JPH10217927A - 車両挙動判定方法 - Google Patents
車両挙動判定方法Info
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- JPH10217927A JPH10217927A JP1844097A JP1844097A JPH10217927A JP H10217927 A JPH10217927 A JP H10217927A JP 1844097 A JP1844097 A JP 1844097A JP 1844097 A JP1844097 A JP 1844097A JP H10217927 A JPH10217927 A JP H10217927A
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- Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
- Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
- Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
- Regulating Braking Force (AREA)
- Vehicle Body Suspensions (AREA)
- Navigation (AREA)
- Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 確実に過度のオーバステア状態を判定する。
【解決手段】 車速センサ26、横加速度センサ28お
よびヨーレートセンサ30の出力に基づき、車速V、横
加速度y(‥)およびθ(・)を算出する。さらに、こ
れらから車両の横すべり角速度β(・)を算出する。こ
の横すべり角速度β(・)が所定値以上となり、その後
所定時間内の変化が所定の範囲内であることをもって、
過度のオーバステア状態を判定する。
よびヨーレートセンサ30の出力に基づき、車速V、横
加速度y(‥)およびθ(・)を算出する。さらに、こ
れらから車両の横すべり角速度β(・)を算出する。こ
の横すべり角速度β(・)が所定値以上となり、その後
所定時間内の変化が所定の範囲内であることをもって、
過度のオーバステア状態を判定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両各部の特性値
や状態を示すパラメータなどから車両の運動状態を推定
する方法に関する。
や状態を示すパラメータなどから車両の運動状態を推定
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、運転者のステアリング操作、ブレ
ーキ操作などを補って、車両の安定走行を実現する装置
およびシステムが実用に供されている。たとえば、アン
チロックブレーキシステム(ABS)、4輪操舵システ
ム(4WS)、車両安定制御システム(VSC(登録商
標))などがこれに当たる。このようなシステムにおい
ては、現在の車両の運動状況すなわち車両挙動が的確に
把握され、この挙動に基づき各装置の制御が行われる必
要がある。
ーキ操作などを補って、車両の安定走行を実現する装置
およびシステムが実用に供されている。たとえば、アン
チロックブレーキシステム(ABS)、4輪操舵システ
ム(4WS)、車両安定制御システム(VSC(登録商
標))などがこれに当たる。このようなシステムにおい
ては、現在の車両の運動状況すなわち車両挙動が的確に
把握され、この挙動に基づき各装置の制御が行われる必
要がある。
【0003】車両挙動の一つとしてステア状態が知られ
ている。通常の走行状態においては、ステア状態は、ニ
ュートラルステアないしは弱いアンダステアを示すが、
車両が不安定状態または不安定状態に移行するような状
態においては、過度のオーバステア状態となる。また、
路面の摩擦係数が低い場合には、操舵を行っても車両の
進行方向が変化しない過度のアンダステア状態となる。
ている。通常の走行状態においては、ステア状態は、ニ
ュートラルステアないしは弱いアンダステアを示すが、
車両が不安定状態または不安定状態に移行するような状
態においては、過度のオーバステア状態となる。また、
路面の摩擦係数が低い場合には、操舵を行っても車両の
進行方向が変化しない過度のアンダステア状態となる。
【0004】前述の4WSやVSC(登録商標)では、
この過度のアンダ・オーバステア状態を検知して、この
状態が解消されるように、運転者が操作する以外の車輪
の舵角や、各車輪ごとの制動力を制御している。これら
