブレークダウンすることはなく、出力のオープン状態を
確実に保持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オペアンプ(演算
増幅器)の出力段等に設けられるプッシュプル出力回路
に関し、特に信号の出力停止時に出力をオープン状態に
するのに好適なプッシュプル出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】オペアンプは、例えば図4に示すよう
に、入力段に差動増幅器50を備え、次段に差動増幅器
50からの出力を増幅する共通エミッタ増幅器60を備
える。また、オペアンプは、共通エミッタ増幅器60か
らの出力を外部負荷に印加するために、通常、出力段
に、NPNトランジスタとPNPトランジスタとからな
るプッシュプル出力回路(図示せず)を備える。
【0003】ところで、オペアンプの出力段に設けられ
るプッシュプル出力回路は、出力インピーダンスが小さ
いことから、オペアンプの動作を停止させた場合に、オ
ペアンプの出力端子に接続された外部負荷からオペアン
プに電流が流れ込み、外部負荷の動作に影響を与えてし
まうといったことがあった。
【0004】例えば、外部負荷の動作状態を検出するた
めに、外部負荷の動作電圧等を制御するオペアンプの動
作を一時的に停止させて、外部負荷の抵抗等を検出しよ
うとする場合、オペアンプの出力インピーダンスが大き
く、出力が完全にオープン状態になっていれば、外部負
荷の状態を問題なく検出できるが、従来のオペアンプで
は、出力インピーダンスが低いことから、外部負荷をオ
ペアンプに接続した状態でその状態を検出することがで
きない。
【0005】このため、従来では、オペアンプの信号出
力経路にアナログスイッチを設け、アナログスイッチを
OFFすることにより、オペアンプと外部負荷とを完全
に遮断できるようにしていた。なお、図4に示すオペア
ンプは、直流電源の高電位側に接続された電源端子と、
直流電源の低電位側に接続された接地端子(GND)と
を備え、これら各端子間に直流電源から供給される電源
電圧Vbにより動作するものである。
【0006】そして、差動増幅器50は、エミッタが抵
抗器R50を介して電源電圧Vbが印加された電源ライ
ンに接続されると共に、ベースが外部から電流制御用の
制御信号Vcを受ける制御端子に接続されて、5つのコ
レクタから制御信号Vcに対応した定電流を出力するP
NPトランジスタTr50と、ベースが抵抗器R51を
介して反転入力端子(−入力)に接続されると共に、エ
ミッタがPNPトランジスタTr50の第1コレクタに
接続され、コレクタが接地されたPNPトランジスタT
r51と、ベースがPNPトランジスタTr51のエミ
ッタに接続されると共に、エミッタがPNPトランジス
タTr50の第2コレクタに接続されたPNPトランジ
スタTr52と、ベースが抵抗器R52を介して非反転
入力端子(+入力)に接続されると共に、エミッタがP
NPトランジスタTr50の第3コレクタに接続され、
コレクタが接地されたPNPトランジスタTr53と、
ベースがPNPトランジスタTr53のエミッタに接続
されると共に、エミッタがPNPトランジスタTr52
のエミッタと共にPNPトランジスタ50の第3コレク
タに接続されたPNPトランジスタTr54と、エミッ
タがPNPトランジスタTr50の第4コレクタに接続
されると共に、ベースがPNPトランジスタTr52の
コレクタに接続され、コレクタが接地されたPNPトラ
ンジスタTr55と、エミッタがPNPトランジスタT
r50の第5コレクタに接続されると共に、ベースがP
NPトランジスタTr54のコレクタに接続され、コレ
クタが接地されたPNPトランジスタTr56と、コレ
クタがPNPトランジスタTr52のコレクタ(延いて
はPNPトランジスタTr55のベース)に接続される
と共に、エミッタがグランドライン(GND)に接続さ
れ、ベースが自己のコレクタに接続されたNPNトラン
ジスタTr57と、コレクタがPNPトランジスタTr
54のコレクタ(延いてはPNPトランジスタTr56
のベース)に接続されると共に、エミッタがグランドラ
イン(GND)に接続され、ベースがNPNトランジス
タTr57のベースに接続されて、NPNトランジスタ
Tr57と共にカレントミラー回路を構成するNPNト
ランジスタTr58とから構成されている。
【0007】また、共通エミッタ増幅器60は、エミッ
タが電源ラインに接続されると共に、ベースが前記PN
PトランジスタTr50のベースに接続されて、コレク
タから定電流を出力する一対のPNPトランジスタTr
61,Tr62と、ベースが前記PNPトランジスタ5
6のエミッタに接続されると共に、コレクタがPNPト
ランジスタTr61のコレクタに接続され、エミッタが
抵抗器R61を介してグランドライン(GND)に接続
されたNPNトランジスタTr63と、ベースがNPN
トランジスタTr63のエミッタに接続されると共に、
エミッタがグランドライン(GND)に接続され、更
に、コレクタが、PNPトランジスタTr62のコレク
タに接続されると共に、位相補償用のコンデンサC61
を介して前記PNPトランジスタTr56のベースに接
続されたNPNトランジスタTr64と、NPNトラン
ジスタTr63のコレクタとグランドライン(GND)
との間にグランドライン(GND)側をカソードとして
直列に接続された一対のダイオードD61,D62とか
ら構成されている。
【0008】即ち、図4に示すオペアンプは、反転入力
端子(−入力)及び非反転入力端子(+入力)からの信
号を夫々ダーリントン接続されたPNPトランジスタT
r51,Tr52及びTr53,Tr54を介して入力
するよう構成され、しかも、位相補償用のコンデンサC
61を内蔵した周知のものであり、共通エミッタ増幅器
60の信号出力部となるNPNトランジスタTr64の
コレクタには、反転入力端子(−入力)及び非反転入力
端子(+入力)への入力信号の電位差に対応した電圧が
発生することになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に、オペアンプの出力にアナログスイッチを設けてオペ
アンプと外部負荷とを遮断できるように構成する場合、
