JPH10221027A - ビデオ式非接触伸び計 - Google Patents

ビデオ式非接触伸び計

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JPH10221027A
JPH10221027A JP2066897A JP2066897A JPH10221027A JP H10221027 A JPH10221027 A JP H10221027A JP 2066897 A JP2066897 A JP 2066897A JP 2066897 A JP2066897 A JP 2066897A JP H10221027 A JPH10221027 A JP H10221027A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的簡単な構成のもとに、伸びの計測中に
試料がカメラに対して前後方向に移動しても、その影響
を受けることなく正確に試料の伸びを計測することので
きるビデオ式非接触伸び計を提供する。 【解決手段】 試料表面に付された2箇所マークM1,
M2の前後方向への移動量を非接触のもとに計測し、そ
の計測結果に基づき、ビデオカメラ1からの映像信号か
ら得られる各マークM1,M2の伸びの計測方向への移
動量の計測結果を補正したうえで、これら両者の差から
伸びを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料表面に付され
た2箇所のマークをビデオカメラで撮像した映像信号を
用いて、そのマーク間における試料の伸びを非接触のも
とに計測するビデオ式非接触伸び計に関する。
【0002】
【従来の技術】引張試験時等における試料の伸びを非接
触のもとに計測する伸び計として、ビデオカメラを用い
た、いわゆるビデオ式非接触伸び計が知られている。こ
のビデオ式非接触伸び計においては、試験の開始に先立
って試料表面に2つの標点に相当する2箇所にマークを
付しておき、これらのマークを試験中においてビデオカ
メラで撮像して得られる映像信号から各マークの刻々の
位置を認識して各マークの刻々の移動量を計測して、そ
の各移動量の差からマーク間の試料の伸びを刻々と算出
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、各種材料の
引張試験においては、一般に、その材料の弾性率を正確
に求めることは極めて重要である。このような弾性率を
求めるためには、試料に引張負荷を与えた当初から塑性
変形を生じるまでの、荷重の小さい領域である弾性領域
内における伸びを正確に計測する必要がある。
【0004】ここで、このような引張試験においては、
一般には材料試験機が用いられ、上下の掴み具に試料
(試験片)の両端を把持した状態で、各掴み具の間隔を
拡げることによって試験片に引張負荷を付与する。この
ような試験においては、通常、試験片の形状を極めて高
精度に加工したり、精密に各掴み具の中心を通る軸線上
に試験片を位置させた状態で把持するといったことには
特に考慮が払われないので、試験開始直後に試験片が引
張軸方向以外の方向に移動することがしばしば生じる。
このようなずれを吸収するため、例えば上側の掴み具が
クロスヘッドに取り付けられて、テーブルに固定された
下側の掴み具に対して上方に変位することで引張負荷を
与える材料試験機においては、上側の掴み具とクロスヘ
ッドとの間にユニバーサルジョイント等の調心要素ない
しは移動要素を介在させることが一般的である。
【0005】このような構造の材料試験機を用いて、試
験片の伸びを計測するに当たり、伝統的に用いられてい
る接触式の伸び計を用いる場合には、試験片が引張軸以
外の方向に移動しても、伸びの計測結果には全く影響が
及ばない。しかし、ビデオ式非接触伸び計を用いた非接
触の伸びの計測にあっては、このような引張軸以外の方
向への試験片の移動のうち、左右方向への移動は、ビデ
オカメラによる2次元画像の面内移動として容易に把握
して補正に供することができるが、ビデオカメラに対し
て前後方向への移動は、以下に示すように無視すること
はできない。
【0006】すなわち、説明の簡略化のため、図10に
示すように、ビデオカメラの像面12に単一のレンズ1
1で試験片像が結像されるものとし、試験片Wの表面か
らレンズ11までの距離をaとし、レンズ11から像面
12までの距離をbとする。試験片Wが前方に1mm移