のシステムにおけるオーバステア状態の検知は、たとえ
ば特開平7−17419号公報に記載された装置におい
ては、過度のオーバステア状態においては、ステアリン
グ操作に対してヨーレートなどの車両挙動が追従してい
ない点に着目している。そして、舵角の変化率の符号と
ヨーレートの変化率の符号が一致しなくなった場合に、
過度のオーバステア状態を判定している。
この過度のアンダ・オーバステア状態を検知して、この
状態が解消されるように、運転者が操作する以外の車輪
の舵角や、各車輪ごとの制動力を制御している。これら
のシステムにおけるオーバステア状態の検知は、たとえ
ば特開平7−17419号公報に記載された装置におい
ては、過度のオーバステア状態においては、ステアリン
グ操作に対してヨーレートなどの車両挙動が追従してい
ない点に着目している。そして、舵角の変化率の符号と
ヨーレートの変化率の符号が一致しなくなった場合に、
過度のオーバステア状態を判定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記公報のように舵角
の変化率とヨーレートの変化率に基づき車両挙動、特に
過度のオーバステア状態を判定する場合、実際の走行に
おいてその判定精度が低くなる場合があった。たとえ
ば、摩擦係数の低い路面(低μ路)を走行中の場合は、
舵角の変化に対する車両挙動は大きな遅れを有してお
り、前記の判定方法によると過度のオーバステア状態で
なくてもこれが判定される場合があった。この誤判定が
なされると、4WSやVSC(登録商標)のシステムの
作動に基づき前述の舵角制御や制動力制御が行われ、運
転者の感じる車両挙動とのずれが生じ、違和感を覚える
場合があるという問題があった。
の変化率とヨーレートの変化率に基づき車両挙動、特に
過度のオーバステア状態を判定する場合、実際の走行に
おいてその判定精度が低くなる場合があった。たとえ
ば、摩擦係数の低い路面(低μ路)を走行中の場合は、
舵角の変化に対する車両挙動は大きな遅れを有してお
り、前記の判定方法によると過度のオーバステア状態で
なくてもこれが判定される場合があった。この誤判定が
なされると、4WSやVSC(登録商標)のシステムの
作動に基づき前述の舵角制御や制動力制御が行われ、運
転者の感じる車両挙動とのずれが生じ、違和感を覚える
場合があるという問題があった。
【0006】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたものであり、過度のオーバステア状態を的確に把
握することができる車両挙動判定方法を提供することを
目的とする。
されたものであり、過度のオーバステア状態を的確に把
握することができる車両挙動判定方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明にかかる車両挙動判定方法は、車両の横す
べり角の変化率が所定値以上となり、その後の所定時間
内の横すべり角の変化率が所定の範囲内であるとき、当
該車両が過度のオーバステア状態であると判定するもの
である。
めに、本発明にかかる車両挙動判定方法は、車両の横す
べり角の変化率が所定値以上となり、その後の所定時間
内の横すべり角の変化率が所定の範囲内であるとき、当
該車両が過度のオーバステア状態であると判定するもの
である。
【0008】車両が過度のオーバステア状態にある場合
は、路面の摩擦係数にかかわらず、時間に対する横すべ
り角の増加がほぼ線形となる。また、この時の増加率も
比較的大きな値となる。言い換えれば、この増加率が大
きくないときのオーバステア状態は、運転者がステアリ
ング操作で対応可能であり、対応できないような状態が
過度な状態である。したがって、このとき時間に関する
横すべり角の変化率(以下、横すべり角速度と記す)
は、比較的大きな値で、ほぼ一定となる。よって、横す
べり角速度の時間変化は、ステップ状に変化することに
なる。
は、路面の摩擦係数にかかわらず、時間に対する横すべ
り角の増加がほぼ線形となる。また、この時の増加率も
比較的大きな値となる。言い換えれば、この増加率が大
きくないときのオーバステア状態は、運転者がステアリ
ング操作で対応可能であり、対応できないような状態が
過度な状態である。したがって、このとき時間に関する
横すべり角の変化率(以下、横すべり角速度と記す)
は、比較的大きな値で、ほぼ一定となる。よって、横す
べり角速度の時間変化は、ステップ状に変化することに
なる。
【0009】本発明においては、この横すべり角速度の
変化に基づき、過度のオーバステア状態の検出を行って
いる。すなわち、横すべり角速度が所定の値を超え、こ
