JPH10179167A - カタラーゼ遺伝子を導入した耐冷性イネ及びこの耐冷性イネに由来する耐冷性カタラーゼ - Google Patents

カタラーゼ遺伝子を導入した耐冷性イネ及びこの耐冷性イネに由来する耐冷性カタラーゼ

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JPH10179167A
JPH10179167A JP9086029A JP8602997A JPH10179167A JP H10179167 A JPH10179167 A JP H10179167A JP 9086029 A JP9086029 A JP 9086029A JP 8602997 A JP8602997 A JP 8602997A JP H10179167 A JPH10179167 A JP H10179167A
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐冷性に優れるカタラーゼをコードする遺伝子
を見出し、この遺伝子を用いて植物に低温耐性を付与す
る手段を提供すること、及び工業的に漂白,洗浄等に一
層使用量の増加が見込まれる過酸化水素の生理的な分解
処理の目的等に用いられるカタラーゼ、特に耐冷性に優
れたカタラーゼの上記遺伝子を用いた大量生産手段を提
供すること。 【解決手段】特にコムギ等の本来的に耐冷性に優れた生
物に由来するカタラーゼ遺伝子を組み込んだイネ等の植
物を提供すること、及びこの耐冷性を付与する植物をイ
ネとした場合の,このイネに由来するカタラーゼを提供
すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のカタラーゼ
をコードする遺伝子、この遺伝子の導入用ベクター、こ
の遺伝子を導入した植物、この植物体の製造方法、この
植物体の増殖方法、及びこの遺伝子を導入した特定の植
物(イネ)に由来する耐冷性カタラーゼに関する技術分
野に属する。
【0002】
【従来の技術】植物は、様々な環境ストレス(高低温,
強光,大気汚染物質,農薬,ウイルス等)にさらされて
いる。そして、これらの環境ストレスに対する耐性が向
上した有用植物、特に穀物植物を作出してこれらの穀物
の生産効率を向上させることは、そう遠くない将来の人
口爆発に伴って起こるであろう深刻な食料危機を考慮す
ると、人類の存亡にもかかわり得るほどの重要事項であ
る。そこで、近年は、遺伝子組換え技術を積極的に活用
して、様々な外来遺伝子を植物に導入することにより、
その植物の優良品種の作出を目的とした品種改良の試み
がなされている。
【0003】例えば、大気汚染物質耐性(Plant Cell Ph
ysiol.,34,129-135,1993) 、乾燥耐性(Science,259,508
-510,1993)、低温耐性(Nature,356,710-703,1992;Plan
t Physiol.,105,601-605,1994)、ウイルス耐性(R.N.Bea
chy,"Viral Gene and PlantPathogenesis" ed. by Pirn
e, J.G.Shaw, p13(1990)Springer-Verlag) 、農薬耐性
(E.Oxtoby,M.A.Hughes, Trends Biotechnol., 8:61(199
0)) 等を遺伝子組換え技術により付与された植物が作出
されている。
【0004】我々は、上記のような技術的背景のもと
で、イネの低温耐性についてのメカニズムについて検討
を重ねた結果、イネの低温発芽能及び幼苗低温ストレス
耐性にカタラーゼが関与していることを、既に明らかに
している(Plant Science,109,105-113,1995 ;Plant Br
eeding,46,23-27,1996) 。
【0005】カタラーゼは、スーパーオキサイドディス
ムターゼやアスコルビン酸ペルオキシダーゼ等と共に、
呼吸,光合成,環境ストレス等を通じて発生し、タンパ
ク質,膜構造,核酸等を過度に酸化して、細胞に致命的
な損傷を与える「活性酸素」と呼ばれるスーパーオキサ
イドラディカル(O2 - )や過酸化水素(H22 )やハ
イドロキシラディカル(OH-)を除去して、これらの
過酸化物質による損傷から細胞を守る働きを有する生体
にとって非常に重要な酵素である(Advance in Genetic
s,28,1-41,1990 ;Ann.Rev.Plant Physiol.Mol.,Biol.,
43,83-116,1992)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、耐冷性に優れるカタラーゼをコードする遺伝子を見
出し、この遺伝子を用いて植物に低温耐性を付与する手
段を提供することにある。
【0007】また、工業的に漂白,洗浄等に一層使用量
の増加が見込まれる過酸化水素の生理的な分解処理の目
的等に用いられるカタラーゼ、殊に耐冷性に優れたカタ
ラーゼの上記遺伝子を用いた大量生産手段を提供するこ
とをもその課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題につ
いて鋭意検討を重ねた結果、コムギ等の本来的に耐冷性
に優れた植物に由来するカタラーゼ遺伝子を用いて、植
物に低温ストレスに対して優れた耐性を付与する手段を
提供することが可能であることを見出した。
【0009】また驚くべきことに、この耐冷性植物がイ
ネである場合、この耐冷性イネに由来するカタラーゼ
は、非常な低温下においても他のカタラーゼに比べて格
段に強い酵素活性を有することを見出した。すなわち、
本発明者は、本願において以下の発明を提供する。
【0010】請求項1において、配列番号6で表される
アミノ酸配列を含むカタラーゼを提供する。
【0011】請求項2において、配列番号6で表される
アミノ酸配列をコードする塩基配列を含むカタラーゼ遺
伝子を提供する。
【0012】請求項3において、配列番号5で表される
塩基配列を含むカタラーゼ遺伝子を提供する。
【0013】請求項4において、配列番号5で表される
塩基配列の一部の塩基を置換してなる塩基配列を含むカ
タラーゼ遺伝子を提供する。
【0014】請求項5において、耐冷性に優れた生物の
カタラーゼ遺伝子を含んでなる、カタラーゼ遺伝子の植
物導入用ベクターを提供する。
【0015】請求項6において、前記請求項2乃至請求
項4のいずれかの請求項記載のカタラーゼ遺伝子を含ん
でなる、カタラーゼ遺伝子の植物導入用ベクターを提供
する。
【0016】請求項7において、耐冷性に優れた生物の
カタラーゼ遺伝子を自己の遺伝子中に組み込んでなるイ
ネの植物体細胞を提供する。
【0017】請求項8において、前記請求項2乃至請求
項4のいずれかの請求項記載のカタラーゼ遺伝子を自己
の遺伝子中に組み込んでなるイネの植物体細胞を提供す
る。
【0018】請求項9において、耐冷性に優れた生物の
カタラーゼ遺伝子を自己の遺伝子中に組み込んでなるイ
ネ植物体を提供する。
【0019】請求項10において、前記請求項2乃至請
求項4のいずれかの請求項記載のカタラーゼ遺伝子を自
己の遺伝子中に組み込んでなるイネ植物体を提供する。
【0020】請求項11において、前記請求項7又は請
求項8記載のイネの植物体細胞から幼植物体を再分化さ
せて、これを馴化することを特徴とするイネ植物体の製
造方法を提供する。
【0021】請求項12において、前記請求項8又は請
求項10記載のイネ植物体を自家交配することを特徴と
するイネ植物体の増殖方法を提供する。
【0022】請求項13において、前記請求項2乃至請
求項4のいずれかの請求項記載のカタラーゼ遺伝子を自
己の遺伝子中に組み込んでなるイネの植物体細胞又はイ
ネ植物体から単離精製して得られる耐冷性カタラーゼを
提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 A.本発明は、特定のカタラーゼ遺伝子(以下、本発明
カタラーゼ遺伝子ともいう。)に関する。 本発明カタラーゼ遺伝子は、これを植物に導入して、こ
の植物を形質転換することにより、特に耐冷性に優れる
植物を作出するための遺伝子である。この遺伝子の起源
となる生物は特に限定されないが、低温に対して耐性を
有する植物であることが好ましい。
【0024】このような条件を満たす生物の代表的なも
のとして、植物としてはイネ科に属する植物のうち、耐
冷性に優れた植物;好冷性微生物に属する細菌,酵母,
カビ;動物では北極海や南氷洋に生息する魚等の耐冷性
に優れた動物等を挙げることができる。具体的には、例
えばイネ科植物ではイネ(水稲,陸稲)、野生イネ、コ
ムギ、ライムギ、オオムギ、エンバク、シバ、トウモロ
コシ等を;細菌としては、シュードモナス属,ビブリオ
属,サイトファーガ属,フラボバクテリウム属,アクロ
モバクター属,ミクロコッカス属等を;酵母としては、
