JPH10211515A - 高温鋼板の冷却方法 - Google Patents

高温鋼板の冷却方法

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JPH10211515A
JPH10211515A JP1574697A JP1574697A JPH10211515A JP H10211515 A JPH10211515 A JP H10211515A JP 1574697 A JP1574697 A JP 1574697A JP 1574697 A JP1574697 A JP 1574697A JP H10211515 A JPH10211515 A JP H10211515A
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Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Hiroshi Kibe
洋 木部
Shunichi Sugiyama
峻一 杉山
Naoto Hirata
直人 平田
Isao Takahashi
高橋  功
Yoneaki Fujita
米章 藤田
Takashi Uchimura
孝 内村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間圧延された高温鋼板を、オンラインにお
いて、途中で冷却を停止することなく、連続して均一に
温度むらが生ずることなく冷却する。 【解決手段】 熱間圧延されテーブルローラ上を移送さ
れる高温の鋼板2を、前段冷却ゾーンにおいて、熱流束
が鋼板の温度に対し正の勾配を有する膜沸騰領域の間水
冷し、次いで、後段ゾーンにおいて、熱流束が鋼板の温
度に対し正の勾配を有する核沸騰領域の間水冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱間圧延された
高温鋼板特に厚鋼板の冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱間圧延された高温の鋼板に
は、圧延直後に行われる水冷中に冷却むらが発生しやす
く、その結果、冷却後の鋼板に、変形、残留応力、材質
の不均一等が生じ、操業上のトラブルとなりやすい。更
に、変形した鋼板に対する、プレスや矯正機等による精
製工程が必要になるため、コスト高を招いていた。
【0003】そこで、従来から、高温の鋼板を均一に冷
却して、冷却むらの発生を抑制する手段が数多く提案さ
れており、例えば、次のような技術が開示されている。 (1) 特開昭62−289316号公報:鋼板の冷却を、
前段冷却と後段冷却の2段階に分け、前段冷却で鋼板の
表面温度を100℃以上降下させるように急冷し、次い
で、後段冷却で鋼板を所定温度まで冷却することによ
り、鋼板の板幅方向の温度差を減少させる(以下、先行
技術1という)。
【0004】(2) 特開平7−284836号公報:圧延
後の鋼板を、表面温度が復熱して650〜750℃にな
るまで水冷した後、一旦冷却を停止し、復熱した後に再
び冷却する(以下、先行技術2という)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術1の方法においては、前段冷却で鋼板内に発生した温
度むらは、引き続き行われる後段冷却においても解消さ
れることがなく、積算される結果、鋼板内の温度差が更
に拡大する問題が生ずる。
【0006】また、先行技術2の方法では、冷却開始温
度が高温の場合、または、鋼板の板厚が厚い場合に、膜
沸騰時間を短くすることが難しく、鋼板の板厚が薄い場
合には、復熱温度が650〜750℃となるように、冷
却を停止させることが困難である。更に、復熱温度を6
50℃以上とし、変態を起こさない温度で冷却が停止す
るように温度を規定しているが、鋼板の表面温度は、水
冷中に変態開始温度よりも低くなるために、鋼板の表層
においては変態が始まり、冷却後、板厚方向に材質の不
均一分布が生ずることが避けられなかった。
【0007】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、熱間圧延された高温鋼板を、途中で冷却を停
