JPH10196278A - 刃口推進装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】シールド外筒に内蔵されたシールド本体部だけ
を容易に取り外して撤去することができ、かつ先頭の推
進管とシールド外筒は坑内に留置することができる装置
を提供する。 【解決手段】推進管の内部に固定されたシールド外筒
と、このシールド外筒の内部を摺動自在なシールド内筒
とを取り外し可能な推進ジャッキで連結すると同時に、
上記シールド内筒に取り付けられたカッター駆動用モー
タによって複数の分解可能なビットを装着したカッター
を駆動する一方、上記シールド内筒内には後方に撤去自
在な主コンベアを備えた。シールド内筒の途中には中央
部に開口部を設けた隔壁を備え、この隔壁の開口部を貫
通して、主コンベアの先端を切羽側に突出させた。円筒
状のカッターコラムの内側には、カッターヘッドを支持
するアームを中央部に向かって突出状に設け、このアー
ムが掘削土砂を掻き上げる一方、主コンベアの先端をこ
のアームが設けられた位置まで前進させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、土木工事において
刃口推進工法に用いる装置に係り、従来の機械装置より
も安全で、かつ作業効率が高い刃口推進装置に関するも
のである。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】一般にセミシールド工
法の一環として採用されている刃口推進工法では従来か
ら人力によって掘削と土の搬出を行っている。この工法
は現場作業員にとって危険と苦渋を伴うものの、掘削中
に転石や障害物に遭遇しても柔軟に対応できるという利
点がある。一方、機械式セミシールド工法では掘削のた
めのシールド本体部は前方に固定されていた。従って、
機械で掘削できないほどの硬さや大きさの転石、障害物
に遭遇した場合には、その地点で推進を中止するか、そ
の場所に立抗を掘って対処する場合を除き、いったん装
置全体を後退させて作業員の進入路を確保したうえで切
羽に入り、除去作業をしなければならなかった。

【０００３】しかし、セミシールド工法では一般的にト
ンネル内径が小さいので、切羽の作業環境は悪く、機会
の分解撤去作業から障害物撤去作業の間に地山の崩壊に
伴う事故のおそれがあり、危険であった。また、一連の
作業期間が長引くと、地盤を緩ませる危険性が高かっ
た。さらに、いったんこの方法を行うと、一般的には再
度機械掘りにもどすのは困難であり、人力の刃口推進工
法で再開せざるをえなかったという課題もある。

【０００４】また、従来のセミシールド工法に利用され
ている装置では隔壁によってカッター部と後方装置が分
離されているために、トンネル抗内側から切羽やカッタ
ーの状況を視認しようとすれば、隔壁を撤去しなければ
ならず、非常に手間がかかっていた。

【０００５】本発明は上記従来の課題を解決することを
目的とするものであって、シールド外筒に内蔵されたシ
ールド本体部だけを容易に取り外して撤去することがで
き、かつ先頭の推進管とシールド外筒は坑内に留置する
ことができる装置を提供することによって、迅速かつ安
全な作業を保証しようとするものである。又、刃口推進
工法による掘削効率を高めることができる構成をも提供
することを目的とする。更に、掘削土砂をコンベアに確
実に載せることができる構成をも開示する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では上記目的を達
成するために、先頭の推進管に装備する刃口推進装置と
いう基本的な構成は従来を踏襲し、この推進管の内部に
固定されたシールド外筒と、このシールド外筒の内部を
摺動自在なシールド内筒とを取り外し可能な推進ジャッ
キで連結すると同時に、上記シールド内筒に取り付けら
れたカッター駆動用モータによって複数の分解可能なビ
ットを装着したカッターを駆動する構成を採用してい
る。そして、後方に撤去自在な主コンベアを同じく備え
るという手段によって、推進管は現場に残留させたまま
で内部の装置部分だけ後方に撤去することとした。

