JPH10221515A - 3次元人工格子構造素子およびその作成方法 - Google Patents

3次元人工格子構造素子およびその作成方法

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Publication number
JPH10221515A
JPH10221515A JP9024911A JP2491197A JPH10221515A JP H10221515 A JPH10221515 A JP H10221515A JP 9024911 A JP9024911 A JP 9024911A JP 2491197 A JP2491197 A JP 2491197A JP H10221515 A JPH10221515 A JP H10221515A
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JP
Japan
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light
material system
liquid crystal
acrylate
monomer
Prior art date
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Application number
JP9024911A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Karasawa
武 柄沢
Yoshinao Taketomi
義尚 武富
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP9024911A priority Critical patent/JPH10221515A/ja
Publication of JPH10221515A publication Critical patent/JPH10221515A/ja
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  • Polarising Elements (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は光の持つある特定の偏光成分を優先
的に利用することを可能にする3次元人工格子構造の提
供と、その作成のための光アシストプロセス、さらに、
特定の偏光性の優先度合を制御する方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 屈折率の異なる領域を交互に繰り返した
ミクロンスケールの3次元格子構造を、特別な構成によ
る感光性樹脂及び干渉性の高いレーザー光の2分割干渉
照射とを利用して形成する。また、特定種類のモノマー
の添加、基板表面の処理、紫外線の照射等の手法を組み
合わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な光機能材料と
それを用いた素子構造及びその作成方法に係るもので、
特に光の持つ偏光性を積極的に利用するための3次元人
工格子構造素子およびその作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種のデバイスは材料の利用技術の高度
化に伴いますます微細化、複合化が進み、新たな機能の
創出が求められている。ある一つの材料系においてもそ
れがバルクの混合物としてであるか、薄膜であるかによ
り物性及び利用のされ方が異なることは多々ある。さら
に微小な繰り返し周期を有する構造、例えば半導体超格
子等は特異な物性や機能の発現に大きな役割を果たすよ
うになってきている。多層積層構造、人工格子構造、多
重量子井戸等様々な周期構造があり、またそれらを構成
する材料も無機材料から有機材料に至るまで、さらに同
一種類のものどうしのものから異種物質の組み合わせに
より構成されるものまでじつに多種多様である。
【0003】光の利用においては発光又は受光を行う半
導体素子、レンズやプリズム等のような光学部品、光フ
ァイバーのような伝送媒体等様々な機能の構成要素を必
要とする。これらは長年にわたって研究開発が進めら
れ、広く利用されるに至っているが、この分野において
もこうした積層構造を有する素子が重要になってきてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】人工的な周期構造、格
子構造により様々な機能を作り出せることが期待されて
いるが、用いる材料、作成方法等において多くの可能性
が利用されずに残っている。また光の性質においてはそ
の波長、位相は積極的に利用されてきているが、偏光性
はごく限られた利用しかなされていない。これは偏光性
の利用を容易にするような優れた特性の光機能素子が作
られていないこともその一因である。
【0005】本発明は光の持つある特定の偏光成分を優
先的に利用するための光機能材料として、基板に対して
垂直又はある角度をもって形成されるミクロンスケール
の3次元人工格子構造、及びその作成のための比較的簡
便な光アシストプロセスによる新規な手法、さらに、特
定の偏光性の優先度合を制御する方法を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の第一の構成は、複数領域の繰り返し構造を有
し、前記複数の領域は各々異なる屈折率を有し、前記屈
折率差により光の回折を生ぜしめ、かつ前記複数の領域
のうちある1種類の領域内には光の散乱能が偏波面依存
性を有する部分が存在することにより、入射光のある特
定の偏波成分を優先的に前記入射光の進行方向に対して
ある特定の角度を有する方向に出射する機能を有するこ
とを特徴とする。
【0007】また、本発明の第一の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系に、アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマ
ー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレートモ
ノマーのいずれか、又は複数種類を添加することにより
特定の偏光優先性を制御することを特徴とする。
【0008】また、本発明の第二の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系を用い、薄膜材料により被覆された基板上に作成す
ることにより特定の偏光優先性を制御することを特徴と
する。
【0009】また、本発明の第三の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系を用い、格子構造の形成に先立って紫外線を照射す
ることにより特定の偏光優先性を制御することを特徴と
する。
【0010】また、本発明の第四の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系に、アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマ
ー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレートモ
ノマーのいずれか、又は複数種類を添加した材料系を用
い、かつ、薄膜材料により被覆された基板上に作成する
ことにより特定の偏光優先性を制御することを特徴とす
る。
【0011】また、本発明の第五の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系に、アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマ
ー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレートモ
ノマーのいずれか、又は複数種類を添加した材料系を用
い、かつ、格子構造の形成に先立って紫外線を照射する
ことにより特定の偏光優先性を制御することを特徴とす
る。
【0012】また、本発明の第六の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系を用い、薄膜材料により被覆された基板上に作成
し、かつ、格子構造の形成に先立って紫外線を照射する
ことにより特定の偏光優先性を制御することを特徴とす
る。
【0013】また、本発明の第七の作成方法は、エネル
ギーの付与により重合反応が進行し分子量が増大する物
質と、ある波長領域の光を吸収しうる物質を主成分とす
る感光性樹脂材料、及び光学的異方性を有する物質とか
らなる材料系を用い、用いる光に対して高い透過率を有
する基体上にまたは基体間に前記材料系を塗付し、前記
波長領域内のある特定波長の光を2分割し、試料作成位
置において干渉により縞を形成するように照射し、異な
る屈折率を有する領域の繰り返し構造を作成する方法で
あって、前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料
主成分としての多官能ポリエステルアクリレートと、2
官能アクリレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材
料系に、アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマ
ー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレートモ
ノマーのいずれか、又は複数種類を添加した材料系を用
い、薄膜材料により被覆された基板上に作成し、かつ、
格子構造の形成に先立って紫外線を照射することにより
特定の偏光優先性を制御することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明はその適用範囲が広く、材
料に関しては無機材料から有機材料まで適用が可能であ
る。また、利用する光はその目的に応じて赤外光、可視
光、紫外光、X線等広範なエネルギー領域、すなわち波
長領域を包含している。しかし格子構造の形成には良好
な干渉性を必要とするため、2分割干渉に用いる光とし
ては各種のレーザーを用いることが望ましい。ここでは
照射光に対して透過率の高い2つの基板間に材料系をは
さみ込み、光照射により人工格子を形成する場合につい
てその詳細を述べるが、1つの基板上に材料系を塗付
し、それに光照射をすることにより人工格子を形成する
ことはもちろん可能である。
【0015】実施例は、可視光のレーザーを用い、材料
系は各種の有機高分子材料を主体とし、基板はガラス基
板又はガラス基板上に表面処理、被膜、加工等を施した
ものを用いる場合について取り上げる。しかしながら、
例えば可視光において可能なことはエネルギー吸収媒体
の感度特性の異なるものを利用すれば赤外光や紫外光等
の利用が可能なことは容易に類推できるであろうし、温
度条件等が適当な範囲であれば基板に透明な合成樹脂を
用いることも可能であり、また、材料系も有機物質に限
らず使用するレーザー光のエネルギーと化学結合エネル