キャンディダ属等を;カビとしては、アスペルギルス
属,ペニシリウム属等を;魚類では、ノトセニア魚類等
の中において耐冷性に優れた生物を挙げることができ
る。
【0025】なおこれらの生物の中で、コムギ(品種は
問わない)は本発明カタラーゼ遺伝子の起源生物として
は好ましい特徴を有している。すなわち、コムギは一般
に5℃の低温下でも発芽可能であり、幼苗が雪の下でも
越冬可能な耐冷性に優れる植物である。そして、本発明
者らは、この事実に着目してコムギカタラーゼの耐冷性
について検討したところ、イネのカタラーゼと比べると
コムギのカタラーゼ自体が耐冷性に優れることを見出し
た(後述する実施例を参照のこと)。
【0026】本発明カタラーゼ遺伝子のクローニング
は、通常公知の方法により行うことができる。例えば、
本発明カタラーゼ遺伝子の出所となる生物のmRNAを
分離し、このmRNAを鋳型として、逆転写酵素を用い
てcDNAを合成し、このcDNAを基にして本発明カ
タラーゼ遺伝子をクローニングすることができる。
【0027】mRNAの分離は、通常公知の方法により
行うことができる。すなわち、先ず本発明カタラーゼ遺
伝子の出所となる生物の細胞を分離して、この細胞から
全RNAを抽出する。この全RNAの抽出は、例えばフ
ェノール抽出,グアニジン・ホットフェノール法等の通
常公知の方法により行うことができる。次いで、この全
RNAから、mRNAのみを分離する。この分離法とし
ては、オリゴdTセルロースを用いてpolyA+ RN
Aとして所望のmRNAを分離する方法が代表的な方法
である。
【0028】cDNAの合成も、通常公知の方法を用い
て行うことができる。すなわち、得られたmRNAを鋳
型とし、オリゴdT又はランダムプライマーをプライマ
ーとして、逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、さら
にds化等の過程を経て所望するcDNAを調製するこ
とができる。
【0029】次に、このcDNAの断片群を調製して、
これを増幅用のベクターに組み込み、さらにこれを適切
な宿主中で増幅させて、本発明カタラーゼ遺伝子の出所
となる生物のcDNAの遺伝子ライブラリーを調製する
ことができる。なお、この増殖用のベクターにcDNA
断片が組み込まれたか否かは、このベクターが保有する
薬剤耐性マーカー等によって確認することができる。
【0030】増幅用のベクターとしては、特に限定され
ず、例えばpUC8,pUC9,pUC118,pUC
119,pBR322,pBR325,pBluescript I
I ,pBluescript SK ,λgt10,λgt11,λZapII 等の
通常クローニングに用いられる公知の増幅用ベクターを
用いることができる。
【0031】これらの増幅用ベクターは、通常公知の方
法により作出することも可能であるが、市販品を用いる
ことも勿論可能である。なお、上記で合成したcDNA
に、カタラーゼ遺伝子に関連する塩基配列のDNAプラ
イマーを用いて、PCR(Polymerase chain reaction)
法を施すことにより、カタラーゼ遺伝子の塩基配列に関
連するcDNAの断片群を増幅して、これをクローニン
グすることも可能である。
【0032】上記の遺伝子ライブラリーの調製は、市販
のキットにより簡便に行うことも可能(PCR法用のキ
ットも含む)である。また、生物の種類によっては、市
販の遺伝子ライブラリーを用いて、そのまま以下に記載
するクローンのスクリーニングを行うこともできる。
【0033】所望するクローンのスクリーニングは、上
記のごとくして得た本発明カタラーゼ遺伝子の出所とな
る生物の遺伝子ライブラリーから、所望するカタラーゼ
遺伝子を含むクローンを選別することにより行われる。
このスクリーニング方法としても、上記の遺伝子ライブ
ラリーの形態に応じた通常公知の方法を用いることがで
きる。例えば、プラークハイブリダイゼーション法は、
上記の遺伝子ライブラリーがファージ系の遺伝子ライブ
ラリーである場合に有効なスクリーニング法である。す
なわち、生じたプラークをナイロン膜、ニトロセルロー
スフィルター等の薄膜上に写しとり,その薄膜上で標識
したカタラーゼ遺伝子のプローブと接触させ,標識され
た部分に相当するプラークを選択して、この選択したプ
ラーク中のファージを増幅させて,所望のカタラーゼ遺
伝子をクローニングすることができる。
【0034】上記のカタラーゼ遺伝子のプローブとして
用いるDNA断片は、少なくとも所望のカタラーゼ遺伝
子の塩基配列の一部を含むことが必要である。このよう
な配列を有するプローブは、例えば既知のカタラーゼ遺
伝子同士で共通する部分の配列を化学合成したDNA断
片や;本発明カタラーゼ遺伝子の出所となる植物のgeno
mic DNAを細胞核部分から抽出して、このgenomic D
NAを鋳型とし、既知のカタラーゼ遺伝子同士で共通す
る部分の配列を化学合成したDNA断片をプライマーと
した、前出のPCR法により得られるDNA断片を用い
ることができる。
【0035】このようにして得られたクローンから、マ
キサム−ギルバート(Maxam-Gilbert )法(Maxam, A.,
and Gilbert, W.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74:560(197
7) ),ゲノミック・シークエンス法(Church, G.M.,Gi
lbert,W.:Genomic sequencing. Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,81:1991-1995(1984) ),マルチプレックス法(Churc
h, G.M.,Science, 240:185-188(1988) ),サイクルシ
ークエンス法(Nature,321,674(1986)) ,サンガー(Sa
nger)法(F.Sanger, S. Nicklen, A.R.Coulson,Proc.
Natl. Acad. Sci. USA,74,5463(1977))等の方法を用い
て、所望するカタラーゼ遺伝子の塩基配列を決定するこ
とができる。なお、これらの原理を応用した塩基配列自
動解析装置〔例えばABI PRISMTM 310 Genetic Analyzer
,ABI Model 373A(両者共、パーキンエルマー(PERKI
N ELMER)社製)、ALF DNA sequencer II(ファルマシ
ア(Pharmacia)社製)等〕を用いて塩基配列を決定する
ことも勿論可能である。
【0036】上記のごとく決定された本発明カタラーゼ
遺伝子の塩基配列を基にして、本発明カタラーゼ遺伝子
そのものを入手することができる。すなわち、上記と同
様に調製した本発明カタラーゼ遺伝子の出所となる生物
のcDNAを鋳型とし、上記のごとく決定されたカタラ
ーゼ遺伝子の塩基配列の5’末端側と3’末端側の配列
を含むDNA断片をプライマーとした前出のPCR法に
より、本発明カタラーゼ遺伝子を大量に増幅させて入手
することができる。
【0037】また、上記のプライマーをプローブとし
て、作出したcDNAの遺伝子ライブラリーから本発明
カタラーゼ遺伝子を有するクローンを選別して、本発明
カタラーゼ遺伝子を入手する伝統的な方法を用いること
も勿論可能である。
【0038】なお、いわゆる部位特異的突然変異法等の
通常公知の遺伝子の塩基配列の変更手段を講ずること
で、前記の工程により調製した本発明カタラーゼ遺伝子
の塩基配列の一部を改変して、その遺伝子がコードする
アミノ酸配列を変更することも可能である。このような
カタラーゼ遺伝子の塩基配列又はそれがコードするアミ
ノ酸配列の一部を人為的に変更した遺伝子若しくはアミ
ノ酸配列に基づくカタラーゼ遺伝子又はカタラーゼが、
本発明の技術的範囲に含まれることを本発明者は認識す
る。
【0039】B.植物への上記カタラーゼ遺伝子の導入
用ベクター 本発明は、本発明カタラーゼ遺伝子をイネ属に属する植
物に導入して、この植物を形質転換して耐冷性等を有す
るイネ属に属する植物を作出することを主な目的の一つ
とする。
【0040】そして、本発明カタラーゼ遺伝子をイネ属
に属する植物に導入する前提として、優れた本発明カタ
ラーゼ遺伝子の導入効率を有する遺伝子導入用ベクター
(以下、本発明導入用ベクターともいう)を作出するこ
とが必要である。
【0041】本発明導入用ベクターは、本発明カタラー
ゼ遺伝子の他に、例えばCaMVの35Sプロモータ
ー,イネツングロウイルスプロモーター,イネアクチン
プロモーター,イネワキシープロモーター等のプロモー
ター;例えばトウモロコシのAc/Ds系トランスポゾ
ン等のAc/Ds系トランスポゾン等の遺伝子発現調節
機構;例えばノパリンターミネーター,35Sターミネ
ーター等のターミネーター等を含み得るものである。そ
