JPH10177265A - 光受容部材の製造方法、該方法による光受容部材、該部材を有する電子写真装置、および該部材を用いる電子写真プロセス - Google Patents

光受容部材の製造方法、該方法による光受容部材、該部材を有する電子写真装置、および該部材を用いる電子写真プロセス

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JPH10177265A
JPH10177265A JP33675996A JP33675996A JPH10177265A JP H10177265 A JPH10177265 A JP H10177265A JP 33675996 A JP33675996 A JP 33675996A JP 33675996 A JP33675996 A JP 33675996A JP H10177265 A JPH10177265 A JP H10177265A
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etching
surface layer
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JP33675996A
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Shigenori Ueda
重教 植田
Junichiro Hashizume
淳一郎 橋爪
Makoto Aoki
誠 青木
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーニング性を長期間損なうことなく、コ
ロナ放電生成物が付着しにくく、ドラムの加温手段を設
けることなく画像ボケや画像流れ、画像濃度ムラの発生
を防止する。 【解決手段】 減圧可能な反応容器内で、基体上にシリ
コン原子を母体とする非単結晶の光導電層を堆積し、さ
らに該光導電層上に、50〜450MHzの高周波電力
を印加して、硼素原子、窒素原子および水素原子また
は、フッ素原子を含む非単結晶成膜とエッチングを交互
に複数回繰り返して、表面層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光受容部材の製造
方法、該方法により製造された光受容部材、該光受容部
材を有する電子写真装置および、該光受容部材を用いた
電子写真プロセスに関し、さらに詳しくは、クリーニン
グ性に優れ、光受容部材の加温手段を設けることなく、
如何なる環境下においても画像ボケや画像流れのない高
品質な画像を得ることができる、光受容部材の製造方
法、該製造方法により製造された光受容部材、該光受容
部材を有する電子写真装置および、該光受容部材を用い
た電子写真プロセスに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体に用いる光受容部材の素
材としては、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモ
ルファスシリコン(以下a−Siと記す)等の無機材
料、あるいは有機材料等の各種の材料が提案されてい
る。これらのうちでもa−Siに代表される珪素原子を
主成分として含む非単結晶質堆積膜、例えば水素および
/またはハロゲン(例えばフッ素、塩素等)を含む(例
えば水素またはダングリングボンドを補償する)a−S
i等のアモルファス堆積膜は高性能、高耐久、無公害な
感光体として提案され、その幾つかは実用化されてい
る。特開昭54−86341号公報、USP4,26
5,991号には、光導電層を主としてa−Siで形成
した電子写真感光体の技術が開示されている。
【0003】a−Siに代表されるa−Si系感光体は
表面硬度が高く、半導体レーザー(770〜800n
m)等の長波長光に高い感度を示し、しかも繰り返し使
用による劣化もほとんど認められない等の優れた点を有
するので、例えば高速複写機やLBP(レーザービーム
プリンター)等の電子写真感光体として広く使用されて
いる。
【0004】シリコン系非単結晶堆積膜の形成法として
は、スパッタリング法、熱により原料ガスを分解する方
法(熱CVD法)、光により原料ガスを分解する方法
(光CVD法)、プラズマにより原料ガスを分解する方
法(プラズマCVD法)等、多数の方法が知られてい
る。中でもプラズマCVD法、すなわち原料ガスを直流
または高周波、(RF,VHF)または、マイクロ波を
利用して発生させたグロー放電等によって分解し、ガラ
ス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレス、アル
ミニウム等の所望の基体上に堆積膜を形成する方法は、
電子写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成方法等に
留まらず、他の用途の堆積膜の形成方法を含め、現在実
用化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提案さ
れている。
【0005】さらに、電子写真用感光体への適用を鑑み
ても近年では膜質および処理能力の向上に対する要望が
強くなっており様々な工夫も検討されている。特に高周
波電力を用いたプラズマプロセスは、放電の安定性が高
く酸化膜や窒化膜等の絶縁性材料の形成にも使用できる
等様々な利点により使用されている。
【0006】ところで近年、平行平板型のプラズマCV
D装置を用いて20MHz以上の高周波電源を用いたプ
ラズマCVD法の報告があり(Plasms Chemistry and P
lasms Processing, Vol.7, No.3 (1987) p267-273)、放
電周波数を従来の13.56MHzより高くすることで
堆積膜の性能を落さずに堆積速度を向上させることがで
きる可能性が示され、注目されている。また、この放電
周波数を高くする報告はスパッタリング等でもなされ、
近年広くその検討がされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところでa−Si光受
容部材を含め従来の各種光受容部材の帯電、および除電
手段としては、殆どの場合ワイヤー電極(例えば50〜
100μmφの金メッキを施したタングステン線等の金
属線)とシールド板を主構成部材とするコロナ帯電器
(コロトロン、スコロトロン)が利用されている。すな
わち該コロナ帯電器のワイヤー電極に高電圧(4〜8k
V程度)を印加することにより発生するコロナ電流を光
受容部材面に作用させて光受容部材面の帯電および、除
電を行うものである。コロナ帯電器は均一な帯電および
除電に優れる。
【0008】しかしコロナ放電に伴い、かなり大量のオ
