JPH10206004A - 浄水機構付き冷蔵庫 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミネラル（アルカリ成分）を増やした「健康
によい美味しい水」が家庭用冷蔵庫から常時得られるも
のを提供することを目的とする。 【解決手段】 貯水槽内に当該貯水槽に貯水あるいは流
水された被浄化水に直流を流す１対または複数対の電極
を配設し、前記直流の作用で移動するイオンを選択的に
透過あるいは抑留複数の隔壁により、前記貯水槽を溶存
するイオン量およびｐＨ値がそれぞれ異なる値の水に整
水する複数の整水槽に区画してなる電気浄水機構を有
し、前記複数の整水槽に整水された飲料用美味しい水を
配水する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば冷蔵庫に内
蔵給水システムに用いる浄水機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、水道水の原水には、淡水に属す
る河川水、湖沼水、人工ダムや池などの水を用いてい
る。これらの原水は浄水場で浄化されるもので、水道水
をつくるためには次のような処理が行われる。まず、浄
水処理のために取り入れられた原水を沈殿池、濾過池の
順に通すことにより、懸濁物質、細菌、鉄、マンガン、
臭いの原因や不快を催す有機成分などを除去して清浄な
水にする。次に、生物化学的には、まだ活性な状態であ
るため、微生物や細菌類が存在したり、あるいは発生し
たりするために浄水工程の最後に消毒処理が行われる。
この処理は主に塩素ガスやさらし粉などを添加して行わ
れる。この処理後、水道水として各家庭や地域に供給さ
れるようになる。

【０００３】上記のように水道水は、浄水場において浄
水処理され、飲料水として適する水になっているが、原
水中に溶存する物質がすべて除去されているわけでわな
い。浄水場で清浄にされた水道水に溶存している主な成
分としては、ミネラル、炭酸、塩素イオン、シリカ、
鉄、有機物などがある。ミネラル、鉄およびシリカなど
は、山や大地の鉱石などから溶出して、イオンなどの形
態で原水に溶け込む。これからの成分は浄水場では除去
しきれないので、そのまま水道水中に溶存した状態で家
庭などに供給されている。炭酸は地中の炭酸化合物が原
水に溶解したり、空気中の二酸化炭素が水に溶け込むこ
とによって生成される。塩素イオンや次亜塩素イオンは
浄水場で行われる消毒処理に用いられる塩素がイオン化
した状態で存在する。有機成分は水道水の原水である河
川や湖、沼などで発生した藻や細菌などから放出される
成分やこれらの本体が分解して生じた物質が浄水場で完
全に除去しきれずに極微量ではあるが水道水に溶存して
しまう。一般家庭では、この水道水を飲料や料理等に用
いている。

【０００４】近年の健康ブームに伴って、水、特に水道
水に対する関心が高まっており、水道水に何らかの処理
を行い、飲料に不快なカルキ臭の主成分である残留塩素
やトリハロメタンなどの揮発性有機成分を除去する事が
できる浄水器や電気分解等により水のｐＨ値を調整でき
るアルカリイオン水整水器などが市場に数多く販売され
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の冷蔵庫に搭載さ
れている冷水供給機構は、フィルターや活性炭を組み合
わせた浄水カートリッジさえも付いていないため、水道
水の臭気が残り、冷やしただけでは美味しい水になりえ
ていない。

【０００６】最近、一般家庭において水に関する関心が
高まり、ミネラルウォーターの需要が著しく伸びてい
る。特に水道水に取って代わり飲料水としてポジション
が定着しつつある。

【０００７】本発明は、飲料に不快な臭気や有害成分を
取り除いた上、ミネラル（アルカリ成分）を増やした
「健康によい美味しい水」が家庭用冷蔵庫から常時得ら
れるものを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項１記載の発明は、貯水槽内に当該貯水槽に貯
水あるいは流水された被浄化水に直流を流す１対または
複数対の電極を配設し、前記直流の作用で移動するイオ
ンを選択的に透過あるいは抑留複数の隔壁により、前記
貯水槽を溶存するイオン量およびｐＨ値がそれぞれ異な
る値の水に整水する複数の整水槽に区画してなる電気浄
水機構を有し、前記複数の整水槽に整水された飲料用美
味しい水を配水することを要旨とする。この構成によ
り、移動する被浄化水内のイオンを複数の隔壁で選択的
に透過あるいは抑留することで複数の整水槽に、溶存す
るイオンが少ない無イオン水、カチオンとアニオン量が
増加したアルカリイオン水、カチオンのみが減少した酸
性水を同時に整水することが可能となる。無イオン水は
自動製氷機に用いると氷表面に時々発生した白色の粉が
なくなる。アルカリイオン水はミネラルウォーターと同
様に、飲料用に最適である。酸性水は飲料に適さないの
で排水する。