動したとすると、aが50mmであればaは2%の変化
であって、単純に倍率がb/aであれば、像面12上で
の物体の大きさも2%変化することになる。試験片Wの
弾性領域が伸び1%程度までであれば、この領域内にお
ける試験片Wの前後方向への移動による誤差成分は実際
の信号成分の2倍程度にもおよび、到底無視することは
できない。このような誤差を生じさせないためには、上
下の掴み具のいずれにもユニバーサルジョイント等の前
後方向への移動要素を介在させず、かつ、試験片Wを厳
密に上下の掴み具の中心線上に位置するようにチャッキ
ングする必要があって、このような構造ないしは作業は
簡便な操作を目的とする上では現実的ではない。
【0007】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、比較的簡単な構成により、掴み具にユニバーサ
ルジョイント等の軸方向以外の移動要素が含まれている
通常の材料試験機を用いて引張試験を行う等によって、
試験中に試料がカメラに対して前後方向に移動しても、
その影響を受けることなく正確に試料の伸びを計測する
ことのできるビデオ式非接触伸び計の提供を目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のビデオ式非接触伸び計は、試料表面に付さ
れた2箇所のマークをビデオカメラによって撮像して得
られる映像信号から、各マークの位置を認識してその各
移動量を計測し、その各移動量の差から各マーク間の刻
々の伸びを求める演算手段を備えた伸び計において、ビ
デオカメラに対する各マークの前後方向への移動量を非
接触のもとに計測する前後移動情報計測手段と、その前
後移動情報計測手段による計測結果に基づき、上記映像
信号を用いた各マークの移動量計測結果を補正する補正
演算手段を有し、演算手段は、その補正後の各マークの
移動量から伸びを算出することによって特徴づけられ
る。
【0009】ここで、本発明において、上記した前後移
動情報計測手段の具体的構成として、図1に例示するよ
うに、試料Wの側方に配置されて当該試料Wの側面の像
をビデオカメラ1の視野内に導くミラー2と、そのビデ
オカメラ1からの映像信号のうち、試料の側面像に該当
する信号を用いて、各マークM1,M2の位置を認識し
てその各前後方向への移動量を算出する前後移動量演算
手段(側面像演算部)52を設ける構成を挙げることが
できる(請求項2)。
【0010】また、本発明における前後移動情報計測手
段の他の具体的構成として、図7に例示するように、試
料Wに付された2箇所のマークM1,M2の所期位置近
傍にそれぞれスポット光を照射する照射光学系71,7
2 と、ビデオカメラ1の映像信号から各スポット光像
を認識して、その各スポット光像の伸びの計測方向への
移動量を計測するスポット光像移動量演算手段(スポッ
ト光像演算部)82と、その各スポット光像の移動量の
計測結果を、各スポット光の照射位置における試料Wの
前後方向への移動に移動に伴う映像信号上での伸び計測
方向への移動量に換算する換算手段83を設ける構成を
挙げることができる(請求項3)。
【0011】本発明は、引張試験時等において試料がビ
デオカメラに対して前後方向(x方向)に移動したと
き、それに伴う2箇所のマークのx方向への移動情報を
別途非接触のもとに計測し、その計測結果を用いて、各
マークを正面から撮像した映像信号を用いた各マークの
伸びの計測方向(z方向)への移動量の計測結果を補正
することにより、試料のx方向への移動に伴う伸びの計
測誤差を解消しようとするものである。
【0012】すなわち、試料を正面から撮像した画像に
おいて、試料をx方向に移動させたとき、ビデオカメラ
の光軸上の点のz方向への移動は生じないが、対象とす
る点が光軸から遠ざかるほど、その点の画像上に置ける
z方向への移動量が増大するとともに、その移動の向き
は光軸を挟んでその両側で逆となる。従って、実際の計
測に先立ち、例えば試料ないしはそれに相当する治具を
x方向にのみ既知量ずつ移動させたとき、ビデオカメラ
の映像信号から認識されるその試料ないしは治具のz方
向各位置におけるz方向への位置の移動量を求めて記憶
しておくことにより、試験の進行に伴う各マークのz方
向への移動に対し、ビデオカメラからの映像信号からそ
の刻々の位置の認識結果と、上記の較正動作において記
憶した内容、および、別途計測されるx方向への各マー
クの移動量を用いることにより、ビデオカメラの映像信