ギーとの相関から金属、半導体、セラミックス等の無機
材料との組み合わせも多々ありうることは言うまでもな
い。
【0016】まず、以下に述べる発明の詳細の共通事項
として作成しようとする人工格子の断面を示す概略図、
レーザー光の2分割干渉照射の光学系の概略構成図、及
びガラス基板の洗浄方法について述べておくことにす
る。
【0017】図1は作成しようとする人工格子の1例を
示す断面概略図である。被処理物は基板3の上に材料系
があり、後述の光照射により物性の異なる第1領域及び
第2領域が形成される(偏波面依存性を有する部分を含
む領域2)。
【0018】図2は、レーザー光の2分割干渉照射用の
光学系の構成図である。光の干渉、特に位相を利用する
には、光路長、光束の均一性が重要である。レーザー2
1から出射したレーザー光はコリメート用レンズ系22
によって均一な平行光束となり、ハーフミラー23によ
って2分される。2分されたレーザー光のそれぞれはミ
ラー24により被処理物25上にて干渉を生ずるように
照射される。
【0019】ガラス基板(表面に何らかの処理を施して
ある場合も含む)を界面活性剤と超音波及び純水と超音
波による洗浄の後、乾燥させる。乾燥ベーク炉にて90
℃30分乾燥させた後、作成時の温度に設定したホット
プレート上におき温度が安定したことを確認する。ま
た、いずれの材料系も各種の光照射によるプロセスを経
て目的の構造を形成するものであるから、光に対しては
極めて敏感である。したがって不要な光への暴露による
弊害を防ぐためにガラスの洗浄の後は原料の調合からす
べての作業を暗い赤色光源のもとで行い、終了まで通常
の外光や白色光源にはさらさない。以下、具体例につい
て詳細に述べる。
【0020】(実施の形態1)基板として各種のガラス
を、又、材料系として感光性樹脂及び液晶を用いるが、
いかなるものでもよいわけではない。ガラスの素材とし
てはパイレックス、白板等アルカリ成分を全く含有しな
いか、極めてわずかにしか含有しないものが望ましい。
もちろんアルカリ含有ガラスを用いた場合でも本発明の
素子作成は可能であるが、信頼性、寿命等の観点からは
液晶への影響を避けるためにアルカリ成分は少ないほう
がよい。感光性樹脂としては、既成品も多く存在し、ま
た、感光性樹脂として機能しうる材料の組み合わせも各
種あるが、ここで必要とする特性を得るためにはアクリ
レート系のオリゴマーに増感剤及び色素を添加したもの
をベースに用いる。液晶材料も多種多様なものが購入可
能であるが、ここでは複屈折性が大きなものが望まし
く、実際には0.2近辺又はそれ以上の値を有するものを
用いる。
【0021】この材料系をガラス基板間にはさみ込み、
回折格子としての3次元人工格子構造をレーザー光の2
分割干渉照射を行うことによりフォトリソグラフィーや
電子線描画等の技術を用いずに形成する。レーザー光は
干渉性が高く、光路長を正確に調整することにより2分
割した光を同一面上に照射することにより干渉による強
度分布を作り出せる。この強度分布に対応して異なった
速度で光重合反応を進行させることにより異なる物性を
有する領域を格子状に形成することができる。
【0022】ところで、アクリレート系のオリゴマーや
液晶材料の種類は極めて多数有り、また新たなものも次
々と開発されつつあるため、すべてを網羅する検証は不
可能であろう。しかし、発明者らの検討結果から原理的
にはミクロに見て次のような構造を作ることが必要であ
ることがほぼ明らかである。
【0023】屈折率の異なる領域の繰り返し構造からな
る回折格子は入射光の進行方向からある特定の角度をも
つ方向へと出射させる。この機能のみでは光の偏光方向
に対する選択性はない。しかし、1方の領域に偏波面選
択性を有する部分を導入することにより回折された光が
ある特定の偏光性を優先的に持ちうるようにできる。こ
の偏波面選択性を有する部分の作成には剛直性を有する
中心部分を持つ棒状の分子構造物質、例えば液晶が適し
ている。このような分子構造の物質はそれが接する物質
との相互作用によりある特定の向きを優先的にとる傾向
にある。この分子配列方向に依存して偏波面依存性を有
するようになる。
【0024】(実施例1.1)ガラス基板として通常の
白板のスライドグラス(例えば岩城硝子、松浪硝子等か
ら各種のものが販売されている)を用いる。感光性樹脂
を構成するための樹脂原料は多官能ポリエステルアクリ
レート(例えば東亜合成株式会社製のアロニックスM8
000シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレート
(例えばアロニックスM6000シリーズ)を用いる。
【0025】重合開始剤の選定は用いる照射光の波長に
依存するが、ここではArレーザーの緑色発振線(51
4.5nm)を用いるので、アミン類、例えばNーフェニ
ルグリシン及び色素としてローダミンB、フルオレッセ
イン、ローズベンガル、エオシンY、エリスロシン等を
組み合わせると感度も良好であり重合反応をスムーズに
進行させることができる。ネマティック液晶はシアノビ
フェニール系液晶材料を主成分とするもの(例えばMe
rck Japanが販売しているBLシリーズ)を用い
る。このシリーズのものはいずれも複屈折性が大きく、
低電圧で動作させやすい等いくつかの際立った特徴を有
する一連の液晶材料群である。
【0026】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、Nーフ
ェニルグリシンをおよそ3mg、フルオレッセインを約1
mg、BL液晶をおよそ0.4g、スペーサーとして直径10
ミクロンのグラスビーズを約0.1mg(この分量は値その
ものに重要性はなく、ガラス基板にはさみ込んだ時に均
一なスペースを維持できればよい)使用する。これらを
室温にて混合するわけであるが若干粘度があるので、十
分に均一に混ぜるために電動ミキサーを用いて撹拌した
後、完全に気泡が抜け切るのを待つ。
【0027】次に、この材料系の少量(スパチュラーの
先端につける、又はミクロスポイトを用いる)を一方の
ガラス基板上に滴下する。気泡等が入らないように注意
しながら他方のガラス基板をのせ、適度な加重(数十〜
数百g程度:材料がすみやかに均一にガラス基板間に行
き渡るのを助けるためのもので、適当な重さでよい)を
かけて数分間放置する。その後、素早く基板ホルダーに
装着し、レーザー光を照射する。基板ホルダーは光の通
過窓を有するものが必要なのはもちろんである。同時
に、温度制御機構を備えたものが望ましい。
【0028】およそ1ミクロン周期の格子を形成するた
めにArレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分
割した光は光路が正確に同じになるように調整し、基板
への入射角度は15°に設定する。照射時間はレーザー
の出力、材料系の成分、温度等の条件に依存し、また、
重合反応終了の判断は正確には行えないため、まったく
同一の時間に対し必ずしも同一の試料が作成されるわけ
ではないが、He−Neレーザーの赤色光を試料に対し
てある角度で入射させておき、その回折光が現われ、あ
る程度の強度になった時点を終点とみなす方法でモニタ
ーを行った範囲では、Arレーザー出力およそ10mWで
上述の作成条件下においておよそ数十秒ないし1〜2分
というオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラ
ンプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0029】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0030】単色のスポット光、例えば先のHe−Ne
レーザーの赤色光を試料に入射させると直射光のほかに
回折スポットが見られ、回折格子が形成されていること
が確認できる。このサンプルの前に回転式ホルダーに装
着した偏光板を設置し、He−Neレーザーの赤色光を
試料に入射させる際に、この偏光板の回転を利用してp
またはs偏光の光とする。p及びs偏光の各々の光に対し
て回折効率を測定するとpが圧倒的に優勢であり、その
比率はおよそ52:1である。
【0031】(実施の形態2)基板として各種のガラス
を、また、感光性樹脂材料の主成分として多官能ポリエ
ステルアクリレートと、2官能ポリエステルアクリレー
トと、重合開始剤とからなる材料系及び液晶を用いる。
ガラスの素材としては実施の形態1で述べたようにパイ
レックス、白板等アルカリ成分を全く含有しないか、極
めてわずかにしか含有しないものが望ましい。液晶材料
も多種多様なものが購入可能であるが、ここではシアノ
ビフェニール系液晶であり、かつ、複屈折性が大きなも
の、実際には0.2近辺又はそれ以上の値を有するものを
用いる。
【0032】この構成に加え、次の方法により特定の偏
光性の優先度合を制御することが可能となった。上記の
樹脂材料系にアクリレートモノマー、ジアクリレートモ
ノマー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレー
トモノマーのいずれか、又は複数種類を添加することに
よりP偏光優先性をさらに強める、又は逆に弱めること
ができる。
【0033】レーザー光を2分割し試料面にて干渉縞を
生ずるように照射することにより回折格子構造を形成す
るプロセスは前述の実施の形態1と共通であるのでその
詳細の記述はここでは省略する。また、以下の実施例に
おいては単一種類モノマーを添加する場合についてのみ
述べるが、これらの複数種類を添加する場合においても
その各々のモノマーの性質に応じて作成する回折格子の
偏光性を制御できることは言うまでもない。
【0034】(実施例2.1)ガラス基板として通常の
白板のスライドグラス(例えば岩城硝子、松浪硝子等か
ら各種のものが販売されている)を用いる。感光性樹脂
を構成するための樹脂原料主成分は多官能ポリエステル
アクリレート(例えば東亜合成株式会社製のアロニック
スM8000シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレ
ート(例えばアロニックスM6000シリーズ)を用い
る。
【0035】重合開始剤の選定は用いる照射光の波長に
依存するが、ここではArレーザーの緑色発振線(51
4.5nm)を用いるので、アミン類、例えばNーフェニ
ルグリシン及び色素としてローダミンB、フルオレッセ
イン、ローズベンガル、エオシンY、エリスロシン等を
組み合わせると感度も良好であり重合反応をスムーズに
進行させることができる。ネマティック液晶はシアノビ
フェニール系液晶材料を主成分とするもの(例えばMe
rck Japanが販売しているBLシリーズ)を用
いる。このシリーズのものはいずれも複屈折性が大き
く、低電圧で動作させやすい等いくつかの際立った特徴
を有する一連の液晶材料群である。
【0036】この材料系にフェノキシポリエチレングリ
コールアクリレートを少量添加するとP偏光優先性を弱
めることができる。
【0037】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、フェノ
キシポリエチレングリコールアクリレートをおよそ0.
