JPH10187936A - 画像処理装置 - Google Patents

画像処理装置

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JPH10187936A
JPH10187936A JP8343894A JP34389496A JPH10187936A JP H10187936 A JPH10187936 A JP H10187936A JP 8343894 A JP8343894 A JP 8343894A JP 34389496 A JP34389496 A JP 34389496A JP H10187936 A JPH10187936 A JP H10187936A
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    • G06F3/048Interaction techniques based on graphical user interfaces [GUI]
    • G06F3/0484Interaction techniques based on graphical user interfaces [GUI] for the control of specific functions or operations, e.g. selecting or manipulating an object, an image or a displayed text element, setting a parameter value or selecting a range
    • G06F3/04845Interaction techniques based on graphical user interfaces [GUI] for the control of specific functions or operations, e.g. selecting or manipulating an object, an image or a displayed text element, setting a parameter value or selecting a range for image manipulation, e.g. dragging, rotation, expansion or change of colour

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抽出すべき対象物体像の指定手法を簡略化す
る。 【解決手段】 画像処理装置1の操作者は、画像表示装
置9に表示される基本画像を目視して、操作入力装置1
0から輪郭指定点の位置を指定することで、所望の対象
物体像を内包する初期領域の輪郭領域を指定する。中央
処理回路4は、まず基本画像を表示色が類似する画素群
単位の複数の分割領域に分割し、次いで分割領域内の画
素と輪郭領域内の画素との距離および初期領域に対する
画素の位置を表す距離値を求め、この距離値に基づいて
各画素の係数値を決定する。続いて係数値を各分割領域
毎に累積して該分割領域の重み係数を算出し、重み係数
と判定値とを比較して分割領域が候補領域に含まれるか
否かを判定する。最後に候補領域に含まれる画素の画素
データを抽出して、抽出画像信号を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次元画像内の一
部分を抽出する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スキャナ、デジタルスチルカメ
ラ、およびビデオカメラであるような撮像装置を用いて
物体を撮像して得られる2次元画像は、2値のデジタル
データ信号である画像信号として記録媒体に記憶され
る。このように記憶される2次元画像は、後日コンピュ
ータであるような電子機器を用いて電子的に加工する事
ができる。
【0003】このような2次元画像の加工処理には、た
とえば2次元画像内の一部分の像を電子機器の操作者が
選択して抽出するものがある。このとき、操作者は、た
とえばマウスを操作して、2次元画像内の所望の領域の
輪郭をマウスに連動して画像内を移動するマウスカーソ
ルによってなぞることで、所望の領域を指定する。この
ような手法では、所望の領域の輪郭形状が複雑に入組む
とき、輪郭を正確になぞることが困難である。このた
め、所望の領域の指定のための作業時間が長くなり、ま
た操作者の手間も増加する。
【0004】このような2次元画像の加工処理に関する
従来技術として、特開平1−175076号公開公報の
画像編集装置が挙げられる。画像編集装置では、まず、
カラー自然画像の中で装置の操作者が所望とする画像領
域を含む包含線を指定させる。次いで、包含線で囲まれ
た領域内で類似の色を有する画素が連結する連結領域の
うちで前記領域の所定割合以上の面積を有する連結領域
を包含線内の領域から除去して、残余の領域を所望の画
像領域として切出す。この装置では連結領域が所望の画
像領域の背景像となることが好ましいが、この背景像が
多数の全く異なる色からなる複雑な画像であるとき、各
色の連結領域の大きさが小さくなって包含線内の領域か
ら除去することが困難になるので、所望の画像領域だけ
を切出すことが困難になる。
【0005】また、2次元画像の加工処理に関する従来
技術として、特開平5−216992号公開公報の画像
切抜き装置が挙げられる。画像切抜き装置では、まず対
象となる画像を空間周波数の特徴の類似性によって複数
の領域に分割し、装置の操作者に分割された領域の中か
ら所望の画像領域に含まれる領域を指定させる。続い
て、指定された領域内の画像の色の分布から、所望の画
像領域を抽出する。この装置では、画像の空間周波数を
基準に画像を分割するが、所望の画像領域が必ず単一の
分割後の領域に含まれるとは限らないので、分割後の領
域を複数指定する必要が有り、操作が煩わしい。また対
象となる画像内で所望の画像領域と残余の領域との空間
周波数特徴が類似するときには、所望の画像領域よりも
分割後の領域が過大に大きくなることが考えられる。こ
のときには、色の分布から所望の画像領域を抽出するこ
とが困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、抽出
すべき画像領域の指定が簡単であって、2次元画像から
確実に画像領域を抽出することができる画像処理装置を
提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、画素を表す画
素データを複数含む画像信号で表され、複数の画素から
なる2次元画像を、画素データが類似する1または複数
の画素を含む複数の分割領域に分割する分割手段と、2
次元画像から抽出すべき抽出領域を内包する初期領域に
含まれる輪郭領域であって、初期領域の最外縁部の画素
からなる輪郭領域を指定する指定手段と、指定手段で指
定された輪郭領域の各画素と輪郭領域の各画素以外の残
余の画素との位置関係を、各画素毎に求める位置演算手
段と、位置演算手段で得られた各画素の位置関係のうち
の分割手段で分割された各分割領域内の各画素の位置関
係から、各分割領域の重み係数を求める重み演算手段
と、重み演算手段で得られた各分割領域の重み係数と予
め定める判定値とを比較して、重み係数が判定値よりも
大きいときに各分割領域の少なくとも一部分が抽出領域
に含まれると判定し、小さいときに分割領域が抽出領域
に含まれないと判定する判定手段と、判定手段で少なく
とも一部分が抽出領域に含まれると判定された分割領域
の画素の画素データを、画像信号から抽出する抽出手段
とを含むことを特徴とする画像処理装置である。本発明
に従えば、画像処理装置は、まず処理対象の2次元画像
を複数の分割領域に分割する。次いで、操作者に、初期
領域の最外縁部となる輪郭領域を指定させる。この輪郭
領域は、巨視的には初期領域の輪郭線である。続いて、
画像処理装置は、輪郭領域によって規定される初期領域
から抽出すべき抽出領域に含まれる分割領域を判定し、
その分割領域内の画素データを抽出する。この抽出領域
の判定時には、該分割領域毎に、該分割領域内部の画素
と輪郭領域内の画素との位置関係から得られる重み係数
が各分割領域にそれぞれ付され、判定手段はこの重み係
数の大小を基準として判定を行う。これによって、装置
の操作者は、初期領域が所望の抽出領域を内包するよう
に輪郭領域を指定するだけで、画像処理装置に抽出領域
を含む分割領域だけの画素の画素データを抽出させるこ
とができる。したがって、輪郭領域が抽出領域の輪郭と
一致する必要がなく、また単一の輪郭領域の指定だけを
行えば良いので、操作者の指定動作が簡略化される。さ
らに、重み係数が輪郭領域内の画素と分割領域内の画素
との位置関係を基準とするので、従来技術の装置のよう
に重み係数が各画素の色に左右されない。したがって、
抽出領域内とほぼ同一色の画像が抽出領域以外の残余の
領域に含まれるときでも、抽出領域を含む分割領域だけ
を抽出することができる。
【0008】また本発明は、前記位置演算手段は、各画
素の位置が前記初期領域の内部および外部のいずれであ
るかを判別する位置判別手段と、前記輪郭領域の各画素
と前記残余の各画素との距離を算出する距離算出手段と
を含み、前記各分割領域の重み係数は、位置判別手段で
判別された位置と距離算出手段で算出された距離とに対
応する係数値の累積値であり、初期領域内の画素の係数
