JPH10184270A - シールド掘進機の方向制御方法 - Google Patents

シールド掘進機の方向制御方法

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JPH10184270A
JPH10184270A JP35600096A JP35600096A JPH10184270A JP H10184270 A JPH10184270 A JP H10184270A JP 35600096 A JP35600096 A JP 35600096A JP 35600096 A JP35600096 A JP 35600096A JP H10184270 A JPH10184270 A JP H10184270A
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耕一 伊藤
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Mitsuru Shinohara
満 篠原
Riichi Okayama
理一 岡山
Akira Usami
彰 宇佐美
Takeshi Nagira
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  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 縦長の矩形断面等の特殊なトンネル空間内で
も、計画線に対する掘進方向のずれ量を最適に制御し
て、掘削後のトンネル空間を良好に構築することのでき
るシールド掘進機の方向制御方法を提供すること。 【解決手段】 矩形シールド掘進機内の周方向に複数配
設されたシールドジャッキ30を選択的に使用して、シ
ールド掘進機1の掘進に伴い掘進方向と互いに交差する
水平方向X及び垂直方向Yでのシールド掘進機1の計画
線Z1に対する各ずれ量を修正し、シールド掘進機1の
掘進方向を制御する方向制御方法である。そして、水平
方向Xのずれ量又は垂直方向Yのずれ量のいずれか一方
に基づき、水平方向X又は垂直方向Yのいずれか一方の
方向を選択する選択工程と、選択された一方の方向での
ずれ量を修正する工程と、選択された一方の方向でのず
れ量の修正後、選択されない他方の方向でずれ量がある
場合に、他方の方向を選択し、他方の方向でのずれ量を
修正する工程と、を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールド掘進機の
方向制御方法に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】この種の
シールド掘進機の掘進方向を制御する方向制御装置とし
て、例えば特開昭3-286094号、特開平1-263385号、特開
昭57-137596号、特開平4-285293 号、特開平5-5396号等
が公知である。
【0003】上述の文献は、いずれも円形断面のトンネ
ルを対象としたシールド掘進機の方向制御方法である。
すなわち、円形断面のシールド掘進機を方向制御するに
は、図15(A)に示すように、計画線Z1に対する掘
進方向のずれ量Δδに基づき推論されたシールドジャッ
キ作用点Pに応じて選択される合成されたシールドジャ
ッキパターンにより、複数のシールドジャッキ200を
選択的に押圧することで、X・Yの各方向の制御を行
う。この場合、円形のシールド掘進機では方向制御の際
に多少ローリングしても、トンネル形状自体が円形であ
るため、掘削後のトンネル空間の形状は殆ど変形しな
い。
【0004】このような円形断面のトンネルに対し、ト
ンネル断面積の有利性を図るために、矩形断面のような
特殊な断面構造のトンネルを構築することが行われてい
る。この場合、具体的には、例えば地下水道、地下道
路、共同溝等を掘削する場合には、円形トンネルを掘削
すると、トンネル断面に不要な箇所が生じることにな
り、そのため目的の断面形状に近づけた矩形断面の掘削
を行う矩形シールド掘進機が用いられる。
【0005】この矩形断面のトンネルでは、円形断面の
場合と異なり、方向制御の際、シールド掘進機にローリ
ングが生じると、地下空間にねじれが生じることとな
る。
【0006】例えば、矩形断面のトンネルの掘削におい
て、通常の円形シールド掘進機等において用いられる方
法でそのシールド掘進機の方向制御を行おうとすると、
合成パターンによって、図15(B)の矢印Jのように
ずれ量が修正されるため、地盤反力によってシールド掘
進機がローリングしたりしてトンネルがねじれてしまう
ことがある。特に、縦長の矩形断面では、このようなね
じれは顕著となる。
【0007】本発明は、上記した技術の問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであって、その目的と
するところは、縦長の矩形断面等の特殊なトンネルで
も、シールド掘進機のローリング等を防止し、計画線に
対する掘進方向のずれ量を最適に制御して正確な制御を
行うと共に、トンネル空間を良好に構築することのでき
るシールド掘進機の方向制御方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
係るシールド掘進機の方向制御方法は、矩形シールド掘
進機内の周方向に複数配設されたシールドジャッキを選
択的に使用して、シールド掘進機の掘進に伴い掘進方向
と互いに交差する水平方向及び垂直方向での前記シール
ド掘進機の計画線に対する各ずれ量を修正して、前記シ
ールド掘進機の掘進方向を制御する方向制御方法であっ
て、前記水平方向のずれ量又は前記垂直方向のずれ量の
いずれか一方に基づき、前記水平方向又は前記垂直方向
のいずれか一方の方向を選択する選択工程と、前記水平
方向又は前記垂直方向の前記シールドジャッキを操作し
て、前記選択された一方の方向でのずれ量を修正する第
1の修正工程と、前記選択された一方の方向でのずれ量
の修正後、選択されない他方の方向でずれ量がある場合
に、該他方の方向を選択し、前記シールドジャッキを操
作して前記他方の方向でのずれ量を修正する第2の修正
工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】請求項1に記載の発明によれば、水平(又