07g、Nーフェニルグリシンをおよそ2.5mg、フルオ
レッセインを約1.4mg、BL液晶をおよそ0.42g、ス
ペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mg(この分量は値そのものに重要性はなく、ガラ
ス基板にはさみ込んだ時に均一なスペースを維持できれ
ばよい)を室温にて電動ミキサーを用い十分に撹拌し均
一に混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待つ。
【0038】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施の形態1に記載の実施例とほぼ共通であるため
詳細は省略し、要点及び異なる事項のみを述べる。
【0039】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。素早く基板ホルダーに装着し、レーザ
ー光を照射する。およそ1ミクロン周期の格子を形成す
るためにArレーザーの514.5nmの発振線を使い、
2分割した光は光路が正確に同じになるように調整し、
基板への入射角度は15°に設定する。Arレーザー出
力およそ10mWで上述の作成条件下においておよそ数十
秒ないし1〜2分というオーダーの時間である。その後
直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ19mWで2分間照
射する。
【0040】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0041】単色のスポット光、例えば先のHe−Ne
レーザーの赤色光を試料に入射させると直射光のほかに
回折スポットが見られ、回折格子が形成されていること
が確認できる。このサンプルの前に回転式ホルダーに装
着した偏光板を設置し、He−Neレーザーの赤色光を
試料に入射させる際に、この偏光板の回転を利用してp
またはs偏光の光とする。p及びs偏光の各々の光に対し
て回折効率を測定するとpが優勢であるが、その比率は
およそ34:1であり、実施の形態1及び実施例にて示
した試料のもつ52:1とは明らかに異なったものであ
る。
【0042】(実施例2.2)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例2.1と共通であるので、ここではその詳細の繰り
返しは省略する。
【0043】この材料系の共通部分にヒドロキシエチル
メタクリレートを少量添加するとP偏光優先性を弱める
ことができる。
【0044】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、ヒドロ
キシエチルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェ
ニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを約1m
g、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0045】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0046】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。素早く基板ホルダーに装着し、レーザ
ー光を照射する。およそ1ミクロン周期の格子を形成す
るためにArレーザーの514.5nmの発振線を使い、
2分割した光は光路が正確に同じになるように調整し、
基板への入射角度は15°に設定する。Arレーザー出
力およそ10mWで上述の作成条件下においておよそ1〜
1.5分というオーダーの時間である。その後直ちに高
圧水銀ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0047】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0048】He−Neレーザーの赤色光を、偏光板を
通して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して
回折効率を測定するとpが優勢であるが、その比率はお
よそ5.7:1であり、前述の実施の形態及び実施例にて
示した試料のもつ数十:1と比較してほぼ1桁弱める方
向へ制御される。
【0049】(実施例2.3)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例2.1、2.2と共通であるので、ここではその詳細
の繰り返しは省略する。この材料系の共通部分にnーラ
ウリルメタクリレートを少量添加するとP偏光優先性を
弱めることができる。
【0050】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、nーラ
ウリルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェニル
グリシンをおよそ2.3mg、フルオレッセインを約1.1
mg、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0051】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0052】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。素早く基板ホルダーに装着し、レーザ
ー光を照射する。およそ1ミクロン周期の格子を形成す
るためにArレーザーの514.5nmの発振線を使い、
2分割した光は光路が正確に同じになるように調整し、
基板への入射角度は15°に設定する。Arレーザー出
力およそ10mWで上述の作成条件下においておよそ1.
5〜2分というオーダーの時間である。その後直ちに高
圧水銀ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0053】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0054】He−Neレーザーの赤色光を、偏光板を
通して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して
回折効率を測定するとpが優勢であるが、その比率はお
よそ4.5:1であり、ポリエステルアクリレート主成分
のみを用いた試料のもつ数十:1と比較してほぼ1桁弱
める方向へ制御される。
【0055】(実施例2.4)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例2.1〜2.3と共通であるので、ここではその詳細
の繰り返しは省略する。
【0056】この材料系の共通部分に2ーヒドロキシー
3ーフェノキシプロピルアクリレートを少量添加すると
これまでの実施例とは逆にP偏光優先性を強めることが
できる。
【0057】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、2ーヒ
ドロキシー3ーフェノキシプロピルアクリレートをおよ
そ0.05g、Nーフェニルグリシンをおよそ3mg、フル
オレッセインを約1.1mg、BL液晶をおよそ0.4g、ス
ペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0058】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0059】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。素早く基板ホルダーに装着し、レーザ
ー光を照射する。およそ1ミクロン周期の格子を形成す
るためにArレーザーの514.5nmの発振線を使い、
2分割した光は光路が正確に同じになるように調整し、
基板への入射角度は15°に設定する。Arレーザー出
力およそ10mWで上述の作成条件下においておよそ1〜
1.5分というオーダーの時間である。その後直ちに高
圧水銀ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0060】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0061】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であるが、その比率はおよ
そ107:1であり、前述の実施の形態及び実施例にて
示した試料における場合とは反対にほぼ1桁強める方向
へ制御される。
【0062】(実施例2.5)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例2.1〜2.4と共通であるので、ここではその詳細
の繰り返しは省略する。この材料系の共通部分にパーフ
ルオロオクチルエチルアクリレートを少量添加するとP
偏光優先性を強めることができる。
【0063】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、パーフ
ルオロオクチルエチルアクリレートをおよそ0.06g、
Nーフェニルグリシンをおよそ2.2mg、フルオレッセイ
ンを約1.2mg、BL液晶をおよそ0.42g、スペーサー
として直径10ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを
室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜
け切るのを待つ。
【0064】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0065】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。素早く基板ホルダーに装着し、レーザ
ー光を照射する。およそ1ミクロン周期の格子を形成す
るためにArレーザーの514.5nmの発振線を使い、
2分割した光は光路が正確に同じになるように調整し、
基板への入射角度は15°に設定する。Arレーザー出
力およそ10mWで上述の作成条件下においておよそ40
秒〜1分というオーダーの時間である。その後直ちに高
圧水銀ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0066】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0067】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であるが、その比率はおよ
そ169:1であり、p優先性を強める方向へ制御され
る。
【0068】(実施の形態3)感光性樹脂材料の主成分
として多官能ポリエステルアクリレートと、2官能ポリ
エステルアクリレートと、重合開始剤とからなる材料
系、及び液晶については前述の実施例等と同様のものを
用いる。
【0069】ガラスの素材としては、パイレックス、白
板等アルカリ成分を全く含有しないか、極めてわずかに
しか含有しないものが望ましいこと、及びアルカリ含有
ガラスを用いた場合でも本発明の素子作成は可能である
が、信頼性、寿命等の観点からは液晶への影響を避ける
ためにアルカリ成分は少ないほうがよいことはすでに述
べた。
【0070】本発明の構成による回折格子の偏光性の制
御を行う手段として無アルカリガラスの表面状態の改質
による方法を開発した。薄膜材料を用いてガラス表面を
被覆することにより基板材料としての物性はガラス単体
の場合とはまったく異なるものとすることができる。
【0071】ガラス自体は誘電体であり電流は通さない
が、いくつかの酸化物半導体は透明かつ導電性を有する
という特異な、かつ応用上有用な性質を持っている。こ
のような酸化物半導体薄膜をガラス基板上に形成するこ
とにより回折格子のp偏光優先性の度合を制御した。
【0072】尚、表面改質の方法は非常に多く、そのす
べてについて偏光性の制御に対する有効性を検討するこ
とは不可能であるが、発明者らの検討結果から少なくと
も基板材料表面の状態が本発明の構成による回折格子の
偏光性に何らかの影響を与えうることは明白である。ま
た、レーザー光照射による重合反応を利用する点は同一
であるので、材料系を2枚の基板間に挟み込む構成をと
る場合には表面に如何なる加工を施すにしてもこの光を
十分に透過させうるものでなければならない。
【0073】レーザー光を2分割し試料面にて干渉縞を
生ずるように照射することにより回折格子構造を形成す
るプロセスは前述の実施の形態と共通であるのでその詳
細の記述はここでは省略する。
【0074】(実施例3.1)感光性樹脂を構成するた
めの原料として樹脂原料は多官能ポリエステルアクリレ
ート(例えば、東亜合成株式会社製のアロニックスM8
000シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレート
(例えばアロニックスM6000シリーズ)を用いる。
照射光はArレーザーの緑色発振線(514.5nm)を
用いるので、Nーフェニルグリシン及び色素としてフル
オレッセインを用いる。ネマティック液晶はシアノビフ
ェニール系液晶材料を主成分とするもの(例えばMer
ck Japanが販売しているBLシリーズ)を用い
る。
【0075】この構成とともに無アルカリガラス表面に
ITO(In2O3,SnO2)薄膜を形成したものを
基板として用い、ITO薄膜のついた方の面を材料を挟
む側に向ける。
【0076】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートとを各々約0.35gずつ、N
ーフェニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを
約1mg、BL液晶をおよそ0.49g、スペーサーとして直
径10ミクロンのグラスビーズを約0.1mg使用する。
