JPH10195566A - 高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金 - Google Patents
高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金Info
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- JPH10195566A JPH10195566A JP35634796A JP35634796A JPH10195566A JP H10195566 A JPH10195566 A JP H10195566A JP 35634796 A JP35634796 A JP 35634796A JP 35634796 A JP35634796 A JP 35634796A JP H10195566 A JPH10195566 A JP H10195566A
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- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B37/00—Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
- C03B37/01—Manufacture of glass fibres or filaments
- C03B37/04—Manufacture of glass fibres or filaments by using centrifugal force, e.g. spinning through radial orifices; Construction of the spinner cups therefor
- C03B37/047—Selection of materials for the spinner cups
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- Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、耐熱合金製の容器(スピナー)の
回転による遠心力によって、溶融ガラスを容器壁に設け
た小孔から吐出してガラス繊維を製造するための高温耐
食および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金を提供
する。 【解決手段】 化学成分が、重量%表示として、C:
0.05〜0.80%、Cr:15.0〜35.0%、
W:0.5〜7.0%、N:0.05〜0.20%、A
l:0.08〜0.40%、必要に応じて、Si:2.
0重量%以下、Mn:2.0重量%以下のうち少なくと
も一種、残部:Niおよび不可避的不純物の組成からな
るNi基合金で、且つ刻設された小孔より溶融ガラスを
吐出する際に、合金表皮部に優先的にAl2 O3 の内部
酸化層を形成することを特徴とし、さらに前記におい
て、Al:0.10超〜0.30重量%、またはCr:
15〜33重量%未満の組成からなることを特徴とす
る。
回転による遠心力によって、溶融ガラスを容器壁に設け
た小孔から吐出してガラス繊維を製造するための高温耐
食および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金を提供
する。 【解決手段】 化学成分が、重量%表示として、C:
0.05〜0.80%、Cr:15.0〜35.0%、
W:0.5〜7.0%、N:0.05〜0.20%、A
l:0.08〜0.40%、必要に応じて、Si:2.
0重量%以下、Mn:2.0重量%以下のうち少なくと
も一種、残部:Niおよび不可避的不純物の組成からな
るNi基合金で、且つ刻設された小孔より溶融ガラスを
吐出する際に、合金表皮部に優先的にAl2 O3 の内部
酸化層を形成することを特徴とし、さらに前記におい
て、Al:0.10超〜0.30重量%、またはCr:
15〜33重量%未満の組成からなることを特徴とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱合金に関し、
特に耐熱合金製の容器(スピナー)の回転による遠心力
によって、溶融ガラスを容器壁に設けた小孔から吐出し
てガラス繊維を製造するための遠心紡糸用Ni基合金に
関するものであって、Cr−Ni合金、例えば先に出願
