JPH10214414A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH10214414A
JPH10214414A JP1796097A JP1796097A JPH10214414A JP H10214414 A JPH10214414 A JP H10214414A JP 1796097 A JP1796097 A JP 1796097A JP 1796097 A JP1796097 A JP 1796097A JP H10214414 A JPH10214414 A JP H10214414A
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JP
Japan
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layer
magnetic
recording medium
magnetic recording
oxide
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Application number
JP1796097A
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English (en)
Inventor
Yasushi Naoe
康司 直江
Hiroaki Takano
博昭 高野
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP1796097A priority Critical patent/JPH10214414A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】走行耐久性と電磁変換特性がともに良好な磁気
記録媒体を提供すること。 【解決手段】可撓性支持体の表面に磁性層を有し、反対
面にバックコート層を有する磁気記録媒体において;バ
ックコート層が、酸化チタン、α−酸化鉄又はその混合
物からなる粒状酸化物と、カーボンブラックとを重量比
60/40〜90/10で含有し、さらに粒状酸化物と
カーボンブラックの合計重量を100重量部として10
〜40重量部のバインダーを含有することを特徴とする
磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁変換特性と走
行耐久性がともに優れた高密度磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピーディスクなどとして広く用い
られている。そして、近年では特に優れた電磁変換特性
を有する磁気記録媒体を提供することが一般に求められ
ている。例えば、音楽録音再生用オーディオテープとし
て使用する磁気記録媒体には高度な原音再生能力が要求
されており、ビデオテープとして使用する磁気記録媒体
には高い原画再生能力が求められている。このような優
れた電磁変換特性に加えて、磁気記録媒体には良好な走
行性能や走行耐久性も要求されている。走行耐久性を改
善するために、磁性層には研磨材や潤滑剤が一般に添加
されている。優れた耐久性を持たせるためにはこれらの
添加量をある程度多くする必要があるが、添加量を多く
すると強磁性粉末の充填度が必然的に低下する。特に潤
滑剤の添加量を増やすとバインダーが可塑化しやすくな
って磁性層の耐久性を却って低下させる傾向がある。ま
た、優れた耐久性を持たせるために粒子径が大きな研磨
材を使用すると、磁性層表面に研磨材が過度に突出し易
くなる。これらは、いずれも電磁変換特性の低下につな
がる。また、特定のバインダーを選択して添加する方法
も開発されているが、いずれも分散性の低下や繰り返し
走行性の悪化の問題を解消するに至っていない(特開昭
61−148626号公報、特開昭61−190717
号公報、特開昭62−82510号公報、特開平1−2
51416号公報、特開平1−267829号公報、特
開平3−44819号公報、公平6−64726号公
報、特開平6−96437号公報、特公平7−2185
1号公報)。
【0003】そこで、磁性層ではなく、バックコート層
にベース突起を設けたり、粒径0.1μm以上の粗粒子
カーボンを添加することによって表面を粗くし、それに
よって走行耐久性を改善しようとする試みがなされてい
る。しかしながら、このような方法によってバックコー
ト層の表面を粗くすると、磁気記録媒体を巻き上げて保
存や処理を行うときにバックコート層と磁性層が圧接し
てバックコート層の凹凸が磁性層に写ってしまう所謂
「裏写り」が生じ、その結果、電磁変換特性は低下して
しまうことがあるという欠点があった。このように、従
来の方法によって走行耐久性を高めようとすると、結果
的に電磁変換特性の低下を招いてしまうという問題があ
った。したがって、走行耐久性を改善し、なおかつ電磁
変換特性を高める技術が切望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の
現状をふまえて、本発明は、走行耐久性と電磁変換特性
がともに良好な磁気記録媒体を提供することを課題とし
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を進めた結果、バックコート
層に無機粉体としてカーボンブラックよりも酸化チタン
又はα−酸化鉄を多く含有させ、バインダーの使用量を
減らすことによって、走行耐久性が良好で電磁変換特性
が優れた磁気記録媒体を提供することができることを見
出した。すなわち、本発明は、可撓性支持体の表面に磁
性層を有し、反対面にバックコート層を有する磁気記録
媒体において;バックコート層が、酸化チタン、α−酸
化鉄又はその混合物からなる粒状酸化物(本明細書にお
いて「粒状酸化物」という場合は専ら酸化チタン、α−
酸化鉄又はその混合物を意味する)と、カーボンブラッ
クとを重量比60/40〜90/10で含有し、さらに
粒状酸化物とカーボンブラックの合計重量を100重量
部として10〜40重量部のバインダーを含有すること
を特徴とする磁気記録媒体を提供する。
【0006】本発明の磁気記録媒体は、可撓性支持体の
一方の面に磁性層を有し、その反対面にバックコート層
を有するものを広く含む。したがって、本発明の磁気記
録媒体には、磁性層やバックコート層以外の層を有する
ものも含まれる。例えば、非磁性粉末を含む非磁性層、
軟磁性粉末を含む軟磁性層、第2の磁性層、クッション
層、オーバーコート層、接着層、保護層を有していても
よい。これらの層は、その機能を有効に発揮することが
できるように適切な位置に設けることができる。
【0007】本発明の磁気記録媒体として好ましいの
は、非磁性可撓性支持体と磁性層の間に、非磁性無機粉
体とバインダーを含む非磁性層を有する磁気記録媒体で
ある。層の厚さは、磁性層を例えば0.05〜1μm 、
好ましくは0.05〜0.5μm 、さらに好ましくは
0.1〜0.3μm にし、非磁性層を0.5〜3μm 、
好ましくは0.8〜3μm にすることができる。非磁性
層の厚さは、磁性層よりも厚いのが好ましい。また、磁
性層を2層有する磁気記録媒体も好ましい。この場合
は、例えば上層を0.2〜2μm 、好ましくは0.2〜
1.5μm にし、下層を0.8〜3μm にすることがで
きる。なお、磁性層を単独で有する場合は、通常0.2
〜5μm 、好ましくは0.5〜3μm 、さらに好ましく
は0.5〜1.5μm にする。また、非磁性可撓性支持
体と磁性層の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性
層を0.05〜1μm 、好ましくは0.05〜0.5μ
m にし、軟磁性層を0.8〜3μm にすることができ
る。
【0008】本発明の磁気記録媒体のバックコート層に
使用する粒状酸化物は、酸化チタン、α−酸化鉄又はこ
れらの混合物のいずれかである。酸化チタンとα−酸化
鉄は、通常使用されるものを用いることができる。ま
た、粒子の形状は特に制限されない。球状の酸化チタン
又はα−酸化鉄を用いる場合は、粒径が0.01〜0.