これらを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全に
気泡が抜け切るのを待つ。
【0077】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施の形態及び実施例とほぼ共通であるため詳細は
省略し、要点及び異なる事項のみを述べる。
【0078】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。素早く基板ホルダー
に装着し、レーザー光を照射する。およそ1ミクロン周
期の格子を形成するためにArレーザーの514.5nm
の発振線を使い、2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は15°に設定す
る。Arレーザー出力およそ10mWで上述の作成条件下
においておよそ40秒〜1分というオーダーの時間であ
る。その後直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ19mW
で2分間照射する。
【0079】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0080】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
101:1である。同じ材料系を用いITO薄膜を形成
していないガラス基板を用いて作成した回折格子の場合
には52:1であり、この表面処理によりp優先性を強
めることができる。
【0081】(実施の形態4)基板として各種のガラス
を、また、感光性樹脂材料として多官能ポリエステルア
クリレートと、2官能ポリエステルアクリレートと、重
合開始剤とからなる材料系及び液晶を用いる。ガラスの
素材及び液晶材料の好ましい条件等は前述の実施の形態
に述べたとおりであるので、その詳細は省略する。
【0082】この材料系をガラス基板間にはさみ込み、
回折格子としての3次元人工格子構造をレーザー光の2
分割干渉照射を行うことによりフォトリソグラフィーや
電子線描画等の技術を用いずに形成でき、ある特定の偏
光性が優勢である試料作成が可能であることは前述のと
おりである。この作成プロセスを改良し、レーザー光の
2分割干渉照射に先立って紫外光を短時間照射する工程
を追加することによりその偏光性優勢の度合を制御する
ことが可能となった。ここでは紫外光源として高圧水銀
ランプを用いるが、光源としてはこれに限定されるもの
ではなく、類似の波長領域にスペクトル分布を有する光
源であれば使用可能である。なお、現在のところそのメ
カニズムについて原子、分子レベルでの理解は得られて
いない。以下に代表的な具体例を示す。
【0083】(実施例4.1)ガラス基板として通常の
白板のスライドグラス(例えば、岩城硝子、松浪硝子等
から各種のものが販売されている)を用いる。感光性樹
脂を構成するための樹脂原料主成分は多官能ポリエステ
ルアクリレート(例えば東亜合成株式会社製のアロニッ
クスM8000シリーズ)と2官能ポリエステルアクリ
レート(例えば、アロニックスM6000シリーズ)を
用いる。照射光はArレーザーの緑色発振線(514.
5nm)を用いるので、Nーフェニルグリシン及び色素と
してフルオレッセインを用いる。ネマティック液晶はシ
アノビフェニール系液晶材料を主成分とするもの(例え
ばMerck Japanが販売しているBLシリーズ)
を用いる。
【0084】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.35gずつ、Nー
フェニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを約
1mg、BL液晶をおよそ0.49g、スペーサーとして直径
10ミクロンのグラスビーズを約0.1mg(この分量は
値そのものに重要性はなく、ガラス基板にはさみ込んだ
時に均一なスペースを維持できればよい)使用する。こ
れらを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全に気
泡が抜け切るのを待つ。
【0085】次に、この材料系の少量(スパチュラーの
先端につける、又はミクロスポイトを利用する)を一方
のガラス基板上に滴下する。気泡等が入らないように注
意しながら他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけ
て数分間放置する。
【0086】レーザー光2分割干渉照射に先立ち高圧水
銀ランプを用い比較的短時間の光照射を行うが、その際
の照射時間及びスペクトル分布の制御が重要である。ラ
ンプの光を直接被処理物に照射するのではなく、材料に
応じ1種類または複数種類のフィルターを利用する。こ
れらはある特定波長領域の光を吸収または透過させるも
ので、組み合わせによりランプ自体の波長、すなわちエ
ネルギー分布とは異なったエネルギー分布を作り出し、
3次元格子構造の形成過程及び液晶分子の優先配向方向
を制御するものである。
【0087】高圧水銀ランプを用いる光照射において、
直射であればおよそ9mwの条件に加え、フィルターとし
てBSM18(OHARA Inc.、光透過特性を示
す図3)及びU330(Hoyaガラス製、光透過特性
を示す図4)を用い、およそ10秒間照射する。
【0088】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施の形態及び実施例とほぼ共通であるため詳細は
省略し、要点及び異なる事項のみを述べる。
【0089】紫外光ランプによる照射を終えた後、素早
く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射する。およ
そ1ミクロン周期の格子を形成するためにArレーザー
の514.5nmの発振線を使い、2分割した光は光路が
正確に同じになるように調整し、基板への入射角度は1
5°に設定する。Arレーザー出力およそ10mWで上述
の作成条件下においておよそ1分というオーダーの時間
である。その後直ちに高圧水銀ランプを用い、フィルタ
ー類を用いることなく直射でおよそ19mWで2分間照射
する。
【0090】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0091】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
102:1である。同じ材料系を用い、レーザー光照射
に先立って紫外線照射を行わずに作成した回折格子の場
合には52:1であり、本発明の前段紫外光照射により
p優先性を強めることができる。
【0092】(実施の形態5)感光性樹脂材料の主成分
として多官能ポリエステルアクリレートと、2官能ポリ
エステアクリレートと、重合開始剤とからなる材料系、
及び液晶については前述の実施例等と同様のものを用い
る。ガラスの素材としてはパイレックス、白板等アルカ
リ成分を全く含有しないか、極めてわずかにしか含有し
ないものが望ましいこと、及びアルカリ含有ガラスを用
いた場合でも本発明の素子作成は可能であるが、信頼
性、寿命等の観点からは液晶への影響を避けるためにア
ルカリ成分は少ないほうがよいことはすでに述べた。
【0093】本発明においては特定の偏光性の度合を制
御する方法として前述の感光性樹脂を構成するための樹
脂原料主成分にアクリレートモノマー、ジアクリレート
モノマー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレ
ートモノマーのいずれか、又は複数種類を添加した材料
系を用い、かつ、薄膜材料により被覆された基板上に作
成することにより特定の偏光優先性を制御することを可
能とした。
【0094】レーザー光を2分割し試料面にて干渉縞を
生ずるように照射することにより回折格子構造を形成す
るプロセスは前述の実施の形態ならびに実施例と共通で
あるのでその詳細の記述はここでは省略する。また、以
下の実施例においては単一種類モノマーを添加する場合
についてのみ述べるが、これらの複数種類の添加による
偏光性の制御が可能であること、及び表面改質の方法は
非常に多く、そのすべてについて偏光性の制御に対する
有効性を検討することは不可能であるが、基板材料表面
の状態が本発明の構成による回折格子の偏光性に何らか
の影響を与えうることはについてもすでに述べたとおり
である。
【0095】(実施例5.1)感光性樹脂を構成するた
めの樹脂原料主成分は多官能ポリエステルアクリレート
(例えば、東亜合成株式会社製のアロニックスM800
0シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレート(例え
ばアロニックスM6000シリーズ)を用いる。回折格
子形成のための照射光はArレーザーの緑色発振線(5
14.5nm)を用いるので、Nーフェニルグリシン及び色
素としてフルオレッセインを用いる。
【0096】ネマティック液晶はシアノビフェニール系
液晶材料を主成分とするもの(例えばMerck Ja
panが販売しているBLシリーズ)を用いる。
【0097】この材料系にフェノキシポリエチレングリ
コールアクリレートを少量添加するとともに、無アルカ
リガラス表面にITO(In23,SnO2)薄膜を形成
したものを基板として用い、ITO薄膜のついた方の面
を材料を挟む側に向ける。
【0098】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.33gずつ、フェ
ノキシポリエチレングリコールアクリレートをおよそ
0.07g、Nーフェニルグリシンをおよそ2.5mg、フル
オレッセインを約1.4mg、BL液晶をおよそ0.42g、
スペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0099】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施の形態及び実施例とほぼ共通であるため詳細は
省略し、要点及び異なる事項のみを述べる。
【0100】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。素早く基板ホルダー
に装着し、レーザー光を照射する。およそ1ミクロン周
期の格子を形成するためにArレーザーの514.5nm
の発振線を使い、2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は15°に設定す
る。Arレーザー出力およそ10mWで上述の作成条件下
において、およそ2分というオーダーの時間である。そ
の後直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ19mWで2分
間照射する。
【0101】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0102】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
90:1である。モノマーの添加及び基板表面のITO
によるコーティングのいずれも行わない場合の52:
1、モノマーの添加のみを行った場合の34:1、及び
ITOによるコーティングのみを行った場合の101:
0のいずれの方法とも異なった特性の回折格子を形成で
きる。
【0103】(実施例5.2)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については前述の実施例5.1と共
通であるので、ここではその詳細の繰り返しは省略す
る。
【0104】この材料系の共通部分にヒドロキシエチル
メタクリレートを少量添加するとともに、無アルカリガ
ラス表面にITO(In2O3,SnO2)薄膜を形成
したものを基板として用い、ITO薄膜のついた方の面
を材料を挟む側に向ける。
【0105】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、ヒドロ
キシエチルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェ
ニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを約1m
g、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0106】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0107】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。素早く基板ホルダー
に装着し、レーザー光を照射する。およそ1ミクロン周
期の格子を形成するためにArレーザーの514.5nm
の発振線を使い、2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は15°に設定す
る。Arレーザー出力およそ10mWで上述の作成条件下
においておよそ1〜1.5分というオーダーの時間であ
る。その後、直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ19
mWで2分間照射する。
【0108】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0109】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
8:1である。モノマーの添加及び基板表面のITOに
よるコーティングのいずれも行わない場合の52:1、
モノマーの添加のみを行った場合の5.7:1、及びI
TOによるコーティングのみを行った場合の101:0
のいずれの方法とも異なった特性の回折格子を形成でき
る。
【0110】(実施例5.3)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については、前述の実施例5.