の具体的な態様は、後述する実施例において記載する。
【0042】C.本発明カタラーゼ遺伝子の植物への導
入 上記のように調製したカタラーゼ遺伝子の導入用ベクタ
ーを植物に導入する。具体的には、遺伝子導入可能な状
態にした植物の植物体細胞に、本発明カタラーゼ遺伝子
導入用ベクターを用いて本発明カタラーゼ遺伝子を導入
する。
【0043】先ず、本発明カタラーゼ遺伝子を導入する
対象となる植物は特に限定されず、例えばイネ科植物で
は、前出のイネ(水稲,陸稲),イタリアンライグラ
ス,ソルガム等を;マメ科植物では、アカクローバー,
シロクローバー,アズキ,ダイズ等を広く例示すること
ができる。なお、本発明カタラーゼ遺伝子を導入する目
的が、専ら植物の耐冷性を向上させることにある場合
は、元来耐冷性に乏しく、かつ実際に穀物植物として食
用に供されているイネが、本発明カタラーゼ遺伝子を導
入する格好の対象植物である。
【0044】遺伝子導入可能な状態にした植物の植物体
細胞は、通常は細胞壁を除去したプロトプラストとして
の形態をとる。このプロトプラストの調製は、通常公知
の方法を用いて行うことができる。すなわち、懸濁培養
細胞にセルラーゼ処理等の細胞壁除去手段を施してその
細胞の細胞壁を除去することにより所望するプロトプラ
ストを調製することができる。
【0045】このようにして調製したプロトプラスト
に、上記の本発明カタラーゼ遺伝子導入用ベクターを導
入する。この導入法としては、例えばエレクトロポレー
ション法、すなわち本発明カタラーゼ遺伝子導入用ベク
ターを含む高抵抗の電解質液に、プロトプラストを懸濁
し、細胞膜に高電圧をかけ一時的に穴を空けて、このベ
クターを取り込ませる技術を挙げることができる(K.To
riyama et al.,Bio/Technology,6,1072(1988) 等)。ま
た、ポリエチレングリコールによって単子葉植物に遺伝
子を挿入する方法(W.Zhang and R.Wu. Theor.Appl.Gen
et.,76,835-840(1988)) によっても本発明カタラーゼ導
入用遺伝子をプロトプラストに導入することもできる。
【0046】さらに、プロトプラストを用いないカタラ
ーゼ遺伝子導入法として、例えば超微粒子金属に載せた
本発明カタラーゼ遺伝子導入用ベクターを組織内に撃ち
込む、パーティクルガンを用いた方法(W.J.Gordon-kam
m et al.,Plant Cell,2,603(1990) 等);花粉管からの
本発明カタラーゼ遺伝子導入用ベクターの導入法(X.-
L.Zhong et al.,Plant Mol.Biol.Rep.,6,165(1988));
組織又は胚を本発明カタラーゼ遺伝子導入用ベクターの
溶液に浸す方法(R.Topfer et al.,Plant Cell,1,133(1
989)) ;アグロバクテリウムによって、単子葉植物に遺
伝子を導入する方法(Yukoh Hiei et al.,The Plant Jo
urnal,6(2),271-282(1994)) 等を挙げることができる。
【0047】このように本発明カタラーゼ遺伝子の導入
操作を行った植物細胞群において、本発明カタラーゼ遺
伝子が組み込まれた植物細胞の選抜は、例えば個々の植
物細胞のDNAの電気泳動の染色パターンを検討する方
法を代表的な手段として挙げることができる。なお、こ
の際、適切なマーカーを含んだベクターを同時に植物細
胞群に対して導入操作を行い、このマーカー用ベクター
が導入された植物細胞群をまず選抜して、本発明カタラ
ーゼ遺伝子が導入された植物細胞の存在確率を高める等
の補助的な手段を講ずることが好ましい。このようなマ
ーカー遺伝子としては、ハイグロマイシン耐性遺伝子,
除草剤バスタ耐性遺伝子(Bar遺伝子)等を挙げるこ
とができる。
【0048】D.本発明カタラーゼ遺伝子を導入した植
物の植物体の再分化方法及び増殖方法 上記のように、調製した本発明カタラーゼ遺伝子を導入
したプロトプラストから再分化させ、本発明カタラーゼ
遺伝子を導入した植物の植物体(以下、本発明遺伝子導
入植物ともいう)を作出する。
【0049】例えば、前記の本発明カタラーゼ遺伝子を
導入したプロトプラストからカルスを誘導し、このカル
スからイネの幼植物体を再分化させて、さらにこの幼植
物体を鉢上げ、馴化して所望する植物体を得ることがで
きる。
【0050】このカルスの誘導工程において、例えば再
生能が高くかつ分裂能の旺盛な懸濁培養細胞からプロト
プラストを分離し、培養する方法(Y.Yamada et al.,Ri
ce Genetics Newsletter, Vol.2, p.94 (1985)等);ア
ガロースビーズ法とナース培養法とを組み合わせた方法
(J.Kyozuka et al.,Mol.Gen.Genet.,206,408(1987))等
の方法を利用することができるが、これらに限定される
ものではない。
【0051】また、カルスから幼植物体の再分化は、例
えば2,4−D、カイネチン、インドール酢酸、ゼアチ
ン等の植物成長調整ホルモンを含んだ再分化用培地でカ
ルスを培養すること等により行うことができる。
【0052】そして、幼植物体が得られた時点で、この
幼植物体を馴化用培土等に鉢上げして馴化すること等に
より、所望するイネの植物体を得ることができる。
【0053】なお、本発明において、植物体とは、植物
の根,茎,葉,花,実(種籾)を総称するものである。
従って、本発明遺伝子導入植物の技術的範囲は、本発明
カタラーゼ遺伝子を導入して作出した種苗のみならず、
その収穫物にも及ぶものである。
【0054】また、植物体細胞とは、プロトプラスト及
びカルスの両者を含むものである。従って、本発明遺伝
子を導入して得た植物体細胞(以下、本発明遺伝子導入
細胞ともいう。)の技術的範囲には、その植物のプロト
プラスト及びカルスの両者を含むものである。
【0055】本発明遺伝子導入植物がイネの場合は、他
のイネ科の植物と同様に自家受粉によってF1 植物を作
出することが可能であり、本発明遺伝子導入植物の特徴
は、安定して後代に遺伝する。また、同じ範疇の他のイ
ネ科植物とかけ合わせる交配親として用いて、新たな品
種を作出するために本発明遺伝子導入植物を用いること
ができる。
【0056】このようにして作出、増殖させた本発明遺
伝子導入植物は、元来その植物が有しているカタラーゼ
の他に、新たに組み込んだ本発明カタラーゼが相乗的に
生産され、さらに本発明遺伝子導入植物がイネの場合
は、従来のイネと比べて耐冷性に優れたイネが提供され
る。なお、ここまで述べた一連の本発明遺伝子導入植物
作出工程等については、後述する実施例において具体的
に説明する。
【0057】E.本発明カタラーゼの製造 前述のように、本発明遺伝子導入植物(本発明遺伝子導
入植物細胞を含む)は、カタラーゼの生産能が相乗的に
向上していることが明らかになっている。本発明は、本
発明遺伝子導入植物を原材料とした、産業上非常に有用
なカタラーゼ(以下、本発明カタラーゼともいう。)の
製造方法をも含むものである。
【0058】本発明カタラーゼは、本発明カタラーゼ遺
伝子導入植物の本発明遺伝子を発現している部位であれ
ば、根,茎,葉,カルス等どこの部分でも、その原料と
して用いることができる。なお、植物体に由来するカル
ス(植物培養細胞)は、通年タンク内で培養できること
から、本発明カタラーゼの製造原料としては特に好まし
い素材である。
【0059】これらの原料から、本発明カタラーゼは通
常公知の方法により製造することができる。例えば、こ
れらの原料を適当な緩衝液と共に磨碎等することによ
り、本発明カタラーゼの粗抽出液を得ることができる。
例えば、これらの原料を0.1M トリス塩酸緩衝液(pH
8.0) 中で氷冷しながら乳鉢又はポリトロン(キネマテ
ィカ社製)等の磨砕機で破砕し、この破砕液を遠心分離
〔遠心条件は、例えば(4℃,15000 ×g,20分)程
度の条件で行うのがこのましい〕して遠心上清液を得
て、粗酵素液とすることができる。また、凍結したこれ
らの原料を液体窒素等と共に磨碎して粉末状とし、これ
を冷却したアセトン等の溶媒で抽出し、リン酸カリウム
緩衝液(pH7.0) 等に再懸濁し、その再懸濁液に遠心分離
を施した上清を粗酵素液とすることも可能である。次い
で、この粗酵素液に硫酸アンモニウム等のタンパク質沈
澱剤を加え、目的とするカタラーゼを粗酵素の沈澱物と
して得ることができる。
【0060】カタラーゼの用途によっては、この粗酵素
の段階でも目的を達成することができるが、さらに純度
の高い本発明カタラーゼを所望する場合には、透析,限
外濾過,分子篩クロマトグラフィー,イオンクロマトグ
ラフィー,アフィニテイ ークロマトグラフィー,電気泳
動又はこれらの手段を組み合わせて用いることができ
る。
【0061】例えば、得られた粗酵素の沈澱物を、適当
な緩衝液(例えば、上記のリン酸カリウム緩衝液(pH7.