値は初期領域外の画素の係数値よりも大きく、初期領域
内の係数値は距離が大きいほど大きいことを特徴とす
る。本発明に従えば、画像処理装置の位置演算手段は、
前記輪郭領域内の画素と前記残余の画素との位置関係を
表す指標として、両画素間の距離、および初期領域内外
のいずれに画素があるかを求める。上述の重み係数は、
各分割領域毎の画素の係数値の累積値であり、各画素の
係数値が上述のように定められる。したがって、たとえ
ば各分割領域の大きさが等しい場合、初期領域外部の画
素だけを含む分割領域の重み係数は、初期領域内部の画
素だけを含む重み係数よりも小さい。またこの場合、初
期領域内外の画素を共に含む分割領域の重み係数は、初
期領域内部の画素よりも初期領域外部の画素の係数値が
小さくかつ輪郭領域近傍で初期領域内部の画素の係数値
が小さいので、初期領域内部の画素だけの分割領域の重
み係数よりも小さい。これによって、初期領域外部の画
素だけを含む分割領域、および初期領域内外の画素を含
む分割領域と、初期領域内部の画素だけを含む分割領域
とを、重み係数の大小だけで判別することができる。前
記初期領域は、抽出領域を内含するように定められるの
で、このように初期領域内外の画素を含む分割領域は、
抽出すべき抽出領域に対する背景であると考えられる。
ゆえに、初期領域からこのような分割領域を除き残余の
分割領域の画素の画素データだけを抽出することによっ
て、処理対象の2次元画像の初期領域から、背景を除去
し、所望の対象物の像を含む抽出領域を得ることができ
る。
【0009】また本発明は、前記初期領域外の画素の係
数値は負の値であり、前記初期領域内の画素の係数値は
正の値であることを特徴とする。本発明に従えば、初期
領域外部の画素の係数値は負の値であるので、初期領域
外部の画素を含む分割領域の重み係数は、外部の画素の
数が多いほど減少される。したがって、初期領域外部の
画素を含む分割領域、および初期領域内外の画素を含む
分割領域では、初期領域外部の画素の数が多いときにも
重み係数が増加せず、逆に減少するので、該分割領域の
重み係数と初期領域内部の画素だけの分割領域の重み係
数との差分が大きくなる。これによって、判定手段で
は、初期領域外部および内外の画素を含む分割領域が抽
出領域に含まれないと確実に判定することができる。
【0010】また本発明は、前記係数値を変更する係数
変更手段をさらに含むことを特徴とする。本発明に従え
ば、前記重み係数の係数値は変更可能である。したがっ
て、たとえば操作者が処理対象の2次元画像に適合した
係数値を設定することができる。これによって、輪郭領
域と抽出領域の輪郭との類似度が異なるときには、その
類似度に応じて係数値を設定することができる。また、
処理対象の2次元画像に自然画像および白黒の線画であ
るような異なる性質の画像があるとき、画像の性質に応
じて係数値を設定することができる。
【0011】また本発明は、前記判定手段は、予め定め
る基準面積未満の初期領域に対応する予め定める基準判
定値と、基準面積以上の初期領域に対応する初期判定値
とのいずれか一方を、前記指定手段で指定される輪郭領
域内の初期領域の面積に基づいて選択して前記判定値と
し、初期判定値は、前記初期領域の面積に応じて異なる
ことを特徴とする。本発明に従えば、判定手段は、上述
の初期判定値および基準判定値のいずれか一方値を前記
判定値として重み係数と比較し、いずれか一方値以上の
重み係数を有する分割領域を、抽出領域に含まれると判
定する。これによって、初期領域の大きさに対応して判
定値を選ぶことによって、初期領域の大きさに適合する
ような重み係数の判定動作を行うことができる。また、
初期領域の大きさが基準判定値が有効な基準面積と極端
に異なるときにもまた、初期判定値を用いることによっ
て、確実に安定した重み係数の判定動作を行うことがで
きる。
【0012】また本発明は、前記各画素の画素データ
は、画素の複数の表示特性にそれぞれ関連する数値を含
み、複数の表示特性のうちのいずれか一特性を選択する
特性選択手段と、前記2次元画像内の画素と2次元画像
内で該画素の周囲の画素との表示特性の数値の差分値と
比較するべき基準差分値を設定する差分値設定手段とを
さらに含み、前記分割手段は、特性選択手段で選択され
る前記いずれか一特性について、各画素の数値と前記2
次元画像内で該画素の周囲の予め定める数の各画素の数
値との前記差分値をそれぞれ求め、差分値が差分値設定
手段で設定される基準差分値未満であるとき該画素と周
囲の画素とが同一領域に含まれると判定し、各分割領域
が同一領域に含まれる画素だけを含むように2次元画像
を分割することを特徴とする。本発明に従えば、前記画
素データは組合わせの異なる色彩光の輝度を表す輝度デ
ータ信号であるような、複数の表示特性を含む。分割手
段は、これら表示特性のうちのいずれか一特性の数値を
基準に上述の手法で分割領域を定める。この表示特性の
種類および上述の判定時での基準差分値は、装置の操作
者によって変更可能である。これによって、たとえば処
理対象の2次元画像に自然画像および白黒の線画である
ような性質が異なるものがあるとき、2次元画像の性質
に適合した画素値の種類および基準差分値を設定するこ
とができる。また、操作者の目的に併せて画素値の種類
および基準差分値を設定することができる。
【0013】また本発明は、前記抽出手段で抽出される
画素データが表す画素だけからなる抽出画像を表示する
表示手段と、前記輪郭領域、前記複数種類の表示特性の
うちのいずれか一特性、および前記基準差分値の少なく
とも1つを前記指定手段、前記特性選択手段、および前
記差分値設定手段から再度指定させて、再度前記分割手
段に前記2次元画像を分割させ、前記位置演算手段に前
記位置関係を求めさせ、前記重み演算手段に前記重み係
数を求めさせて前記判定手段で判定させて、前記抽出手
段に画素データを抽出させる再実行手段とを含むことを
特徴とする。本発明に従えば、分割手段から抽出手段ま
での各手段での一連の画像処理動作が終了すると、表示
手段には、上述の抽出画像が表示される。これによっ
て、操作者は抽出画像を目視して、この抽出画像が所望
の画像と一致するか否かを判定することができる。ま
た、抽出された分割領域と抽出領域との一致の度合を表
すような抽出精度を判定することができる。抽出画像と
所望の画像が一致しないときには、再実行手段によっ
て、上述の一連の画像処理動作を再度実行させることが
できる。このとき、輪郭領域、画素値の種類、および基
準差分値の少なくとも1つを変更可能である。これによ
って、再実行時に、操作者が実施済みの抽出画像から判
定した抽出精度を確認しつつ、抽出精度が向上するよう
に、2次元画像に適合した各パラメータの値を設定し直
すことができる。これによって、画像処理動作を繰返し
実施するほど、各パラメータの値を処理対象の2次元画
像に適合させることができる。
【0014】また本発明は、前記判定手段によって複数
の分割領域が前記抽出領域に含まれると判定されると
き、複数の分割領域を統合して単一の分割領域とし、該
単一の分割領域の画素の画素データを前記抽出手段に抽
出させる領域統合手段をさらに含むことを特徴とする。
本発明に従えば、判定手段によって複数の分割領域が選
ばれるときには、領域統合手段がこれら領域を統合し
て、単一の分割領域とする。これによって、複数の分割
領域にわたる抽出領域が単一の分割領域に含まれること
になるので、以後の処理動作では単一の分割領域だけを
取扱って処理を行うことができる。したがって、たとえ
ば操作者が所望の分割領域を指定する処理動作では、画
像の取扱い手法が容易になる。
【0015】また本発明は、複数の2次元画像の画像信
号を記憶する記憶手段と、記憶手段内の複数の画像信号
のうちから、前記分割手段で分割されるべき単一の画像
信号を選択して、前記分割手段に与える画像選択手段を
さらに含むことを特徴とする。本発明に従えば、画像処
理装置では、記憶手段内の複数の画像信号のうちから、
所望の画像信号を選択して、該画像信号が表す2次元画
像について上述の一連の処理動作を実施することができ
る。これによって、複数の2次元画像について上述の画
像処理動作を実施するとき、各2次元画像の画像信号を
逐次画像処理装置に与えなくとも予め記憶手段内に記憶
させた信号を取扱うことができる。特に、多数の画像信
号に対して上述の画像処理動作を実施するときに、操作
者の作業を円滑に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある画像処理装置1の電気的構成を示すブロック図であ
る。画像処理装置1は、画像信号が表す画像の一部分を
抽出し、抽出された部分だけの画像を得る装置である。
画像処理装置1は、画像入力装置3、中央処理回路4、
メモリ5,6、画像記憶回路7、輪郭座標列記憶回路
8、画像表示装置9、および操作入力装置10を含んで
構成される。
【0017】画像入力装置3は、画像処理装置1で取扱
うべき基本画像信号を装置1外部から導入する。この基
本画像信号は、複数の画素が行列状に配列されて構成さ
れる2次元画像である基本画像を表し、各画素を表す画
素データを含むようなデジタル信号である。各画素デー
タには、基本画像内の画素の位置座標を表す位置デー
タ、および画素の輝度を表す輝度データが含まれる。輝
度データは画素の表示特性を表す数値のデータ信号であ
って、基本画像がカラー画像であるとき、たとえば赤青
緑の各単色光毎の輝度データを含む。画素の表示特性を
