JPH10192691A - スラリー床反応器 - Google Patents

スラリー床反応器

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Publication number
JPH10192691A
JPH10192691A JP35861996A JP35861996A JPH10192691A JP H10192691 A JPH10192691 A JP H10192691A JP 35861996 A JP35861996 A JP 35861996A JP 35861996 A JP35861996 A JP 35861996A JP H10192691 A JPH10192691 A JP H10192691A
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JP
Japan
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gas
reactor
slurry
medium oil
layer
Prior art date
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Application number
JP35861996A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Ogawa
高志 小川
Masami Ono
正巳 小野
Masatsugu Mizuguchi
雅嗣 水口
Keiji Tomura
啓二 戸村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
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  • Devices And Processes Conducted In The Presence Of Fluids And Solid Particles (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒分散媒である媒体油の多量放出による装
置の肥大化や複雑化を抑制し、反応器の運転安定性を高
め、生成物、特にジメチルエーテルの合成コストを低下
させることのできるスラリー床反応器を提供する。 【解決手段】 スラリー床反応器13は、粉末触媒を媒
体油に懸濁させたスラリー状反応層18と気層14とを
含み、下部に原料ガス送入口と上部に生成物排出口3と
を備え、前記反応層のスラリー液面12から放出され、
気層内を排出口3へ上昇するガス流aの流路方向を変更
するジャマ手段21,22と、前記ガス流に同伴して含
まれ、前記ジャマ手段に付着する媒体油を前記反応層へ
返送する手段21,22とを、気層部に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末固体を媒体に
懸濁させたスラリー床反応器に関する。本発明による反
応器は、特には、一酸化炭素ガスと水素ガスとを主原料
とするジメチルエーテル合成に好適に利用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素ガスと水素ガスとを主原料と
する合成ガス等から、ジメチルエーテル(CH3 OCH
3 )を合成する場合には、次の各反応が進行する。
【0003】
【化1】
【0004】前記の反応を利用して、一酸化炭素と水素
を主原料とする合成ガス等からジメチルエーテルを直接
合成する技術としては、固定床触媒層に原料ガスを通過
させ、反応させる技術が開発されている(特開平2−2
80836号公報、又は特開平3−8446号公報
等)。
【0005】しかし、前記反応式から明らかなように、
ジメチルエーテル合成反応は全体として強い発熱反応で
あるため、前記の固定床反応器では触媒層の温度制御が
困難であり、触媒層の局部加熱による触媒の失活が発生
した。これを避けるため、触媒微粒子を高沸点媒体油の
中に懸濁させたスラリーを充填した反応器の中に原料ガ
スを通過させて、高収率でジメチルエーテルを合成させ
る技術が開発されてきた(特開平2−9833号公報、
特開平3−52835号公報、特開平3−181453