号を基に計測した各マークのz方向への移動量を補正す
ることができる。
【0013】請求項2の発明においては、試料Wの側面
像をミラー2を介してビデオカメラに導き、このビデオ
カメラ1により試料Wの正面像と側面像とを併せて撮像
することにより、正面像から各マークM1,M2のz方
向への移動量を、側面像から各マークM1,M2のx方
向への移動量をそれぞれ計測することができ、ミラー2
以外に各マークM1,M2の前後方向への移動量を計測
するための特別な光学系等を用いることなく、所期の目
的を達成できる。
【0014】また、請求項3の発明においては、試料W
の表面に付されたマークM1,M2の初期位置近傍にそ
れぞれスポット光を照射したとき、図7に示すように、
試料Wの前後方向に移動したときに限り、その各スポッ
トの試料表面への照射位置が引張方向に移動することを
利用し、試料Wの正面像を撮像するビデオカメラ1から
の映像信号を用いて、各スポット光像の引張方向への移
動量を計測し、その計測結果に基づき、各スポット光照
射位置、つまり各マークM1,M2の初期位置におけ
る、試料の前後方向への移動に伴う映像信号上での伸び
の計測方向への移動量、従って前後動による誤差成分量
を求めることができる。
【0015】この場合、各スポットの照射位置は試験の
進行に伴う試料Wの伸びに追随せずに固定されれている
が、試料Wのx方向への移動は、試験開始当初において
顕著に現れ、しかも、引張試験において特に重要なのは
試料Wが弾性領域にあるときの伸びであることから、以
上のように各マークM1,M2の初期位置でのx方向へ
の移動量に伴う誤差成分量を求めて補正に供することに
より、ほぼ正確な補正を行うことができる。すなわち、
試料Wは、試験開始当初にある程度の荷重が作用するま
でにx方向に移動ないしは傾斜するものの、その移動な
いしは傾斜は、各マークM1,M2が殆どz方向に移動
しない時点で止まり、以降は殆どx方向に移動ないしは
傾斜しない。従って、x方向への移動の計測点は、伸び
の進行に伴う各マークM1,M2のz方向への移動を追
尾することなく、試験開始当初の各マークM1,M2の
位置で固定しても、さほど問題はない。
【0016】ここで、本発明における前後移動情報計測
手段の具体的構成の他の例としては、請求項2における
ミラー2に代えて、試料Wの側面を撮像するためのビデ
オカメラを別途配置して、その側面の映像信号から各マ
ークM1,M2の前後方向への移動量を計測する構成、
および、試料Wの2箇所のマークM1,M2の初期位置
に対して所定の角度をもってスポット光を照射するとと
もに、その各反射光をそれぞれに対応するPSD(ポジ
ションセンシティブデテクタ)等のセンサで受け、その
入射位置の変化から各スポット光の照射位置の前後方向
への移動量を求める、という構成を挙げることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態の説明
図であり、(A)はその全体構成を示す模式図で、
(B)は試料Wの引張方向(z方向)に沿って上から見
た状態で示す試料Wと撮像光学系との関係を表す模式図
である。
【0018】試料Wはその両端が材料試験機の上下の掴
み具G1,G2に把持された状態で、上方の掴み具G1
が図1(A)において上方に移動することによって、z
方向への引張負荷が付与される。この試料Wには、引張
方向に所定の間隔を開けた2箇所に、その正面側および
一方の側面側の双方から視認可能なマークM1およびM
2が付されている。このようなマークM1,M2は、例
えばある程度以上の厚みのあるマーク用シール、もしく
は表面側に突出する凸部を有するマーク用シール等を試
料Wの正面側に貼り付けたり、あるいは通常の薄いマー
ク用シールを正面と側面との陵線を跨いで貼り付ける等
によって形成することができる。
【0019】試料Wの正面側にはビデオカメラ1が配設
されている。また、試料Wの側面側にはミラー2が配設
されている。このミラー2は、試料Wとビデオカメラ1
とを結ぶ線に対して反射面が45°の角度を持つように
設置されており、試料Wの側面像をビデオカメラ1に導
くことができるようになっている。これにより、ビデオ
カメラ1は、図2にそのカメラ1からの映像信号を画像
化した例を模式的に示すように、その視野内に試料Wの
正面像と、ミラー2を介した試料Wの側面像の双方を入
れて、これらを同時に撮像することができる。
