JPH10219390A - 高生産性80キロ鋼およびその製造方法 - Google Patents
高生産性80キロ鋼およびその製造方法Info
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- JPH10219390A JPH10219390A JP10232897A JP10232897A JPH10219390A JP H10219390 A JPH10219390 A JP H10219390A JP 10232897 A JP10232897 A JP 10232897A JP 10232897 A JP10232897 A JP 10232897A JP H10219390 A JPH10219390 A JP H10219390A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高生産性80キロ鋼およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.10〜0.20%、
Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.0
%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.02
%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005〜
0.017%、Al:0.005〜0.060%、N:
0.007〜0.030%、更に、強度靱性の要求に応
じて、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、C
r:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1
%以下を1種または2種以上を含み、残部がFeおよび
不可避的不純物からなる高生産性80キロ鋼、及び、同
一組成を有する鋼を1200〜1300℃に加熱後、9
50℃以上の仕上げ温度で熱間圧延し、必要に応じて、
450〜650℃で焼戻し熱処理することを特徴とする
前記鋼の製造方法。
供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.10〜0.20%、
Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.0
%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.02
%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005〜
0.017%、Al:0.005〜0.060%、N:
0.007〜0.030%、更に、強度靱性の要求に応
じて、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、C
r:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1
%以下を1種または2種以上を含み、残部がFeおよび
不可避的不純物からなる高生産性80キロ鋼、及び、同
一組成を有する鋼を1200〜1300℃に加熱後、9
50℃以上の仕上げ温度で熱間圧延し、必要に応じて、
450〜650℃で焼戻し熱処理することを特徴とする
前記鋼の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種用途の構造用
の高生産性80キロ鋼およびその製造方法に関するもの
である。なお、本発明の高生産性80キロ鋼は主とし
て、厚板、熱延鋼板についてであるが、H形鋼、I形
鋼、山形鋼等の形鋼、線・棒鋼、鋼管等としても適用可
能である。
の高生産性80キロ鋼およびその製造方法に関するもの
である。なお、本発明の高生産性80キロ鋼は主とし
て、厚板、熱延鋼板についてであるが、H形鋼、I形
鋼、山形鋼等の形鋼、線・棒鋼、鋼管等としても適用可
能である。
【0002】
【従来の技術】橋梁、建築、建設機械、タンク、鉄塔用
等各種用途の80キロ鋼は、通常焼入れ、焼戻し熱処理
により製造され、さらに最近では加工熱処理を活用した
直接焼入、焼戻し法でも製造されている。ただし、これ
らの製造法は、通常の加熱圧延工程に熱処理を加える必
要があり生産性が低いという問題を有している。また、
薄手の80キロ鋼では、たとえば、川鉄技報21巻1号
(1989),19〜25頁に記載されているように、
極端に低い圧延仕上温度で圧延率を高くすることによる
製造がなされている。ただし、この方法は、熱処理は不