は垂直)方向のずれ量を修正し、その後垂直(又は水
平)方向のずれ量を修正するので、水平・垂直方向の2
方向以外の他の方向にシールド掘進機が傾くことがない
ので、確実にローリングを防止してトンネル空間のねじ
れを防止することができる。
【0010】すなわち、斜め方向への姿勢制御を行う場
合には、一定の区間を区切り、まず、垂直又は水平方向
のいずれかの制御方向を選択し、例えば垂直(又は水
平)方向への反力を発生させ、その方向制御を行う。次
に、これとは逆に、水平(又は垂直)方向への反力を発
生させ、その方向制御を行う。このように、垂直方向と
水平方向への方向制御を分解してそれぞれ独立に行うこ
とで、ローリングを生じさせることなく正確な方向制御
を行うことができる。
【0011】請求項2に記載の発明に係るシールド掘進
機の方向制御方法は、矩形シールド掘進機内の周方向に
複数配設されたシールドジャッキを選択的に使用して、
シールド掘進機の掘進に伴い掘進方向と互いに交差する
水平方向及び垂直方向での前記シールド掘進機の計画線
に対する各ずれ量を修正して、前記シールド掘進機の掘
進方向を制御する方向制御方法であって、前記水平方向
及び前記垂直方向での各ずれ量が許容範囲内である時
に、前記水平方向及び前記垂直方向での各ずれ量を合成
し、その合成されたずれ量を修正することで、前記各ず
れ量が修正される第3の修正工程を有し、前記水平方向
及び垂直方向での各ずれ量が許容値外である場合に請求
項1に記載の第1、第2の修正工程を行うことを特徴と
する。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、水平及び
垂直方向でのずれ量が許容範囲内である場合は、掘削後
のトンネル空間は、水平、垂直方向に傾く量が少ないの
で、水平成分と垂直成分とを合成する方法を採っても差
し支えない。このように、水平方向及び垂直方向にてそ
れぞれ個別に制御する独立制御と、合成制御とを兼用す
ることで、矩形断面のような特殊なトンネル空間内にお
いても、ねじれのない状態で方向制御を行うことができ
る。
【0013】請求項3に記載の発明に係るシールド掘進
機の方向制御方法は、請求項1において、前記選択工程
は、前記ずれ量の大きさが大きい方の方向を選択するこ
とを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、ずれ量の
大きい方を時間的に先に選択することで、計画線に対す
るずれ量を伴いながら掘削されたトンネル空間の量、す
なわち、絶えず掘進し続けるシールド掘進機にて掘削さ
れた掘削後のトンネル空間でのずれ、を少なくして、計
画線に限りなく近い理想的なトンネル空間を形成するこ
とができる。
【0015】請求項4に記載の発明に係るシールド掘進
機の方向制御方法は、請求項1において、前記第1又は
第2の修正工程は、前記計画線に対する各ずれ量に基づ
き、シールドジャッキ作用点を推論する工程と、前記シ
ールドジャッキ作用点に応じたシールドジャッキパター
ンを算出する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】請求項4に記載の発明によれば、修正を行
うには、先ず、一方向修正専用のシールドジャッキ作用
点を推論する。そして、一方向でのシールドジャッキ作
用点に応じて一方向修正専用のシールドジャッキパター
ンを求め、このパターンに基づいて、シールドジャッキ
の選択箇所を指定する。これにより、一方向での処理を
専用に行うことで、方向制御をより正確に行うことがで
きる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
の一例について図面を参照して具体的に説明する。
【0018】<シールド掘進機について>先ず、本発明
の特徴である方向制御装置に先立って、矩形のシールド
掘進機における基本的構成の概略を図1及び図2を用い
て説明する。図1は、矩形のシールド掘進機の全体構成
の一例を示す部分破断側面図である。図2は、矩形のシ
ールド掘進機を示す図1のA−A断面図である。
【0019】本例の矩形のシールド掘進機1の機械的構
造は、図1及び図2に示すように、シールド掘進機本体
10と、このシールド掘進機1の先端部に回転自在に配
設されたカッタ12とから構成されている。
【0020】シールド掘進機本体10は、断面矩形状の
トンネルを構成する矩形状のセグメント14と略同形の
矩形状に形成されるもので、カッタ12側の前胴部20
とセグメント14側の後胴部22とを複数の中折れジャ
ッキ25にて連結した曲線施工可能な中折れ式のものと
されている。
【0021】前胴部20には、カッタ12との間に隔壁
24が設けられ、この隔壁24の前方外周にフード18
が張り出され、このフード18によってカッタ12と隔
壁24との間にシールドチャンバ16を画成している。
【0022】この前胴部20は、隔壁24とカッタ12
との間のシールドチャンバ16内を、シールド掘進機本
体10に設けた送泥管26により、加圧した泥水で満た
し、カッタ12の前面地山の安定を図ると共に、掘削し
た土砂を泥水中に取り込み排泥水として排泥管28によ
り地上へと流体輸送するようになっている。
【0023】また、この前胴部20にカッタ12が取付
けられており、このカッタ12は、上下2つのカッタユ
ニット40から構成されている。各カッタユニット40
は、左右両側に配設された2つのドラムカッタ42と、
このドラムカッタ42間に配設された上下2つのリング
カッタ44とから構成されている。これら各カッタを駆
動する駆動源は、1つのカッタユニット40に例えば2
個取り付けられ、左右のドラムカッタ42を各々独立し
て回転数等を制御できるよう構成される。具体的には、
各カッタユニット40のドラムカッタ42及びリングカ
ッタ44は、シールド掘進機本体10内より隔壁24を
貫通してシールドチャンバ16側に突出する各ギヤケー
ス34に支持されて一体的にされている。各ギヤケース
34内には、カッタ駆動源としてのカッタ駆動用電動機
36及びこのカッタ駆動用電動機36より各カッタユニ
ット40のドラムカッタ42及びリングカッタ44に動
力を伝達する複数のギヤが収納され、カッタ駆動用電動