ゾン(O3 )の発生をみる。発生オゾンは空気中の窒素
を酸化して窒素酸化物(NOX )等を生成する。さらに
は、その生成窒素酸化物等は空気中の水分と反応して硝
酸等を生じさせる。そして窒素酸化物、硝酸等のコロナ
放電生成物は感光体や周辺の機器に付着堆積して、それ
らの表面を汚損する。
【0009】このようなコロナ放電生成物は吸湿性が強
く、それを吸着した光受容部材表面は付着コロナ放電生
成物の吸湿による低抵抗化で、実質的に電荷保持能力が
全面的に、あるいは部分面的に低下して、画像ボケや画
像流れ(光受容部材表面電荷が面方向にリークして静電
荷潜像パターンが崩れる、あるいは形成されない状態)
と称される画像欠陥を生じさせる原因となる場合があ
る。
【0010】また、コロナ帯電器のシールド板内面に付
着したコロナ放電生成物は電子写真装置の稼働中のみな
らず夜間等の装置の休止中に揮発遊離する。揮発遊離し
たコロナ放電生成物は該帯電器の放電開口に対応した光
受容部材表面に付着してさらに吸湿する。このため光受
容部材表面を低抵抗化させる場合もある。このため、装
置休止後の装置再稼働時に最初に出力される一枚目、あ
るいはそれに続く数枚のコピーには、装置の休止中の帯
電器開口に対応する領域に、画像ボケ、画像流れを生じ
やすい。特にコロナ帯電器がACコロナ帯電器である場
合に生じやすい。さらに、光受容部材がa−Si系光受
容部材である場合には、上記のコロナ放電生成物による
画像ボケ、画像流れの問題が大きくなる場合がある。
【0011】すなわち、a−Si系光受容部材は他の光
受容部材に比べて帯電および除電の効率が低めで(所望
の帯電および除電電位を得るのに必要なコロナ帯電電流
量が多く)、そのためa−Si系光受容部材に対するコ
ロナ放電による帯電および除電処理は他の光受容部材の
場合よりも帯電器に印加する電圧を高くして帯電電流量
を大幅に増大させることが行われている。a−Si系光
受容部材は特に高速電子写真装置に用いられる場合が多
く、このような場合には、帯電電流量は例えば2000
μAに達する場合がある。
【0012】コロナ帯電電流量とオゾン発生量は比例的
な関係にあることから、光受容部材がa−Si系光受容
部材であり、それをコロナ帯電で帯電および除電処理す
る場合には、特にオゾンの発生量が多くなり、そのため
に前記コロナ放電生成物の発生による画像ボケ、画像流
れの問題が特に大きいものとなる場合がある。
【0013】また、a−Si系光受容部材の場合は、表
面硬度が他の感光体に比べて極めて高いため、クリーニ
ング工程等で光受容部材とともに付着物が除去されにく
く、該光受容部材表面に付着したコロナ放電生成物が、
いつまでも残留しやすい傾向にある。
【0014】そこで従来は、光受容部材に該光受容部材
を加温するためのヒーターを内蔵させたり、温風送風装
置により温風を光受容部材に送風して光受容部材表面を
加温(30〜50℃)して乾燥状態に保たせることによ
り、光受容部材表面に付着しているコロナ放電生成物が
吸湿して光受容部材表面を実質的に低抵抗化することを
防止し、画像ボケや画像流れ現象を防止する処置がとら
れることがある。特にa−Si系光受容部材の場合は、
この加温乾燥手段は不可欠なものとして電子写真装置に
組み込まれている。
【0015】このような電子写真装置の現像器は、例え
ば可動マグネット等を内蔵した回転円筒状現像剤担持体
を備えており、この担持体上に現像剤すなわち、トナー
およびトナーとキャリアーとの混合物の薄層を形成した
後、これらを静電潜像を形成した光受容部材上に静電的
に転移する方式が広く採用されている。特開昭54−4
3037、同58−144865、同60−7451等
にはこれらの方式の一例が開示されている。現像剤とし
ては、磁性粒子を含むもの、すなわちトナーとキャリア
ーの混合物、ないしはトナー中にマグネタイト等を含有
しキャリアーを含まぬもの等が使用し得る。
【0016】このような方式では、装置の休止中に、回
転円筒状現像剤担持体の光受容部材対向部が光受容部材
の熱により膨張するため、現像剤現像部における回転円
筒状現像剤担持体と光受容部材との距離が短くなる場合
がある。このため、その間の電界が強くなり現像剤が通
常よりも転移しやすくなる。また、該部位の反対面部位
は、その影響で距離が長くなるため電界が小さくなり現
像剤が通常よりも転移しにくくなる場合がある。この結
果、回転円筒状現像剤担持体の回転周期で部分的に画像
濃度が濃くなったり薄くなったりする場合があり、この
ような現像の発現は、電子写真装置の出力画像の品質を
著しく損なう場合があった。よって、光受容部材を加温
しなくても画像ボケや画像流れが発生しない光受容部材
が求められていた。
【0017】さらに、帯電、露光、現像、転写、分離、
クリーニングの各工程を順次繰り返し、ブレードによる
スクレープクリーニングを行う電子写真装置において
は、繰り返しの操作によって該光受容部材の摩擦抵抗が
徐々に上昇する場合がある。摩擦抵抗が上昇すると、残
留現像剤(トナ−)のクリーニング性が著しく低下して
しまう。
【0018】このような状態で複写工程を繰り返し行う
と、コロナ帯電器内で現像剤や該現像剤に含まれる外添
剤(チタン酸ストロンチウム、シリカ等)の微粒子が飛
散してコロナ帯電器のワイヤー電極(以後、帯電器ワイ
ヤーと記す)に付着し、放電ムラの原因となる場合があ
る。帯電器ワイヤー汚れによって放電ムラが発生する
と、正現像(光受容部材表面の非露光部を現像する方
式)においては画像上にスジ状の白抜け部、画像全面に
広がるウロコ状の黒モヤ、周期性なく局部的に発生する
黒点(0.1〜0.3mmφ)等が発生して出力画像の
品質が低下する場合がある。また、帯電器ワイヤー汚れ
が発生すると、その汚れ部と光受容部材間で異常放電が
誘発され、光受容部材表面を破壊して画像欠陥を発生さ
せる場合がある。
【0019】本発明は上記問題を解決するためになされ
たもので、その目的とするところは、帯電、露光、現
像、転写、分離、クリーニングの各工程を順次繰り返
し、ブレードによるスクレープクリーニングを行う電子
写真装置において摩擦抵抗が低く、トナーの飛散を防止
し、帯電器ワイヤー汚れが発生しない光受容部材を提供
するとともに、コロナ放電によって発生するコロナ放電
生成物の付着がない、もしくは実質的にない光受容部材
を提供し、環境条件に関わらず光受容部材の加温手段を
設けなくても画像ボケや画像流れのない高品質の画像が
得られ得る光受容部材、該光受容部材を有する電子写真
装置および、該光受容部材の製造方法を提供することに
ある。
【0020】また、本発明は減圧可能な反応容器内で、
基体上に硼素原子および窒素原子を含む非単結晶材料の
層の成膜とエッチングとを交互に複数回繰り返すことに