要であるが、圧延効率が悪く生産性が低いという問題を
有している。
等各種用途の80キロ鋼は、通常焼入れ、焼戻し熱処理
により製造され、さらに最近では加工熱処理を活用した
直接焼入、焼戻し法でも製造されている。ただし、これ
らの製造法は、通常の加熱圧延工程に熱処理を加える必
要があり生産性が低いという問題を有している。また、
薄手の80キロ鋼では、たとえば、川鉄技報21巻1号
(1989),19〜25頁に記載されているように、
極端に低い圧延仕上温度で圧延率を高くすることによる
製造がなされている。ただし、この方法は、熱処理は不
要であるが、圧延効率が悪く生産性が低いという問題を
有している。
【0003】これに対し、VNの析出硬化を活用し、圧
延ままで高張力鋼を製造する方法が検討され、例えば、
特公平2−5814号公報では、VNによる高張力鋼の
製造方法が開示されているが、強度としては60キロレ
ベルである。さらに、特公平7−57883号公報では
VNによる80キロ鋼の製造が記載されているが、強度
80キロをだすために、直接焼入、焼戻し法による製造
方法が採用されており、生産性が低いという問題を有し
ている。
延ままで高張力鋼を製造する方法が検討され、例えば、
特公平2−5814号公報では、VNによる高張力鋼の
製造方法が開示されているが、強度としては60キロレ
ベルである。さらに、特公平7−57883号公報では
VNによる80キロ鋼の製造が記載されているが、強度
80キロをだすために、直接焼入、焼戻し法による製造
方法が採用されており、生産性が低いという問題を有し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、圧延ま
まで高靱性を有する80キロ鋼を製造するため、鋭意検
討した結果、次のことを明らかにした。すなわち、
C、Mnを多量添加し、更に、VNを多量に添加する成
分では圧延ままでは、粗粒フェライトとベイナイトの混
合組織となり、強度的に80キロを達成するが、靱性が
極端に低い。そこで、鋼中にTiNを生成することで
(TiNのピニング効果)粗粒フェライトが細粒化し、
靱性が向上する。ただし、この場合、TiにNが消費
される。そこで、多量のVNを得るために見合ったNを
確保するため、Nをさらに大幅に添加することが必要で
ある。
まで高靱性を有する80キロ鋼を製造するため、鋭意検
討した結果、次のことを明らかにした。すなわち、
C、Mnを多量添加し、更に、VNを多量に添加する成
分では圧延ままでは、粗粒フェライトとベイナイトの混
合組織となり、強度的に80キロを達成するが、靱性が
極端に低い。そこで、鋼中にTiNを生成することで
(TiNのピニング効果)粗粒フェライトが細粒化し、
靱性が向上する。ただし、この場合、TiにNが消費
される。そこで、多量のVNを得るために見合ったNを
確保するため、Nをさらに大幅に添加することが必要で
ある。
【0005】一方、Vと同時にNを添加することで鋼の
強度靱性を改善する技術は従来から知られている。例え
ば、特公昭39−2368号公報には、「バナジウム少
なくとも0.02%、窒素0.08%乃至0.24%、
炭素0.15%乃至0.50%、マンガン0.40%乃
至2.00%を含み、キルド鋼を生じるには不十分な量
の脱酸剤で処理して作ったことを特徴とする高力セミキ
ルド鋼」、また、特公昭48−13803号公報には、
「C:0.08〜0.20%、Si:0.20〜0.4
0%、Mn:1.0〜1.6%、Cr:0.05〜0.
35%、Mo:0.10〜0.60%、V:0.005
〜0.1%、N:0.004〜0.02%を含有し、最
終熱処理として890〜1000℃の加熱温度より10
00〜4500℃/hの冷却速度で焼ならしを行なうこ
とを特徴とする高温用低合金鋼」、さらには、特開昭6
1−130420号公報には、「C:0.05〜0.2
0%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.10〜
1.6%、V:0.03〜0.2%、N:0.009〜
0.02%を含有した鋼をフランジ形状に鍛造した後、
焼入れし、焼戻すことを特徴とする強靱性フランジ材の
製造法」等が示されている。
強度靱性を改善する技術は従来から知られている。例え
ば、特公昭39−2368号公報には、「バナジウム少
なくとも0.02%、窒素0.08%乃至0.24%、
炭素0.15%乃至0.50%、マンガン0.40%乃
至2.00%を含み、キルド鋼を生じるには不十分な量
の脱酸剤で処理して作ったことを特徴とする高力セミキ
ルド鋼」、また、特公昭48−13803号公報には、
「C:0.08〜0.20%、Si:0.20〜0.4
0%、Mn:1.0〜1.6%、Cr:0.05〜0.
