JPH10197405A - エンジンのインジェクタ検査方法 - Google Patents

エンジンのインジェクタ検査方法

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JPH10197405A
JPH10197405A JP295697A JP295697A JPH10197405A JP H10197405 A JPH10197405 A JP H10197405A JP 295697 A JP295697 A JP 295697A JP 295697 A JP295697 A JP 295697A JP H10197405 A JPH10197405 A JP H10197405A
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JP
Japan
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injector
flow rate
engine
inspection
cylinder
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JP295697A
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English (en)
Inventor
Naoyuki Maruta
直行 丸田
Nobuaki Suzuki
延明 鈴木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インジェクタをエンジンに組み付けた状態で簡
単に検査し得るインジェクタ検査方法を得る。 【解決手段】モータ144によって被検査エンジン13
8のクランクシャフトを定速回転させ、被検査エンジン
138に組み付けたインジェクタ10に圧縮空気を供給
し、実際のタイミングと同じタイミングで圧縮空気の噴
射を開始させ、圧縮空気の流量に基づいて各インジェク
タ10の状態を判定する。圧縮空気を噴射する時間は、
検査に必要な流量を確保するため、実際に燃料を噴射す
る時間よりも長くする。エンジンに組み付けた状態のイ
ンジェクタの検査をファイヤリングによらずに実施でき
るので、検査の前後の工程を簡略化でき、また、爆発ノ
イズ等による擾乱の少ない状況で検査できるので、検査
精度が向上する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのインジ
ェクタを検査する方法に関するものであり、特に、エン
ジンに組み付けた状態で検査を行う方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】インジェクタの検査方法には、エンジン
に組み付ける前に単体で検査する方法と、エンジンに組
み付けた後に検査する方法との2つがある。前者は例え
ば特開平4−370365号公報に記載されており、後
者は例えば特開昭56−14853号公報に記載されて
いる。特開平4−370365号公報に記載の検査方法
は、単体の被検査インジェクタに一定圧力のエアを供給
し、そのインジェクタの開状態と閉状態との両方におい
てそれぞれエアの流量を検出し、両検出流量をそれぞれ
開状態基準流量および閉状態基準流量と比較することに
より、被検査インジェクタの良否を判定する方法(単体
静的検査法と称する)である。一方、特開昭56−14
853号公報に記載の検査方法は、エンジンに組み付け
られた各インジェクタと電源との間に直列にそれぞれス
イッチを接続し、一定のスロットル開度でエンジンを自
力回転させた状態で上記スイッチを1個ずつ順次開き、
吸気系のスロットル弁より下流側の部分の圧力を測定し
て、その圧力測定結果に基づいて各インジェクタの合否
を判定する方法(ファイヤリング検査法と称する)であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】上記2つの方法によればそれぞれインジェク
タの合否を判定することができるのであるが、単体静的
検査法による場合は、エンジンに組み付けられて実際に
作動する状態の検査を行うことができず、単体検査後の
運搬時やエンジンへの組付時等に生じた故障を発見する
ことができず、また、インジェクタ駆動回路の不良を発
見することができない。ファイヤリング検査法によれ
ば、これら不都合は解消し得るが、上記吸気系の圧力に
はインジェクタ不良のみならず、インジェクタ以外の部
分の不良に起因する点火異常等も影響し、インジェクタ
検査の信頼性が低くなることを避け得ない。また、ファ
イヤリングにより発生する排ガス,火炎,騒音等により
作業環境が悪化するため、十分な環境改善設備が必要と
なり、消火設備も必要となる。さらに、組立ラインにお
ける検査の場合に、エンジンがほぼ完全に組上がってか
らしか検査ができず、不良発見時の組付工程へのフィー
ドバックが遅れる。本発明は、以上の事情を背景とし
て、単体静的検査法とファイアリング検査法との上記問
題をできる限り多く解消することができるインジェクタ
検査方法を得ることを課題として為されたものである。
【0004】そして、本発明の特徴は、燃料を噴射する
インジェクタを組み付けたエンジンを外部回転駆動装置
により回転駆動するとともに、インジェクタに圧縮気体
を供給してその圧縮気体の流量を検出し、検出流量に基
づいてインジェクタの状態を判定することにある。この
インジェクタ検査方法の実施に当たっては、インジェク
タを開くタイミングをエンジン運転時と同じとし、開時
間を実際の燃料噴射のための開時間より長くすることが
望ましい。
【0005】上記のように、組付状態のインジェクタに
圧縮気体を供給しつつエンジンをモータリングすれば、
各インジェクタの噴出口周辺の圧力状態はエンジン作動