止することなく、連続して均一に温度むらが生ずること
なく冷却することができる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】一般に、高温の鋼板を水
冷すると、冷却中の鋼板の表面温度に応じて、3つの冷
却形態即ち沸騰現象が生ずる。図1は冷却条件を一定に
した場合の、鋼板表面温度と熱流束との関係を示した図
である。図1に示すように、高温の鋼板を冷却すると、
まず、鋼板表面と冷却水との間に蒸気膜が存在する膜沸
騰状態になる。この膜沸騰状態は、鋼板の表面温度が非
常に高いために、冷却水が鋼板の表面に到達する前に蒸
発して鋼板に直接接触することがない沸騰現象であり、
鋼板と冷却水との間には常に蒸気膜が存在するために、
熱流束が小さく、冷却能が低い。
【0009】鋼板の表面温度が低下してくると、膜沸騰
から遷移沸騰へと移行する。遷移沸騰に移行するときの
熱流束点は、一般に極小熱流束点といわれている。遷移
沸騰領域では、鋼板表面を覆っていた蒸気膜が、安定し
て存在し得ず、局所的に蒸気膜が崩壊して、冷却水と鋼
板表面とが直接接触するようになる。このとき、熱流束
は急激に増大して遷移沸騰に移行する。更に鋼板の表面
温度が低下すると、鋼板の表面には蒸気膜が全く存在し
得ず、鋼板のほぼ全表面が冷却水と接触し、局所的に蒸
気泡が発泡した状態すなわち核沸騰になる。核沸騰に移
行するときの熱流束は極大点になり、その後、徐々に減
少する。
【0010】上述したように、沸騰現象には、膜沸騰、
遷移沸騰および核沸騰の3つの沸騰状態が存在するが、
その熱伝達特性は、温度の降下とともに熱流束が減少す
る膜沸騰および核沸騰と、温度の降下とともに熱流束が
増大する遷移沸騰とにわけられる。
【0011】一般に、冷却前の高温鋼板に温度分布が存
在していると、冷却中に局所的に大きな温度むらの発生
することが知られている。この温度むらの発生は、前述
した各沸騰形態の熱伝達特性によって、次のように説明
される。高温状態即ち膜沸騰領域で冷却を行った場合
は、鋼板表面温度の降下に伴って熱流束が減少するの
で、冷却開始時に温度が高い部分は、温度が低い部分よ
りも熱流束が大きいために早く冷却される結果、両者の
温度差は縮小する。
【0012】一方、鋼板表面温度が遷移沸騰領域の場合
は、表面温度の降下に伴って熱流束が増加するので、冷
却開始時に温度が高い部分は、温度が低い部分よりも熱
流束が小さいために、両者の温度差は拡大する。
【0013】また、鋼板表面温度が核沸騰領域の場合
は、膜沸騰領域で冷却を行った場合と同様に、冷却開始
時に温度が高い部分は、温度が低い部分よりも熱流束が
大きいために早く冷却される結果、両者の温度差は縮小
する。
【0014】上述したように、高温鋼板を冷却したとき
の温度領域には、その表面温度の降下とともに、熱流束
が減少する温度領域と、熱流束が増加する温度領域とが
あり、熱流束が増加する温度領域即ち遷移沸騰領域で
は、温度むらが拡大する。
【0015】本発明者らは、上述した現象について種々
研究を重ねた結果、熱間圧延された高温鋼板の冷却中に
生ずる温度むらを是正し、拡大させないためには、高温
鋼板を、熱流束が温度に対し正の勾配を有する領域即ち
膜沸騰領域および/または核沸騰領域で冷却すればよい
ことを知見した。
【0016】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、請求項1に記載の、第1実施態様の発明
は、熱間圧延され、テーブルローラ上を移送される高温
の鋼板を、前記テーブルローラに沿って設けられた冷却
ゾーンにおいて冷却する方法において、前記冷却ゾーン
を前段冷却ゾーンと後段冷却ゾーンとに区画し、前記前
段冷却ゾーンにおいて、熱流束が鋼板の温度に対して正
の勾配を有する膜沸騰領域の間、前記高温の鋼板を水冷
し、次いで、前記後段冷却ゾーンにおいて、熱流束が鋼
板の温度に対して正の勾配を有する核沸騰領域の間、前
記鋼板を水冷することに特徴を有するものである。
【0017】請求項2に記載の第2実施態様の発明は、
熱間圧延され、テーブルローラ上を移送される高温の鋼