35%、Mo:0.10〜0.60%、V:0.005
〜0.1%、N:0.004〜0.02%を含有し、最
終熱処理として890〜1000℃の加熱温度より10
00〜4500℃/hの冷却速度で焼ならしを行なうこ
とを特徴とする高温用低合金鋼」、さらには、特開昭6
1−130420号公報には、「C:0.05〜0.2
0%、Si:0.01〜0.6%、Mn:1.10〜
1.6%、V:0.03〜0.2%、N:0.009〜
0.02%を含有した鋼をフランジ形状に鍛造した後、
焼入れし、焼戻すことを特徴とする強靱性フランジ材の
製造法」等が示されている。
【0006】このいずれの発明においても、その特徴
は、VおよびNの添加であり、これによりVNを多量に
析出させ、結晶粒の細粒化と強化を図っている。VNは
溶解温度が低いために通常の焼準処理および焼入れ処理
による加熱時に溶解し、その後、空冷での冷却過程で析
出、あるいは焼入れ後の焼戻し過程で析出し、鋼の母材
の強靱化させる。しかしながら、上記した従来技術はV
Nの有効利用の観点から、窒化物を形成してしまうTi
添加をしないことが前提になっており、母材の機械的性
質を改善せしめるが、HAZ靱性に対しては結晶粒の粗
大化を招くために問題があった。
は、VおよびNの添加であり、これによりVNを多量に
析出させ、結晶粒の細粒化と強化を図っている。VNは
溶解温度が低いために通常の焼準処理および焼入れ処理
による加熱時に溶解し、その後、空冷での冷却過程で析
出、あるいは焼入れ後の焼戻し過程で析出し、鋼の母材
の強靱化させる。しかしながら、上記した従来技術はV
Nの有効利用の観点から、窒化物を形成してしまうTi
添加をしないことが前提になっており、母材の機械的性
質を改善せしめるが、HAZ靱性に対しては結晶粒の粗
大化を招くために問題があった。
【0007】例外として、特開昭56−127750号
公報には、「C:0.12〜0.25%、Mn:0.5
〜2.9%、V:0.05〜0.20%、Cu:0.0
5〜0.4%、Ni:0.1〜0.5%、Cr:0.0
5〜0.4%、Ti:0.005〜0.03%、N:
0.01〜0.03%に、Ca:0.0005〜0.0
070%、Mg:0.0005〜0.0070%の少な
くとも1種または2種を含有し、歪み時効脆化の少ない
構造用高張力鋼」として、V添加と同時にTiを添加す
る旨の記載がある。しかしながら、この場合のTi添加
は本文中に記載されているように、TiCの析出強化に
よる強度の向上を目的として添加されるものであって、
TiNによる細粒化に必要なTi量より多量に添加する
必要があり、また、本発明と異なる用途である歪み時効
脆化防止のため、CaまたはMgを1種又は2種以上添
加することを必須としている。そこで、本発明は、上記
課題を有利に解決して、各種用途の構造用の80キロ鋼
を、圧延ままで安定して製造できる高生産性80キロ鋼
およびその製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
公報には、「C:0.12〜0.25%、Mn:0.5
〜2.9%、V:0.05〜0.20%、Cu:0.0
5〜0.4%、Ni:0.1〜0.5%、Cr:0.0
5〜0.4%、Ti:0.005〜0.03%、N:
0.01〜0.03%に、Ca:0.0005〜0.0
070%、Mg:0.0005〜0.0070%の少な
くとも1種または2種を含有し、歪み時効脆化の少ない
構造用高張力鋼」として、V添加と同時にTiを添加す
る旨の記載がある。しかしながら、この場合のTi添加
は本文中に記載されているように、TiCの析出強化に
よる強度の向上を目的として添加されるものであって、
TiNによる細粒化に必要なTi量より多量に添加する
必要があり、また、本発明と異なる用途である歪み時効
脆化防止のため、CaまたはMgを1種又は2種以上添
加することを必須としている。そこで、本発明は、上記
課題を有利に解決して、各種用途の構造用の80キロ鋼
を、圧延ままで安定して製造できる高生産性80キロ鋼
およびその製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の知見に基
づき構成したものであって、その要旨は、次の通りであ
る。 (1)重量%で、C:0.10〜0.20%、Si:
0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.0%、P:
0.030%以下、S:0.001〜0.020%、
V:0.03〜0.20%、Ti:0.005〜0.0
17%、Al:0.005〜0.060%、N:0.0
07〜0.030%を含み、残部がFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする高生産性80キロ鋼。
づき構成したものであって、その要旨は、次の通りであ
る。 (1)重量%で、C:0.10〜0.20%、Si:
0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.0%、P:
0.030%以下、S:0.001〜0.020%、
V:0.03〜0.20%、Ti:0.005〜0.0
17%、Al:0.005〜0.060%、N:0.0
07〜0.030%を含み、残部がFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする高生産性80キロ鋼。
【0009】(2)重量%で、C:0.10〜0.20
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.