表すデータとしては、輝度以外の別のデータが含まれて
いてもよい。
【0018】画像入力装置3は、たとえばハードディス
ク、フロッピーディスク、およびビデオテープであるよ
うな記録媒体からの信号の読出し装置である。このと
き、これら記録媒体には、たとえば撮像装置によって物
体からの画像光を撮像して得られた基本画像信号が記憶
されている。画像入力装置3は、この記録媒体に記憶さ
れる基本画像信号を読出して、画像処理装置1に導入す
る。撮像装置には、たとえばスキャナ、デジタルスチル
カメラ、およびビデオカメラが含まれる。また、画像入
力装置3自体が撮像装置を有し、得られた基本画像信号
を記録媒体を介さずに直接導入してもよい。さらに、基
本画像信号は、上述の撮像装置以外の装置および手法に
よって生成されてもよい。また、たとえばCD−ROM
のような記録媒体を用いて配布されるような、装置1の
操作者以外の第三者が作成した画像の画像信号であって
もよい。これら基本画像信号の取得動作は、画像処理装
置1での後述の画像処理動作の事前に予め準備されても
よく、画像処理動作の直前に行われても良い。
【0019】中央処理回路4は、種々のプログラムの実
行、およびデータインタフェイスの制御を行う。中央処
理回路4には、たとえば後述の画像分割部13、位置演
算部14、重み演算部15、重み判定部16、および抽
出部17が含まれる。これら各部13〜17は、中央処
理回路4での演算処理で実現される仮想的な回路であ
る。またこれら各部13〜17をそれぞれ個別の実在の
回路部品で実現してもよい。
【0020】メモリ5は、中央処理回路4で実施される
種々のプログラムを含むような、後述の画像処理動作の
ための種々の制御手順を記憶する。メモリ6は、中央処
理回路4での処理動作中に一時的にデータを記憶するた
めの作業メモリエリア、および後述の操作入力装置10
からの入力結果を記憶するための操作メモリエリアを含
む。メモリ5は、たとえばリードオンリメモリで実現さ
れる。メモリ6は、たとえばランダムアクセスメモリで
実現される。
【0021】画像記憶回路7は、画像入力装置3から入
力される基本画像信号、ならびに後述の画像処理動作の
中途に生成される画像処理用の各種の画像信号が記憶さ
れる。処理用の画像信号には、後述するように、たとえ
ば領域ラベル画像信号、距離画像信号、およびマスク画
像信号がある。また、基本画像信号は、1または複数記
憶される。輪郭座標列記憶回路8は、後述の輪郭領域2
5を表す初期輪郭座標列信号、および後述する抽出輪郭
線を表す抽出輪郭座標列信号を記憶する。
【0022】画像表示装置9は、画像表示領域と情報表
示領域とを有する。画像表示領域には、基本画像および
抽出画像がそれぞれ目視表示される。基本画像は基本画
像信号が表す2次元画像であり、抽出画像は後述の画像
処理動作で得られる抽出画像信号が表す2次元画像であ
る。情報表示領域には、後述の画像処理動作で操作者が
設定可能な種々のパラメータが目視表示される。画像表
示装置9は、たとえば陰極線管および液晶表示装置で実
現される。
【0023】操作入力装置10は、後述の画像処理動作
での輪郭領域25および各種のパラメータの入力時に、
操作者によって操作される。操作入力装置10は、たと
えばキーボード、ならびにマウスおよびタッチパネルで
あるような座標入力装置で実現され、本実施形態の装置
1ではマウスを含むものとする。操作入力装置10は、
請求項での指定手段、係数変更手段、特性選択手段、差
分値設定手段を兼用する。
【0024】画像表示装置9と操作入力装置10とは、
ユーザインタフェイス部を構成する。画像表示装置9は
画像処理装置1に現在設定されるパラメータ、処理対象
の基本画像を含むような情報を目視表示し、操作者は目
視表示された情報を目視して装置1に対する入力を決定
する。また操作者が操作入力装置10を用いて入力した
情報に関する表示画像が、画像表示装置9の表示画像に
加えられて反映される。
【0025】画像処理装置1の上述の構成部品3〜10
は、バスライン11を介して相互に電気的に接続され
る。また、構成部品4〜10の各動作は、バスライン1
1を介して中央処理回路4によって制御される。メモリ
5,6、画像記憶回路7、および輪郭座標列記憶回路8
の記憶内容は、それぞれバスライン11を介して、中央
処理回路4に与えられ、後述の画像処理動作に用いられ
る。画像表示装置9に目視表示される各種の画像信号お
よびパラメータは、中央処理回路4によってメモリ5,
6、記憶回路7,8からそれぞれ読出された後、バスラ
イン11を介して画像表示装置9に与えられる。操作入
力装置10からの出力信号は、バスライン11を介して
中央処理回路4に与えられるとともに、メモリ6の操作
データエリアまたは輪郭座標列記憶回路8に記憶され
る。以後バスライン11の説明は省略することがある。
【0026】図2は、画像処理装置1の画像処理動作の
初期段階で、画像表示装置9に表示される表示画像21
を表す図である。表示画像21には、処理対象の基本画
像22と、操作入力のための情報を操作者に提示するた
めの情報画像23とが含まれる。基本画像22は上述の
画像表示領域に表示され、情報画像23は情報表示領域
に表示される。
【0027】基本画像22は単一の基本画像信号が表す
2次元画像であり、物体を表す物体像を複数含む。図2
の表示画像21では、人物、樹木、地面、空の物体像が
それぞれ含まれる。この基本画像22に重ねて、輪郭領
域25が巨視的に表示される。輪郭領域25は、装置1
の操作者が基本画像22から抽出するべき抽出領域内の
像である対象物体像26を内含する初期領域27の最外
縁部の画素から成る領域であって、巨視的には単一本の
曲線である。すなわち初期領域27の外縁を表す輪郭線
である。図2では、対象物体像26は人物像である。以
後、基本画像22内で対象物体像26以外の物体像、図
2では空28aと地面28bと樹木28cとの物体像を
まとめて背景像28と称する。
【0028】情報画像23には、画像名称31、縮小画
像群32、領域分割手法33、閾値34および距離係数
グラフ35が含まれ、操作入力のための情報が目視表示
される。
【0029】画像名称31は、画像表示領域に現在表示
される基本画像22の名称が表示される。図2では、現
在の基本画像22の名称は「image1」である。縮
小画像群32には、画像記憶回路7に記憶される複数の
基本画像信号がそれぞれ表す基本画像を縮小した縮小画
像がすべて含まれる。これら縮小画像のうち、画像表示
領域に現在表示される基本画像22は反転表示される。
反転表示とは、たとえば基本画像が白黒画像であれば、
白色および黒色であるドットの表示色を黒色および白色
に置換えて表示する手法である。図2では縮小画像の外
縁だけを白色の四角形で表し、反転表示される縮小画像
を黒色の四角形で表す。
【0030】領域分割手法33および閾値34は、後述
の画像処理動作の領域分割動作で処理対象となる画素デ
ータ内のデータ種類および基準差分値の入力値である。
操作者は、黒枠で表す矩形領域36,37内の文字を書
換えることで、データの種類および基準差分値を変更す
ることができる。距離係数グラフ35は、後述の距離値
に対する係数値の値を表す。距離値と係数値とは、後述
の画像処理動作の重み演算動作で用いられる。操作者
は、折線38を書換えることで、係数値と距離値との対
応関係を変更することができる。文字の書換え動作およ
び折線38の書換え動作は、たとえば操作入力装置10
を操作者が操作して実施される。
【0031】図3は、画像処理動作の終了直前に画像表
示装置9に表示される表示画像41を表す図である。表
示画像41には、画像処理動作で抽出される抽出画像4
2と、情報画像43とが含まれる。抽出画像42は、後
述の抽出画像信号を目視表示した2次元画像であり、前
述の基本画像22から背景像28が除去されて対象物体
像26だけが含まれる画像である。情報画像43には、
図2の情報画像23と選択画像45とが含まれる。選択
画像45は、いわゆるウィンドウ表示で表示される。ウ
ィンドウ表示では、2種類の画像の少なくとも一部を重
ねて配置し、画像が重なる部分では一方の画像の画素を
削除して他方の画像の画素だけを表示することで、他方
の画像が一方の画像の手前にあるように疑似的に表示す
る。この選択画像45には、後述のボタン画像46〜4
8が含まれ、各ボタン画像46〜48には、それぞれ
「再実行」、「次画像」、「終了」の文字が描かれる。
操作者は、後述の手法で各ボタン画像46〜48のいず
れかを選択することによって、以後の画像処理動作の詳
細な動作を選択することができる。
【0032】図4は、上述の画像処理装置1における画
像処理動作を説明するためのフローチャートである。こ
のフローチャートを用いて、画像処理動作を簡単に説明
する。この画像処理動作では、装置1の操作者が基本画
像22内に指定する輪郭領域25を基準にして、初期領
域27から対象物体像26を抽出する。
【0033】画像記憶回路7に1または複数の基本画像
信号が記憶される状態で、中央処理回路4は、画像表示
装置9の情報表示領域に情報画像を表示させる。画像記
憶回路7内の基本画像信号は、画像入力装置3から入力
されたものであり、このフローチャートの処理動作の開
始前の任意の時点で外部の装置から、画像入力装置3を
介して導入される。情報画像は、前述の図2の情報画像
23に類似し、縮小画像群32に反転画像がなく、画像