した特開昭59−222548号をベースとして合金成
分の機能改善によって、高温耐食および耐酸化性をさら
に向上させたものである。
特に耐熱合金製の容器(スピナー)の回転による遠心力
によって、溶融ガラスを容器壁に設けた小孔から吐出し
てガラス繊維を製造するための遠心紡糸用Ni基合金に
関するものであって、Cr−Ni合金、例えば先に出願
した特開昭59−222548号をベースとして合金成
分の機能改善によって、高温耐食および耐酸化性をさら
に向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維の製造方法は、容器を使用し
た遠心法が主流であって、この方法では耐熱合金製の容
器を回転させその遠心力で、容器壁の小孔から溶融ガラ
スを吐出して繊維状とするものである。
た遠心法が主流であって、この方法では耐熱合金製の容
器を回転させその遠心力で、容器壁の小孔から溶融ガラ
スを吐出して繊維状とするものである。
【0003】一般に回転容器はスピナーと称せられ、ス
ピナーにおいては、溶融ガラスを遠心力で通過させて流
量を制御し、小孔の出口でメニスカスを形成し、これを
高温度のガスの炎で吹き飛ばし繊維化するものである。
上述のように回転遠心力方式では、ガラス繊維を製造す
るためのスピナーは大気中で自らも高温に加熱され、か
つ約2000rpmという高速度で回転し、その壁に設
けられた小孔を溶融ガラスが通過する。このため、スピ
ナーの小孔は使用中に摩耗が進行していく。従って、こ
のスピナーに用いられる合金では、次の特性が要求され
る。高温での高速回転下の耐疲労強度、高温での小
孔(オリフィス)における溶融ガラス流による耐損耗
性、高温大気中での高温耐酸化性、溶融ガラスに対
する十分な耐エロージョン性、表面の皮膜形成による
保護機能を有することが挙げられる。従って、このスピ
ナーに用いられる合金では、高温において均衡のとれた
強度、耐酸化性およびガラスに対する耐食性を有するこ
とが基本特性として要求される。
ピナーにおいては、溶融ガラスを遠心力で通過させて流
量を制御し、小孔の出口でメニスカスを形成し、これを
高温度のガスの炎で吹き飛ばし繊維化するものである。
上述のように回転遠心力方式では、ガラス繊維を製造す
るためのスピナーは大気中で自らも高温に加熱され、か
つ約2000rpmという高速度で回転し、その壁に設
けられた小孔を溶融ガラスが通過する。このため、スピ
ナーの小孔は使用中に摩耗が進行していく。従って、こ
のスピナーに用いられる合金では、次の特性が要求され
る。高温での高速回転下の耐疲労強度、高温での小
孔(オリフィス)における溶融ガラス流による耐損耗
性、高温大気中での高温耐酸化性、溶融ガラスに対
する十分な耐エロージョン性、表面の皮膜形成による
保護機能を有することが挙げられる。従って、このスピ
ナーに用いられる合金では、高温において均衡のとれた
強度、耐酸化性およびガラスに対する耐食性を有するこ
とが基本特性として要求される。
【0004】従来のスピナー用合金として、先に出願し
た特開昭59−222548号公報では、高C、高Cr
−Ni基の高温耐食耐摩耗性合金を開示した。この合金
においては1000〜1200℃での高温において、約
2000rpmの回転を行い溶融ガラスを吐出させるの
に十分な耐熱強度を有すると共に、溶融ガラスに対する
優れた耐食性を有している。しかし、長時間にわたって
使用していると、高温下での合金の酸化損耗反応が徐々
に進行し、壁に設けられた小孔が損耗拡大して所定の繊
維径が得られなくなってくる。この酸化損耗反応の進行
を合金機能として抑止することが出来れば、耐久性が向
上し、さらにスピナーを長時間使用することが可能とな
る。このため、さらに高温強度および耐蝕性を向上させ
るための合金成分機能の改善が望まれている。
た特開昭59−222548号公報では、高C、高Cr
−Ni基の高温耐食耐摩耗性合金を開示した。この合金
においては1000〜1200℃での高温において、約
2000rpmの回転を行い溶融ガラスを吐出させるの
に十分な耐熱強度を有すると共に、溶融ガラスに対する
優れた耐食性を有している。しかし、長時間にわたって
使用していると、高温下での合金の酸化損耗反応が徐々
に進行し、壁に設けられた小孔が損耗拡大して所定の繊
維径が得られなくなってくる。この酸化損耗反応の進行
を合金機能として抑止することが出来れば、耐久性が向
上し、さらにスピナーを長時間使用することが可能とな