0%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.0
20%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005
〜0.017%、Al:0.005〜0.060%、
N:0.007〜0.030%なる鋼に、さらに、重量
%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、C
r:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1
%以下を1種または2種以上を含み、残部がFeおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする高生産性80
キロ鋼。
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.
0%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.0
20%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005
〜0.017%、Al:0.005〜0.060%、
N:0.007〜0.030%なる鋼に、さらに、重量
%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、C
r:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1
%以下を1種または2種以上を含み、残部がFeおよび
不可避的不純物からなることを特徴とする高生産性80
キロ鋼。
【0010】(3)重量%で、C:0.10〜0.20
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.
0%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.0
20%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005
〜0.017%、Al:0.005〜0.060%、
N:0.007〜0.030%を含み、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を1200〜1300℃に
加熱後、950℃以上の仕上げ温度で熱間圧延すること
を特徴とする高生産性80キロ鋼の製造方法。
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.
0%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.0
20%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005
〜0.017%、Al:0.005〜0.060%、
N:0.007〜0.030%を含み、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる鋼を1200〜1300℃に
加熱後、950℃以上の仕上げ温度で熱間圧延すること
を特徴とする高生産性80キロ鋼の製造方法。
【0011】(4)重量%で、C:0.10〜0.20
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.
0%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.0
20%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005
〜0.017%、Al:0.005〜0.060%、
N:0.007〜0.030%なる鋼に、さらに、重量
%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、C
r:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1
%以下を1種または2種以上含み、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼を1200〜1300℃に加熱
後、950℃以上の仕上げ温度で熱間圧延することを特
徴とする高生産性80キロ鋼の製造方法。 (5)熱間圧延後に、450〜650℃で焼戻しするこ
とを特徴とする前記(3)または(4)に記載の高生産
性80キロ鋼の製造方法にある。
%、Si:0.01〜0.5%、Mn:1.50〜3.
0%、P:0.030%以下、S:0.001〜0.0
20%、V:0.03〜0.20%、Ti:0.005
〜0.017%、Al:0.005〜0.060%、
N:0.007〜0.030%なる鋼に、さらに、重量
%で、Cu:1.5%以下、Ni:3.0%以下、C
r:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1
%以下を1種または2種以上含み、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる鋼を1200〜1300℃に加熱
後、950℃以上の仕上げ温度で熱間圧延することを特
徴とする高生産性80キロ鋼の製造方法。 (5)熱間圧延後に、450〜650℃で焼戻しするこ
とを特徴とする前記(3)または(4)に記載の高生産
性80キロ鋼の製造方法にある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。まず、本発明において鋼成分を上記のよう