1、5.2と共通であるので、ここではその詳細の繰り
返しは省略する。
【0111】この材料系の共通部分にnーラウリルメタ
クリレートを少量添加するとともに無アルカリガラス表
面にITO(In2O3,SnO2)薄膜を形成したも
のを基板として用い、ITO薄膜のついた方の面を材料
を挟む側に向ける。
【0112】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、nーラ
ウリルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェニル
グリシンをおよそ2.3mg、フルオレッセインを約1.1
mg、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0113】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0114】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。素早く基板ホルダー
に装着し、レーザー光を照射する。およそ1ミクロン周
期の格子を形成するためにArレーザーの514.5nm
の発振線を使い、2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は15°に設定す
る。Arレーザー出力およそ10mWで上述の作成条件下
においておよそ1.5〜2分というオーダーの時間であ
る。その後直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ19mW
で2分間照射する。
【0115】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0116】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
15:1である。モノマーの添加及び基板表面のITO
によるコーティングのいずれも行わない場合の52:
1、モノマーの添加のみを行った場合の4.5:1、及
びITOによるコーティングのみを行った場合の10
1:0のいずれの方法とも異なった特性の回折格子を形
成できる。
【0117】(実施例5.4)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については、前述の実施例5.1
〜5.3と共通であるので、ここではその詳細の繰り返
しは省略する。
【0118】この材料系の共通部分に2ーヒドロキシー
3ーフェノキシプロピルアクリレートを少量添加すると
ともに無アルカリガラス表面にITO(In23,Sn
2)薄膜を形成したものを基板として用い、ITO薄
膜のついた方の面を材料を挟む側に向ける。
【0119】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.32gずつ、2ー
ヒドロキシー3ーフェノキシプロピルアクリレートをお
よそ0.05g、Nーフェニルグリシンをおよそ3mg、フ
ルオレッセインを約1.1mg、BL液晶をおよそ0.4g、
スペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0120】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0121】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。素早く基板ホルダー
に装着し、レーザー光を照射する。およそ1ミクロン周
期の格子を形成するためにArレーザーの514.5nm
の発振線を使い、2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は15°に設定す
る。Arレーザー出力およそ10mWで上述の作成条件下
において、およそ30秒〜1.5分というオーダーの時
間である。その後直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ
19mWで2分間照射する。
【0122】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0123】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
72:1である。モノマーの添加及び基板表面のITO
によるコーティングのいずれも行わない場合の52:
1、モノマーの添加のみを行った場合の107:1、及
びITOによるコーティングのみを行った場合の10
1:0のいずれの方法とも異なった特性の回折格子を形
成できる。
【0124】(実施例5.5)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については、前述の実施例5.1
〜5.4と共通であるので、ここではその詳細の繰り返
しは省略する。
【0125】この材料系の共通部分にパーフルオロオク
チルエチルアクリレートを少量添加するとともに無アル
カリガラス表面にITO(In2O3,SnO2)薄膜
を形成したものを基板として用い、ITO薄膜のついた
方の面を材料を挟む側に向ける。
【0126】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.31gずつ、パー
フルオロオクチルエチルアクリレートをおよそ0.06
g、Nーフェニルグリシンをおよそ2.2mg、フルオレッ
セインを約1.2mg、BL液晶をおよそ0.42g、スペー
サーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約0.1m
gを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡
が抜け切るのを待つ。
【0127】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0128】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。素早く基板ホルダー
に装着し、レーザー光を照射する。およそ1ミクロン周
期の格子を形成するためにArレーザーの514.5nm
の発振線を使い、2分割した光は光路が正確に同じにな
るように調整し、基板への入射角度は15°に設定す
る。Arレーザー出力およそ10mWで上述の作成条件下
において、およそ30秒〜1.5分というオーダーの時
間である。その後直ちに高圧水銀ランプを用い、およそ
19mWで2分間照射する。
【0129】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0130】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
157:1である。モノマーの添加及び基板表面のIT
Oによるコーティングのいずれも行わない場合の52:
1、モノマーの添加のみを行った場合の169:1、及
びITOによるコーティングのみを行った場合の10
1:0のいずれの方法とも異なった特性の回折格子を形
成できる。
【0131】(実施の形態6)感光性樹脂材料の主成分
として多官能ポリエステルアクリレートと、2官能ポリ
エステルアクリレートと、重合開始剤とからなる材料
系、及び液晶については前述の実施例等と同様のものを
用いる。ガラスの素材としてはパイレックス、白板等ア
ルカリ成分を全く含有しないか、極めてわずかにしか含
有しないものが望ましいこと、及びアルカリ含有ガラス
を用いた場合でも本発明の素子作成は可能であるが、信
頼性、寿命等の観点からは液晶への影響を避けるために
アルカリ成分は少ないほうがよいことはすでに述べた。
【0132】本発明においては特定の偏光性の度合を制
御する方法として前述の感光性樹脂を構成するための樹
脂原料主成分にアクリレートモノマー、ジアクリレート
モノマー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリレ
ートモノマーのいずれか、又は複数種類を添加した材料
系を用い、かつ、格子構造の形成に先立って紫外線を照
射する、ことにより特定の偏光優先性を制御することを
可能とした。
【0133】レーザー光2分割干渉照射に先立ち高圧水
銀ランプを用い比較的短時間の光照射を行うが、その際
の照射時間及びスペクトル分布の制御が重要であり、ラ
ンプの光を直接被処理物に照射するのではなく、材料に
応じ1種類または複数種類のフィルターを利用すること
は前述の実施の形態にて述べた。この前段紫外光照射の
条件は先術のものと同一である。
【0134】レーザー光を2分割し試料面にて干渉縞を
生ずるように照射することにより回折格子構造を形成す
るプロセスは前述の実施の形態と共通であるのでその詳
細の記述はここでは省略する。また、以下の実施例にお
いては単一種類モノマーを添加する場合についてのみ述
べるが、これらの複数種類の添加による偏光性の制御が
可能であること、及びここでは紫外光源として高圧水銀
ランプを用いるが、光源としてはこれに限定されるもの
ではなく、類似の波長領域にスペクトル分布を有する光
源であれば使用可能であるについてもすでに述べたとお
りである。
【0135】(実施例6.1)感光性樹脂を構成するた
めの樹脂原料主成分は多官能ポリエステルアクリレート
(例えば東亜合成株式会社製のアロニックスM8000
シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレート(例えば
アロニックスM6000シリーズ)を用いる。回折格子
形成のための照射光は、Arレーザーの緑色発振線(5
14.5nm)を用いるので、Nーフェニルグリシン及び
色素としてフルオレッセインを用いる。ネマティック液
晶はシアノビフェニール系液晶材料を主成分とするもの
(例えばMerck Japanが販売しているBLシリ
ーズ)を用いる。
【0136】この材料系にフェノキシポリエチレングリ
コールアクリレートを少量添加するとともに、回折格子
の形成に際してはレーザー光の2分割干渉照射に先立っ
て紫外光を短時間照射する。
【0137】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、フェノ
キシポリエチレングリコールアクリレートをおよそ0.