より、該表面層を形成する光受容部材の製造方法、該方
法によって作成された光受容部材、および該光受容部材
を有する電子写真装置および電子写真プロセスを提供す
ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、減
圧可能な反応容器内で、成膜とエッチングを交互に複数
回繰り返して少なくとも、硼素原子および、窒素原子を
含む非単結晶材料で構成された表面層を有する光受容部
材の作成方法、該方法により作成された光受容部材、該
光受容部材を有する電子写真装置および、該光受容部材
を用いた電子写真プロセスを提供するものである。
【0022】本発明において、成膜および/またはエッ
チングを放電周波数が50〜450MHzの高周波電力
を使用して行うことは好ましい。また、表面層はさらに
水素を含有してもよい。
【0023】本発明において、表面層の厚み方向全域に
フッ素原子が含有されることは好ましい。
【0024】また、エッチングに用いるガスとしてフッ
素系のガスを使用すること、また、エッチングされる膜
厚が好ましくは20オングストローム以上、より好まし
くは50オングストローム以上とすることは望ましい。
フッ素系のガスがCF4 またはCHF3 またはC26
またはClF3 であることは望ましい。
【0025】1回の成膜とエッチングとによって形成さ
れる表面層の膜厚が好ましくは10〜2000オングス
トローム、より好ましくは40〜1000オングストロ
ームとすることはより好ましい。
【0026】なお、表面層は光受容部材上に設けられて
よく、該受容層が光導電性を有するか光導電層を有して
いてもよい。光導電層は単層型としてもよく、光導電層
を機能分離型としてもよい。
【0027】本発明においては、上記方法により表面層
にフッ素原子を含有させることで表面層の撥水性を向上
させ、コロナ放電生成物の付着を効果的に防止すること
ができる。
【0028】本発明者は、硼素原子および、窒素原子、
水素原子を含む表面層に対し、該表面層の膜中に存在す
る未結合の硼素原子および窒素原子あるいはB−H結合
およびN−H結合をB−F結合およびN−F結合とする
ことにより高撥水性とする検討を行った結果、耐久性の
ある極めて高い撥水性の表面層が得られることを見出し
た。この撥水性の比較は純水の水滴を評価サンプルに載
せたときの接触角による評価であり、この接触角が大き
いほど高い撥水性を示すと評価している。
【0029】一方、例えば、特開昭61−289354
に開示されているように表面層の最表面のみをフッ素化
する場合は、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニ
ングの各工程を順次繰り返し、ブレードによるスクレー
プクリーニングを行う電子写真装置においては、トナー
およびトナーに含まれる研磨剤等により光受容層の最表
面が研磨されるために繰り返しの操作により撥水性の効
果が充分でなくなってしまうことが判明した。また、フ
ッ素系ガスを用いて積極的に表面層中にフッ素原子を取
り込む試みを行ったが、高周波電力を用いるプラズマ処
理装置を用いる場合においては膜中にフッ素原子を所望
通りに含有させることは容易でない。膜中に所望量のフ
ッ素原子を含有させることができたとしても、堆積に要
する時間が長時間に及ぶ等、より改善を望まれる点があ
る。
【0030】本発明者は上記問題について種々検討した
結果、表面層にフッ素原子を含有させる方法として、あ
らかじめ被堆積表面にフッ素原子をコートしておくこと
により、成膜時に堆積膜表面でフッ素原子と硼素原子お
よび、窒素原子が相互反応を起こし、硼素原子および窒
素原子は充分に3次元ネットワークを組みつつフッ素原
子がターミネートとして組み込まれることを発見した。
この結果、電子写真用光受容部材の表面層として充分な
機械強度をもたせながらフッ素原子を含有させることが
でき、同時に高い撥水性をもたせることが可能になっ
た。また、この方法の場合、堆積速度はフッ素原子を表
面にコートしない場合と変わらず、実用上充分な堆積速
度で成膜が可能となった。
【0031】また、表面層の成膜ガスにフッ素系のガス
を用いたとしても、周波数が50〜450MHzの高周
波電力を用いれば、堆積速度および、機械的強度を損な
わずに、効率よく膜中にフッ素原子が組み込まれること
を見出した。
【0032】さらに帯電、露光、現像、転写、分離、ク
リーニングの各工程を順次繰り返し、ブレードによるス
クレープクリーニングを行う電子写真装置において、ト
ナーおよびトナーに含まれる研磨剤等により光受容層の
最表面が研磨されても、表面保護層としての硬度、およ
び初期の摩擦抵抗を維持したまま常時フッ素を含有した
高撥水性の表面を維持できる。このため、クリーニング
性に優れ、トナーの飛散がなく、ワイヤー汚れを防止す
る効果があることを見出したものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を詳
細に説明する。図1において表面層は4層構成になって
いるが、表面層は複数の層構成であれば何層にしてもよ
いものの、一般に2〜50層の範囲とすることが好まし
い。最表面に関しては、エッチング処理を施した膜であ
ることが特に好ましい。1回の成膜で堆積される膜の厚
さは所望により適宜決められるが、好ましくは30〜2
500オングストローム、より好ましくは60〜100
0オングストロームとされる。また、各層の成膜条件は
全層一定でも条件を変化させてもよい。例えば、表面に
向かってフッ素含有量が増加するように成膜してもよ
い。
【0034】表面層の全領域にフッ素原子を含有させる
方法としては、通常の光受容層を作成するようにアモル
ファス窒化硼素(以下a−BNと記す)の薄層を堆積し
た後、フッ素系のガスを導入し、その表面のエッチング
処理を行うことによってその表面にフッ素原子を結合さ
せる。次いで、その上に再度a−BNの薄膜を堆積し、
表面反応を利用してフッ素を含有したa−BN膜を形成
する。その表面を前記と同様にしてフッ素系ガスによる
エッチング処理を行うもので、この操作を所望の厚さに
なるまで繰り返すことにより複数のフッ素原子を含有し
た領域が形成でき、これにより高硬度で高撥水性の表面
層を得ることができる。
【0035】エッチングによって除かれる層厚としては
成膜した層の厚みとの関係もあるが、好ましくは20〜
2000オングストローム、より好ましくは50〜50
0オングストロームが好ましい。
【0036】また、フッ素原子が結合した領域の厚さは
好ましくは1〜500オングストローム、より好ましく
は10〜50オングストロームとされる。エッチングに
用いるフッ素系のガスとしてはCF4 ,CHF3 ,CH
22 ,CH3 F,C26,ClF3 等のフッ素系ガ
