JPH10178303A - 同軸型バンドパスフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ケースから蓋を取り外すことなく簡易な構成で
結合量を調整する。 【解決手段】コネクタ４に一端が接続された結合ループ
１２の他端は、摺動可能にケース１に固着されているア
ース金具１３に取り付けられる。アース金具１３は、ケ
ース１に形成された長孔内に係合しているループ固定用
ビス１５により、共振器１０に対して移動可能とされ
る。これにより、アース金具１３を移動させて結合量を
調整することにより、蓋２をケース１から取り外すこと
なく共振器１０と結合ループ１２との結合量を調整する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、ＶＨＦ帯やＵＨＦ
帯において使用される同軸型のバンドパスフィルタに関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の同軸型バンドパスフィルタの外観
を図４に、その内部構造の一例を図５に示す。図４に示
す同軸型バンドパスフィルタは、３段縦続にフィルタを
接続するようにしたバンドパスフィルタの例を示してお
り、１段毎に棒状の導電体からなる共振器１０が配置さ
れている。同軸型バンドパスフィルタは、アースとされ
る導電性のケース１内に収納されており、ケース１には
導電性の蓋２が多数のビス３により固着されている。ま
た、同軸型バンドパスフィルタに高周波信号を入出力す
るコネクタ４が、ケース１の側部の両端に設けられてい
る。

【０００３】このようなバンドパスフィルタの蓋２を取
り外したときの平面図を図５に示す。図５に示すよう
に、コネクタ４の中心導体にはＬ字状の結合ループ１２
の一端が半田付け部１４−１により電気的かつ機械的に
接続されており、この結合ループ１２の他端はアース金
具１３に半田付け部１４−２により電気的かつ機械的に
接続されている。また、アース金具１３は固定用ビスに
よりケース１に固着されている。また、結合ループ１２
に対向して導電性の棒状体からなる共振器１０が配設さ
れており、共振器１０の一端はケース１に電気的に接続
されると共に、ケース１に固着されている。この共振器
１０の上端には導電性の同調円板１１が間隙を持って配
置されており、同調円板１１を上下することにより、共
振器１０の共振周波数を調整できるようにされている。

【０００４】さらに、共振器１０で共振された信号は、
遮へい板６に形成された結合窓５を介して図示を省略し
た次段のフィルタを構成する共振器と結合されている。
なお、次段のフィルタは、共振器と共振器の共振周波数
を調整する同調円板とから構成されている。そして、３
段目のフィルタと、その間に介された遮へい板に形成さ
れた結合窓を介して結合されている。この例では３段の
フィルタによりバンドパスフィルタが構成されているの
で、図示を省略した３段目のフィルタの構成は図５に示
す１段目のフィルタと同様とされており、共振器と電磁
結合している結合ループが接続されたコネクタからバン
ドパスフィルタ出力が取り出されるようにされている。

【０００５】このバンドパスフィルタの動作を説明する
と、コネクタ４から入力された高周波信号は、結合ルー
プ１２を介して共振器１０に入力される。そして、入力
された信号中の共振器１０が共振する周波数成分の信号
のみが、共振器１０により抽出されて、抽出された信号
が結合窓５を介し次段のフィルタに入力される。つい
で、次段においても１段目と同様に、共振器において入
力された信号中の共振器が共振する周波数成分の信号の
みが抽出されて、結合窓を介し３段目のフィルタに入力
される。さらに、３段目においても１段目と同様に、共
振器において入力された信号中の共振器が共振する周波
数成分の信号のみが抽出され、結合ループ１２を介し出
力側のコネクタから出力される。これにより、３段から
なるバンドパスフィルタにより高周波信号のフィルタリ
ングが行われる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、同軸型バン
ドパスフィルタにおいて、所望のフィルタ特性を得よう
とする場合には、結合ループ１２と共振器１０との結合
量を調整する必要がある。この結合量の調整は、結合ル
ープ１２をわずかづつ折曲して共振器との間隔を調整す
ることにより行っている。この際に、結合ループ１２の
調整を行う毎にケース１に固着されている蓋２を取り外
して結合ループ１２を調整し、蓋２をケース１に取り付
けて、同軸型バンドパスフィルタの特性を測定する。そ
して、測定されたフィルタ特性が所望の特性と一致して
いない場合には、再度蓋２を取り外して結合ループ１２
を調整するようにしている。

【０００７】しかしながら、蓋２がケース１に対して数
十本のビス３により取り付けられていることから、調整
毎にすべてのビスを取り外して結合ループ１２を調整し
た後に、元通りになるようすべてのビスを取り付ける必
要があり、このような調整方法では調整に膨大な時間が
かかるという問題点があった。さらに、繰り返し蓋２を
取り外して結合ループ１２を調整するようにすると、銀
メッキされた内部が汚染されるおそれがあり、汚染され
た場合には再メッキしなければならないという問題点も
ある。さらにまた、繰り返し蓋２を取り外して結合ルー
プ１２を調整するようにすると、ケース１の塗装がはが
れて再度塗装をし直さなければならないおそれもある。