【0020】ビデオカメラ1からの映像信号は、アンプ
3で増幅された後、A−D変換器4でデジタル化されて
刻々と制御装置5に取り込まれる。制御装置5は、実際
にはコンピュータとその周辺機器によって構成され、コ
ンピュータに書き込まれているプログラムに従った動作
を行うが、図1(A)では、そのプログラムに従う機能
ごとにブロック化して示している。すなわち、制御装置
5は、正面像演算部51、側面像演算部52、補正演算
部53および伸び演算部54を主体として構成されてお
り、この制御装置5には、伸び演算部54による演算結
果を表示するための表示装置6が接続されている。
【0021】前記したA−D変換器4によってデジタル
化されたビデオカメラ1からの映像データは、制御装置
5の正面像演算部51および側面像演算部52の双方に
供給される。正面像演算部51は、ビデオカメラ1から
の映像データに含まれる試料Wの正面像情報から、2箇
所のマークM1,M2それぞれのz方向への刻々の位置
を認識し、その認識結果を刻々と補正演算部53に供給
する。一方、側面像演算部52は、ビデオカメラ1から
の映像データに含まれる試料Wの側面像情報から、2箇
所のマークM1,M2の前後方向(x方向、ビデオカメ
ラ1に対して接近・離隔する方向)への刻々の位置を認
識し、その認識結果を同じく刻々と補正演算部53に供
給する。ここで、ビデオカメラ1においては、試料Wの
正面と、ミラー2を介しての側面の双方にピントを合わ
せることはできないが、焦点深度が十分深ければ、その
映像データからこれら双方の物体を認識することが可能
であるし、また、位置のないしは移動量の計算に際し
て、微小時間経過前後の映像データの相互相関関数など
を用いれば、多少ピントが合っていなくとも像の重心の
位置ないしは移動として計算できるので、コントラスト
さえついていれば、正面像および側面像の双方から十分
に各マークM1,M2の刻々の位置の認識が可能であ
る。
【0022】補正演算部53では、後述する較正作業に
よってあらかじめ格納されている補正演算式ないしは補
正テーブル等を用いて、正面像演算部51により求めら
れたマークM1,M2のz方向への刻々の位置情報を、
側面像演算部52により求められたマークM1,M2の
x方向への刻々の位置情報によって補正し、その補正結
果を伸び演算部54に供給する。伸び演算部54では、
補正後の各マークM1,M2のz方向への刻々の位置情
報に基づくそれぞれの移動量、つまり補正後のz方向へ
の各マークM1,M2の移動量の差を算出し、その算出
結果を当初のマークM1,M2間の距離で除した値に1
00を乗じることにより、伸び(%)を算出して、別途
供給される荷重計測データとともに表示装置6に供給し
て、例えば荷重−伸び(%)曲線を表示させる。
【0023】次に、補正演算部53による各マークM
1,M2のz方向位置の補正演算の方法について詳述す
る。計測に先立ち、例えば図3(A)に正面図を、同図
(B)に側面図を示すように、z方向に直交する溝gi
が互いに等間隔で形成された治具Jを用いて、システム
を較正する。すなわち、図3のような治具Jを試料Wの
伸びの計測位置に配置することにより、その治具Jの正
面像および側面像を同時に撮像する。このときの映像デ
ータを画像化すれば図4に例示するようになるが、この
映像データのうち、正面像における各溝gi のデータ領
域をFi とし、そのz方向の各位置をそれぞれzi とす
るとともに、側面像における各溝gi のデータ領域をS
i とし、そのx方向への各位置をxi として、それぞれ
正面像演算部51および側面像演算部52で認識する。
【0024】その状態から、治具Jを前後に移動させ、
同様にそれぞれのデータ領域Fi およびSi の位置を認
識する。治具Jをカメラ1に近づく向きに移動させたと
き、Si は左方向(+x方向)に移動し、Fi はそのz
方向への位置に応じた量だけ上下(±z方向)に移動す
る。この移動量をそれぞれΔxi ,Δzi とすると、図
5にグラフで例示するように、Δzi /Δxi と、zi
とから、治具Jのz方向各位置での、x方向への移動時
における正面像のz方向への移動量の関係を表す式の傾
きαとz軸上との交点z0 を求めることができる。すな
わち、側面像から求めたz方向任意の位置zi における
物体のx方向への移動量Δxi から、正面像上での位置
zにおけるz方向への移動量Δzi を求めるための補正
