JPH10196658A - 転がり玉軸受用の鋼球および転がり玉軸受 - Google Patents

転がり玉軸受用の鋼球および転がり玉軸受

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JPH10196658A
JPH10196658A JP146397A JP146397A JPH10196658A JP H10196658 A JPH10196658 A JP H10196658A JP 146397 A JP146397 A JP 146397A JP 146397 A JP146397 A JP 146397A JP H10196658 A JPH10196658 A JP H10196658A
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JP
Japan
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steel ball
life
peeling
surface roughness
race
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Application number
JP146397A
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English (en)
Inventor
Seiji Mori
政治 森
Kikuo Maeda
喜久男 前田
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 価格の上昇を抑えつつ異物混入条件下におい
て長寿命化を図れる転がり玉軸受用の鋼球を提供する。 【解決手段】 異物が混入する条件下で使用される転が
り玉軸受用の鋼球であって、表面粗さRaが0.02μ
m以上0.2μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異物混入条件下、
特に細かく硬い異物が混入する条件下で使用される転が
り玉軸受用の鋼球および転がり玉軸受に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】異物
が混入する条件では、潤滑油中に懸濁した異物を転がり
玉軸受のレースと鋼球との転送面に噛み込むことによっ
て形成される圧痕の周辺に引張り応力が発生し、表面を
起点とする剥離が発生して短寿命になる可能性が高い。
この対策として、浸炭窒化により材料の亀裂靱性を向上
させる方法が、特開平7−190072号公報に示され
ている。
【0003】通常、この異物の噛み込みによる剥離は、
軸受を構成する内輪や外輪(レース)に優先的に生じ、
鋼球には生じにくかった。これは鋼球の硬度がレースよ
りもビッカース硬度で50〜100程度高く圧痕が形成
されにくいこと、加工工程で形成される表層の残留圧縮
応力が表面亀裂の発生を抑制することが原因と考えられ
る。
【0004】このためレース材質を強化し、長寿命にす
る必要があるが、レースに上記対策の浸炭窒化を施した
場合、レースは異物による圧痕が形成されても剥離が生
じにくくなる結果、表面が荒れて粗面となる。よって、
鋼球は、粗面のレースを相手に転動疲労を受けることに
なり、粗面相手の転動により発生するピーリング損傷が
鋼球に優先的に発生する現象が現れる。この対策として
は、鋼球にも浸炭窒化処理する方法もあるが、この方法
ではコストアップを招くという問題があった。
【0005】それゆえ、本発明の目的は、製造コストを
上昇させずに(特殊な熱処理を施さずに)、ピーリング
損傷寿命を向上し、軸受全体としての長寿命化を図るこ
とのできる転がり玉軸受用の鋼球を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、異物が
混入する条件下で使用される転がり玉軸受において、鋼
球の表面粗さを所定範囲とすることにより、鋼球の製造
コストを上昇させることなく、ピーリング損傷寿命を向
上でき、軸受全体として長寿命化できることを見い出し
た。
【0007】それゆえ、本発明の転がり玉軸受用の鋼球
は、異物が混入する条件下で使用されるものであって、
表面粗さRaが0.02μm以上0.2μm以下である
ことを特徴とする。
【0008】ピーリングは、粗面と平滑面との転動によ
り平滑面に優先して生じる現象であり、ピーリング損傷
は相手粗面の表面突起との干渉により生じる。このた
め、異物の噛み込みによりレース表面が粗面となる場合
には、このレースの粗面を平滑化するように鋼球も若干
の面粗さを粗くしたものを用いることで、ピーリング損
傷の発生を遅らせることができる。
【0009】異物により生ずる圧痕はせいぜい深さ数十
μm、周辺の盛り上がりは数μmである。周辺の盛り上
がりが突起として作用することを考えると、この盛り上
がりと同レベルの面粗さの鋼球を使用することで、お互
いの盛り上がりが相手の盛り上がりを摩耗させ、結果的
にピーリング発生寿命が長くなる。
【0010】表面粗さRaを0.02μm以上0.2μ
m以下としたのは、0.02μm未満では鋼球表面を粗