に限定した理由を述べる。Cは強度確保に必要な元素で
あり、0.10%の添加が必要であるが、0.20%を
超えると、靱性が低下するため、含有量の範囲を0.1
0〜0.20%とする。Siは製鋼上脱酸元素として必
要な元素であり、鋼中に0.01%は含有されるが、
0.5%を超えると母材、HAZ靱性を低下させる。し
たがって、その範囲を0.01〜0.5%とする。
に説明する。まず、本発明において鋼成分を上記のよう
に限定した理由を述べる。Cは強度確保に必要な元素で
あり、0.10%の添加が必要であるが、0.20%を
超えると、靱性が低下するため、含有量の範囲を0.1
0〜0.20%とする。Siは製鋼上脱酸元素として必
要な元素であり、鋼中に0.01%は含有されるが、
0.5%を超えると母材、HAZ靱性を低下させる。し
たがって、その範囲を0.01〜0.5%とする。
【0013】Mnは強度、靱性の確保に必要な元素であ
る。しかしながら、3.0%を超えると靱性が著しく低
下し、逆に、1.5%未満では母材の強度確保が困難に
なるためにその範囲を1.50〜3.0%に制限する。
Pは粒界脆化元素であり出来るだけ低減するのが望まし
いが、0.030%以下では脆化の程度が小さいためそ
の上限を0.030%とする。Sは本発明において、V
Nの析出核として働くMnSの生成に欠かせない元素で
あり、0.001%以上の添加を必要とするが、多量な
添加はMnSの粗大化を招き靱性の低下を招くためその
上限を0.020%とする。
る。しかしながら、3.0%を超えると靱性が著しく低
下し、逆に、1.5%未満では母材の強度確保が困難に
なるためにその範囲を1.50〜3.0%に制限する。
Pは粒界脆化元素であり出来るだけ低減するのが望まし
いが、0.030%以下では脆化の程度が小さいためそ
の上限を0.030%とする。Sは本発明において、V
Nの析出核として働くMnSの生成に欠かせない元素で
あり、0.001%以上の添加を必要とするが、多量な
添加はMnSの粗大化を招き靱性の低下を招くためその
上限を0.020%とする。
【0014】Vは本発明において中心的な役割を果たす
元素であり、前述したように、析出によって大幅な強度
の上昇をもたらすことができるため、0.03%以上の
添加が必要であるが、多量の添加では炭化物の析出を招
き靱性が低下するために0.20%以下に制限する。T
iはTiNによる結晶粒の細粒化に必要不可欠な元素で
あり、0.005%以上の添加が必要であるが、過剰の
添加は炭化物が生成し靱性の低下を招く恐れがあるため
に、その上限を0.017%に制限する。
元素であり、前述したように、析出によって大幅な強度
の上昇をもたらすことができるため、0.03%以上の
添加が必要であるが、多量の添加では炭化物の析出を招
き靱性が低下するために0.20%以下に制限する。T
iはTiNによる結晶粒の細粒化に必要不可欠な元素で
あり、0.005%以上の添加が必要であるが、過剰の
添加は炭化物が生成し靱性の低下を招く恐れがあるため
に、その上限を0.017%に制限する。
【0015】Alは脱酸剤として必要な元素であり、
0.005%以上の添加が必要であるが、過剰に添加す
ると、AlNが過剰に生成し、VNの生成に有効なNが
低下する恐れがあるためにその上限を0.060%とす
る。NはTiNおよびVNの生成に必要であり、靱性の
向上から0.007%以上の添加が必要であるが、過剰
の添加は靱性の低下を招くために、その上限を0.03
0%とする。
0.005%以上の添加が必要であるが、過剰に添加す
ると、AlNが過剰に生成し、VNの生成に有効なNが
低下する恐れがあるためにその上限を0.060%とす
る。NはTiNおよびVNの生成に必要であり、靱性の
向上から0.007%以上の添加が必要であるが、過剰
の添加は靱性の低下を招くために、その上限を0.03
0%とする。
【0016】本発明では、さらに強度靱性の要求に応じ
て、以下の元素を選択的に添加しても本発明の効果を何
ら損なわない。Cuは靱性および強度を改善する元素と
して有効であり、その効果は0.2%以上の添加で有効
であるが、1.5%を超える過剰の添加ではかえって靱
性の低下をきたすためにその上限を1.5%とする。N
iは靱性の向上に有効な元素であり、0.2%以上の添
加が必要であるが、3.0%を超える添加ではその効果
が飽和してしまうために3.0%を上限とする。
て、以下の元素を選択的に添加しても本発明の効果を何
ら損なわない。Cuは靱性および強度を改善する元素と
して有効であり、その効果は0.2%以上の添加で有効
であるが、1.5%を超える過剰の添加ではかえって靱
性の低下をきたすためにその上限を1.5%とする。N
iは靱性の向上に有効な元素であり、0.2%以上の添
加が必要であるが、3.0%を超える添加ではその効果
が飽和してしまうために3.0%を上限とする。
【0017】CrおよびMoは強度上昇のため、それぞ
れ、0.05%以上の添加が必要であるが、過剰な添加
は靱性を阻害するために、その範囲をいずれも1.0%
までに限定する。Nbは靱性および強度を改善する元素
として有効であり、その効果は0.005%以上の添加
で有効であるが、0.1%を超える過剰の添加ではかえ
って靱性の低下をきたすためにその上限を0.1%とす
る。
れ、0.05%以上の添加が必要であるが、過剰な添加
は靱性を阻害するために、その範囲をいずれも1.0%
までに限定する。Nbは靱性および強度を改善する元素
として有効であり、その効果は0.005%以上の添加
で有効であるが、0.1%を超える過剰の添加ではかえ
って靱性の低下をきたすためにその上限を0.1%とす
る。
【0018】本発明鋼の製造にあたっては、上記の成分