機36より図示せぬギヤを介して、ドラムカッタ42及
びリングカッタ44が回転するようになっており、各ド
ラムカッタ42は各カッタ駆動用電動機36により別個
に回転できるようになっている。
【0024】また、ドラムカッタ42の側面外縁部に
は、側方に進退可能なオーバーカッタ48が配設され
る。各ドラムカッタ42は、外周面内側に側面間に亘っ
て複数のスポーク49をそれぞれ備え、このうちの複数
本(本例では2本)のスポーク49の片側に、オーバー
カッタ48の収納部を形成し、この収納部内に油圧シリ
ンダ及びオーバーカッタ48を収納し、ドラムカッタ4
2の側面外周縁よりオーバーカッタ48を側方に進退可
能にしている。また、各ドラムカッタ42にそれぞれ一
つ、合計4つのオーバーカッタ48が設けられるように
なっている。
【0025】シールド掘進機本体10の後胴部22で
は、テールプレート23の後端で、テールシール16を
介し、セグメント14との間がシールされるようになっ
ている。また、後胴部22には、周方向に沿って複数例
えば14本のシールドジャッキ30(30−1〜30−
14)が配設され、このシールドジャッキ30を伸長し
セグメント14の先端に当接させ、セグメント14に反
力をもたせてシールド掘進機本体10を推進させるよう
にしている。尚、シールドジャッキ30は図示しない油
圧等の駆動手段にて駆動される。また、セグメント14
は、シールド掘進機本体10の後胴部22内に配設した
エレクタ32をエレクタ旋回用油圧モータ32により作
動させて組立られるようになっている。
【0026】上述のシールド掘進機1は、予め決めた計
画線に沿い掘進するよう進路調整がされ、シールド掘進
機1の位置をレーザ計測器やレベル計等を用いて実測
し、この実測データと計画線との偏差をコンピュータで
求め、この偏差がゼロとなるように進路調整する。
【0027】この矩形シールド掘進機を用いて掘削を行
う場合には、先ず、送泥管26から泥水をカッタチャン
バ20内に供給すると共に、4つのカッタ駆動用電動機
36をそれぞれ作動させ、上側及び下側の各カッタユニ
ット40のドラムカッタ42及びリングカッタ44を回
転させ、地盤を矩形に掘削する。また、掘削により生じ
た土砂は、泥水と共に排泥管28から排出される。
【0028】この掘削に伴って、シールドジャッキ30
を伸張させ、先端のセグメント14に反力をもたせて、
シールド掘進機本体10を所定距離掘進させる。
【0029】尚、中折れジャッキ25の操作やオーバー
カッタ48による余堀によってトンネルの曲線施工を容
易に行うことが可能である。
【0030】そして、カッタ12により所定距離矩形状
に掘削した後、エレクタ旋回用油圧モータ33によりエ
レクタ32を作動させて矩形状のセグメント14を組み
立てていけば、容易に矩形状のトンネルを構築できる。
【0031】また、このシールド掘進機1では、シール
ドジャッキ30を用いてシールド掘進機1の方向制御を
行うようにしている。
【0032】<方向制御装置について>次に、本発明の
特徴的な構成である方向制御装置について、図3〜図9
を用いて説明する。
【0033】本例では、上記のようなシールド掘進機1
を鉛直方向に2連にした大きさのもの、例えば鉛直方向
に2つの前胴部を配置し、後胴部を2つの前胴部に対応
した大きさのものとすることで、縦長のトンネル空間を
形成するようにしている。
【0034】この方向制御装置では、図5に示すよう
に、24本のシールドジャッキ30(30−1〜30−
24)を統一的に制御できるようにしてある。
【0035】これら各シールドジャッキ30(30−1
〜30−24)は左右及び上下対称に配置される。これ
により例えばシールド掘進機1を左側に方向転換するた
めには、右側のシールドジャッキ30−4〜30−13
を駆動し、シールド掘進機1に左廻りの旋回モーメント
を与えれば良い。シールド掘進機1を右側に方向転換す
るためには、前記とは逆の動作を行えば良い。また、シ
ールド掘進機1を、上側に方向転換するためには、下側
のシールドジャッキ30−13〜30−16を駆動し、
シールド掘進機1に上廻りの旋回モーメントを与えれば
良い。
【0036】従って、図5に示す複数例えば24本のシ
ールドジャッキ30(30−1〜30−24)から、任
意の組み合わせでジャッキパターンを設定し、設定され
た各ジャッキを制御することにより、任意の位置にシー
ルドジャッキの作用点Pを設定することができる。
【0037】図9(A)(B)には、ジャッキパターン
により設定される作用点の一例が示され、同図では、ジ
ャッキパターンの設定の仕方により、P1、P2の各位置
に作用点が設定できるということを表している。
【0038】詳述すると、水平方向のみの修正を行う場
合のシールドジャッキ作用点が、例えば図9(A)に示
すP1 位置に決められた(この決定の仕方は後述する)
とすると、例えば図9(A)に示す黒丸のシールドジャ
ッキ(30−24、30−2、30−4、30−6、3
0−8、30−9、30−11、30−13、30−1
5、30−17)の10本が選択駆動される。これによ
り、修正方向と反対方向(X+方向)のシールドジャッ
キ30−6、30−8、30−9、30−11により、
シールド掘進機1は全体として修正方向(X−方向)に
方向転換される。
【0039】また、鉛直方向のみの修正を行う場合のシ
ールドジャッキ作用点が、例えば図9(B)に示すP2
位置に決められた(この決定の仕方は後述する)とする
と、例えば図9(B)に示す黒丸のシールドジャッキ
(30−8、30−9、30−10、30−11、30
−12、30−13、30−14、30−15、30−
16、30−17、30−18、30−19、30−2
0、30−21)の14本が選択駆動される。これによ
り、修正方向と反対方向(Y−方向)のシールドジャッ
キの選択により、シールド掘進機1は全体として修正方
向(Y+方向)に方向転換される。
【0040】図4には、ジャッキパターンの設定によ
り、シールド掘進機1が計画線Z1に沿って移動するよ
う方向制御する場合の一例が示されている。シールド掘
進機1を、トンネルの計画線Z1に沿って前進させるた
めには、シールド掘進機1の基準点が計画線Z1上にあ
ることと、その掘進経路の方向Z2を計画線の方向Z1
と一致させることとが必要となる。