1μm であるものがバックコート層自体の膜強度を確保
するうえで好ましい。また、針状の酸化チタン又はα−
酸化鉄を用いる場合は、針状比が2〜20であるものが
適当であり、3〜10であるものがより好ましい。ま
た、長軸長が0.05〜0.3μm であり、短軸長が
0.01〜0.05μm であるものが好ましい。粒状酸
化物の表面の少なくとも一部は、別の化合物に変性さ
れ、又は別の化合物で被覆されていても良い。特に、粒
状酸化物の表面の少なくとも一部がAl23 、SiO
2 、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Sb2 3 および
ZnO2 から選ばれた少なくとも一つの化合物、中でも
Al2 3 、SiO2 およびZrO2 から選ばれた少な
くとも一つの化合物で被覆されているものが、バインダ
ー中への分散性が優れている点で好ましい。このような
粒状酸化物は酸化チタンまたはα−酸化鉄の粒子を合成
してから、その表面に上記の様な別の化合物が沈着また
は被覆されるべく処理するか、または酸化チタンまたは
α−酸化鉄とAl2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO
2 、SnO2 、Sb2 3 およびZnO2 から選ばれた
少なくとも一つの化合物を共沈させる方法によって得る
ことができる。
【0009】また、このような粒状酸化物は市販品から
入手することもできる。例えば、戸田工業株式会社製の
DPN−245、DPN−250、DPN−250B
X、DPN−270BX、DPN−550BX、DPN
−550RX、TF−100、TF−120、石原産業
株式会社製のTTO−51A、TTO−51B、TTO
−51C、TTO−53B、TTO−55A、TTO−
55B、TTO−55C、TTO−55D、TTO−5
5N、TTO−55S、TTO−S−1、TTO−S−
2、TTO−M−1、TTO−M−2、TTO−D−
1、TTO−D−2、SN−100、E270、E27
1、チタン工業株式会社製のSTT−4D、STT−3
0D、STT−30、STT−65C、テイカ株式会社
製のMT−100F、MT−100S、MT−100
T、MT−150W、MT−500B、MT−500H
D、MT−600B、日本アエロジル株式会社製のTi
2 25、昭和電工株式会社製のスーバータイタニア等
を挙げることができる。
【0010】また、バックコート層に使用するカーボン
ブラックも、磁気記録媒体に通常使用されているものを
広く用いることができる。例えば、ゴム用ファーネスブ
ラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用カーボンブ
ラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
バックコート層の凹凸が磁性層に写らないようにするた
めに、カーボンブラックの粒径は0.3μm 以下にする
のが好ましい。特に好ましい粒径は、0.01〜0.1
μm である。粒状酸化物が球状の場合には、カーボンブ
ラックの粒径が0.3μm以下のものを使用して、裏写
りのない適度な表面粗さを有するバックコート層を得る
ことができる。また、粒状酸化物が針状の場合には、カ
ーボンブラックの粒径が0.1μm以下のものを使用す
る方が、裏写りのない適度な表面粗さを有するバックコ
ート層を容易に得ることができる点で好ましい。
【0011】カーボンブラックの比表面積は100〜5
00m2 /g、好ましくは150〜400m2 /g、D
BP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは
30〜200ml/100gである。カ−ボンブラック
のpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密
度は0.1〜1g/mlであるのが好ましい。本発明に用
いられるカ−ボンブラックの具体例として、キャボット
社製BLACKPEARLS 2000、1300、1
000、900、800、880、700、VULCA
N XC−72、三菱化学社製#3050B、3150
B、3250B、#3750B、#3950B、#95
0、#650B,#970B、#850B、MA−60
0、コロンビアンカ−ボン社製CONDUCTEX S
C、RAVEN 8800,8000,7000,5750,5250,3500,210
0,2000,1800,1500,1255,1250 、アクゾー社製ケッチェ
ンブラックECなどを挙げることができる。
【0012】酸化チタン、α−酸化鉄又はこれらの混合
物からなる粒状酸化物とカーボンブラックの重量比は6
0/40〜90/10、より好ましくは70/30〜8
0/20にする。このように、粒状酸化物をカーボンブ
ラックよりも多量に含有させることによって、粉体の分
散性が良好で面が平滑なバックコート層を形成すること
ができる。また、バインダーに対する無機粉体の吸着性
が良好であることから、バインダーの使用量を減らすこ
ともできる。バインダーの使用量は、粒状酸化物とカー
ボンブラックの合計重量を100重量部として10〜4
0重量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜32
重量部にする。このようにして形成されるバックコート
層の膜強度は高く、表面電気抵抗は低くなる。このよう
な優れた機能を有するバックコート層を有するために、
本発明の磁気記録媒体は従来品に比べて走行耐久性が良
好で磁気変換特性が優れている。
【0013】本発明のバックコート層用バインダーに
は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹
脂等を用いることができる。好ましいバインダーは、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ニトロセ
ルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂である。その中でも、塩化ビニル樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いるのが
より好ましい。特に好ましいバインダーは、分子量50
以上500未満の環状構造を有する短鎖ジオール単位1
7〜40重量%と分子量500〜5000の長鎖ジオー
ル単位10〜50重量%を含み、長鎖ジオール単位のエ
ーテル基を1.0〜5.0mol/g含むポリウレタン
樹脂である。このポリウレタン樹脂は、短鎖ジオール、
長鎖ジオール及び有機ジイソシアネートを主成分として
反応させた反応生成物である。以下において、このポリ
ウレタン樹脂について説明する。
【0014】短鎖ジオールの具体例として、シクロヘキ
サン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジ
メタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノール
A、ビスフェノールS、ビスフェノールP及びこれらの
エチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物、シクロ
ヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の芳
香族又は脂環式ジオールであって、分子量が50以上5
00未満であるものを挙げることができる。分子量が5
0未満のものを多量に使用すると、バックコート層が脆
くなって耐久性が低下してしまう。好ましい分子量は1
00〜300である。長鎖ジオールの具体例として、ビ
スフェノールA又は水素化ビスフェノールAの、エチレ
ンオキシド付加物又はプロピレンオキシド付加物であっ
て、分子量が500〜5000であるものを挙げること
ができる。分子量が5000以上のものを多量に使用す
ると、バックコート膜の強度が低下して軟化し、耐久性
が低下してしまう。
【0015】好ましい短鎖ジオールと長鎖ジオールは、
以下の式(1)で表されるものである。
【化1】
【0016】短鎖ジオールの場合、m及びnは短鎖ジオ
ールの分子量が50以上500未満になるように選択さ
れる。一般に0〜3である。また、長鎖ジオールの場
合、m及びnは長鎖ジオールの分子量が500〜500
0になるように選択される。一般に3〜24、好ましく
は3〜20、より好ましくは4〜15である。m及びn
が24よりも大きくなるとバックコート膜が軟化し、ス
チル耐久性が低下してしまう。Xは、水素原子又はメチ
ル基であるのが好ましく、メチル基がより好ましい。な
お、m及びnでくくられるカッコ内のXはすべて同じで
ある必要はなく、水素原子とメチル基が混在していても
よい。式(1)で表される短鎖ジオールの中で好ましい
のは、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、こ
れらのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物
である。長鎖ジオールとして好ましいのは、ビスフェノ
ールA又は水素化ビスフェノールAから誘導される分子
量500〜5000のジオールであり、特に好ましいの
はビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物であ
る。
【0017】短鎖ジオール単位の含有量は17〜40重
量であり、好ましくは20〜30重量%である。17重
量%未満では、得られるバックコート膜が軟らか過ぎて
充分な強度が得られず、スチル耐久性も低い。逆に、4
0重量%より多いと、溶剤への溶解性が低いために強磁
性粉末が十分に分散しない。したがって、磁性層の強度
が低くて電磁変換特性も悪い。長鎖ジオール単位の含有
量は、10〜50重量%であり、好ましくは30〜40
重量%である。10重量%未満では溶剤への溶解性や分
散性が低い。逆に、50重量%より多いとバックコート
膜強度が低く、耐久性が悪い。長鎖ジオール単位のエー
テル基は、ポリウレタン樹脂中に1.0〜5.0mmo
l/g、より好ましくは2.0〜4.0mmol/gで
存在する。1mmol/g未満であると磁性体への吸着
性が低下し、分散性が悪くなる。一方、5.0mmol
/g以上であると、溶剤への溶解性が低下するために、
分散性が悪くなる。
【0018】上記の短鎖ジオールと長鎖ジオールの他
に、他のジオールを併用することができる。具体的に
は、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチ
レングリコール等の脂肪族ジオール、N−ジエタノール
アミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加
物等を挙げることができる。
【0019】反応させる有機ジイソシアネート化合物の
例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,
6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジ
イソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニ
トロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,
2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイ
ソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’
−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート
等の芳香族ジイソシアネート、リジンジイソシアネート
等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネー
ト等を挙げることができる。
【0020】反応によって得られるポリウレタン樹脂は
環状構造部分を有しているため、これを用いて調製した
バックコート層の強度、ガラス転移温度及び耐久性はよ
り高くなる。さらに分岐メチルを導入すれば、溶剤への
溶解性が高まるため分散性も改善される。ポリウレタン
樹脂の長鎖ジオール単位がシクロヘキサン環などの脂環
式部分を有する場合は、ポリウレタン樹脂を硬化剤と併
用するのが好ましい。この場合は、ポリウレタン樹脂と
硬化剤の反応が乏しくて硬化剤自身の反応も抑制される
ので、ポリウレタン樹脂中で硬化剤が反応せず、網目構
造が固定化されない。したがって、カレンダー処理時の
成形性が向上する(Tg、ヤング率、降伏応力は硬化剤
を添加しても変化しない)。磁性粉体に吸着して絡みあ
った該ポリウレタン樹脂に硬化剤が内在する形態(IP
二相構造) 、即ち、延性(弾性)バインダー中に脆性
(塑性)バインダーが内在する二相構造を有している。
脆性バインダーが塑性変形することによって衝撃エネル
ギーが吸収されるため、耐衝撃性は向上する。このポリ
ウレタン樹脂のTgは−20〜200℃、好ましくは5
0〜150℃、更に好ましくは70〜120℃である。
ポリウレタン樹脂のTgが−20〜50℃の場合は、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、硬化剤
(ポリイソシアネート)、エポキシ、フェノキシ等を併
用するのが好ましく、高温において磁性層強度が低下し
ないようにバインダーの組成を検討するのが好ましい。
ポリウレタン樹脂100重量部に対する硬化剤の使用量
は0〜200重量部、好ましくは20〜100重量部、
更に好ましくは30〜60重量部である。
【0021】また、ポリウレタン樹脂の長鎖ジオールが
芳香族環を有する場合は、ポリイソシアネートと反応す
るため、硬化剤添加で硬化が進み延性が低下する。この
ため、硬化剤を添加する場合はポリウレタン樹脂のTg
を下げるなどして、延性を確保する必要がある。ポリウ