る。このため、さらに高温強度および耐蝕性を向上させ
るための合金成分機能の改善が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スピ
ナーの高温特性を溶融ガラスとの反応性および該溶融ガ
ラス流と共に巻き込まれて随伴する大気との酸化反応性
の両面から検討し、スピナー小孔部での粒界酸化を防止
することによって、耐食性および耐酸化性に優れたガラ
ス繊維製造用の遠心紡糸用Ni基合金を提供することに
ある。
ナーの高温特性を溶融ガラスとの反応性および該溶融ガ
ラス流と共に巻き込まれて随伴する大気との酸化反応性
の両面から検討し、スピナー小孔部での粒界酸化を防止
することによって、耐食性および耐酸化性に優れたガラ
ス繊維製造用の遠心紡糸用Ni基合金を提供することに
ある。
【0006】また、本発明の他の目的は、前記溶融ガラ
スの粒界酸化を抑制するために、溶融ガラスに巻き込ま
れた酸素量を効果的に無害化することを、合金添加元素
によって実現し高温耐食性および耐酸化性に優れたガラ
ス繊維製造用の遠心紡糸用Ni基合金を提供することに
ある。
スの粒界酸化を抑制するために、溶融ガラスに巻き込ま
れた酸素量を効果的に無害化することを、合金添加元素
によって実現し高温耐食性および耐酸化性に優れたガラ
ス繊維製造用の遠心紡糸用Ni基合金を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、高C高Cr−
Ni基合金において、高温強度を得るためのCr炭化物
で被覆された細かい網目状粒界組織を損なうことなく、
ガラス繊維製造時に合金表皮部に内部酸化層(Al2 O
3 )を優先的に形成させることによって、粒界酸化を抑
制し損耗を防止するものである。前記課題を達成する本
発明の要旨は次のとおりである。
Ni基合金において、高温強度を得るためのCr炭化物
で被覆された細かい網目状粒界組織を損なうことなく、
ガラス繊維製造時に合金表皮部に内部酸化層(Al2 O
3 )を優先的に形成させることによって、粒界酸化を抑
制し損耗を防止するものである。前記課題を達成する本
発明の要旨は次のとおりである。
【0008】(1)化学成分が、重量%表示として、
C:0.05〜0.80%、Cr:15.0〜35.0
%、W:0.5〜7.0%、N:0.05〜0.20
%、Al:0.08〜0.40%、Ti、Zr、Nbの
うち1種または2種以上:合計として、0.1〜1.7
%、残部:Niおよび不可避的不純物の組成からなり、
且つ刻設された小孔から溶融ガラスを吐出する際に、合
金表皮部に優先的にAl2 O3 の内部酸化層を形成する
ことを特徴とする高温耐食性および耐酸化性に優れた遠
心紡糸用Ni基合金。
C:0.05〜0.80%、Cr:15.0〜35.0
%、W:0.5〜7.0%、N:0.05〜0.20
%、Al:0.08〜0.40%、Ti、Zr、Nbの
うち1種または2種以上:合計として、0.1〜1.7
%、残部:Niおよび不可避的不純物の組成からなり、
且つ刻設された小孔から溶融ガラスを吐出する際に、合
金表皮部に優先的にAl2 O3 の内部酸化層を形成する
ことを特徴とする高温耐食性および耐酸化性に優れた遠
心紡糸用Ni基合金。
【0009】(2)上記(1)項において、さらに必要
に応じて脱酸剤として、Si:2.0重量%以下、M
n:2.0重量%以下のうち少なくとも一種の組成から
なることを特徴とする高温耐食性および耐酸化性に優れ
た遠心紡糸用Ni基合金。 (3)上記(1)項において、Al:0.10超〜0.
30重量%の組成からなることを特徴とする高温耐食性
および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金。 (4)上記(1)項において、Cr:15.0〜33.
0重量%未満の組成からなることを特徴とする高温耐食
性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金。
に応じて脱酸剤として、Si:2.0重量%以下、M
n:2.0重量%以下のうち少なくとも一種の組成から
なることを特徴とする高温耐食性および耐酸化性に優れ
た遠心紡糸用Ni基合金。 (3)上記(1)項において、Al:0.10超〜0.
30重量%の組成からなることを特徴とする高温耐食性
および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金。 (4)上記(1)項において、Cr:15.0〜33.
