JPH1019616A - 給湯器の水流センサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成の複雑化によってコストアップ、給水圧
力の損失を招くことなく、かつ形態のコンパクト化を妨
げることなく、給湯器に給水が行われていないときに発
生する逆流によって翼車が回転して給湯器のバ−ナを点
火させる恐れがない水流センサを得ること。 【解決手段】 翼車の上流側、下流側共に水の流れを平
行流に整流する整流羽根を配置し、給水時には翼車に回
転力が発生する様に、翼車の各翼の上流側の面を平行流
に対して同方向に傾斜させ、下流側の面は、平行流に対
して直角な平面とするか、又は面を構成する各部分と平
行流との間で発生する回転力の総和がゼロとなる面形状
とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は給湯器の熱交換器の
流入側に配置され、水流の有無と流量の増減とを検知し
て、バ−ナの点滅、バ−ナの燃料燃焼量の制御に必要
な、水流の状態を示す信号を発信する水流センサであっ
て、円筒状の筐体内に該筐体と同心に回転自在に配置さ
れて、水流の流量に伴って回転速度が変化する翼車を備
えたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】翼車の回転によって水流の有無、流量の
増減を検知する上記構成の水流センサにおいては、給湯
器の熱交換器に給水が行われていないときであっても、
例えば凍結防止のため給湯器から排水する際などに、逆
流を生じ、翼車が回転して、恰も熱交換器に給水が行わ
れたように、バ−ナが点火され、事故を起すことがある
ので、逆流によって翼車が回転することを防止した構成
が種々提案されている。

【０００３】逆流による翼車の回転を防止する提案に
は、流入側の給水管の開閉弁を閉じて給水を停止後、水
流センサと開閉弁との間に設けた排水口から排水の際生
ずる逆流によって翼車が回転することがないように、流
入側に逆止弁を設け、該逆止弁の弁体に、翼車の回転を
生じさせることがない小流量で排水可能の通水路を形成
した構成（実公平５−８２３号公報）；翼車の翼と翼車
の下流側の整流羽根とを、共に翼車の回転軸の中心線又
は該中心線の延長に対して平行かつ放射状の平板を以て
形成し、翼車の上流側に微量の給水流量でも確実に翼車
を回転させることができる放射状の斜流板からなる案内
羽根を配置した構成（特公平７−３７９０６号公報）；
回転軸の回転軸線に対して傾斜した翼を有する翼車を回
転させる方向の旋回流が生じる斜流板からなる案内羽根
を翼車の上流側に配置する一方、翼車の下流側には、逆
流を生じても該逆流が翼車を回転させない方向の旋回流
とするための、斜流板からなる案内羽根を配置した構成
（実開平４−５５５１３号公報）；逆流発生時に翼車を
係止する手段を備えた構成（実開平２−７９４２３号公
報、特開平５−１４９７６５号公報）が開示されてい
る。

【０００４】実開平５−８２３号公報開示の構成は給水
圧力の損失が大きくなる上に逆止弁部の形成によってコ
ストの増加を招き、特公平７−３７９０６号公報開示の
構成では翼車と該翼車の上流側の整流羽根との間に別途
斜流板からなる案内羽根を必要とし、翼車の回転軸の軸
線方向の筐体の全長が長くなり、コンパクト化が困難と
なり、実開平４−５５５１３号公報開示の構成では、逆
流発生時に該逆流が翼車に回転を起させないような旋回
流を、翼車の下流側に配置した、斜流羽根からなる斜流
部によって与えることは事実上困難であり、実開平２−
７９４２３号公報及び特開平５−１４９７６５号公報開
示の構成では、取付姿勢によって、逆流によって回転す
ることを防止する機能が作用しない可能性がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】給水圧力損失、コスト
アップ、構成の複雑化、翼車回転軸方向の筐体の長さを
増すことなく、逆流発生時の翼車の回転を確実に防止す
ることができる給湯器の水流センサを得ることが本発明
の課題である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】下記構成によって本発明
の課題は解決された。即ち給湯器の熱交換器の流入側に
接続され、水流の有無と流量の増減を検知する、給湯器
の水流センサであって、円筒状の筐体内に、該円筒状の
筐体と同心に配置されて水流の流量変化に伴い回転速度
が変化する翼車を備えたものにおいて；前記筐体内の前
記翼車の上流側には給湯時の正常な水流を、筐体の中心
線と平行な平行流とするため、前記中心線と平行な平板
からなる整流羽根を、前記翼車の下流側には前記正常な
方向とは逆方向の水流を、筐体の中心線と平行な平行流
とするため、前記中心線に平行な平板からなる整流羽根
を配置し、回転軸から、ほぼ、放射状に複数個の翼が形
成されてなる前記翼車は、前記正常な方向の平行流によ
って回転力を発生するため、各翼の上流側の面に、前記
回転軸に対して同方向の傾斜を与え、各翼の下流側の面
は、前記逆方向の平行流によって回転力を発生しない面
形状とした構成。