【0041】このため、現在のシールド掘進機1−2の
基準点位置を検出し、シールド掘進機1の計画線Z1か
らの水平及び鉛直位置ずれ量Δδと、計画線に対する掘
進方向の水平、鉛直ずれ各Δθをずれ量として求める。
尚、前回測量した時のシールド掘進機1−1の位置と、
現在のシールド掘進機1−2の位置との間の、計画線Z
1上での距離を、掘進距離lとする。
【0042】そして、このようにして求めたずれ量に基
づき、シールド掘進機1の目標進路を演算し、シールド
掘進機1を目標進路に導くためのシールドジャッキ作用
点を設定する。そして、設定されたシールドジャッキ作
用点に応じて、シールドジャッキ30の組み合わせパタ
ーンを設定し駆動させる。これによってシールド掘進機
1を目標進路に向け方向制御し、シールド掘進機1を計
画線Z1に沿って進めることができる。
【0043】図3には本例のシールド掘進機1に用いら
れる方向制御装置のブロック図が示されている。この図
3及び上記図4を用いて、方向制御装置の詳細を説明す
る。
【0044】本例の方向制御装置は、シールド掘進機1
の現在位置および掘進方向を検出する位置データ検出部
50と、シールド掘進機1の図4の計画線Z1のデータ
が記憶された記憶部54と、位置データと計画線Z1の
データとに基づき、シールド掘進機1の目標進路を演算
する目標進路演算部52と、制御選択部55と、修正方
向選択部56と、鉛直方向作用点推論部60と、水平方
向作用点推論部70と、鉛直方向ジャッキパターン設定
部80と、水平方向ジャッキパターン設定部82と、ジ
ャッキ制御駆動部84と、作用点合成部90と、合成ジ
ャッキパターン設定部92と、を含み構成される。
【0045】位置データ検出部50は、図4に示すずれ
量Δδ、ずれ角Δθを計測するもので、計測手段例えば
ジャイロコンパス、ジャッキストローク、水レベル計等
を用いることができる。尚、ずれ量Δδの計算は図5に
示す中心軸X・Y軸を基準として行う。また、位置デー
タ検出部50に替え、シールド掘進機1の位置データを
手動で測量により求めても良い。
【0046】目標進路演算部52は、記憶部54に記憶
された計画線Z1のデータと位置データ検出部50から
入力される位置データとに基づき、シールド掘進機1の
計画線Z1に対する水平及び鉛直方向へのずれ量(位置
ずれ量Δδ、角度ずれ量Δθ)を演算する。そして求め
られたずれ量Δδ、Δθに基づき、シールド掘進機1の
目標進路を演算する。ここで、各目標点との位置ずれ量
Δδが、シールド掘進機1を制御する制御変位として目
標進路演算部52から演算出力され、目標進路とシール
ド掘進機1の掘進方向との角度ずれ量Δθが、制御角度
として目標進路演算部52から演算出力される。そし
て、目標進路演算部52により演算された水平方向及び
鉛直方向への制御量は、制御選択部55に入力される。
【0047】制御選択部55は、目標進路演算部52に
て算出された図4に示す計画線Z1とシールド掘進機1
0との位置ずれ量Δδ、角度ずれ量Δθが、予め設定さ
れた許容ずれ量、ずれ角の範囲外であれば、位置ずれ量
Δδ、角度ずれ量Δθのデータを修正方向選択部56に
伝達し、許容範囲内であれば、作用点合成部90へ伝達
する機能を有する。
【0048】修正方向選択部56は、制御選択部55を
介して送信される図4に示す位置ずれ量Δδ、角度ずれ
量Δθのうち、水平成分と鉛直成分の値を比較し、大き
い方のずれ量である方向を選択する機能を有する。
【0049】水平方向作用点推論部70は、修正方向選
択部56にて水平方向のずれ量が選択された場合に、該
選択されたずれ量に基づいて、シールドジャッキ作用点
を推論する機能を有し、水平方向ファジィ推論部72
と、水平方向デファジィ演算部74と、を含み構成され
る。
【0050】水平方向ファジィ推論部72は、入力され
る制御量、すなわちシールド掘進機1を目標進路に導く
ための水平方向への制御量に基づき、ファジールールに
てファジィ推論を行い、シールドジャッキ作用点を推論
するように構成されている。本例ではファジー推論を用
いて、シールドジャッキの作用点の推論を行っている。
【0051】図6(B)及び図8には、水平方向作用点
推論部70にて行われるファジー推論の手法の一例が示
され、図7にはこのファジー推論に用いられる制御ルー
ルの一例が示されている。
【0052】本例では、図8(A)に示すよう、角度ず
れ量Δθ及び位置ずれ量Δδに対応した入力用メンバシ
ップ関数と、同図(B)に示す出力用のメンバシップ関
数とが予め設定されている。ここにおいて、NBはネガ
ティブビッグ、NSはネガティブスモール、ZEはゼ
ロ、PSはポジティブスモール、PBはポジティブビッ
クを表す。尚、これらメンバシップ関数のパラメータ
は、自在に設定入力できる。
【0053】例えば、水平方向の角度ずれ量Δθ、位置
ずれ量Δδがそれぞれa0、b0である場合には、水平
方向へのシールドジャッキ作用点c0(x0)は次のよ
うにして推論される。
【0054】先ず、角度ずれ量a0に対応した入力用メ
ンバシップ関数は、PSとZEである。そして、図8
(A)から、PS、ZEのメンバシップ関数の適合度は
0.6、0.4となる。また、位置ずれ量b0に対応し
た入力用メンバシップ関数は、PSとZEであり、それ
らの適合度はそれぞれ0.7、0.3である。
【0055】従って、角度ずれ量a0と、位置ずれ量b
0に対応したメンバシップ関数の組み合わせは図8
(A)に示す(1)〜(4)の4パターンとなる。この
4つのパターンを、図7に示す制御ルールと照合し、図
8(B)に示すよう各入力パターンに対応した出力パタ
ーンを得る。例えば、入力パターン(1)では、角度ず
れ量、位置ずれ量がPS、NSであるため、これを図7
に示す制御ルールに照合すると出力パターンはZEとな
る。また、入力パターン(2)では、角度ずれ量、位置
ずれ量がそれぞれPS、NSであるため、その出力パタ
ーンはPSとなる。
【0056】このようにして4つの出力パターンが得ら
れるが、この時、出力用メンバシップ関数のとる適合度
は、2つの入力メンバシップ関数の適合度のうち小さな
値をとる。例えば、パターン(1)では、2つの入力メ
ンバシップ関数の適合度0.6、0.7のうち小さい値
0.6を取る。また、パターン(2)では、0.6、