時に近い状態となる。したがって、各インジェクタは実
際に近い条件下で気体を噴射することとなり、その際の
インジェクタへの圧縮気体の流量を検出すれば、インジ
ェクタの噴射状態を知ることができる。ただし、液体で
ある燃料の噴射と気体の噴射は同じではないことを考慮
する必要がある。例えば、インジェクタを始めすべてが
正常であることが判っている正常エンジンについて予め
同様な試験を行い、圧縮気体の流量(基準流量と称す
る)を検出しておいて、被検査エンジンの流量を基準流
量と比較すれば、被検査エンジンのインジェクタの合否
を判定することができる。また、気体は脈動が発生し易
いため、実際の燃料噴射時と同じ時間インジェクタを開
いたのでは、インジェクタの良否による差異が検出流量
に十分現れない。十分なS/N比が得られないのであ
る。したがって、インジェクタを開くタイミングは通常
の燃料噴射時と同じでよいが、インジェクタを開状態に
保つ開時間を長くし、気体の流量が十分大きくなるまで
インジェクタを開いておくことが望ましい。
【0006】本発明のインジェクタ検査方法によれば、
実際の作動状態に近い状態で検査を行うことができ、エ
ンジンへの組付時等に発生した故障も発見することがで
きる。また、不可欠ではないが、検査時のインジェクタ
駆動回路として実際のエンジンのインジェクタ駆動回路
を使用すれば、インジェクタ駆動回路の不良を発見する
こともできる。その上、点火異常等の影響を排除して検
査の信頼性を高めることができ、環境改善設備が簡易な
もので済み、消火設備が不要となる。また、組立ライン
における検査の場合に、ファイヤリング検査方法に比較
して早い段階でインジェクタ不良を発見することがで
き、組付工程における対策を早期に講ずることが可能と
なる。さらに、動弁系の検査等、モータリング検査が適
する検査と共に行えば、エンジンを検査台に固定し、外
部回転駆動装置に接続する等の準備に要する時間を他の
検査にも分担させることができ、全体として検査能率を
向上させ、検査コストを低減させることができる。
【0007】
【発明の補足説明】本発明は上記各請求項に記載の態様
の外に、下記の態様でも実施可能である。実施の態様
は、便宜上、請求項と同じ形式の実施態様項として記載
する。 (1)前記流量の検出を前記インジェクタの開期間に行
い、その開期間における検出流量の最大値が、第1設定
下限値以下である場合にインジェクタ流量小不良と誤品
組付けとの少なくとも一方が発生していると判定する請
求項1または2に記載のインジェクタ検査方法。 (2)前記流量の検出を前記インジェクタの開期間に行
い、その開期間における検出流量の最大値が、第1設定
上限値以上である場合にインジェクタ流量大不良と誤品
組付けとの少なくとも一つが発生していると判定する請
求項1,2,実施態様項1のいずれか1つに記載のイン
ジェクタ検査方法。 (3)前記流量の検出を前記インジェクタの開期間に行
い、その開期間における検出流量が実質的に0である場
合にインジェクタが不作動であると判定する請求項1,
2,実施態様項1,2のいずれか1つに記載のインジェ
クタ検査方法。 (4)前記インジェクタを開くタイミングをエンジン運
転時と同じとした請求項1,実施態様項1ないし3のい
ずれか1つに記載のインジェクタ検査方法。 (5)前記インジェクタの開期間を実際の燃料噴射のた
めの開期間より長くした請求項1,実施態様項1ないし
3のいずれか1つに記載のインジェクタ検査方法。 (6)前記インジェクタの開期間を、インジェクタの正
常品と不良品との差が前記検出流量の差として現れるこ
とが保証される範囲内で最も短い期間に選定した請求項
1,実施態様項1ないし4のいずれか1つに記載のイン
ジェクタ検査方法。 (7)前記流量の検出を行なう期間を、前記インジェク
タが前記開期間の間開かれることに起因して発生する検
出流量の最大値が現れることが保証される範囲内で最も
短い期間に選定した請求項1,実施態様項1ないし4の
いずれか1つに記載のインジェクタ検査方法。 (8)前記流量の検出を前記インジェクタの閉期間に行
い、その閉期間における検出流量が第2設定上限値以上
である場合にインジェクタに異物噛み,プランジャ摺動
不良等による漏れが生じていると判定する請求項1,
2,実施態様項1ないし7のいずれか1つに記載のイン
ジェクタ検査方法。 (9)前記検出流量に基づくインジェクタの状態判定
を、正常なインジェクタを組み付けた正常エンジンにお
ける同時期の検出流量との比較によって行う請求項1,
2,実施態様項1ないし8のいずれか1つに記載のイン
ジェクタ検査方法。本実施態様項から実施態様項11ま
での状態判定は択一的に採用することも、併用すること
も可能である。 (10)検出流量に基づくインジェクタの状態判定を、
同一エンジンの別のインジェクタにおける検出流量との
比較によって行う請求項1,2,実施態様項1ないし9
のいずれか1つに記載のインジェクタ検査方法。 (11)前記検出流量に基づくインジェクタの状態判定
を、前記開期間における検出流量と前記閉期間における
検出流量との差によって行う請求項1,2,実施態様項
1ないし10のいずれか1つに記載のインジェクタ検査
方法。 (12)燃料を噴射する正常なインジェクタを組み付け
た正常エンジンを外部回転駆動装置により回転駆動する
とともに、インジェクタに圧縮気体を供給してその圧縮
気体の流量を検出する気体正常流量検出工程と、前記正
常なエンジンにおいて加圧燃料をインジェクタに供給し
てインジェクタ開時期における流量を検出する燃料正常
流量検出工程と、前記正常エンジンと同種の被検査エン
ジンのインジェクタに圧縮気体を供給して流量を検出
し、得られた検出流量と、前記気体正常流量検出工程と
燃料正常流量検出工程とにおいて取得された両正常検出
流量の関係とに基づいて、被検査エンジンにおけるイン
ジェクタ開時期の加圧燃料流量を推定する燃料流量推定