板を、前記テーブルローラに沿って設けられた冷却ゾー
ンにおいて冷却する方法において、前記冷却ゾーンを衝
風冷却ゾーンと水冷却ゾーンとに区画し、前記衝風冷却
ゾーンにおいて、熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配
を有する膜沸騰領域の間、前記高温の鋼板を衝風によっ
て冷却し、次いで、前記水冷却ゾーンにおいて、熱流束
が鋼板の温度に対して正の勾配を有する核沸騰領域の
間、前記鋼板を水冷することに特徴を有するものであ
る。
【0018】請求項3に記載の第3実施態様の発明は、
熱間圧延され、テーブルローラ上を移送される高温の鋼
板を、前記テーブルローラに沿って設けられた冷却ゾー
ンにおいて冷却する方法において、前記冷却ゾーンを、
冷却水のON、OFFによって間欠的な水冷が行われる
機構となし、OFFゾーンにおいては、鋼板を空冷状態
となし、このような間欠的な水冷によって、前記鋼板
を、熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配を有する膜沸
騰領域および核沸騰領域において冷却することに特徴を
有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】図2は、熱伝達特性(沸騰曲線)
に影響を与える因子を説明する図である。工業的に熱伝
達特性(沸騰曲線)に影響を与えることができる因子
は、冷却水温、水量密度、冷却方式である。図2からわ
かるように、核沸騰領域においては、冷却水温度、水量
密度を変えても、温度と熱流束との関係はあまり変わら
ないが、冷却水温を下げ、水量密度を大にすると、極大
熱流束点即ち遷移沸騰に移行する温度は高温側にシフト
し、その熱流束も上昇する。一方、膜沸騰領域では、冷
却水温を下げ、水量密度を大にすると、熱流束は上昇
し、極小熱流束点即ち遷移沸騰に移行する温度は高温側
にシフトし、その熱流束も上昇する。
【0020】図3は、この発明の方法を実施するための
装置の一例を示す概略側面図である。図3に示すよう
に、熱間圧延された高温の鋼板2をその上面および下面
から拘束し、矢印方向に連続的に移送するための、上部
ロール1aと下部ロール1bとからなる1対の移送ロール1
が、例えば1000mmピッチで20組設けられている。
【0021】1対の移送ロール1の相互間の上面側に
は、上流側移送ロールから下流側移送ロールに向けたス
リットノズル3が設けられており、その下面側には、水
中に没した円管ノズル4が、板幅方向に100mmピッチ
で長さ方向に5列設けられている。5は上部冷却水供給
用ヘッダ、6は下部冷却水供給用ヘッダである。
【0022】上述した冷却装置を使用したこの発明の基
本的な冷却方法は、高温の鋼板に対する冷却を、水量密
度を増やし、冷却水の温度を25℃として、830℃ま
で熱流束が温度の上昇に対して正の勾配を有する条件下
で冷却するものである。
【0023】即ち、上述した構造の冷却装置内を連続的
に移送される高温の鋼板2に対し、上面側に設けられた
スリットノズル3から、2000l/m2min の冷却水を
流し、そして、下面側に設けられた円管ノズル4から、
1000l/m2min の冷却水を噴射し、その随伴流で生
じた液流によって鋼板2を冷却する。冷却の熱伝達特性
は、予めオフラインでの試験によって求められており、
図4に示すように、熱流束が温度に対し正の勾配を有す
る850℃以下の領域において冷却する。この冷却条件
は、急冷に属する条件であり、比較的高温まで熱流束が
温度に対し正の勾配を有している。なお、冷却装置は上
述した装置に限定されるものではなく、これ以外の冷却
装置または冷却条件であっても、熱流束が温度に対し正
の勾配を有していればよい。
【0024】例えば、上述した冷却装置によって、板幅
4.3m、長さ30m、厚さ25mmの熱間圧延後の高温
鋼板を、40mpmの早さで移送して冷却し、冷却直前
および冷却を開始してから20秒経過後の、鋼板の表面
温度分布を表面温度計によって測定したところ、鋼板内
の板幅方向と長さ方向の温度は、最高温度と最低温度と
の差が冷却前で830℃+0℃−30℃であったのに対