0) 中に溶解して、これと同様の緩衝液中で1昼夜から
数日程度の透析を行い、透析後、得られた酵素液に遠心
分離を施して不溶物を除去する。次に、例えば得られた
上清液に陰イオン交換クロマトグラフィーを施すこと
で、より一層の精製を行うことができる。このクロマト
グラフィーの担体としては、例えばDEAE-Sepharose CL-
6B(Pharmacia 社製) ,DE-52 Cellulose(Whatman社製)
等を用いることができる。このクロマトグラフィーを
施すことにより得られた本発明カタラーゼの活性画分に
つき、先の硫安分画と陰イオンクロマトグラフィーを繰
り返し施すことが有効な精製手段の一つである。そし
て、さらに例えば、Sepharose 6B(Pharmacia社製) を用
いたゲル濾過を組み合わせることによって本発明カタラ
ーゼの比活性の向上を図ることができる。本発明カタラ
ーゼの活性やタンパク量の測定手段は、後述の実施例に
おいて説明する。
【0062】驚くべきことに、本発明の遺伝子導入イネ
に由来するカタラーゼは、本来のイネカタラーゼより
も、耐冷性において格段に優れるカタラーゼである(以
下、本発明耐冷性カタラーゼともいう。)。具体的に
は、5℃という低温においても、工業的な使用が十分可
能である程のカタラーゼ活性を有する耐冷性カタラーゼ
が提供される。
【0063】これは異種のカタラーゼの組み合わせによ
って、カタラーゼの異種複合体が形成されることによ
り、耐冷性が現れるものと推測される。この耐冷性カタ
ラーゼは、例えばカズノコの漂白剤として用いられてい
る過酸化水素の除去剤として非常に有望なカタラーゼで
ある。すなわち、カタラーゼの酵素活性を確保するため
に系の温度を上昇させる必要が殆どなく、カズノコの品
質管理上非常に有用である。驚くべきことに、本発明遺
伝子を導入したイネにおいては、本来のイネのカタラー
ゼ量の約5倍ものカタラーゼが、イネの体内で生産され
ることが明らかになった。
【0064】なお、配列番号6(第1図及び第2図参
照)で表される本発明カタラーゼは、例えば上記の本発
明カタラーゼの活性画分の中から、相当する画分を選別
することにより製造することができる。
【0065】
【実施例】以下、実施例により、本発明をより具体的に
説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの実施例によ
り限定されるべきものではない。
【0066】A.コムギカタラーゼ遺伝子の取得 1.プローブの調製 9cmシャーレの中に水で湿らせた濾紙をひき、その上に
コムギ(チホクコムギ)の種子を置床し、室温で発芽さ
せた。発芽7日目の葉を採取し、乳鉢で液体窒素中で磨
砕した。これによりパウダー状になったコムギの葉から
CTAB法(Murray, M.G. and Thompson, W.F.[Nuclei
c Acids Res.8,4321-4325(1980)]) によりコムギgenomi
c DNAを抽出した。
【0067】このgenomic DNAを鋳型として、既に報
告されているカタラーゼ遺伝子のアミノ酸配列をもとに
作成したプライマー(既知のイネ,マメ及びトウモロコ
シのカタラーゼ遺伝子の塩基配列同士で共通して高度に
保存されている配列を基にして作成した。配列番号1:
5’−ACCTAAGCTTCCTCTTCGACGA
CGTCGGC−3’;配列番号2:5’−GTTCT
AGAACACCCTGCACTGCAGCATCT−
3’)を用いて、PCR法によって増幅した(熱サイク
ル25回)。次に、その増幅DNAの塩基配列をサイク
ルシークエンス法により決定し、イネカタラーゼcDN
Aの塩基配列との高い相同性から、コムギカタラーゼD
NAの一部であることを確認した。さらに、その塩基配
列を基にしてプライマー(配列番号3:5’−TGAA
TTCGTCGGAGTAGTAGATCCCCG−
3’;配列番号4:5’−CCGAATTCCGCCA
CATGGACGGCTTC−3’)を製造し、上記と
同じくPCR法によって、428塩基のDNAプローブ
を調製した。
【0068】このDNAプローブの標識は、ランダムプ
ライム標識システム(ベーリンガーマンハイム社製)に
よって、ジゴキシゲニン標識デオキシウリジン三リン酸
(DIG−dUTP)で標識して使用した。
【0069】2.cDNAライブラリーのスクリーニン
グ 大腸菌C600−Hfl株(ストラテジーン社製)に、
コムギcDNA遺伝子ライブラリー(クローンテク社
製:Triticum aestivum L. variety : Tam 107 Hard Re
d Winter : lambda gt10 phage Cat.#FL1092a )のラ
ムダファージを感染、増殖させ、溶菌プラークが直径約
1mmになるまで生育させた。これらのプラークから、ナ
イロン膜(ベーンガーマンハイム社製:positively cha
rged nylonmembrane )にプラーク中のDNAを転写し
た後、上記1.で調製した標識DNAプローブを用い
て、コムギカタラーゼ遺伝子を有するクローンをスクリ
ーニングした結果、計12個のクローンを得た。これら
のクローンから、カタラーゼcDNA部分をEcoRI で切
出し、pUC118ベクター(タカラ社製)にサブクロ
ーニングを行った。このうち、最長のcDNA断片を有
するクローン(p6-22 )を選び、DNAの塩基配列の決
定に用いた。
【0070】3.コムギカタラーゼcDNAの塩基配列
の解析 クローンp6−22のプラスミドDNAをダイプライマ
ーサイクルシーケンシング法(Nature 321,674.1986
)、並びにジデオキシヌクレオチド法(MessingJ.,Met
hod in Enzymology,101,20-78.1983)に従って決定した
塩基配列を配列番号5(第1図及び第2図参照)に示
す。クローンp6−22が有するコムギカタラーゼcD
NAの断片は、全長1573塩基からなり、5’末端に
22塩基,3’末端に75塩基よりなる非転写部位を有
し、492個のアミノ酸からなるポリペプチドをコード
する1476塩基の読み取り可能枠から構成されている
ことが判明した(アミノ酸配列:配列番号6;第1図及
び第2図参照)。
【0071】4.本発明カタラーゼ遺伝子導入用ベクタ
ーの作出 上記3.において得られたプラスミドp6−22から、
EcoRI でカタラーゼ(以下、CATともいう。)遺伝子
を切出し、クレノウフラグメント(Takara社製)で平滑
末端にした断片をカリフラワーモザイクウイルス35S
プロモーター(以下、35Sともいう。)、β−グルク
ロニダーゼ遺伝子(以下、GUSともいう)及びノパリ
ンターミネーター(以下、nosともいう。)を有する
プラスミドpBI221(クローンテック社製)をSmaI
で切断した部位にクローニングした。こうして得られた
プラスミドをSacIで切断し、GUS遺伝子とCAT遺伝
子の大部分を除去した。このプラスミドのSacI切断部位
に、新たにp6−22からSacIで切り出したCAT遺伝
子を挿入し、そのCAT遺伝子を発現するプラスミドp
TNCAT39を作出した(以上の組換えプラスミドp
TNCAT39の作出工程を第3図に示す。)。
【0072】なお、この組換えプラスミドpTNCAT
39は、大腸菌(Escherichia coliJM109) に組み込ま
れ、「Escherichia coli JM109/pTNCAT39 」として工業
技術院生命工学研究所に寄託されている(受託番号:F
ERM P−15505)。
【0073】5.ハイグロマイシン耐性遺伝子導入ベク
ターの作出 ハイグロマイシン耐性遺伝子は、既に報告されている塩
基配列(Gritz,L. andDavies,J Gene vol.25, 179-188
(1983))を基にして作成したプライマー(配列番号7:
5'-GACCCGGGGAGATGACGTTGGAG
GGGC-3' 及び配列番号8:5'-TAGAGCTC
GCGGCGATCTCCAATCTGCGG-3' を