工程とを含むことを特徴とするインジェクタ検査方法。 (13)前記気体正常流量検出工程と前記燃料正常流量
検出工程とを前記圧縮気体と前記加圧燃料との圧力をそ
れぞれ複数種類に変えて実施する実施態様項12に記載
のインジェクタ検査方法。 (14)燃料を噴射するインジェクタを組み付けたエン
ジンを回転駆動する外部回転駆動装置と、インジェクタ
に圧縮気体を供給する圧縮気体供給装置と、その圧縮気
体供給装置により供給される圧縮気体の流量を検出する
流量検出装置と、その流量検出装置による検出流量に基
づいてインジェクタの状態を判定するインジェクタ状態
判定装置とを含むことを特徴とするエンジンのインジェ
クタ検査装置。 (15)さらに、前記インジェクタを、エンジン運転時
と同じタイミングで開き、実際の燃料噴射時より長い時
間開状態に保つインジェクタ制御装置を含む実施態様項
14に記載のインジェクタ検査装置。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本願の各発明に共通の実施
形態であるエンジンのインジェクタ検査方法を、その実
施に好適な検査システムとともに説明する。本実施形態
の検査方法およびシステムは、エンジン組立過程におい
て発生する可能性のあるインジェクタ不良の有無を、各
気筒ごとに独立に検査できるものである。
【0009】図1は、インジェクタ10の内部構造を示
す断面図である。インジェクタ10は、ニードル弁装置
14と、そのニードル弁装置14を駆動する電磁駆動装
置16とを含んでいる。ニードル弁装置14は、本体2
0内に取り出し不能に配設されたノズル部材22と可動
子24とを含んでいる。可動子24は、ノズル部材22
の概して円筒状の摺動穴26の内部に、軸線方向に摺動
可能に設けられている。可動子24の先端部(図1にお
いて左側の端部)は截頭円錐状の弁子28とされてい
る。ノズル部材22は概して有底筒状をなす部材であ
り、底部をインジェクタ10の先端側にして本体20に
保持されていて、穴の底部に弁子28が着座する弁座3
0が形成されている。これら弁子28および弁座30に
よって、噴射弁32が構成されている。ノズル部材22
の内部において、可動子24が、図1における左右方向
に移動することによって、噴射弁32が開閉させられ
る。ノズル部材22の先端部には分岐キャップ36が嵌
合されている。これらノズル部材22および分岐キャッ
プ36の外側に取付キャップ38が嵌合され、本体20
に固定されている。取付キャップ38は固定後は本体2
0の一部として機能する。ノズル部材22と本体20と
の間には、貫通穴を備えたスぺーサ42が挿入されてお
り、可動子24に形成されたフランジ部44と係合する
ことによって可動子24の後退限度(図1における右方
向への移動限度)を規定する。
【0010】電磁駆動装置16は、ボビン50に保持さ
れたコイル52と、2つの電極54を備えた電気コネク
タ56とを含んでいる。2つの電極54は、それぞれコ
イル52の巻線に接続されている。ボビン50および電
気コネクタ56は、保持部材60に一体的に保持されて
おり、その保持部材60は、本体20に取り外し不能に
取り付けられている。電磁駆動装置16はコア64を備
えている。コア64は、ニードル弁装置14の可動子2
4の、弁子28とされている側とは反対側の端部に取り
外し不能に取り付けられている。また、コア64は、ス
プリング68によってニードル弁装置14側に付勢され
ている。スプリング68は、保持部材60に形成された
貫通穴の内部において、ねじ部材70とコア64との間
に配設されている。ねじ部材70は、保持部材60の貫
通穴に形成された雌ねじに螺合されており、このねじ部
材70の軸線方向(図1において左右方向)の位置を調
節することによって弁子28が弁座30に着座する際の
当接力を調節することができる。なお、ねじ部材70に
も、燃料を供給するための通路としての貫通穴74が形
成されている。
【0011】燃料は、フィルタ76,保持部材60の貫
通穴およびねじ部材70の貫通穴74を通って、コア6
4の内部に供給される。その際の圧力は、約0.29M
Pa(3kgf/cm2 )である。燃料は、コア64の
内部において2系統に分かれる。一方の系統は、可動子
24に形成された燃料の通路としての深穴80と、その
深穴80をその底部近傍において軸線に対して直交する
方向に貫く貫通穴82とを経て噴射弁32に到達する系
統である。もう一方の系統は、可動子24の、コア64
への取付部に形成された平坦部86,スペーサ42の貫
通穴,ノズル部材22の摺動穴26を経て噴射弁32に
到達する系統である。摺動穴26は燃料の通路としても
機能するのである。本体20とノズル部材22との間,
本体20とボビン50との間および保持部材60とボビ
ン50との間には、燃料が外部に漏洩することを防止す
るためにOリング92,94および96が設けられてい
る。また、保持部材60の図示しない燃料配管との嵌合
部にもOリング98が設けられている。
【0012】電極54に電力が供給されない状態では、
スプリング68の付勢力によって噴射弁32は閉じた状
態にある。電極54に電圧が印加されると、コイル52
に電流が流れ、磁界が発生する。この磁界は、コア64
を、スプリング68の付勢力に抗して図1において右方
向に移動させるために十分な強さを持っており、噴射弁
32が開かれる。コア64の移動距離は、前述のように
スペーサ42とフランジ部44との係合によって規定さ
れる。噴射弁32が開かれると、燃料が分岐キャップ3
6において2つに分岐させられて噴射される。それら2
つに分岐させられた燃料噴流は、それぞれが図示しない
吸気バルブに直接供給されるようになっている。図1に
示したインジェクタ10は、各気筒ごとに吸気バルブを
2つ持つタイプのエンジンに使用されるものなのであ
る。
【0013】図2は、本願のインジェクタ検査方法の実