【０００７】また、また、シールド内筒の途中に中央部
に開口部を設けた隔壁を備え、この隔壁の開口部を貫通
して、主コンベアの先端を切羽側に突出させるという手
段を選択的に用いた。この手段によれば、シールド内筒
は隔壁で切羽側と後方側を隔離しながら後方から切羽を
確認することができる。さらに、円筒状のカッターコラ
ムの内側には、カッターヘッドを支持するアームを中央
部に向かって突出状に設け、このアームが掘削土砂を掻
き上げる一方、主コンベアの先端をこのアームが設けら
れた位置まで前進させるという手段を採用することによ
って、カッターヘッドによって掘削された土砂を掻き上
げることができるので、掘削土砂を効率よくコンベアに
載せる作用を行う。さらに、シールド内筒は、シールド
外筒内を摺動して後方に撤去可能とし、撤去作業を容易
とする。

【０００８】本発明装置においては、先頭の推進管およ
びシールド外筒の内径を越えた状態で装備されている構
成は、シールド外筒最先端に取り付けられるカッター部
である。そこで、これらを容易に分解できる構造とし、
さらに必要最小限の装置をシールド外筒内径に摺動自在
に位置させたシールド内筒から取り外すことによって、
シールド内筒をも容易に後退させ、人が作業する領域を
確保する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を、添付した図面に従って説明する。図１は本発明装置
の主要部分を示した中央縦断面図であって、１は先頭の
推進管であって、掘削の進行に伴って後部側から第２、
第３の推進管が継ぎ足される。推進管１の先端には、外
向きにテーパ状に拡開した部材２が固定されている。３
はシールド外筒であり、推進管１の内径に密着する程度
の外径を有するパイプで構成されており、推進管１に対
してはアンカ４で固定されている。そして、このシール
ド外筒３の内部に動作機構が収納される。５はシールド
内筒であり、シールド外筒３の内部を摺動する。この摺
動のための構造として、推進ジャッキ６が採用される。
推進ジャッキ６はシールド外筒３の後端にシリンダ６ａ
の基部が固定され、ピストン６ｂの先端がシールド内筒
５に固定される。これらの構造によれば、推進ジャッキ
６を伸縮させることによってシールド内筒５を前後させ
ることができる。なお、シールド外筒３とシールド内筒
５の間は水密を保つために必要部にパッキン７が設けら
れている。

【００１０】８は軸を中心に回転するカッターヘッドで
あり、シールド内筒５の内径よりも小さい外径を有して
いる。また、９は取り外し自在な周辺ビットであり、カ
ッターヘッド８と連動して回転する。１０はカッター駆
動モータ、１１はカッター駆動モータ１０の駆動軸に連
結された駆動ギアで、この駆動ギアを回転させることに
よってカッターヘッド８を回転させる。なお、カッター
駆動モータ１０などの駆動構造は中央部に開口部が設け
られた隔壁１２に固定され、この隔壁１２はシールド内
筒５の延長方向に直交する面をなすように固定されてい
る。そして、上述した構造によって、シールド内筒５を
推進ジャッキ６によって前後させながら、カッター駆動
モータ１０によってカッターヘッド８および周辺ビット
９を回転させ、掘削を行う。

【００１１】次に掘削した土砂を後方に排出するための
構成を説明する。図において、１３は主コンベア、１４
は副コンベアである。副コンベア１４は図では１台であ
るが、シールド本体の土の搬出機構に応じて繰り返しの
状態で後方に向かって増加することはいうまでもない。
主コンベア１３および副コンベア１４にはそれぞれ脚１
５が取り付けられ、その下端にはスライド車輪１６が設
けられて、移動を容易にしている。また、主コンベア１
３の先端方向は、隔壁１２に設けられた開口部を貫通し
て前方カッター側まで延びており、掘削土砂を確実に搬
出可能としている。１７はカッターヘッド８を支持して
いる円筒状のカッターコラム１８の内径部に直径方向に
突出状に設けられた一対のアームであって、カッターコ
ラム１８の回転に従ってアーム１７も回転することによ
って、掘削土砂を掻き上げて的確に主コンベア１３に載
せるようにするものである。なお、１９は監視カメラで
あって、掘削土砂が適切に搬出されているかどうかを監
視することができる。