【０００７】前記翼車の各翼の下流側の面を、前記逆方
向の平行流に対して垂直な平面とすれば、逆流の発生に
よって翼車は回転しない（請求項２）が、逆流の発生に
よって翼車が回転しないためには、必ずしも、下流側の
面が逆方向の平行流に対して垂直な平面に限定されるも
のではなく、各翼の下流側の面形状が、該面形状を構成
する各部分と、前記逆方向の平行流との間で発生する回
転力の総和をゼロとする形状であれば、逆流の発生によ
って翼車は回転しない（請求項３）。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は給湯器の本発明にかかる水
流センサの実施例の縦断面図で、符号１は円筒状の筐
体、２は翼車で、該翼車２は前記筐体１に固定された支
持軸３によって前記筐体１の内周面と同心に回転自在に
支承されている。２−１は後述する水流によって翼車２
に回転力を発生させるために、回転軸２−２からほぼ放
射状に複数個、回転軸２−２と一体に形成された翼、２
−３は前記回転軸２−２から放射状に複数個、回転軸２
−２と一体に形成された磁石保持腕で、環状の永久磁石
４を保持する。該環状の永久磁石４は外周にＮ極、Ｓ極
が交互に着磁されていて、水流によって翼車２が回転す
ると、前記筐体１に埋設された磁場を感知する素子５、
例えばホ−ル素子に電気的パルスを発生させて水流の有
無、流量の増減が検知される。矢印６は給湯器に給水が
行われているときの正常な水流方向を示す。上記正常な
方向に水流を生じているとき、筐体１内の水流を前記回
転軸２−２の軸線（筐体の中心線）と平行な平行流に整
流するため、筐体１の上流側端には、前記軸線と平行な
平面からなる整流羽根が形成されている端部材７が配置
され、該端部材７は環状の係止部材８で筐体１に固定さ
れいる。１−１は筐体１と一体に形成された筐体１の下
流側端部で、前記支持軸３の固定部と、給湯器の熱交換
器に給水が行われていないときに発生した逆流を、前記
軸線と平行な平行流に整流するための整流羽根が形成さ
れている。

【０００９】図２は翼車２の側面図、図３は図２のＡ矢
視図、即ち翼車２を下流側から見た図、図４は図２のＢ
−Ｂ断面矢視図、即ち翼車２の翼２−１を上流側から見
た図である。図２、図３又は図４において２−１ａは各
翼２−１の上流側の面で、回転軸２−２の軸線に対して
傾斜が与えられているから、給湯器に給水が行なわれて
いるときの正常な方向の平行流によって翼車２の回転力
が発生する。２−１ｂは各翼２−１の下流側の面で、図
２に示す実施例では、回転軸２−２の軸線に直角な平面
に形成されている（請求項２）が、本発明は回転軸２−
２の軸線に直角な平面に限定されるものではなく、面形
状が該面形状を構成する各部分と、発生した逆方向流と
の間で発生する回転力の総和がゼロとなるもの（請求項
３）であれば良い。図３及び図４において２−４は前記
支持軸３が遊嵌する孔である。図２中におけるその他の
符号は図１中の同一符号と同一の部分を示す。

【００１０】図５は筐体１を下流側端部１−１を下流側
から見た図で、前記回転軸２−２の軸線と平行な平面か
らなる整流羽根１−２と前記支持軸３を挿通固定する孔
を設けた部分１−３とからなる。図５では整流羽根１−
２は軸線に対して放射状に形成されている。