用いて、プラスミドDNApHph(ベーリンガー社
製)を鋳型として用いてPCR法でハイグロマイシン耐
性遺伝子を増幅させた。
【0074】次いで、プラスミドpBI221(クロー
ンテック社製)から、Sma I とSacI で切り出したプラ
スミドpBI221が保有するGUS遺伝子の代わり
に、上記の増幅したハイグロマイシン耐性遺伝子断片を
挿入し、これをハイグロマイシン耐性遺伝子導入用ベク
ターp35S-HPT-Nosとした。この組換えプラス
ミドp35S-HPT-Nosの作出工程を第4図に示
す。
【0075】B.コムギカタラーゼ遺伝子のイネへの導
入と発現 1.イネプロトプラストの単離 イネプロトプラストは、懸濁培養細胞から単離した。す
なわち、イネの種子を70%エタノールに30秒浸漬
し、次いで1%次亜塩素酸ナトリウム溶液に30分間浸
漬して滅菌した後に、滅菌水で3回種子を洗浄し、2pp
m の2,4−ジクロロフェノキシ酢酸を含むMS培地
(I.Major Elements:KNO3(1900.0mg/L),NH4・NO3(1650.
0mg/L),MgSO4・7H2O(370.0mg/L),CaCl2・2H2O(440.0mg/
L),KH2PO4(170.0mg/L) 、II.Minor Elements:MnSO4 ・4
H2O(22.3mg/L),H3BO3(6.2mg/L),ZnSO4・7H2O(8.6mg/L),
KI(0.83 mg/L),Na2MoO4・2H2O(0.25mg/L),CoCl2・6H2O
(0.025mg/L),CuSO4・5H2O(0.025mg/L) 、III.Fe,ETA:Na
2EDTA(37.3mg/L),FeSO4・7H2O(27.8mg/L)、IV.Vitamin
s:Myo-inositol(100.0mg/L),Thiamin・HCl(0.1mg/L),Py
ridoxine・HCl(0.5mg/L),Nicotinic acid(0.5mg/L),Gly
cine(2.0mg/L),Sucrose(30g/ml),Agar(9g/ml)[pH5.8〜
6.0]:Physiol, Plant, 15:473(1962))上に置床して培
養し、胚盤からカルスを誘導した。カルスをR2溶液培
地(I.Major Elements:KNO3(4040.0mg/L),NH4・NO3(33
0.0mg/L),NaH2PO4(240.0mg/L),MgSO4・7H2O(247.0mg/
L),CaCl2(147.0mg/L)、II.Minor Elements:MnSO4・4H2O
(Mn0.5ppm),H3BO3(B 0.5ppm),ZnSO4・7H2O(Zn 0.5ppm),
Na2MoO4・2H2O(Mo 0.05ppm),0.25mg/L),CuSO4・5H2O(Cu
0.05ppm)、III.Fe,ETA:Na2EDTA(7.46mg/L),FeSO4・7H2
O(5.56mg/L)、IV.Vitamins:Myo-inositol(100.0mg/L),T
hiamin・HCl(0.1mg/L),Pyridoxine・HCl(0.5mg/L),Nico
tinic acid(0.5mg/L),Glycine(2.0mg/L),Sucrose(30g/m
l),2・4-D(1 mg/L)[pH5.8〜6.0]:Mol.Gen.Genet. 206,
408(1987))に植え直し、懸濁培養細胞を調製した。R
2溶液培地で継代を2〜3ヵ月行い、増殖することを確
認した培養細胞から、プロトプラストを単離した。この
単離したプロトプラストを4%セルラーゼオノズカRS
(ヤクルト本社製),マセロザイムR−10(ヤクルト
本社製),0.4M マンニトール,25mM MES(pH
5.6)中に懸濁し、室温で3時間静置した。この懸濁液を
20μm のナイロンメッシュで濾過し、プロトプラスト
を分離精製した。次に遠心分離(100 ×g,5分間)に
よってプロトプラストを集め、ASP緩衝液(L-Aspara
tic acid monopotassium salt(11.98g/l),Calcium gluc
onate monohydrate(2.24g/l),MES(1.07g/l),Mannitol(7
2.868g/l):Theor.Appl. Genet. 80,475(1990))に懸濁し
た。遠心分離(100 ×g,3分間)で懸濁したプロトプ
ラストを集め、再度ASP緩衝液に懸濁した。この操作
を再度繰り返した後、プロトプラスト数を計数し、以下
の実施例に供した。
【0076】2.エレクトロポレーション法による遺伝
子導入 エレクトロポレーションは、抗生物質ハイグロマイシン
を分解する酵素をコードする遺伝子を本発明カタラーゼ
遺伝子と同時に導入することで、ハイグロマイシン耐性
を形質転換細胞の選抜指標として用いた。20μg/mlの
前記pTNCAT39と前記p35S-HPT-NOS、
キャリアーとして50μg/ml子牛由来のDNAを含むA
SP緩衝液にプロトプラストを4×106 個/ ml濃度と
なるように懸濁した。この懸濁液0.8mlをプラスチッ
クセルに移し、氷中で10分間冷却後、660μF ,4
50V ,30msecの電荷をかけた。氷中で10分間冷却
後、遠心分離(100 ×g,3分間)によってプロトプラ
ストを集め、R2プロトプラスト液体培地(I.Major El
ements:KNO3(4040.0mg/L),NH4・NO3(330.0mg/L),NaH2PO
4(240.0mg/L),MgSO4・7H2O(247.0mg/L),CaCl2(147.0mg/
L)、II.Minor Elements:MnSO4・4H2O(Mn 0.5ppm),H3BO3
(B 0.5ppm),ZnSO4・7H2O(Zn 0.5ppm),Na2MoO4・2H2O(Mo
0.05ppm),0.25mg/L),CuSO4・5H2O(Cu 0.05ppm)、III.F
e,ETA:Na2EDTA(7.46mg/L),FeSO4・7H2O(5.56mg/L)、IV.
Vitamins:Myo-inositol(100.0mg/L),Thiamin・HCl(0.1m
g/L),Pyridoxine・HCl(0.5mg/L),Nicotinic acid(0.5mg
/L),Glycine(2.0mg/L),Sucrose(136.92g/ml),2・4-D(2m
g/L)[pH5.8 〜6.0]:Mol. Gen. Genet. 206, 408(198
7))1mlに懸濁し、これを1mlの2.5%アガロース
(シープラークアガロース:FMC社製)を溶解したR
2プロトプラスト液体培地と混合後、3.5cmシャーレ
にまいて、4℃で固めた。このアガロースをビーズに切
り分けた後、9cmシャーレに15mlのR2プロトプラス
ト液体培地を加え、さらにイネ懸濁細胞T(Tai Chun6
5) をナース細胞として添加した中に、前記ビーズを浮
遊させ、暗黒下,25℃で振盪培養(30回転/分)を
行った。
【0077】3.形質転換細胞の選抜と再分化 上記2.の振盪培養したイネプロトプラストが数十細胞
まで増殖した時点で、上記液体培地からナース細胞を除
去し、系においてハイグロマイシンを20μg/mlの濃度
になるように添加し、10日間培養した。培養ビーズを
液体培地中から、30μg/mlのハイグロマイシンを含む
ソフトアガロース培地(I.Major Elements:KNO3(2830.0m
g/L),(NH4)2SO4(463.0mg/L),KH2PO4(400.0mg/L),MgSO4
・7H2O(185.0mg/L),CaCl2(166.0mg/L)、II.Minor Eleme
nts:MnSO4・4H2O(4.4mg/L),H3BO3(1.6.mg/L),ZnSO4・7H
2O(1.5mg/L),KI(0.8mg/L) 、III.Fe,ETA:Na2EDTA(37.3m
g/L),FeSO4・7H2O(27.8mg/L)、IV.Vitamins:Glycine(2.
