JPH10178846A - 野菜収穫機の車輪 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 玉葱の茎葉を踏み付けても、その玉部を的確
に収穫することを可能とする。 【解決手段】 細巾の硬質リム体１０外周囲の適当間隔
位置毎に前進回転で牽引力を発揮するものとした比較的
巾広の前進用硬質ラグ１１と後進回転で牽引力を発揮す
るものとした比較的巾広の後進用硬質ラグ１２とを設
け、機体を支持した状態の走行回転時に圃場面に倒伏し
た玉葱等の茎葉を踏み切って進行する構成とする。比較
的硬質の圃場面で使用するさいは前進用硬質ラグ１１や
後進用硬質ラグ１２を省略して単純な硬質輪体となして
もよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、玉葱や人参等の野
菜収穫機の走行装置として使用される車輪に関する。

【０００２】

【従来の技術】畦面上に列状に植生した玉葱等の作物を
連続的に堀り取るように作動する玉葱収穫機として、図
５に示すようになものが存在している。ここに、図５は
同収穫機の要部を前方から見た状態を示している。

【０００３】この収穫機の概要を説明すると、一軸二輪
支持の歩行形となされており、機体の最前部に設けた根
切り棒１で畦面２を割り進んで玉葱３の根をその条列毎
に分離し、続いて玉葱３の玉部３ａを堀取り刃４で掘り
起こし、その茎葉３ｂを他の作用部で引き上げて、これ
を一つづつ引き抜いた後、玉部３ａと茎葉３ｂを切り離
し、玉部３ａは畦面２上に整列させ、茎葉３ｂは側溝４
内に放出するように作動する。

【０００４】機体にはエンジン５が搭載され、これの回
転が横伸縮伝動筒６及び縦伝動筒７を経て左右の車輪
８、８に伝達されるようになっている。

【０００５】上記の各車輪８には、一般に、ラグ９ａ付
の空気入りタイヤ９が使用されるのであり、収穫作業
中、一対の車輪８、８は畦面２の左右の側溝４、４内に
位置されるように、その間隔を調整される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】玉葱を十分に実らせて
収穫する場合、その茎葉は枯れて萎えるため、その殆ど
が地面上に種々の向きとなって倒伏するのであり、また
風が強いようなときは図５に示すように一方へ吹き倒さ
れた状態となることもある。

【０００７】このように茎葉が地面に倒伏した状態で収
穫すると、空気入りタイヤ９のラグ９ａが後行程で掘り
取るべき玉葱３の、側溝４内へ倒伏した茎葉３ｂの先部
を踏みつけて、これを土中深くに埋め込むことが生じる
のであり、このようになった茎葉３ｂはその玉葱３の抜
き取り時に作用部が的確に引き上げることが困難とな
り、収穫ミスの原因をなすものとなる。

【０００８】本発明は、上記のように茎葉３ｂの一部が
車輪に踏まれても、その玉葱３を効率的に収穫すること
を可能とする野菜収穫機の車輪を提供することを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の車輪では、玉葱等の収穫機に使用される細
巾の硬質輪体となし、機体を支持した状態の走行回転時
に圃場面に倒伏した玉葱等の茎葉を踏み切って進行する
構成とする。この発明では茎葉に対する硬質輪体の面圧
が大となり、硬質輪体が茎葉を地面上で切り離すものと
なる。

【００１０】本発明の車輪は次のようなものとなしても
よいのであって、即ち、細巾の硬質リム体の外周囲の適
当間隔位置毎に前進回転で牽引力を発揮するものとした
比較的巾広の前進用硬質ラグと後進回転で牽引力を発揮
するものとした比較的巾広の後進用硬質ラグとを設け、
機体を支持した状態の走行回転時に圃場面に倒伏した玉
葱等の茎葉を踏み切って進行する構成とする。

【００１１】このさい、比較的巾広の前進用硬質ラグ及
び後進用硬質ラグは野菜収穫機の前後進移動をスリップ
なく的確に行わせて機動性を向上させるのであり、また
車輪が玉葱の茎葉を踏み付けても、茎葉の踏み付けた個
所が切断されるため、その玉部とつながった側の茎葉部
分が土中深く埋もれることはなくなり、従って玉部はこ
れとつながった茎葉を引き上げられて的確に収穫され
る。