の時点からの変化の幅が、所定の期間内でほぼ一定と見
なせる範囲であれば、過度のオーバステア状態と判定す
る。
変化に基づき、過度のオーバステア状態の検出を行って
いる。すなわち、横すべり角速度が所定の値を超え、こ
の時点からの変化の幅が、所定の期間内でほぼ一定と見
なせる範囲であれば、過度のオーバステア状態と判定す
る。
【0010】このような判定によれば、過度のオーバス
テア状態の判定において、舵角を判定要素として用いて
いないので、低摩擦路のようにステアリング操作に対し
車両挙動が大きく遅れるような場合であっても、的確な
判定を行うことができる。また、低摩擦路においては、
運転者は意識的に車両の旋回方向とは逆にステアリング
を操作する、いわゆるカウンタステア操作を行う場合が
あるが、このような場合にあっても舵角を判定要素とし
ていないので過度のオーバステア状態の判定に支障をき
たすこともない。
テア状態の判定において、舵角を判定要素として用いて
いないので、低摩擦路のようにステアリング操作に対し
車両挙動が大きく遅れるような場合であっても、的確な
判定を行うことができる。また、低摩擦路においては、
運転者は意識的に車両の旋回方向とは逆にステアリング
を操作する、いわゆるカウンタステア操作を行う場合が
あるが、このような場合にあっても舵角を判定要素とし
ていないので過度のオーバステア状態の判定に支障をき
たすこともない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以
下、実施形態と記す)を図面に従って説明する。図1に
は、本実施形態における車両の概略構成図が示されてい
る。この車両は、車体10と、車体の前部の左右に配置
された二つの前輪12と、後部の左右に配置された二つ
の後輪14を含んでいる。前輪12の車軸と後輪14の
車軸の距離(ホイールベース)はLである。前輪12
は、運転者の操作するステアリング16に機械的に結合
されており、ステアリング16の回転角に対し、ギヤ比
で減率された舵角δfが与えられる。後輪14は、後述
する車両挙動制御部18の演算結果に基づき制御される
アクチュエータ20により舵角δrが与えられる。この
舵角δrを与えることによって、ステアリング操作の応
答性を改善したり、車両の挙動が過度のオーバステアま
たは過度のアンダーステア状態を示したとき、このステ
ア状態を打ち消すモーメントを発生させることができ
る。これは、4輪操舵システム(4WS)として知られ
ている。
下、実施形態と記す)を図面に従って説明する。図1に
は、本実施形態における車両の概略構成図が示されてい
る。この車両は、車体10と、車体の前部の左右に配置
された二つの前輪12と、後部の左右に配置された二つ
の後輪14を含んでいる。前輪12の車軸と後輪14の
車軸の距離(ホイールベース)はLである。前輪12
は、運転者の操作するステアリング16に機械的に結合
されており、ステアリング16の回転角に対し、ギヤ比
で減率された舵角δfが与えられる。後輪14は、後述
する車両挙動制御部18の演算結果に基づき制御される
アクチュエータ20により舵角δrが与えられる。この
舵角δrを与えることによって、ステアリング操作の応
答性を改善したり、車両の挙動が過度のオーバステアま
たは過度のアンダーステア状態を示したとき、このステ
ア状態を打ち消すモーメントを発生させることができ
る。これは、4輪操舵システム(4WS)として知られ
ている。
【0012】また、前後輪12,14には、運転者のブ
レーキペダル(不図示)の操作に応じた制動力が与えら
れるようになっており、更にこの制動力は車両挙動制御
部18によっても制御可能となっている。ブレーキペダ
ルの操作は、油圧によって前後輪12,14に備えられ
た制動力発生部22に伝達され、ここでペダル操作量に
応じた制動力が発生される。制動力発生部22は、具体
的には油圧シリンダにより進退制御されるブレーキパッ
ドと、前後輪12,14と共に回転するブレーキディス
クを含む。そして、前記ブレーキペダルの操作によって
発生した油圧によってブレーキパッドがブレーキディス
クに押圧され、摩擦によって制動力が発生する。特に、
車両挙動制御部18による制動力の制御においては、ブ
レーキペダルの操作に応じて発生した油圧に対し、これ
を増減する油圧制御ユニットによって制御が行われる。
また、この場合、4個の車輪ごとに異なる制動力を与え
ることが可能となっており、これによって車両の挙動が
過度のオーバステアまたは過度のアンダーステア状態を
示したとき、このステア状態を打ち消すモーメントを発
生させることができる。これは、車両安定制御システム