アナログスイッチは、通常、CMOSのFETで構成さ
れることから、オペアンプとアナログスイッチとを1チ
ップのIC内に組み込むには、ICの製造にBiCMO
S工程が必要となり、ICのコストアップを招くといっ
た問題があった。
【0010】一方、特公平7−52816号公報には、
出力をオープン状態にし得るプッシュプル出力回路とし
て、プッシュプル回路を構成するNPNトランジスタ及
びPNPトランジスタのうち、コレクタが直流電源の高
電位側に接続されるNPNトランジスタのベースを抵抗
器を介して直流電源の低電位側に接続し、コレクタが直
流電源の低電位側に接続されるPNPトランジスタのベ
ースを抵抗器を介して直流電源の高電位側に接続し、単
一の定電流回路を利用して一定のバイアス電流を流し、
このバイアス電流のうち各トランジスタのベースに流れ
る電流を入力信号に応じて制御するようにしたものが開
示されている。そして、この公報によれば、定電流回路
の動作を停止させれば、NPNトランジスタ及びPNP
トランジスタが共にオフし、しかもこれら各トランジス
タのベースは夫々抵抗器を介して低電位及び高電位に保
持されることから、出力をオープン状態に保持できると
されている。
【0011】このため、上記公報に開示されたプッシュ
プル出力回路をオペアンプの出力段に適用すれば、アナ
ログスイッチを用いることなく、オペアンプの動作停止
時に出力をオープン状態にすることができることにな
る。しかし、上記公報に開示されたプッシュプル回路で
は、外部負荷側より出力端子に回り込む電圧が低い場合
には問題ないものの、この電圧が高くなると、NPNト
ランジスタがブレークダウンしてしまい、オープン状態
を保持することができなくなるといった問題があった。
【0012】即ち、上記公報に開示されたプッシュプル
出力回路をオペアンプの出力段に適用する場合、プッシ
ュプル出力回路70としては、例えば図5に示す如く、
コレクタが電源ライン(Vb)に接続され、エミッタが
出力端子に接続され、ベースが抵抗器R71を介してグ
ランドライン(GND)に接続されたNPNトランジス
タTr71と、コレクタがグランドライン(GND)に
接続され、エミッタが出力端子に接続され、ベースが抵
抗器R72を介して電源ライン(Vb)に接続されたP
NPトランジスタTr72と、電源ライン(Vb)から
NPNトランジスタTr71のベース側に定電流を流す
定電流回路71と、NPNトランジスタTr71のベー
ス側をアノードとして、各トランジスタTr71,Tr
72のベース間に直列に接続された一対のダイオードD
71,D72と、から構成し、共通エミッタ増幅器60
の出力をPNPトランジスタTr72のベースに接続す
るようにすればよい。
【0013】そして、プッシュプル出力回路70からの
信号出力を停止させる際には、図5にスイッチSW7
1,SW72にて模式的に表すように、外部から出力停
止信号を入力することにより、共通エミッタ増幅器60
からの信号の出力を遮断させると共に、定電流回路71
からの定電流の出力を停止させるようにすればよい。
【0014】しかし、このようなプッシュプル出力回路
70では、NPNトランジスタTr71のベースがグラ
ンドライン(GND)にプルダウンされることから、出
力端子に、NPNトランジスタTr71のベース−エミ
ッタ間に形成されるダイオードの降伏電圧よりも高い電
圧が回り込むと、NPNトランジスタTr71がブレー
クダウンして、出力インピーダンスが低くなってしま
う。
【0015】従って、上記公報に開示されたプッシュプ
ル出力回路においても、出力を完全にオープン状態に保
持することはできず、出力端子に接続された外部負荷の
動作に影響を与えてしまうことがある。本発明は、こう
した問題に鑑みなされたものであり、信号の出力停止時
に、出力を確実にオープン状態に保持することのできる
プッシュプル出力回路を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載のプッシュプル出力回路
は、図1(a)に例示する如く、コレクタが直流電源の
高電位(Vb)側に接続され、エミッタが出力端子(T
out )に接続された第1のNPNトランジスタ(Tr
1)と、コレクタが直流電源の低電位(GND)側に接
続され、エミッタが出力端子(Tout )に接続された第
1のPNPトランジスタ(Tr2)と、第1のNPNト
ランジスタ(Tr1)のベース−エミッタ間、及び第1
のPNPトランジスタ(Tr2)のベース−エミッタ間
に、夫々設けられた抵抗体(R1,R2)と、第1のN
PNトランジスタ(Tr1)のベース及び第1のPNP
トランジスタ(Tr2)のベースに信号を入力する入力
部(2)と、外部から出力停止信号を受けると、入力部
(2)と第1のNPNトランジスタ(Tr1)のベース
及び第1のPNPトランジスタ(Tr2)のベースとの
接続を遮断する出力停止回路4とを備えたことを特徴と
する。
【0017】このように構成された請求項1に記載のプ
ッシュプル出力回路においては、外部から出力停止信号
を入力すれば、出力停止回路(4)が、プッシュプル出
力段を構成する各トランジスタ(Tr1,Tr2)のベ
ースと入力部(2)との接続を夫々遮断することから、
各トランジスタ(Tr1,Tr2)は共にOFF状態と
なる。そして、これら各トランジスタ(Tr1,Tr
2)のベース−エミッタ間は、夫々、抵抗体(R1,R
2)を介して接続されていることから、出力端子(Tou
t )に接続された外部負荷から出力端子(Tout )に回
り込んだ電圧によって、トランジスタ(Tr1,Tr
2)がブレークダウンするようなことはなく、出力を確
実にオープン状態に保持することができる。従って、本
発明によれば、信号の出力停止時に、出力端子(Tout
)に入力される外乱によって出力インピーダンスが低
下し、出力端子(Tout )に接続された外部負荷の動作
に影響を与えるといったことを確実に防止できる。
【0018】次に請求項2に記載のプッシュプル出力回
路は、図1(a)に示す如く、請求項1に記載の回路に
おいて、入力部(2)を、直流電源の高電位(Vb)側
から第1のNPNトランジスタ(Tr1)のベース側に
定電流を供給する第1の定電流回路(6a)と、第1の