スが好適に使用される。
【0037】図2は、本発明の高周波電源を用いたプラ
ズマCVD法による光受容部材の堆積装置の一例を模式
的に示した図である。この装置は大別すると、堆積装置
2100、原料ガスの供給装置2200、反応容器21
10内を減圧するための排気装置(図示せず)から構成
されている。堆積装置2100中の反応容器2110内
にはアースに接続された円筒状被成膜基体2112、円
筒状被成膜基体の加熱用ヒーター2113、原料ガス導
入管2114が設置され、さらに高周波マッチングボッ
クス2115を介して高周波電源2120が接続されて
いる。
【0038】原料ガス供給装置2200は、SiH4
2 ,CH4 ,NO,B26 ,CF4 等の原料ガスボ
ンベおよびエッチングガスボンベ2221〜2226と
バルブ2231〜2236,2241〜2246,22
51〜2256およびマスフローコントローラー221
1〜2216から構成され、各構成ガスのボンベはバル
ブ2260を介して反応容器2110内のガス導入管2
114に接続されている。
【0039】本発明の表面層の作成で使用される高周波
電源は、周波数が50〜450MHzの範囲のものが好
適に使用することができる。450MHz以上の放電周
波数では放電の安定性や、均一性が充分でなく、放電が
局所的に集中してしまい、その結果として堆積膜に膜厚
のムラを生じてしまう場合がある。また、出力は10〜
5000Wの範囲が好適であるが、使用する装置に適し
た電力を発生することができれば、出力の範囲は制限さ
れない。さらに、高周波電源の出力変動率は、所望の膜
を作成できるのであれば、その値は制限されない。
【0040】円筒状被成膜基体2112は導電性受け台
2123の上に設置されることによってアースに接続さ
れる。また、カソード電極2111は導電性材料からな
り、絶縁材料2121によって絶縁されている。導電性
受け台2123に用いる導電性材料としては、銅、アル
ミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、
鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレスおよび、
これらの材料の2種類以上の複合材料等が使用できる。
【0041】カソード電極2111を絶縁するための絶
縁材料としては、セラミックス、テフロン、マイカ、ガ
ラス、石英、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等の絶縁材が使用できる。
【0042】マッチングボックス2115は高周波電源
2120と負荷の整合をとることができるものであれば
如何なる構成のものでも好適に使用できる。また、整合
をとる方法としては、自動的に調整されるものが好適で
あるが手動で調整されるものであっても本発明の効果に
は全く影響はない。
【0043】高周波電力が印加されるカソード電極21
11の材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、白
金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデ
ン、チタン、ステンレスおよび、これらの材料の2種類
以上の複合材料等が使用できる。また、形状は円筒形状
が好ましいが、必要に応じて楕円形状、多角形状を用い
てもよい。
【0044】カソード電極2111は必要に応じて冷却
手段を設けてもよい。具体的な冷却手段としては水、空
気、液体窒素、ペルチェ素子等による冷却が必要に応じ
て用いられる。なお、図2のおいては反応容器2110
の周囲に絶縁シールド板が設けられている例が示されて
いる。
【0045】本発明に用いる円筒状被成膜基体2112
は、使用目的に応じた材質や形状を有するものであれば
よい。例えば、形状に関しては、電子写真用感光体を製
造する場合には、円筒状が望ましいが、必要に応じて平
板状や、その他の形状であってもよい。また、材質にお
いては、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケ
ル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステ
ンレスおよび、これらの材料の2種類以上の複合材料、
さらにはポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、
石英、セラミックス、紙等の絶縁材料に導電性材料を被
覆したもの等が使用できる。
【0046】以下、図2の装置を用いた、光受容部材の
形成方法の手順の一例について説明する。反応容器21
10内に円筒状被成膜基体2112を設置し、不図示の
排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器2110
内を排気する。続いて円筒状被成膜基体加熱用ヒーター
2113により円筒状被成膜基体2112の温度を20
〜500℃の所望の温度に制御する。次いで、光受容部
材形成用の原料ガスを反応容器2110内に流入される
にはガスボンベのバルブ2231〜2236、反応容器
のリークバルブ2117が閉じられていることを確認
し、また、流入バルブ2241〜2246、流出バルブ
2251〜2256、補助バルブ2260が開かれてい
ることを確認し、メインバルブ2118を開いて反応容
器2110およびガス供給配管2116を排気する。
【0047】その後、真空系2119の読みが5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じる。その後ガスボンベ2
221〜2226より各ガスをバルブ2231〜223
6を開いて導入し、圧力調整器2261〜2266によ
り各ガス圧を2Kg/cm2 に調整する。次に流入バル
ブ2241〜2246を徐々に開けて、各ガスをマスフ
ローコントローラー2211〜2216内に導入する。
【0048】以上の手順によって成膜準備を完了した
後、円筒状被成膜基体2112上に、まず光導電層の形
成を行う。すなわち、円筒状被成膜基体2112が所望
の温度になったところで、各流出バルブ2251〜22
56のうち必要なものと補助バルブ2260とを徐々に
開き、各ガスボンベ2221〜2226から所望の原料
ガスを、ガス導入管2114を介して反応容器2110
内に導入する。次に、各マスフローコントローラ221
1〜2216によって、各原料ガスが所望の流量になる
ように調整する。その際、反応容器2110内が1To
rr以下の所望の圧力になるように、真空計2119を
見ながらメインバルブ2118の開口を調整する。内圧
が安定したところで、高周波電源2120を所望の電力
に設定して例えば、周波数1〜450MHzの高周波電