【００１２】図２は図１で示した装置Ａ−Ａ線部分を切
羽側から見たところであり、カッターヘッド８と周辺ビ
ット９は直線状をなしており、カッターヘッド８は複数
のビット２０からなっている。ここで、周辺ビット９お
よび複数のビット２０からなるカッターヘッド８はシー
ルド外筒側から分解可能な構造になっており、分解した
状態でシールド外筒の内部を通して撤去することができ
る。図３は図１で示したＢ−Ｂ線部分を切羽側から見た
もので、カッター回転用のカッターコラム１８内に一対
のアーム１７が突出した状態を確認することができる。
ここで、主コンベア１３は図において隔壁１２に設けら
れた開口部を貫通して手前側に突出しており、アーム１
７がカッターの動きに伴って回転することによって、効
率よく掘削土砂を主コンベア１３に載せるようにしてい
る。特に、礫や小さい岩などが含まれていても、アーム
１７の回転に伴ってこれらが主コンベア１３上に送るこ
とができ、効率よい搬送が可能である。３０は開口部の
曲率に一致させた円弧板に主コンベア１３を載置するた
めのガイド３０ａが設けられたガイド板であって、主コ
ンベア１３を安定して位置させると同時に、カッターコ
ラム１８の下部に溜まる掘削土砂が空隙からシールド本
体内に漏れるのを回避している。

【００１３】上述した構成によって刃口推進工法を行う
のであるが、立杭側から別の元押しジャッキによって、
シールド本体が装備された第１の推進管１を含めた複数
の推進管全体を前進させる一方、カッター駆動用モータ
１０によってカッターヘッド８および周辺ビット９を回
転させ、掘削作業を行う。また、土質あるいは地盤の状
況によっては補助的にカッターヘッド８および周辺ビッ
ト９を推進ジャッキ６によって前進させながら、カッタ
ー駆動用モータ１０によって回転させ、掘削作業を行う
という工法を採用して、掘進作業を効率化する。推進ジ
ャッキの伸縮と掘削を繰り返して推進管１本分の掘削が
完了すれば、最後尾に推進管を挿入して一連の工程を終
了する。掘削された土や礫などの掘削土砂は、カッター
コラム１８内に入った後にアーム１７によって掻き上げ
られ、主コンベア１３上に供給されるので、後方に向か
って搬出されることになる。

【００１４】ここで、カッターヘッド８あるいは周辺ビ
ット９が大きい岩石や根などの障害物に噛み込んで動作
が停止した場合には、人がシールド外筒内に進入して隔
壁１２に設けられた開口部から状況を確認する。そし
て、障害物が人力によって取り除かなければならないと
判断されれば、推進装置の撤去作業を開始する。以下、
撤去に関する作業行程を説明する。

【００１５】図４は撤去作業の第１段階を示したもの
で、副コンベア１４を撤去し、さらに主コンベア１３を
撤去し、さらにポンプユニット（図示せず）を撤去した
状態を示す。ここで、主コンベア１３および副コンベア
１４にはスライド車輪１６が設けられているので、後方
から簡単に撤去することができる。図５は続いて図４の
状態からシールド本体後方に設けられている制御盤４０
およびタンク４１を撤去した状態を示す。制御盤４０お
よびタンク４１は第１の推進管１内に設置されているだ
けの状態なので、容易に撤去することができる。図６は
図５の状態から推進ジャッキ６および土砂受け板５０を
撤去した状態を示すものであるが、推進ジャッキ６はシ
ールド内筒５にボルトなどで取り付けられているので、
ボルトを緩めることによって容易に解体することがで
き、土砂受け板５０についても容易に撤去可能な状態で
取り付けられている。図７は図６の状態からカッターヘ
ッド８および周辺ビット９を撤去した状態を示したもの
で、周辺ビット９およびカッターヘッド８を構成する複
数のビット２０はスポークに取り付けられているだけな
ので、細かく分解することができ、これによって第１の
推進管１の内径よりも小さくなるので、この推進管１の
内部を通して後方に撤去することができる。図８は取り
付け時に推進管１の内径よりも大きかったカッターヘッ
ド８などを撤去したので、シールド外筒３の内径に沿っ
て設けられたシールド内筒５およびカッター駆動用モー
タ１０などを分解することなく後方に撤去する状態を示
したものであって、シールド内筒５を後方からワイヤ８
２を用いてウインチ８１で引き抜く方向に撤去してい
る。なお、８０はシールド外筒３および推進管１を貫通
して設けられたガイド穴である。そして、図８の状態に
到れば推進管１の内部はほとんどの機器が撤去されるの
で、図９に示すように、ガイド穴カバー９１およびシー
ルカバー９２で必要部分を遮蔽し、一連の撤去作業が完
了する。この場合、推進管１およびシールド外筒３は残
されているので、人が内部に侵入して作業を行っても落
盤の危険は全くない。