PNPトランジスタ(Tr2)のベース側から直流電源
の低電位(GND)側へ定電流を供給する第2の定電流
回路(6b)と、第1のNPNトランジスタ(Tr1)
のベース及び第1のPNPトランジスタ(Tr2)のベ
ースに信号を入力する信号入力部(Tin)と、第1のN
PNトランジスタ(Tr1)のベースと第1のPNPト
ランジスタ(Tr2)のベースとの間に接続され、各ト
ランジスタ(Tr1,Tr2)のベース間を各トランジ
スタ(Tr1,Tr2)が動作可能な電位差に保持する
レベルシフト回路(8)とから構成し、出力停止回路
(4)を、外部から出力停止信号を受けると、第1及び
第2の定電流回路(6a,6b)の動作を停止させると
共に、信号入力部(Tin)から第1のNPNトランジス
タ(Tr1)のベース及び第1のPNPトランジスタ
(Tr2)のベースへの信号入力を遮断するように構成
したことを特徴とする。
【0019】このように構成された請求項2に記載のプ
ッシュプル出力回路においては、第1の定電流回路(6
a),レベルシフト回路(8),第2の定電流回路(6
b)を介して、各トランジスタ(Tr1,Tr2)駆動
のためのバイアス電流が流れ、出力端子(Tout )から
は、信号入力部Tinからの入力信号に応じた信号が出力
される。そして、この請求項2に記載のプッシュプル出
力回路においては、請求項1に記載の回路と同様、プッ
シュプル出力段を構成する各トランジスタ(Tr1,T
r2)のベース−エミッタ間に抵抗体(R1,R2)を
備えているので、出力停止回路(4)に出力停止信号を
入力して、第1及び第2の定電流回路(6a,6b)の
動作を停止させると共に、信号入力部(Tin)から第1
のNPNトランジスタ(Tr1)のベース及び第1のP
NPトランジスタ(Tr2)のベースへの信号入力を遮
断させれば、各トランジスタ(Tr1,Tr2)をOF
F状態に保持して、出力を確実にオープン状態にするこ
とができる。
【0020】次に、請求項3に記載のプッシュプル出力
回路は、図1(b)に例示する如く、請求項1に記載の
回路において、入力部(2)を、第1のPNPトランジ
スタ(Tr2)のベース側から直流電源の低電位(GN
D)側へ定電流を供給する第2の定電流回路(6b)
と、第1のNPNトランジスタ(Tr1)のベースに信
号を入力する信号入力部(Tin)と、第1のNPNトラ
ンジスタ(Tr1)のベースと第1のPNPトランジス
タ(Tr2)のベースとの間に接続され、各トランジス
タ(Tr1,Tr2)のベース間を各トランジスタ(T
r1,Tr2)が動作可能な電位差に保持するレベルシ
フト回路(8)とから構成し、出力停止回路(4)を、
外部から出力停止信号を受けると、第2の定電流回路
(6b)の動作を停止させると共に、信号入力部(Ti
n)から第1のNPNトランジスタ(Tr1)のベース
への信号入力を遮断するように構成したことを特徴とす
る。
【0021】このように構成された請求項3に記載のプ
ッシュプル出力回路においては、信号入力部(Tin)に
接続される外部回路側から、レベルシフト回路(8)及
び第2の定電流回路(6b)を介して、各トランジスタ
(Tr1,Tr2)駆動のためのバイアス電流が流れ、
出力端子(Tout )からは、信号入力部Tinに接続され
た外部回路側からの入力信号に応じた信号が出力され
る。そして、この請求項3に記載のプッシュプル出力回
路においても、請求項1,2に記載の回路と同様、プッ
シュプル出力段を構成する各トランジスタ(Tr1,T
r2)のベース−エミッタ間に抵抗体(R1,R2)を
備えているので、出力停止回路(4)に出力停止信号を
入力して、第2の定電流回路(6b)の動作を停止させ
ると共に、信号入力部(Tin)から第1のNPNトラン
ジスタ(Tr1)のベースへの信号入力を遮断させれ
ば、各トランジスタ(Tr1,Tr2)をOFF状態に
保持して、出力を確実にオープン状態にすることができ
る。
【0022】また次に請求項4に記載のプッシュプル出
力回路は、図1(c)に例示する如く、請求項1に記載
の回路において、入力部(2)を、直流電源の高電位
(Vb)側から第1のNPNトランジスタ(Tr1)の
ベース側に定電流を供給する第1の定電流回路(6a)
と、第1のPNPトランジスタ(Tr2)のベースに信
号を入力する信号入力部(Tin)と、第1のNPNトラ
ンジスタ(Tr1)のベースと第1のPNPトランジス
タ(Tr2)のベースとの間に接続され、各トランジス
タ(Tr1,Tr2)のベース間を各トランジスタ(T
r1,Tr2)が動作可能な電位差に保持するレベルシ
フト回路(8)とから構成し、出力停止回路(4)を、
外部から出力停止信号を受けると、第1の定電流回路
(6a)の動作を停止させると共に、信号入力部(Ti
n)から第1のPNPトランジスタ(Tr2)のベース
への信号入力を遮断するように構成したことを特徴とす
る。
【0023】このように構成された請求項4に記載のプ
ッシュプル出力回路においては、第1の定電流回路(6
a)及びレベルシフト回路(8)を介して、信号入力部
(Tin)に接続される外部回路側に、各トランジスタ
(Tr1,Tr2)駆動のためのバイアス電流が流れ、
出力端子(Tout )からは、信号入力部Tinに接続され
た外部回路側からの入力信号に応じた信号が出力され
る。そして、この請求項4に記載のプッシュプル出力回
路においても、請求項1〜請求項3に記載の回路と同
様、プッシュプル出力段を構成する各トランジスタ(T
r1,Tr2)のベース−エミッタ間に抵抗体(R1,
R2)を備えているので、出力停止回路(4)に出力停
止信号を入力して、第1の定電流回路(6a)の動作を
停止させると共に、信号入力部(Tin)から第1のPN
Pトランジスタ(Tr2)のベースへの信号入力を遮断
させれば、各トランジスタ(Tr1,Tr2)をOFF
状態に保持して、出力を確実にオープン状態にすること
ができる。
【0024】ここで、本発明(請求項2〜請求項4)の
プッシュプル出力回路においては、図1(a)〜(c)
に夫々スイッチで模式的に表した出力停止回路(4)
が、外部から出力停止信号を受けた際に、定電流回路
(6a,6b)の動作を停止させると共に信号入力部
(Tin)からの信号入力を遮断させることにより、出力