力を高周波マッチングボックス2115を通じてカソー
ド電極2111に供給し高周波グロー放電を生起させ
る。この放電エネルギーによって反応容器2110内に
導入させた各原料ガスが分解され、円筒状被成膜基体2
112上に所望のシリコン原子を主成分とする光導電層
が堆積される。所望の膜厚の形成が行われた後、高周波
電力の供給を止め、各流出バルブ2251〜2256を
閉じて反応容器2110への各原料ガスの流入を止め、
光導電層の形成を終える。
【0049】光導電層の組成や膜厚は公知のものを使用
することができる。上記光導電層に表面層を形成する場
合も基本的には上記の操作を繰り返せばよい。つまり成
膜ガスおよびエッチングガスを交互に供給すればよい。
【0050】具体的には各流出バルブ2251〜225
6のうちの必要なものと補助バルブ2260とを徐々に
開き、各ガスボンベ2221〜2226から表面層に必
要な原料ガスをガス導入管2114を介して反応容器2
110内に導入する。
【0051】次に、各マスフローコントローラー211
1〜2216によって、各原料ガスが所望の流量になる
ように調整する。その際、反応容器2110内が1To
rr以下の所望の圧力になるように、真空計2119を
見ながらメインバルブ2118の開口を調整する。内圧
が安定したところで、高周波電源2120を所望の電力
に設定して周波数50〜450MHzの範囲に高周波電
力を高周波マッチングボックス2115を通じてカソー
ド電極211に供給し、高周波グロー放電を生起させ
る。この放電エネルギーによって反応容器2110内に
導入させた各原料が分解され、a−BN堆積膜が成膜さ
れる。所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供
給を止め、各流出バルブ2251〜2256を閉じて反
応容器2110への各原料ガスの流入を止め、堆積膜の
成膜を終える。
【0052】次に、各流出バルブ2251〜2256の
うちの必要なものと補助バルブ2260とを徐々に開
き、各ガスボンベ2221〜2226からエッチング処
理に必要なフッ素系のガスをガス導入管2114を介し
て反応容器2110内に導入する。次に、各マスフロー
コントローラー2111〜2216によって、フッ素系
ガスが所望の流量になるように調整する。その際、反応
容器2110内が1Torr以下の所望の圧力になるよ
うに、真空計2119を見ながらメインバルブ2118
の開口を調整する。内圧が安定したところで、高周波電
源2120を所望の電力に設定した周波数50〜450
MHz高周波電力を高周波マッチングボックス2115
を通じてカソード電極2111に供給し高周波グロー放
電を生起させる。
【0053】この放電エネルギーによって反応容器21
10内に導入させたフッ素系ガスが分解され前記堆積膜
と反応することにより、堆積膜のエッチング処理が行わ
れる。所望の膜厚のエッチング処理が行われた後、高周
波電力の供給を止め、各流出バルブ2251〜2256
を閉じて反応容器2110への各原料ガスの流入を止
め、堆積膜の表面のエッチング処理を終える。上記成膜
の操作と、このエッチングの操作を交互に所望の膜厚が
得られるまで繰り返すことにより、表面層304が形成
される。
【0054】なお、成膜ガスとフッ素系ガスの切り替え
においては、毎回反応容器2110内の残留ガスをパー
ジしてもよいが、膜の密着性の観点からパージを行わず
にマスフローコントローラーの流量を交互に調整し、放
電に関しても毎回放電を停止せずに連続放電を行うこと
が好ましい。膜形成を行っている間は円筒状被成膜基体
2112を駆動装置(不図示)によって所望の速度で回
転させてもよい。
【0055】この装置で作成される堆積膜の一例として
は、a−Si系感光体があり、その代表的なa−Si系
感光体の模式的な断面図を、図3(A)および図3
(B)に示す。図3(A)は光導電層303が機能分離
されていない単一の層からなる単層型感光体であり、図
3(B)は光導電層303が電荷発生層305と電荷輸
送層306とに分離された機能分離型感光体の一例であ
る。
【0056】図3(A)に示すa−Si系の光受容部材
は、アルミニウム等の導電性基体301と導電性基体3
01の表面に順次積層された電荷注入阻止層302と光
導電層303と表面層304とを有する。ここで電荷注
入阻止層302は導電性基体301から光導電層303
への電荷の注入を阻止するためのものであり必要に応じ
て設けられる。また、光導電層303は少なくともシリ
コン原子を含む非単結晶材料、好ましくは非晶質材料で
構成され光導電性を示すものである。さらに、表面層3
04は硼素原子と窒素原子、水素原子あるいはハロゲン
原子または、その両方の原子を含み、成膜とエッチング
を交互に繰り返した堆積膜であり、電子写真装置におけ
る潜像を保持する能力をもつものである。以下では電荷
注入阻止層302の有無により効果が異なる場合を除い
ては、電荷注入阻止層302はあるものとして説明す
る。また、電荷注入阻止層302の機能を光導電層30
3の中に取り込んでもよい。
【0057】図3(B)に示すa−Si系感光体は光導
電層303が少なくともシリコン原子と炭素原子を含む
非単結晶材料、好ましくは非晶質材料で構成された電荷
輸送層306と少なくともシリコン原子を含む非単結晶
材料、好ましくは非晶質材料で構成された電荷発生層3
05が順次積層された構成の機能分離型としたものであ
る。この感光体に光照射すると主として電荷発生層30
5で生成されたキャリアーが電荷輸送層306を通って
導電性基体301に至る。なお、電荷発生層305と電
荷輸送層306の配置順は図3(B)と逆、すなわち、
基体301側に電荷発生層305を設けてもよい。
【0058】図4は電子写真装置の画像形成プロセスの
一例を説明するための電子写真装置の一例を示す概略図
あって、光受容部材401は内側に設けられた面状ヒー
ター423によって温度コントロール可能とされ、必要
に応じて矢印X方向に回転する。光受容部材401の周
辺には、主帯電器402、静電潜像形成部位403、現
像器404、転写材供給系405、転写帯電器406
(a)、分離帯電器406(b),クリーナー450、
搬送系408、除電光源409等が必要に応じて配設さ
れている。
【0059】以下、さらに具体的に画像形成プロセスの
一例を説明する。光受容部材401は+6〜8kVの高
電圧を印加した主帯電器402により一様に帯電され
る。これに静電潜像部位に、ランプ410から発した光
が原稿台ガラス411上に置かれた原稿412に反射
し、ミラー413,414,415を経由し、レンズユ
ニット417のレンズ418によって結像され、ミラー
416を経由して導かれ、情報を担った光として投影さ
れ、光受容部材401上に静電潜像が形成される。この