式を、 Δzi /Δxi =α(z−z0 ) ・・(1) として求めることができる。このようにして得られた補
正式は、補正演算部53に記憶される。
【0025】さて、実際の試料Wの伸びの計測に際し
て、補正演算部53では、側面像演算部52からの各マ
ークM1,M2の刻々のx方向への位置情報から求めら
れる各マークM1,M2の移動量ΔxM1, ΔxM2と、正
面像演算部51からの各マークM1,M2のz方向への
位置情報zM1, M2、並びに上記(1)式で表される補
正式を用いて、試料Wの前後方向への移動に伴う正面像
における各マークM1,M2のz方向への移動量(誤差
成分)ΔzM1, ΔzM2を算出する。そして、その算出結
果ΔzM1, ΔzM2を、正面像演算部51からの各マーク
M1,M2のz方向への刻々の位置情報zM1, M2を元
に算出された各マークM1,M2のz方向への見かけ上
の移動量ΔZM1, ΔZM2′から減算することにより、
試料Wの前後方向への移動による誤差が除かれた各マー
クM1,M2のz方向への移動量ΔZM1, ΔZM2を求め
ることができる。
【0026】図6は、試験の進行に伴う一方のマークM
1についての移動量データを示すグラフであり、正面像
演算部51からのデータのみで得られるマークのz方向
への移動量データΔZM1′には、試料Wの前後方向への
移動に伴う誤差成分ΔzM1が含まれており、この誤差成
分ΔzM1はΔxM1を用いて算出することができ、その誤
差成分ΔzM1をΔZM1′から減算することにより、真の
移動量を表すデータΔZM1を求めることができる。
【0027】以上のようにして補正された後の各マーク
M1,M2のz方向への移動量ΔZ M1, ΔZM2は伸び演
算部54に供給され、伸び演算部54では、これら両者
の差(ΔZM1−ΔZM2)を伸び量として、前記した計算
によって試料Wの伸び(%)を求める。このようにして
求められた伸び(%)は、従って、試料の前後方向への
移動に伴う誤差を含まない正確な値となる。
【0028】次に、本発明の他の実施の形態について述
べる。図7はその全体構成図である。この例では、先の
実施の形態におけるミラー2に代えて、試料Wに付され
た2箇所のマークM1,M2の初期位置近傍に、それぞ
れスポット光を照射するための2組の光源とレンズから
なるスポット光照射光学系71および72を配置した点
においてハード的な相違がある。各光源は、例えばLE
DあるいはLDとすることができる。
【0029】この2組のスポット光照射光学系71,7
2は、図8に側面図で示すように、ビデオカメラ1と共
通の鉛直テーブル73に支持され、例えばマイクロメー
タ74の操作によってビデオカメラ1とともに既知量だ
け試料Wに対して接近・離隔する方向(x方向)に移動
し得るようになっている。また、鉛直テーブル73に
は、各照射光学系71,72からのスポット光の照射位
置を試料Wの表面上で上下方向(z方向)に調整するた
めの調整機構75、76が設けられている。
【0030】ビデオカメラ1は、試料Wの各マークM
1,M2とともに各スポット光像を撮像して、その映像
信号は先の実施の形態と同様にアンプ3およびA−D変
換器4を介して映像データとして制御装置8に取り込ま
れる。
【0031】この例において制御装置8は、ビデオカメ
ラ1からの映像データから各マークM1,M2の刻々の
z方向位置を認識する、先の例における正面像演算部5
1と同等の機能を有するマーク像演算部81と、同じ映
像データから2つのスポット光像の刻々のz方向位置を
認識するスポット光像演算部82と、そのスポット光像
演算部82からのデータを、各スポット光照射位置にお
ける試料Wのx方向移動量に伴う映像データ上でのz方
向への移動量に換算する換算部83と、その換算部83
からのデータを用いて、マーク像演算部81からのデー
タを補正する補正演算部84、および、補正後のデータ
を用いて試料Wの伸び(%)を算出する伸び演算部85
を主たる構成要素とし、伸び演算部85からのデータは
先の例と同等の表示装置6に供給される。
【0032】換算部83は、スポット光像演算部82に
より求められた2つのスポット光像の刻々のz方向への
位置情報を、以下の原理によってx方向への移動に伴う
z方向への誤差成分量に換算する。
【0033】図9に示すように、簡単のためにビデオカ
メラ1を1個のレンズ11と像面12からなる単レンズ
結像系としたとき、当初のマークM1上にスポット光を
照射している状態において、試料Wがビデオカメラ1側