名称31と領域分割手法33と閾値34との文字、およ
び距離係数グラフの折線38が描かれていない。また、
画像表示領域には何の画像も表示されていない。この状
態を画像処理動作の初期状態とする。画像処理装置1が
このような初期状態になると、ステップa1からステッ
プa2に進む。
【0034】また画像処理動作の初期状態では、予め定
める初期設定値がそれぞれの情報に書込まれていても良
い。たとえば、縮小画像群32のうち予め定める位置の
縮小画像が反転表示されてその画像名称31が情報画像
23に含まれると同時に、画像表示領域にその縮小画像
に対応する基本画像が目視表示される。同時に、領域分
割手法33と閾値34とに画像処理動作の予め定められ
る初期設定値を表す文字が書込まれ、さらに距離係数グ
ラフ35に距離値に対する係数値の初期設定値を表す折
線が書込まれても良い。これら初期設定値は、たとえば
メモリ6の操作データエリアまたはメモリ5に予め記憶
され、中央処理回路4によってメモリ5,6から読出さ
れて画像表示装置9に与えられる。
【0035】ステップa2では、操作入力装置10を用
いて、操作者が処理対象となる基本画像22を指定す
る。この指定手法は、たとえば操作入力装置10がマウ
スを含むとき、マウスカーソルを情報画像の縮小画像群
32のうちの選択すべき基本画像の縮小画像に重ねた状
態で、操作者がマウスのボタンを押すような動作であ
る。マウスカーソルは、たとえば矢符型の画像であって
表示画像の大きさよりも充分に小さく、画像表示装置9
の表示領域内に表示画像に重ねて表示され、マウス内の
ボールの回転量および回転方向に対応する移動量および
移動方向だけその表示位置が表示領域内を移動する。以
後、上述の一連の動作を「マウスをクリックする」と称
する。このような動作によって、操作者は、たとえば表
示画像内で所望とする縮小画像の表示される位置を指定
する。操作入力装置10は、指定された表示画像内の位
置の位置座標を表す出力信号を、中央処理回路4に与え
る。出力信号が導出されると、ステップa2からステッ
プa3に進む。
【0036】ステップa3では、中央処理回路4は、ま
ず、操作入力装置10からの出力信号が表す位置座標と
表示画像とを参照して指定された基本画像を判定する。
次いで画像記憶回路7から指定された基本画像22の基
本画像信号を読出し、画像表示装置9に与える。画像表
示装置9は、与えられた基本画像信号が表す2次元画像
である基本画像22を画像表示領域に目視表示する。同
時に、画像名称31の文字を情報表示領域に追加して目
視表示させ、縮小画像群32内の基本画像22の縮小画
像を反転表示させる。初期状態において、画像表示領域
および画像名称に初期設定の基本画像および画像名称の
文字が表示されるときには、これらの基本画像および画
像名称の文字を消去してから、上述の基本画像22およ
び画像名称31の文字を表示する。また、初期設定の基
本画像の縮小画像の反転表示を元の表示に戻してから、
上述の基本画像22の縮小画像を反転表示させる。この
ような表示動作が終了すると、ステップa3からステッ
プa4に進む。
【0037】ステップa4では、操作者によって、輪郭
領域25、領域分割動作の画素データ種類および基準差
分値、距離値に対する係数値が指定される。画素データ
種類および基準差分値を指定するとき、操作者は、たと
えば操作入力装置10に含まれるキーボードを用いて所
望とする手法および値を表す文字を入力する。操作入力
装置10はその入力文字を表す出力信号を中央処理回路
4に与え、また出力信号をメモリ6に与えて操作データ
エリアに記憶させる。中央処理回路4は、この出力信号
に応じて領域分割動作で用いる画素データの種類を決定
するとともに、画像表示装置9によって矩形領域36,
37内に文字を書込ませる。
【0038】また距離値に対する係数値を指定すると
き、操作者は、距離係数グラフ35の折線38を書換え
る。図5に示すように、折線38には、たとえば指定点
を表す黒丸の記号49が複数個折線38に重ねて表示さ
れている。操作者は、操作入力装置10のマウスを操作
して、これら記号にマウスカーソルを重ね、この状態で
マウスのボタンを押したままマウスを移動させる。中央
処理回路4は、マウスのボールの回転方向および回転量
にそれぞれ対応した移動方向に移動量だけ情報表示領域
内で記号49を移動させ、移動された記号49と隣接す
る他の記号49とを結ぶような直線を描かせる。これに
よって、折線38の形状が変更される。上述のマウスの
一連の操作を以後「マウスでドラッグする」と称する。
このようにマウスの操作で変更された折線38の形状に
関する情報、たとえば記号49の位置が表す距離値と係
数値との関係が、操作データエリアに表形式で記憶され
る。表1は、上述の距離値と係数値との関係を表し、操
作データエリアに記憶される係数変換表を示す。
【0039】
【表1】
【0040】輪郭領域25は、たとえば操作者が、操作
入力装置10によって、画像表示領域の表示画像22内
の対象物体像26の周辺に複数の輪郭指定点50を指定
することで指定される。図2では、輪郭指定点50を、
×印で表す。輪郭指定点50は、たとえば、操作入力装
置10のマウスを操作して、操作者の所望の位置でマウ
スをクリックすることによって指定される。操作入力装
置10は、マウスがクリックされた時点でのマウスカー
ソルの位置座標に関する出力信号を中央処理回路4に与
える。
【0041】中央処理回路4は、操作入力装置10から
の出力信号と表示画像とを参照して、輪郭指定点50の
表示領域22内の位置座標を判定する。判定される位置
座標は、輪郭座標列記憶回路8に順次的に記憶されると
ともに画像表示装置9に与えられる。画像表示装置9
は、基本画像22に重ねて輪郭指定点50の記号を表示
させる。輪郭座標列は、或る輪郭領域25上のすべての
輪郭指定点50の位置座標を、入力された順に並べたも
のである。また、すべての輪郭指定点50が入力され終
わると、中央処理回路4は、各輪郭指定点50が入力さ
れた順に順次的に、時間的に連続して入力された2点の
輪郭指定点50を両端とする線分を、基本画像22に重
ねて画像表示装置9に表示させる。またこの線分には、
さらに最初に入力された輪郭指定点50と最後に入力さ
れた輪郭指定点50とを両端とする線分が含まれる。こ
の線分および輪郭指定点50が重畳される基本画像22
の画素が輪郭領域25の画素であるとみなされる。輪郭
領域25を巨視的に見たときの輪郭線は、上述の線分が
順次的に輪郭指定点50で接続されたものであって閉じ
た線である。このような輪郭領域25を最外縁部とし
て、輪郭領域25の画素と輪郭領域25に囲まれた内部
の画素とが初期領域27の画素と見なされる。輪郭領域
25の指定動作で、初期領域27を指定するために、操
作者は、かならず3点以上の輪郭指定点50を指定し
て、輪郭線を閉じた線にする。
【0042】このような一連の動作を行うことによっ
て、図2の表示画像21が画像表示装置9に表示され
る。上述の各パラメータおよび輪郭領域25の指定手法
は、上述の手法以外の手法を用いても良い。このような
複数のパラメータに関するユーザ指定動作が終了する
と、ステップa4からステップa5に進む。
【0043】また、上述の領域分割手法33、閾値3
4、距離係数グラフ35について予め初期設定値が存在
するとき、上述のユーザ指定動作では操作者は初期設定
値のうちで変更すべきパラメータだけを上述の手法で入
力する。このとき中央処理回路4は、入力されたパラメ
ータの値はそのまま操作データエリアに記憶させ、入力
されないパラメータの値はメモリ5に記憶される初期設
定値を読出してその初期設定値を操作データエリアに記
憶させる。また、輪郭領域25の輪郭指定点50にも初
期位置を準備し、表示画像の表示動作と同時に初期位置
の輪郭指定点50で規定される輪郭領域25を基本画像
22と重ねて表示させておいてもよい。このとき操作者
は、初期位置の輪郭領域25上の輪郭指定点50を操作
入力装置10のマウスでドラックして移動させ、また新
たな輪郭指定点50を入力することで、所望の対象物体
像26の周囲を取囲むような輪郭領域25を作成しても
よい。さらに、輪郭領域25は、たとえばマウスをドラ
ッグさせて、該輪郭領域25内の画素を順次的にすべて
指定することで定めてもよい。
【0044】ステップa5では、中央処理回路4の画像
分割部13において、処理対象の基本画像22の基本画
像信号を、複数の分割領域をそれぞれ表す分割画像信号
に分割する。この領域分割手法では、基本画像22を構
成する画素のうちで表示色が類似する画素が連続する領
域を単一の分割領域とし、分割画像信号は各分割領域毎
の画素の画素データを含む。これによって、背景像28
のうちで、空28aおよび地面28bがそれぞれ単一の
分割領域になる。また樹木28cは枝葉と幹とに分割さ
れて、それぞれ別の分割領域になる。また対象物体像2
6は人物像であるので、髪と顔と手と衣服とが分割さ
れ、それぞれ別の単一の分割領域26a〜26fにな
る。この画像分割手法の詳細は後述する。
【0045】続いて、ステップa6では、中央処理回路
4の位置演算部14、重み演算部15および重み判定部
16において、基本画像22内の複数の分割領域のうち
から、対象物体像26が含まれるような分割領域を候補
領域として抽出する。この候補領域は、初期領域27内
部だけに含まれるような分割領域であって、位置演算部
14で求められる輪郭領域25内の画素と各分割領域の