07g、Nーフェニルグリシンをおよそ2.5mg、フルオ
レッセインを約1.4mg、BL液晶をおよそ0.42g、ス
ペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0138】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。高圧水銀ランプの光を直接被処理物に
照射するのではなく、直射であればおよそ9mwの条件に
加え、フィルターとしてBSM18(OHARA In
c.、光透過特性を示す図3)及びU330(Hoya
ガラス製、光透過特性を示す図4)を用い、およそ10
秒間照射する。
【0139】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ1〜1.5分と
いうオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラン
プを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0140】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0141】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
35:1である。モノマーの添加及び前段の紫外光照射
いずれも行わない場合の52:1、及び前段の紫外光照
射のみを行った場合の102:0のいずれの方法とも異
なった特性の回折格子を形成できる。
【0142】(実施例6.2)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については前述の実施例6.1と
共通であるので、ここではその詳細の繰り返しは省略す
る。この材料系の共通部分にヒドロキシエチルメタクリ
レートを少量添加するとともに、回折格子の形成に際し
てはレーザー光の2分割干渉照射に先立って紫外光を短
時間照射する。
【0143】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、ヒドロ
キシエチルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェ
ニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを約1m
g、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0144】この材料系の少量を一方のガラス基板上に
滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度な加重をかけて
数分間放置する。前段の紫外光照射に際しては高圧水銀
ランプの光を直接被処理物に照射するのではなく、直射
であればおよそ9mwの条件に加え、フィルターとしてB
SM18(OHARA Inc.)及びU330(Ho
yaガラス)を用い、およそ10秒間照射する。
【0145】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下において、およそ1〜1.5分
というオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラ
ンプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0146】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0147】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
6.6:1である。モノマーの添加及び前段の紫外光照
射いずれも行わない場合の52:1、及び前段の紫外光
照射のみを行った場合の102:0のいずれの方法とも
異なった特性の回折格子を形成できる。
【0148】(実施例6.3)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例6.1、6.2と共通であるので、ここではその詳細
の繰り返しは省略する。この材料系の共通部分にnーラ
ウリルメタクリレートを少量添加するとともに、回折格
子の形成に際してはレーザー光の2分割干渉照射に先立
って紫外光を短時間照射する。
【0149】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、nーラ
ウリルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェニル
グリシンをおよそ2.3mg、フルオレッセインを約1.1
mg、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0150】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。この材料系の少量を一方の
ガラス基板上に滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度
な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に際
しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射するの
ではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フィ
ルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及び
U330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間照
射する。
【0151】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ1.5〜2分と
いうオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラン
プを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0152】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0153】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
4.1:1である。モノマーの添加及び前段の紫外光照
射いずれも行わない場合の52:1、及び前段の紫外光
照射のみを行った場合の102:0のいずれの方法とも
異なった特性の回折格子を形成できる。
【0154】(実施例6.4)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例6.1〜6.3と共通であるので、ここではその詳細
の繰り返しは省略する。この材料系の共通部分に2ーヒ
ドロキシー3ーフェノキシプロピルアクリレートを少量
添加するとともに、回折格子の形成に際してはレーザー
光の2分割干渉照射に先立って紫外光を短時間照射す
る。
【0155】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、2ーヒ
ドロキシー3ーフェノキシプロピルアクリレートをおよ
そ0.05g、Nーフェニルグリシンをおよそ3mg、フル
オレッセインを約1.1mg、BL液晶をおよそ0.4g、ス
ペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0156】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。この材料系の少量を一方の
ガラス基板上に滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度
な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に際
しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射するの
ではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フィ
ルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及び
U330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間照
射する。
【0157】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ1〜2分という
オーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ランプを
用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0158】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0159】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
55:1である。モノマーの添加のみの場合の107:
1、及び前段の紫外光照射のみを行った場合の102:
0のいずれの方法とも異なった特性の回折格子を形成で
きる。
【0160】(実施例6.5)ガラス基板、樹脂原料主
成分、重合開始剤、色素、及び液晶については前述の実
施例6.1〜6.4と共通であるので、ここではその詳細
の繰り返しは省略する。この材料系の共通部分にパーフ
ルオロオクチルエチルアクリレートを少量添加するとと
もに、回折格子の形成に際してはレーザー光の2分割干
渉照射に先立って紫外光を短時間照射する。
【0161】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、パーフ
ルオロオクチルエチルアクリレートをおよそ0.06g、
Nーフェニルグリシンをおよそ2.2mg、フルオレッセイ
ンを約1.2mg、BL液晶をおよそ0.42g、スペーサー
として直径10ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを
室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜
け切るのを待つ。
【0162】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。この材料系の少量を一方の
ガラス基板上に滴下し、他方のガラス基板をのせ、適度
な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に際
しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射するの
ではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フィ
ルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及び
U330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間照
射する。
【0163】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ1分というオー
ダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ランプを用
い、およそ19mWで2分間照射する。
【0164】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0165】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
308:1である。モノマーの添加及び前段の紫外光照
射いずれも行わない場合の52:1、モノマーの添加の
みの場合の169:1、及び前段の紫外光照射のみを行
った場合の102:0のいずれの方法とも異なったp偏
光の極めて優勢な回折格子を形成できる。
【0166】(実施の形態7)感光性樹脂材料の主成分
として多官能ポリエステルアクリレートと、2官能ポリ
エステルアクリレートと、重合開始剤とからなる材料
系、及び液晶については前述の実施例等と同様のものを
用いる。ガラスの素材としてはパイレックス、白板等ア
ルカリ成分を全く含有しないか、極めてわずかにしか含
有しないものが望ましいこと、及びアルカリ含有ガラス
を用いた場合でも本発明の素子作成は可能であるが、信
頼性、寿命等の観点からは液晶への影響を避けるために
アルカリ成分は少ないほうがよいことはすでに述べた。
【0167】本発明においては特定の偏光性の度合を制
御する方法として薄膜材料により被覆された基板上に作
成し、かつ、格子構造の形成に先立って紫外線を照射す
る、ことにより特定の偏光優先性を制御することを可能
とした。
【0168】レーザー光を2分割し試料面にて干渉縞を
生ずるように照射することにより回折格子構造を形成す
るプロセスは前述の実施の形態ならびに実施例と共通で
あるのでその詳細の記述はここでは省略する。
【0169】表面改質の方法は非常に多く、そのすべて
について偏光性の制御に対する有効性を検討することは
不可能であるが、基板材料表面の状態が本発明の構成に
よる回折格子の偏光性に何らかの影響を与えうること、
及びここでは紫外光源として高圧水銀ランプを用いる
が、光源としてはこれに限定されるものではなく、類似
の波長領域にスペクトル分布を有する光源であれば使用
可能であることもすでに述べたとおりである。
【0170】(実施例7.1)感光性樹脂を構成するた
めの原料として、樹脂原料は多官能ポリエステルアクリ
レート(例えば東亜合成株式会社製のアロニックスM8
000シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレート
(例えばアロニックスM6000シリーズ)を用いる。
回折格子形成のための照射光はArレーザーの緑色発振
線(514.5nm)を用いるので、Nーフェニルグリシン
及び色素としてフルオレッセインを用いる。ネマティッ
ク液晶はシアノビフェニール系液晶材料を主成分とする
もの(例えばMerck Japanが販売しているBL
シリーズ)を用いる。
【0171】この構成に加え、無アルカリガラス表面に