レタン樹脂のTgは、−20〜150℃、好ましくは2
0〜120℃、更に好ましくは50〜100℃である。
又、ポリウレタン樹脂100重量部に対する硬化剤の使
用量は0〜150重量部、好ましくは0〜100重量
部、更に好ましくは0〜50重量部である。長鎖ジオー
ルの環状部分が脂肪族、芳香族のいずれであっても、磁
性層Tgが50〜150℃、好ましくは70〜100
℃、カレンダー処理温度±30℃=磁性層Tgになるよう
に磁性層Tgを最適化し、カレンダー成形性と磁性層強
度を両立できるように、バインダー組成を調製すること
が好ましい。
【0022】ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量は、
1分子あたり3個〜20個であるのが好ましく、より好
ましくは1分子あたり4個〜5個である。1分子あたり
3個未満であるとイソシアネート硬化剤との反応性が低
下するために、塗膜強度と耐久性が低下しやすい。ま
た、20個より多いと、溶剤への溶解性と分散性が低下
しやすい。ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量を調整
するために、水酸基が3官能以上の化合物を用いること
ができる。具体的には、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、無水トリメリット酸、グリセリン、
ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、特公平6
−64726号に記載されるポリエステルポリオールを
原料とする2塩基酸と該化合物をグリコール成分として
得られる3官能以上水酸基を有する分岐ポリエステル、
ポリエーテルエステルが挙げられる。好ましいのは3官
能のものであり、4官能以上になると反応過程において
ゲル化しやすくなる。
【0023】ポリウレタン樹脂は、分子中に−SO3
M、−OSO3 M、−COOM、−PO3 MM′、−O
PO3 MM′、−NRR′、−N+ RR′R″COO-
(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原子、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩であり、
R、R′及びR″は各々独立に炭素数1〜12のアルキ
ル基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含
むことが好ましく、とくに好ましくは、−SO3 M、−
OSO3 Mである。これらの極性基の量は好ましくは、
1×10-5〜2×10-4eq/gであり、特に好ましく
は5×10-5〜1×10-4eq/gである。1×10-5
eq/gより少ないと強磁性粉末への吸着が不充分とな
るために分散性が低下し、2×10-4eq/gより多く
なると溶剤への溶解性が低下するので分散性が低下す
る。
【0024】ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)
は5000〜100,000が好ましく、さらに好まし
くは10,000〜50,000であり、特に好ましく
は20,000〜40,000である。5000未満で
は、磁性層の強度や耐久性が低い。また、100,00
0より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。ポリウレ
タン樹脂の環状構造は剛直性に影響し、エーテル基は柔
軟性に寄与する。上述のポリウレタン樹脂は、溶解性が
高く、慣性半径(分子の広がり)が大きく、粉体の分散
性が良好である。また、ポリウレタン樹脂自身の硬さ
(高Tg、高ヤング率)と靱性(伸び)の2つの特性を
兼ね備えている。
【0025】本発明の磁気記録媒体のバックコート層に
は、酸化チタン、α−酸化鉄、カーボンブラック、バイ
ンダー以外の成分を適宜含有させることができる。例え
ば、脂肪酸を含有させれば、強度を維持したまま、繰り
返し走行時の摩擦係数上昇を抑制することができる。ま
た、脂肪酸エステルやモース硬度8以上の研磨剤を含有
させることによっても、繰り返し走行時の摩擦係数上昇
を抑制し、摺動耐久性を向上させることができる。さら
に、芳香族有機酸化合物を含有させて分散性を向上させ
強度を上げることによって、摩擦係数上昇を抑制するこ
ともできる。また、有機質粉末を含有させて摩擦係数上
昇を抑制し、写りを低減することもできる。添加するこ
とができる脂肪酸の例として、炭素数8〜24の一塩基
性脂肪酸を挙げることができる。中でも炭素数8〜18
の一塩基性脂肪酸が好ましい。これらの具体例としては
ラウリン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール
酸、リノレン酸、エライジン酸等が挙げられる。脂肪酸
の添加量は、粒状酸化物とカーボンブラックの総量を1
00重量部としたとき、0.1〜5重量部、好ましくは
0.1〜3重量部である。
【0026】脂肪酸エステルの例として、炭素数10〜
24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二
価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ
(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわな
い)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エス
テルまたはトリ脂肪酸エステルなどを挙げることができ
る。これらの具体例としてはステアリン酸ブチル、ステ
アリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸
イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブ
トキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレー
ト、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロ
ソルビタントリステアレートが挙げられる。脂肪酸エス
テルの添加量は、粒状酸化物とカーボンブラックの総量
を100重量部としたとき、0.1〜5重量部、好まし
くは0.1〜3重量部である。モース硬度8以上の研磨
剤としては、α−アルミナ、酸化クロム等を挙げること
ができる。芳香族有機酸化合物としては、フェニルフォ
スホン酸が好ましい。その使用量は、粒状酸化物とカー
ボンブラックの総量を100重量部としたとき、0.0
3〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
有機質粉末としては、アクリル−スチレン共重合体系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料等を挙げることができる。