画素との距離および相対位置を基準として重み演算部1
5で各分割領域の重み係数を演算し、重み判定部16で
各分割領域の重みの大小から判定されるものである。た
とえば図2では、斜線を付して示す人物像の各部の分割
領域26a〜26fが選ばれる。領域抽出手法の詳細は
後述する。
【0046】続いて、ステップa7では、中央処理回路
4の抽出部17において、選ばれた候補領域の中から対
象物体像26を抽出して、抽出画像信号を生成する。こ
の動作は、たとえば基本画像22がいわゆる自然画像で
あるとき、候補領域として選ばれた分割領域に対象物体
像26以外の背景像28の一部が含まれていることが考
えられるので、このような余分な像を除去するために実
施される。対象物抽出手法の詳細は後述する。
【0047】続いて、ステップa8では、中央処理回路
4は、画像表示装置9の画像表示領域から基本画像22
を消去し、代わってステップa7で生成される抽出画像
信号の抽出画像42を該画像表示領域に表示させる。ま
た中央処理回路4は、情報表示領域に、情報画像23に
重ねて前述の選択画像45をウィンドウ表示させること
で、情報画像43を表示させる。このような結果表示動
作によって、図3の表示画像41が画像表示装置9に表
示される。装置1の操作者は、この抽出画像42を目視
して、所望の対象物体像26だけが抽出され背景像28
がすべて消去されているか否かを判断することができ
る。続いて操作者は、選択画像45内のボタン画像46
〜48のいずれか1つをたとえばマウスでクリックする
ことによって選択して、ステップa9,a10における
以後の画像処理動作を選択することができる。操作入力
装置10から何らかの出力信号が出力されると、ステッ
プa9に進む。
【0048】ステップa9では、中央処理回路4は、画
像処理動作の再実行動作が指示されるか否かを判断す
る。再実行動作は、たとえば、抽出画像42内に所望の
対象物体像26以外の像が含まれるとき、および対象物
体像26の少なくとも一部が含まれていないときに選択
される。再実行動作を指示するには、操作者はボタン画
像46をマウスでクリックし、中央処理回路4は、具体
的には、操作入力装置10からの出力信号が表す位置座
標が画像表示装置9内の表示領域内のボタン画像46内
の座標と一致するときに、再実行動作が指示されると判
定する。再実行動作が指示されるときには、中央処理回
路4は、画素表示領域に元の基本画像22を表示させて
ステップa9からステップa4に戻り、前回画像処理動
作がなされた基本画像22と同一の画像に対して、再度
ユーザ指定動作から結果表示動作までの一連の処理動作
を行わせる。再実行動作が指示されないときは、ステッ
プa9からステップ10に進む。
【0049】ステップa10では、中央処理回路4は、
新たな次の画像に対しての画像処理動作を繰返し実施す
るか否かを判断する。次の画像に対する画像処理動作の
繰返し動作は、たとえば、抽出画像42内に所望の対象
物体像26だけが含まれる場合であって縮小画像群32
に画像処理動作を行うべき別の基本画像が含まれるとき
に選択される。繰返し動作の指示手法および中央処理回
路4の判定手法は、再実行動作の指示および判定手法と
等しく、対象のボタン画像46がボタン画像47に置換
えられる点だけが異なる。繰返し動作が指示されるとき
には、中央処理回路4はステップa10からステップa
2に戻り、基本画像の指定動作から結果表示動作までの
一連の処理動作を行わせる。
【0050】再実行動作および繰返し動作が共に指示さ
れないときには、画像処理動作の終了が指示されてい
る。画像処理動作の終了の指示手法および中央処理回路
4の判定手法は、再実行動作の指示および判定手法と等
しく、対象のボタン画像46がボタン画像48に置換え
られる点だけが異なる。画像処理動作の終了が指示され
るときには、ステップa10からステップ11に進み、
当該フローチャートの処理動作を終了する。
【0051】図6は、図4のフローチャートのステップ
a5の領域分割動作を詳細に表すフローチャートであ
る。このフローチャートを用いて、中央処理回路4の画
像分割部13における上述の領域分割動作を詳細に説明
する。
【0052】図4のフローチャートで、ステップa4か
らステップa5に進むと、ステップb1からステップb
2に進む。ステップb2では、画像信号の平滑化動作を
行う。平滑化動作は、基本画像内のすべての画素につい
て、画素単位で実施される。任意の位置の或る画素に対
する平滑化動作は、たとえば、該画素の画素データのう
ちで領域分割動作に用いられる画素データ、たとえば輝
度データで表される画素の輝度値を、該画素の近傍の画
素の輝度データの輝度値の平均値に置換えることで実施
される。近傍の画素は、たとえば或る画素を中心として
該画素に隣接する周囲8画素である。また基本画像がカ
ラー画像であるときは、画素データには複数の単色光毎
の各輝度データが含まれるので、各単色光の輝度データ
毎に上述の平滑化を行う。また平滑化手法はこの他の別
の手法を用いても良い。これによって、基本画像信号に
たとえば画像入力装置3からの導入時に混入するような
雑音成分の影響を画像処理動作から除去することができ
る。
【0053】続いて、ステップb3では、画素のラベリ
ング動作を行う。ラベリング動作は画素データが類似す
る画素に同一の領域番号を付す動作であり、基本画像内
のすべての画素について、画素単位で実施される。任意
の位置の或る画素に対するラベリング動作は、たとえ
ば、まず該画素と該画素の近傍の複数の画素について、
領域分割動作に用いる画素データ、たとえば輝度データ
の前記両画素の差分値をそれぞれ算出し、続いて各差分
値と予め定める基準差分値とをそれぞれ比較する。近傍
の複数の画素は、たとえば或る画素に隣接する周囲8画
素である。画像分割部13は、或る画素と該画素の近傍
の別の或る画素との前記差分値が基準差分値未満である
ときにはこれら2つの画素が同一の領域に含まれる画素
であると判定し、差分値が基準差分値以上であるときに
は、これら2つの画素は別の領域に含まれるものと判定
する。同一領域に含まれる画素には、それぞれ同一の領
域番号を付す。これによって、基本画像を構成するすべ
ての画素が、複数の領域のいずれかに属するように、基
本画像信号が分割される。
【0054】続いて、ステップb4では、小領域統合動
作を行う。小領域統合動作は、ステップb3のラベリン
グ動作で分割された複数の領域のうちで、属する画素数
が少ない微小領域を該微小領域に隣接する領域と統合す
る動作であり、たとえば、基本画像内のすべての画素に
ついて、画素単位で実施される。任意の位置の或る画素
に対する統合手法は、たとえば、或る画素の領域番号
を、該画素の周辺の複数の画素に付された領域番号のう
ちで最も出現頻度が高い領域番号、すなわち、周囲の複
数の画素が最も多く属する領域の領域番号に置換えるこ
とで実施される。
【0055】この微小領域は、たとえば、基本画像内の
エッジ部分近傍の画素を含むように発生する。エッジ部
分は、具体的には、対象物体像の輪郭、および対象物体
像内部で表示色が異なる領域の境界である。この部分で
微小領域が発生するのは、エッジ部分近傍の画素では、
エッジ部分の両側の領域の領域成分が異なるために、両
側の領域の領域成分が混じりあって両側の領域の領域成
分とは異なる成分の画素と見なされ、エッジ両側の領域
とは別領域と判定されて別の領域番号が付されるためで
ある。この領域成分とは、たとえば上述の輝度データの
輝度値である。上述の小領域統合動作によって、これら
エッジ部分の微小領域はエッジ部分の両側の領域に統合
される。これによって、分割領域から面積がきわめて小
さいような微小領域を除去して、以後の処理動作で取扱
う領域数を減少させることができる。したがって、重み
判定部16での判定動作が簡略化される。
【0056】小領域統合動作が終了すると、ステップb
4からステップb5に進み、当該フローチャートの処理
動作を終了する。これによって、基本画像22は、複数
の分割領域に分割される。このとき各分割領域内の画素
には、それぞれ同一の領域番号が付されている。各画素
に付される領域番号は各画素の基本画像22内の位置座
標を対応付けられて、たとえば画像記憶回路7内に領域
ラベル画像信号として記憶される。以後中央処理回路4
は、画素がどの分割領域に属するかを判定するときに
は、この領域ラベル画像信号内の領域番号を読出して参
照する。
【0057】上述の平滑化動作およびラベリング動作に
おいて処理動作に用いられる画素データの種類は、前述
図4のフローチャートのステップa4におけるユーザ指
定動作で指定される領域分割手法33の文字によって指
定される。たとえば矩形領域36に「RGB」の文字が
あるときには、単色光の組合わせとして赤と青と緑の3
原色が選ばれ、8ビットのデジタル信号で表されるよう
な赤青緑の各輝度データからなる色空間に関して、上述
の処理動作が実施される。またこれら処理動作に用いら
れる画素データの種類は、画素を表すものであるなら
ば、輝度データに限らず別のデータ、たとえばHSV値
を用いても良い。また、上述のラベリング動作での基準
差分値は、前述のユーザ指定動作で指定される閾値34
の値が適用される。この基準差分値は、たとえば後述の
図7で表す2種類の表示色の画素の輝度データの差分値
未満の値に設定される。
【0058】上述のフローチャートにおける候補領域抽
出動作を、図7〜図12を参照して詳細に説明する。