潜像に現像器404からネガ極性トナーが供給されてト
ナー像が形成される。なお、この露光は原稿412から
の反射によらず、LEDアレーやレーザービーム、もし
くは液晶シャッター等を用いて情報を担った光を走査露
光するようにしてもよい。
【0060】一方、紙等の転写材Pは転写材供給系40
5を通って、レジストローラ422によって先端供給タ
イミングを調整され、光受容部材401方向に供給され
る。転写材Pは+7〜8kVの高電圧を印加した転写帯
電器406(a)と光受容部材401の間隙において背
面から、トナーとは逆極性の正電界を与えられ、これに
よって光受容部材表面のネガ極性のトナー像は転写材P
に転写する。次いで、12〜14kVp−p、300〜
600Hzの高圧AC電圧を印加した分離帯電器406
(b)により、光受容部材401から分離される。続い
て転写材Pは転写搬送系408を通って定着装置424
に至り、トナー像が定着されて装置外に搬出される。
【0061】光受容部材401上に残留するトナーはク
リーナー450のクリーニングローラー407、および
シリコーンゴムやウレタンゴム等の弾性材料からなるク
リーニングブレード421によって回収され、残留する
静電潜像は除電光源409によって消去される。
【0062】なお、420はブランク露光LEDで光受
容部材401の転写材Pの幅を越える部分および余白部
分等の非画像部領域に不要な現像剤が付着しないように
必要に応じて光受容部材401を露光するために設けら
れる。
【0063】図5、図6および図7はそれぞれ前記図2
とは別形態のVHFプラズマCVD法による光受容部材
の形成装置(量産型)の一例を説明するための模式図で
ある。図7は本装置の全体の模式的構成図を示し、図5
はその反応容器部の模式的縦断面図を示し、図6はその
反応容器部の模式的横断面図を示している。
【0064】図5〜図7において5100は反応容器で
あり、減圧雰囲気に維持可能な構成を有している。51
13は一端が反応容器5111内に開口し、他端が排気
装置(図示せず)に連通している排気管である。513
0は円筒状被成膜基体5115によって囲まれた放電空
間を示す。高周波電源5119は、高周波マッチングボ
ックス5112を介して電極5118に電気的に接続さ
れている。円筒状被成膜基体5115はホルダー512
1にセットした状態で回転軸5114に設置される。原
料ガス供給装置5200は、SiH4 ,H2 ,CH4
2 ,B26,CF4 等の原料ガスおよびエッチング
ガスがそれぞれ封入されたボンベ5221〜5226と
バルブ5231〜5236,5241〜5246,52
51〜5256およびマスフローコントローラー521
1〜5216を有し、各構成ガスのボンベは補助バルブ
5260を介して反応容器5100内のガス導入管51
17に接続されている。
【0065】本発明で使用される高周波電源は、少なく
とも表面層を形成するための周波数として50〜450
MHzの範囲の周波数を出力できるのであれば何でも使
用することができる。もちろん、表面層形成時とは異な
る周波数範囲の周波数を他の層(または領域)の形成の
ために出力できるようにすること、あるいは出力できる
ように、さらに別の電源を設けることは望ましい。ま
た。出力は10〜5000W以上の範囲で使用する装置
に適した電力を発生することができれば、如何なる出力
のものであっても使用できる。
【0066】さらに、高周波電源の出力変動率は、特に
制限はない。使用されるマッチングボックス5112は
高周波電源5119と負荷の整合をとることができるも
のであれば如何なる構成のものでも好適に使用できる。
また、整合をとる方法としては、自動的に調整されるも
のが好適であるが、手動で調整されるものであっても本
発明の効果には全く影響はない。
【0067】高周波電力が印加される電極5118の材
質としては銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッ
ケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ス
テンレスおよび、これらの材料の2種類以上の複合材料
等が使用できる。また、形状は円筒形状が好ましいが必
要に応じて楕円形状、多角形状を用いてもよい。
【0068】電極5118は、必要に応じて冷却手段を
設けてもよい。具体的な冷却手段としては水、空気、液
体窒素、ベルチェ素子等による冷却が必要に応じて用い
られる。
【0069】円筒状被成膜基体5115は、使用目的に
応じた材質や形状を有するものであればよい。例えば、
形状に関しては、電子写真用感光体を製造する場合に
は、円筒状が望ましいが、必要に応じて平板状や、その
他の形状であってもよい。また、材質においては、銅、
アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバル
ト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレスおよ
び、これらの材料の2種類以上の複合材料、さらにはポ
リエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロ
ースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、石英、セラ
ミックス、紙等の絶縁材料に導電性材料を被覆したもの
等が使用できる。
【0070】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではな
い。
【0071】[実施例1]図2に示すプラズマCVD装
置を用いて光受容部材を製造した。表面層は表1に示す
条件により成膜した堆積膜をエッチングすることを繰り
返して順次積層して形成した。ただし、このときの堆積
膜の膜厚を1000オングストロームとした。
【0072】
【表1】 このようにして得られた1000オングストロームの堆
積膜に対して表2に示す条件でエッチング処理を施し、
500オングストロームのエッチングを行うことを繰り
返し、トータル3000オングストロームの膜厚のフッ
素原子を含有する表面層を形成した。なおフッ素源には
CF4 ,CHF3 ,ClF3 のそれぞれのガスを用い、
3種類のフッ素源に応じて3本の光受容部材を作成し
た。
【0073】
【表2】 上記3本の光受容部材の撥水性を評価するため、接触角
計により表面の接触角を純水で測定したところ、何れの
光受容部材に関してもフッ素原子を含有しないa−BN
膜よりも、高い撥水性が得られた。次いで、この3本の
光受容部材を複写機に搭載し35℃相対湿度90%の高
温、高湿環境で促進耐久試験を行い画像流れの評価を行