【０００９】請求項２記載の発明は、上記請求項１記載
の浄水機構付き冷蔵庫において、前記貯水槽に前記被浄
化水として水道水を供給する給水機構と、前記配水用の
配水機構と、前記貯水槽から不要な水を排水する排水機
構とを有することを要旨とする。この機構により、冷蔵
庫から容易に健康によい美味しい水が常時得られる。

【００１０】請求項３記載の発明は、上記請求項１記載
の浄水機構付き冷蔵庫において、前記貯水槽は着脱式
で、貯水槽に前記被浄化水として水道水を給水し、冷蔵
庫に装着後電気浄水でミネラル成分が増加した健康によ
い美味しい水が得ら、飲料する。不要な酸性水は貯水槽
に水道水を給水するときに排水する。

【００１１】請求項４記載の発明は、上記請求項１記載
の浄水機構付き冷蔵庫において、前記電気浄水機構は、
前記貯水槽内に陽極および陰極を離隔し、該陽極および
陰極間に前記隔壁となるカチオン交換膜とアニオン交換
膜とを交互に配置した構成を有する電気透析浄水機構で
あることを要旨とする。この構成により、陽極、陰極間
に直流電圧を与えることで、陽極は被浄化水中に溶存す
るカチオンを反発し、アニオンを引き付けるように作用
し、陰極はこれと逆にアニオンを反発し、カチオンを引
き付けるように作用する。カチオン交換膜は上記の作用
で移動するカチオンだけを選択的に透過し、アニオンの
移動は抑留するように作用する。アニオン交換膜はこれ
と逆にアニオンだけを選択的に透過し、カチオンの移動
は抑留するように作用する。これらの作用で複数の整水
槽に、前記の無イオン水、アルカリイオン水、酸性水な
どを同時に且つ確実に整水することが可能となる。

【００１２】請求項５記載の発明は、上記請求項１記載
の浄水機構付き冷蔵庫において、前記電気浄水機構は、
前記貯水槽内に陽極および陰極を離隔し、該陽極および
陰極間に前記隔壁となるイオン透過性を有する隔壁を１
枚または複数枚配置した構成を有する電気透析浄水機構
であることを要旨とする。この構成により、陽極、陰極
間に直流電圧を与えることで、陽極は被浄化水中に溶存
するカチオンを反発し、アニオンを引き付けるように作
用し、陰極はこれと逆にアニオンを反発し、カチオンを
引き付けるように作用する。イオン透過性を有する隔壁
は電解作用で泳動するイオンが自由に通過でき、陰極の
近傍にアルカリイオン水が生成され、陽極近傍に酸性水
が生成する。

【００１３】請求項６記載の発明は、上記請求項４，５
記載の浄水機構付き冷蔵庫において、前記陽極および陰
極の表面には、白金をコーティングまたは白金薄膜を形
成してなることを要旨とする。この構成により、電気透
析浄水の際、白金自体が水に溶出することがなく、表面
にスケール付着が生じた時には陽極、陰極の極性を逆転
させることで表面に付着したスケールを溶出させて取り
除くことが可能となる。従って、電気透析浄水機構を常
に効率よく稼働させることが可能になった。

【００１４】請求項７記載の発明は、上記請求項２記載
の浄水機構付き冷蔵庫において、前記貯水槽の前段に
は、前記水道水から有機物を除去する吸着剤を充填した
脱臭機構と、前記水道水に電解質を付与する電解質添加
剤を充填した電解質添加剤とを装備してなることを要旨
とする。この構成により、電気透析浄水処理前に活性炭
等による脱臭を行うと被浄化水である水道水の不快なカ
ルキ臭の主成分である残留塩素や有害物質であるトリハ
ロメタンなどの揮発性有機成分が除去されて一層飲料用
として好適な水とすることが可能となる。また水道水に
電解質が付与されると電気透析浄水処理におけるイオン
移動の効率が向上して前記のアルカリイオン水、無イオ
ン水を短時間で且つ低電力で整水することが可能とな
る。