(VSC(登録商標))として知られている。
レーキペダル(不図示)の操作に応じた制動力が与えら
れるようになっており、更にこの制動力は車両挙動制御
部18によっても制御可能となっている。ブレーキペダ
ルの操作は、油圧によって前後輪12,14に備えられ
た制動力発生部22に伝達され、ここでペダル操作量に
応じた制動力が発生される。制動力発生部22は、具体
的には油圧シリンダにより進退制御されるブレーキパッ
ドと、前後輪12,14と共に回転するブレーキディス
クを含む。そして、前記ブレーキペダルの操作によって
発生した油圧によってブレーキパッドがブレーキディス
クに押圧され、摩擦によって制動力が発生する。特に、
車両挙動制御部18による制動力の制御においては、ブ
レーキペダルの操作に応じて発生した油圧に対し、これ
を増減する油圧制御ユニットによって制御が行われる。
また、この場合、4個の車輪ごとに異なる制動力を与え
ることが可能となっており、これによって車両の挙動が
過度のオーバステアまたは過度のアンダーステア状態を
示したとき、このステア状態を打ち消すモーメントを発
生させることができる。これは、車両安定制御システム
(VSC(登録商標))として知られている。
【0013】さらに、本実施形態の車両には、車両の挙
動を検出するための舵角センサ24、車速センサ26、
横加速度センサ28およびヨーレートセンサ30が備え
られている。舵角センサ24は、ステアリング16の回
転角に基づき前輪12の舵角δfを検出する。車速セン
サ26は、好ましくは加速度センサとこの加速度センサ
の出力に所定の演算を施す演算部を有し、車両の速度V
を検出する。横加速度センサ28は、車両の左右方向の
加速度y(‥)を検出する。なお、記号(‥)は、時間
に関する2階微分を表し、たとえばy(‥)ならば、左
右方向座標yの2階微分値を表している。また、以降記
載される数式においては、変数を表す文字の上部に二つ
のドットを記載することによって、記号(‥)を表すも
のとする。また、この横加速度センサ28は、車両の重
心位置に設けることが好ましいが、これができない場合
には、重心位置から当該センサ28の設置位置までの距
離と、後述するヨーレートθ(・)に基づき横加速度セ
ンサ28の出力が補正され、車両重心位置の横加速度y
(‥)が算出される。ヨーレートセンサ30は、ジャイ
ロセンサにより構成され、車両の重心回りの角加速度θ
(‥)を検出し、これに基づき車両の重心回りの角速度
θ(・)を算出する。なお、記号(・)は、時間に関す
る1階微分を表し、たとえばθ(・)ならば、回転角θ
の1階微分値を表している。また、以降記載される数式
においては、変数を表す文字の上部に一つのドットを記
載することによって、記号(・)を表すものとする。
動を検出するための舵角センサ24、車速センサ26、
横加速度センサ28およびヨーレートセンサ30が備え
られている。舵角センサ24は、ステアリング16の回
転角に基づき前輪12の舵角δfを検出する。車速セン
サ26は、好ましくは加速度センサとこの加速度センサ
の出力に所定の演算を施す演算部を有し、車両の速度V
を検出する。横加速度センサ28は、車両の左右方向の
加速度y(‥)を検出する。なお、記号(‥)は、時間
に関する2階微分を表し、たとえばy(‥)ならば、左
右方向座標yの2階微分値を表している。また、以降記
載される数式においては、変数を表す文字の上部に二つ
のドットを記載することによって、記号(‥)を表すも
のとする。また、この横加速度センサ28は、車両の重
心位置に設けることが好ましいが、これができない場合
には、重心位置から当該センサ28の設置位置までの距
離と、後述するヨーレートθ(・)に基づき横加速度セ
ンサ28の出力が補正され、車両重心位置の横加速度y
(‥)が算出される。ヨーレートセンサ30は、ジャイ
ロセンサにより構成され、車両の重心回りの角加速度θ
(‥)を検出し、これに基づき車両の重心回りの角速度
θ(・)を算出する。なお、記号(・)は、時間に関す
る1階微分を表し、たとえばθ(・)ならば、回転角θ
の1階微分値を表している。また、以降記載される数式
においては、変数を表す文字の上部に一つのドットを記
載することによって、記号(・)を表すものとする。
【0014】図1中に示される横すべり角βは、車体1
0の前後方向の軸線と、車両の速度Vがなす角で定義さ
れ、車両が極低速で走行中にあっては、後輪操舵を行わ
ない場合、舵角δfに一致する。車速が増加すると舵角
δfと横すべり角βは一致しなくなるが、現存するほと
んどの車両においては車速が増加するに従って、舵角δ
fに対して横すべり角βが徐々に小さくなる。すなわ
