JPH10195687A - 酸素ガス拡散電極及びその製造方法 - Google Patents

酸素ガス拡散電極及びその製造方法

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JPH10195687A
JPH10195687A JP8357231A JP35723196A JPH10195687A JP H10195687 A JPH10195687 A JP H10195687A JP 8357231 A JP8357231 A JP 8357231A JP 35723196 A JP35723196 A JP 35723196A JP H10195687 A JPH10195687 A JP H10195687A
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electrode
silver
gas diffusion
overvoltage
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JP8357231A
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English (en)
Inventor
Takahiro Ashida
高弘 芦田
Masashi Tanaka
正志 田中
Shuhei Wakita
修平 脇田
Yoshinori Nishiki
善則 錦
Takayuki Shimamune
孝之 島宗
Naoharu Furukawa
直治 古川
Chiaki Iwakura
千秋 岩倉
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De Nora Permelec Ltd
Original Assignee
Permelec Electrode Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の白金を主触媒成分とする酸素ガス拡散
電極と同等の電極活性を有するより安価な酸素ガス拡散
電極とその製造方法を提供する。 【構成】 電極構造体、及び該構造体表面に担持した微
量の白金を保持した銀含有粒子である電極触媒を含む酸
素ガス拡散電極。微量含まれる白金が銀の酸素還元過電
圧を白金単味電極触媒と同等レベルまで低下させ、かつ
高価な白金使用量が微量であるため、銀単味電極触媒と
ほぼ同等のコストで前記ガス拡散電極を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、経済的に製造できかつ
電極性能も満足できるレベルに保持された酸素ガス拡散
電極及びその製造方法に関し、より詳細にはクロルアル
カリのような電解で使用される特に苛性アルカリ中で長
期間安定に使用可能な酸素ガス拡散電極及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】クロルアルカリ電解を代表と
する電解工業は素材産業として重要な役割を果たしてい
る。このような重要な役割を持つもののクロルアルカリ
電解に要する消費エネルギーが大きく、日本のようにエ
ネルギーコストが高い国ではその省エネルギー化が大き
な問題となる。例えばクロルアルカリ電解では環境問題
の解決とともに省エネルギー化を達成するために、水銀
法から隔膜法を経てイオン交換膜法へと転換され、約25
年で約40%の省エネルギー化を達成してきた。しかしこ
の省エネルギー化でも不十分で、エネルギーである電力
コストが全製造費の50%を占めているが、現行の方法を
使用する限りこれ以上の電力節約は不可能なところまで
来ている。より以上の省エネルギー化を達成するために
は電極反応を修正する等の抜本的な変化を行なわなけれ
ばならない。その例として燃料電池等で採用されている
ガス拡散電極の使用は現在考えられる中で最も可能性が
高く、電力節約が大きい手段である。
【0003】従来の金属電極を使用する陽極反応が、
陽極としてガス拡散電極を使用すると陽極反応に変換
される。 2NaCl+2H2 0→Cl2 +2NaOH+H2