【００１５】請求項８記載の発明は、上記請求項７記載
の浄水機構付き冷蔵庫において、前記吸着剤は活性炭ま
たは活性炭素繊維の少なくとも何れかを含んだものであ
り、前記電解質添加剤は乳酸カルシウム、グリセロリン
酸カルシウムなどのカルシウム塩などの薬剤または麦飯
石等の鉱石の少なくとも何れかを用いることを要旨とす
る。この構成により、水道水からの有機物の除去と水道
水への電解質の付与が容易に、適切に行われる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
から図３に基づいて順に説明する。

【００１７】浄水システム全体 図１は、冷蔵庫に搭載する浄水システムの全体構成を示
している。同図において、１は被浄化水である水道水を
貯水あるいは流水する貯水槽であり、貯水槽１内に本シ
ステムの中心となる電気浄水機構としての電気透析浄水
機構２が次のように構成されている。即ち、貯水槽１内
の両側に１対の電極となる陽極３と陰極４とが対向配設
され、その間に仕切り板を兼ねたカチオン（陽イオン）
交換膜５ａ，５ｂとアニオン（陰イオン）交換膜６ａ，
６ｂとが所要間隔をおいて交互に配設されている。カチ
オン交換膜５ａ，５ｂとアニオン交換膜６ａ，６ｂは、
陽極３と陰極４間を流れる直流の作用で移動する水道水
内のイオンを選択的に透過あるいは抑留する隔壁として
作用するもので、これらの隔壁により、貯水槽１は、溶
存するイオン量およびｐＨ値をそれぞれ異なる値の水に
整水（創水）する第１槽〓、第２槽〓、第３槽〓、第４
槽〓、第５槽〓に区画されている。これらの各整水槽〓
〜〓に、溶存イオンが殆どない無イオン水、ミネラル成
分が増加したミネラル水（アルカリイオン水）、酸性に
傾いた酸性水（アストリンゼン）が同時につくられる。
７は電気透析浄水機構２の第２槽〓、第４槽〓でつくら
れたミネラル水を飲料用給水口（ディスペンサー）に配
水する配管である。８は第３槽〓につくられた無イオン
水を製氷機へ配水する配管である。９は水道管（図示せ
ず）より貯水槽１に水道水を配水する配管である。１０
は貯水槽１に水道水を供給する給水機構であり、制御弁
１１〜１５が備えられている。１６は配水弁であり、貯
水槽１の第１槽〓、第５槽〓でつくられる飲料に適さな
い水を排水用配管１７に排水する機構を有している。排
水時期は一定の処理時間とタイマーなどで制御して排水
する。また、配管９と給水機構１０との間には、活性炭
や精密濾過フィルター等が装着された脱臭機構１８およ
び水道水に電解質を添加する電解質添加槽１９が装着さ
れている。２０は給水制御弁である。

【００１８】次に、図２を用いて、電気透析浄水機構２
の構成の詳細および作用を説明する。電気透析浄水機構
２は、貯水槽１内に、同図の左側から陽極３、カチオン
交換膜５ａ、アニオン交換膜６ａ、カチオン交換膜５
ｂ、アニオン交換膜６ｂ、陰極４の順に配置された１対
の電極と複数のイオン交換膜で構成されている。陽極
３、陰極４間に直流電圧を約１００［Ｖ］与えること
で、陽極３は水道水中に溶存するカチオン（陽イオン）
を反発し、アニオン（陰イオン）を引き付けるように作
用し、陰極４はこれと逆にアニオンを反発し、カチオン
を引き付けるように作用する。カチオン交換膜５ａ，５
ｂは上記直流電圧の作用で移動するカチオンだけを選択
的に透過し、アニオンの移動は抑留するように作用す
る。アニオン交換膜６ａ，６ｂはこれと逆にアニオンだ
けを透過し、カチオンの移動は抑留するように作用す
る。このように、カチオン交換膜５ａ，５ｂとアニオン
交換膜６ａ，６ｂとは隔壁としての機能も有することか
ら、貯水槽１は、カチオン交換膜５ａと貯水槽左側外壁
との間が陽極３が存在する第１槽〓、カチオン交換膜５
ａとアニオン交換膜６ａとの間が第２槽〓、アニオン交
換膜６ａとカチオン交換膜５ｂとの間が第３槽〓、カチ
オン交換膜５ｂとアニオン交換膜６ｂとの間が第４槽
〓、アニオン交換膜６ａと貯水槽右側外壁との間が陰極
４が存在する第５槽〓の各整水槽の区画されている。