0mg/L),Thiamin・HCl(1.0mg/L),Pyridoxine・HCl(0.5mg
/L),Nicotinic acid(0.5mg/L),Sucrose(60g/ml),Kineti
n(2mg/L),Agar(2.5g/L)[pH5.8 〜6.0]:Mol. Gen. Gene
t. 206, 408(1987))上に置き培養すると、ハイグロマイ
シン耐性細胞が10-5の頻度で得られた。得られたハイ
グロマイシン耐性細胞は、その細胞集塊から一部をと
り、N6再分化培地(I.Major Elements:KNO3(2830.0mg/
L),(NH4)2SO4(463.0mg/L),KH2PO4(400.0mg/L),MgSO4・7
H2O(185.0mg/L),CaCl2(166.0mg/L)、II.Minor Element
s:MnSO4・4H2O(4.4mg/L),H3BO3(1.6.mg/L),ZnSO4・7H2O
(1.5mg/L),KI(0.8mg/L) 、III.Fe,ETA:Na2EDTA(37.3mg/
L),FeSO4・7H2O(27.8mg/L)、IV.Vitamins:Glycine(2.0m
g/L),Thiamin ・HCl(1.0mg/L),Pyridoxine・HCl(0.5mg/
L),Nicotinic acid(0.5mg/L),Sucrose(60g/ml),Kinetin
(2mg/L),Agar(10g/L)[pH5.8〜6.0]:Mol.Gen. Genet. 2
06, 408(1987))上に置床し、再分化させた。
【0078】4.イネカルスでのコムギカタラーゼの発
現確認 上記3.で得たハイグロマイシン耐性カルスを1%trit
on X-100を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)中で磨砕
し、卓上エッペンドルフ用遠心機を用いて遠心分離を行
い(4℃,14000回転,20分間)、その上清を粗
酵素液とした。タンパク質濃度はブラッドフォード法(B
radford M.M.,Anal. Biochem. 72,248-254(1976)) によ
り、プロテインアッセイキット(バイオラッド社製)を
用いて測定した。粗酵素液のタンパク質濃度を0.4μ
g/mlに調整後、等量の泳動試料用緩衝液(125mM ト
リス塩酸緩衝液(pH6.8) ,20%グリセロール,10%
2−メルカプトエタノール,0.002% ブロムフ
ェノールブルー)を加えた試料15μl を10%ポリア
クリルアミド電気泳動に供試した。泳動用緩衝液には、
25mMトリス,1.4% グリシン(pH6.8)を用い、氷
中、15mAの定電流で8時間泳動を行った。泳動後のゲ
ルを純水で洗浄し、0.03%過酸化水素水に3分間浸
漬した後、再度純水で洗浄した。このゲルを8%塩化第
二鉄、8%フェリシアン化カリウム溶液中に5分間浸漬
してカタラーゼの活性によるバンドが検出できた。
【0079】この結果は、第5図(参考写真1)に示し
た通りである。この第5図において、形質転換カルスか
らは、コントロール(ユーカラカルス)とは異なる位置
に数本のバンドが検出された。
【0080】5.形質転換したカルスでのカタラーゼの
活性 石英セル(1ml容量)に50mMのリン酸緩衝液(pH
7.0)を0.695ml加え、さらに上述の3.で得た
イネカルスからの粗酵素液を5μl 加えた。これに、5
0mMのリン酸緩衝液(pH7.0)及び30mMの過酸化
水素水を200μl 加え、これを素早く攪拌し、吸光度
(240nm)の値を経時的に測定した。この測定値から
算出したカタラーゼ活性を第6図に示す。この第6図で
は、形質転換カルスCat2−10,Cat1−24,
Cat2−6,Cat2−10,Cat2−15,Ca
t2−17では、対照として用いたイネ(ユーカラ)に
比べて数倍のカタラーゼ活性が認められ、特にCat1
−24では、この対照の7倍以上のカタラーゼ活性が認
められた。
【0081】この結果より、本発明カタラーゼ遺伝子を
導入したイネのカルスにおいては、相乗的にカタラーゼ
が生産されていることが明らかになった。
【0082】6.形質転換したイネ葉でのカタラーゼの
発現の確認 上記3.において作出した形質転換イネの葉にその生重
量の6倍容量の50mMリン酸緩衝液pH7.0(1% t
ritonX-100を含む)を添加して乳鉢で磨砕した。この磨
砕液に卓上エッペンドルフ用遠心機を用いて遠心分離を
施し(4℃,14000回転,20分間)、その上清を
粗酵素液とした。この粗酵素液を、前述のカルス由来の
粗酵素液と同様に調製して10%アクリルアミド電気泳
動し、活性染色を行った。その結果を、第7図(参考写
真2)に示す。第7図では、コントロールのコムギの葉
とイネ(ユーカラ)の葉のカタラーゼバンドの位置がそ
れぞれ示され、形質転換イネの葉のカタラーゼがその間
に数本のバンドとして検出された。
【0083】7.形質転換イネの葉のカタラーゼ活性 前記6.において調製した粗酵素液のカタラーゼ活性
を、上記5.で述べた方法により測定した。その結果を
第8図に示す。第8図では、コントロール〔コムギ(チ
ホクコムギ)及びイネ(ユーカラ)〕の葉のカタラーゼ
活性に対して形質転換イネのカタラーゼ活性が、1.5
倍から4.5倍まで増加していた。
【0084】この結果より、本発明カタラーゼ遺伝子を
導入したイネの葉においても、相乗的にカタラーゼが生
産されていることが明らかになった。
【0085】8.低温下で育成した形質転換イネの葉の
カタラーゼ活性 コントロール〔イネ(ユーカラ)〕と形質転換イネ(Ca
t.1-24) を15℃で発芽させた後、25℃で2葉期まで
生育させた。さらに、4℃下での低温処理を1週間施
し、その低温処理葉から前記6.の方法により粗酵素液
を調製し、そのカタラーゼ活性を前記の方法で測定した
結果を第9図に示す。第9図では、形質転換イネを低温
下に置くと、葉のカタラーゼ活性が25℃で生育させた
ときよりも低下するが、コントロールを25℃で生育さ
せたときの葉のカタラーゼ活性よりも高い活性を保持し
ていることが示された。
【0086】この結果と、前記の従来技術の欄に記載し
た「イネの低温発芽能及び幼苗低温ストレス耐性にカタ
ラーゼが関与している」(Plant Science,109,105-113,1
995;Plant Breeding,46,23-27,1996) という知見を実
際に確認するために、本発明カタラーゼ遺伝子で形質転
換したイネの耐冷性試験を行った。
【0087】9.形質転換イネの耐冷性試験 この耐冷性試験は、"Nagamine,T.and Nagahara,M.[Japa
n J.Breed,40:449-455(1990)'"に開示された幼苗の低温
傷害評価法を改変した方法により行った。すなわち、コ
ントロール(イネ:マツマエ)と本発明カタラーゼ遺伝
子で,前述の方法に準じた方法で形質転換した形質転換
イネ(Cat.1-6-1)の種籾13〜15粒を25℃の暗所で
10日間生育させ、次いで5℃の低温処理(暗所)を1
0日間行った後、25℃の明所に戻して4日間経過した
ときの茎葉への傷害の程度で、そのイネの耐冷性を評価
した。この傷害の程度を第10図及び参考写真3(生物
の形態写真)に示す。また、25℃の明所に戻して4日
間経過した時点の生育植物体数の数を第1表に示す。
【0088】第10図及び参考写真3において、左側の
株はカタラーゼ遺伝子を導入したイネであり,右側の株
はこの遺伝子を導入していないコントロール株である。
また第1表において、実験1と実験2の「生残数」の欄
における分母は播種した種籾数,分子は前述の耐冷性試
験を行った後,生存していたイネの個体数を表す。また
「カタラーゼ活性」の欄は、それぞれの葉のカタラーゼ
活性を測定した結果を表す。
【0089】
【表1】
【0090】第10図及び参考写真3から、カタラーゼ
遺伝子を導入した株の方がコントロール株に比べて明ら
かに生育状況が良好であることがわかる。また第1表に
おいては、コントロールよりもカタラーゼ遺伝子を導入
した株の方が低温処理に対して抵抗性を有し、さらに葉
におけるカタラーゼ活性もカタラーゼ遺伝子を導入した
株の方が活性値が高かった。すなわち、確かに本発明遺
伝子で形質転換したイネの耐冷性が向上しており、これ
らの株においてはカタラーゼ遺伝子が高度に発現してい
ることから,このカララーゼが株の耐冷性向上に大きく
関わっていることがわかる。
【0091】10.形質転換イネの葉のカタラーゼの耐
冷性の検討 前記6.において調製した粗酵素液(Cat2-6) のカタラ