ち、弱アンダーステア特性を示す。言い換えれば、前
輪、後輪の発生するコーナリングフォースや車両の重心
位置、サスペンションジオメトリなどを適切に設定し
て、このようなステア特性を有するように設計されてい
る。しかしながら、低摩擦路を走行する場合など、車輪
の発生するコーナリングフォースが前述の設定どおりと
ならず、ステア特性が設計値のとおりとならない場合が
ある。たとえば、旋回運動を開始しようとして前輪12
に舵角δfを与えても、前輪12が滑りコーナリングフ
ォースが発生せず車両の向きは変わらない過度のアンダ
ーステア状態となる場合がある。また、旋回中に後輪1
4が滑る、すなわち後輪14のコーナリングフォースが
極端に減少した場合には、前輪12の発生するコーナリ
ングフォースによって車両先端が旋回円の内側に切れ込
む過度のオーバステア状態が発生する。
0の前後方向の軸線と、車両の速度Vがなす角で定義さ
れ、車両が極低速で走行中にあっては、後輪操舵を行わ
ない場合、舵角δfに一致する。車速が増加すると舵角
δfと横すべり角βは一致しなくなるが、現存するほと
んどの車両においては車速が増加するに従って、舵角δ
fに対して横すべり角βが徐々に小さくなる。すなわ
ち、弱アンダーステア特性を示す。言い換えれば、前
輪、後輪の発生するコーナリングフォースや車両の重心
位置、サスペンションジオメトリなどを適切に設定し
て、このようなステア特性を有するように設計されてい
る。しかしながら、低摩擦路を走行する場合など、車輪
の発生するコーナリングフォースが前述の設定どおりと
ならず、ステア特性が設計値のとおりとならない場合が
ある。たとえば、旋回運動を開始しようとして前輪12
に舵角δfを与えても、前輪12が滑りコーナリングフ
ォースが発生せず車両の向きは変わらない過度のアンダ
ーステア状態となる場合がある。また、旋回中に後輪1
4が滑る、すなわち後輪14のコーナリングフォースが
極端に減少した場合には、前輪12の発生するコーナリ
ングフォースによって車両先端が旋回円の内側に切れ込
む過度のオーバステア状態が発生する。
【0015】前述のVSC(登録商標)は、各車輪ごと
に異なる制動力を与えることによって、前記の過度のオ
ーバステアおよびアンダステア状態を解消しようとする
ものである。たとえば、過度のオーバステア状態にあっ
ては、旋回運動の外側の車輪により多くに制動力をかけ
て、車両の挙動とは逆向きの回転を誘起するモーメント
を発生させるなどの制御を行っている。
に異なる制動力を与えることによって、前記の過度のオ
ーバステアおよびアンダステア状態を解消しようとする
ものである。たとえば、過度のオーバステア状態にあっ
ては、旋回運動の外側の車輪により多くに制動力をかけ
て、車両の挙動とは逆向きの回転を誘起するモーメント
を発生させるなどの制御を行っている。
【0016】このように、VSC(登録商標)や4WS
などにおいては、車両のステア状態などの挙動に基づき
制御が行われる。したがって、現在の車両の挙動を確実
に検出する必要がある。本実施形態においては、車両挙
動のうち過度のオーバステア状態を検出する方法とし
て、以下に説明する方法を用いている。
などにおいては、車両のステア状態などの挙動に基づき
制御が行われる。したがって、現在の車両の挙動を確実
に検出する必要がある。本実施形態においては、車両挙
動のうち過度のオーバステア状態を検出する方法とし
て、以下に説明する方法を用いている。
【0017】路面の摩擦係数にかかわらず、過度のオー
バステア状態では、時間に対する横すべり角βの増加は
ほぼ線形となる。また、この時の増加率β(・)は比較
的大きな値となる。言い換えれば、この増加率が大きく
ないときのオーバステア状態は、運転者がステアリング
操作で対応可能であり、対応できないような状態が過度
な状態である。したがって、このとき横すべり角の時間
変化率β(・)(以下、横すべり角速度β(・)と記
す)は、比較的大きな値で、ほぼ一定となる。よって、
横すべり角速度β(・)の時間変化は、ステップ状に変
化することになる。横すべり角速度β(・)は、前述し
た各センサにより検出された値、すなわち横方向加速度
y(‥)、車速Vおよびヨーレートθ(・)に基づき車
両挙動制御部18において、
バステア状態では、時間に対する横すべり角βの増加は
ほぼ線形となる。また、この時の増加率β(・)は比較
的大きな値となる。言い換えれば、この増加率が大きく
ないときのオーバステア状態は、運転者がステアリング
操作で対応可能であり、対応できないような状態が過度
な状態である。したがって、このとき横すべり角の時間
変化率β(・)(以下、横すべり角速度β(・)と記