【0059】図7は、基本画像22の部分画像60を表
す拡大模式図である。部分画像60は、基本画像22の
一部分を模式的に表すものであり、正方形の矩形領域1
つが単一の画素に相当する。以後、図面を記載する紙面
において、左右方向および上下方向にそれぞれ直線状に
配列される複数の画素を「行」および「列」と称する。
図7の部分画像60では、64個の画素が8行8列の行
列状に配列される。図7では、64個の各画素につい
て、図6のステップb2での平滑化処理後の表示色を表
す。各画素は8種類の表示色のいずれかを有し、図7で
は斜線の向きおよび間隔の違いで表示色の差異を表す。
8種類の表示色の画素は、同一表示色の画素が違いに隣
接するように配列されており、それぞれ単一の領域61
〜67を構成する。前述の対象物体像26に含まれる画
素は、境界線68で囲まれた部分内の画素であり、領域
65〜67が該当する。
【0060】図8は、基本画像22の領域ラベル画像の
うちで図7の部分画像60に対応する部分69を表す拡
大模式図である。図7と図8とは基本画像の同一部分を
表し、図面内で同一位置にある矩形領域は、同一の画素
に該当する。各矩形領域内の数字が、各画素の領域番号
を表す。部分画像60の各画素は、領域61〜67がそ
れぞれ単一の分割領域として区分され、各領域61〜6
7内の画素には、それぞれ領域番号「1」〜「7」が付
される。
【0061】図9は、基本画像22の部分画像60と、
輪郭領域25との位置関係を表す拡大模式図である。図
7と図9とは基本画像22の同一部分を表し、図面内で
同一位置にある矩形領域は、同一の画素に該当する。部
分画像60には輪郭領域25の一部分が含まれており、
図9では輪郭領域25とに含まれる画素に斜線を付して
示す。
【0062】図10は、図4のフローチャートのステッ
プa6の候補領域抽出動作を詳細に表すフローチャート
である。このフローチャートを用いて、中央処理回路4
の位置演算部14、重み演算部15、および重み判定部
16における上述の候補領域抽出動作を詳細に説明す
る。
【0063】図4のフローチャートで、ステップa5か
らステップa6に進むと、ステップc1からステップc
2に進む。ステップc2では、位置演算部14におい
て、基本画像22内の各画素と輪郭領域25との位置関
係を表す距離画像信号が生成される。各画素と輪郭領域
25との位置関係は、各画素が初期領域27内にあるか
否か、および各画素と輪郭領域25内の画素との相対距
離を含む。距離画像信号は、各画素と輪郭領域25との
位置関係を定量的に表す距離値が、各画素の基本画像2
2内での位置座標と対応付けられて含まれ、画像記憶回
路7に記憶される。
【0064】具体的には、位置演算部14は、まず基本
画像22を初期領域27と初期領域27以外の残余領域
とに区分する。初期領域27は、たとえば、前述のユー
ザ指定動作における輪郭領域25の輪郭指定点50の指
定動作での進行方向に対応して決定される。たとえば輪
郭領域25の輪郭指定点50を、対象物体像26の周囲
を時計回りに回るように指定するとき、輪郭指定点50
の指定の進行方向右側の領域が初期領域27とみなさ
れ、進行方向左側の領域が残余領域と見なされる。
【0065】続いて、残余領域のすべての画素の距離値
の値を、値「0」に確定する。続いて、初期領域27内
の各画素の距離値を、輪郭領域25内の画素から、初期
領域27の内方に向かって順次的に確定する。基本画像
22内の任意の位置の或る画素に対する距離値の確定動
作では、たとえば、まず該画素に隣接する周囲8画素の
うちで距離値が確定された画素を選択し、確定された距
離値の最小値を調べ、この最小値に値「1」を加算した
値を該画素の距離値の値として確定する。最後に確定さ
れた距離値と画素の位置座標とを対応付けて、距離画像
信号として画像記憶回路7に記憶させる。
【0066】図11は、上述の距離画像生成動作によっ
て生成された距離画像のうちで図7の部分画像60に対
応する部分70を表す模式図である。図7と図11とは
基本画像22の同一部分を表し、図面内で同一位置にあ
る矩形領域は、同一の画素に該当する。距離画像は距離
画像信号を仮想的に目視表示したものであり、矩形領域
内の数字がその画素の距離値を表す。図11から、各画
素の距離値は、初期領域27と残余領域とでは、初期領
域27の画素の距離値の方が大きく、また初期領域27
内では、輪郭領域25内の画素の距離値が1であって、
輪郭領域25内の画素から離れるほど距離値が大きくな
ることが分かる。
【0067】再び図10を参照する。ステップc2で距
離画像信号が生成されると、ステップc2からステップ
c3に進む。ステップc3では、重み演算部14におい
て、距離画像信号と前述の係数変換表を参照しつつ、各
分割領域61〜67の重み係数をそれぞれ算出する。分
割領域の重み係数は、該分割領域内の各画素に付される
係数値の累積値である。係数値は、基本的には、初期領
域27内の画素と残余領域の画素とでは、初期領域27
内の画素の係数値が大きい。また、初期領域27内部の
画素では、輪郭領域25の画素からの距離が大きいほど
係数値が大きい。具体的に係数値は、前述の表1の係数
変換表および図5の距離係数グラフに示すように、距離
値と1対1で対応する値であって、距離値が大きいほど
係数値も大きくなる。また、残余領域内の画素の距離値
に対応する係数値は負の値であり、初期領域内の画素の
距離値に対応する係数値は正の値である。重み演算部1
4での重み係数の算出手法の詳細は後述する。
【0068】図12は、図7の部分画像60内で、上述
の重み演算動作によって得られる重み係数を表す模式図
である。図7と図12とは基本画像22の同一部分を表
し、図面内で同一位置にある矩形領域は、同一の画素に
該当する。領域61〜67の各重み係数の値は、それぞ
れ−85,−4,−70,0,7,4,13であること
が分かる。全分割領域のうちですべての画素が初期領域
27内に含まれる領域64〜67の重み係数は正の値で
あって、初期領域27内部の画素の数が多いほど大き
く、また分割領域全体が輪郭領域25から離れているほ
ど大きい。
【0069】また全分割領域のうちで残余領域の画素を
含む領域61〜63の重み係数は負の値であって、残余
領域の画素の数が多いほど小さい。前述の表1に示すよ
うに距離値「0」に対応する画素の係数値は負の値であ
って、その絶対値は輪郭領域25との相対距離が等しく
初期領域27の画素を表す距離値「2」に対応する画素
の係数値よりも大きい。このために、領域62,63の
ように、初期領域27内の画素と残余領域の画素とを共
に含む分割領域では、距離値「0」に対応する負の係数
値と距離値「1」以上に対応する正の係数値とが相殺す
るために、分割領域全体の重み係数が、初期領域27内
の画素だけを有する領域64〜67よりも小さくなる。
【0070】再び図10を参照する。ステップc3で各
分割領域の重み係数が算出されると、ステップc3から
ステップc4に進む。ステップc4では、重み判定部1
6において、ステップc3で求められる重み係数の値を
判定値と比較して、基本画像22の全分割領域のうちか
ら候補領域を抽出する。この判定動作における判定値
は、予め定める値の基準判定値と、初期領域27の大き
さから算出して決定される初期判定値の2種類が準備さ
れる。基準判定値は固定値であってたとえば1であり、
初期判定値はたとえば初期領域27の面積の1%の値で
ある。重み判定部16は、まずこれら初期および基準判
定値を比較して、値が大きいいずれか一方判定値Thを
選択し、次いでいずれか一方判定値Thと上述の重み係
数と比較する。重み係数がいずれか一方判定値Th以上
であれば、その分割領域を候補領域として抽出し、重み
係数がいずれか一方判定値Th未満であれば、その分割
領域を抽出しない。判定動作の詳細は後述する。判定動
作が終了すると、ステップc5に進み、当該フローチャ
ートの処理動作を終了する。このような一連の処理動作
によって、基本画像22から1または複数の分割領域が
候補領域として抽出される。
【0071】図7〜図9,図11および図12の部分画
像60を例とする場合、初期領域27内の画素の数は2
1個であって単一画素の面積が1であるので、初期判定
値は0.2であり、いずれか一方判定値Thには基準判
定値が選ばれる。基準判定値と各領域61〜67の重み
係数を比較すると、領域65〜67の重み係数が基準判
定値以上であって、領域61〜64の重み係数が基準判
定値未満であることがわかる。このことから、図13に
示すように、領域65〜67だけが候補領域として抽出
される。また領域63,64は初期領域27内の画素を
有していたが、上述の理由で重み係数が負の値になるの
で、確実に候補領域から除かれる。これによって、初期
領域27のうちで対象物体像26以外の残余の像を除去
することができる。
【0072】図14は、図10のフローチャートのステ
ップc3において、中央処理回路4の重み演算部15に
おける分割領域の重み係数演算動作を詳細に説明するた
めのフローチャートである。図10のフローチャートで
ステップc2からステップc3に進むと、ステップd1
からステップd2に進む。ステップd2では、画素の番
号iに初期値として1を代入することで初期化する。画
素の番号iは、基本画像22内のすべての画素のうちの
いずれか1つを指定するものであり、各画素の番号はた
とえば位置データに基づいて決定される。続いて、ステ
ップd3では、番号iの画素に対応する距離値D(i)