【００１９】次いで、浄水システムとしての作用を説明
する。水道直結配管９に接続された制御弁２０を開き、
給水機構１０を経由して電気透析浄水機構２の各整水槽
〓〜〓に水道水を供給する。同時に陽極３、陰極４に直
流電圧１００［Ｖ］をかけると、図３に示すように、第
１槽〓は原水の水道水に比べて溶存するカチオンのみが
減少する。第２槽〓と第４槽〓には他の槽から移動した
カチオンとアニオンが共に増加する。第３槽〓にはカチ
オンとアニオンが共に他の槽に移動して溶存するイオン
が少ない無イオン水が生成される。また第５槽〓はアニ
オンのみが減少する。

【００２０】図４は冷蔵庫に浄水システムを搭載した一
例を示している。同図を用いて、貯水槽１に具備されて
いる電気透析浄水機構２で得られるミネラル水（アルカ
リイオン水）、無イオン水、酸性水など飲用に適さない
水の冷蔵庫における給水動作および配水動作を具体的に
説明する。

【００２１】家庭の水道管に接続して貯水槽１に水道水
を供給する水道直結配管９を通水された水道水が給水機
構１０を含む配水部２１で分配され、電気透析浄水機構
２の各槽に水道水が供給される。該浄水機構２におい
て、飲料用としてのミネラル水（アルカリイオン水）は
第２槽〓と第４槽〓で得られ、給水機構１０からの給水
による水圧または給水ポンプ等のメカニカルな動作で配
管７を流れ、飲料用給水口（ディスペンサー）２２に配
水される。無イオン水もこれと同様に配管８を流れ、自
動製氷機２３に配水される。また、酸性水など飲用に適
さない水は配水部２１で分離され、排水管１７を流れて
家庭用廃水溝に流す。あるいは冷蔵庫のドレインパンに
流し蒸発させる。

【００２２】家族が一度に飲料するアルカリイオン水量
と電気透析による浄水性能から、整水能力はアルカリイ
オン水が約１リットル／時間程度できるようにする設定
すると、冷蔵庫に搭載した電気透析浄水機構２を含む貯
水槽１のサイズは約２リットルとなる。

【００２３】浄水システムの設置場所としては、整水さ
れたアルカリイオン水は冷やして飲用できるようにする
ため、また、一般に水温が低いほどイオンの移動が効率
良く行われる点からも冷蔵庫庫内または冷却部近傍に置
くことが望ましい。

【００２４】電極（陽極３と陰極４）に加える直流電圧
は家庭用の交流１００［Ｖ］を整流することから、直流
１００［Ｖ］以下で使用する。低電圧時は電極面積を広
げる等に対策で十分な整水性能が得られる。

【００２５】該電気透析浄水方式は流水系で使用する限
り、メンテナンスは必要ない。電極表面へのスケール付
着が起きても、電極の極性を逆転させることでスケール
を溶出させることができるので整水性能低下はほとんど
ない。但し、電極およびイオン交換膜以外の槽表面に付
着したスケール等については清掃の必要がある。従っ
て、該浄水システムあるいは貯水槽１は使用者が容易に
中の状態を見ることができるところに設置してあること
が望ましい。

【００２６】なお、上述の実施の形態では、電気浄水機
構を１対の電極と複数のイオン交換膜で構成された電気
透析浄水機構２としたが、複数の電極とイオンが比較的
自由に泳動できる複数のイオン透過膜ないしポーラスな
イオン透過壁で構成された電気泳動浄水機構を用いるこ
ともできる。

【００２７】電極とイオン交換膜 電気透析浄水機構２における陽極３と陰極４には、とも
に表面に白金をコーティングあるいは白金薄膜を形成し
たものを使用する。イオン化しやすい金属あるいはＳＵ
Ｓなどの合金を電極に用いて電気透析浄水を行うと、陽
極側の電極表面から電極自体の組成成分がイオン化して
水中に溶出する。また、陰極側は表面にカチオンが析出
して、スケール付着が生じて電気透析の効率を低下させ
るという問題も生じる。これを解決する手段として、上
記のように電極表面に白金を用いると、白金自体は溶出
性はなく、表面にスケール付着が起きた場合、電極の極
性を逆転させることで表面に付着したスケールを溶出さ
せて取り除くことができる。