をオープン状態に保持するように構成されているが、出
力停止回路(4)が出力停止信号を受けてから、第1の
NPNトランジスタ(Tr1)及び第1のPNPトラン
ジスタ(Tr2)がOFFするまでの時間は、出力停止
回路(4)や定電流回路(6a,6b)を構成するトラ
ンジスタの応答遅れによって一定にすることはできな
い。
【0025】そして、この時間のばらつきにより、第1
のNPNトランジスタ(Tr1)が第1のPNPトラン
ジスタ(Tr2)よりも早くOFF状態になると、出力
端子(Tout )は一時的に直流電源の低電位側電位(G
ND)となり、逆に第1のPNPトランジスタ(Tr
2)が第1のNPNトランジスタ(Tr1)よりも早く
OFF状態になると、出力端子(Tout )は一時的に直
流電源の高電位側電位(Vb)となる。
【0026】一方、プッシュプル出力回路の出力端子
(Tout )に接続される外部負荷には、出力端子(Tou
t )が直流電源の高電位側電位(Vb)となって、電源
電圧が印加されると、大電流が流れて故障するものと
か、或いは、出力端子(Tout )が直流電源の低電位側
電位(GND)となって、グランドラインに接地される
と、大電流が流れて故障するものがある。
【0027】このため、請求項2〜請求項4に記載のプ
ッシュプル出力回路を構成する出力停止回路(4)とし
ては、請求項5に記載のように、定電流回路(6a,6
b)及び出力停止回路(4)を構成するバイポーラトラ
ンジスタのスイッチング遅れによって決定される所定順
序で、定電流回路(6a,6b)の動作を停止させると
共に信号入力部(Tin)からの信号入力を遮断するよう
に構成することが好ましい。
【0028】つまり、定電流回路(6a,6b)及び出
力停止回路(4)を構成するバイポーラトランジスタの
スイッチング遅れによって、出力停止信号入力時に、N
PNトランジスタ(Tr1)がPNPトランジスタ(T
r2)よりも必ず先にOFFするように構成すれば、出
力端子が直流電源の高電位側電位となるのを防止でき、
逆に、出力停止信号入力時に、PNPトランジスタ(T
r2)がNPNトランジスタ(Tr1)よりも必ず先に
OFFするように構成すれば、出力端子が直流電源の低
電位側電位となるのを防止できる。
【0029】そして、請求項5に記載のプッシュプル出
力回路によれば、プッシュプル出力段を構成する一対の
トランジスタ(Tr1,Tr2)が出力停止信号の入力
後にOFFする順序を、定電流回路及び出力停止回路を
構成するバイポーラトランジスタのスイッチング遅れ
(換言すればその回路構成)によって決定できることか
ら、出力端子(Tout )に接続される外部負荷の特性に
応じて、出力停止信号入力後に先にOFFさせるトラン
ジスタを任意に設定することが可能となり、出力端子
(Tout )に接続可能な外部負荷が制限されるといった
ことを防止できる。従って、本発明のプッシュプル出力
回路は、汎用性の高い出力回路となり得る。
【0030】またこのように、出力停止信号の入力後
に、プッシュプル出力段を構成する一対のトランジスタ
(Tr1,Tr2)の内のいずれを先にOFFさせるか
は、定電流回路及び出力停止回路の回路構成によって適
宜設定すればよいが、例えば、請求項4に記載のプッシ
ュプル出力回路において、定電流回路及び出力停止回路
を請求項6に記載のように構成した場合には、一対の出
力トランジスタ(Tr1,Tr2)のうち、NPNトラ
ンジスタ(Tr1)がPNPトランジスタ(Tr2)よ
りも先にOFFして、出力端子が高電位になるのを防止
でき、定電流回路及び出力停止回路を請求項7に記載の
ように構成した場合には、一対の出力トランジスタ(T
r1,Tr2)のうち、PNPトランジスタ(Tr2)
がNPNトランジスタ(Tr1)よりも先にOFFし
て、出力端子が低電位になるのを防止できる。なお、こ
の請求項6及び請求項7に記載のプッシュプル出力回路
の構成及び動作については、後述の第1実施例及び第2
実施例にて詳細に説明する。
【0031】また次に、請求項2〜請求項4に記載のプ
ッシュプル出力回路において、各トランジスタ(Tr
1,Tr2)のベース間に設けられるレベルシフト回路
(8)としては、例えば、請求項8に記載の如く、アノ
ードが第1のNPNトランジスタ(Tr1)のベースに
接続された第1のダイオード(D1)と、アノードが第
1のダイオード(D1)のカソードに接続され、カソー
ドが第1のPNPトランジスタ(Tr2)のベースに接
続された第2のダイオード(D2)との2つのダイオー
ドから構成すればよい(図1(a)〜(c)参照)。
【0032】そして、請求項2に記載のプッシュプル出
力回路のように、第1のNPNトランジスタ(Tr1)
のベース側及び第1のPNPトランジスタ(Tr2)の
ベース側に、夫々、第1及び第2の定電流回路(6a,
6b)を備えたプッシュプル出力回路においては、これ
ら各ダイオード(D1,D2)の接続点に信号入力部
(Tin)を接続するようにすれば(図1(a)参照)、
信号入力部(Tin)に入力された入力信号を、その信号
レベルを変化させることなく出力端子(Tout )から出
力することができる。
【0033】また、本発明(請求項1〜請求項8)のプ
ッシュプル出力回路によれば、アナログスイッチ等を用
いることなく、出力をオープン状態に保持できることか
ら、請求項9に記載のように、入力段に差動増幅器50
を備えたオペアンプの出力段として使用することができ
る(図1(b),(c))。そして、この場合、差動増
幅器等の他の回路と共にIC化する際、BiCMOS工
程を必要としないことから、オペアンプのIC化を容易
に図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面と共
に説明する。図2は、差動増幅器30と共通エミッタ増
幅器40とからなるオペアンプの出力段に、本発明(特
に請求項6)が適用されたプッシュプル出力回路10を
追加することにより構成された第1実施例のオペアンプ
の回路構成を表す。
【0035】なお、差動増幅器30は、図4に示した差
動増幅器50と全く同様に構成されており、共通エミッ
タ増幅器40は、図4に示した共通エミッタ増幅器60
からPNPトランジスタTr62を削除した点以外は図