0重量%未満の組成からなることを特徴とする高温耐食
性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金。
【0010】
【発明の実施の形態】従来の高C高Cr−Ni基耐熱合
金は、粒界がCr炭化物で被覆された細かい網目状組織
を呈し優れた高温強度を有している。更にガラスに対す
る優れた耐食性と相まってガラス繊維製造用スピナーと
して用いられて来た。
金は、粒界がCr炭化物で被覆された細かい網目状組織
を呈し優れた高温強度を有している。更にガラスに対す
る優れた耐食性と相まってガラス繊維製造用スピナーと
して用いられて来た。
【0011】前記先願の特開昭59−222548号公
報の合金では、素材としてのスピナー用合金自体に高温
度における耐食性並びに耐摩耗性を付与するために、C
と反応して積極的に炭化物を形成するCr、W等をNi
に対して適正量に添加するもので、この炭化物分布の最
適化によって溶融ガラスに対する耐食性および材料強度
の増大を狙ったものであった。しかし前述のように、長
時間の使用しているとスピナー壁部の小孔は損耗が徐々
に進行する。本発明ではこの耐久性対策を具体的に実現
するために、先願の特開昭59−222548号公報の
合金をベースとして成分を組み合わせ改良したものであ
る。
報の合金では、素材としてのスピナー用合金自体に高温
度における耐食性並びに耐摩耗性を付与するために、C
と反応して積極的に炭化物を形成するCr、W等をNi
に対して適正量に添加するもので、この炭化物分布の最
適化によって溶融ガラスに対する耐食性および材料強度
の増大を狙ったものであった。しかし前述のように、長
時間の使用しているとスピナー壁部の小孔は損耗が徐々
に進行する。本発明ではこの耐久性対策を具体的に実現
するために、先願の特開昭59−222548号公報の
合金をベースとして成分を組み合わせ改良したものであ
る。
【0012】このように、酸化損耗反応が必然的に進行
し、壁に設けられた小孔の径が拡大して、その結果所定
の繊維径が得られなくなる。本発明では、ガラス繊維製
造時にスピナーの小孔部表層に内部酸化層としてAl2
O3 が優先的に形成されるので、ガラスと共に巻き込ま
れた酸素による粒界酸化が抑止される。そのため、Cr
炭化物の網目構造を損なうことなく耐熱性を保持して、
耐食耐酸化性を向上することが可能となる。
し、壁に設けられた小孔の径が拡大して、その結果所定
の繊維径が得られなくなる。本発明では、ガラス繊維製
造時にスピナーの小孔部表層に内部酸化層としてAl2
O3 が優先的に形成されるので、ガラスと共に巻き込ま
れた酸素による粒界酸化が抑止される。そのため、Cr
炭化物の網目構造を損なうことなく耐熱性を保持して、
耐食耐酸化性を向上することが可能となる。
【0013】長時間使用していると、図2(b)の光学
顕微鏡写真に示すように高温での腐食・酸化反応の結
果、壁の小孔の表皮部では粒界酸化が優先し、Cr炭化
物の網目構造は消失し、無数のボイドの形成によるスピ
ナー小孔の損耗が進行する。その領域ではCr炭化物の
ネットワークが消えている。
顕微鏡写真に示すように高温での腐食・酸化反応の結
果、壁の小孔の表皮部では粒界酸化が優先し、Cr炭化
物の網目構造は消失し、無数のボイドの形成によるスピ
ナー小孔の損耗が進行する。その領域ではCr炭化物の
ネットワークが消えている。
【0014】前記耐熱合金からサンプル(14×50×
5mm)を切り出し、坩堝に入れた溶融ガラス中で、1
100℃大気雰囲気下に於いて240時間浸漬し耐熱性
調査を行った。その試験方法を図3に示す。図3のよう
に、試験片1を溶融ガラス2に浸漬し、試験片の一部を
大気中に曝すようにして溶融ガラスに浸漬した部分と大
気部分での損耗状態を把握した。
5mm)を切り出し、坩堝に入れた溶融ガラス中で、1
100℃大気雰囲気下に於いて240時間浸漬し耐熱性