し、冷却後においては520℃+0℃−10℃となり、
冷却による温度むらは解消する傾向が見られた。更に、
冷却後の歪みもほとんど発生しなかった。
【0025】上述した冷却装置を使用したこの発明の基
本的な冷却方法の他の例として、冷却装置内を連続的に
移送される高温の鋼板2に対し、上面側に設けられたス
リットノズル3から、2300l/m2min の冷却水を流
し、そして、下面側に設けられた円管ノズル4から、1
300l/m2min の冷却水を噴射し、その随伴流で生じ
た液流によって鋼板を冷却する。冷却水の温度は熱交換
器を用いて約20℃に下げた。熱流束が温度に対して正
の勾配を有している領域は、900℃までであった。
【0026】冷却の熱伝達特性は、予めオフラインでの
試験によって求められており、図5に示すように、熱流
束が温度に対し正の勾配を有する900℃以下の領域で
厚鋼板を冷却する。
【0027】上述した冷却方法によって、板幅4.3
m、長さ30m、厚さ25mmの熱間圧延後の高温鋼板
を、40mpmの早さで移送して冷却し、冷却直前およ
び冷却を開始してから23秒経過後の、鋼板の表面温度
分布を表面温度計によって測定したところ、鋼板内の板
幅方向と長さ方向の温度は、最高温度と最低温度との差
が冷却前で830℃+0℃−35℃であったのに対し、
冷却後においては510℃+0℃−10℃となり、冷却
による温度むらは解消する傾向が見られた。更に、冷却
後の歪みもほとんど発生しなかった。
【0028】鋼板の上面側を、スリットジェット噴流に
よって冷却する際に、熱流束が温度に対して正の勾配を
有する領域と冷却条件即ち冷却水の温度、冷却水量との
関係を図5に示す。即ち、図5は、鋼板の表面温度があ
る温度以下のときに、最低いくらの水量で、何度の水温
で冷却すれば、熱流束が温度に対して正勾配を有する核
沸騰領域で鋼板を冷却し得るかを表している。
【0029】上述した説明では、熱流束が鋼板の温度に
対して正の勾配を有する領域で冷却を行うことを実現さ
せるために必要な最低水量密度を求める手順を示した
が、この手法は、他の冷却方法においても適用が可能で
ある。
【0030】
【実施例】次に、この発明の方法を実施例によって説明
する。 〔実施例1〕この発明の第1実施態様の方法の実施例
で、図6に示す装置を使用し高温鋼板を冷却した。即
ち、熱間圧延された高温の鋼板2をその上面および下面
から拘束し、矢印方向に連続的に移送するための、上部
ロール1aと下部ロール1bとからなる1対の移送ロール1
が、例えば1000mmピッチで20組設けられ、各移送
ロール間が冷却ゾーンを形成している。冷却ゾーンは、
5ゾーンの前段冷却ゾーンと15ゾーンの後段冷却ゾー
ンとに区画されており、前段5ゾーンにおけるロール間
の上面側には、幅方向に50cmピッチ、長さ方向に1m
ピッチで上部ミスト冷却ノズル7が設けられており、ロ
ール間の下面側には、同じく幅方向に30cmピッチ、長
さ方向に30cmピッチで下部ミスト冷却ノズル8が設け
られている。
【0031】後段15ゾーンにおけるロール間の上面側
には、上流側移送ロールから下流側移送ロールに向けた
スリットノズル3が設けられており、ロール間の下面側
には、板幅方向に100mmピッチで長さ方向に5列の水
中に没した円管ノズル4が設けられている。5は上部冷
却水供給用ヘッダーであり、6は下部冷却水供給用ヘッ
ダーである。前段5ゾーンと後段15ゾーンとの間に
は、両者の冷却水が混在しないように、拘束ロールによ
って仕切られている。
【0032】前段5ゾーンにおいては、上部ミスト冷却
ノズル7から水量密度100l/m2min で、下部ミスト
冷却ノズル8から水量密度550l/m2min 、気水比1
0で冷却水を噴射することにより、熱流束が鋼板の温度
に対して正の勾配を有する膜沸騰領域の間で、前記高温
の鋼板は水冷却される。
【0033】次いで、後段15ゾーンの上面側のスリッ
トノズルから水量密度100l/m2min で冷却水を流
し、下面側の円管ノズル4から水量密度700l/m2mi
n で冷却水を噴射し、その随伴流で生じた液流により、
熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配を有する核沸騰領