【００１２】この車輪は、具体的には、次のようにな
す。即ち、前進用硬質ラグ及び後進用硬質ラグの間をな
す硬質リム体外周囲の適当間隔位置毎に比較的狭巾の係
止用硬質ラグを設ける。このようにすれば、前進用硬質
ラグ及び後進用硬質ラグの数が少なくても、係止用硬質
ラグが補助的な牽引力を発揮し、所要の牽引力が生じる
のであり、また前進用硬質ラグ及び後進用硬質ラグによ
る野菜収穫機の重量の支持力が減少し、硬質リム体や係
止用ラグによるその支持力が増大するため、車輪の土中
への貫入作用が増大し、茎葉の切断作用が向上する。

【００１３】また、前進用硬質ラグを前傾斜状の硬質平
板となすと共に後進用硬質ラグを後傾斜状の硬質平板と
なし、これら二つの硬質平板を車輪半径方向のその外方
端で結合させて側面視Ｖ字形とした構成とする。このよ
うにすれば、前進用硬質ラグラグや後進用硬質ラグが土
を抱き込み難くなり、また双方のラグが支え合ってこれ
らの取付構造の強度を向上させる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
１〜図４を参照して説明する。図１は本発明に係る車輪
の斜視図、図２は同車輪を装着した玉葱収穫機の使用状
態を示す側面図、図３は同収穫機の使用状態を示す平面
図、図４は同収穫機の使用状態の要部を示す正面図であ
る。

【００１５】図１において、１０は細巾の硬質リム体
で、具体的には鋼材製の丸棒或いは角棒を円環状に屈曲
したものとしてある。

【００１６】１１は硬質リム体１０の外周囲の適当間隔
位置毎に固定した比較的巾広の前進用硬質ラグで、前進
方向ｆ１の回転で牽引力を発揮するものとしてある。ま
た、１２は硬質リム体１０の外周囲の適当間隔位置毎に
固定した比較的巾広の後進用硬質ラグで、後進方向ｆ２
の回転で牽引力を発揮するものとしてある。

【００１７】上記前進用硬質ラグ１１及び後進用硬質ラ
グ１２は硬質リム体１０の数倍の巾となされており、図
示例では一体状のラグ体に形成してある。このラグ体に
おいて、前進用硬質ラグ１１は前傾斜状とした鋼板製の
硬質平板、そして後進用硬質ラグ１２は後傾斜状とした
鋼板製の硬質平板となし、これら二つの硬質平板１１、
１２を車輪半径方向のその外方端で結合させて側面視Ｖ
字形とする。

【００１８】１３は前進用硬質ラグ１１及び後進用硬質
ラグ１２の間をなす硬質リム体１０の外周囲の適当間隔
位置毎に設けた比較的狭巾の係止用硬質ラグである。こ
の係止用硬質ラグ１３は、硬質リム体１０とほぼ同一巾
かそれより少し巾広とした角形断面の鋼材製部材とな
し、車輪の前後何れの方向ｆ１、ｆ２の回転に対しても
効果的な係止力を発揮するものとなす。

【００１９】１４はリム体１０の中心に位置させた鋼材
製のボス部材で、具体的には野菜収穫機の車軸を内挿さ
れる円筒部材１５と、この円筒部材１５の外周囲の３等
分個所に放射方向へ向けて設けた接続部１６からなる。
前記円筒部材１５には、これと前記車軸との相対回転を
規制するための規制具を装着するための透孔１５ａが設
けてある。

【００２０】１７はボス部材１４の接続部１６と硬質リ
ム体１０を結合した鋼材製のスポークである。硬質リム
体１０内方のスポーク１７相互間の空間はカバー体１８
で被った構成とするのであり、具体的には、カバー体１
８は、前後進用硬質ラグ１１、１２にほぼ内接するよう
な外径の円盤体１９を形成し、これの中心個所に円筒部
材１５ａを内挿される中心孔１９ａを設けるほか、円盤
体１９の外周の３個所に固定片２０を固着したものとな
す。そして、このカバー体１８を固定片２０を介してス
ポーク１７にボルト固定する。