った。ただし、光受容部材の加温手段は使用せずに帯
電、露光、現像、転写、分離、スクレープクリーニング
の各工程を順次繰り返した。
【0074】(促進耐久試験)耐久に使用する現像剤
は、光受容部材表面の研磨を促進するためにチタン酸ス
トロンチウム等の外添剤を含んだものを使用する。耐久
に用いる転写材は、画像流れ特性に影響を及ぼす可能性
が高いタルク等の成分を多く含んだA4版の再生紙を使
用する。また、帯電器ワイヤー汚れを促進するために全
面ベタ黒画像で5時間の通紙耐久を行う。続いて、現像
およびクリーニングの工程を解除し、帯電、および露光
の非通紙耐久を5時間行う。上記工程を1サイクルと
し、計5サイクルの促進耐久を行い、各サイクル終了毎
に画像流れ評価および、画像濃度ムラ評価を行う。
【0075】(画像流れ評価)画像流れの評価方法とし
ては、6ポイント以下の文字を全面に印字したテストチ
ャートを用いて評価した。以上の評価で得られた結果を
表3に示す。表中の記号は以下の判定結果を示すもので
ある。「○」は画像流れのない鮮明な画像を、「△」は
部分的に画像流れが発生する場合あり(実用上問題な
し)を、また「×」は画像の全面に流れが発生する場合
ありを、それぞれ表わす。
【0076】
【表3】 その結果、何れの光受容部材においても5サイクルの促
進耐久後でも画像流れおよびキズ等の画像欠陥は全く発
生しなかった。また、5サイクルの促進耐久後の接触角
を測定した結果、何れの光受容部材に関しても耐久前の
接触角と比較すると、接触角の低下は2%以下に抑えら
れていた。すなわち、98%以上の保持率でありエッチ
ング処理に用いるガス種は如何なるフッ素系のガスを用
いても初期の撥水性が維持できる。さらに、サイクル後
の帯電器ワイヤー汚れをハーフトーン濃度ムラにより評
価した。
【0077】(画像濃度ムラ評価)以下に、画像濃度ム
ラの評価方法を図4を用いて説明する。現像器404位
置における暗部電位が400Vになるように主帯電器4
02の帯電電流量を調整し、原稿台411に反射濃度が
0.3の原稿412を置き、明部電位が200Vになる
ようにハロゲンランプ410の点灯電圧を調整し、A3
版のハーフトーン画像を作成した。この画像によってワ
イヤー汚れによって発生するスジ状の濃度ムラを観察す
る。
【0078】以上の評価で得られた結果を表4に示す。
表中の記号は以下の判定結果を示すものである。「○」
は濃度ムラがなく鮮明な画像を、「△」は部分的に濃度
ムラが発生(実用上問題なし)を、また「×」は画像の
全面にスジ状の濃度ムラが発生する場合ありを、それぞ
れ表わす。
【0079】
【表4】 何れの光受容部材においても5サイクルの促進耐久後で
もワイヤー汚れによって発生するスジ状の濃度ムラは全
く発生しない。この結果からエッチング処理に用いるガ
ス種はフッ素系のガスであれば初期のクリーニング性が
維持できる。
【0080】[比較例1]図2に示すプラズマCVD装
置を用いて表1に示す条件により光受容部材を製造し
た。表面層を形成する際は、膜厚が3500オングスト
ロームの堆積膜を一度に形成し、このようにして得られ
た堆積膜を表2に示す条件で最表面のみにフッ素処理に
よる500オングストロームのエッチングを行い表面層
の膜厚を3000オングストロームとした。
【0081】なお、フッ素源にはCF4 ,CHF3 ,C
lF3 のそれぞれのガスを用い、3種類のフッ素源に応
じて3本の光受容部材を作成した。上記3本の光受容部
材の撥水性を評価するために、実施例1と同様に表面の
接触角を純水で測定したところ、何れの光受容部材に関
してもフッ素原子を含有しないa−BN膜よりも、高い
撥水性が得られた。
【0082】次いで、この3本の光受容部材を実施例1
と同様に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進
耐久試験を行い、画像流れの評価を行った。ただし、実
施例1と同様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯
電、露光、現像、転写、分離、スクレープクリーニング
の各工程を順次繰り返した。
【0083】以上の評価で得られた結果を表3に示す。
その結果、何れの光受容部材においても3サイクルの耐
久後から画像流れが発生する場合があった。上記5サイ
クル耐久後の光受容部材の接触角を測定した結果、何れ
の光受容部材に関しても耐久前の接触角の値より、50
%以下に低下していた。また、各サイクル後の帯電器ワ
イヤー汚れをハーフトーン濃度ムラにより実施例1と同
様に評価した。
【0084】以上の評価で得られた結果を表4に示す。
その結果、何れの光受容部材においても3サイクル耐久
後からワイヤー汚れによって発生するスジ状の濃度ムラ
が発生した。
【0085】[実施例2]実施例1と同様の方法によっ
てトータル3000オングストロームの膜厚になるよう
に成膜およびエッチング処理を繰り返し表面層を形成し
た。ただし、表面層形成に際し、成膜による堆積膜厚の
膜厚とフッ素処理によるエッチング膜厚は以下の表5に
示す5通りとした。なおフッ素源にはCF4 ガスを用い
た。
【0086】
【表5】 上記A〜Eの5本の光受容部材の撥水性を評価するため
に実施例1と同様に表面の接触角を純水で測定したとこ
ろ、何れの光受容部材に関してもフッ素原子を含有しな
いa−BN膜よりも、高い撥水性のものであった。
【0087】次いで、この5本の光受容部材を実施例1
と同様に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進
耐久試験を行い画像流れの評価を行った。ただし、実施
例1と同様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、
露光、現像、転写、分離、スクレープクリーニングの各
工程を順次繰り返した。
【0088】以上の評価で得られた結果を表6に示す。
その結果、何れの光受容部材においても5サイクルの促
進耐久後でも画像流れおよびキズ等の画像欠陥は全く発
生しなかった。また、5サイクルの促進耐久後の接触角
を測定した結果、何れの光受容部材に関しても耐久前の
接触角と比較すると接触角の低下は2%以下に抑えられ
ており、1回のエッチング膜厚が20オングストローム
以上であれば初期の撥水性が維持できることが判明し
た。
【0089】
【表6】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れをハーフトー
ン濃度ムラにより実施例1と同様に評価した。以上の評
価で得られた結果を表7に示す。何れの光受容部材にお
いても5サイクル耐久後でもワイヤー汚れによって発生
するスジ状の濃度ムラが発生しなかった、この結果から
1回のエッチング膜厚が20オングストローム以上であ