域の間で、鋼板2は水冷却される。
【0034】冷却の熱伝達特性は、予めオフラインでの
試験によって求められており、図7の(1) に示すよう
に、前段5ゾーンにおけるミスト冷却の熱伝達特性は、
450℃以上で熱流束が温度に対し正の勾配を有してお
り、後段15ゾーンにおける上面スリットノズル、下面
円管ノズルの熱伝達特性は、図7の(2) に示すように、
650℃以下で熱流束が温度に対し正の勾配を有してい
る。
【0035】従って、この2つの冷却機構を前後に連続
的に組み合わせ、鋼板をこの2つの冷却機構によって連
続的に冷却することにより、むらのない冷却を施すこと
ができる。
【0036】上述した冷却条件下によって、板幅4.3
m、長さ30m、厚さ12mmの圧延後の高温鋼板(温度
1100℃) を、60mpmの早さで移送して冷却した。冷
却直前および冷却を開始してから10秒経過後の、鋼板
の表面温度分布を表面温度計によって測定した結果、鋼
板内の板幅方向と長さ方向の温度は、最高温度と最低温
度との差が冷却前で1100℃+0℃−30℃であった
のに対し、冷却後においては450℃+0℃−10℃と
なり、冷却による温度ムラは解消する傾向が見られた。
更に、冷却後の歪みもほとんど発生しなかった。
【0037】上述したように、この実施例では、熱流束
が温度に対し正の勾配を有している2つの冷却条件を組
合せているが、この組合せに限定されるものではなく、
冷却領域、冷却速度、冷却停止温度によって他の組合せ
が考えられ、また、2つの冷却条件の組合せに限らず、
3条件以上の組合せ(例えば、膜沸騰+膜沸騰+核沸
騰)なども考えられ、それによって冷却の強さの組合せ
にバリエーションが加わるので、冷却停止温度の制御性
向上や冷却速度の精度を向上させることが可能である。
【0038】〔実施例2〕この発明の第2実施態様の方
法の実施例で、図8に示す装置を使用し、高温鋼板を冷
却した。即ち、上部ロール1aと下部ロール1bとからなる
移送ロール1が、例えば1000mmピッチで20組設け
られ、移送ロール1の相互間の上面側には、上流側移送
ロールから下流側移送ロールに向けたスリットノズル3
が設けられ、その下面側には、水中に没した円管ノズル
4が、板幅方向に100mmピッチで長さ方向に5列設け
られている装置において、1段目の移送ロール1の上流
側に、空気を噴射するノズル9が設けられており、衝風
冷却ゾーンを構成している。この衝風冷却ゾーンにおけ
る衝風による冷却の場合には、全温度領域において熱流
束が、温度の変化に対し正の勾配をもつ。
【0039】この衝風冷却ゾーンにおいて、空気噴射ノ
ズル9から噴射される衝風によって、熱流束が鋼板の温
度に対して正の勾配を有する膜沸騰領域の間、即ち、鋼
板表面温度が900℃から850℃までの間を、衝風に
より50Nm3/hr m2 の風量速度で冷却している。
【0040】次いで、これに続く水冷却ゾーンにおい
て、20組のロール間の上面側に設けられたスリットノ
ズル3から2000l/m2min の水を鋼板2に沿って流
し、ロール間の下面側に、鋼板2の板幅方向に100mm
ピッチで、その長さ方向に5列設けられた水中に没した
円管ノズル4から噴射される水の随伴流で生じた液流に
よって、熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配を有する
核沸騰領域の間、鋼板2を水冷する。このときの水量密
度は1000l/m2min であり、冷却水温は32℃であ
る。
【0041】上述した冷却条件下によって、板幅4.3
m、長さ30m、厚さ25mmの圧延後の高温鋼板(温度
1100℃) を、40mpmの早さで移送して冷却した。冷
却直前および冷却を開始してから20秒経過後の、鋼板
の表面温度分布を表面温度計によって測定した。その結
果、鋼板内の板幅方向と長さ方向の温度は、最高温度と
最低温度との差が冷却前で900℃+0℃−30℃であ
ったのに対し、冷却後においては520℃+0℃−10
℃となり、冷却による温度ムラは解消する傾向が見られ
た。更に、冷却後の歪みもほとんど発生しなかった。
【0042】〔実施例3〕この発明の第3実施態様の方