ーゼ活性を、5℃,10℃,15℃,20℃及び25℃
において、上記5.で述べた方法で測定した。その結果
を第11図(それぞれの反応温度でのカタラーゼ活性の
具体的活性値を表した図面)及び第12図(25℃で反
応させたそれぞれのカタラーゼ活性の値を100%とし
た場合の,各温度での相対的なカタラーゼ活性を示した
図面)に示す。
【0092】第11図において、25℃での本発明耐冷
性カタラーゼ(Cat2-6) の活性は、イネ(ユーカラ)や
コムギ(チホクコムギ)の4.7倍及び4.3倍と著し
く高かった(第11図)。また、それだけではなく、酵
素にとっては過酷ともいえる低温下(5℃)でのそれぞ
れのカタラーゼ活性は、25℃での活性を100%とし
た場合、イネ(ユーカラ)では20%に減少したが、本
発明耐冷性カタラーゼ(Cat2-6) の活性は64%と高く
保持されていた(第12図)ことは驚くべきことであ
る。この結果より、本発明耐冷性カタラーゼが耐冷性に
おいて非常に優れ、前記したカズノコの漂白剤の除去等
の用途において非常に有用なカタラーゼであるというこ
とが明らかになった。
【0093】
【発明の効果】本発明により、耐冷性に優れるカタラー
ゼをコードする遺伝子が見出され(請求項2,請求項3
及び請求項4)、この遺伝子を用いた植物に低温耐性を
付与する手段が提供され(請求項5,請求項6)、この
遺伝子が組み込まれた耐冷性を有するイネの植物体細胞
と植物体とが提供され(請求項7,請求項8,請求項9
及び請求項10)、この植物体細胞からの植物体の製造
方法が提供され(請求項11)、この植物体の増殖方法
が提供され(請求項12)、また工業的に漂白,洗浄等
に一層使用量の増加が見込まれる過酸化水素の生理的な
分解処理の目的等に用いられる耐冷性カタラーゼ(請求
項1)、特に耐冷性に優れたカタラーゼ(請求項13)
が提供される。
【0094】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 起源 植物のカタラーゼ遺伝子 配列 ACCTAAGCTT CCTCTTCGAC GACGTCGGC 29
【0095】配列番号:2 配列の長さ:29 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 起源 植物のカタラーゼ遺伝子 配列 GTTCTAGAAC ACCCTGCACT GCAGCATCT 29
【0096】配列番号:3 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 起源 植物のカタラーゼ遺伝子 配列 TGAATTCGTC GGAGTAGTAG ATCCCCG 27
【0097】配列番号:4 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 起源 植物のカタラーゼ遺伝子 配列 CCGAATTCCG CCACATGGAC GGCTTC 26
【0098】配列番号:5 配列の長さ:1479 配列の型:核酸 鎖の数:両形態 トポロジー:不明 配列の種類:cDNA 起源 コムギのカタラーゼ遺伝子 配列 GCTGACCGTT CCTCCGTTCG CCATGGACCC CTACAAGTAC CGGCCGTCGA GCTCCTTCAA 60 CGCCCCGATG TGGAGCACCA ACTCCGGCGC GCCCGTCTGG AACAACGACA ACTCCCTCAC 120 CGTCGGATCC CGAGGTCCGA TCCTGCTGGA GGACTACCAC CTGGTGGAGA AGATCGCCGA 180 CTTCGACCGT GAGCGCATCC CGGAGCGGGT GGTACACGCC CGGGGCGCCA CGGCCAAGGG 240 CTTCTTCGAG GTCACCCACG ACGTCTCCCA CCTGACCTGC GCCGACTTCC TCCGCGCGCC 300 GGGGGTGCAG ACCCCCGTCA TAGTGCGCTT CTCCACCGTG ATCCACGAGC GCGGCTCCCC 360 CGAGACGCTC CGCGACCCGC GCGGCTTCGC CATCAAGTTC TACACCCGGG AGGGCAACTG 420 GGACCTGGTG GGCAACAACT TCCCCGTCTT CTTCATCCGC GACGGCATGA AGTTCCCGGA 480 CATGGTGCAC GCGCTCAAGC CCAACCCCAA GACCCACATC CAGGAGAACT GGCGGATCCT 540 CGACTTCTTC TCCCACCACC CGGAGTCGCT CCACATGTTC ACCTTCCTCT TCGACGACAT 600 CGGCGTGCCC GCCGACTACC GCCACATGGA CGGCTCCGGC GTCAACACCT ACACGCTGGT 660 GAACCGCGCC GGCAAGGCGC ACTACGTCAA GTTCCACTGG AAGCCCACCT GCGGCGTCAA 720 GTCGCTGCTG GAGGAGGAGG CGGTCACGGT GGGCGGCACC AACCACAGCC ACGCCACCAA 780 GGACCTCACC GACTCCATCG CCGCCGGCAA CTACCCGGAG TGGACCTTCT ACATCCAGAC 840 CATCGACCCG GACTATGAGG AGCGGTTCGA CTTCGACCCG CTGGACGTGA CCAAGACGTG 900 GCCCGAGGAC GTGGTGCCGC TGCAGCCCGT GGGGCGGCTG GTGCTGAACC GCAACATCGA 960 CAACTTCTTC TCGGAGAACG AGCAGCTGGC CTTCTGCCCC GGGATCATCG TCCCCGGGGT 1020 GTACTACTCG GACGACAAGC TGCTGCAGAC AAGGATCTTC TCCTACTCCG ACACGCAGCG 1080 CCACCGTCTG GGGCCCAACT ACCTGCTGCT GCCGGCCAAC GCGCCCAAGT GCTCCCACCA 1140 CAACAACCAC TACGACGGGC TCATGAACTT CATGCACCGC GACGAGGAGG TCGACTACTT 1200 CCCCTCAAGG TTCGACCCCG CCAAGCACGC GCCCCGCTAC CCCATCCCCT CCCGCACCCT 1260 CAACGGCCGC CGCGAGAAGA TGGTGATCGA GAAGGAGAAC AACTTCAAGC AGCCCGGGGA 1320 GAGGTACCGC TCCATGGACC CGGCAAGGCA AGAGCGATTC ATCAACAGAT GGATCGACGC 1380 GCTGTCGGAC CCCCGCCTCA CCCATGAGAT CAAGGCCATC TGGCTCTCCT ACTGGTCTCA 1440 GGCTGACAAG TCTCTCGGCC AGAAGCTCGC GAGCCGTCTC AGCTCCAAGC CGAGCATGTA 1500 AGATCAGTCC ATGGAGTGCG CAAATCAGAA ATCTGCTTCA GGGCCGTCCA AGTTCTTCCC 1560 TCTTATCGGC AAA 1573