施に好適な検査システムの構成を示すシステム構成図で
ある。本実施形態の検査システム120は、検査台12
4と、圧縮気体としての圧縮空気を供給する圧縮空気供
給装置126と、噴射制御判定装置128とを含んでい
る。検査台124は、ベース132を備え、そのベース
132にマウント134を介して被検査エンジン138
が設置される。さらに、ベース132には、サブベース
142が搭載され、そのサブベース142にはモータ1
44と軸受146および148が搭載されている。モー
タ144の回転軸は、軸受146および148に保持さ
れた駆動軸150に接続されており、駆動軸150はカ
プリング152を介して被検査エンジン138の図示し
ないクランクシャフトに接続されている。したがって、
モータ144が回転させられると、被検査エンジン13
8のクランクシャフトが回転させられ、いわゆるモータ
リングが行われる。モータ144,駆動軸150,軸受
146および148等により外部駆動装置が構成されて
いるのである。
【0014】圧縮空気供給装置126は、圧縮空気をデ
リバリパイプ156に供給する圧縮空気供給パイプ15
8を含んでいる。その圧縮空気供給パイプ158の途中
には、上流側に圧力調整弁160が、また、下流側に空
気流量計162が設けられている。圧力調整弁160
は、圧縮空気の圧力を、圧縮空気供給源からの供給圧力
以下の一定の圧力に調整するものである。その一定の圧
力値は、本実施形態においては0.29MPa(3kg
f/cm2 )とされている。また、空気流量計162は
差圧式の流量計であり、その計測精度は約0.1cm3
/minである。
【0015】噴射制御判定装置128は、被検査エンジ
ン138の図示しないクランク角センサからの出力であ
るTDC信号に基づいて、各気筒のインジェクタ10に
噴射指令を出す。具体的には、各インジェクタ10の電
極54にパルス電圧を供給する。噴射指令1は、気筒番
号nが1である気筒に組み付けられるインジェクタ10
に対して出される。以下同様に、噴射指令の番号と、気
筒番号nとは一致させられている。なお、噴射指令1な
いし4が出される順番は、噴射指令1→噴射指令3→噴
射指令4→噴射指令2の順であり、被検査エンジン13
8の各気筒の爆発順に一致させられている。噴射制御判
定装置128には、空気流量計162からの流量信号Q
が入力される。これにより、噴射制御判定装置128は
各気筒に対応するインジェクタ10が噴射する空気の流
量を取得でき、また、その取得結果に基づいて、各イン
ジェクタ10の状態を判定できる。
【0016】図3は、上述の検査システム120を用い
て取得された流量信号Qの変化の一例を示すグラフであ
る。図3に示す流量信号Qは、モータ144が、一定の
回転速度(約100rpm)で回転させられている状態
で取得されたものである。噴射制御判定装置128は、
モータ144の回転速度が一定となった後、最初にTD
C信号を受信するまでの初期期間中、流量信号Qを取得
し続ける。モータ144の回転数が一定となったか否か
は、TDC信号を受信する間隔に基づいて判定される。
図3に示した例では、時期t0においてモータ144の
回転速度が一定になったものとする。初期期間中に取得
される流量信号Q(一定値)を初期流量Q0と称する。
なお、初期期間の長さが、例えば、100ms以上でな
い場合は、上記最初のTDC信号は無視され、その次に
受信されるTDC信号が、最初のTDC信号とされるよ
うにしてもよい。このようにすれば、初期流量Q0を取
得できる期間が100ms以上確保されることとなり、
初期期間中における複数の流量信号Qの平均値として初
期流量Q0を取得する等の処理を行うことが可能とな
る。初期流量Q0は、各インジェクタ10が作動させら
れていない状態における空気の流量、つまり、各インジ
ェクタ10の噴射弁32からの漏れ流量である。
【0017】噴射制御判定装置128は、前記最初のT
DC信号を時期t1において受信すると、直ちに噴射指
令1を開期間Δt(本実施形態においては30ms)の
間出し続ける。この開期間Δtの値は、実際に液体であ
る燃料を噴射する期間(例えば、2msないし3ms)
に比して長く、かつ、正常品と不良品との違いを明確に
検出できる範囲でなるべく短い期間であり、実験的に決
定された値である。圧縮流体である空気の流量に基づい
てこのような違いを明確に検出するためには、液体であ
る燃料よりも長く噴射する必要があるのである。噴射指
令1に応じて気筒番号1に組み付けられたインジェクタ
10の噴射弁32が開くため、流量信号Qが増加し、初
期流量Q0から大きく外れることとなる。各気筒番号n
に組み付けられたインジェクタ10は約30msの間開
かれるのであるが、それに起因する流量信号Qの変化は
開期間Δt(=30ms)よりも長い期間にわたって生
じる。また、その流量信号Qの波形は激しく振動する。
これらはインジェクタ10から噴射される空気が上述の
ように圧縮性を持つために生じる現象である。このよう
に大きく変化する流量信号Qは、ある時期に最大値とな
る。この時期は、被検査エンジン138およびインジェ
クタ10の種類,圧縮空気の圧力,インジェクタ10が
組み付けられる気筒の位置等により異なるが、流量信号
Qが必ず最大値に達することが保証され、かつ、できる
限り短い期間を、実験的に求めることができる。この期
間を計測期間Tとし、計測期間T内における気筒番号1
のインジェクタ10に対応する流量信号Qの最大値を最
大流量Q1と称する。本実施形態においては計測期間T
が約100msとされている。
【0018】噴射制御判定装置128は、時期t2にお
いて噴射指令3を、時期t3において噴射指令4を、さ
らに、時期t4において噴射指令2を出す。これらの噴
射指令は、噴射指令1と同じ開時間Δt(=30ms)
だけ出される。なお、本実施形態においては、被検査エ