法の実施例で、図9に示す装置を使用し高温鋼板を冷却
した。即ち、上部ロール1aと下部ロール1bとからなる移
送ロール1が、例えば1000mmピッチで20組設けら
れており、移送ロール1の相互間の上面側には、上流側
移送ロールから下流側移送ロールに向けたスリットノズ
ル3が設けられており、その下面側には、板幅方向に1
00mmピッチで長さ方向に5列の水中に没した円管ノズ
ル4が設けられている。スリットノズル3および円管ノ
ズル4は、制御弁10によってON、OFF可能になっ
ており、間欠的な水冷が行われるようになっている。
【0043】板厚の薄い高温鋼板の場合には、第1実施
態様の方法によって冷却すると、冷却条件が強すぎるた
めに、冷却速度および冷却停止温度の制御が難しい。そ
こで、この実施態様のように冷却水のON、OFFによ
って間欠的な冷却を行い、OFFゾーンでは前後のロー
ルを水切りロールとして作用させ、鋼板2の上面をドラ
イな空冷状態となすことによって、全温度領域で熱流束
を温度の変化に対し正の勾配となすことができ、冷却速
度および冷却停止温度等の制御が容易になる。
【0044】上面側のスリットノズル3から2000l
/m2min の水を鋼板2に沿って流し、下面側の、鋼板板
幅方向に100mmピッチで、その長さ方向に5列設けた
水中に没した円管ノズル4から水を噴射し、その随伴流
で生じた液流によって鋼板2を冷却した。このときの水
量密度は1000l/m2min であり、850℃以下にお
ける熱流束は温度に対し正の勾配を有していた。この領
域において、2本に1本のノズルをONする1/2パタ
ーンと、3本に1本のノズルをONする1/3パターン
の2つの間欠パターンにより、鋼板を冷却した。
【0045】この冷却条件下によって、板幅4.3m、
長さ30m、厚さ25mmの圧延後の高温鋼板(温度1100
℃) を、40mpmの早さで移送して冷却した。冷却直
前および冷却を開始してから20秒経過後の、鋼板の表
面温度分布を表面温度計によって測定した。パターン
を、全ゾーンON(実施例1)の条件、1/2パター
ン、1/3パターンに変化させることによって、板厚中
心の冷却速度を、30〜15℃/sに変化させることが
可能になった。
【0046】この条件で冷却を施した際、鋼板内の板幅
方向と長さ方向の温度は、最高温度と最低温度との差が
冷却前で850℃+0℃−30℃であったのに対し、冷
却後においては520℃+0℃−10℃となり、冷却に
よる温度ムラは解消する傾向が見られた。更に、冷却後
の歪みもほとんど発生しなかった。
【0047】〔比較例〕比較例として、図3に示す、上
部ロール1aと下部ロール1bとからなる移送ロール1が、
1000mmピッチで20組設けられている冷却装置の、
移送ロール相互間の上面側には、上流側移送ロールから
下流側移送ロールに向けたスリットノズル3が設けられ
ており、その下面側には、板幅方向に100mmピッチで
長さ方向に5列の水中に没した円管ノズル4が設けられ
ている装置を使用した。
【0048】この冷却装置内を36mpmの早さで連続
的に移送される板幅4.3m、長さ30m、厚さ25mm
の圧延後の高温鋼板に対し、上面側に設けられたスリッ
トノズル3から、2000l/m2min の冷却水を流し、
そして、下面側に設けられた円管ノズル4から、100
0l/m2min の冷却水を噴射し、その随伴流で生じた液
流によって鋼板2を冷却した。この冷却条件において、
850℃以上における熱流束は温度の傾きについて負の
勾配を有しており、鋼板の初期温度は1000℃であっ
た。
【0049】この条件で冷却を施した結果、鋼板内の板
幅方向と長さ方向の温度は、最高温度と最低温度との差
が冷却前で1000℃+0℃−30℃であったのに対
し、冷却後においては550℃+0℃−85℃となり、
冷却による温度ムラは拡大していた。更に、冷却後の歪
みは1m長さ当たりC反り量が25mmと大きく歪んでお
り、冷却後にプレス矯正によって平らな板に矯正処理を
施した。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の方法によ
れば、熱間圧延された高温鋼板をオンラインで制御冷却