【0027】本発明の磁気記録媒体の非磁性支持体とバ
ックコート層との間の密着性は極めて高い。したがっ
て、ガラス転移温度が高いバインダーを使用した従来の
磁気記録媒体に比べて、本発明の磁気記録媒体の繰り返
し走行耐久性は向上している。また、本発明の磁気記録
媒体のバックコート層のガラス転移温度や厚みを調節す
ることによって、カッピングやコイリングを低減するこ
とも可能である。バックコート層のガラス転移温度は6
0〜120℃であるのが好ましく、乾燥厚みは通常0.
2〜1μm 程度にする。本発明の磁気記録媒体は、高テ
ンションで巻き取って保存してもバックコート層が磁性
層に写りにくいため、媒体の厚さを4〜9μm にするこ
とが可能である。
【0028】本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いられ
る強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸
化鉄、バリウムフェライト粉末又は強磁性金属粉末等で
ある。強磁性粉末はSBET (BET比表面積)が40〜
80m2 /g、好ましくは50〜70m2 /gである。
結晶子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜22
nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長
軸長は0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.
07〜0.2μmであり、特に好ましくは0.08〜
0.15μmである。強磁性粉末のpHは7以上が好ま
しい。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−C
o、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単
体又は合金が挙げられ、金属成分の20重量%以下の範
囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、
チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イ
ットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、
錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タング
ステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含
ませることができる。また、強磁性金属粉末が少量の
水、水酸化物又は酸化物を含むものであってもよい。こ
れらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用
いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造する
ことができる。
【0029】強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通
常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状及び板状のものな
どが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用するこ
とが好ましい。本発明においては、バインダー、硬化剤
及び強磁性粉末を、通常、磁性塗布液の調製の際に使用
されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘ
キサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性
層塗布液とする。混練分散は通常の方法に従って行うこ
とができる。磁性層塗布液は、上記成分以外に、α−A
23 、Cr23 等の研磨剤、カーボンブラック等
の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオ
イル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤
あるいは充填剤を含んでいてもよい。
【0030】次に本発明が多層構成を有する場合に存在
する下層非磁性層又は下層磁性層について説明する。本
発明の下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性
粉末を問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等の無機化合物や非磁性金属から選択す
ることができる。無機化合物としては、例えば酸化チタ
ン(TiO2 、TiO)、α化率90〜100%のα−
アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、
酸化クロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、
酸化バナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダ
ム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マ
グネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カル
シウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブ
デン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は
組合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更
に好ましいのは二酸化チタンである。非磁性金属として
は、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。これら非
磁性粉末の平均粒径は0.005〜2μmであるのが好
ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を
組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広く
して同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ま
しいのは、平均粒径が0.01μm〜0.2μmの非磁
性粉末である。非磁性粉末のpHは6〜9であるのが特
に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2
g、好ましくは5〜50m2 /g、更に好ましくは7〜
40m2 /gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.