0.3のうち小さい値0.3となる。このようにして、
4つの出力パターンが得られると、次に図8(C)に示
すよう、これら各パターンを統合化する。
【0057】水平方向デファジィ演算部74は、水平方
向ファジィ推論部72にて推論された出力パターン(フ
ァジィ集合)の組み合わせに基づいて、重心位置を算出
する(デファジィ演算)機能を有する。この重心位置が
モーメント作用点となる。
【0058】このデファジ演算により、出力用メンバシ
ップ関数の重心位置c0の値を求める。この時、2つの
パターンの重複部分のとる適合度は、大きな値が選択さ
れる。例えばNSとZEの重複する部分は、ZEの方が
大きいため、この値が採用される。このようにして、図
8(C)に示すような出力パターンの組み合わせが得ら
れると、この組み合わせパターンの重心位置co、すな
わち、図6(A)に示す距離Xoの長さを図9(A)に
対応させ、水平方向へのシールドジャッキの作用点P1
となる。
【0059】以上のようにして、本例の水平方向作用点
推論部70は、先ず、目標進路演算部52から入力され
る水平方向への制御量、すなわち角度ずれ量、位置ずれ
量に基づき、水平方向へのシールドジャッキ作用点P1
(x0)(図9(A))を推定する。このシールドジャ
ッキ作用点は、シールド掘進機の目標進路に導くために
推論される。
【0060】次に、水平と同様な手法を用い、鉛直方向
作用点推論部60は、目標進路演算部52から入力され
る鉛直方向への制御量、すなわち角度ずれ量、位置ずれ
量に基づき、各々の方向へのシールドジャッキ作用点y
0を推定する。すなわち、鉛直方向ファジィ推論部62
により、シールド掘進機1を目標進路に導くための鉛直
方向への制御量に基づき、上記ファジールールにてファ
ジィ推論を行い、シールドジャッキ作用点を推論する。
そして、鉛直方向デファジィ演算部64により、鉛直方
向ファジィ推論部62にて推論された出力パターン(フ
ァジィ集合)の組み合わせに基づいて、重心位置を算出
する。また、図6(A)(B)には、このようなファジ
ー推論により求められた水平方向への重心位置Xo、鉛
直方向への重心位置Yoをそれぞれ表す。
【0061】尚、シールド掘進機の掘進環境が一定の場
合には、図9(A)(B)に示す作用点P(P1・P2
は変化しないが、シールド掘進環境が変化すると、作用
点Pの値も変化する。この場合、ファジー推論で求めた
シールドジャッキ作用点の位置を、作用点補正部として
補正する構成としてもよい。ここで、作用点補正部は、
入力されたシールドジャッキ作用点を、シールド掘進機
の掘進環境項目のデータに基づき補正演算するように形
成する。このような補正演算に用いる掘進環境項目とし
ては、シールド掘進機のコピーカッターストローク、中
折れ角、ジャッキスピード、テールクリアランス等を掘
進環境項目として採用し、補正演算を行う。
【0062】次に、各作用点推論部70(60)でファ
ジー推論された図9(A)(B)に示すシールドジャッ
キ作用点P1(xo)(P2(yo))座標をジャッキパ
ターン設定部20へ向け出力する。
【0063】水平方向ジャッキパターン設定部80は、
シールドジャッキ作用点に基づいて、ジャッキパターン
を選択する機能を有する。この選択方法としては、一番
近いモーメント位置を持つジャッキパターンを選択す
る。
【0064】すなわち、最良の作用点からジャッキパタ
ーンを求めるには、例えば水平方向である場合は以下の
ように行う。先ず、図5に示す水平・鉛直方向の基準軸
X・Y座標軸を設定し、各シールドジャッキ30の原点
Oからの距離をx1、x2、…xn とすると、式(x1
…+xn)/nにて、使用されるジャッキパターンによ
る作用点位置を予め算出しておく。例えば図9(A)に
示すようなジャッキパターンでは、各黒丸位置(シール
ドジャッキ使用位置)の原点からのx方向での距離か
ら、(+2+2+3+3+3−1−1−3−3)/10
=0.8となり、原点Oから0.8の位置にP1 がくる
ことになる。このようにして求めた全てのジャッキパタ
ーンに対するP1 位置をテーブルとして予めメモリに記
憶しておく。そして、実際のずれ量に基づいて算出され
たP1 の値が求まると、逆にメモリ(テーブル)より引
き出し、P1 の値に相当するジャッキパターンを逆に設
定するようにする。
【0065】このようにして入力されるシールドジャッ
キ作用点P1(P2)に基づき、当該作用点を得るための
最適な各方向専用のジャッキパターンを選択設定する。
例えば、選択された作用点P1 位置でのパターンの一例
を図9(A)に示す。同図において、黒丸が使用される
シールドジャッキである。尚、鉛直方向においてもP2
位置でのパターンは、図9(B)に示すようになる。
尚、ジャッキパターンテーブルは、各方向毎に設けられ
ている。
【0066】ジャッキ制御駆動部84は、図5に示す各
シールドジャッキ30を入力されたジャッキパターンに
従って駆動制御し、シールド掘進機1を目標地点へ向け
方向制御をする。
【0067】作用点合成部90は、制御選択部55が合
成制御を行う場合にのみ選択され、その場合に、鉛直方
向デファジィ演算部64、水平方向デファジィ演算部7
4にて演算された各々のシールドジャッキ作用点例えば
図9(A)(B)に示すP1、P2 を合成する機能を有
する。そして、合成ジャッキパターン設定部92におい
て、合成されたシールドジャッキ作用点に基づいて、合
成専用のシールドジャッキパターンが設定される。
【0068】<方向制御方法について>本例のシールド
掘進機の方向制御装置は上記のような構成からなり、以
下方向制御方法について図10を用いて順次説明する。
図10には、本例の方向制御装置によってシールドジャ
ッキ作用点を求める手順のフローチャートが示されてい
る。
【0069】本例のシールド掘進機の方向制御装置は、
例えば100mmのピッチ間隔で目標点を設定する(ス
テップ「以下s」100)。すなわち、s100におい
て、先ず、ずれ量・ずれ角を位置データ検出部50(図
3参照)により計測する(s101)。次いで、それら
各計測結果のデータに基づいて、記憶部54(図3参
照)に格納された計画線情報を引き出し、目標進路演算
部52(図3参照)等により目標線を設定する(s10
2)。
【0070】次に、各種の選択を行う(s110)。す