ンジン138が4気筒エンジンであるため、噴射指令の
出力順序が上記のようにされているが、他の形式のエン
ジンでは、そのエンジンの各気筒の爆発順序と同じ順序
で噴射指令が出されることになる。また、上記時期t
1,t2,t3およびt4の隣接する時期同士の時間差
(時間差Δt12,Δt23およびΔt34と称する)
は、それぞれ同じ値である。具体的には、Δt12=Δ
t23=Δt34=300msである。上記各時間差が
300msとなるのは、モータ144の回転速度が10
0rpmであり、被検査エンジン138が4気筒の4サ
イクルエンジンであるためであり、これらの時間差も、
他の形式のエンジンの場合には異なる値となることはい
うまでもない。噴射指令が出力されるごとに、流量信号
Qは初期流量Q0から大きく変化することとなる。そし
て、各噴射指令3,4,および2が出された時期からは
じまる各計測期間T内における流量信号Qの最大値が、
それぞれ最大流量Q3,Q4およびQ2として取得され
る。
【0019】なお、図3に示したサージタンク内圧力
は、被検査エンジン138の図示しないサージタンク内
に取り付けられた圧力センサの出力であり、気筒番号n
の値で示したように、各気筒の吸気バルブの状態に影響
される。気筒番号nの吸気バルブが開かれる時期におい
ては、サージタンク内の圧力が急激に上昇を開始してい
る。この時期は、上記時期tn(n=1,2,3,4)
にほぼ一致している。つまり、各インジェクタ10の噴
射弁32が開かれ時期は、実際の車両において燃料が噴
射される時期と同様に、対応する気筒の吸気バルブが開
かれる時期とほぼ一致させられているのである。このこ
とによって、インジェクタ10の先端近傍における圧力
状態が、実際のエンジン運転時に近い状態となる。この
ように、本実施形態の検査システム120は、インジェ
クタ10をエンジンに組み付けた状態で、かつ、実際の
エンジン運転時に近い条件下でインジェクタ10の検査
を実施し得るシステムなのである。
【0020】図4は、噴射制御判定装置128に含まれ
る図示しないROMに格納され、CPUによってRAM
を利用しつつ実行されるメイン処理の内容の一例を示す
フローチャートである。まず、ステップ10(以下、単
に、S10と記す。他のステップについても同じ)にお
いて、上述の方法によって初期流量Q0が取得される。
つぎに、S12おいて、全気筒に関する最大流量Qn
(n=1ないし4)が取得される。各最大流量Qnの取
得順序は、上述のように、Q1→Q3→Q4→Q2であ
る。つぎに、S14において、全気筒に関する流量ダイ
ナミックレンジΔQnが、次式に基づいて算出される。 ΔQn←Qn−Q0 ・・・(1) 流量ダイナミックレンジΔQnは、気筒番号nに対応す
るインジェクタ10の開閉に起因する流量信号Qの(前
記計測期間T内における)最大変化量である。続いて、
S16において、サブルーチンである判定処理がコール
され、その判定結果に基づく判定結果表示処理(後述)
がS18において実行された後に、メイン処理が終了す
る。
【0021】図5は、図4のS16においてコールされ
るサブルーチンである判定処理の内容を示すフローチャ
ートである。まず、S30において、初期流量Q0の値
が、第2設定上限値たるしきい値A未満であるか否かが
判定される。結果がYESであればS32においてフラ
グF0に0が、NOであればS34においてフラグF0
に1がセットされた後に、S36において気筒番号nが
1に初期化される。なお、フラグF0は、その値が0で
ある場合に、各インジェクタ10の噴射弁32が閉じた
状態における漏れが十分小さいこと(良品)を意味し、
その値が1である場合に、少なくとも1つのインジェク
タ10の噴射弁32に漏れが生じていること(不良)を
意味する。S36に続いて、S38において、流量ダイ
ナミックレンジΔQnの値が、第1設定下限値たるしき
い値Bより大きいか否かが判定される。結果がYESで
あればS40において流量ダイナミックレンジΔQnの
値が、第1設定上限値たるしきい値C未満であるか否か
が判定され、結果がYESであれば、S42でフラグF
nに0がセットされる。なお、しきい値A,BおよびC
の値は、それぞれ、以下の式で表される値とされてい
る。 A←meanQ0+3・σ0 ・・・(2) B←meanQn−3・σn ・・・(3) C←meanQn+3・σn ・・・(4) (2)式におけるmeanQ0は、多数の良品のインジ
ェクタ10に対して予め取得された初期流量Q0の値か
ら計算される平均値であり、σ0はその標準偏差であ
る。(3)式および(4)式におけるmeanQnは、
多数の良品のインジェクタ10に対して予め取得された
最大流量Qnの値から計算される平均値であり、σnは
その標準偏差である。
【0022】S38またはS40の判定結果がNOであ
る場合は、それぞれ、S44においてフラグFnに1
が、または、S46においてフラグFnに2がセットさ
れる。そして、S42,S44およびS46のいずれか
の処理が実行された後に、S48の判定が行われる。S
48においては、気筒番号nが4であるか否かが判定さ
れ、4であれば判定処理が終了し、4でなければS50
において気筒番号がインクリメントされた後にS38か
らの処理が繰り返される。このように、フラグFn(n
=1ないし4)の値は、0,1,2のいずれかとされ
る。0である場合は、その気筒番号nに対応するインジ
ェクタ10の流量ダイナミックレンジΔQnが正常であ
り、1である場合は正常品に比して小さく、2である場
合は正常品に比して大きいことを示す。すべてのフラグ
Fnの値が0であれば、その被検査エンジン138に組
み付けられたすべてのインジェクタ10が正常であると
判定されることになる。
【0023】図6は、図4のS18において実行される
判定結果表示処理において使用される表示装置の一例を
示す図である。本実施形態における表示装置180は、