に、つまりx方向に平行移動したとき、マークM1は点
AからBへ移動し、スポット光の照射位置は点AからC
へ移動する。このとき、像面12上ではマークM1像は
A′からB′へ、スポット光像はA′からC′へ移動す
る。
【0034】A′B′間の距離をΔzM とし、スポット
光の入射角度をθとし、A′C′間の距離をΔzS とす
ると、図7より、
【0035】
【数1】
【0036】となる。上式から変数xを消去し、ΔzM
とΔzS の関係を求めると、
【0037】
【数2】
【0038】となる。この関係は、他方のマークM2と
その上に照射されるスポット光についても、全く同様な
ことが言える。
【0039】システムの較正時において、まず、試料W
の2箇所のマークM1,M2にそれぞれスポット光を照
射するように調整機構75,76を操作した後、鉛直テ
ーブル73をx方向に移動させる。この移動前後の映像
データから、前記したマーク像の移動量ΔzM と、スポ
ット光像の移動量ΔzS を計測することができる。この
計測結果から、上記(2)式の各マークM1,M2ごと
の係数kを求めることができる。このようにして求めら
れた各係数は、換算部83に記憶される。
【0040】ここで、この実施の形態の利点は、互いに
隣接配置することのできるビデオカメラ1とスポット光
照射光学系71,72を用いた構成により、これらを共
通の鉛直テーブル73等に支持して、試料Wに対して平
行移動させることが容易である点であり、これにより、
システムの較正を、先の例のような治具等を用意するこ
となく、容易に行うことができる。
【0041】さて、実際の計測に際しては、スポット像
光演算部52からの各スポット光像の刻々のz方向位置
情報に基づく各スポット光像のz方向移動量ΔzS1, Δ
S2が、換算部83に記憶されている(2)式により、
それぞれ試料Wのx方向への移動に伴う映像データ上で
の各スポット光照射位置におけるz方向への移動量、つ
まり試料Wの前後動により映像データ上に現れる誤差成
分量ΔzM1, ΔzM2に換算され、その各値が補正演算部
84に供給される。この補正演算部84では、マーク像
演算部81からの各マークM1,M2の刻々のz方向位
置情報に基づく各マークM1,M2のz方向への移動量
ΔZM1′,ΔZM2′から、それぞれ上記の誤差成分量Δ
M1, ΔzM2を減算することにより、試料Wの前後方向
への移動に伴う誤差が除かれた各マークM1,M2のz
方向への移動量ΔZM1, ΔZM2を求める。
【0042】このようにして補正された各マークM1,
M2のz方向への移動量ΔZM1, ΔZM2は伸び演算部8
5に供給され、先の例において示した計算によって試料
Wの伸び(%)が求められる。このようにして求められ
た伸び(%)は、前記したように、試料Wのx方向への
移動が試験開始当初において顕著に現れ、その後は殆ど
移動しないこと、特に高精度の伸びの計測が求められる
のは材料の弾性領域である試験開始当初であること等か
ら、試験の進行に伴って各マークM1,M2の位置が変
化しても、スポット光の照射位置である各マークM1,
M2の初期位置でのx方向への移動量に基づいて得られ
た誤差成分量ΔzM1, ΔzM2の減算によって十分に正確
な値となる。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、引張試
験時等において試料がビデオカメラに対して前後方向に
移動したとき、それに伴う試料の2箇所のマークの動方
向への移動情報をそれぞれ非接触のもとに計測し、その
計測結果に応じて、ビデオカメラの映像信号に基づく各
マークの引張方向への移動量を補正した上で、各マーク
間の伸びを算出するから、移動要素を伴う掴み具を備え
た通常の材料試験機によって、特に掴み具による把持位
置を正確に位置決めしない状態で試料をチャッキングし
て引張負荷を与えても、試料の前後方向への移動に伴う
誤差を含まない正確な伸びの計測が可能となった。
【0044】また、試料の前後方向移動情報の計測に、
ミラーを用いて試料の側面像を正面像とともにビデオカ
メラで撮像する方式を採用すれば、ハード的にはミラー
のみを追加することによって、上記の効果を達成するこ
とができる。
【0045】一方、試料の前後方向移動情報の計測に、
2つのスポット光を照射して、ビデオカメラの映像信号
からそのスポット光像の移動量を計測する方式を採用し
た場合には、システムの較正に際して特殊な治具を用い