4の共通エミッタ増幅器60と全く同様に構成されてい
るため、図2において、図4と同一素子に同一符号を付
与し、差動増幅器30及び共通エミッタ増幅器40の説
明は省略する。
【0036】図2に示す如く、本実施例のプッシュプル
出力回路10は、信号(Vout )出力用のトランジスタ
として、コレクタが電源ラインを介して直流電源の高電
位側に接続され、エミッタが出力端子に接続された第1
のNPNトランジスタTr1と、コレクタがグランドラ
インを介して直流電源の低電位側に接続され、エミッタ
が出力端子に接続された第1のPNPトランジスタTr
2とを備える。そして、NPNトランジスタTr1のベ
ース−エミッタ間、及びPNPトランジスタTr2のベ
ース−エミッタ間には、夫々、抵抗器R1,R2が接続
されている。
【0037】また、NPNトランジスタTr1のベース
とPNPトランジスタTr2のベースとの間には、互い
に直列接続された一対のダイオードD1,D2が設けら
れている。これらダイオードD1,D2は、バイアス電
流供給時に各トランジスタTr1,Tr2のベース間電
圧を各トランジスタTr1,Tr2が動作可能なダイオ
ード2個分の順方向電圧(約1.4V)に保持するため
のものであり、アノードがNPNトランジスタTr1の
ベース側となり、カソードがPNPトランジスタTr2
のベース側となるように、互いに順方向に接続されてい
る。
【0038】そして、PNPトランジスタTr2のベー
スは、共通エミッタ増幅器40の出力トランジスタであ
るNPNトランジスタTr64のコレクタに接続されて
おり、共通エミッタ増幅器40からの出力は、PNPト
ランジスタTr2のベースに入力される。
【0039】次に、NPNトランジスタTr1のベース
と電源ラインとの間には、NPNトランジスタTr1及
びPNPトランジスタTr2を駆動するための一定バイ
アス電流を供給するために、エミッタが電源ラインに接
続され、コレクタがNPNトランジスタTr1のベース
に接続された第2のPNPトランジスタTr3が設けら
れている。そして、このPNPトランジスタTr3のベ
ースには、第3のPNPトランジスタTr4のベースが
接続されている。
【0040】PNPトランジスタTr4は、PNPトラ
ンジスタTr3と共に第1のカレントミラー回路を構成
するものであり、2個のコレクタを有する。そして、P
NPトランジスタTr4のエミッタは電源ラインに接続
され、一方のコレクタ(第1コレクタ)は自己のベース
に接続されている。なお、このように第1のカレントミ
ラー回路を構成するPNPトランジスタTr3及びTr
4のベースは、抵抗器R0を介して電源ラインに接続さ
れている。
【0041】またPNPトランジスタTr4の第1コレ
クタは、エミッタがグランドラインに接続された第2の
NPNトランジスタTr5のコレクタに接続されてお
り、NPNトランジスタTr5のベースは、第3のNP
NトランジスタTr6のベースに接続されている。ま
た、このNPNトランジスタTr6のエミッタはグラン
ドラインに接続され、コレクタは、自己のベースに接続
されると共に、エミッタが電源ラインに接続されたPN
PトランジスタTr11のコレクタに接続されている。
そして、PNPトランジスタTr11のベースは、差動
増幅器30内のPNPトランジスタTr50及び共通エ
ミッタ増幅器40内のPNPトランジスタTr61のベ
ースと共に、外部から電流制御用の制御信号Vcを受け
る制御端子に接続されている。
【0042】この結果、PNPトランジスタTr11
は、電源ラインからNPNトランジスタTr6側に定電
流を流す第1の定電流源として機能し、NPNトランジ
スタTr6には、定電流が流れる。また、NPNトラン
ジスタTr6とNPNトランジスタTr5は、第2のカ
レントミラー回路を構成していることから、NPNトラ
ンジスタTr5にも、NPNトランジスタTr6と同じ
定電流が流れ、延いては、PNPトランジスタTr4及
びPNPトランジスタTr3にも同じ定電流が流れる。
つまり、本実施例では、PNPトランジスタTr3,T
r4,Tr11、及びNPNトランジスタTr5,Tr
6がバイアス電流供給用の定電流回路として機能する。
【0043】次に、NPNトランジスタTr6のコレク
タ及びエミッタには、夫々、第4のNPNトランジスタ
Tr7のコレクタ及びエミッタが接続されている。そし
て、このNPNトランジスタTr7のベースは、外部か
ら出力停止信号を入力するための入力端子に接続されて
いる。従って、この入力端子に、出力停止信号としてハ
イレベルの信号が入力されると、NPNトランジスタT
r7はON状態となって、PNPトランジスタTr11
から供給される定電流をグランドライン側に流し、NP
NトランジスタTr5及びTr6から構成される第2の
カレントミラー回路、及びPNPトランジスタTr4及
びTr3から構成される第1のカレントミラー回路に流
れる電流を順に遮断する。
【0044】一方、第1のカレントミラー回路を構成す
るPNPトランジスタTr4のもう一つのコレクタ(第
2コレクタ)は、第5のNPNトランジスタTr8のベ
ースに接続されると共に、抵抗器R3を介してグランド
ラインに接続されている。また、NPNトランジスタT
r8のエミッタはグランドラインに接続され、コレクタ
は、エミッタが電源ラインに接続されたPNPトランジ
スタTr12のコレクタに接続されると共に、エミッタ
がグランドラインに接続された第6のNPNトランジス
タTr9のベースに接続されている。
【0045】なお、PNPトランジスタTr12は、P
NPトランジスタTr11と同様、差動増幅器30内の
PNPトランジスタTr50及び共通エミッタ増幅器4
0内のPNPトランジスタTr61のベースと共に、外
部から電流制御用の制御信号Vcを受ける制御端子に接
続されており、電源ラインからNPNトランジスタTr
8側に定電流を流す第2の定電流源として機能する。ま
たNPNトランジスタTr9のコレクタは、共通エミッ
タ増幅器40の出力トランジスタであるNPNトランジ
スタTr64のベースに接続されている。従って、NP
NトランジスタTr8は、PNPトランジスタTr4が
動作しているとき、換言すれば定電流回路が動作してい