【００２８】また、イオン交換膜は、濃縮用膜と脱塩用
膜とを用いることで電解質（イオン）の濃縮、除去が行
われて各整水槽にイオン量およびｐＨ値がそれぞれ異な
る値の水が適切に整水される。

【００２９】脱臭機構と電解質添加槽 給水機構１０の前段には、水道水から有機物などと除去
する吸着剤を充填した脱臭機構１８と電気透析浄水処理
前に水道水に電解質を付与する電解質添加槽１９を装備
させる。上記吸着剤には、活性炭や活性炭素繊維を用い
る。また電解質添加槽１９における電解質添加剤には、
乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウムなどの薬剤
または麦飯石などの鉱石を用いる。電気透析浄水処理前
に活性炭等による脱臭を行うと原水である水道水の飲料
に不快なカルキ臭の主成分である残留塩素やトリハロメ
タンなどの揮発性有機成分が除去されて一層飲用しやす
い水となる。また水道水に電解質が付与されると電気透
析浄水処理におけるイオン移動の効率が向上してアルカ
リイオン水および無イオン水を短時間でかつ低電力で整
水することが可能となる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１，２，３
記載の発明によれば、貯水槽内に、当該貯水槽に貯水あ
るいは流水された被浄化水である水道水に直流電流を流
す１対の電極を配設し、前記直流の作用で移動するイオ
ンを選択的に透過あるいは抑留する複数の隔壁により、
前記貯水槽を溶存するイオン量およびｐＨ値がそれぞれ
異なる値の水に調整する複数の整水槽に区画してなる電
気浄水機構を有し、前記複数の整水槽に整水された各水
を用途にあわせて配水するようにしたため、移動する被
浄化水のイオンを複数の隔壁で選択的に透過あるいは抑
留することで複数の整水槽に、カチオンとアニオン量が
増加したアルカリイオン水、溶存イオンが少ない無イオ
ン水、飲料に適さない酸性水を整水することができる。
アルカリイオン水はミネラル水として飲料用に好適であ
り、冷蔵庫で冷やされることで最適な美味しい水が得ら
れる。また、無イオン水は氷にしたときに白色粉の発生
が起こらない。

【００３１】請求項４，５記載の発明によれば、前記電
気浄水機構は、前記貯水槽内に陽極および陰極を離隔し
て配設し、該陽極および陰極間に前記隔壁となるカチオ
ン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配置した構成を有
する電気透析浄水機構としたため、陽極、陰極間に直流
電流を与えることで、陽極は被浄化水中に用存するカチ
オンを反発し、アニオンを引き付けるように作用し、陰
極はこれと逆にアニオンを反発し、カチオンを引き付け
るように作用する。カチオン交換膜は上記の作用で移動
するカチオンだけを選択的に透過し、アニオンの移動は
抑留するように作用する。アニオン交換膜は、これと逆
にアニオンだけを選択的に透過し、カチオンの移動は抑
留するように作用する。従って、これらの作用で、複数
の整水槽に、アルカリイオン水、無イオン水を同時にか
つ確実に整水することができる。

【００３２】請求項６記載の発明によれば、前記陽極お
よび陰極の表面には、白金コーティングまたは白金薄膜
を形成したため、電気透析浄水の際、白金自体は水に溶
出することがなく、表面にスケール付着が生じたときに
は陽極、陰極の極性を逆転させることで表面に付着した
スケールを溶出させて取り除くことができる。従って、
電気透析浄水機構を常に効率よく稼働させることができ
る。