O =2.21V 2NaCl+ 1/2O2 +H2 O→Cl2 +2NaO
H EO =0.96V つまり金属電極をガス拡散電極に変換することにより、
電位が2.21Vから0.96Vに減少し、理論的には約65%の
省エネルギー化が可能になる。従ってこのガス拡散電極
の使用によるクロルアルカリ電解の実用化に向けて種々
の検討が成されている。ガス拡散電極の構造は一般に半
疎水(撥水)型と言われるもので、表面に白金等の触媒
が担持された親水性の反応層と撥水性のガス拡散層を接
合した構造を有している。反応層及びガス拡散層ともバ
インダーとして撥水性のポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)樹脂を使用し、このPTFE樹脂の特性を
利用してガス拡散層ではその割合を多くし、反応層では
少なくして両層を構成している。
【0004】このようなガス拡散電極をクロルアルカリ
電解に使用すると幾つかの問題点が生じる。例えば高濃
度の苛性ソーダ中では撥水材であるPTFE樹脂が親水
化して撥水性を失い易くなる。これを防止するために前
記ガス拡散層のガス室側に薄い多孔性のPTFEシート
を貼ることが試みられている。又このガス拡散電極に酸
素や空気を供給しながら電解を進行させるが、副反応と
して一部過酸化水素が生成しそれが構成材料である炭素
を腐食して炭酸ソーダを生成することがある。アルカリ
溶液中では前記炭酸ソーダは沈澱してガス拡散層を閉塞
したり表面を親水化したりしてガス拡散電極の機能を劣
化させることがある。この炭酸ソーダが生成しなくても
炭素表面に触媒を担持するのみで該触媒による炭素腐食
が生ずることも観察されている。
【0005】このような欠点を解消するために従来は、
使用する炭素の選択やその作製法及び炭素と樹脂との混
合比をコントロールすることが検討されている。しかし
ながらこれらの方法は根本的な解決法とはならず、炭素
の腐食を遅らせることはできても、腐食を停止すること
はできない。炭素を使用しなければこのような腐食の問
題は起きないため、炭素の代わりに金属である銀を使用
することが試みられている。ところがこの金属を使用す
るガス拡散電極は炭素を構成材料とするガス拡散電極と
異なり焼結法で製造され、その製造方法が極めて複雑に
なり、更に金属を使用するガス拡散電極では親水性部分
と疎水性部分を制御しにくいという問題点がある。前記
銀粒子は、粒径や調製条件により酸素還元用等の電極性
能が変動するが、白金等の活性な触媒と比較して若干そ
の触媒性能が劣ることが知られているが、白金等の高価
な金属よりも遙かに安価である。
【0006】
【発明の目的】本発明は、前述の従来技術の問題点、つ
まり銀触媒を使用する食塩電解用等の電極は白金よりも
活性が劣るという問題点を解決し、かつ銀触媒の利点で
ある経済性を最大限に生かすことを可能にする酸素ガス
拡散電極及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明に係わる酸素ガ
ス拡散電極は、電極構造体、及び該構造体表面に保持し
た微量の白金を担持した銀含有粒子である電極触媒を含
んでなることを特徴とする酸素ガス拡散電極であり、そ
の製造に際しては、白金担持銀含有粒子を電極構造体に
保持しても、あるいは電極構造体に保持した銀含有粒子
表面に白金を担持しても良い。
【0008】以下本発明を詳細に説明する。従来から酸
素ガス拡散陰極のクロルアルカリ電解等の工業電解への
適用は検討され報告されている。そのガス拡散陰極の電
極物質の多くは白金であり、白金は極めて低い過電圧を
有するため電解電圧(槽電圧)を極めて低く維持できる
という特徴がある。しかし前記従来のガス拡散陰極はそ
の構造体(骨格)として炭素を使用しており、前記白金
はクロルアルカリ電解の際の酸素還元に関する過電圧が
低いという利点を有する反面、前記炭素を腐食しこれを
比較的短期間に消耗することが知られている。この白金
の代替金属として銀が提案されかつ使用されている。銀
は比較的安価であり、炭素の腐食を起こしにくいという
特徴を有するが、例えばクロルアルカリ電解(酸素還