なわち、ステップ100においては、先ず、水平方向X
及び鉛直方向Yでの各ずれ量が許容範囲内である場合
は、制御選択部55(図3参照)にて合成制御を選択す
る(s111)。合成制御を選択した場合には、s12
0を行う。また、水平方向X及び鉛直方向Yでの各ずれ
量が許容範囲内である場合は、制御選択部55にて独立
制御を選択し、s112を行う。
【0071】s112では、修正方向の選択を行う。す
なわち、修正方向選択部56(図3参照)にて水平方向
Xのずれ量又は鉛直方向Yのずれ量のうちずれ量の大き
さが大きい方の方向を選択する。例えば水平方向Xのず
れ量が鉛直方向Yのずれ量に対して大きい場合は、水平
方向用の各種フロー、すなわちs130を行い、その
後、鉛直方向用の各種フロー、すなわちs140を行
う。
【0072】逆に、鉛直方向Yのずれ量が水平方向のず
れ量に対して大きい場合は、鉛直方向用の各種フロー、
すなわちs140を行い、その後、水平方向用の各種フ
ロー、すなわちs130を行う。
【0073】s130では、選択された水平方向のずれ
量に基づき推論される図9(A)に示すシールドジャッ
キ作用点P1 に応じて選択されるシールドジャッキパタ
ーンに基づき、選択された水平方向でのずれ量を修正す
る。
【0074】すなわち、s130では、例えば100m
mのピッチ間隔で目標点を設定すると、設定された目標
点へ向けシールド掘進機1を移動させるように、水平方
向でのずれ量、ずれ角を算出する(s131)。
【0075】次いで、まず目標進路演算部52と水平方
向作用点推論部70(図3参照)は、図9(A)に示す
シールドジャッキ30の作用点P1 の水平方向の座標x
oを求めるファジー推論を行う(s132)。すなわ
ち、まず目標進路演算部52がシールド掘進機の位置ず
れ量、角ずれ量に基づき100mm先の目標点を設定
し、この目標点へシールド掘進機1を導くための水平方
向への制御量を演算し、水平方向作用点推論部70へ向
け出力する。水平方向作用点推論部70は、このように
して入力される水平方向の制御量に基づき、図9(A)
に示す、シールドジャッキ作用点P1 の水平方向のモー
メント量xoをファジー推論する。そして、各PS、Z
E等を統合化して、図8(c)に示すようなデータを作
成して、重心位置を水平方向作用点xoの値として求め
る(デファジ演算)(s133)。
【0076】これにより、水平方向のシールドジャッキ
作用点P1 (xo)が算出される(s134)。
【0077】この作用点P1 のxoの値に基づいて、水
平ジャッキパターンテーブルを検索する(s135)。
このジャッキパターンテーブル検索は水平方向ジャッキ
パターン設定部82(図3参照)にて行われ、それと同
時に水平パターンが算出される(s136)。シールド
ジャッキの作用点P1 の水平モーメントXoを求め、こ
の作用点P1 に合わせたジャッキパターンを設定する。
これにより、制御ピッチだけシールド掘進機を前進させ
ると共に(s137)、水平方向の修正がなされる(s
138)。そして、設定されたジャッキパターンに基づ
き、シールドジャッキを制御することにより、シールド
掘進機の方向制御を行う。
【0078】次いで、s140を行う。s140では、
選択された水平方向でのずれ量の修正後、選択されない
鉛直方向でずれ量がある場合に、鉛直方向を選択し、鉛
直方向のシールドジャッキ作用点P2 (yo)に応じて
選択されるシールドジャッキパターンに基づき、鉛直方
向でのずれ量を修正する。尚、s140のs141〜s
148は、s130のs131〜s138の水平方向が
鉛直方向となる点が相違するだけで、s131〜s13
8と同様の処理手順であるので、その詳細な説明を省略
する。
【0079】尚、水平方向でのずれ量の修正後、該水平
方向でさらにずれ量がある場合には、水平方向を選択
し、水平方向のシールドジャッキ作用点に応じて選択さ
れるシールドジャッキパターンに基づき、水平方向での
ずれ量を修正しても良い。
【0080】また、合成制御を選択した場合のs120
の処理は、合成されたずれ量に基づいて行う点が水平方
向のs130、鉛直方向のs140に対して異なるだけ
で、s121〜s128は、s131〜s138と同様
である。すなわち、作用点合成部90(図3参照)にて
鉛直方向及び水平方向での各シールドジャッキ作用点が
合成され、この作用点に基づいて、合成ジャッキパター
ン用の合成ジャッキパターン設定部92(図3参照)に
てジャッキパターンが選択されて、ジャッキ制御駆動部
84(図3参照)にて制御される。これにより、水平方
向及び鉛直方向での各ずれ量を合成し、その合成された
ずれ量を修正することで、各ずれ量が修正される。
【0081】以上のように本実施の形態によれば、以下
の効果を有する。
【0082】(1)水平(又は垂直)方向のずれ量を修
正し、その後垂直(又は水平)方向のずれ量を修正する
ので、水平・垂直方向の2方向以外の他の傾斜方向にシ
ールド掘進機が傾くことがないので、確実にローリング
を防止してトンネル空間のねじれを防止することができ
る。すなわち、斜め方向への姿勢制御を行う場合には、
一定の区間を区切り、まず、垂直又は水平方向のいずれ
かの制御方向を選択し、例えば垂直(又は水平)方向へ
の反力を発生させ、その方向制御を行う。次に、これと
は逆に、水平(又は垂直)方向への反力を発生させ、そ
の方向制御を行う。このように、垂直方向と水平方向へ
の方向制御を分解してそれぞれ独立に行うことで、ロー
リングを生じさせることなく正確な方向制御を行うこと
ができる。
【0083】(2)水平及び鉛直方向でのずれ量が許容
範囲内である場合は、掘削後のトンネル空間は、水平、
鉛直方向に傾く量が少ないので、水平成分と鉛直成分と
を合成する方法を採っても差し支えない。このように、
水平方向及び鉛直方向にてそれぞれ個別に制御する独立
制御と、合成制御とを兼用することで、矩形断面のよう
な特殊なトンネル空間内においても、ねじれのない状態
で方向制御を行うことができる。
【0084】(3)ずれ量の大きい方を時間的に先に選
択することで、計画線に対するずれ量を伴いながら掘削
されたトンネル空間の量、すなわち、絶えず掘進し続け
るシールド掘進機にて掘削された掘削後のトンネル空間