【００１１】図６は筐体１の上流側端部に配置された端
部材７を上流側から見た図、図７は図６のＣ−Ｃ断面矢
視図、図８は端部材７の形状の理解を容易にするための
斜視図である。図６及び図８において７−１は前記回転
軸２−２の軸線と平行な平板からなる整流羽根で、図
６、図７、図８で示される実施例では前記軸線に対して
放射状に形成されている。７−２は端部材７の中心部に
形成された円柱部で、給湯器への給水が停止していると
きは翼車２の回転軸２−２の下端面と当接して翼車２が
支持軸３から脱落するのを防止し、逆流発生時には逆流
によって翼が受けるスラストを支承する。

【００１２】図９は翼車２の磁石保持腕２−３部分の形
状を示す斜視図で、環状の永久磁石４を取付ける経過を
示す図である。磁石保持腕２−３は、回転軸２−２から
放射状に形成された放射状部分２−３ａと、該放射状部
分２−３ａから回転軸２−２に平行に延びた平行部分２
−３ｂとからなる。平行部分２−３ｂの先端に形成され
た斜面に沿って永久磁石４を矢印９方向に押し込むと、
磁石保持腕２−３は一旦弾力的に変形し、永久磁石４の
内周面が斜面を越えると、磁石保持腕２−３は変形前の
形状に復元して、図１に示す状態で環状の永久磁石４は
翼車２に固定される。環状の永久磁石４の内周には等間
隔に４個所、永久磁石４の中心線と平行な溝４−１が設
けられ、４本の前記磁石保持腕２−３の少くとも１つ
の、平行部分２−３ｂに形成された凸部２−３ｃと係合
して、永久磁石４が磁石保持腕２−３に対して、相対的
に回転するのが阻止される。

【００１３】図１０は翼車２と支持軸３との嵌合関係の
１つの例を示す拡大図である。翼車２の支持軸３に回転
自在に嵌入する孔２−４は開口端側は大径に、最も奥の
部分が小径に形成され、大径部と小径部との間はテ−パ
状に形成されている。孔２−４の小径の部分は、支持軸
３の先端の小径部３−１と遊嵌し、孔２−４の大径の部
分は支持軸３の大径部３−２と遊嵌している。支持軸３
の小径部３−１と大径部３−２との間の部分は小径部３
−１の径よりも小径に形成されている。給湯器に給水さ
れているときの水流によって翼車２が受けるスラスト
を、前記孔２−４の内端面に当接して受ける支持軸３の
先端面は、翼車が回転するときの抵抗を小さくするため
にほぼ球面３−３に形成され、孔２−４の内端面と点接
触する。

【００１４】支持軸３の他端部は該支持軸３に設けられ
た鍔部３−４と、軸端の加締めとによって筐体１の下流
側端部１−１の中心部の支持軸取付部分１−３を挾持固
定して取付けられている。１０は支持軸３の取付部分１
−３の外端面と加締め部との間に介在させたワッシャで
ある。図１１は支持軸３の加締められる前の形状を示
す。

【００１５】図１２は筐体１の上流側端に配置する端部
材７の脱落を阻止する環状の係止部材８が、筐体１に係
止される前の形状を示す図で、外周には放射状に係止角
８−１が形成されている。図１３は図１２のＤ−Ｄ断面
矢視図、図１４は前記係止部材８を筐体１に取付ける過
程を示す図である。筐体１の上流側開口端部に端部材７
を嵌入後、図１４に示すように係止部材８を筐体１の開
口端上に置き、係止角８−１を矢印１１方向に弾力的に
曲げながら、端部材７に当接するまで押し込む。

【００１６】逆流発生時に翼車２に回転力が生じないた
めには、翼２−１の下流側の面２−１ｂは必ずしも図
２、図３で示したように水流方向に直角な平面である必
要はなく、前述の通り、面形状を構成する各部分と逆方
向の平行流との間で発生する回転力の総和をゼロとする
形状であれば良い。図１５は平面でない下流側の面２−
１ｂの２つの形状例の断面形状を示す。１つは互に逆方
向の同傾斜を有する山形の面、他の１つは互に逆方向の
同傾斜を有する谷形の面である。図１６は図１５の断面
形状を有する翼の下流側の面を、下流側から見た図で、
図１５は図１６のＥ−Ｅ断面矢視図である。図１５、図
１６において、２−１ｂは下流側の面、２−１ｃは互に
逆方向の傾斜の面の境界線、矢印１２は逆流の方向を示
す矢印である。２−１ａは上流側の面を示す。図１６に
おいて孔２−４の周辺の、斜面以外の部分２−１ｄは逆
流方向に直角な平面である。図１５及び図１６の実施例
では、各翼に互に逆方向の一対の斜面を設け、各翼それ
ぞれが逆方向の平行流すなわち逆流により発生する翼の
回転力の総和がゼロになるようにしているが、他の実施
例として、翼の総数を偶数とし、各翼には一方向のみの
斜面を形成し、互に異なる斜面の傾斜方向を有する翼の
数をそれぞれ同数とすることで逆流により発生する翼車
の回転力の総和をゼロにするようにしても良い。