【００３３】請求項７，８記載の発明によれば、前記給
水機構の前段には、前記水道水から有機物を除去する吸
着剤を充填した脱臭機構と、前記水道水に電解質を付与
する電解質添加剤を充填した電解質添加槽とを装備させ
たため、電気透析浄水処理前に活性炭等による脱臭を行
うことで原水である水道水中の不快なカルキ臭の主成分
である残留塩素や有害物質であるトリハロメタンなどの
揮発性有機成分を除去することができて、一層飲料用等
として好適な水とすることができる。また水道水に電解
質を付与することで電気透析浄水処理におけるイオン移
動の効率を向上させて前記のアルカリイオン水および無
イオン水を、図２，３の実験では電解質を加えない場合
は１時間かかるが、電解質にグリセロリン酸カルシウム
を加えると４０分で整水できる。従って、電解質の添加
は短時間で整水することができる。また、前記吸着剤は
活性炭または活性炭素繊維の少なくとも何れかであり、
前記電解質添加剤は乳酸カルシウム、グリセロリン酸カ
ルシウムを含む薬剤または麦飯石を含む鉱石の少なくと
も何れかとしたため、水道水から有機物の除去と水道水
への電解質の付与を容易、適切に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる冷蔵庫搭載浄水システムの実施
の形態を示すシステム構成図である。

【図２】上記実施の形態における電気透析機構の構成図
である。

【図３】上記電気透析浄水機構の各整水槽における通電
１時間後のイオン濃度変化を示した図である。

【図４】冷蔵庫に浄水システムを搭載した一例を示して
いる。

【符号の説明】

１…貯水槽，２…電気透析浄水機構（電気浄水機構），
３…陽極，４…陰極，５ａ，５ｂ…カチオン交換膜，６
ａ，６ｂ…アニオン交換膜，７…飲料用給水口への配水
管，８…自動製氷装置への配水管，９…水道管に直結す
る配水管，１０…給水機構，１１〜１５…給水機構内の
制御弁，１６…配水制御弁，１７…排水管，１８…脱臭
機構，１９…電解質添加槽，２０…給水弁機構，２１…
配水部，２２…飲料用給水口，２３…自動製氷機。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 貯水槽内に、当該貯水槽に貯水あるいは
   流水された被浄化水に直流電流を流す１対または複数の
   電極を配設し、前記直流の作用で移動するイオンを選択
   的に透過あるいは抑留する複数の隔壁により、前記貯水
   槽を溶存するイオン量およびｐＨ値がそれぞれ異なる値
   の水に整水する複数の整水槽に区画してなる電気浄水機
   構を有し、前記複数の整水槽で整水された水を飲料配水
   機構に配水することを特徴とする浄水機構付き冷蔵庫。
2. 【請求項２】 前記貯水槽に前記被浄化水として水道水
   を供給する給水機構と、前記配水用の配水機構と、前記
   貯水槽から不要な水を排水する排水機構とを有すること
   を特徴とする請求項１の浄水機構付き冷蔵庫。
3. 【請求項３】 前記貯水槽は着脱可能で、取り外し時に
   被浄化水として水道水を給水でき、浄水処理後に発生し
   た不要水を排水できる機構を有することを特徴とする請
   求項１の浄水機構付き冷蔵庫。
4. 【請求項４】 前記電気浄水機構は、前記貯水槽内に陽
   極および陰極を離隔して配設し、該陽極および陰極間に
   前記隔壁となるカチオン交換膜とアニオン交換膜とを１
   対または複数対あるいは複数枚に配置した構成を有する
   電気透析浄水機構であることを特徴とする請求項１記載
   の浄水機構付き冷蔵庫。
5. 【請求項５】 前記電気浄水機構は、前記貯水槽内に陽
   極および陰極を離隔して配設し、該陽極および陰極間に
   水中溶存イオンの透過性を有する隔壁を１枚または複枚
   配置した構成を有する電気透析浄水機構であることを特
   徴とする請求項１記載の浄水機構付き冷蔵庫。
6. 【請求項６】 前記陽極および陰極の表面には、白金を
   コーティングまたは白金薄膜を形成してなることを特徴
   とする請求項４，５記載の浄水機構付き冷蔵庫。
7. 【請求項７】 前記貯水槽の前段には、前記水道水から
   有機物を除去する吸着剤を充填した脱臭機構と、前記水
   道水に電解質を付与する電解質添加剤を充填した添加剤
   添加槽とを装備してなることを特徴とする請求項３記載
   の浄水機構付き冷蔵庫。
8. 【請求項８】 前記吸着剤は活性炭または活性炭素繊維
   の少なくとも何れかを含んだものであり、前記電解質は
   乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウムなどのカル
   シウム塩などの薬剤または麦飯石等の鉱石の少なくとも
   何れかを用いることを特徴とする請求項７記載の浄水機
   構付き冷蔵庫。