系を有する鋼を転炉、電気炉等で溶製し、連続鋳造、あ
るいは造塊分塊法により鋼片を鋳造する。その後、加
熱、熱間圧延を施し所定サイズの鋼を製造する。生産性
を低下させない製造方法として、通常加熱、通常圧延を
行うが、1200℃未満では加熱効率が悪く、1300
℃を超えると燃料使用量が増加するため、加熱温度は加
熱効率の一番よい1250℃を中心に、1200〜13
00℃に限定する。圧延仕上温度は上記加熱温度に加熱
後、圧延中に特に温度待ちを設けない圧延効率のよい方
法では950℃以上となるため、950℃を下限とす
る。
系を有する鋼を転炉、電気炉等で溶製し、連続鋳造、あ
るいは造塊分塊法により鋼片を鋳造する。その後、加
熱、熱間圧延を施し所定サイズの鋼を製造する。生産性
を低下させない製造方法として、通常加熱、通常圧延を
行うが、1200℃未満では加熱効率が悪く、1300
℃を超えると燃料使用量が増加するため、加熱温度は加
熱効率の一番よい1250℃を中心に、1200〜13
00℃に限定する。圧延仕上温度は上記加熱温度に加熱
後、圧延中に特に温度待ちを設けない圧延効率のよい方
法では950℃以上となるため、950℃を下限とす
る。
【0019】加熱以降の製造条件については、現在公知
になっている技術の種々の技術を適用しても鋼の性質に
はなんら影響を及ぼさない。熱間圧延後は、通常は熱処
理を行わないが、降伏強さを高めることが要求される場
合は、生産性を大きく阻害しない焼戻し熱処理を行う。
30MPa以上の降伏強さの上昇のためには、450℃
以上の焼戻しをすることが必要であるが、650℃を超
えて焼戻しを行うとむしろ引張強さが低下するため、6
50℃を上限とする。本発明は主として、厚板、熱延鋼
板についてであるが、H形鋼、I形鋼、山形鋼等の形
鋼、線・棒鋼、鋼管等としても製造可能である。
になっている技術の種々の技術を適用しても鋼の性質に
はなんら影響を及ぼさない。熱間圧延後は、通常は熱処
理を行わないが、降伏強さを高めることが要求される場
合は、生産性を大きく阻害しない焼戻し熱処理を行う。
30MPa以上の降伏強さの上昇のためには、450℃
以上の焼戻しをすることが必要であるが、650℃を超
えて焼戻しを行うとむしろ引張強さが低下するため、6
50℃を上限とする。本発明は主として、厚板、熱延鋼
板についてであるが、H形鋼、I形鋼、山形鋼等の形
鋼、線・棒鋼、鋼管等としても製造可能である。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例について示す。表1に示
す組成を有する鋼を溶製して得た鋼片を、表2に示すよ
うに、それぞれ加熱、熱間圧延を実施し、板厚2〜10
0mmの鋼板、形鋼を製造した。表2にその引張、シャ
ルピー衝撃試験結果を示す。本発明鋼A〜Fの母材の引
張強度はすべて780MPa以上で、vEOが100J
以上の良好なシャルピー衝撃試験値を示す。さらに、
E、Fは本発明範囲の焼戻し熱処理を行うことで降伏強
さが30MPa以上上昇している。これに対し、比較鋼
G〜Sは本発明範囲を逸脱しているものである。引張強
度が780MPa未満で、vEOが100J未満の低い
値を示している。また、焼戻し熱処理温度が本発明範囲
を逸脱しているため、Rは降伏強さの上昇代が小さく、
Sは引張強さが低下している。
す組成を有する鋼を溶製して得た鋼片を、表2に示すよ
うに、それぞれ加熱、熱間圧延を実施し、板厚2〜10
0mmの鋼板、形鋼を製造した。表2にその引張、シャ
ルピー衝撃試験結果を示す。本発明鋼A〜Fの母材の引
張強度はすべて780MPa以上で、vEOが100J
以上の良好なシャルピー衝撃試験値を示す。さらに、
E、Fは本発明範囲の焼戻し熱処理を行うことで降伏強
さが30MPa以上上昇している。これに対し、比較鋼
G〜Sは本発明範囲を逸脱しているものである。引張強
度が780MPa未満で、vEOが100J未満の低い
値を示している。また、焼戻し熱処理温度が本発明範囲
を逸脱しているため、Rは降伏強さの上昇代が小さく、
Sは引張強さが低下している。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
圧延ままで、従来の圧延時の温度規制による圧延効率の
低下、熱処理による生産性の低下をきたした製造方法に
比べ、大幅なコストダウンを実現できる各種用途向けの
高生産性80キロ鋼およびその製造方法を提供できるた
め、本発明は、工業的に極めて価値の高い発明であると
言える。
圧延ままで、従来の圧延時の温度規制による圧延効率の
低下、熱処理による生産性の低下をきたした製造方法に
比べ、大幅なコストダウンを実現できる各種用途向けの
高生産性80キロ鋼およびその製造方法を提供できるた
め、本発明は、工業的に極めて価値の高い発明であると
言える。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.10〜0.20%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:1.50〜3.0%、 P :0.030%以下、 S :0.001〜0.020%、 V :0.03〜0.20%、 Ti:0.005〜0.017%、 Al:0.005〜0.060%、 N :0.007〜0.030% を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなること
を特徴とする高生産性80キロ鋼。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.10〜0.20%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:1.50〜3.0%、 P :0.030%以下、 S :0.001〜0.020%、 V :0.03〜0.20%、 Ti:0.005〜0.017%、 Al:0.005〜0.060%、 N :0.007〜0.030% なる鋼に、さらに、重量%で、 Cu:1.5%以下、 Ni:3.0%以下、 Cr:1.0%以下、 Mo:1.0%以下、 Nb:0.1%以下 を1種または2種以上含み、残部がFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする高生産性80キロ鋼。 - 【請求項3】 重量%で、 C :0.10〜0.20%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:1.50〜3.0%、 P :0.030%以下、 S :0.001〜0.020%、 V :0.03〜0.20%、 Ti:0.005〜0.017%、 Al:0.005〜0.060%、 N :0.007〜0.030% を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を
1200〜1300℃に加熱後、950℃以上の仕上げ
温度で熱間圧延することを特徴とする高生産性80キロ
鋼の製造方法。 - 【請求項4】 重量%で、 C :0.10〜0.20%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:1.50〜3.0%、 P :0.030%以下、 S :0.001〜0.020%、 V :0.03〜0.20%、 Ti:0.005〜0.017%、 Al:0.005〜0.060%、 N :0.007〜0.030% なる鋼に、さらに、重量%で、 Cu:1.5%以下、 Ni:3.0%以下、 Cr:1.0%以下、 Mo:1.0%以下、 Nb:0.1%以下 を1種または2種以上含み、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼を1200〜1300℃に加熱後、9
50℃以上の仕上げ温度で熱間圧延することを特徴とす
る高生産性80キロ鋼の製造方法。 - 【請求項5】 熱間圧延後に、450〜650℃で焼戻
しすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載
の高生産性80キロ鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10232897A JPH10219390A (ja) | 1996-12-05 | 1997-04-21 | 高生産性80キロ鋼およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32560296 | 1996-12-05 | ||
JP8-325602 | 1996-12-05 | ||
JP10232897A JPH10219390A (ja) | 1996-12-05 | 1997-04-21 | 高生産性80キロ鋼およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10219390A true JPH10219390A (ja) | 1998-08-18 |
Family
ID=26443036
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10232897A Withdrawn JPH10219390A (ja) | 1996-12-05 | 1997-04-21 | 高生産性80キロ鋼およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10219390A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE202011052154U1 (de) * | 2011-10-26 | 2013-02-11 | Rud Ketten Rieger & Dietz Gmbh U. Co. Kg | Tieftemperaturzähes, ultrahochfestes Verbindungselement, insbesondere Schraube |
CN103924154A (zh) * | 2013-01-14 | 2014-07-16 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 一种钢板的生产方法 |
-
1997
- 1997-04-21 JP JP10232897A patent/JPH10219390A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE202011052154U1 (de) * | 2011-10-26 | 2013-02-11 | Rud Ketten Rieger & Dietz Gmbh U. Co. Kg | Tieftemperaturzähes, ultrahochfestes Verbindungselement, insbesondere Schraube |
CN103924154A (zh) * | 2013-01-14 | 2014-07-16 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 一种钢板的生产方法 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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