01μm〜2μmであるのが好ましい。DBPを用いた
吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜
80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/
100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6で
ある。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれであ
っても良い。
【0031】軟磁性粉末としては、粒状Fe、Ni、粒
状マグネタイト、Fe−Si、Fe−Al、Fe−N
i、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe−Al−Co
(センダスト)合金、Mn−Znフェライト、Ni−Z
nフェライト、Mg−Znフェライト、Mg−Mnフェ
ライト、その他、近角聡信著(「強磁性体の物理(下)
磁気特性と応用」(裳華房、1984年)、368〜3
76頁)に記載されているもの等が挙げられる。これら
の非磁性粉末や軟磁性粉末の表面はAl2O3 、SiO2、Ti
O2、ZrO2,SnO2,Sb2O3 ,ZnO で表面処理しておくのが
好ましい。特に良好な分散性を与えるのはAl2O3 、Si
O2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいのはAl2O3 、Si
O2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよい
し、単独で用いてもよい。また、目的に応じて共沈させ
た表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで処理し
た後にその表層をシリカで処理する方法、又はその逆の
方法を採ってもよい。また、表面処理層は目的に応じて
多孔質層にしても構わないが、一般に均質で密である方
が好ましい。
【0032】下層にカ−ボンブラックを混合させること
によって、表面電気抵抗Rsを下げて、所望のマイクロ
ビッカース硬度を得ることができる。カ−ボンブラック
の平均粒径は5nm〜80nm、好ましく10〜50n
m、さらに好ましくは10〜40nmである。具体的に
は、上述のバックコート層に用いることができるカーボ
ンブラックと同じものを用いることができる。
【0033】本発明の下層にはまた、無機粉末として磁
性粉末を用いることもできる。磁性粉末としては、γ−
Fe23 、Co変性γ−Fe23 、α−Feを主成
分とする合金、CrO2 等が用いられる。下層の磁性体
は、目的に応じて選定することができ、本発明の効果は
磁性体の種類には依存しない。ただし、目的に応じて、
上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例
えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性
層のHcを上層磁性層のHcより低く設定するのが望ま
しく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のBrより
高くするのが有効である。それ以外にも、公知の重層構
成を採ることによる利点を付与させることができる。
【0034】下層磁性層又は下層非磁性層のバインダ
ー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他
は、上記の磁性層のものを適用できる。特に、バインダ
ー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては
磁性層に関する公知技術が適用できる。本発明に用いる
ことのできる非磁性可撓性支持体として、二軸延伸を行
ったポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズ
オキシダゾール等を挙げることができる。これらの非磁
性支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易
接着処理、熱処理などを行ったものであってもよい。ま
た本発明に用いることのできる非磁性支持体は、中心線
平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.
1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲にあっ
て、表面が優れた平滑性を有しているのが好ましい。ま
た、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さ
いだけでなく1μ以上の粗大突起がないことが好まし
い。
【0035】非磁性支持体の厚さは4〜15μm、好ま
しくは4〜9μmである。薄い場合は、バック層の凹凸
がハンドリングテンションで写りやすくなるため、上述
のポリウレタン樹脂を最上層に使用することによってこ
れを効果的に抑制することができる。厚が7μm以下の
場合は、PENもしくはアラミド等の芳香族ポリアミド
を使用するのが好ましい。非磁性支持体の形状は、一般
に製造しようとする磁気記録媒体の形状に対応したもの
にする。本発明の磁気記録媒体は任意の形状をとること
ができるため、非磁性支持体もテープ、ディスク、シー
ト、カード等の形状を有するものを広く使用することが
できる。
【0036】本発明の磁気記録媒体の製造は、例えば、
乾燥後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行
下にある非磁性支持体の表面に塗布液を塗布してゆくこ
とによって行うことができる。複数の磁性塗料もしくは
非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
磁性塗料を塗布するための塗布機としては、エアードク
ターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコ
ート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コー
ト、リバースロールコート、トランスファーロールコー
ト、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、ス
プレイコート、スピンコート等が利用できる。これらに
ついては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新
コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考に
できる。
【0037】片面に2以上の層を有する磁気記録媒体を
製造するときには、例えば以下の方法を用いることがで
きる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
よってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1
−46186号公報、特開昭60−238179号公
報、特開平2−265672号公報等に開示されている
支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、