【０００８】このような問題を解決する手段として、コ
ネクタ４の中心導体に同調円板１１と同様の導電性の円
板を接続し、ネジ手段により円板を共振器１０に対して
進退自在とすることが考えられる。この方法によれば、
共振器１０と静電的に結合している円板が進退自在とさ
れているので、その間の結合量をケース１から蓋２を取
り外すことなく調節することができる。しかし、この方
法では、円板を進退させるネジ手段を精密に加工して作
製する必要があることから、同軸型バンドパスフィルタ
のコストが上昇するという欠点があった。

【０００９】そこで、本発明はケース１から蓋２を取り
外すことなく簡易な構成で結合ループと共振器との結合
量を調整することのできる同軸型バンドパスフィルタを
提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の同軸型バンドパスフィルタは、導電性のケ
ース内に収納されると共に、その一端面が該ケースに電
気的接続を持って固着されている棒状の共振器と、該共
振器に結合されると共に、その一端が前記ケースに電気
的に接続され、多端がコネクタの中心導体に接続される
結合ループとを少なくとも備え、前記結合ループの一端
がアース金具を介して前記ケースに電気的に接続されて
おり、前記アース金具が前記ケースに対して摺動可能に
取り付けられるようにしている。

【００１１】また、前記同軸型バンドパスフィルタにお
いて、前記ケースに長孔が形成されており、この長孔内
に係合する螺着手段により、前記アース金具が前記ケー
スに対して摺動可能に取り付けられるようにしてもよ
い。

【００１２】このような本発明によれば、結合ループの
下端に固着されたアース金具を共振器に対して移動する
ことができるため、ケースの蓋を取り外すことなく結合
ループと共振器との結合量を調整することができる。従
って、多数のビスの取り外し、および、取り付け作業が
不要となり、短時間で調整を行うことができる。さら
に、ケースの蓋を取り外さないことからケース内部が汚
染されることはなく、短時間で調整することができるこ
とからケースの塗装がはがれるおそれもなくなる。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の同軸型バンドパスフィル
タの構成を図１に、その側面図を図２に示す。ただし、
図１に示す構成は本発明の同軸型バンドパスフィルタの
内部構成であり、その外観は前記した図４に示す同軸型
バンドパスフィルタと同様とされている。図１および図
２において、コネクタ４の中心導体にはＬ字状の結合ル
ープ１２の一端が半田付け部１４−１により電気的かつ
機械的に接続されており、この結合ループ１２の他端は
アース金具１３に半田付け部１４−２により電気的かつ
機械的に接続されている。また、アース金具１３は２本
のループ固定用ビス１５によりケース１に固着されてい
る。また、結合ループ１２に対向して導電性の所定長の
棒状体からなる共振器１０が配設されており、共振器１
０の一端はアースとされるケース１に電気的に接続され
ると共に、ケース１に固着されている。この共振器１０
の上端には導電性の同調円板１１が間隙を持って配置さ
れており、同調円板１１をネジ手段により上下すること
により、共振器１０の共振周波数を調整できるようにさ
れている。

【００１４】本発明の同軸型バンドパスフィルタが、例
えば３段のフィルタにより構成されているものとする
と、共振器１０で共振された信号は、遮へい板６に形成
された結合窓５を介して、図示を省略した次段のフィル
タを構成する共振器と結合される。なお、次段のフィル
タは、共振器と、共振器の共振周波数を調整する同調円
板とから構成される。そして、２段目のフィルタは、図
示を省略した３段目のフィルタと、その間に介された遮
へい板に形成された結合窓を介して結合される。このよ
うに３段のフィルタによりバンドパスフィルタが構成さ
れる場合は、３段目のフィルタの構成は図１に示す１段
目のフィルタと同様となり、共振器と電磁結合されてい
る結合ループが接続されたコネクタからバンドパスフィ
ルタ出力が取り出されるようにされる。

【００１５】また、本発明の特徴点は、図２に示すよう
にケース１の側面板に２本の平行な長孔１７を設けこの
長孔１７に２本のループ固定用ビス１５をそれぞれ摺動
可能に係合させている点である。この構成により、アー
ス金具１３は長孔１７に沿って移動できるようになる
が、長孔１７の延伸方向が共振器１０へ向かう方向とさ
れているので、アース金具１３を共振器１０に対して近
づけたり遠ざけたりすることができるようになる。共振
器１０とケース１間には共振器１０に誘起された大きな
電流が流れており、このため共振器１０の一端が固着さ
れているケース１に近い程強い電磁界が発生することに
なる。従って、結合ループ１２のアース金具１３よりの
部分が、共振器１０との結合に大きな影響を与えるよう
になる。