【0099】配列番号:6 配列の長さ:492 配列の型:アミノ酸 トポロジー:不明 配列の種類:cDNA 起源 コムギのカタラーゼ 配列 Met Asp Pro Tyr Lys Tyr Arg Pro Ser Ser Ser Phe Asn Ala Pro Met 16 Trp Ser Thr Asn Ser Gly Ala Pro Val Trp Asn Asn Asp Asn Ser Leu 32 Thr Val Gly Ser Arg Gly Pro Ile Leu Leu Glu Asp Tyr His Leu Val 48 Glu Lys Ile Ala Asp Phe Asp Arg Glu Arg Ile Pro Glu Arg Val Val 64 His Ala Arg Gly Ala Thr Ala Lys Gly Phe Phe Glu Val Thr His Asp 80 Val Ser His Leu Thr Cys Ala Asp Phe Leu Arg Ala Pro Gly Val Gln 96 Thr Pro Val Ile Val Arg Phe Ser Thr Val Ile His Glu Arg Gly Ser 112 Pro Glu Thr Leu Arg Asp Pro Arg Gly Phe Ala Ile Lys Phe Tyr Thr 128 Arg Glu Gly Asn Trp Asp Leu Val Gly Asn Asn Phe Pro Val Phe Phe 144 Ile Arg Asp Gly Met Lys Phe Pro Asp Met Val His Ala Leu Lys Pro 160 Asn Pro Lys Thr His Ile Gln Glu Asn Trp Arg Ile Leu Asp Phe Phe 176 Ser His His Pro Glu Ser Leu His Met Phe Thr Phe Leu Phe Asp Asp 192 Ile Gly Val Pro Ala Asp Tyr Arg His Met Asp Gly Ser Gly Val Asn 208 Thr Tyr Thr Leu Val Asn Arg Ala Gly Lys Ala His Tyr Val Lys Phe 224 His Trp Lys Pro Thr Cys Gly Val Lys Ser Leu Leu Glu Glu Glu Ala 240 Val Thr Val Gly Gly Thr Asn His Ser His Ala Thr Lys Asp Leu Thr 256 Asp Ser Ile Ala Ala Gly Asn Tyr Pro Glu Trp Thr Phe Tyr Ile Gln 272 Thr Ile Asp Pro Asp Tyr Glu Glu Arg Phe Asp Phe Asp Pro Leu Asp 288 Val Thr Lys Thr Trp Pro Glu Asp Val Val Pro Leu Gln Pro Val Gly 304 Arg Leu Val Leu Asn Arg Asn Ile Asp Asn Phe Phe Ser Glu Asn Glu 320 Gln Leu Ala Phe Cys Pro Gly Ile Ile Val Pro Gly Val Tyr Tyr Ser 336 Asp Asp Lys Leu Leu Gln Thr Arg Ile Phe Ser Tyr Ser Asp Thr Gln 352 Arg His Arg Leu Gly Pro Asn Tyr Leu Leu Leu Pro Ala Asn Ala Pro 368 Lys Cys Ser His His Asn Asn His Tyr Asp Gly Leu Met Asn Phe Met 384 His Arg Asp Glu Glu Val Asp Tyr Phe Pro Ser Arg Phe Asp Pro Ala 400 Lys His Ala Pro Arg Tyr Pro Ile Pro Ser Arg Thr Leu Asn Gly Arg 416 Arg Glu Lys Met Val Ile Glu Lys Glu Asn Asn Phe Lys Gln Pro Gly 432 Glu Arg Tyr Arg Ser Met Asp Pro Ala Arg Gln Glu Arg Phe Ile Asn 448 Arg Trp Ile Asp Ala Leu Ser Asp Pro Arg Leu Thr His Glu Ile Lys 464 Ala Ile Trp Leu Ser Tyr Trp Ser Gln Ala Asp Lys Ser Leu Gly Gln 480 Lys Leu Ala Ser Arg Leu Ser Ser Lys Pro Ser Met 492
【0100】配列番号:7 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 起源 ハイグロマイシン耐性遺伝子 配列 GACCCGGGGA GATGACGTTG GAGGGGC 27
【0101】配列番号:8 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 起源 ハイグロマイシン耐性遺伝子 配列 TAGAGCTCGC GGCGATCTCC AATCTGCGG 29
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明カタラーゼ遺伝子の塩基配列と、この塩
基配列から推定される本発明カタラーゼのアミノ酸配列
を示した図(前半部)である。
【図2】本発明カタラーゼ遺伝子の塩基配列と、この塩
基配列から推定される本発明カタラーゼのアミノ酸配列
を示した図(後半部)である。
【図3】本発明カタラーゼ遺伝子を植物で発現する発現
ベクターpTNCAT39の構築図である。
【図4】ハイグロマイシン耐性遺伝子導入用ベクターp
35S-HPT-Nosの構築図である。
【図5】本発明遺伝子導入イネのカルスとコントロール
のイネ(ユーカラ)のカルスに由来するカタラーゼの電
気泳動後の活性染色の結果を示す図である。
【図6】本発明遺伝子導入イネのカルスとコントロール
のイネ(ユーカラ)のカルスに由来するカタラーゼの活
性を比較した図である。
【図7】本発明遺伝子導入イネの葉とコントロールのイ
ネ(ユーカラ)の葉とコムギ(チホクコムギ)の葉に由
来するカタラーゼの電気泳動後の活性染色の結果を示す
図である。
【図8】本発明遺伝子導入イネの葉とコントロールのイ
ネ(ユーカラ)の葉とコムギ(チホクコムギ)の葉に由
来するカタラーゼの活性を比較した図である。
【図9】25℃生育、又は25℃生育後4℃で一週間生
育させた本発明遺伝子導入イネの葉とコントロールのイ
ネ(ユーカラ)の葉に由来するカタラーゼ活性を比較し
た図である。
【図10】本発明遺伝子による形質転換イネの耐冷傷害
性を,コントロールのイネと比較した図である。
【図11】それぞれの反応温度でのカタラーゼ活性の具
体的活性値を表した図である。
【図12】25℃で反応させたそれぞれのカタラーゼ活
性の値を100%とした場合の、各反応温度での相対的
なカタラーゼ活性を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 9/08 C12R 1:91) (72)発明者 谷田 昌稔 北海道夕張郡長沼町東5線北15号 株式会 社北海道グリーンバイオ研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む
    カタラーゼ。
  2. 【請求項2】配列番号6で表されるアミノ酸配列をコー
    ドする塩基配列を含むカタラーゼ遺伝子。
  3. 【請求項3】配列番号5で表される塩基配列を含むカタ
    ラーゼ遺伝子。
  4. 【請求項4】配列番号5で表される塩基配列の一部の塩
    基を置換してなる塩基配列を含むカタラーゼ遺伝子。
  5. 【請求項5】耐冷性に優れた生物のカタラーゼ遺伝子を
    含んでなる、カタラーゼ遺伝子の植物導入用ベクター。
  6. 【請求項6】請求項2乃至請求項4のいずれかの請求項
    記載のカタラーゼ遺伝子を含んでなる、カタラーゼ遺伝
    子の植物導入用ベクター。
  7. 【請求項7】耐冷性に優れた生物のカタラーゼ遺伝子を
    自己の遺伝子中に組み込んでなるイネの植物体細胞。
  8. 【請求項8】請求項2乃至請求項4のいずれかの請求項
    記載のカタラーゼ遺伝子を自己の遺伝子中に組み込んで
    なるイネの植物体細胞。
  9. 【請求項9】耐冷性に優れた生物のカタラーゼ遺伝子を
    自己の遺伝子中に組み込んでなるイネ植物体。
  10. 【請求項10】請求項2乃至請求項4のいずれかの請求
    項記載のカタラーゼ遺伝子を自己の遺伝子中に組み込ん
    でなるイネ植物体。
  11. 【請求項11】請求項7又は請求項8記載のイネの植物
    体細胞から幼植物体を再分化させて、これを馴化するこ
    とを特徴とするイネ植物体の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項9又は請求項10記載のイネ植物
    体を自家交配することを特徴とするイネ植物体の増殖方
    法。
  13. 【請求項13】請求項2乃至請求項4のいずれかの請求
    項記載のカタラーゼ遺伝子を自己の遺伝子中に組み込ん
    でなるイネの植物体細胞又はイネ植物体から単離精製し
    て得られる耐冷性カタラーゼ。
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