号公報、特開平4−264046号公報、又は特表平5
−810069号公報等)。これらのスラリー床反応器
は、固定床反応器と比較すると、内部の温度均一性が高
く、温度制御も比較的容易である。
【0006】こうした公知のスラリー床反応器の一例を
図3に示す。このスラリー床反応器の本体13は一般に
円筒形であり、その内部には触媒スラリー18が充填さ
れ、そのスラリー液面12の上部に気層14が存在す
る。前記の触媒スラリー層18には反応熱を除去するた
めの伝熱管17が一般に配設されている。反応器本体1
3の底部には原料ガスライン2が接続され、頂部には反
応生成物ガスライン3が接続されている。このスラリー
床反応器による合成反応では、触媒微粒子を高沸点媒体
油の中に懸濁させた触媒スラリー層中で合成反応を行う
ことにより、反応器内部のヒートスポットの発生を抑止
し、高い反応率を達成することができる。
【0007】この種のスラリー床反応器によってジメチ
ルエーテルを合成する場合には、一酸化炭素ガスと水素
ガスとを主原料とする合成ガス等の原料ガスが、反応器
の下部から反応器に圧送され、触媒スラリー層を上昇す
る間に反応して、その反応生成物が反応器上部の配管か
ら流出する。すなわち、反応器の内部の反応層は、高沸
点媒体油と粉末触媒と原料ガスとによる三相混合のスラ
リー状態であり、反応器に流入する材料及び反応器から
流出する材料は、それぞれ原料ガス及び反応生成物ガス
である。ジメチルエーテル合成反応は強い発熱反応であ
るため、反応器の触媒スラリー層中には伝熱管等が設置
され、伝熱管中を流れる熱媒体等により、発生する反応
熱の除去が行われる。
【0008】スラリー床反応器の中では、触媒スラリー
層中で生成物が生成し、生成ガスがスラリー液面から次
々に気層中に放出される。また、スラリー液面の上層に
は多数の泡が次々に生成する。この多数の泡は、次々に
破裂し、その破裂に伴って媒体油が微細な液滴となって
生成ガスに同伴し、生成ガスと共に気層中に放出され
る。また、媒体油は、蒸発してガス状で生成ガスと共に
気層中に放出される。従って、スラリー床反応器では、
媒体油が液滴やガス状でスラリー層から徐々に失われ
る。そのため、実際の合成プラントでは、反応器の下流
で生成ガス中に含まれる媒体油を冷却し、気液分離器等
で回収した後、高圧ポンプによりスラリー床反応器に循
環して戻す操作が行われている〔DOEレポート/PC
/90018−T7(DE94002340)〕。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常の
反応条件下での媒体油の放出量は非常に多いので、これ
らの媒体油を循環してスラリーへ戻すために反応装置系
が複雑な構造となり、反応器の運転の安定性にも多大な
影響を与えていた。
【0010】従って、本発明の目的は、スラリー床を用
いた触媒反応器において、触媒の分散媒である媒体油の
多量の放出による反応装置の肥大化や複雑化を抑制する
と共に、反応器の運転安定性を高めることができ、生成
物、特にジメチルエーテルの合成コストを低下させるこ
とのできるスラリー床反応器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
よる、粉末固体を媒体に懸濁させたスラリー状反応層と
その上部の気層とを反応器内部に含み、反応器下部にガ
ス送入口と反応器上部に生成物排出口とを備えたスラリ
ー床反応器であって、前記スラリー状反応層のスラリー
液面から放出され、気層内を上昇して生成物排出口へ上
昇するガス流の流路の方向を変更するジャマ手段と、前
記ガス流に同伴して含まれ、前記ジャマ手段に付着する
媒体を前記スラリー状反応層へ返送する手段とを、反応
器内部の上部気層部に設けたことを特徴とするスラリー
床反応器によって達成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による反応器は、スラリー
床反応器(特にはジメチルエーテル合成用スラリー床反
応器)であり、その内部にスラリー状反応層と気層とを
含む。前記のスラリー状反応層は、媒体油、特には高沸
点媒体油〔例えば、高沸点食用油、深度脱硫軽油、フィ
シャートロプシュ合成油(FTオイル)又はn−セタ
ン〕に触媒微粒子を懸濁させた触媒スラリー層であり、