でのずれ、を少なくして、計画線に限りなく近い理想的
なトンネル空間を形成することができる。
【0085】尚、本発明に係る装置と方法はそのいくつ
かの特定の実施の形態に従って説明してきたが、当業者
は本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく本発明の
本文に記述した実施の形態に対して以下に示す(1)〜
(6)の種々の変形が可能である。
【0086】(1)本例では、前胴部を縦方向に2台連
結して縦長のトンネル空間を形成する場合を例に採り説
明したが、横長の矩形断面においても適用できる。この
時、図11(A)(B)に示すように、シールド掘進機
1には、前胴部が2台横列配置され、この場合、使用さ
れるシールドジャッキもそれに対応した横長矩形断面の
周方向に配設されるものを使用する。尚、ジャッキパタ
ーンは、図9(A)(B)をそのまま横型にした状態で
示してある。
【0087】(2)また、図12(A)に示す縦長3連
の前胴部を有するシールド掘進機100に対してシール
ドジャッキ102、図12(B)に示す横長3連のシー
ルド掘進機110に対してシールドジャッキ112を配
設する構成であっても良い。この場合、エレクタも縦長
あるいは横長の構成としても良い。さらに、図12
(C)に示すように、縦横各々2連の前胴部を有するシ
ールド掘進機120に対してシールドジャッキ122を
配設する構成でも良い。さらにまた、シールドジャッキ
が断面に対して周方向に沿って複数あるものに限られる
ものではなく、要は中心に対して対称位置にシールドジ
ャッキが配設される構成においても本発明方法を適用で
きる。また、シールド掘進機は、方形断面に限らず五角
形以上の多角形とすることもできる。
【0088】(3)また、第2の修正方向選択部76を
設け、X方向とY方向のモーメント作用点に基づいて、
シールドジャッキを選択する方法であっても良い。この
場合のブロック図は、図13のようになり、フローチャ
ートは、図14のようになる。
【0089】この場合、第2の修正方向選択部76は、
図13に示すように、鉛直方向作用点推論部60の出力
と水平方向作用点推論部70の出力に接続して、鉛直方
向・水平方向の各ジャッキパターン設定部80・82を
選択するように構成する。また、図14に示すように、
図10におけるs134とs135との間、s144と
s145との間に、それぞれに共通する判断ブロックs
160を設け、さらにs112に相当する判断ブロック
として新たにs150を追加する。尚、説明上の都合の
ためs140をs141〜s144までのs140−1
と、s145〜s148までのs140−2と、に分割
し、s130をs131〜s134までのs130−1
と、s135〜s138までのs130−2と、に分割
しておく。
【0090】そして、以下のような手順に従って行う。
【0091】先ず、最初に修正方向を仮にs152で`
水平´を選択すると、`水平´方向が選択されるのはこ
れが初めて(1回目)なので、s130−1を行う。そ
の後、s161の判断においても、`水平´方向での修
正は、1回目であるので、s130−2を選択し、これ
を行う。
【0092】次に、s102にもどり、s151ではN
oが選択され、s152では、どちらかが選択される。
Noの場合、s154でNoが選択され、また、Yes
の場合もs153でYesが選択され、s140−1を
行う。そして、s162はYesなので、s140−2
を行い、s102にもどる。
【0093】これで1回目が終了するが、2回目では、
s151でYesが選択され、s163を行う。ここ
で、1回目の時、s130−1、s140−1で求めら
れたモーメント作用点、すなわち、水平方向のずれ量に
基づき推論された水平方向シールドジャッキ作用点P1
大きさxoと、鉛直方向のずれ量に基づき推論された鉛
直方向シールドジャッキ作用点P2 の大きさyoと、を
比較して、第2の修正方向選択部76にて大きい方の方
向を選択する(s160)。
【0094】そして、選択された水平(鉛直)方向のシ
ールドジャッキ作用点に応じたシールドジャッキパター
ンに基づき、水平(鉛直)方向でのずれ量を修正する
(s130−2)。
【0095】そして、以下の(ア)又は(イ)のいずれ
かの工程を行う。
【0096】(ア)水平(鉛直)方向でのずれ量の修正
後、選択されない鉛直(水平)方向を選択し、鉛直(水
平)方向のシールドジャッキ作用点に応じたシールドパ
ターンに基づき、鉛直(水平)方向でのずれ量を修正す
る(s140−2)。
【0097】(イ)選択された水平(鉛直)方向でのず
れ量の修正後、再度水平方向及び鉛直方向での各ずれ量
に基づく各シールドジャッキ作用点の大きさに基づい
て、水平方向又は鉛直方向のいずれか一方の方向水平
(鉛直)を選択し、該選択された一方の方向水平(鉛
直)のシールドジャッキ作用点に応じて選択されるシー
ルドジャッキパターンに基づき、他方の方向(水平・鉛
直)でのずれ量を修正する(s130−2(s140−
2))。
【0098】上記ステップでの手法による効果として
は、一方の方向でのずれ量修正後、さらにずれが生じて
いる場合には、再度一方の方向でのずれ量を修正するこ
とができる。したがって、他方の方向で位置ずれが許容
範囲を超えない時には、有利となる。
【0099】(4)ローリング修正システム、例えばロ
ーリング修正効果の高い、中折れジャッキ、偏向ジャッ
キ、カッター回転方向、可動ソリ、スタビライザ、等を
稼動させて方向制御システム稼動後に各種ローリング修
正システムを兼用する構成としても良い。これにより、
方向制御での掘進作業項目による補正演算を省略するこ
とができる。また、ローリング修正システムを備えるこ
とで、方向修正が容易となる。
【0100】(5)本例ではファジー推論によるシール
ドジャッキ作用点を推論する場合を例にとり説明した
が、必要に応じ、これ以外の推論の手法を採用すること
もできる。
【0101】(6)本例においては、泥水加圧式のシー
ルド工法について説明したが、この例に限らず、土圧系
シールド工法、推進工法等にも適用し得るものである。
【0102】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘進機の全体構成の一例