調査を行った。その試験方法を図3に示す。図3のよう
に、試験片1を溶融ガラス2に浸漬し、試験片の一部を
大気中に曝すようにして溶融ガラスに浸漬した部分と大
気部分での損耗状態を把握した。
【0015】耐熱合金が溶融ガラスに浸漬されている場
合には、酸化反応が進行せず、ボイドの形成は極僅かで
損耗も認められない。この組織を図4(a)に示す。な
お、同一条件で溶融ガラスの界面に曝された時の表皮部
を図4(b)に示す。界面ではCr炭化物の網目構造が
消失して無数のボイドを形成し、材料の損耗が認められ
る。以上の知見に基づいて、本発明では前記の酸化反応
の進行を抑制するために、耐熱成分に第3元素を添加し
て、表皮部に第3元素による内部酸化層を積極的に形成
させるものである。
合には、酸化反応が進行せず、ボイドの形成は極僅かで
損耗も認められない。この組織を図4(a)に示す。な
お、同一条件で溶融ガラスの界面に曝された時の表皮部
を図4(b)に示す。界面ではCr炭化物の網目構造が
消失して無数のボイドを形成し、材料の損耗が認められ
る。以上の知見に基づいて、本発明では前記の酸化反応
の進行を抑制するために、耐熱成分に第3元素を添加し
て、表皮部に第3元素による内部酸化層を積極的に形成
させるものである。
【0016】次に、本発明の化学成分の限定理由につい
て説明する。Cは、Ni基地に固溶して、Cr、W、T
i、Zr、Nb等と炭化物を形成する。この炭化物の分
散強化によって機械的強度が向上し、耐摩耗性も改善さ
れる。Cが0.05%未満の時は、この効果が十分に得
られない。また、Cが0.8%超の時は、基地中の炭化
物が増大し過ぎてスピナーの孔開加工性を劣化し、機械
的性質も劣化する傾向となる。このため、Cは0.05
〜0.8%に限定した。
て説明する。Cは、Ni基地に固溶して、Cr、W、T
i、Zr、Nb等と炭化物を形成する。この炭化物の分
散強化によって機械的強度が向上し、耐摩耗性も改善さ
れる。Cが0.05%未満の時は、この効果が十分に得
られない。また、Cが0.8%超の時は、基地中の炭化
物が増大し過ぎてスピナーの孔開加工性を劣化し、機械
的性質も劣化する傾向となる。このため、Cは0.05
〜0.8%に限定した。
【0017】Crは、Ni基地に固溶して、Cともに炭
化物を形成する。この炭化物の分散強化によって機械的
強度が向上し、耐腐食性も改善し、耐熱性からも必須元
素である。Crが15%未満の時は、これらの効果が十
分に得られない。また、Crが35%超の時は、基地中
のNi量が減少し過ぎてスピナーの小孔の耐熱性を劣化
し、耐摩耗性も劣化する傾向となる。このため、Crは
15〜35%に限定した。さらに、Crのより好ましい
範囲は、15〜33%未満である。
化物を形成する。この炭化物の分散強化によって機械的
強度が向上し、耐腐食性も改善し、耐熱性からも必須元
素である。Crが15%未満の時は、これらの効果が十
分に得られない。また、Crが35%超の時は、基地中
のNi量が減少し過ぎてスピナーの小孔の耐熱性を劣化
し、耐摩耗性も劣化する傾向となる。このため、Crは
15〜35%に限定した。さらに、Crのより好ましい
範囲は、15〜33%未満である。
【0018】Wは、Ni基地に固溶して、Cとともに炭
化物を形成する。このため、合金の強度向上には必須で
あって、Wによる耐熱性への寄与は合金元素中で最大で
あり、本合金系においても有効成分である。Wが0.5
%未満の時は、これらの効果が十分に得られない。ま
た、Wが7%超の時は、スピナーの小孔の耐食性ととも
に、耐酸化性も劣化する傾向となる。このため、Wは
0.5〜7%に限定した。
化物を形成する。このため、合金の強度向上には必須で
あって、Wによる耐熱性への寄与は合金元素中で最大で
あり、本合金系においても有効成分である。Wが0.5
%未満の時は、これらの効果が十分に得られない。ま
た、Wが7%超の時は、スピナーの小孔の耐食性ととも
に、耐酸化性も劣化する傾向となる。このため、Wは