を、距離画像信号内の番号iに対応する位置から読出
し、距離変数dに代入する。
【0073】 d = D(i) …(1) 続いて、ステップd4で、係数変換表Tから距離変数d
の値に対応する係数値T(d)を読出し、係数変数tに
代入する。
【0074】 t = T(d) …(2) 続いて、ステップd5で、領域ラベル画像信号から番号
iの画素に付加される領域番号R(i)を読出し、領域
番号変数rに代入する。
【0075】 r = R(i) …(3) 続いて、ステップd5で、領域番号変数rの値と同一番
号の領域の重み係数P(r)に係数変数tの値を加算し
て更新する。
【0076】 P(r)= P(r)+t …(4) 続いて、ステップd7で番号iの値が基本画像22内の
全画素数NIと一致するか否かが判定される。一致しな
いときには、ステップb8で番号iの値に1を加算して
更新し、ステップb3に戻る。これらステップd3〜d
7の処理動作を、基本画像22のすべての画素につい
て、各画素毎に繰返す。番号iと全画素数NIとが一致
するときは、ステップd7からステップd9に進み、当
該フローチャートの処理動作を終了する。これによっ
て、各分割領域の重み係数を算出することができる。
【0077】図15は、図10のフローチャートのステ
ップc4において、中央処理回路4の重み判定部16に
おける分割領域の重み係数の判定動作を詳細に説明する
ためのフローチャートである。図10のフローチャート
でステップc3からステップc4に進み、上述のいずれ
か一方判定値が決定された後に、ステップe1からステ
ップe2に進む。ステップe2では、番号iに初期値と
して1を代入することで初期化する。番号iは図14の
画素の番号iと同じものである。続いて、ステップe3
で、距離ラベル画像信号から番号iの画素に付加される
領域番号R(i)を読出し、領域番号変数rに代入す
る。
【0078】 r = R(i) …(5) 続いて、ステップe4で、領域番号変数rの値と同一番
号の領域の重み係数P(r)を読出し、上述のいずれか
一方判定値Th以上であるか否かを判定する。
【0079】 P(r)≧ Th …(6) 重み係数P(r)がいずれか一方判定値Th以上である
ときは、ステップe4からステップe5に進み、画素値
RT(i)に値「1」を代入する。また重み係数P
(r)がいずれか一方判定値Th未満であるときは、ス
テップe4からステップe6に進み、画素値RT(i)
に値「0」を代入する。画素値RT(i)はたとえば領
域ラベル画像信号に付加されて記憶され、値「1」であ
るときに候補領域内の画素であることを表し、値「0」
であるときには候補領域外の画素であることを表す。ス
テップe5,e6からステップe7に進む RT(i)= 1 …(7) RT(i)= 0 …(8) ステップe7では、番号iの値が基本画像22内の全画
素数NIと一致するか否かが判定される。一致しないと
きには、ステップe8で番号iの値に1を加算して更新
し、ステップe3に戻る。これらステップe3〜e7の
処理動作を、基本画像22のすべての画素について、各
画素毎に繰返す。番号iと全画素数NIとが一致すると
きは、ステップe7からステップe9に進み、当該フロ
ーチャートの処理動作を終了する。これによって、基本
画像22内のすべての画素を、候補領域内外の画素に区
分することができる。
【0080】以下に、中央処理回路4の抽出部17にお
ける対象物抽出手法を詳細に説明する。対象物抽出手法
は、たとえばSnakes法と称される手法が用いられ
る。Snakes法は、「M.Kass.:Snakes:Active Co
ntour Models,Int.J.Comput.Vision,p.321,1988」に開
示される。
【0081】Snakes法では、定義された輪郭線の
エネルギΣEsnakeが最小になるように動的に抽出
輪郭線を変形させ、抽出すべき物体像の抽出輪郭線を得
る。抽出輪郭線上には、N個の輪郭点p(0)〜p(N
−1)が設定され、任意の輪郭点p(i)は、基本画像
22内の位置座標(x(i).y(i))で定義され
る。変数iは、0以上N−1以下の値である。
【0082】輪郭点P(i)のエネルギEsnake
(i)は、以下の式で定義される。
【0083】 Esnake(i) = Eint(i)+Eimage(i)+Econ(i) …(9) Eint(i)は、輪郭線が滑らかさを保ちつつ収縮し
ようとする力を表し、たとえば以下の式で定義される。
【0084】 Eint(i) = α×|P(i)-P(i-1)|2+β×|P(i+1)-2×P(i)-P(i-1)|2 …(10) Eimage(i)は、輪郭線が画像の特徴に適合しよ
うとする力であり、輪郭点P(i)と重畳する基本画像
22内の画素の特徴量I(i)を用いて、以下の式(1
1)で定義される。特徴量I(i)は、たとえば前述の
画素値RT(i)を用いて、輪郭点P(i)が候補領域
内にあるときは値が1であって候補領域外にあるときは
値が0である。またこの特徴量I(i)は、画素値RT
(i)以外の値を用いても良く、たとえば基本画像のエ
ッジだけを抽出したエッジ画像の画素の輝度であっても
よい。
【0085】 Eimage(i)= γ×I(i) …(11) Econ(i)は、或る方向に輪郭線を変形させる力で
あり、輪郭点P(i−1),P(i),P(i+1)を
頂点とする三角形の面積S(i)によって、以下の式で
定義される。
【0086】 Econ(i)= Δ×S(i) …(12) これら式(9)〜式(12)で定義される輪郭点のエネ
ルギEsnake(i)を、すべての輪郭点P(0)〜
P(N−1)で算出し、全輪郭点のエネルギEsnak
e(0)〜Esnake(N−1)の総和値を、輪郭線
のエネルギΣEsnakeとする。
【0087】
【数1】
【0088】上述の式(9)〜式(13)およびその説
明で、「エネルギ」および「力」は、本実施形態では数
値に該当する。「α」,「β」,「γ」,「Δ」は、そ
れぞれ予め定める定数を表す。
【0089】抽出部17は、初期領域27内で輪郭線の
エネルギΣEsnakeが小さくなると予測される方向
に輪郭線の輪郭点を順次的に移動させて新たな輪郭線を
設定し、新たな輪郭線を設定する度にその輪郭線につい
て上述の輪郭線のエネルギΣEsnakeを求める。こ
の動作を複数回繰返し、輪郭線のエネルギΣEsnak
eが最小値となる輪郭線が得られるとき、その輪郭線を
抽出輪郭線とする。また上述の一連の動作の反復回数が
予め定める規定回数以上になるとき、最終の動作で得ら
れる輪郭線を抽出輪郭線とする。規定回数は、たとえば
輪郭領域25と候補領域の外縁との間に介在されるすべ
ての画素の数と同数である。この抽出輪郭線のすべての
輪郭点の座標は、抽出輪郭座標列信号として、輪郭座標
列記憶回路8に記憶される。続いて抽出部17は、抽出
輪郭線内部のすべての画素の画素データを基本画像信号
から複写し、残余の画素の画素データを表示色が白色の
画素として設定して、これら画素データからなる抽出画
像信号を生成する。このような一連の動作によって、抽
出画像信号を生成することができる。
【0090】また抽出部17は、抽出輪郭線が定められ
ると、抽出輪郭線内部のすべての画素の表示色が無色で
あって残余の画素の表示色が白色であるようなマスク画
像を表すマスク画像信号を生成してもよい。このマスク
画像は基本画像22に重ねて画像表示装置9の画像表示
領域に表示され、このとき表示色が無色の画素は基本画
像22の画素の表示色を透過させ、白色の画素は基本画
像22の表示色を遮断する。これによって、画像表示領
域には、抽出画像信号の抽出画像と同一の画像を表示す
ることができる。
【0091】上述の複数のフローチャートの各ステップ
a1〜a10,b2〜b4,c2〜c4での各動作の詳
細な手法は、上述の説明と同一の結果が得られるもので
あれば、上述の手法以外の別の手法を用いても良い。ま
た、ユーザインタフェイス部の詳細な構造および操作者
への各種の情報の表示手法は、上述の例に限らず別の構
造の装置および手法を用いても良い。
【0092】
【発明の効果】以上のように本発明に従えば、画像処理
装置は画素データに基づいて2次元画像を分割した分割
領域について、操作者が指定する輪郭領域内の画素と分
割領域内の各画素との位置関係から重み係数を演算す
る。抽出される画素データは、この重み係数が基準値よ
りも大きい値を示す分割領域の画素データを表すものが
選ばれる。これによって、画像処理動作のための操作者
の指定は、輪郭領域の指定だけで良く、かつ輪郭領域が
所望の抽出領域の輪郭と正確に一致している必要がな
い。したがって、画像処理動作のための操作者の指定処
理動作の負担を軽減することができる。また、指定処理
動作に要する処理時間もまた短縮することができる。
【0093】また本発明によれば、位置演算手段は、輪
郭領域内の画素と残余の画素との距離、および初期領域
内外のいずれに画素があるかの判定結果から各画素の重
みの係数値を定め、かつこの係数値を累積して分割領域
の重み係数を求める。また本発明によれば、初期領域外
部の残余の領域内の画素の係数値は負の値である。これ
によって、初期領域から初期領域内外の画素を含む分割
領域を除去することができる。したがって、抽出される
分割領域が所望の抽出領域に近似し、所望の抽出領域の
抽出精度が向上する。
【0094】さらにまた本発明によれば、前記重み係数
の係数値は任意に変更可能である。また本発明によれ