元)の過電圧が白金と比較して約0.2 V高く、電力消費
が大きくなるという欠点を合わせ持っている。
【0009】本発明者らは、白金の有する低過電圧と銀
の有する経済性を併有する酸素ガス拡散電極を種々検討
した結果、本発明に到達したものであり、銀含有粒子表
面に微量の白金を担持することにより、白金単味触媒と
ほぼ同等の触媒活性を有しかつ遙かに低価格で製造でき
る電極触媒を提供できることを見出した。又この電極触
媒を炭素成分と混合してガス拡散電極のガス拡散層や反
応層を構成する場合でも電極触媒中の白金含有量が微量
であるため、炭素を腐食することが殆どなく、電極寿命
の長期化を達成できる。本発明における銀含有粒子と
は、銀単味粒子、及び導電性粒子表面に銀を被覆した前
記銀単味粒子と実質的に同等の性能を有する粒子、例え
ば微細なニッケル粒子表面やグラファイト粒子表面に銀
めっきを施した粒子を含む。
【0010】前記銀含有粒子上への白金の担持方法は特
に限定されないが、例えば次のような手法により担持で
きる。第1に、銀含有粒子を白金含有液中に浸漬し銀と
白金との置換反応により銀の一部を溶出させるとともに
白金を担持する。第2に、銀含有粒子を陰極として通常
の電気めっきにより白金を担持する。第3に、銀含有粒
子に無電解めっきにより白金を担持する。第4に、銀含
有粒子を白金化合物含有液に浸漬して表面に該白金化合
物を付着させ、加熱及び熱分解により前記銀含有粒子表
面に白金を担持する。この場合の銀含有粒子に対する白
金担持量は、白金の活性(過電圧低下)を最大限に活用
しかつ経済性も満足できるように、銀含有粒子に対して
微量とし、具体的には0.1 〜100 μg/cm2 、好ましくは
1〜10μg/cm2 であって、通常の純白金触媒の5〜100
g/m2(50mg/cm2〜1g/cm2)の1/1000以下である。これ未
満であると、白金添加による過電圧低下の効果が殆ど現
れず、特に大電流密度下での過電圧が銀含有粒子単独の
過電圧値に近くなる。又100 μg/cm2 を越えると白金添
加による効果が100 μg/cm2 以下の場合とほぼ等しく高
価な白金添加による経済的負担のみが大きくなる。ここ
で使用したμg/cm2 は銀含有粒子の表面積当たりの白金
重量である。
【0011】このように調製した電極触媒である白金担
持銀含有粒子を単独で又はPTFE樹脂や炭素等のバイ
ンダーととも電極構造体に保持してガス拡散電極とす
る。この白金担持銀含有粒子を電極構造体に保持する代
わりに、まず銀含有粒子を単独で又はバインダーととも
に電極構造体に保持し、その後、白金を前記銀含有粒子
表面に担持してガス拡散電極を構成しても良く、例えば
銀含有粒子を保持した電極構造体に白金化合物含有溶液
を塗布し、常法に従って水素気流中等の還元雰囲気下20
0 ℃程度で熱分解したり、銀含有粒子を保持した電極構
造体に白金をめっきしたりすることができる。このよう
に担持された白金量は多いほど良好な結果が得られるが
100 μg/cm2より大きい場合はその効果はほぼ一定とな
る。
【0012】本発明に係わるガス拡散電極の構造は特に
限定されず、例えばクロルアルカリ電解に使用する酸素
ガス拡散電極では、疎水型のガス拡散層と親水性の反応
層を接合したいわゆる半疎水型電極でも、又生成物をそ
れを通してガス室側に取り出す液透過型電極であっても
良い。電極構造体の材質としては、従来のカーボンブラ
ックやグラファイトを使用しても良いが、ニッケルやス
テンレス製等の金属多孔体を使用することが望ましく、
この場合には炭素の腐食が生じないため、触媒の被毒も
起こらず、長期間に渡り安定した運転を行なえるととも
に、この電極構造体ではイオン交換膜に密着させた形で
電解を進行できるため電気抵抗が極めて小さくなり、電
解電圧低下の効果が最も顕著に現れる。
【0013】
【実施例】次に本発明に係わるガス拡散電極及び該電極
を使用する電解の実施例を記載するが、該実施例は本発
明を限定するものではない。
【0014】
【実施例1】厚さ2mm、空隙率85%のニッケルフォーム
を厚さ0.6 〜0.7 mmまでプレスにより圧縮して空隙率約
50%の多孔板を得た。粒径5〜30μmのニッケル粒子と