0.5〜7%に限定した。
【0019】Ti、ZrおよびNbは、炭化物形成元素
であって、その微細炭化物はNi基地の高温での組織微
細化効果が顕著である。そのため合金の高温での機械的
強度および耐摩耗性等の改善に利用される。本合金系に
おいても、最適添加量の範囲では、スピナーの小孔の耐
食性とともに、耐酸化性を向上する。すなわち、添加量
が0.1%未満ではこれらの効果は殆ど得られない。ま
た、添加量が1.7%超の範囲では、それらの効果が飽
和する傾向にある。そのため、0.1〜1.7%の範囲
が本合金系の適正範囲である。
であって、その微細炭化物はNi基地の高温での組織微
細化効果が顕著である。そのため合金の高温での機械的
強度および耐摩耗性等の改善に利用される。本合金系に
おいても、最適添加量の範囲では、スピナーの小孔の耐
食性とともに、耐酸化性を向上する。すなわち、添加量
が0.1%未満ではこれらの効果は殆ど得られない。ま
た、添加量が1.7%超の範囲では、それらの効果が飽
和する傾向にある。そのため、0.1〜1.7%の範囲
が本合金系の適正範囲である。
【0020】Nについては、Ni基地に固溶し、または
Ti、ZrおよびNbとともに、窒化物または炭窒化物
を形成して、高温における機械的性質または耐摩耗性を
向上するための必須元素である。しかし、これが多すぎ
ると窒化物または炭窒化物が過剰になり、微細な析出物
が粗大化し、却って機械的性質または耐摩耗性の向上効
果がなくなる傾向にある。この添加量が0.05%未満
では、これらの効果が発揮されないし、0.2%超では
Nガスの発生が多くなり鋳造工程での作業が困難とな
る。このため、好ましくは0.05〜0.2%の範囲で
ある。
Ti、ZrおよびNbとともに、窒化物または炭窒化物
を形成して、高温における機械的性質または耐摩耗性を
向上するための必須元素である。しかし、これが多すぎ
ると窒化物または炭窒化物が過剰になり、微細な析出物
が粗大化し、却って機械的性質または耐摩耗性の向上効
果がなくなる傾向にある。この添加量が0.05%未満
では、これらの効果が発揮されないし、0.2%超では
Nガスの発生が多くなり鋳造工程での作業が困難とな
る。このため、好ましくは0.05〜0.2%の範囲で
ある。
【0021】Alは本合金系では前述のように、スピナ
ー小孔部のボイド形成を抑止するための必須元素であ
る。この添加効果を、一例として図2(a)および
(b)の100倍の光学顕微鏡写真として、使用後のス
ピナー壁小孔部の表層組織観察を示す。この図の、図2
(a)はAl:0.22%添加の本発明材、図2(b)
はAl:0.02%の比較材である。図2(a)のd領
域は内部酸化層(Al2 O3)生成領域で、この範囲の
ボイド生成量が、本発明材では極端に少なく改善されて
いる。
ー小孔部のボイド形成を抑止するための必須元素であ
る。この添加効果を、一例として図2(a)および
(b)の100倍の光学顕微鏡写真として、使用後のス
ピナー壁小孔部の表層組織観察を示す。この図の、図2
(a)はAl:0.22%添加の本発明材、図2(b)
はAl:0.02%の比較材である。図2(a)のd領
域は内部酸化層(Al2 O3)生成領域で、この範囲の
ボイド生成量が、本発明材では極端に少なく改善されて
いる。
【0022】この関係をより具体的に、Al量とスピナ
ー小孔部の損耗状況の関係を図1に示す。この図から、
極端に損耗量が改善される範囲が存在することが明らか
となった。この良好な範囲では、Alが適正な添加量で
添加されている場合に対応し、表皮部に内部酸化層Al
2 O3 が形成され、ボイドの生成は極端に減少し、損耗
指数が向上している。また、Alの添加量が0.08%
未満の場合には、効果的な内部酸化層の形成が期待出来
ない。さらに、Alの添加量が0.4%超の場合、Cr
共晶炭化物が凝集粗大し基地組織として好ましくない範
囲である。そのため、本発明ではAlを0.08〜0.