漏れなし表示ランプ184,漏れあり表示ランプ18
6,ΔQn正常表示ランプ群190,ΔQn小表示ラン
プ群192およびΔQn大表示ランプ群194を含んで
いる。これらのうち、漏れなし表示ランプ184および
漏れあり表示ランプ186は、前記フラグF0の値に対
応している。つまり、フラグF0の値が0である場合
は、漏れなし表示ランプ184が点灯させられ、漏れあ
り表示ランプ186は点灯させられない。フラグF0の
値が1である場合は、その逆となる。また、ΔQn正常
表示ランプ群190,ΔQn小表示ランプ群192およ
びΔQn大表示ランプ群194は、前記フラグFnの値
(0,1,2)に対応している。したがって、ΔQn正
常表示ランプ群190,ΔQn小表示ランプ群192お
よびΔQn大表示ランプ群194は、ぞれぞれ、被検査
エンジン138の各気筒ごとに設けられている。図6に
おいて、ハッチングは、そのランプが点灯していること
を示している。つまり、図6に示した例では、被検査エ
ンジン138に漏れがなく、気筒番号1および4の気筒
のΔQnの値が正常であり、気筒番号2の気筒のΔQn
の値が正常な場合に比して小さく、かつ、気筒番号3の
気筒のΔQnの値が正常な場合に比して大きいことを示
している。
【0024】図7は、図6に示した表示装置180の各
ランプの点灯状態に対応する流量信号Qの変化を示すグ
ラフである。この流量信号Qの変化から、気筒番号1お
よび4の気筒のインジェクタ10の開閉が正常に行われ
ていることがわかる。しかし、気筒番号2の気筒に対応
する流量信号Qは、ほとんど初期流量Q0のままで変化
がない。これは、気筒番号2の気筒に組み付けられたイ
ンジェクタ10が、閉じたまま(不作動)であることを
示している。インジェクタ10が閉じたままとなる原因
としては、例えば、電気コネクタ56に接続されるべ
き配線が接続されていない(配線ミス),コイル52
が断線している,コア64と保持部材60との間に異
物が入ってコア64が移動できない,スペーサ42と
可動子24のフランジ部44との間に異物が入ってコア
64が移動できない,コア64と保持部材60との摺
動摩擦の異常な増加によってコア64が移動できない
等、様々な原因が考えられる。
【0025】また、コア64と保持部材60との間ま
たはスペーサ42と可動子24との間に小さい異物が入
った,コイル52に印加される電圧が不足,スプリ
ング68の付勢力が過大,スペーサ42やフランジ部
44の変形によってコア64の移動距離が減少した,
組み付けられたインジェクタ10が噴射流量が少ない種
類のものである等においては、流量信号Qは変化するも
のの、その変化が小さく、流量信号Qが正常な場合に近
くなることもあり得る。ここで、コイル52に印加され
る電圧が不足の場合や、スプリング68の付勢力が過大
である場合に、流量信号Qの変化が小さくなるのは、こ
れらがいずれも、コア64の後退方向の作動力を削減す
るからである。なお、上記ないしの場合を総称し
て、インジェクタ流量小不良と称する。また、の場合
を誤品組付けと称する。
【0026】一方、気筒番号3のインジェクタ10に対
応する最大流量Q3は、正常な場合に比して大きくなっ
ている。この原因は、例えば、スプリング68の付勢
力が過小,スペーサ42やフランジ部44の変形によ
ってコア64の移動距離が過大,コイル52に印加さ
れる電圧が過大,組み付けられたインジェクタ10が
噴射流量が多い種類のものである等が考えられる。上記
ないしの場合をインジェクタ流量大不良と総称す
る。また、の場合を誤品組付けと称する。
【0027】このように、本実施形態の検査システム1
20によれば、被検査エンジン138に組み付けられた
状態におけるインジェクタ10の検査を、ファイヤリン
グによらずに実施できる。そのため、ファイヤリング検
査に比して検査工程に要する前工程および後工程の工数
を削減でき、かつ、爆発に起因するノイズに影響されな
い精度のよい検査が実施できる。
【0028】なお、本実施形態の図4および図5に示し
た処理においては、最大流量Qnの値が各気筒のインジ
ェクタ10に対してすべて取得された後に、それらの値
に基づいて検査がなされていたのであるが、図3から明
らかなように、最大流量Qnが取得されてから、つぎの
噴射指令が出力されるまでの時間間隔は、図5に示した
判定処理のうち、1つの気筒に関する部分を実行するた
めの時間に比して充分長い。例えば、図3に示した例で
は、少なくとも200ms以上の時間間隔がある。この
時間を利用して、直前に最大流量Qnが取得された気筒
に組み付けられたインジェクタ10に関する判定処理
(図4におけるS14の処理および図5におけるS38
ないしS46の処理)が行なわれるようにしてもよい。
このようにすれば、各気筒ごとの検査結果を、それぞ
れ、より早期に得ることができる。また、図4および図
5に示した処理においては、初期流量Q0がしきい値A
以上であっても、各気筒のインジェクタ10に関する検
査を継続して行なうようにされているが、検査の初期に
おいて、まず、初期流量Q0についての判定を行ない、
その結果、初期流量Q0がしきい値A以上であると判定
された場合は、直ちに検査を終了するようにしてもよ
い。この場合、検査結果として得られるのは、少なくと
も1つのインジェクタ10に漏れが生じているというこ
とである。
【0029】つぎに、上記実施形態とは別の実施形態を
説明する。本実施形態は、上述の実施形態において、図
4に示したメイン処理の、S16の処理(図5のフロー
チャートに示した判定処理)を省略し、かつ、S18の
処理内容を変更したものである。前記S18に相当する
処理は、図4に示したS10,S12およびS14と同
様にして取得・算出された、初期流量Q0,各気筒の最
大流量Qn(n=1,2,3,4)および流量ダイナミ
ックレンジΔQnの値を、各気筒ごとに表示する処理と