【００１６】

【発明の効果】本発明では、上述したような構成を採用
したので、掘削工程中で転石などの障害物に遭遇して作
業が中断された場合でも、必要最小限の装置を取り外す
ことによって、容易にシールド内筒などを撤去し、障害
物対策を講ずることにより掘進作業を円滑に再開するこ
とができる。しかもシールド外筒は現場に残しておくこ
とができるので、人が進入して作業を行う場合でも落盤
の危険は確実に回避することができ、安全な作業機会を
提供することができるようになった。

【００１７】また、カッターコラム内側にはアームを突
出状に設けたので、掘削土砂を効率よくコンベアに載せ
ることができ、作業性も非常に向上した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の主要部を示す縦断面図

【図２】図１におけるＡ−Ａ線から見た端面図

【図３】図１におけるＢ−Ｂ線断面図

【図４】撤去工程を示す図

【図５】図４に引き続く撤去工程を示す図

【図６】図５に引き続く撤去工程を示す図

【図７】図６に引き続く撤去工程を示す図

【図８】図７に引き続く撤去工程を示す図

【図９】図８に引き続く撤去工程を示す図

【符号の説明】

１ 推進管 ２ 部材 ３ シールド外筒 ４ アンカ ５ シールド内筒 ６ 推進ジャッキ ６ａ シリンダ ６ｂ ピストン ７ パッキン ８ カッターヘッド ９ 周辺ビット １０ カッター駆動モータ １１ 駆動ギア １２ 隔壁 １３ 主コンベア １４ 副コンベア １５ 脚 １６ スライド車輪 １７ アーム １８ カッターコラム １９ 監視カメラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀与 志男 愛知県多治見市赤坂町８−110−５ (72)発明者 土岐 晃生 大阪府岸和田市上野町東13−10

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】先頭の推進管に装備する刃口推進装置であ
   って、この推進管の内部に固定されたシールド外筒と、
   このシールド外筒の内部を摺動自在なシールド内筒とを
   取り外し可能な推進ジャッキで連結すると同時に、上記
   シールド内筒に取り付けられたカッター駆動用モータに
   よって複数の分解可能なビットを装着したカッターを駆
   動する一方、上記シールド内筒内には後方に撤去自在な
   主コンベアを備えたことを特徴とする刃口推進装置。
2. 【請求項２】シールド内筒の途中には中央部に開口部を
   設けた隔壁を備え、この隔壁の開口部を貫通して、主コ
   ンベアの先端を切羽側に突出させた請求項１記載の刃口
   推進装置。
3. 【請求項３】円筒状のカッターコラムの内側には、カッ
   ターヘッドを支持するアームを中央部に向かって突出状
   に設け、このアームが掘削土砂を掻き上げる一方、主コ
   ンベアの先端をこのアームが設けられた位置まで前進さ
   せた請求項１記載の刃口推進装置。
4. 【請求項４】シールド内筒は、シールド外筒内を摺動し
   て後方に撤去可能とした請求項１記載の刃口推進装置。