るときにON状態となって、PNPトランジスタTr1
2から供給された定電流をグランドライン側に流し、定
電流回路が動作を停止しているときには、OFF状態と
なる。また、NPNトランジスタTr8がOFF状態に
なると、PNPトランジスタTr12から供給された定
電流は、NPNトランジスタTr9のベース電流とし
て、NPNトランジスタTr9側に流れこみ、NPNト
ランジスタTr9がON状態となる。そして、このよう
にNPNトランジスタTr9がON状態となると、NP
NトランジスタTr64のベースがNPNトランジスタ
Tr9を介してグランドラインに接地されることになる
ため、NPNトランジスタTr64はOFFし、共通エ
ミッタ増幅器40からプッシュプル出力回路10への信
号入力は遮断され、共通エミッタ増幅器40の出力はオ
ープン状態となる。
【0046】つまり、本実施例では、外部から出力停止
信号(ハイレベル)を受けて定電流回路の動作を停止さ
せるNPNトランジスタTr7と、定電流回路の動作停
止によって共通エミッタ増幅器40からの信号の出力を
遮断するNPNトランジスタTr8,Tr9及びPNP
トランジスタTr12とにより、本発明の出力停止回路
が実現される。
【0047】以上説明したように、本実施例のオペアン
プにおいては、出力停止信号入力用の入力端子がローレ
ベルであるとき(つまり出力停止信号の非入力時)に
は、NPNトランジスタTr7がOFF状態となって、
PNPトランジスタTr11に流れる電流値と同じ定電
流が、NPNトランジスタTr6,NPNトランジスタ
Tr5,PNPトランジスタTr4,PNPトランジス
タTr3に流れ、出力トランジスタTr1,Tr2がバ
イアスされる。またこのとき、NPNトランジスタTr
9はOFF状態となるため、共通エミッタ増幅器40か
らは差動増幅器30の反転入力端子(−入力)及び非反
転入力端子(+入力)に夫々入力された入力信号の電位
差に対応した信号が出力される。この結果、プッシュプ
ル出力回路10の出力端子からは、この信号に対応した
電圧が出力され、通常のオペアンプとして機能する。
【0048】一方、出力停止信号入力用の入力端子に、
出力停止信号(ハイレベル)を入力すると、NPNトラ
ンジスタTr7がONし、NPNトランジスタTr6及
びTr5、PNPトランジスタTr4及びTr3が、カ
レントミラー回路としての機能を停止する。この結果、
NPNトランジスタTr1のベースはフローティング状
態となるが、NPNトランジスタTr1はベース−エミ
ッタ間に設けられた抵抗器R1により、エミッタと同じ
電位となるため、NPNトランジスタTr1は安定な状
態でOFFする。
【0049】また、PNPトランジスタTr4及びTr
3がカレントミラー回路としての機能を停止すると、N
PNトランジスタTr8がOFFし、NPNトランジス
タTr9がONして、共通エミッタ増幅器40の出力ト
ランジスタ(NPNトランジスタTr64)をOFFさ
せるため、PNPトランジスタTr2のベースもフロー
ティング状態となる。そしてこのとき、PNPトランジ
スタTr2のベースは、ベース−エミッタ間に設けられ
た抵抗器R2により、エミッタと同じ電位となるため、
PNPトランジスタTr2も安定な状態でOFFする。
【0050】そして、このようにプッシュプル出力回路
10の出力トランジスタTr1,Tr2がOFFした状
態では、出力端子に接続された外部負荷側からの回り込
みにより出力端子が高電圧になったとしても、出力トラ
ンジスタTr1,Tr2がブレークダウンするようなこ
とはなく、出力を安定したオープン状態に保持すること
が可能となる。
【0051】また、本実施例では、第1のカレントミラ
ー回路を構成するPNPトランジスタTr4,Tr3の
ベースを、抵抗器R0を介して、電源ラインに接続して
いることから、出力停止時に、このベースにリーク電流
が流れたとしても、PNPトランジスタTr3が動作し
てNPNトランジスタTr1側にバイアス電流が流れる
ようなことはない。つまり、本実施例では、第1のカレ
ントミラー回路に設けた抵抗器R0によって、より安定
したオープン状態を保持することができる。
【0052】ここで、本実施例では、回路構成上、出力
停止信号(ハイレベル)が入力されると、まず第1のカ
レントミラー回路の動作が停止して、NPNトランジス
タTr1側への定電流の供給が遮断され、その後、共通
エミッタ増幅器40の出力トランジスタTr64がオフ
して、PNPトランジスタTr2への信号入力が遮断さ
れる。この結果、出力停止時には、一対の出力トランジ
スタTr1,Tr2のうち、まずNPNトランジスタT
r1がオフし、次にPNPトランジスタTr2がOFF
することになる。
【0053】従って、本実施例のオペアンプによれば、
出力停止時に出力端子が一時的にグランド電位まで低下
することになり、外部負荷がこのような条件下でも正常
動作するシステムであれば問題ないが、オペアンプの出
力端子がグランド電位まで低下すると外部負荷に不具合
が生じるシステムでは使用できない。
【0054】しかし、本実施例のプッシュプル出力回路
10は、内部回路を少し変更するだけで、出力トランジ
スタTr1,Tr2がOFFする順序を変更できるた
め、どのようなシステムでも容易に対応させることがで
きる。以下、出力トランジスタTr1,Tr2がOFF
する順序が上記実施例とは逆になるように構成したプッ
シュプル出力回路(請求項7に対応した回路)20を備
えたオペアンプについて、本発明の第2実施例として説
明する。
【0055】図3に示す如く、本実施例のオペアンプ
は、図2に示したオペアンプと略同様の構成をしてお
り、上記実施例と異なる点は、プッシュプル出力回路2
0において、第1のカレントミラー回路を構成する第3
のPNPトランジスタTr4が、自己のベースに接続さ
れる第1コレクタのみを備えたPNPトランジスタから
構成され、第4のNPNトランジスタTr7のベースが
抵抗器R21を介して第5のNPNトランジスタTr8
のコレクタに接続され、第5のNPNトランジスタTr
8のコレクタが抵抗器R22を介して第6のNPNトラ
ンジスタTr9のベースに接続され、出力停止信号入力
用の入力端子がNPNトランジスタTr8のベースに接
続されている点である。なお、この点以外は、図2に示