ば、判定手段の重み係数の判定値は、初期領域の面積に
併せて変更可能である。さらにまた本発明によれば、分
割手段での画素データの表示特性の種類および基準差分
値は任意に変更可能である。これによって、輪郭領域の
設定精度、処理対象の2次元画像の性質および操作者の
画像処理の目的に併せて画像処理動作を行わせることが
できる。
【0095】また本発明によれば、抽出手段で抽出され
る画素データからなる抽出画像信号は、操作者に対して
目視表示される。また単一の2次元画像に対する画像処
理動作は繰返し実施することができる。さらに再実行時
には、画像分割のパラメータおよび輪郭領域を再設定す
る事ができる。これによって、操作者が、分割領域の抽
出精度を確認しつつ、パラメータおよび輪郭領域を順次
変更して選択することができる。
【0096】さらにまた本発明によれば、複数の分割領
域が判定されるときにはこれら領域が統合される。これ
によって、複数の分割領域にわたる抽出領域が単一の分
割領域に含まれることになるので、以後の処理動作では
単一の分割領域だけを取扱って処理を行うことができ
る。したがって、画像の取扱い手法が容易になる。
【0097】また本発明によれば、画像処理装置では、
記憶手段内の複数の画像信号のうちから、処理すべき2
次元画像の画像信号を選択することができる。これによ
って、操作者は、多量の画像信号に対して上述の画像処
理動作を行わせるとき、操作者の作業を円滑に実施する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である画像処理装置1の
電気的構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置1の画像処理動作の初期段階で、
画像表示装置9に表示される表示画像21を表す図であ
る。
【図3】画像処理装置1の画像処理動作の終了直前に画
像表示装置9に表示される表示画像41を表す図であ
る。
【図4】画像処理装置1における画像処理動作を説明す
るためのフローチャートである。
【図5】画像表示装置9の情報表示領域に表示される情
報画像の距離係数グラフ35である。
【図6】図4のフローチャートのステップa5の領域分
割動作を詳細に表すフローチャートである。
【図7】基本画像22の部分画像60を表す拡大模式図
である。
【図8】基本画像22の領域ラベル画像のうちで図7の
部分画像60に対応する部分69を表す拡大模式図であ
る。
【図9】基本画像22の部分画像60と、輪郭領域25
との位置関係を表す拡大模式図である。
【図10】図4のフローチャートのステップa6の候補
領域抽出動作を詳細に表すフローチャートである。
【図11】基本画像22の距離画像のうちで図7の部分
画像60に対応する部分70を表す拡大模式図である。
【図12】基本画像22の部分画像60の各画素と、各
画素の重み係数を表す拡大模式図である。
【図13】基本画像22の部分画像60のうちで候補領
域に含まれる画素を表す拡大模式図である。
【図14】図10のフローチャートのステップc3にお
ける分割領域の重み係数の算出動作を詳細に説明するた
めのフローチャートである。
【図15】図10のフローチャートのステップc4にお
ける分割領域の重み係数の判定動作を詳細に説明するた
めのフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像処理装置 3 画像入力装置 4 中央処理回路 5,6 メモリ 7 画像記憶回路 8 輪郭座標列記憶回路 9 画像表示装置 10 操作入力装置 13 画像分割部 14 位置演算部 15 重み演算部 16 重み判定部 17 抽出部 22 基本画像 25 輪郭領域 27 初期領域 42 抽出画像

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画素を表す画素データを複数含む画像信
    号で表され、複数の画素からなる2次元画像を、画素デ
    ータが類似する1または複数の画素を含む複数の分割領
    域に分割する分割手段と、 2次元画像から抽出すべき抽出領域を内包する初期領域
    に含まれる輪郭領域であって、初期領域の最外縁部の画
    素からなる輪郭領域を指定する指定手段と、 指定手段で指定された輪郭領域の各画素と輪郭領域の各
    画素以外の残余の画素との位置関係を、各画素毎に求め
    る位置演算手段と、 位置演算手段で得られた各画素の位置関係のうちの分割
    手段で分割された各分割領域内の各画素の位置関係か
    ら、各分割領域の重み係数を求める重み演算手段と、重
    み演算手段で得られた各分割領域の重み係数と予め定め
    る判定値とを比較して、重み係数が判定値よりも大きい
    ときに各分割領域の少なくとも一部分が抽出領域に含ま
    れると判定し、小さいときに分割領域が抽出領域に含ま
    れないと判定する判定手段と、 判定手段で少なくとも一部分が抽出領域に含まれると判
    定された分割領域の画素の画素データを、画像信号から
    抽出する抽出手段とを含むことを特徴とする画像処理装
    置。
  2. 【請求項2】 前記位置演算手段は、 各画素の位置が前記初期領域の内部および外部のいずれ
    であるかを判別する位置判別手段と、 前記輪郭領域の各画素と前記残余の各画素との距離を算
    出する距離算出手段とを含み、 前記各分割領域の重み係数は、位置判別手段で判別され
    た位置と距離算出手段で算出された距離とに対応する係
    数値の累積値であり、 初期領域内の画素の係数値は初期領域外の画素の係数値
    よりも大きく、初期領域内の係数値は距離が大きいほど
    大きいことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 【請求項3】 前記初期領域外の画素の係数値は負の値
    であり、前記初期領域内の画素の係数値は正の値である
    ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
  4. 【請求項4】 前記係数値を変更する係数変更手段をさ
    らに含むことを特徴とする請求項2記載の画像処理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記判定手段は、予め定める基準面積未
    満の初期領域に対応する予め定める基準判定値と、基準
    面積以上の初期領域に対応する初期判定値とのいずれか
    一方を、前記指定手段で指定される輪郭領域内の初期領
    域の面積に基づいて選択して前記判定値とし、 初期判定値は、前記初期領域の面積に応じて異なること
    を特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  6. 【請求項6】 前記各画素の画素データは、画素の複数
    の表示特性にそれぞれ関連する数値を含み、 複数の表示特性のうちのいずれか一特性を選択する特性
    選択手段と、前記2次元画像内の画素と2次元画像内で
    該画素の周囲の画素との表示特性の数値の差分値と比較
    するべき基準差分値を設定する差分値設定手段とをさら
    に含み、 前記分割手段は、特性選択手段で選択される前記いずれ
    か一特性について、各画素の数値と前記2次元画像内で
    該画素の周囲の予め定める数の各画素の数値との前記差
    分値をそれぞれ求め、差分値が差分値設定手段で設定さ
    れる基準差分値未満であるとき該画素と周囲の画素とが
    同一領域に含まれると判定し、各分割領域が同一領域に
    含まれる画素だけを含むように2次元画像を分割するこ
    とを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  7. 【請求項7】 前記抽出手段で抽出される画素データが
    表す画素だけからなる抽出画像を表示する表示手段と、 前記輪郭領域、前記複数種類の表示特性のうちのいずれ
    か一特性、および前記基準差分値の少なくとも1つを前
    記指定手段、前記特性選択手段、および前記差分値設定
    手段から再度指定させて、再度前記分割手段に前記2次
    元画像を分割させ、前記位置演算手段に前記位置関係を
    求めさせ、前記重み演算手段に前記重み係数を求めさせ
    て前記判定手段で判定させて、前記抽出手段に画素デー
    タを抽出させる再実行手段とを含むことを特徴とする請
    求項6記載の画像処理装置。
  8. 【請求項8】 前記判定手段によって複数の分割領域が
    前記抽出領域に含まれると判定されるとき、複数の分割
    領域を統合して単一の分割領域とし、該単一の分割領域
    の画素の画素データを前記抽出手段に抽出させる領域統
    合手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画
    像処理装置。
  9. 【請求項9】 複数の2次元画像の画像信号を記憶する
    記憶手段と、 記憶手段内の複数の画像信号のうちから、前記分割手段
    で分割されるべき単一の画像信号を選択して、前記分割
    手段に与える画像選択手段をさらに含むことを特徴とす
    る請求項1記載の画像処理装置。
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