バインダーであるPTFE樹脂(デュポン社製J−30)
を混練して調製したペーストを前記多孔板に塗布した
後、圧力を掛けながら温度220 ℃で焼き付けて電極構造
体とした。
【0015】粒径0.5 〜3μmの銀の触媒粒子と該銀粒
子に対して15重量%のPTFE樹脂をバインダーとして
加えた混合物を、前記構造体の片側表面に塗布し、同様
にして焼き付けた。銀粒子の量は150 μg/cm2 であっ
た。この構造体の銀粒子側表面に塩化白金酸の水溶液を
刷毛で塗布し、更に水素気流中で10分間200 ℃で焼き付
けて、液透過型ガス拡散電極とした。蛍光X線を使用し
て該ガス拡散電極の白金量を測定したところ、銀粒子表
面積当たり0.5 μg/cm2 であった。
【0016】このガス拡散電極を銀−白金触媒面がイオ
ン交換膜に密着するように、2室法イオン交換膜型食塩
電解槽の陰極室側に陰極として設置した。陽極は、酸化
ルテニウムと酸化チタンの複合酸化物皮膜を有するチタ
ン電極(いわゆるDSE)を使用した。陽極室に180 g
/lの食塩水を循環し、陰極室には水蒸気で飽和した酸
素ガスを理論量の29%増しで供給しながら、電流密度30
A/dm2 、温度90℃で電解を行なったところ、電解電圧は
2.05Vであった。又本実施例の電極の過電圧を測定した
ところ、550 mVであった。なお200 日連続運転を行なっ
た後も電解電圧は初期値を維持し、十分な耐久性を有す
ることが判った。
【0017】
【比較例1】塩化白金酸の塗布を行なわなかったこと以
外は実施例1と同一条件でガス拡散電極を製造し、かつ
実施例1と同一条件で食塩水の電解を行なったところ、
電解電圧は2.2 Vであり、実施例1の電極を使用する場
合と比較して0.15V高くなることが判った。又本比較例
の電極の過電圧を測定したところ、700 mVであり、実施
例1の電極より150 mV高くなることが判った。
【0018】
【比較例2】銀粒子を加えず、塩化白金酸の水溶液の塗
布のみで白金を担持したこと以外は実施例1と同一条件
で白金担持量が200 μg/cm2 である白金のみを触媒金属
とするガス拡散電極を調製した。このガス拡散電極の過
電圧480 mVであり、実施例1のガス拡散電極の過電圧よ
り70mV低いのみであり、大きな差異はみられなかった。
【0019】
【実施例2】塩化白金酸をブチルアルコールに溶解して
濃度が2g/lである白金のブチルアルコール溶液を調
製し、この溶液に実施例1と同じ銀粒子を浸漬し乾燥し
た後、空気中350 ℃で焼結した。これにより銀表面積に
対して約0.1 μg/cm2 に相当する白金金属を表面に被覆
した銀粒子を得た。この白金担持銀粒子を触媒として次
の操作により液透過型ガス拡散電極を作製した。
【0020】線径0.2 mmのニッケル線を編んで作ったメ
ッシュの表面に粒径20〜50μmのニッケル粒子とデキス
トリンの混練物を塗布し水素雰囲気中400 ℃で15分間焼
き付けた。更にこのメッシュを、PTFE樹脂を分散し
た銀めっき浴中で銀めっきを行ない、前記メッシュ表面
に撥水性の銀めっきを施して構造体とした。この構造体
の片面に、前記白金担持銀粒子とPTFE樹脂の混練物
を塗布し、ホットプレスにより220 ℃で15分間焼き付け
て、前記銀粒子を保持して液透過型ガス拡散電極とし
た。このガス拡散電極の銀保持量は30μg/cm2 、白金担
持量は1.5 μg/cm2 であった。このガス拡散電極の酸素
還元の過電圧を測定したところ、電流密度30A/dm2 で51
0 mVであった。
【0021】
【比較例3】銀粒子に白金を担持しなかったこと以外は
実施例2と同一条件でガス拡散電極を作製し、かつ酸素
還元の過電圧を測定した。電流密度30A/dm2 で該過電圧
は740 mVであり、白金担持により過電圧が230 mV下がっ
たことが判る。
【0022】
【実施例3】撥水性の炭素とPTFE樹脂の混練物をホ
ットプレスとして撥水性シートから成るガス拡散層を構
成した。一方粒子10〜30μmの銀粒子とPTFE樹脂と
の混練物を前記ガス拡散層の片面に、220 ℃でホットプ
レスして反応層を構成し、前記ガス拡散層と一体化し
た。前記反応層の表面に、硝酸銀水溶液を塗布し、200