【００１６】すなわち、結合ループ１２の他端が接続・
固定されているアース金具１３を共振器１０に近づける
ように移動させることにより、共振器１０と結合ループ
１２との結合量を増加させることができ、アース金具１
３を共振器１０から遠ざかるように移動させることによ
り、共振器１０と結合ループ１２との結合量を増加させ
ることができる。

【００１７】次に、このように構成されたバンドパスフ
ィルタの動作を説明すると、コネクタ４から入力された
高周波信号は、結合ループ１２を介して共振器１０に入
力される。そして、入力された信号中の共振器１０が共
振する周波数成分の信号のみが、共振器１０により抽出
されて、抽出された信号が結合窓５を介し次段のフィル
タに入力される。ついで、次段においても１段目と同様
に、共振器において入力された信号中の共振器が共振す
る周波数成分の信号のみが抽出されて、結合窓を介し３
段目のフィルタに入力される。さらに、３段目において
も１段目と同様に、共振器において入力された信号中の
共振器が共振する周波数成分の信号のみが抽出され、結
合ループを介し出力側のコネクタから出力される。これ
により、３段からなる同軸型バンドパスフィルタにより
高周波信号のフィルタリングが行われる。

【００１８】そして、スイープジェネレータとオシログ
ラフ等を用いて同軸型バンドパスフィルタの特性を観察
しながら、所望のフィルタ特性となるようにアース金具
１３を長孔１７に沿って移動させる。そして、所望のフ
ィルタ特性が得られたときに、２本のループ固定用ビス
１５を締着してアース金具１３をケース１に固着する。
この際に、前記したようにアース金具１３の近傍の電磁
界は強い電磁界となっているので、アース金具１３をわ
ずか移動するだけで結合量を大きく変化させることがで
きる。これにより、ケース１から蓋２を取り外すことな
く同軸型バンドパスフィルタの特性を調整することがで
きるようになる。なお、長孔１７に挿通されてアース金
具１３に螺着されているループ固定用ビス１５と長孔１
７との間には、導電性のワッシャー１６が嵌挿されてい
るが、このワッシャー１６の大きさを長孔１７を覆うよ
うな大きさとして、長孔１７から電磁波が漏れないよう
にしてもよい。

【００１９】また、アース金具１３は、図３に示すよう
に２本の長孔１７にまたがる２つの突部が形成されるよ
うに、その下面の中央部分に切欠１３−１が形成されて
いる。これにより、アース金具１３とケース１の側面板
１−１との接触が点接触に近くなり、共振器１０と結合
ループとの結合量を安定した結合量とすることができる
ようになる。なお、２本のループ固定用ビス１５はそれ
ぞれアース金具１３に形成されたネジ孔１３−２に螺合
される。

【００２０】

【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、結合ループの下端に固着されたアース金具を共振器
に対して移動することができ、ケースの蓋を取り外すこ
となく結合ループと共振器との結合量を調整することが
できる。従って、多数のビスの取り外し、および、取り
付け作業が不要となり、短時間で調整を行うことができ
る。さらに、ケースの蓋を取り外さないことからケース
内部が汚染されることはなく、短時間で調整することが
できることからケースの塗装がはがれるおそれもなくな
る。本発明は以上のように簡易な構成にも関わらず、奏
することのできる作用効果には絶大なものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の同軸型バンドパスフィルタの内部構成
を示す図である。

【図２】本発明の同軸型バンドパスフィルタのケースの
側面の構成を示す図である。

【図３】本発明の同軸型バンドパスフィルタのアース金
具とその近傍の構成を示す図である。

【図４】同軸型バンドパスフィルタの外観を示す図であ
る。

【図５】従来の同軸型バンドパスフィルタの内部構成を
示す図である。

【符号の説明】

１ ケース １−１ ケース側面板 ２ 蓋 ３ ビス ４ コネクタ ５ 結合窓 ６ 遮へい板 １０ 共振器 １１ 同調円板 １２ 結合ループ １３ アース金具 １３−１ 切欠 １３−２ ネジ孔 １４−１ 半田付け部 １４−２ 半田付け部 １５ ループ固定用ビス １６ ワッシャー １７ 長孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性のケース内に収納されると共に、
   その一端面が該ケースに電気的接続を持って固着されて
   いる棒状の共振器と、 該共振器に結合されると共に、その一端が前記ケースに
   電気的に接続され、多端がコネクタの中心導体に接続さ
   れる結合ループとを少なくとも備え、 前記結合ループの一端がアース金具を介して前記ケース
   に電気的に接続されており、前記アース金具が前記ケー
   スに対して摺動可能に取り付けられていることを特徴と
   する同軸型バンドパスフィルタ。
2. 【請求項２】 前記ケースに長孔が形成されており、こ
   の長孔内に係合する螺着手段により、前記アース金具が
   前記ケースに対して摺動可能に取り付けられていること
   を特徴とする請求項１記載の同軸型バンドパスフィル
   タ。