される。具体的には、例えば、それらの数値を表示する
数値表示装置や、図8に示す棒グラフを表示し得る表示
装置等による表示が行われる。本実施形態においては、
図8の棒グラフを表示し得る表示装置200が使用され
るものとする。
【0030】図8は、気筒番号2の気筒に組み付けられ
たインジェクタ10が、作動しない(開かない)場合の
表示結果の一例を示す図面である。図8は、各気筒番号
で示される気筒ごとに、初期流量Q0(各気筒に共通の
値となる)および流量ダイナミックレンジΔQnの値
が、それぞれ棒グラフの長さにより表わされている。初
期流量Q0の棒グラフは、初期流量Q0が原点0の位置
から下方に向かうほど大きいことを示し、流量ダイナミ
ックレンジΔQnの棒グラフは、流量ダイナミックレン
ジΔQnが原点0から上方に向かうほど大きいことを示
している。各気筒番号ごとにこれら初期流量Q0および
流量ダイナミックレンジΔQnの棒グラフは、原点0に
おいて接続されており、この接続後の棒グラフの長さ
が、それぞれの気筒の最大流量Qnの値を示すこととな
る。なお、図8に示した状態は、前述の実施形態におけ
るフラグF0とフラグFnで表わすと、F0=0,F1
=0,F2=1,F3=0およびF4=0となる。
【0031】図9は、初期流量Q0が前記しきい値Aよ
り大きい、つまり、いずれかのインジェクタ10に漏れ
が生じており、かつ、気筒番号2の気筒に組み付けられ
たインジェクタ10が開くことによる流量信号Qの変化
(つまり、流量ダイナミックレンジΔQ2の値)が前記
しきい値Bよりも小さい、つまり、正常な状態に比して
小さい場合の表示結果の一例を示す図である。この状態
は、前述の実施形態におけるフラグF0およびフラグF
nで示せば、F0=1,F1=0,F2=1,F3=0
およびF4=0となる。図9によれば、初期流量Q0が
前記しきい値Aより大きいことが、気筒番号2の気筒に
組み付けられたインジェクタ10の漏れに起因している
ことが容易に推測される。図10は、気筒番号2の気筒
に組み付けられたインジェクタ10が開くことによる流
量ダイナミックレンジΔQ2が前記しきい値Cよりも大
きい、つまり、流量信号Qの変化が正常な状態に比して
大きい場合の一例である。この状態は、前述の実施形態
におけるフラグF0およびフラグFnで示せば、F0=
0,F1=0,F2=2,F3=0およびF4=0とな
る。
【0032】図11は、気筒番号2の気筒に組み付けら
れたインジェクタ10が開いたままの状態である場合を
示す一例である。この場合は、初期流量Q0が著しく大
きくなり、気筒番号2の気筒に組み付けられたインジェ
クタ10の流量ダイナミックレンジΔQ2が0となって
いる。この状態は、前述の実施形態におけるフラグF0
およびフラグFnで示せば、F0=1,F1=0,F2
=1,F3=0およびF4=0となる。この結果は、図
9に示した状態における値とまったく同じである。つま
り、前述の実施形態において実施されるフラグF0およ
びフラグFnに基づく検査よりも、本実施形態における
表示装置による表示の方が、状況を詳しく示すことがで
きることがわかる。図8ないし図11から明らかなよう
に、流量ダイナミックレンジΔQnが正常であると判定
された気筒(フラグFnが0である気筒番号nで示され
る気筒)のインジェクタ10は、正常であると判定でき
る。なお、漏れが存在する場合(フラグF0が1である
場合)は、流量ダイナミックレンジΔQnがしきい値B
未満であると判定される気筒(フラグFnが1である気
筒番号nで示される気筒)が存在する(図9および図1
1参照)が、逆は必ずしも真ではない(図8参照)。
【0033】図12は、2つの不具合が同時に発生して
いる場合の表示結果の一例を示している。具体的には、
気筒番号2の気筒に組み付けられたインジェクタ10が
作動しない(開かない)状態であり、かつ、気筒番号4
の気筒に組み付けられたインジェクタ10に漏れがある
状態である。この漏れの大きさを示す初期流量Q0の値
は、正常な場合の流量ダイナミックレンジΔQnの大き
さよりも小さいため、気筒番号2の気筒のインジェクタ
10の噴射弁32が開いたままの状態であるとは判定さ
れず、気筒番号4の気筒のインジェクタ10の方に漏れ
があると判定できる。この状況を、前述の実施形態にお
けるフラグF0およびフラグFnで示せば、F0=1,
F1=0,F2=1,F3=2およびF4=1となり、
気筒番号2と気筒番号4との各気筒の状態を特定できな
いこととなる。このように、本実施形態の表示装置20
0によれば、初期流量Q0,各気筒の最大流量Qnおよ
び流量ダイナミックレンジΔQnの値を、各気筒ごと
に、その大きさがわかる状態で表示できるので、各イン
ジェクタ10の状態を、同じ被検査エンジン138に組
み付けられた他のインジェクタ10の状態との比較結果
に基づく総合的な推定により判定できることになり、情
報の濃い検査を行うことが可能となるのである。
【0034】なお、複数の気筒を備えたエンジンの各気
筒に組み付けられるインジェクタ10のうち、半数より
も多くのインジェクタ10は必ず正常であると仮定して
もよい場合には、正常であるインジェクタ10を容易に
特定することができる。例えば、この仮定を4気筒エン
ジンに当てはめると、不良インジェクタが高々1つであ
ると仮定することとなる。この場合、複数の気筒のイン
ジェクタ10に対して取得された最大流量Qnおよび流
量ダイナミックレンジΔQnの値のうちの最多出現値
が、正常な場合の値を示すこととなる。したがって、検
査の対象となるエンジン個々に、正常なインジェクタに
関する最大流量Qnおよび流量ダイナミックレンジΔQ
nの値を容易に取得できることとなる。このことを利用
すれば、各気筒のインジェクタ10に対する最大流量Q
nや流量ダイナミックレンジΔQnの値同志の比較のみ
に基づいて、インジェクタ10の状態を判定できること