【００２１】上記した本発明に係る車輪は通例、対称構
造のものを対となして用意するのであり、各種の野菜収
穫機に装着して差し支えないものであるが、以下の例で
は玉葱収穫機に装着する場合について説明する。

【００２２】左右の車輪の円筒部材１５を左右の縦伝動
筒７の車軸２１（図２参照）に外嵌させ、透孔１５ａ及
び車軸２１にピン体を挿通させて両者の相対回転を規制
させる。そして、左右の車輪は、横伸縮伝動筒６を伸縮
させて、図４に示すように畦面２の左右の側溝４、４内
に位置させる。また機体前部の高さは、ゲイジ輪２２の
機体に対する高さを変化させて調整する。

【００２３】この状態の下で、エンジン５の回転を車輪
に伝達させ、必要に応じて前進方向ｆ１或いは後進方向
ｆ２へ回転させる、。このさい、車輪の回転は巾広の前
進用硬質ラグ１１又は後進用硬質ラグ１２を介して効果
的に土に作用し、前後何れの方向においても大きな牽引
力を発揮し、機体を機動的に動作させるものとなる。ま
た前進用硬質ラグ１１と後進用硬質ラグ１２が一体とな
され、Ｖ字形に結合されているため、これらのラグ１
１、１２が土を蹴って土中に埋もれるようになっても、
その内面側へ土を抱き込むことは抑制され、無駄な動力
の消費が回避される。

【００２４】各部を収穫作動させ、根切り棒１の先端が
畦面２の適当深さを突き刺すように機体を前進させる
と、玉葱３の根は各条列毎に分離され、続いて縦引き起
こし装置２３がその茎葉３ｂを地面から掬い上げ、これ
を掻き込み装置２４が傾斜搬送処理装置２５の搬送始端
に掻き込み、傾斜搬送処理装置２５が茎葉３ｂを斜め上
方へ挟持搬送する過程で掘り取り刃２６が玉部３ａを掘
り起こし、また傾斜搬送処理装置２５はその茎葉３ｂを
引き上げて玉葱３を抜き取り、続いて図２に示す切断装
置２７がその茎葉３ｂの先部を切り離す。

【００２５】この後、図示しない横倒し機構が玉部３ａ
を横倒し、図２に示す送出搬送装置２８がこれを機体の
後方へ順次に送り出し、畦面２上に整列させる。一方、
傾斜搬送処理装置２５は切断分離された茎葉３ｂの先部
をさらに上方へ搬送し、続いて排出搬送装置２９がこれ
を受け継いで側溝４上まで搬送し、左側の車輪の近傍へ
落下させるものとなる。

【００２６】収穫作業中に、車輪が側溝４内に倒伏した
茎葉３ｂを踏み付けることがあるが、前後進用の硬質ラ
グ１１、１２、硬質リム体１０及び係止用硬質ラグ１３
は硬質が故にその要部の土に対する面圧が大きくなっ
て、茎葉３ｂをその踏み付け個所で確実に踏み切るので
あり、従って玉部３ａにつながった側の茎葉３ｂの先部
は土中深くに埋め込まれることはない。

【００２７】このように踏み切られた玉部３ａの茎葉３
ｂは土から容易に離れるため、縦引き起こし装置２３や
掻き込み装置２４により傾斜搬送処理装置２５の搬送始
端に確実に掻き込まれて引き上げられ、その玉葱３は的
確に収穫されるのである。

【００２８】一方、玉部３ａから切り離されて左側の車
輪の近傍に落下された茎葉３ｂはその車輪のスポーク１
７に絡まろうとするが、カバー体１８がこれを阻止し、
支障のない走行を維持させる。

【００２９】上記実施例において、本発明は次のように
変形できる。即ち、比較的硬質の土壌面を走行させるも
のでは、単純な細巾の輪体となしてもよいのであり、具
体的には、先進用硬質ラグ１１や後進用硬質ラグ１２を
省略し、これの代わりに係止用硬質ラグ１３を設けたも
のとなす。