ITO(In2O3,SnO2)薄膜を形成したものを
基板として用い、ITO薄膜のついた方の面を材料を挟
む側に向けるともに、回折格子の形成に際してはレーザ
ー光の2分割干渉照射に先立って紫外光を短時間照射す
る。
【0172】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.35gずつ、Nー
フェニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを約
1mg、BL液晶をおよそ0.49g、スペーサーとして直径
10ミクロンのグラスビーズを約0.1mg使用する。こ
れらを室温にて混合するわけであるが若干粘度があり、
かつ十分に均一に混ぜる必要があるので電動ミキサーを
用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待つ。
【0173】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。この材料系の少量を一方の
ITO付ガラス基板上に滴下し、他方のITO付ガラス
基板をのせ、適度な加重をかけて数分間放置する。前段
の紫外光照射に際しては高圧水銀ランプの光を直接被処
理物に照射するのではなく、直射であればおよそ9mwの
条件に加え、フィルターとしてBSM18(OHARA
Inc.)及びU330(Hoyaガラス)を用い、
およそ10秒間照射する。
【0174】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ30秒〜1分と
いうオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラン
プを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0175】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0176】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
120:1である。
【0177】基板表面のITOによるコーティング及び
前段の紫外光照射いずれも行わない場合の52:1、基
板表面のITOによるコーティングのみの場合の10
1:1、及び前段の紫外光照射のみを行った場合の10
2:0のいずれの方法とも異なったp偏光がさらに優勢
な回折格子を形成できる。
【0178】(実施の形態8)感光性樹脂材料の主成分
として多官能ポリエステルアクリレートと、2官能ポリ
エステルアクリレートと、重合開始剤とからなる材料
系、及び液晶については前述の実施例等と同様のものを
用いる。ガラスの素材としてはパイレックス、白板等ア
ルカリ成分を全く含有しないか、極めてわずかにしか含
有しないものが望ましいこと、及びアルカリ含有ガラス
を用いた場合でも本発明の素子作成は可能であるが、信
頼性、寿命等の観点からは液晶への影響を避けるために
アルカリ成分は少ないほうがよいことはすでに述べた。
【0179】本発明においては特定の偏光性の度合を制
御する方法として、前述の感光性樹脂を構成するための
樹脂原料主成分にアクリレートモノマー、ジアクリレー
トモノマー、メタクリレートモノマーまたはジメタクリ
レートモノマーのいずれか、又は複数種類を添加した材
料系を用い、薄膜材料により被覆された基板上に作成
し、かつ、格子構造の形成に先立って紫外線を照射す
る、ことにより特定の偏光優先性を制御することを可能
とした。
【0180】レーザー光を2分割し試料面にて干渉縞を
生ずるように照射することにより回折格子構造を形成す
るプロセスは前述の実施の形態ならびに実施例と共通で
あるのでその詳細の記述はここでは省略する。また、以
下の実施例においては単一種類モノマーを添加する場合
についてのみ述べるが、これらの複数種類の添加による
偏光性の制御が可能であること、表面改質の方法は非常
に多く、そのすべてについて偏光性の制御に対する有効
性を検討することは不可能であるが、基板材料表面の状
態が本発明の構成による回折格子の偏光性に何らかの影
響を与えうること、ならびにここでは紫外光源として高
圧水銀ランプを用いるが、光源としてはこれに限定され
るものではなく、類似の波長領域にスペクトル分布を有
する光源であれば使用可能であるについてもすでに述べ
たとおりである。
【0181】(実施例8.1)感光性樹脂を構成するた
めの樹脂原料主成分は多官能ポリエステルアクリレート
(例えば東亜合成株式会社製のアロニックスM8000
シリーズ)と2官能ポリエステルアクリレート(例えば
アロニックスM6000シリーズ)を用いる。回折格子
形成のための照射光はArレーザーの緑色発振線(51
4.5nm)を用いるので、Nーフェニルグリシン及び色
素としてフルオレッセインを用いる。ネマティック液晶
はシアノビフェニール系液晶材料を主成分とするもの
(例えばMerck Japanが販売しているBLシリ
ーズ)を用いる。
【0182】この材料系にフェノキシポリエチレングリ
コールアクリレートを少量添加するとともに、無アルカ
リガラス表面にITO(In2O3,SnO2)薄膜を
形成したものを基板として用い、ITO薄膜のついた方
の面を材料を挟む側に向ける。さらに、回折格子の形成
に際してはレーザー光の2分割干渉照射に先立って紫外
光を短時間照射する。
【0183】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.33gずつ、フェ
ノキシポリエチレングリコールアクリレートをおよそ
0.07g、Nーフェニルグリシンをおよそ2.5mg、フル
オレッセインを約1.4mg、BL液晶をおよそ0.42g、
スペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0184】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施の形態及び実施例とほぼ共通であるため詳細は
省略し、要点及び異なる事項のみを述べる。
【0185】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に
際しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射する
のではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フ
ィルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及
びU330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間
照射する。
【0186】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ30秒〜1.5
分というオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀
ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0187】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0188】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
125:1である。モノマーの添加、基板表面のITO
によるコーティング、及び前段の紫外光照射のいずれも
行わない場合の52:1、モノマーの添加のみを行った
場合の34:1、ITOによるコーティングのみを行っ
た場合の101:0、及び前段の紫外光照射のみを行っ
た場合の102:1のいずれの方法よりも強いp偏光特
性の回折格子を形成できる。
【0189】(実施例8.2)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については前述の実施例8.1と
共通であるので、ここではその詳細の繰り返しは省略す
る。
【0190】この材料系の共通部分にヒドロキシエチル
メタクリレートを少量添加するとともに、無アルカリガ
ラス表面にITO(In2O3,SnO2)薄膜を形成
したものを基板として用い、ITO薄膜のついた方の面
を材料を挟む側に向ける。さらに、回折格子の形成に際
してはレーザー光の2分割干渉照射に先立って紫外光を
短時間照射する。
【0191】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、ヒドロ
キシエチルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェ
ニルグリシンをおよそ2mg、フルオレッセインを約1m
g、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0192】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0193】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に
際しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射する
のではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フ
ィルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及
びU330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間
照射する。
【0194】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ1〜1.5分と
いうオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラン
プを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0195】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0196】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
8:1である。モノマーの添加、基板表面のITOによ
るコーティング、及び前段の紫外光照射のいずれも行わ
ない場合の52:1、モノマーの添加のみを行った場合
の5.7:1、ITOによるコーティングのみを行った
場合の101:0、及び前段の紫外光照射のみを行った
場合の102:1のいずれの方法とも異なるp偏光特性
の回折格子を形成できる。
【0197】(実施例8.3)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については、前述の実施例8.
1、8.2と共通であるので、ここではその詳細の繰り
返しは省略する。
【0198】この材料系の共通部分にnーラウリルメタ
クリレートを少量添加するとともに無アルカリガラス表
面にITO(In2O3,SnO2)薄膜を形成したも
のを基板として用い、ITO薄膜のついた方の面を材料
を挟む側に向ける。さらに、回折格子の形成に際しては
レーザー光の2分割干渉照射に先立って紫外光を短時間
照射する。
【0199】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.3gずつ、nーラ
ウリルメタクリレートをおよそ0.06g、Nーフェニル
グリシンをおよそ2.3mg、フルオレッセインを約1.1
mg、BL液晶をおよそ0.38g、スペーサーとして直径1
0ミクロンのグラスビーズを約0.1mgを室温にて電動
ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡が抜け切るのを待
つ。
【0200】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0201】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に
際しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射する
のではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フ
ィルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及
びU330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間
照射する。
【0202】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ1.5〜2分と
いうオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀ラン
プを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0203】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0204】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
11:1である。モノマーの添加、基板表面のITOに
よるコーティング、及び前段の紫外光照射のいずれも行
わない場合の52:1、モノマーの添加のみを行った場
合の4.5:1、ITOによるコーティングのみを行っ
た場合の101:0、及び前段の紫外光照射のみを行っ
た場合の102:1のいずれの方法とも異なるp偏光特
性の回折格子を形成できる。
【0205】(実施例8.4)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については前述の実施例8.1〜
8.3と共通であるので、ここではその詳細の繰り返し
は省略する。
【0206】この材料系の共通部分に2ーヒドロキシー
3ーフェノキシプロピルアクリレートを少量添加すると
ともに無アルカリガラス表面にITO(In2O3,S
nO2)薄膜を形成したものを基板として用い、ITO
薄膜のついた方の面を材料を挟む側に向ける。さらに、
回折格子の形成に際してはレーザー光の2分割干渉照射
に先立って紫外光を短時間照射する。
【0207】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.32gずつ、2ー