となる。
【0035】また、上記の仮定が成立しない場合におい
ても、各気筒のインジェクタ10に対する最大流量Qn
や流量ダイナミックレンジΔQnの値同志の比較に基づ
く検査は意味を持つ。本来エンジンは、各気筒の作動が
均一であることが望ましい。そのためには、インジェク
タ10による燃料の供給も均一になされるべきである。
各気筒間の比較を行なうことによって、少なくとも、各
気筒の燃料の供給が均一であるか否か(たとえそれが、
すべての気筒に燃料が供給されないということであって
も)を判定できるのである。このように、各気筒間の比
較に基づく検査は、それのみではインジェクタの状態、
ひいてはエンジンの状態を完全に検査できるとはいえな
い場合があるが、上述の図4および図5に示した検査等
と組み合わせることによって、エンジンの状態に関する
より多くの情報を取得するために役立つのである。
【0036】さらに、以上に説明した各実施形態におい
ては、気体である圧縮空気を噴射させた場合の流量に基
づいて検査が行われているが、一般に、ノズルのような
穴を通過する場合の、気体と液体との流量には相関があ
る。例えば、供給される圧縮空気と燃料との圧力が一定
に保たれる場合の圧縮空気と燃料との流量は1対1に対
応する。このような相関関係は予め取得しておくことが
でき、この対応関係を用いれば、圧縮空気の流量に基づ
いて実際のエンジンの運転時において噴射される燃料の
流量を推定できる。つまり、燃料の流量そのものを保証
できるのである。なお、このような相関関係を取得する
際の、圧縮空気と燃料との供給圧力は任意であり、例え
ば、それぞれの圧力を、相関関係を取得する際のS/N
比が最大となる圧力とすることができる。
【0037】以上に説明した各実施形態においては、図
3および図7に示した、初期流量Q0および各気筒の最
大流量Qnに基づいて検査が行なわれるのであるが、各
気筒の最大流量Qnに加えて、あるいはそれに代えて、
前記計測期間T内における各気筒の流量信号Qの積分
値および/または平均値,前記各噴射指令が出されて
から各気筒の流量信号Qが再び初期流量Q0に戻るまで
の期間内における積分値および/または平均値等の、他
の値を利用して検査を行なってもよい。以上、本発明の
いくつかの実施形態を例示したが、これらは文字通りの
例示であり、本発明は特許請求の範囲を逸脱することな
く種々の変形,改良を施した態様で実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるインジェクタ検査方
法により検査されるインジェクタの正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態であるインジェクタ検査方
法の実施に使用される検査システムの構成を示すシステ
ム構成図である。
【図3】上記検査システムを用いて取得された流量信号
Qの変化を示すグラフである。
【図4】上記検査システムの噴射制御判定装置に含まれ
る図示しないROMに格納されたメイン処理の内容の一
例を示すフローチャートである。
【図5】図4のメイン処理のS16においてコールされ
るサブルーチンである判定処理の内容を示すフローチャ
ートである。
【図6】図4のメイン処理のS18で実行される判定結
果表示処理において使用される表示装置の一例を示す図
である。
【図7】図6に示した表示装置の各ランプの点灯状態に
対応する流量信号Qの変化の一例を示すグラフである。
【図8】図6に示した表示装置とは別の表示装置におけ
る表示状態の一例を示す図である。
【図9】図8に示した表示装置における別の表示状態を
示す図である。
【図10】図8に示した表示装置におけるさらに別の表
示状態を示す図である。
【図11】図8に示した表示装置におけるさらに別の表
示状態を示す図である。
【図12】図8に示した表示装置におけるさらに別の表
示状態を示す図である。
【符号の説明】
10:インジェクタ 14:ニードル弁装置 1
6:電磁駆動装置 20:本体 22:ノズル部材
24:可動子 26:摺動穴 28:弁子 30:弁座 32:噴射弁 36:分岐キャップ
38:取付キャップ 42:スペーサ 44:フ
ランジ部 50:ボビン 52:コイル 54:電極 56:電気コネクタ 60:保持部材
64:コア 68:スプリング 70:ねじ部材 74:貫通穴
76:フィルタ 80:深穴 82:貫通穴 86:平坦部 9
2,94,96,98:Oリング 120:検査シス
テム 124:検査台 126:圧縮空気供給装置
128:噴射制御判定装置 132:ベース
134:マウント 138:被検査エンジン 142:サブベース 1
44:モータ 146,148:軸受 150:駆
動軸 152:カプリング 156:デリバリパイ
プ 158:圧縮空気供給パイプ 160:圧力調
整弁 162:空気流量計 180,200:表示
装置 184:漏れなし表示ランプ 186:漏れあり表示ランプ 190:ΔQn正常表
示ランプ群 192:ΔQn小表示ランプ群 19
4:ΔQn大表示ランプ群

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料を噴射するインジェクタを組み付け
    たエンジンを外部回転駆動装置により回転駆動するとと
    もに、インジェクタに圧縮気体を供給してその圧縮気体
    の流量を検出し、検出流量に基づいてインジェクタの状
    態を判定することを特徴とするエンジンのインジェクタ
    検査方法。
  2. 【請求項2】 前記インジェクタを開くタイミングをエ
    ンジン運転時と同じとし、開時間を実際の燃料噴射のた
    めの開時間より長くしたことを特徴とする請求項1に記
    載のインジェクタ検査方法。
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