【００３０】或いは、係止用硬質ラグ１３は設けない
で、先進用硬質ラグ１１と後進用硬質ラグ１２を硬質リ
ム体１０に比較的密に設けたものとなす。このさい、前
進用硬質ラグ１１と後進用硬質ラグ１２はＶ字形に結合
しないで離れたものとすることも差し支えない。

【００３１】

【発明の効果】以上のような構成した本発明によれば、
車輪が玉葱等の茎葉を踏み付けたさい、その踏み付けた
個所が切断されるため、その玉部等とつながった茎葉の
先部分が土中深く埋もれることはなくなり、従ってその
茎葉は野菜収穫機の作用部により土から容易に分離され
て、玉部等は的確に抜き取られようになるのであり、玉
葱等の野菜を効率的に収穫することができるものであ
る。

【００３２】請求項２に記載のものによれば、比較的巾
広の前進用硬質ラグと後進用硬質ラグにより必要な牽引
力が発揮されるため、野菜収穫機の前後進移動がスリッ
プなく的確に行え、機体移動の機動性ができる。

【００３３】請求項３に記載のものによれば、前進用硬
質ラグ及び後進用硬質ラグの数が少なくても、係止用硬
質ラグにより牽引力が補助されて必要な牽引力が得られ
るものであり、また前進用硬質ラグ及び後進用硬質ラグ
による野菜収穫機の重量の支持力を減少させて、この減
少分をリム体や係止用硬質ラグに直接的に支持させ、こ
れにより車輪の土中への貫入作用を増大させ、茎葉の切
断作用を向上させることができる。

【００３４】請求項４に記載のものによれば、前進用硬
質ラグや後進用硬質ラグの内方側に土が侵入し難くなっ
て動力の浪費を回避でき、また双方のラグの支え合いに
よって、これらの取付構造の強度を向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車輪の斜視図である。

【図２】同車輪を装着した玉葱収穫機の使用状態を示す
側面図である。

【図３】同収穫機の使用状態を示す平面図である。

【図４】同収穫機の使用状態の要部を示す正面図であ
る。

【図５】従来の玉葱収穫機の使用状態の要部を示す正面
図である。

【符号の説明】

３ 玉葱 ３ｂ 茎葉 １０ 硬質リム体 １１ 前進用硬質ラグ １２ 後進用硬質ラグ １３ 係止用硬質ラグ １４ ボス部 １７ スポーク １８ カバー体 ｆ１ 前進方向 ｆ２ 後進方向

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 信行 岡山県岡山市江並428番地セイレイ工業株 式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 玉葱等の収穫機に使用される細巾の硬質
   輪体となし、機体を支持した状態の走行回転時に圃場面
   に倒伏した玉葱等の茎葉を踏み切って進行する構成とし
   たことを特徴とする野菜収穫機の車輪。
2. 【請求項２】 細巾の硬質リム体外周囲の適当間隔位置
   毎に前進回転で牽引力を発揮するものとした比較的巾広
   の前進用硬質ラグと後進回転で牽引力を発揮するものと
   した比較的巾広の後進用硬質ラグとを設け、機体を支持
   した状態の走行回転時に圃場面に倒伏した玉葱等の茎葉
   を踏み切って進行する構成としたことを特徴とする野菜
   収穫機の車輪。
3. 【請求項３】 前進用硬質ラグ及び後進用硬質ラグの間
   をなす硬質リム体外周囲の適当間隔位置毎に比較的狭巾
   の係止用硬質ラグを設けたことを特徴とする請求項２記
   載の野菜収穫機の車輪。
4. 【請求項４】 前進用硬質ラグを前傾斜状の硬質平板と
   なすと共に後進用硬質ラグを後傾斜状の硬質平板とな
   し、これら二つの硬質平板を車輪半径方向のその外方端
   で結合させて側面視Ｖ字形となしたことを特徴とする請
   求項２又は３記載の野菜収穫機の車輪。