するに際し、途中で冷却を停止することなく、連続して
均一に温度むらが生ずることなく冷却することができる
工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板表面温度と熱流束との関係を示した図であ
る。
【図2】熱伝達特性(沸騰曲線)に影響を与える因子を
説明する図である。
【図3】この発明の方法を実施するための基本的な装置
の一例を示す概略側面図である。
【図4】この発明の冷却方法における熱伝達特性を示す
図である。
【図5】熱流束が正の勾配を呈する冷却条件を示す図で
ある。
【図6】この発明の第1実施態様の方法を実施するため
の装置の一例を示す概略側面図である。
【図7】この発明の実施例1の冷却条件における熱伝達
特性を示す図である。
【図8】この発明の第2実施態様の方法を実施するため
の装置の一例を示す概略側面図である。
【図9】この発明の第3実施態様の方法を実施するため
の装置の一例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 移送ロール 1a 上部ロール 1b 下部ロール 2 鋼板 3 スリットノズル 4 円管ノズル 5 上部冷却水供給用ヘッダ 6 下部冷却水供給用ヘッダ 7 上部ミスト冷却ノズル 8 下部ミスト冷却ノズル 9 空気噴射ノズル 10 制御弁
フロントページの続き (72)発明者 平田 直人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 功 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 藤田 米章 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 内村 孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延され、テーブルローラ上を移送
    される高温の鋼板を、前記テーブルローラに沿って設け
    られた冷却ゾーンにおいて冷却する方法において、前記
    冷却ゾーンを前段冷却ゾーンと後段冷却ゾーンとに区画
    し、前記前段冷却ゾーンにおいて、熱流束が鋼板の温度
    に対して正の勾配を有する膜沸騰領域の間、前記高温の
    鋼板を水冷し、次いで、前記後段冷却ゾーンにおいて、
    熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配を有する核沸騰領
    域の間、前記鋼板を水冷することを特徴とする、高温鋼
    板の冷却方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延され、テーブルローラ上を移送
    される高温の鋼板を、前記テーブルローラに沿って設け
    られた冷却ゾーンにおいて冷却する方法において、前記
    冷却ゾーンを衝風冷却ゾーンと水冷却ゾーンとに区画
    し、前記衝風冷却ゾーンにおいて、熱流束が鋼板の温度
    に対して正の勾配を有する膜沸騰領域の間、前記高温の
    鋼板を衝風によって冷却し、次いで、前記水冷却ゾーン
    において、熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配を有す
    る核沸騰領域の間、前記鋼板を水冷することを特徴とす
    る、高温鋼板の冷却方法。
  3. 【請求項3】 熱間圧延され、テーブルローラ上を移送
    される高温の鋼板を、前記テーブルローラに沿って設け
    られた冷却ゾーンにおいて冷却する方法において、前記
    冷却ゾーンを、冷却水のON、OFFによって間欠的な
    水冷が行われる機構となし、OFFゾーンにおいて、前
    記鋼板を空冷し、このような間欠的な水冷によって、前
    記鋼板を、熱流束が鋼板の温度に対して正の勾配を有す
    る膜沸騰領域および核沸騰領域において冷却することを
    特徴とする、高温鋼板の冷却方法。
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