す)は、比較的大きな値で、ほぼ一定となる。よって、
横すべり角速度β(・)の時間変化は、ステップ状に変
化することになる。横すべり角速度β(・)は、前述し
た各センサにより検出された値、すなわち横方向加速度
y(‥)、車速Vおよびヨーレートθ(・)に基づき車
両挙動制御部18において、
【数1】 によって算出される。
【0018】前述ような、横すべり角速度β(・)の変
化を捕らえて、本実施形態においては過度のオーバステ
ア状態の検出を行っている。すなわち、横すべり角速度
β(・)がしきい値11.5(deg/s) を超え、かつその
後の0.24(s) 内において横すべり角速度β(・)の
変化の振れ幅が3.2(deg/s) 以下である場合に、過度
のオーバステア状態であると判定している。ただし、変
化の振れ幅の監視で用いられる横すべり角速度β(・)
は、カットオフ周波数1Hzのハイパスフィルタを通過さ
せた値を用いている。これによって横すべり角速度β
(・)の変動つまり横すべり角速度β(・)の過渡的な
成分を抽出することができる。なお、上記の各設定値
は、車両ごとに当該車両の質量、慣性モーメント、車輪
の性能などによって適宜設定されることが望ましい。
化を捕らえて、本実施形態においては過度のオーバステ
ア状態の検出を行っている。すなわち、横すべり角速度
β(・)がしきい値11.5(deg/s) を超え、かつその
後の0.24(s) 内において横すべり角速度β(・)の
変化の振れ幅が3.2(deg/s) 以下である場合に、過度
のオーバステア状態であると判定している。ただし、変
化の振れ幅の監視で用いられる横すべり角速度β(・)
は、カットオフ周波数1Hzのハイパスフィルタを通過さ
せた値を用いている。これによって横すべり角速度β
(・)の変動つまり横すべり角速度β(・)の過渡的な
成分を抽出することができる。なお、上記の各設定値
は、車両ごとに当該車両の質量、慣性モーメント、車輪
の性能などによって適宜設定されることが望ましい。
【0019】前述の条件によって過度のオーバステア状
態が判定された場合、車両挙動制御部は、アクチュエー
タ20および各車輪の制動力発生部を適宜制御して、当
該車両を安定方向に制御する。すなわち、オーバステア
を打ち消す制御を行う。
態が判定された場合、車両挙動制御部は、アクチュエー
タ20および各車輪の制動力発生部を適宜制御して、当
該車両を安定方向に制御する。すなわち、オーバステア
を打ち消す制御を行う。
【0020】図2には、通常の路面を走行中に過度のオ
ーバステア状態となったときの横すべり角βと横すべり
角速度β(・)の変化のグラフが各々図2(a)、図2
(b)に示されている。また、図3には、雪上路などの
低摩擦路を走行中に過度のオーバステア状態となったと
きの横すべり角βと横すべり角速度β(・)の変化のグ
ラフが各々図3(a)、図3(b)に示されている。図
2および図3の双方において、横すべり角速度β(・)
が所定のしきい値以上となった後、所定の時間の間にお
いて所定の振れ幅以下となっていることがわかる。
ーバステア状態となったときの横すべり角βと横すべり
角速度β(・)の変化のグラフが各々図2(a)、図2
(b)に示されている。また、図3には、雪上路などの
低摩擦路を走行中に過度のオーバステア状態となったと
きの横すべり角βと横すべり角速度β(・)の変化のグ
ラフが各々図3(a)、図3(b)に示されている。図
2および図3の双方において、横すべり角速度β(・)
が所定のしきい値以上となった後、所定の時間の間にお
いて所定の振れ幅以下となっていることがわかる。
【0021】このように本実施形態によれば、路面の摩
擦係数によらず同様の判定基準で過度のオーバステア状
態を判定することが可能となる。
擦係数によらず同様の判定基準で過度のオーバステア状
態を判定することが可能となる。
【0022】本実施形態は、さらに過度のオーバステア
状態および過度のアンダステア状態が解消されたことを
以下の方法に基づき判定し、これらの状態における車両
挙動制御から通常の制御に移行する制御を行っている。
状態および過度のアンダステア状態が解消されたことを
以下の方法に基づき判定し、これらの状態における車両
挙動制御から通常の制御に移行する制御を行っている。
【0023】過度のオーバステア状態および過度のアン
ダステア状態の解消の判定方法に関しては、特開平2−
189214号公報に記載されている。これによれば、
車両が直進中はオーバステア状態およびアンダステア状
態が発生したことに着目し、舵角δfおよび舵角速度δ
f(・)の絶対値が各々所定のしきい値未満となったと
きに車両が直進状態に復帰したと判定し、前記の過度の