反応器の底部から上部に向かって充填され、その上に気
層が存在する。本発明の反応器は、この気層部にジャマ
手段を設ける。前記の気層部には、前記スラリー状反応
層のスラリー液面から連続的に放出され、気層内を上昇
して生成物排出口の方向へ上昇するガス流が存在する。
前記のジャマ手段は、前記上昇ガス流の流路を妨げて、
ガス流の方向を強制的に変更することのできる構造を有
する。従って、ジャマ手段が存在すると、それが存在し
ない場合と比較して、気層内でのガス流の行程が延長さ
れる。
【0013】気層内を上昇するガス流には、前記のとお
り、反応生成物ガス以外に、微細な液滴状の媒体油と、
ガス状の媒体油とが含まれている。ガス流に含まれてい
る液滴状媒体油は、ガス流がジャマ手段と接触する際に
ジャマ手段の壁面に付着することにより、ガス流からジ
ャマ手段壁面に移動してガス流から次々に分離される。
また、ガス流に含まれている媒体油ガスは、気層内を上
昇中に冷却されると液化し、ジャマ手段の壁面に付着し
てガス流から分離される。こうして、ガス流からジャマ
手段壁面に移動した液状媒体油は、ジャマ手段の壁面で
次第に集合するので、集合した媒体油をスラリー状反応
層を返送する手段を設ける必要がある。一般的には、ジ
ャマ手段を傾斜させ、壁面の最下部に位置する端部から
自然落下させるのが好ましい。
【0014】本発明に係る反応器の気層部に設けるジャ
マ手段及び媒体油返送手段の一態様を図1に示す。図1
は、反応器本体13の上部のみを示す部分図である。こ
の態様では、触媒スラリー18の液面12の上部に存在
する気層14に、2種類の傘状ジャマ板21,22を、
それぞれ傘の頂部を上にした状態で上下方向に交互に重
ねて設けるのが好ましい。一方の傘状ジャマ板21に
は、頂部付近に上昇ガス流aが通過可能な開口部24を
設け、もう一方の傘状ジャマ板22には、頂部付近に開
口部を設けない。また、頂部付近に開口部を設けていな
い傘状ジャマ板22は、その円錐体の底面円周に当たる
端縁部22aと反応器本体13の内壁との間に、上昇ガ
ス流aが通過可能な間隙25を有する。更に、頂部付近
に開口部24を有する傘状ジャマ板21も、その端縁部
21aと反応器本体13の内壁との間に、後述する媒体
油の返送手段として間隙25を有するのが好ましい。
【0015】従って、図1に示す気層14では、液面1
2から放出された上昇ガス流aは、最下段に配置された
傘状ジャマ板21の内側壁面に案内されて頂部方向へ上
昇し、頂部付近に設けられた開口部24を通過し、次の
傘状ジャマ板22の内側壁面に衝突する。この傘状ジャ
マ板22の頂部付近には開口部がないので、ガス流aは
傘状ジャマ板22の内側壁面に沿って端縁部22aの方
向へ向かって下降し、間隙25を通過する。続いて、そ
の上に配置されている傘状ジャマ板21には、頂部付近
に開口部24があるので、ガス流aは傘状ジャマ板21
の内側壁面に案内されて頂部付近の開口部24の方向へ
上昇して、開口部24を通過する。以後同様に、交互に
配置されている傘状ジャマ板21,22の壁面に案内さ
れて、間隙25と開口部24との通過を繰り返す。
【0016】なお、頂部付近に開口部24を有する傘状
ジャマ板21が、その端縁部21aと反応器本体13の
内壁との間に媒体油返送手段としての間隙25を有する
場合には、その間隙25の開口部面積(C1)と、頂部
付近の開口部24の開口部面積(C2)と比(C1/C
2)を、好ましくは1/10以下、より好ましくは1/
20以下とすることにより、ほとんどの気流aの通路を
頂部付近の開口部24にすることができる。
【0017】こうして、気層14内において上昇ガス流
aの行程が延長され、ガス流aが傘状ジャマ板21,2
2の壁面と長時間にわたって接触するので、ガス流aに
含まれている液滴状の媒体油が前記の壁面(特に内側壁
面)に効率よく付着する。また、場合により、気層14
内の適当な位置、例えば、傘状ジャマ板21,22の間
に、冷却器31を設けて、ガス流aの温度を下降させ、
ガス流aに含まれている媒体油ガスを液化させ、前記の
壁面に付着させるのが好ましい。
【0018】こうして、前記傘状ジャマ板21,22の
壁面(特に内側壁面)に付着した液状媒体油は凝集し、
その場で下方へ自然落下して直下の傘状ジャマ板21,