る必要がなく、被測定試料をそのまま用いて容易に較正
を行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成の説明図で、(A)
はその全体構成を示す模式図、(B)は試料Wの引張方
向(z方向)に沿って上から見た状態で示す試料Wと撮
像光学系との関係を表す模式図
【図2】図1の実施の形態におけるビデオカメラ1から
の映像信号を画像化した例を示す模式図
【図3】図1の実施の形態の較正に用いられる治具Jの
一例の正面図(A)および側面図(B)
【図4】図3の治具Jを装着した状態におけるビデオカ
メラ1からの映像信号を画像化したときの模式図
【図5】図3の治具Jを用いて得られるz方向各位置に
おけるx方向への移動量Δxiとそれに伴う正面像のz
方向への移動量Δzi の関係を示すグラフ
【図6】図1の実施の形態における正面像演算部51に
より得られるマークM1の移動量ΔZM1′と、それに含
まれる誤差成分ΔzM1、および補正後の移動量ΔZM1
関係を示すグラフ
【図7】本発明の他の実施の形態の全体構成図
【図8】その各照射光学系71,72とビデオカメラ1
の支持状態を示す側面図
【図9】図7の実施の形態における換算部83での換算
原理の説明図
【図10】ビデオカメラの映像信号から求めた伸びに及
ぼす、試料の前後方向への移動の影響の説明図
【符号の説明】
1 ビデオカメラ 2 ミラー 5 制御装置 51 正面像演算部 52 側面像演算部 53 補正演算部 54 伸び演算部 71,72 スポット光照射光学系 73 鉛直テーブル 8 制御装置 81 マーク像演算部 82 スポット光像演算部 83 換算部 84 補正演算部 85 伸び演算部 W 試料 M1,M2 マーク

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面に付された2箇所のマークをビ
    デオカメラによって撮像して得られる映像信号から、各
    マークの位置を認識してその刻々の各移動量を計測し、
    その各移動量の差から各マーク間の刻々の伸びを求める
    演算手段を備えた伸び計において、上記ビデオカメラに
    対する各マークの前後方向への移動量を非接触のもとに
    計測する前後移動情報計測手段と、その前後移動量計測
    手段による計測結果に基づき、上記映像信号を用いた各
    マークの移動量計測結果を補正する補正演算手段を有
    し、上記演算手段は、その補正後の各マークの移動量か
    ら伸びを算出することを特徴とするビデオ式非接触伸び
    計。
  2. 【請求項2】 上記前後移動情報計測手段が、試料の側
    方に配置されて当該試料の側面の像を上記ビデオカメラ
    の視野内に導くミラーと、そのビデオカメラからの映像
    信号のうち、試料の側面像に対応する信号を用いて、各
    マーク位置での試料の前後方向への移動量を算出する前
    後移動量算出手段によって構成されていることを特徴と
    する、請求項1に記載のビデオ式非接触伸び計。
  3. 【請求項3】 上記前後移動情報計測手段が、試料に付
    された2箇所のマークの各初期位置近傍に対してそれぞ
    れスポット光を照射する照射光学系と、上記ビデオカメ
    ラの映像信号から各スポット光像を認識して、その各ス
    ポット光像の伸びの計測方向への移動量を計測するスポ
    ット光像移動量演算手段と、その各スポット光像の移動
    量計測結果を、各スポット光照射位置における試料の前
    後方向への移動に伴う映像信号上での伸び計測方向への
    移動量に換算する換算手段により構成されていることを
    特徴とする、請求項1に記載のビデオ式非接触伸び計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009216494A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Shimadzu Corp 標線位置測定装置、標線位置測定用プログラム、および標線マーク
CN111829876A (zh) * 2020-06-30 2020-10-27 安钢自动化软件股份有限公司 一种应用于螺纹钢断后延伸率测量的视觉设备

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