を示す部分破断側面図である。
【図2】図1のシールド掘進機を示す図1のA−A断面
図である。
【図3】本発明に係るシールド掘進機の方向制御装置の
実施の形態の一例の概略を示すブロック図である。
【図4】計画線に対し位置ずれした状態で移動するシー
ルド掘進機の様子を示す説明図である。
【図5】図1に示すシールド掘進機のシールドジャッキ
の配列を示す説明図である。
【図6】ファジー推論の手法を用いてシールドジャッキ
作用点を演算する場合の一例を示す説明図であり、
(A)は水平方向、(B)は鉛直方向を示す。
【図7】図6に示すファジー推論において用いる制御ル
ールの説明図である。
【図8】ファジー推論の手法を用いてシールドジャッキ
作用点を演算する場合の一例を示す説明図である。
【図9】図3の方向制御装置を使用した場合のシールド
ジャッキ作用点及びシールドジャッキパターンの一例を
示す図であり、(A)は水平方向のシールドジャッキパ
ターンの一例、(B)は鉛直方向のシールドジャッキパ
ターンの一例を示す図である。
【図10】図3の方向制御装置の動作を説明するフロー
チャートである。
【図11】本発明に係る他の実施の形態の一例を示す方
向制御装置を使用した場合のシールドジャッキ作用点及
びシールドジャッキパターンの一例を示す図であり、
(A)は鉛直方向のシールドジャッキパターンの一例、
(B)は水平方向のシールドジャッキパターンの一例を
示す図である。
【図12】本発明に係るさらに他の実施の形態の一例を
示す方向制御装置を使用した場合のシールドジャッキ作
用点及びシールドジャッキパターンの一例を示す図であ
り、(A)鉛直方向に3段連結した場合、(B)は水平
方向に3段連結した場合、(C)は鉛直方向及び水平方
向にそれぞれ2段ずつ使用した場合、(D)はシールド
ジャッキを円形に配設した場合を示す。
【図13】本発明に係るシールド掘進機の方向制御装置
の他の実施の形態の一例の概略を示すブロック図であ
る。
【図14】図13の方向制御装置の動作を説明するフロ
ーチャートである。
【図15】従来の円形シールド掘進機を用いた場合の問
題点を指摘するための説明図であり、(A)は円形シー
ルド掘進機のシールドジャッキパターン、(B)は、矩
形シールド掘進機の断面を示す。
【符号の説明】
1 シールド掘進機 10 シールド掘進機本体 30 シールドジャッキ 40 カッタユニット 50 位置データ検出部 52 目標進路演算部 54 記憶部 56 修正方向選択部 60 鉛直方向作用点推論部 70 水平方向作用点推論部 80 鉛直方向ジャッキパターン設定部 82 水平方向ジャッキパターン設定部 84 ジャッキ制御駆動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 満 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 岡山 理一 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 宇佐美 彰 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 柳楽 毅 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 矩形シールド掘進機内の周方向に複数配
    設されたシールドジャッキを選択的に使用して、シール
    ド掘進機の掘進に伴い掘進方向と互いに交差する水平方
    向及び垂直方向での前記シールド掘進機の計画線に対す
    る各ずれ量を修正して、前記シールド掘進機の掘進方向
    を制御する方向制御方法であって、 前記水平方向のずれ量又は前記垂直方向のずれ量のいず
    れか一方に基づき、前記水平方向又は前記垂直方向のい
    ずれか一方の方向を選択する選択工程と、 前記水平方向又は前記垂直方向に前記シールドジャッキ
    を操作して、前記選択された一方の方向でのずれ量を修
    正する第1の修正工程と、 前記選択された一方の方向でのずれ量の修正後、選択さ
    れない他方の方向でずれ量がある場合に、該他方の方向
    を選択し、前記シールドジャッキを操作して前記他方の
    方向でのずれ量を修正する第2の修正工程と、 を含むことを特徴とするシールド掘進機の方向制御方
    法。
  2. 【請求項2】 矩形シールド掘進機内の周方向に複数配
    設されたシールドジャッキを選択的に使用して、シール
    ド掘進機の掘進に伴い掘進方向と互いに交差する水平方
    向及び垂直方向での前記シールド掘進機の計画線に対す
    る各ずれ量を修正して、前記シールド掘進機の掘進方向
    を制御する方向制御方法であって、 前記水平方向及び前記垂直方向での各ずれ量が許容範囲
    内である時に、前記水平方向及び前記垂直方向での各ず
    れ量を合成し、その合成されたずれ量を修正すること
    で、前記各ずれ量が修正される第3の修正工程を有し、 前記水平方向及び垂直方向での各ずれ量が許容値外であ
    る場合に請求項1に記載の第1、第2の修正工程を行う
    ことを特徴とするシールド掘進機の方向制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記選択工程は、前記ずれ量の大きさが大きい方の方向
    を選択することを特徴とするシールド掘進機の方向制御
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記第1又は第2の修正工程は、 前記計画線に対する各ずれ量に基づき、シールドジャッ
    キ作用点を推論する工程と、 前記シールドジャッキ作用点に応じたシールドジャッキ
    パターンを算出する工程と、 を含むことを特徴とするシールド掘進機の方向制御方
    法。
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JP2008240459A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Ihi Corp シールド掘進機
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