オーバまたはアンダステア状態の解消を判定している。
ダステア状態の解消の判定方法に関しては、特開平2−
189214号公報に記載されている。これによれば、
車両が直進中はオーバステア状態およびアンダステア状
態が発生したことに着目し、舵角δfおよび舵角速度δ
f(・)の絶対値が各々所定のしきい値未満となったと
きに車両が直進状態に復帰したと判定し、前記の過度の
オーバまたはアンダステア状態の解消を判定している。
【0024】しかしながら、過度のオーバまたはアンダ
ステア状態となった後に、運転者の修正操舵などにより
通常の走行状態に復帰する場合があり、このときは必ず
しも直進走行であるとは限らない。その結果、過度のオ
ーバまたはアンダステア状態の制御モードが作動したま
まとなり、運転者が認識する車両挙動とずれが生じ、運
転者が違和感を覚えるという問題があった。
ステア状態となった後に、運転者の修正操舵などにより
通常の走行状態に復帰する場合があり、このときは必ず
しも直進走行であるとは限らない。その結果、過度のオ
ーバまたはアンダステア状態の制御モードが作動したま
まとなり、運転者が認識する車両挙動とずれが生じ、運
転者が違和感を覚えるという問題があった。
【0025】本実施形態においては、以下に説明する方
法により、直進状態となることに限らず、過度のオーバ
またはアンダステア状態が解消されたことを判定してい
る。
法により、直進状態となることに限らず、過度のオーバ
またはアンダステア状態が解消されたことを判定してい
る。
【0026】車両が旋回半径ρで旋回中の状態において
は、オーバステア、ニュートラルステアおよびアンダス
テア状態のいずれの場合であっても、
は、オーバステア、ニュートラルステアおよびアンダス
テア状態のいずれの場合であっても、
【数2】 が成り立つ。また、各ステア状態においては、車両のホ
イールベースをLとすると、
イールベースをLとすると、
【数3】 が成り立つ。(2)式と(3)式より、
【数4】 さらに、
【数5】 が導かれる。したがって、1より(5)式の右辺を引い
た値が0近傍であれば、ほぼニュートラルステア状態で
あることが判定できる。すなわち、車両に応じた過度の
オーバまたはアンダステア状態が解消されたと判断でき
る所定のしきい値をあらかじめ定めておけば、(6)式
た値が0近傍であれば、ほぼニュートラルステア状態で
あることが判定できる。すなわち、車両に応じた過度の
オーバまたはアンダステア状態が解消されたと判断でき
る所定のしきい値をあらかじめ定めておけば、(6)式
【数6】 に基づき、過度のオーバまたはアンダステア状態が解消
したことを判定することができる。以下、(6)式の左
辺をステア状態値と記す。また、(6)式の右辺のしき
い値0.3は、その車両の挙動特性の違いに応じて、設
定されることが好ましい。(6)式による判定は、すな
わちステア状態値がしきい値以下となった場合におい
て、過度のオーバまたはアンダステア状態が解消された
と判定するものである。そして、この判定がなされ場
合、車両挙動制御部18は過度のオーバまたはアンダス
テア状態における制御モードを終了し、通常走行時の制
御モードに移行する。
したことを判定することができる。以下、(6)式の左
辺をステア状態値と記す。また、(6)式の右辺のしき
い値0.3は、その車両の挙動特性の違いに応じて、設
定されることが好ましい。(6)式による判定は、すな
わちステア状態値がしきい値以下となった場合におい
て、過度のオーバまたはアンダステア状態が解消された
と判定するものである。そして、この判定がなされ場
合、車両挙動制御部18は過度のオーバまたはアンダス
テア状態における制御モードを終了し、通常走行時の制
御モードに移行する。
【0027】図4には、大きな舵角δfを与えて発生し
た過度のオーバステア状態から舵角δfの修正を行う
(図a参照)ことによって適正な横すべり角βを発生さ
せた(図b参照)場合のステア状態値の変化(図c参
照)が示されている。舵角δfの修正によって適切な横
すべり角βが発生している領域、すなわち図bの横すべ
り角がほぼ正の値となっている領域においては、図cの
ステア状態値がしきい値0.3以下となり過度のオーバ
ステア状態が解消されていることが判定されている。
た過度のオーバステア状態から舵角δfの修正を行う
(図a参照)ことによって適正な横すべり角βを発生さ
せた(図b参照)場合のステア状態値の変化(図c参
照)が示されている。舵角δfの修正によって適切な横
すべり角βが発生している領域、すなわち図bの横すべ
り角がほぼ正の値となっている領域においては、図cの