したオペアンプと全く同様であるため、説明は省略す
る。
【0056】このように構成された本実施例のプッシュ
プル出力回路20においては、出力停止信号としてロー
レベルの信号を入力端子に入力すれば、NPNトランジ
スタTr8がOFF状態となり、NPNトランジスタT
r9及びTr7が共にON状態となる。そして、NPN
トランジスタTr9がON状態となると、共通エミッタ
増幅器40の出力トランジスタ(NPNトランジスタT
r64)がOFFするため、一対の出力トランジスタT
r1,Tr2のうちのPNPトランジスタTr2がOF
Fする。また、NPNトランジスタTr7がON状態と
なると、第2のカレントミラー回路及び第1のカレント
ミラー回路を構成するトランジスタTr6,Tr5,T
r4,Tr3が順にOFFすることから、もう一方の出
力トランジスタ(NPNトランジスタTr1)は、PN
PトランジスタTr2よりも後にOFF状態となる。従
って、本実施例では、出力停止信号(ローレベル)入力
後に、PNPトランジスタTr2が先にOFFし、その
後NPNトランジスタTr1がOFFすることになり、
出力停止時、出力端子は一時的に電源電圧まで上昇す
る。従って、本実施例のオペアンプは、外部負荷がオペ
アンプから電源電圧Vbが出力されても正常動作し得る
システムにおいて使用することができる。
【0057】なお、本実施例のオペアンプにおいては、
出力停止信号としてローレベルの信号を入力することに
より動作を停止するため、オペアンプとして通常動作さ
せる際には、出力停止信号入力用の入力端子にハイレベ
ルの信号を入力して、NPNトランジスタTr8をON
させればよい。
【0058】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、
種々の態様を採ることができる。例えば、上記実施例で
は、本発明を適用したプッシュプル出力回路10,20
を出力段に備えたオペアンプについて説明したが、本発
明のプッシュプル出力回路は、例えばコンパレータ等、
オペアンプ以外の回路の出力段として使用できる。ま
た、上記実施例では、反転入力端子(−入力)及び非反
転入力端子(+入力)からの信号を夫々ダーリントン接
続されたPNPトランジスタTr51,Tr52及びT
r53,Tr54を介して入力するよう構成された差動
増幅器を備え、しかも、位相補償用のコンデンサC61
を内蔵したオペアンプを例にとり説明したが、本発明の
プッシュプル出力回路は、どのようなタイプのオペアン
プであっても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプッシュプル出力回路の基本構成を
説明する説明図である。
【図2】 第1実施例のオペアンプの回路構成を表す電
気回路図である。
【図3】 第2実施例のオペアンプの回路構成を表す電
気回路図である。
【図4】 従来のオペアンプの一例を表す電気回路図で
ある。
【図5】 従来のプッシュプル出力回路をオペアンプの
出力段に設けた場合の回路構成を説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
2…入力部 4…出力停止回路 6a,6b…定電
流回路 8…レベルシフト回路 10,20…プッシュプル出
力回路 30…差動増幅器 D1,D2…ダイオード R
1,R2…抵抗器 Tr1,Tr5,Tr6,Tr7,Tr8,Tr9…N
PNトランジスタ Tr2,Tr3,Tr4,Tr11,Tr12…PNP
トランジスタ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コレクタが直流電源の高電位側に接続さ
    れ、エミッタが出力端子に接続された第1のNPNトラ
    ンジスタと、 コレクタが前記直流電源の低電位側に接続され、エミッ
    タが前記出力端子に接続された第1のPNPトランジス
    タと、 前記第1のNPNトランジスタのベース−エミッタ間、
    及び前記第1のPNPトランジスタのベース−エミッタ
    間に、夫々設けられた抵抗体と、 前記第1のNPNトランジスタのベース及び前記第1の
    PNPトランジスタのベースに信号を入力する入力部
    と、 外部から出力停止信号を受けると、前記入力部と前記第
    1のNPNトランジスタのベース及び前記第1のPNP
    トランジスタのベースとの接続を遮断する出力停止回路
    と、 を備えたことを特徴とするプッシュプル出力回路。
  2. 【請求項2】 前記入力部は、 前記直流電源の高電位側から前記第1のNPNトランジ
    スタのベース側に定電流を供給する第1の定電流回路
    と、 前記第1のPNPトランジスタのベース側から前記直流
    電源の低電位側へ定電流を供給する第2の定電流回路
    と、 前記第1のNPNトランジスタのベース及び前記第1の
    PNPトランジスタのベースに信号を入力する信号入力
    部と、 前記第1のNPNトランジスタのベースと前記第1のP
    NPトランジスタのベースとの間に接続され、各トラン
    ジスタのベース間を各トランジスタが動作可能な電位差
    に保持するレベルシフト回路と、 から構成され、前記出力停止回路は、外部から出力停止
    信号を受けると、前記第1及び第2の定電流回路の動作
    を停止させると共に、前記信号入力部から前記第1のN
    PNトランジスタのベース及び第1のPNPトランジス
    タのベースへの信号入力を遮断することを特徴とする請
    求項1に記載のプッシュプル出力回路。
  3. 【請求項3】 前記入力部は、 前記第1のPNPトランジスタのベース側から前記直流
    電源の低電位側へ定電流を供給する第2の定電流回路
    と、 前記第1のNPNトランジスタのベースに信号を入力す
    る信号入力部と、 前記第1のNPNトランジスタのベースと前記第1のP
    NPトランジスタのベースとの間に接続され、各トラン
    ジスタのベース間を各トランジスタが動作可能な電位差
    に保持するレベルシフト回路と、 から構成され、前記出力停止回路は、外部から出力停止
    信号を受けると、前記第2の定電流回路の動作を停止さ