上層を塗布する方法。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れている塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘ
ッド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
バックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置
等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0038】バックコート層は、研磨材、帯電防止剤な
どの粒状成分と結合剤を有機溶剤に分散したバックコー
ト層塗布液を、磁性層とは反対の面に塗布することによ
って調製する。粒状成分には各種の無機顔料やカーボン
ブラックを使用することができ、また結合剤にはニトロ
セルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリ
ウレタン樹脂等の樹脂を単独又は混合して使用すること
ができる。なお、非磁性支持体と磁性層塗布液又はバッ
クコート層塗布液の間には、接着剤層が設けられいても
よい。
【0039】塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強
磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処
理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができ
る。磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロールなど
を用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理を行うこ
とにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消
滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上する。このた
め、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができ
る。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミ
ド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチ
ックロールを使用する。また金属ロールで処理すること
もできる。
【0040】本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な
表面を有すしているのが好ましい。平滑性を良好にする
ためには、例えば上述したように特定のバインダーを選
んで形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有
効である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度
を60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好
ましくは80〜100℃にし、圧力を100〜500K
g/cm、好ましくは200〜450Kg/cm、特に
好ましくは300〜400Kg/cmにして行う。得ら
れた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大き
さに裁断して使用することができる。カレンダー処理を
経た磁気記録媒体は、熱処理するのが一般的である。
【0041】最近では、高密度磁気記録テープの直線性
(オフトラックマージン確保)のために、熱収縮率を下
げることが重視されている。特に、狭トラック化に伴
い、使用環境下でのMD方向(長手方向)の収縮率を
0.07%以下に抑えることが求められている。熱収縮率低
減手段として、低テンションでハンドリングしながらウ
エッブ状で熱処理する方法と、バルク又はカセットに組
み込んだ場合のようにテープが積層した形態で熱処理す
る方法(サーモ処理) がある。前者を用いた場合は、バ
ック面の凹凸が写る危険性は少ないが、熱収縮率を大き
く下げることはできない。アニール温度、滞在時間及び
テープ厚、ハンドリングテンションによって多少変わる
が、70℃、48時間後の熱収縮率で0.1〜0.12
%が限界である。後者のサーモ処理は熱収縮率を大幅に
改善できるが、バック面の凹凸がかなり写ってしまうた
め、磁性層が面粗れして出力低下とノイズ増加を引き起
こす。
【0042】本発明の磁気記録媒体の構成を採用すれ
ば、高弾性で塑性変形の残りにくい層形成を行うことが
できるため、特に、サーモ処理を伴う磁気記録媒体で、
高出力、低ノイズの磁気記録媒体を供給することができ
る。これは、特に上述のポリウレタン樹脂を使用した場
合に顕著である。本発明の磁気記録媒体の70℃、48
時間後のMD方向の熱収縮率は0.12%以下である。
この熱収縮率は、8mm巾×10cmのテープ片の片側
に0.2gの荷重をつけてつるし、70℃環境下に48
時間保存し、保存後のテープ長変化量を保存前のテープ
長(10cm)で割って求めたものである。
【0043】以下に実施例及び比較例を示して、本発明
の構成及び効果をさらに具体的に説明する。ただし、本
発明は、これらの実施例及び比較例によって限定的に解
釈されるものではない。
【実施例】実施例1〜7及び比較例1〜5の磁気記録媒
体を、以下の方法にしたがって製造した。なお、ポリウ
レタン樹脂は以下の表1に記載されるものを使用した。
また、以下の記載において「部」は「重量部」を示す。
【0044】
【表1】
【0045】〔磁性層塗布液の調製〕下記の各成分を混
練分散した後、平均孔径1μmのフィルターを用いて濾
過することによって、磁性層塗布液を調製した。 強磁性金属粉末(Fe−Co合金) 100部 Co含有量:30重量%、Al含有量:5重量%、 Y含有量:5重量%、Hc:2350Oe、 σS :145emu/g、SBET :50m2 /g、 長軸長:0.1μm、結晶子サイズ:175Å、 pH:9 フェニルホスホン酸 3部 ポリウレタン樹脂A(表1記載) 4.5部 塩化ビニル樹脂(日本ゼオン:MR110) 9部 カーボンブラック(平均粒子径:80nm) 1部 アルミナ(平均粒子径:0.2μm) 5部 ステアリン酸(SA) 0.5部 ブチルステアレート(BS) 1.2部 ポリイソシアネート 4.5部 日本ポリウレタン製 コロネートL メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0046】〔非磁性層塗布液の調製〕下記の各成分を
混練分散した後、平均孔径1μmのフィルターを用いて
濾過することによって、非磁性層塗布液を調製した。 非磁性粉末 TiO2 100部 平均粒子径:35nm、SBET :40m2 /g、 Alで表面処理、TiO2 含有率:90重量%以上、 pH:7.5 フェニルホスホン酸 3部 ポリウレタン樹脂A(表1記載) 6部 塩化ビニル樹脂(日本ゼオン:MR110) 12部 カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 15部 アルミナ(平均粒子径:0.2μm) 10部 ステアリン酸(SA) 0.5部 ブチルステアレート(BS) 1.2部 ポリイソシアネート 6部 日本ポリウレタン製 コロネートL メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0047】〔バックコート層塗布液の調製〕実施例1