ステア状態値がしきい値0.3以下となり過度のオーバ
ステア状態が解消されていることが判定されている。
【0028】以上のように、本実施形態によれば、
(6)式に基づきステア状態の判定を行うことによっ
て、直進状態とならなくても通常走行の制御に移行する
ことができる。よって、通常走行に戻っていると感じて
いるのに、制御は過度のオーバまたはアンダステア状態
のものになるという違和感を運転者に感じさせることが
ない。
(6)式に基づきステア状態の判定を行うことによっ
て、直進状態とならなくても通常走行の制御に移行する
ことができる。よって、通常走行に戻っていると感じて
いるのに、制御は過度のオーバまたはアンダステア状態
のものになるという違和感を運転者に感じさせることが
ない。
【図1】 本発明にかかる実施形態の概略構成を示す図
である。
である。
【図2】 本実施形態において、通常路走行時の横すべ
り角βと横すべり角速度β(・)の変化を示す図であ
る。
り角βと横すべり角速度β(・)の変化を示す図であ
る。
【図3】 本実施形態において、低摩擦路走行時の横す
べり角βと横すべり角速度β(・)の変化を示す図であ
る。
べり角βと横すべり角速度β(・)の変化を示す図であ
る。
【図4】 本実施形態において、過度のオーバステア状
態から通常走行に移行する前後の舵角δf、横すべり角
βおよびステア状態値の変化を示す図である。
態から通常走行に移行する前後の舵角δf、横すべり角
βおよびステア状態値の変化を示す図である。
10 車体、12 前輪、14 後輪、16 ステアリ
ング、18 車両挙動制御部、20 アクチュエータ、
22 制動力発生部、24 舵角センサ、26車速セン
サ、28 横加速度センサ、30 ヨーレートセンサ。
ング、18 車両挙動制御部、20 アクチュエータ、
22 制動力発生部、24 舵角センサ、26車速セン
サ、28 横加速度センサ、30 ヨーレートセンサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01C 21/00 G01C 21/00 A // B62D 137:00 (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 服部 憲明 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 十津 憲司 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 安井 由行 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 伊藤 孝之 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 車両の横すべり角の変化率が所定値以上
となり、その後の所定時間内の横すべり角の変化率が所
定の範囲内であるとき、当該車両が過度のオーバステア
状態であると判定する車両挙動判定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1844097A JPH10217927A (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 車両挙動判定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1844097A JPH10217927A (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 車両挙動判定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10217927A true JPH10217927A (ja) | 1998-08-18 |
Family
ID=11971708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1844097A Pending JPH10217927A (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 車両挙動判定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10217927A (ja) |
-
1997
- 1997-01-31 JP JP1844097A patent/JPH10217927A/ja active Pending
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