℃の水素雰囲気中で焼付けた。銀保持量は15μg/cm2
あった。次いで銀保持表面に塩化白金酸水溶液を塗布し
同様にして水素雰囲気中200 ℃で15分間焼き付けて、銀
−カーボン表面積当たり0.5 μg/cm2 の白金を担持させ
た。
【0023】このガス拡散電極を銀−白金触媒面がイオ
ン交換膜に密着するように、2室法イオン交換膜型食塩
電解槽の陰極室側に陰極として設置した。陽極は、酸化
ルテニウムと酸化チタンの複合酸化物皮膜を有するチタ
ン電極(いわゆるDSE)を使用した。陰極室に、32%
苛性ソーダ水溶液を循環しかつ酸素ガスを理論量の1.2
倍供給しながら、電流密度30A/dm2 、温度80℃での過電
圧を測定したところ、490 mVであり、この過電圧は30日
連続運転後も変化がなく、十分な耐久性を有することが
判った。
【0024】
【比較例4】硝酸銀水溶液の塗布を行なわなかったこと
以外は実施例3と同一条件で白金のみを担持したガス拡
散電極を製造し(白金担持量も実施例3と同じ0.5 μg/
cm2)、かつ実施例3と同一条件で過電圧を測定したと
ころ、500 mVで実施例3と殆ど変わらなかった。しかし
30日経過後の過電圧は800 mVまで上昇し、実施例3の電
極の過電圧より約300 mV高くなった。
【0025】
【比較例5】塩化白金酸水溶液の塗布を行なわなかった
こと以外は実施例3と同一条件で銀のみを保持したガス
拡散電極を製造し(銀保持量も実施例3と同じ15μg/cm
2 )、かつ実施例3と同一条件で過電圧を測定したとこ
ろ、初期過電圧が700 mVと高く、この値は30日経過後も
変わらなかった。実施例3、比較例4及び5を比較する
ことにより、銀触媒に僅少量の白金を添加することによ
り、低過電圧が長期に亘って安定に保持できることが判
った。
【0026】
【実施例4】粒径0.3 〜2μmのニッケル粒子を、市販
の無電解めっき液に浸漬してその表面に銀めっきを行な
った。この銀めっきニッケル粒子30gを15%硝酸中に分
散させ、該硝酸中に白金濃度が2.5 g/lとなるように
塩化白金酸を溶解し、40℃で10時間保持した。この操作
により銀めっき表面に白金が0.15μg/cm2 の濃度で担持
された。
【0027】この白金及び銀担持ニッケル粒子と、該粒
子に対して15重量%のPTFE樹脂をバインダーとして
加えた混合物を、実施例1の構造体の片側表面に塗布
し、圧力を掛けながら温度220 ℃で焼き付けて液透過型
ガス拡散電極とした。このガス拡散電極を使用して実施
例1と同一条件で電解槽を組み立てかつ同一条件で食塩
電解を行なったところ、電解電圧は2.07Vであり、酸素
還元電極としての過電圧は570 mVであった。
【0028】
【実施例5】実施例1と同様にして、その片側に銀粒子
とPTFE樹脂の混合物を焼き付けた構造体を作製し
た。この構造体を陰極として、0.2 g/lの塩化白金酸
を含む0.2 Mの過塩素酸中に浸漬し、白金板を陽極とし
て電流密度3mA/cm2で3分間電析することにより銀粒子
表面に白金(電析量1μg/cm2 )を担持させてガス拡散
電極とした。該白金の担持は大部分が電極表面で起こ
り、少量が電極内部で起こっていた。このガス拡散電極
を使用して実施例1と同一条件で電解を行なったとこ
ろ、電解電圧は2.07V、過電圧は570 mVで、いずれも実
施例4と同じであった。
【0029】
【実施例6】実施例5と同じ構造体を、0.5 g/lの塩
化白金酸を含む硝酸中に浸漬し、該硝酸中に還元剤とし
てヒドラジン水和物を1g/lとなるように溶解し5分
間放置することにより、該構造体表面に白金金属(付着
量0.8 μg/cm2 )を析出させ、ガス拡散電極とした。こ
のガス拡散電極の断面分析を行なったところ、電極内部
まで均一に白金が析出していた。このガス拡散電極を使
用し、実施例1と同一条件で電解を行なったところ、電
解電圧は2.06Vであり、過電圧は実施例4及び5と同じ
570 mVであった。
【0030】
【発明の効果】本発明のガス拡散電極は、電極構造体、
及び該構造体表面に保持した微量の白金を担持した銀含
有粒子である電極触媒を含んでなることを特徴とする酸