〜7及び比較例1〜5の磁気記録媒体の調製に用いるバ
ックコート層塗布液をそれぞれ以下の方法にしたがって
調製した。表2に記載される硬化剤以外の成分を、メチ
ルエチルケトン120部、シクロヘキサノン120部と
ともに混練した後、サンドミルを用いて分散した。得ら
れた分散液に表2に記載される量の硬化剤(ポリイソシ
アネート)とメチルエチルケトン1500部を加え、平
均孔径1μmのフィルターを用いて濾過することによっ
て、バックコート層塗布液を調製した。
【0048】
【表2】
【0049】[磁気記録媒体の調製]厚さ5.2μmの
ポリエチレンナフタレート支持体の表面に、非磁性層塗
布液を乾燥後の厚さが1.2μmとなるようにリバース
ロールを用いて塗布した。その直後、非磁性層の上に乾
燥後の厚さが0.3μmになるように磁性層塗布液を同
時重層塗布した。磁性層塗布液が未乾燥の状態で、30
00ガウスの磁石を用いて磁場配向を行った。次に、コ
イルバー塗布方式を用いてバックコート層塗布液を支持
体の反対面に塗布した。さらに乾燥してから、金属ロー
ルを7本積み重ねたカレンダー装置によって、金属ロー
ルのニップ間を6回通してカレンダー処理を行った後
(速度100m/分、線圧300Kg/cm、温度90
℃)、ロール状に巻き取って、70℃で48時間サーモ
処理を行った。その後、8mm幅にスリットして磁気記
録媒体を得た。
【0050】〔特性の測定〕製造した実施例及び比較例
の磁気記録媒体の特性を測定した。VTR(FUJIX
8)を用いて各磁気記録媒体テープに7MHzの信号を
記録し、再生して出力を測定した。再生出力は、比較例
1の基準テープの再生出力を0dBとしたときの相対値
として記録した。同一バルク内のバルク芯側サンプルと
バルク外側サンプルをそれぞれ10巻ずつ測定して出力
の平均値をとり、振れ巾も記録した。また、0.5MH
z離れた位置のノイズと7MHzのキャリア出力との比
(C/N)を測定し、比較例1のテープを基準とした相
対値として記録した。さらに、走行前、1000パス
後、5000パス後のバック層の摩擦係数を下記の方法
で測定した。また、バックコート層の表面電気抵抗(R
s)、中心線平均粗さ(Ra)及びガラス転移温度(T
g)も次のようにして測定した。
【0051】<バック層の摩擦係数(μ値)>4mmφ
のSUS420Jに180度の角度でテープを渡し、荷
重を20g、秒速14mmで慴動させて、オイラーの式
に基づいて摩擦係数を求めた。 μ=(1/π)ln(T2 /10) T2 :慴動抵抗値(g) 最初に渡したとき(1P)、1000回テープを渡した
とき(1000P)および5000回テープを渡したと
き(5000P)の各々について摩擦係数を測定し、そ
の変化を検討した。 <表面電気抵抗Rs(Ω/□)>ディジタル表面電気抵
抗計TR−8611AR (タケダ理研製)を用いて、幅
8mmの試料を半径10mmの四分円の断面を有し8m
m間隔で置かれた2個の電極の間に渡して測定した。
【0052】<表面性Ra(nm)>光干渉法により非
接触で測定する3d−MIRAUを用いて測定した。具
体的には、TOPO3DR (WYKO社製)を用いて、
250nm角の面積Raを測定した。測定波長650n
mで球面補正及び円筒補正を行った。 <ガラス転移温度(Tg)>ガラス転移温度の測定は、
RHEOVIBRON DDV-II-A (東洋ボールドウイン社製)を用
いて励振周波数110Hzで行った。各磁気記録媒体の
特性測定結果は表3に示すとおりであった。
【0053】
【表3】
【0054】表3の結果は、本発明の磁気記録媒体(実
施例1〜7)の電磁変換特性、走行耐久性及びバックコ
ート層の特性が、バックコート層に酸化チタンやα−酸
化鉄が含まれていない磁気記録媒体(比較例1)、バッ
クコート層の粒状酸化物とカーボンブラックの含有量比
が本発明の範囲外である磁気記録媒体(比較例2〜
5)、バックコート層のバインダー含有量が本発明の範
囲外である磁気記録媒体(比較例4及び5)よりも優れ
ていることを示している。
【0055】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体のバックコート層
には、酸化チタンやα−酸化鉄がカーボンブラックより
も多量に含まれているため、粉体の分散性が良好でバッ
ク面が平滑である。また、バインダーに対する無機粉体
の吸着性が良好であるため、バック膜強度が高く、バッ
クコート層の表面電気抵抗が低い。さらに、平均粒径
0.3μm 以下のカーボンブラックを使用すれば、バッ
クコート層の凹凸が磁性層に写るのをより効果的に防ぐ
ことができる。これらの特徴を有する本発明の磁気記録
媒体は、従来品に比べて電磁変換特性が良好で走行耐久
性も優れている。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性支持体の表面に磁性層を有し、反
    対面にバックコート層を有する磁気記録媒体において、 バックコート層が、酸化チタン、α−酸化鉄又はその混
    合物からなる粒状酸化物と、カーボンブラックとを重量
    比60/40〜90/10で含有し、さらに粒状酸化物
    とカーボンブラックの合計重量を100重量部として1
    0〜40重量部のバインダーを含有することを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 バックコート層に含まれる粒状酸化物が
    球状であって、その粒径が0.01〜0.2μm である
    ことを特徴とする請求項1の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 バックコート層に含まれる粒状酸化物が
    針状であって、その長軸長が0.05〜0.3μm であ
    り、短軸長が0.01〜0.05μm であることを特徴
    とする請求項1の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 バックコート層に含まれるカーボンブラ
    ックの粒径が0.01〜0.1μm であることを特徴と
    する請求項3の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 バックコート層に含まれるバインダー
    が、塩化ビニル樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群よ
    り選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 可撓性支持体と磁性層との間に、非磁性
    無機粉体とバインダーを含む非磁性層を有する請求項1
    〜5のいずれかの磁気記録媒体。
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WO1999038158A1 (fr) * 1998-01-21 1999-07-29 Fuji Photo Film Co., Ltd. Milieu d'enregistrement magnetique

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