面にすることによる効果が十分でなく、0.2μmより
大きいと精度の劣化が大きくなり機能面で問題が生じる
からである。
【0011】また本願発明者らは、さらに浸炭窒化処理
を組合せることにより、著しく長寿命の鋼球が得られる
ことを見い出した。それゆえ、本発明の転がり玉軸受用
の鋼球には、浸炭窒化処理が施されることが望ましい。
【0012】また、この所定の表面粗さRaを有する本
発明の鋼球は、レースと共に、転がり玉軸受を構成す
る。
【0013】
【実施例】玉軸受6206および6312を用い、表1
に示す異物混入条件下で寿命試験を行なった。
【0014】
【表1】
【0015】混入させる異物として、表1中の(a)、
(b)、(c)の3種類の大きさのものを用いた。また
鋼球としては、(1)〜(6)の異なる表面粗さのもの
を用いた。このとき、レースには浸炭窒化処理をしたも
のを用い、鋼球には標準品および浸炭窒化品を用いた。
【0016】なお、表1中の対策4は(1)標準の鋼球
に浸炭窒化処理を施したものとし、対策5は対策1に浸
炭窒化を施したものとした。なおこの浸炭窒化は、容積
比で7%のアンモニア(NH3 )ガスを含みカーボンポ
テンシャルCpが1.0の雰囲気下で、850℃で60
分加熱保持することにより行なった。
【0017】この異物混入条件における寿命試験の結果
を以下の表2と図1、図2とに示す。なお図1と図2と
は、玉軸受6206および6312の各々における鋼球
表面粗さと軸受寿命比との関係を示すグラフである。ま
た表2中の記号Pは寿命試験においてピーリング損傷
が、記号fはフレーキング損傷が生じたことを示してい
る。
【0018】
【表2】
【0019】図1、図2および表2の結果より、まず標
準品の鋼球(1)〜(4)の場合には、異物の大きさに
よらず表面起点型の剥離が発生するが、表面粗さを粗く
するに従って長寿命になっていく。但し、表面粗さが粗
くなると精度の劣化が大きくなり、機能面での問題が出
るので、通常では表面粗さはRaで0.2μm程度の対
策2までが粗くできる限度である。但し、音響、精度面
での問題がない用途では、対策3の表面粗さを有する鋼
球を適用することもできる。
【0020】一方、表面粗さを若干粗くし、これと浸炭
窒化を組合せた場合には、粗さがより大きい場合と同等
の寿命を示し、相手の長寿命レースと同等以上の寿命で
あった。
【0021】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0022】
【発明の効果】本発明は、異物が混入する条件下で使用
される転がり玉軸受においてレースを長寿命材質にして
も鋼球のピーリングが軸受寿命を支配することを考慮し
てレースとともに鋼球の長寿命化を図ったものである。
【0023】またレースは、その材料を特殊材料にした
り、浸炭窒化を施したりすることで長寿命化を図れる
が、鋼球は製作ロットの問題や冷間加工(切断、鍛造)
の面でこれらの手法が適用しにくく、できる限り材質変
更なくして長寿命化を図りたい要望がある。
【0024】本発明は、鋼球の表面粗さRaを0.02
μm以上0.2μm以下とすることにより、材質変更な
くして長寿命化を図れるため価格の上昇を抑えることも
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】玉軸受6206における鋼球の表面粗さと軸受
寿命比との関係を示すグラフである。
【図2】玉軸受6312における鋼球の表面粗さと軸受
寿命比との関係を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異物が混入する条件下で使用される転が
    り玉軸受用の鋼球であって、表面粗さRaが0.02μ
    m以上0.2μm以下である、転がり玉軸受用の鋼球。
  2. 【請求項2】 浸炭窒化が施されていることを特徴とす
    る、請求項1に記載の転がり玉軸受用の鋼球。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載された鋼球とレ
    ースとから構成される、転がり玉軸受。
JP146397A 1997-01-08 1997-01-08 転がり玉軸受用の鋼球および転がり玉軸受 Pending JPH10196658A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000068587A1 (en) * 1999-05-10 2000-11-16 Nsk Ltd. Rolling bearing

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GB2354559A (en) * 1999-05-10 2001-03-28 Nsk Ltd Rolling bearing
GB2354559B (en) * 1999-05-10 2003-11-12 Nsk Ltd Rolling bearing
US6869222B1 (en) 1999-05-10 2005-03-22 Nsk Ltd. Rolling bearing

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