40%に限定した。また、本発明でのより好ましいAl
の範囲は0.10超〜0.30%である。
ー小孔部の損耗状況の関係を図1に示す。この図から、
極端に損耗量が改善される範囲が存在することが明らか
となった。この良好な範囲では、Alが適正な添加量で
添加されている場合に対応し、表皮部に内部酸化層Al
2 O3 が形成され、ボイドの生成は極端に減少し、損耗
指数が向上している。また、Alの添加量が0.08%
未満の場合には、効果的な内部酸化層の形成が期待出来
ない。さらに、Alの添加量が0.4%超の場合、Cr
共晶炭化物が凝集粗大し基地組織として好ましくない範
囲である。そのため、本発明ではAlを0.08〜0.
40%に限定した。また、本発明でのより好ましいAl
の範囲は0.10超〜0.30%である。
【0023】Siは、後記Mnと同様に、必要に応じて
脱酸素調整用として添加される元素である。Siが2.
0超では合金自体の靱延性を阻害し、かつ表面に酸化皮
膜を形成し前記溶融ガラスによる高温耐食性を劣化す
る。従ってSi含有量を2.0%以下に限定し、下限値
として0%を含めるものとする。Mnは、前記Siと同
様に、必要に応じて脱酸素調整用として添加される元素
である。Mnが2.0超ではSiと同様に、合金自体の
靱延性を阻害し、かつ高温耐酸化性を劣化する。従って
Mn含有量を2.0%以下に限定し、下限値として0%
を含めるものとする。本発明の効果を確認するために、
表1に示す化学組成の合金についてテストを実施した。
脱酸素調整用として添加される元素である。Siが2.
0超では合金自体の靱延性を阻害し、かつ表面に酸化皮
膜を形成し前記溶融ガラスによる高温耐食性を劣化す
る。従ってSi含有量を2.0%以下に限定し、下限値
として0%を含めるものとする。Mnは、前記Siと同
様に、必要に応じて脱酸素調整用として添加される元素
である。Mnが2.0超ではSiと同様に、合金自体の
靱延性を阻害し、かつ高温耐酸化性を劣化する。従って
Mn含有量を2.0%以下に限定し、下限値として0%
を含めるものとする。本発明の効果を確認するために、
表1に示す化学組成の合金についてテストを実施した。
【0024】
【表1】
【0025】表1において、本発明材はサンプルNo.