22の外側壁面上に移動するか、あるいは直接にスラリ
ー反応層18に返送される。また、内側壁面上の液状媒
体油の一部及び外側壁面上の液状媒体油は、傘状ジャマ
板21,22の傾斜した壁面を伝わって下降し、それぞ
れの端縁部21a,22aに達し、それらの端縁から、
液滴bとなって、直下の傘状ジャマ板21,22に自然
落下するか又は直接にスラリー反応層18に落下して返
送される。
【0019】図1に示す傘状ジャマ板21,22は、壁
面が下方に傾斜し、端縁部21a,22aを有している
ので、前記の傘状ジャマ板それ自体が、媒体油の返送手
段としても作用するが、自然落下部を有さない態様のジ
ャマ板を用いる場合には、適当な媒体油返送手段を設け
る必要がある。また、図1に示す前記傘状ジャマ板2
1,22の内側壁面や端縁部21a,22aに、下方に
突出する突起(図示せず)を設け、液状媒体油の自然落
下を促進することができる。なお、図1に示す態様にお
いては、返送媒体油が液滴となってスラリー反応層上に
自然落下するので、スラリー液面に発生する多数の泡を
消泡する効果もある。
【0020】本発明に係る反応器の気層部に設けるジャ
マ手段及び媒体油返送手段の別の態様を図2に示す。図
2も、反応器本体13の上部のみを示す部分図である。
この態様では、触媒スラリー18の液面12の上部に存
在する気層14に、一方の端部を反応器本体13の壁面
に固定し、他方の端部と反応器壁面との間に間隙25を
備えた傾斜ジャマ板23を設ける。前記の傾斜ジャマ板
23は、それぞれ壁面固定端が上部になり、間隙25を
有する端縁が下部になるように取付け、しかも間隙25
の位置を、上下の傾斜ジャマ板23相互で一致しないよ
うに配置するのが好ましい。
【0021】図2に示す気層14では、液面12から放
出された上昇ガス流aは、最下段に配置された傾斜ジャ
マ板23の下側壁面に案内されて端縁部23aの方向へ
下降し、端縁部23aと反応器壁面との間の間隙25を
通過する。続いて、ガス流aは、前記の最下段の傾斜ジ
ャマ板23の上に配置された傾斜ジャマ板23の下側壁
面に衝突し、その下側壁面に案内されて、前記と同様に
端縁部23aの方向へ下降し、間隙25を通過する。以
後同様に、交互に配置されている傾斜ジャマ板23の壁
面に案内されて、間隙25の通過を繰り返す。
【0022】こうして、気層14内において上昇ガス流
aの行程が延長され、ガス流aが傾斜ジャマ板23の壁
面と長時間にわたって接触するので、ガス流aに含まれ
ている液滴状の媒体油が前記の壁面(特に下側壁面)に
効率よく付着する。また、場合により、気層14内の適
当な位置、例えば、傾斜ジャマ板23の間に、冷却器3
1を設けて、ガス流aに含まれている媒体油ガスを液化
させ、前記の壁面に付着させるのが好ましい。
【0023】前記傾斜ジャマ板23の壁面(特に下側壁
面)に付着した液状媒体油は、その場で下方へ自然落下
して直下の傾斜ジャマ板23の上側壁面上に移動する
か、あるいは直接にスラリー反応層18に返送される。
また、下側壁面上の液状媒体油の一部及び上側壁面上の
液状媒体油は、傾斜ジャマ板23の傾斜壁面を伝わって
下降し、端縁部23aに達し、それらの端縁から、液滴
bとなって、直下の傾斜ジャマ板23に自然落下するか
又は直接にスラリー反応層18に落下して返送される。
なお、前記の液状媒体油が傾斜ジャマ板23の壁面を伝
わって下降するのを妨げない限り、前記の傾斜ジャマ板
の傾斜を水平に近付けることにより、気流aの行程を長
くするのが好ましい。
【0024】図2に示す傾斜ジャマ板23も、壁面が下
方に傾斜し、端縁部23aを有しているので、前記の傾
斜ジャマ板それ自体が、媒体油返送手段としても作用す
る。また、図2に示す前記傾斜ジャマ板23の下側壁面
や端縁部23aにも、下方に突出する突起(図示せず)
を設け、液状媒体油の自然落下を促進することができ
る。更に、図2に示す態様においても、返送媒体油が液
滴となってスラリー反応層上に自然落下するので、スラ
リー液面に発生する多数の泡を消泡する効果もある。
【0025】本発明によるスラリー床反応器は、反応器
の気層部分に、前記のジャマ手段と媒体油返送手段とを
設けること以外の点では、従来公知の同種のスラリー床
反応器と同様の構造を有することができる。すなわち、
反応器の底部又はその近傍に原料ガス送入ラインを接続