    せると共に、前記信号入力部から前記第1のNPNトラ
    ンジスタのベースへの信号入力を遮断することを特徴と
    する請求項1に記載のプッシュプル出力回路。
  4. 【請求項4】 前記入力部は、 前記直流電源の高電位側から前記第1のNPNトランジ
    スタのベース側に定電流を供給する第1の定電流回路
    と、 前記第1のPNPトランジスタのベースに信号を入力す
    る信号入力部と、 前記第1のNPNトランジスタのベースと前記第1のP
    NPトランジスタのベースとの間に接続され、各トラン
    ジスタのベース間を各トランジスタが動作可能な電位差
    に保持するレベルシフト回路と、 から構成され、前記出力停止回路は、外部から出力停止
    信号を受けると、前記第1の定電流回路の動作を停止さ
    せると共に、前記信号入力部から前記第1のPNPトラ
    ンジスタのベースへの信号入力を遮断することを特徴と
    する請求項1に記載のプッシュプル出力回路。
  5. 【請求項5】 前記定電流回路及び出力停止回路は複数
    のバイポーラトランジスタから構成され、前記出力停止
    回路は、前記出力停止信号を受けると、前記各バイポー
    ラトランジスタのスイッチング遅れによって決定される
    所定順序で、前記定電流回路の動作を停止させると共に
    前記信号入力部からの信号入力を遮断することを特徴と
    する請求項2〜請求項4いずれか記載のプッシュプル出
    力回路。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のプッシュプル出力回路
    において、 前記第1の定電流回路は、 エミッタが前記直流電源の高電位側に接続され、コレク
    タが前記第1のNPNトランジスタのベースに接続され
    た第2のPNPトランジスタと、 2個のコレクタを有し、エミッタが前記直流電源の高電
    位側に接続されると共に、ベースが前記第2のPNPト
    ランジスタのベースに接続され、第1コレクタが自己の
    ベースに接続されて、前記第2のPNPトランジスタと
    共に第1のカレントミラー回路を構成する第3のPNP
    トランジスタと、 コレクタが前記第3のPNPトランジスタの第1コレク
    タに接続され、エミッタが前記直流電源の低電位側に接
    続された第2のNPNトランジスタと、 エミッタが前記直流電源の低電位側に接続されると共
    に、ベースが前記第2のPNPトランジスタのベースに
    接続され、コレクタが自己のベースに接続されて、前記
    第2のNPNトランジスタと共に第2のカレントミラー
    回路を構成する第3のNPNトランジスタと、 前記直流電源の高電位側と前記第3のNPNトランジス
    タのコレクタとの間に設けられた第1の定電流源と、 から構成され、 前記出力停止回路は、 コレクタ及びエミッタが夫々前記第3のNPNトランジ
    スタのコレクタ及びエミッタに接続され、前記出力停止
    信号としてハイレベルの信号がベースに入力されたとき
    にON状態となって、前記第2及び第1のカレントミラ
    ー回路に流れる電流を順に遮断する第4のNPNトラン
    ジスタと、 ベースが、前記第3のPNPトランジスタの第2コレク
    タに接続されると共に、抵抗体を介して前記直流電源の
    低電位側に接続され、エミッタが前記直流電源の低電位
    側に接続された第5のNPNトランジスタと、 前記直流電源の高電位側と前記第5のNPNトランジス
    タのコレクタとの間に設けられた第2の定電流源と、 ベースが前記第5のNPNトランジスタのコレクタに接
    続されると共に、エミッタが前記直流電源の低電位側に
    接続され、コレクタが前記第1のPNPトランジスタの
    ベースに前記入力信号を入力する信号入力用トランジス
    タのベースに接続されて、前記第5のNPNトランジス
    タのOFF時に該信号入力用トランジスタをOFFして
    前記入力信号の入力を遮断する第6のNPNトランジス
    タと、 から構成されたことを特徴とするプッシュプル出力回
    路。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のプッシュプル出力回路
    において、 前記第1のカレントミラー回路を構成する第3のPNP
    トランジスタを、自己のベースに接続される第1コレク
    タのみを備えたPNPトランジスタから構成し、 前記第4のNPNトランジスタのベースを抵抗体を介し
    て前記第5のNPNトランジスタのコレクタに接続する
    と共に、前記第5のNPNトランジスタのコレクタを抵
    抗体を介して前記第6のNPNトランジスタのベースに
    接続し、 前記出力停止信号として前記第5のNPNトランジスタ
    のベースにローレベルの信号を入力したときに、前記第
    5のNPNトランジスタがOFF状態となって、前記第
    6のNPNトランジスタを介して前記信号入力用トラン
    ジスタをOFFさせると共に、前記第4のNPNトラン
    ジスタを介して前記第2及び第1のカレントミラー回路
    に流れる電流を順に遮断するよう構成してなることを特
    徴とするプッシュプル出力回路。
  8. 【請求項8】 前記レベルシフト回路は、アノードが前
    記第1のNPNトランジスタのベースに接続された第1
    のダイオードと、アノードが前記第1のダイオードのカ
    ソードに接続され、カソードが前記第1のPNPトラン
    ジスタのベースに接続された第2のダイオードと、から
    なることを特徴とする請求項2〜請求項7いずれか記載
    のプッシュプル出力回路。
  9. 【請求項9】 前記プッシュプル出力回路は、入力段に
    差動増幅器を備えたオペアンプの出力段を構成する出力
    回路であることを特徴とする請求項1〜請求項8いずれ
    か記載のプッシュプル出力回路。
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