1と2である。比較材はサンプルNo.3〜9を使用し
た。図1に示すように、Al:0.15%近nにガラス
との腐食酸化反応に対して最も良好な範囲が存在するこ
とが示され、該範囲では比較材に対して約30%の界面
損耗が改善されることが分かった。また、前述のCr炭
化物の編目構造を損なうことなく、高温強度を得るため
の基地組織が得られた。
1と2である。比較材はサンプルNo.3〜9を使用し
た。図1に示すように、Al:0.15%近nにガラス
との腐食酸化反応に対して最も良好な範囲が存在するこ
とが示され、該範囲では比較材に対して約30%の界面
損耗が改善されることが分かった。また、前述のCr炭
化物の編目構造を損なうことなく、高温強度を得るため
の基地組織が得られた。
【0026】
【発明の効果】本発明によって、耐熱合金として優れた
特性を有する高C高Cr−Ni基合金の提供を可能と
し、その基地組織である細かいCr炭化物の網目構造を
損なうことなく、耐食耐酸化性を向上し、スピナーに適
用することによってその耐久性が著しく改善される。
特性を有する高C高Cr−Ni基合金の提供を可能と
し、その基地組織である細かいCr炭化物の網目構造を
損なうことなく、耐食耐酸化性を向上し、スピナーに適
用することによってその耐久性が著しく改善される。
【図1】本発明に係るAl濃度と損耗指数の関係を示す
図である。
図である。
【図2】本発明および比較材の表層部を示す金属組織の
光学顕微鏡写真で、(a)本発明材、(b)比較材であ
る。
光学顕微鏡写真で、(a)本発明材、(b)比較材であ
る。
【図3】耐熱合金の溶融ガラスへの浸漬試験法を示す図
である。
である。
【図4】従来の合金の溶融ガラスによる浸漬試験におけ
る金属組織で、(a)完全浸漬部、(b)大気/溶融ガ
ラス界面での光学顕微鏡写真である。
る金属組織で、(a)完全浸漬部、(b)大気/溶融ガ
ラス界面での光学顕微鏡写真である。
1…試験片 2…溶融ガラス 3…坩堝 4…大気−ガラス界面 5…発熱体 6…ステージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 折笠 仁 福島県郡山市小原田3丁目4−23
Claims (4)
- 【請求項1】 化学成分が、重量%表示として、 C:0.05〜0.80%、 Cr:15.0〜35.0%、 W:0.5〜7.0%、 N:0.05〜0.20%、 Al:0.08〜0.40%、 Ti、Zr、Nbのうち1種または2種以上:合計とし
て、0.1〜1.7%、 残部:Niおよび不可避的不純物の組成からなり、且つ
刻設された小孔から溶融ガラスを吐出する際に、合金表
皮部に優先的にAl2 O3 の内部酸化層を形成すること
を特徴とする高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡
糸用Ni基合金。 - 【請求項2】 請求項1において、さらに必要に応じて
脱酸剤として、Si:2.0重量%以下、Mn:2.0
重量%以下のうち少なくとも一種の組成からなることを
特徴とする高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸
用Ni基合金。 - 【請求項3】 請求項1において、Al:0.10超〜
0.30重量%の組成からなることを特徴とする高温耐
食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金。 - 【請求項4】 請求項1において、Cr:15.0〜3
3.0重量%未満の組成からなることを特徴とする高温
耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35634796A JPH10195566A (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | 高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35634796A JPH10195566A (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | 高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10195566A true JPH10195566A (ja) | 1998-07-28 |
Family
ID=18448576
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35634796A Pending JPH10195566A (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | 高温耐食性および耐酸化性に優れた遠心紡糸用Ni基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10195566A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8104311B2 (en) | 2006-05-09 | 2012-01-31 | Johns Manville | Rotary fiberization process for making glass fibers, an insulation mat, and pipe insulation |
EP3517642A4 (en) * | 2016-07-27 | 2020-06-10 | Saint-Gobain SEVA | NICKEL-CHROME-IRON-BASED CASTING ALLOY |
JP2021536529A (ja) * | 2018-09-13 | 2021-12-27 | サン−ゴバン イゾベール | 繊維形成プレートのための合金 |
-
1996
- 1996-12-26 JP JP35634796A patent/JPH10195566A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8104311B2 (en) | 2006-05-09 | 2012-01-31 | Johns Manville | Rotary fiberization process for making glass fibers, an insulation mat, and pipe insulation |
EP3517642A4 (en) * | 2016-07-27 | 2020-06-10 | Saint-Gobain SEVA | NICKEL-CHROME-IRON-BASED CASTING ALLOY |
JP2021536529A (ja) * | 2018-09-13 | 2021-12-27 | サン−ゴバン イゾベール | 繊維形成プレートのための合金 |
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