し、頂部又はその近傍には反応生成物ガス排出ラインを
接続し、更にジメチルエーテル合成反応器として用いる
場合には、反応生成物ガスから分離された一酸化炭素及
び水素のリサイクルラインを原料ガス送入ラインの途中
又は反応器に直接接続するのが好ましい。その他、圧力
計、温度計等の計器類、必要により攪拌機、又は副次原
料供給ライン等を取り付けることもできる。
【0026】本発明のスラリー床反応器をジメチルエー
テル合成反応器として用いる場合にも、反応器の気層部
分に、前記のジャマ手段と媒体油返送手段とを設けるこ
と以外の点では、従来公知の同種のスラリー床ジメチル
エーテル合成反応器と同様の構造を有することができ
る。すなわち、反応器の出口側に、まず反応生成ガスを
冷却してメタノール及び水を凝縮させて分離するメタノ
ール/水分離器、残りのガスを更に冷却してジメチルエ
ーテル及び二酸化炭素を凝縮させ、主として一酸化炭素
及び水素を分離する未反応ガス分離器及び凝縮分離され
たジメチルエーテルと二酸化炭素とを分離するCO2
離器をこの順に設けるのが好ましい。上記のメタノール
/水分離器と未反応ガス分離器は、それぞれ凝縮器と気
液分離器に分かれていてもよい。また、メタノール、
水、ジメチルエーテル及び二酸化炭素の全てを凝縮ある
いは凝固させて一酸化炭素と水素をまず分離し、その後
でこの凝縮凝固物からジメチルエーテルを分離する装置
を用いることもできる。あるいは二酸化炭素はアミン等
の吸収剤を用いる分離装置を用いて、一酸化炭素と水素
を主成分とする未反応ガスから分離することもできる。
【0027】こうしたジメチルエーテル合成反応器の一
例を図4に示す。この製造装置は反応器R、メタノール
/水分離器S1、未反応ガス分離器S2及びCO2 分離
器S3よりなっていることができる。反応器Rの底部に
は原料ガスライン2を接続させ、この原料ガスライン2
には新たな原料ガスを供給するメイクアップ(フレッシ
ュ)ガスライン1と未反応CO及びH2 を循環供給する
リサイクルガスライン7を接続させることができる。反
応器Rの頂部から排出された反応生成物は、反応生成物
ガスライン3によりメタノール/水分離器S1に運ばれ
る。メタノール/水分離器S1のメタノール/水出口に
はメタノール/水ライン4が接続され、反応生成物出口
には反応生成物ガスライン5が接続されている。反応生
成物ガスライン5は未反応ガス分離器S2に接続され
る。この未反応ガス分離器S2の未反応ガス出口には前
述のリサイクルガスライン7の他端が接続されている。
このリサイクルガスライン7の途中にはそのガスの一部
を引き抜くパージライン10が接続されている。未反応
ガス分離器S2のジメチルエーテル/CO2 出口にはジ
メチルエーテル/CO2 ライン6が接続され、ジメチル
エーテル/CO2 ライン6の他端はCO2 分離器S3に
接続され、CO2 分離器S3のCO2 出口にはCO2
イン8が接続され、ジメチルエーテル出口にはジメチル
エーテルライン9がそれぞれ接続されている。
【0028】本発明の反応器をジメチルエーテル合成反
応器として用いる場合には、ジメチルエーテル合成触媒
として、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを
混合して充填し、更に場合により水性ガスシフト触媒を
加えることもできる。
【0029】本発明の反応器において用いることのでき
る媒体油は、使用する反応条件下において液体状態を呈
するものであれば、特に限定されない。例えば、ジメチ
ルエーテル合成反応の場合には、脂肪族、芳香族及び脂
環族の炭化水素、アルコール、エーテル、エステル及び
ケトン、これらの化合物の混合物等を使用することがで
きる。また、硫黄分を除去した軽油、減圧軽油、水素化
処理したコールタールの高沸点留分、フィッシャートロ
プシュ合成油、高沸点食用油等も使用することができ
る。媒体油中に存在させる触媒量は、媒体油の種類、反
応条件などによって適宜決定することができるが、通常
は媒体油に対して1〜50重量%であり、10〜30重
量%程度が好ましい。
【0030】本発明の反応器において用いることのでき
る反応条件も特に限定されるものではないが、ジメチル
エーテル合成反応の場合には、反応温度は好ましくは1