素ガス拡散電極である。白金は酸素還元に関する過電圧
が低く電極触媒としての性能は満足できるという利点を
有する反面、非常に高価であるという欠点を有してい
る。一方銀は白金と比較して安価であるという利点を有
する反面、前記過電圧が白金よりも幾分高く電力消費が
高くなるという欠点を有している。
【0031】本発明ではこのような長所及び短所を有す
る両金属のそれぞれの短所を相互に補い、それぞれの長
所を最大限に生かして従来にない優れたガス拡散電極が
提供できる。つまり電極触媒の主成分である銀含有粒子
の表面に微量の白金を担持することにより、銀が主体
であるため白金単味と比較して価格が非常に安く、添
加した白金が銀の過電圧を低下させて白金単味とほぼ同
等の過電圧を達成でき、微量の白金しか添加しなかっ
たにもかかわらず、長期に渡って安定した運転が可能に
なる、という効果が生じる。又前記電極構造体として炭
素を含むガス拡散電極では、白金単味では非常に顕著な
炭素の劣化が、本発明では白金添加量が微量であるた
め、殆ど炭素の劣化がなくなり、炭素を使用するガス拡
散電極でも長期の安定な運転が可能になる。
【0032】本発明の酸素ガス拡散電極で使用する銀含
有粒子は、銀粒子でも銀を被覆した炭素や金属等の導電
性粒子でも良い。銀含有粒子に対する白金担持量は0.1
〜100 μg/cm2 が好ましく、0.1 μg/cm2 未満である
と、白金添加による過電圧低下の効果が殆ど現れず、特
に大電流密度下での過電圧が銀含有粒子単独の過電圧値
に近くなる。又100 μg/cm2 を越えると白金添加による
効果が100 μg/cm2 以下の場合とほぼ等しく高価な白金
添加による経済的負担のみが大きくなる。
【0033】上述した酸素ガス拡散電極は、電極触媒で
ある白金担持銀含有粒子を単独で又はPTFE樹脂や炭
素等のバインダーととも電極構造体に保持して製造して
も、まず銀含有粒子を電極構造体に保持し、その後、白
金を前記銀含有粒子表面に担持して製造しても良く、い
ずれの製造方法でも上述した従来にない性能及び経済性
を有する酸素ガス拡散電極を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島宗 孝之 東京都町田市本町田3006番地30 (72)発明者 古川 直治 京都府八幡市橋本北浄土ケ原50−12 (72)発明者 岩倉 千秋 大阪府堺市新檜尾台3−3−4−105

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極構造体、及び該構造体表面に保持し
    た微量の白金を担持した銀含有粒子である電極触媒を含
    んでなることを特徴とする酸素ガス拡散電極。
  2. 【請求項2】 銀含有粒子が、銀粒子又は銀を被覆した
    導電性粒子である請求項1に記載の酸素ガス拡散電極。
  3. 【請求項3】 銀含有粒子に対する白金担持量が0.1 〜
    100 μg/cm2 である請求項1に記載の酸素ガス拡散電
    極。
  4. 【請求項4】 銀含有粒子表面に微量の白金を担持し、
    該白金担持銀含有粒子を電極構造体に保持することを特
    徴とする酸素ガス拡散電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 電極構造体に銀含有粒子を保持し、該電
    極構造体の該銀含有粒子表面に微量の白金を担持するこ
    とを特徴とする酸素ガス拡散電極の製造方法。
JP8357231A 1996-12-26 1996-12-26 酸素ガス拡散電極及びその製造方法 Pending JPH10195687A (ja)

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JP2009533553A (ja) * 2006-04-12 2009-09-17 インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ 電解液浸透型セル用ガス拡散電極

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