ヒドロキシー3ーフェノキシプロピルアクリレートをお
よそ0.05g、Nーフェニルグリシンをおよそ3mg、フ
ルオレッセインを約1.1mg、BL液晶をおよそ0.4g、
スペーサーとして直径10ミクロンのグラスビーズ約
0.1mgを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全
に気泡が抜け切るのを待つ。
【0208】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0209】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に
際しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射する
のではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フ
ィルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及
びU330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間
照射する。
【0210】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ30秒〜1.5
分というオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀
ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0211】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0212】He−Neレーザーの赤色光を偏光板を通
して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して回
折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよそ
92:1である。モノマーの添加、基板表面のITOに
よるコーティング、及び前段の紫外光照射のいずれも行
わない場合の52:1、モノマーの添加のみを行った場
合の107:1、ITOによるコーティングのみを行っ
た場合の101:0、及び前段の紫外光照射のみを行っ
た場合の102:1のいずれの方法とも異なるp偏光特
性の回折格子を形成できる。
【0213】(実施例8.5)樹脂原料主成分、重合開
始剤、色素、及び液晶については、前述の実施例8.1
〜8.4と共通であるので、ここではその詳細の繰り返
しは省略する。
【0214】この材料系の共通部分にパーフルオロオク
チルエチルアクリレートを少量添加するとともに無アル
カリガラス表面にITO(In23,SnO2)薄膜を形
成したものを基板として用い、ITO薄膜のついた方の
面を材料を挟む側に向ける。さらに、回折格子の形成に
際してはレーザー光の2分割干渉照射に先立って紫外光
を短時間照射する。
【0215】多官能ポリエステルアクリレートと2官能
ポリエステルアクリレートを各々約0.31gずつ、パー
フルオロオクチルエチルアクリレートをおよそ0.06
g、Nーフェニルグリシンをおよそ2.2mg、フルオレッ
セインを約1.2mg、BL液晶をおよそ0.42g、スペー
サーとして直径10ミクロンのグラスビーズを約0.1m
gを室温にて電動ミキサーを用い混ぜた後、完全に気泡
が抜け切るのを待つ。
【0216】この後の回折格子形成プロセスの概要は前
述の実施例とほぼ共通であるため詳細は省略し、要点及
び異なる事項のみを述べる。
【0217】この材料系の少量を一方のITO付ガラス
基板上に滴下し、他方のITO付ガラス基板をのせ、適
度な加重をかけて数分間放置する。前段の紫外光照射に
際しては高圧水銀ランプの光を直接被処理物に照射する
のではなく、直射であればおよそ9mwの条件に加え、フ
ィルターとしてBSM18(OHARA Inc.)及
びU330(Hoyaガラス)を用い、およそ10秒間
照射する。
【0218】このような紫外光ランプによる照射を終え
た後、素早く基板ホルダーに装着し、レーザー光を照射
する。およそ1ミクロン周期の格子を形成するためにA
rレーザーの514.5nmの発振線を使い、2分割した
光は光路が正確に同じになるように調整し、基板への入
射角度は15°に設定する。Arレーザー出力およそ1
0mWで上述の作成条件下においておよそ30秒〜1.5
分というオーダーの時間である。その後直ちに高圧水銀
ランプを用い、およそ19mWで2分間照射する。
【0219】作成した人工格子を偏光顕微鏡下で観察す
るとステージの回転にともない全体の明るさが変化する
が、これは材料系に含まれる液晶がある方向性をもって
配向しているためである。また1000倍程度の高倍率
で観察すると細かな格子縞が見られる。
【0220】He−Neレーザーの赤色光を、偏光板を
通して試料に入射させ、p及びs偏光の各々の光に対して
回折効率を測定するとpが優勢であり、その比率はおよ
そ160:1である。モノマーの添加、基板表面のIT
Oによるコーティング、及び前段の紫外光照射のいずれ
も行わない場合の52:1、モノマーの添加のみを行っ
た場合の169:1、ITOによるコーティングのみを
行った場合の101:0、及び前段の紫外光照射のみを
行った場合の102:1のいずれの方法とも異なるp偏
光特性の回折格子を形成できる。
【0221】なお、発明の実施の形態1〜8を通じてこ
こには主としてp偏光が優先となるものを例に取り上
げ、各々の方法がその制御に有効であることを示してき
たが、用いる材料を変えることによりs偏光が優勢な回
折格子を作成しうることはもちろんである。
【0222】さらに、実施例としては外界からなんらの
作用も及ぼさない状態での光の回折効率にのみ着目して
説明を行ったが、液晶材料を含有していることからもわ
かるように、これらの回折格子に電界をかける(例え
ば、導電性を有する基板間に形成する)ことにより液晶
分子の配列を操作し、ある特定偏波面の光の回折効率を
変化させうることも明らかであろう。
【0223】
【発明の効果】以上のように、本発明はある特定の偏光
成分が優先的に回折される回折格子を提供するととも
に、その偏光性の優先度を制御すると言う全く新しい手
法を提供する。
【0224】樹脂原料主成分にアクリレートモノマー、
ジアクリレートモノマー、メタクリレートモノマーまた
はジメタクリレートモノマーのいずれか、又は複数種類
を添加することによりP偏光優先性をさらに強める、又
は逆に弱めることができる。
【0225】また、無アルカリガラスの表面状態の改
質、例えば薄膜材料を用いてガラス表面を被覆すること
により基板材料としての物性はガラス単体の場合とはま
ったく異なるものとすることができ、回折格子の偏光優
先性の度合を制御できる。
【0226】さらに、この作成プロセスを改良し、レー
ザー光の2分割干渉照射に先立って紫外光を短時間照射
する工程を追加することにより、その偏光性優勢の度合
を制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工格子の断面概略図
【図2】レーザー光の2分割干渉照射用の光学系の構成
【図3】フィルター(BSM18)の光透過特性を示す図
【図4】フィルター(U330)の光透過特性を示す図
【符号の説明】
1 格子構造 2 偏波面依存性を有する部分を含む領域 3 基板 11 レーザー 12 コリメート用レンズ系 13 ハーフミラー 14 ミラー 15 被処理物

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数領域の繰り返し構造を有し、前記複数
    の領域は各々異なる屈折率を有し、前記屈折率差により
    光の回折を生ぜしめ、かつ前記複数の領域のうちある1
    種類の領域内には光の散乱能が偏波面依存性を有する部
    分が存在することにより、入射光のある特定の偏波成分
    を優先的に直進させるか、または、前記入射光の進行方
    向に対してある特定の角度を有する方向に出射する機能
    を有することを特徴とする3次元人工格子構造素子。
  2. 【請求項2】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系に、
    アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマー、メタ
    クリレートモノマーまたはジメタクリレートモノマーの
    いずれか、又は複数種類を添加することにより特定の偏
    光優先性を制御することを特徴とする請求項1に記載の
    3次元人工格子構造素子の作成方法。
  3. 【請求項3】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系を用
    い、薄膜材料により被覆された基板上に作成することに
    より特定の偏光優先性を制御することを特徴とする請求
    項1に記載の3次元人工格子構造素子の作成方法。
  4. 【請求項4】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系を用
    い、前記特定波長の光を2分割し、試料作成位置におい
    て干渉により縞を形成するように照射することによる格
    子構造の形成に先立って紫外光を照射することにより特
    定の偏光優先性を制御することを特徴とする請求項1に
    記載の3次元人工格子構造素子。
  5. 【請求項5】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系に、
    アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマー、メタ
    クリレートモノマーまたはジメタクリレートモノマーの
    いずれか、又は複数種類を添加した材料系を用い、か
    つ、薄膜材料により被覆された基板上に作成することに
    より特定の偏光優先性を制御することを特徴とする請求
    項1に記載の3次元人工格子構造素子の作成方法。
  6. 【請求項6】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系に、
    アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマー、メタ
    クリレートモノマーまたはジメタクリレートモノマーの
    いずれか、又は複数種類を添加した材料系を用い、か
    つ、格子構造の形成に先立って紫外線を照射する、こと
    により特定の偏光優先性を制御することを特徴とする請
    求項1に記載の3次元人工格子構造素子の作成方法。
  7. 【請求項7】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系を用
    い、薄膜材料により被覆された基板上に作成し、かつ、
    格子構造の形成に先立って紫外線を照射する、ことによ
    り特定の偏光優先性を制御することを特徴とする請求項
    1に記載の3次元人工格子構造素子の作成方法。
  8. 【請求項8】エネルギーの付与により重合反応が進行し
    分子量が増大する物質と、ある波長領域の光を吸収しう
    る物質を主成分とする感光性樹脂材料、及び光学的異方
    性を有する物質とからなる材料系を用い、用いる光に対
    して高い透過率を有する基体上にまたは基体間に前記材
    料系を塗付し、前記波長領域内のある特定波長の光を2
    分割し、試料作成位置において干渉により縞を形成する
    ように照射し、異なる屈折率を有する領域の繰り返し構
    造を作成する方法であって、 前記感光性樹脂材料を構成するための樹脂原料主成分と
    しての多官能ポリエステルアクリレートと、2官能アク
    リレートと、液晶と、重合開始剤とからなる材料系に、
    アクリレートモノマー、ジアクリレートモノマー、メタ
    クリレートモノマーまたはジメタクリレートモノマーの
    いずれか、又は複数種類を添加した材料系を用い、薄膜
    材料により被覆された基板上に作成し、かつ、格子構造
    の形成に先立って紫外線を照射する、ことにより特定の
    偏光優先性を制御することを特徴とする請求項1に記載
    の3次元人工格子構造素子の作成方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000033122A1 (fr) * 1998-11-27 2000-06-08 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Photo-illuminateur polarise, affichage d'image, terminal d'information portatif, affichage tete haute, procede de production d'un dispositif optique de diffraction, procede de production d'un photo-illuminateur polarise et procede de production d'un affichage d'image

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WO2000033122A1 (fr) * 1998-11-27 2000-06-08 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Photo-illuminateur polarise, affichage d'image, terminal d'information portatif, affichage tete haute, procede de production d'un dispositif optique de diffraction, procede de production d'un photo-illuminateur polarise et procede de production d'un affichage d'image

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