50〜400℃、より好ましくは250〜350℃であ
る。反応温度が150℃より低いか又は400℃より高
いと、一酸化炭素の転化率が低くなることがある。反応
圧力は、好ましくは10〜100kg/cm2 、より好
ましくは15〜80Kg/cm2 、特に好ましくは20
〜70kg/cm2 である。反応圧力が10kg/cm
2 より低いと一酸化炭素の転化率が低くなることがあ
り、また100kg/cm2 より高いと反応器が特殊な
ものとなり、また昇圧のために多大なエネルギーが必要
であって経済的でない。空間速度(触媒lkgあたりの
標準状態における混合ガスの供給速度)は、好ましくは
100〜50000l/kg・h、より好ましくは50
0〜30000l/kg・hである。空間速度が500
00l/kg・hより大きいと一酸化炭素の転化率が低
くなることがあり、また100l/kg・hより小さい
と反応器が極端に大きくなって経済的でないことがあ
る。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、流出媒体油を反応器に
循環させる必要がなくなり、反応器の運転も安定化させ
ることができる。特に、反応器の反応生成物ガスライン
の構造を大巾に単純なものとすることが可能となり、リ
サイクルのための高圧ポンプや気液分離器も不要になる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様である反応器の上部構造を
示す説明図である。
【図2】本発明の別の実施態様である反応器の上部構造
を示す説明図である。
【図3】従来の反応器の一例の構造を示す説明図であ
る。
【図4】本発明の反応器が組み込まれるジメチルエーテ
ル製造装置の一例のフローシートである。
【符号の説明】
1・・・メイクアップ(フレッシュ)ガスライン;2・
・・原料ガスライン;3・・・反応生成物ガスライン;
4・・・メタノール/水ライン;5・・・反応生成物ガ
スライン;6・・・ジメチルエーテル/CO2 ライン;
7・・・リサイクルガスライン;8・・・CO2 ライ
ン;9・・・ジメチルエーテルライン;10・・・パー
ジライン;12・・・スラリー液面;13・・・反応器
本体;14・・・気層;17・・・伝熱管;18・・・
スラリー状反応層;21,22・・・傘状ジャマ板;2
1a,22a,23a・・・端縁部;23・・・傾斜ジ
ャマ板;25・・・間隙;31・・・冷却器;R・・・
反応器;S1・・・メタノール/水分厳器;S2・・・
未反応ガス分離器;S3・・・CO2 分離器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 戸村 啓二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末固体を媒体に懸濁させたスラリー状
    反応層とその上部の気層とを反応器内部に含み、反応器
    下部にガス送入口と反応器上部に生成物排出口とを備え
    たスラリー床反応器であって、前記スラリー状反応層の
    スラリー液面から放出され、気層内を上昇して生成物排
    出口へ上昇するガス流の流路の方向を変更するジャマ手
    段と、前記ガス流に同伴して含まれ、前記ジャマ手段に
    付着する媒体を前記スラリー状反応層へ返送する手段と
    を、反応器内部の上部気層部に設けたことを特徴とする
    スラリー床反応器。
JP35861996A 1996-12-27 1996-12-27 スラリー床反応器 Pending JPH10192691A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35861996A JPH10192691A (ja) 1996-12-27 1996-12-27 スラリー床反応器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013199614A (ja) * 2012-03-26 2013-10-03 Japan Oil Gas & Metals National Corp 炭化水素油の製造方法、気泡塔型スラリー床反応装置及び炭化水素油の製造システム

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