【００１７】支持軸３がＳＵＳ材、係止部材８がばね用
ステンレス鋼帯からなるほかは、すべて合成樹脂材料の
射出成形を以て形成される。

【００１８】

【作用及び効果】本発明の水流センサは翼車２の翼２−
１の上流側の面２−１ａと下流側の面２−１ｂの面形状
を変えることのみで、構成を複雑にすることなく、給湯
器への給水開始によって翼車が回転して、給湯器のバ−
ナを点火させ、給水流量の変化に応じてバ−ナの燃料燃
焼量を増減し、一方給水停止時に発生する逆流によって
翼車が回転してバ−ナを点火させることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の給湯器の水流センサの実施例の縦断面
図。

【図２】実施例の翼車の側面図。

【図３】図２のＡ矢視図。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面矢視図。

【図５】実施例の筐体を下流側から見た図。

【図６】実施例の筐体の上流側端部に配置される端部材
を上流側から見た図。

【図７】図６のＣ−Ｃ断面矢視図。

【図８】図６、図７で示す端部材の斜視図。

【図９】実施例の翼車に環状の、永久磁石を取付ける過
程を示す斜視図。

【図１０】実施例の翼車と支持軸との嵌合関係を示す
図。

【図１１】実施例の支持軸の加締め側端部の、加締め前
の形状を示す図。

【図１２】実施例の筐体の上流側端部内周面に係止する
係止部材を示す図。

【図１３】図１２のＤ−Ｄ断面矢視図。

【図１４】実施例の筐体の上流側端部内周面に係止部材
を係止する過程を示す図。

【図１５】実施例の翼車の翼の下流側の面の断面形状の
例を示す図。

【図１６】図１５の断面形状の翼を下流側から見た図。

【符号の説明】

１ 筐体 ２ 翼車 ２−１ 翼 ３ 支持軸 ４ 環状の永久磁石 ５ 磁場を感知する素子 ６ 給水時の流れ方向を示す矢印 ７ 上流側端部材 ８ 係止部材 ９ 環状の永久磁石を押し込む方向を示す矢印 １０ ワッシャ １１ 弾力的に曲がる方向を示す矢印 １２ 逆流方向を示す図

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給湯器の熱交換器の流入側に接続され、
   水流の有無と流量の増減を検知する、給湯器の水流セン
   サであって、円筒状の筐体（１）内に、該円筒状の筐体
   と同心に配置されて水流の流量変化に伴い回転速度が変
   化する翼車（２）を備えたものにおいて；前記筐体
   （１）内の前記翼車（２）の上流側には給湯時の正常な
   水流を、筐体（１）の中心線と平行な平行流とするた
   め、前記中心線と平行な平板からなる整流羽根（７−
   １）を、前記翼車（２）の下流側には前記正常な方向と
   は逆方向の水流を、筐体（１）の中心線と平行な平行流
   とするため、前記中心線に平行な平板からなる整流羽根
   （１−２）を配置し、回転軸（２−２）から、ほぼ、放
   射状に複数個の翼が形成されてなる前記翼車（２）は、
   前記正常な方向の平行流によって回転力を発生させるた
   め、各翼の上流側の面に、前記回転軸（２−２）に対し
   て同方向の傾斜を与え、各翼の下流側の面は、前記逆方
   向の平行流によって回転力を発生しない面形状とした給
   湯器の水流センサ。
2. 【請求項２】 前記翼車（２）の各翼の下流側の面が、
   前記逆方句の平行流に対して垂直な平面である請求項１
   の給湯器の水流センサ。
3. 【請求項３】 前記翼車（２）の各翼の下流側の面形状
   が、該面形状を構成する各部分と前記逆方向の平行流と
   の間で発生する回転力の総和をゼロとする形状である請
   求項１の給湯器の水流センサ。