れば初期のクリーニング性が維持できていることが判明
した。
【0090】
【表7】 [比較例2]図2に記載のプラズマCVD装置を用いて
表1に示す条件により光受容部材を形成した。ただし、
このときの表面層は途中でエッチングすることなく連続
して成膜し、膜厚3000オングストロームとした。
【0091】この光受容部材を実施例1と同様に、35
℃、相対湿度90%の高温、高湿環境で促進耐久試験を
行い、画像流れの評価を行った。ただし、実施例1と同
様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、露光、現
像、転写、分離、スクレープクリーニングの各工程を順
次繰り返した。以上の評価で得られた結果を表6に示
す。
【0092】その結果、1サイクルの耐久後でも画像流
れが発生してしまった。上記5サイクルの耐久後の光受
容部材の接触角を測定した結果、耐久前の接触角の値よ
り50%以下に低下しており、フッ素原子を含有しない
表面層は初期の接触角が維持できていないことが確認さ
れた。
【0093】また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れ
をハーフトーン濃度ムラにより実施例1と同様に評価し
た。以上の評価で得られた結果を表7に示す。その結
果、2サイクル耐久後からワイヤー汚れによって発生す
るスジ状の濃度ムラが発生する場合があった。
【0094】[実施例3]実施例1と同様の方法によっ
て、トータル4000オングストロームの膜厚になるよ
うに表面層の成膜およびエッチング処理を複数回繰り返
し表面層を形成した。ただし、表面層の堆積膜厚とフッ
素処理によるエッチング膜厚は表8に示す6通りで行っ
た。なおフッ素源にはCF4 ガスを用いた。
【0095】
【表8】 上記F〜Kの6本の光受容部材の撥水性を評価するため
に実施例1と同様に表面の接触角を純水で測定したとこ
ろ、何れの光受容部材に関してもフッ素原子を含有しな
いa−BN膜よりも、高い撥水性が得られた。
【0096】次いで、この6本の光受容部材を実施例1
と同様に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進
耐久試験を行い画像流れの評価を行った。ただし、実施
例1と同様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、
露光、現像、転写、分離、スクレープクリーニングの各
工程を順次繰り返した。
【0097】以上の評価で得られた結果を表11に示
す。その結果、光受容部材K以外は5サイクルの耐久後
でも画像流れは全く発生しなかった。また、5サイクル
の耐久後の接触角を測定した結果、光受容部材K以外は
耐久前の接触角と比較して2%以下の低下に抑えられて
おり、初期の撥水性が維持できていた。光受容部材Kに
関しては4サイクル耐久後の接触角が耐久前の値より1
0%低下しており、5サイクル耐久後では20%の低下
であった。なお、キズ等の画像欠陥に関しては何れの光
受容部材にも発生しなかった。
【0098】また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れ
を実施例1と同様にハーフトーン濃度ムラにより評価し
た。この評価で得られた結果を表12に示す。その結
果、何れの光受容部材においても5サイクル耐久後でも
ワイヤー汚れによって発生するスジ状の濃度ムラは発生
しなかった。
【0099】以上の結果から成膜およびエッチング処理
の操作によって積層する表面層の一層当たりの膜厚は2
500オングストローム以下が好ましいことが判明し
た。なお、30オングストロームより薄くすると成膜さ
れた膜の均一性が充分でなくなる場合があることや、成
膜とエッチングの回数が増えるため総合的な表面層形成
時間が長くなる。
【0100】[実施例4]実施例1と同様の方法によっ
てトータル4000オングストロームの膜厚になるよう
に成膜およびエッチング処理を繰り返し表面層を形成し
た。ただし、表面層に関しては13.56MHzの高周
波電源を用い表9に示す条件により作成した。
【0101】
【表9】 また、表面層の堆積膜厚とフッ素処理によるエッチング
膜厚は以下の表10に示す6通りで行った。なおフッ素
源にはCF4 ガスを用いて作成した。
【0102】
【表10】 上記F’〜K’の6本の光受容部材の撥水性を評価する
ために実施例1と同様に表面の接触角を純水で測定した
ところ、何れの光受容部材に関してもフッ素原子を含ま
ないa−BN膜よりも高い撥水性が得られた。
【0103】次いで、この6本の光受容部材を実施例1
と同様に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で5サ
イクルの促進耐久試験を行い画像流れの評価を行った。
ただし、実施例1と同様に光受容部材の加温手段は使用
せずに帯電、露光、現像、転写、分離、スクレープクリ
ーニングの各工程を順次繰り返した。
【0104】以上の評価で得られた結果を表11に示
す。その結果、光受容部材K’以外は5サイクルの耐久
後でも画像流れは全く発生しなかった。また、5サイク
ルの耐久後の接触角を測定した結果、何れの光受容部材
も耐久前の接触角の値より30%以下の低下に抑えられ
ており、実用に耐え得る撥水性が維持できた。キズ等の
画像欠陥に関しては何れの光受容部材にも発生しなかっ
た。
【0105】
【表11】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れをハーフトー
ン濃度ムラにより実施例1と同様に評価した。以上の評
価で得られた結果を表12に示す。その結果、何れの光
受容部材においても5サイクル耐久後でもワイヤー汚れ
によって発生するスジ状の濃度ムラは実用上問題ないレ
ベルであることがわかった。ただし、実施例4の光受容
部材は何れも5サイクル耐久後に部分的に濃度ムラが発
生していた。
【0106】
【表12】 以上の結果から表面層の形成に用いる高周波電源の周波
数を50〜450MHzで使用することにより、膜の構
造がより緻密化され、また、フッ素原子の含有効率も向
上し、従来の13.56MHzの高周波電源を用いた場
合よりもクリーニング性がさらに向上する。
【0107】[実施例5]図2に示すプラズマCVD装
置を用いて表1に示す条件により光受容部材を製造し
た。ただし、表面層において成膜する堆積膜の1回の膜
厚を1000オングストロームとした。このようにして
得られた堆積膜に対して表2の条件でフッ素処理を施し
500オングストロームのエッチングを行う操作を繰り
返し、表13に示す膜厚のフッ素原子を含有した表面層
を形成した。なおフッ素源にはCF4ガスを用いて以下
の4通りの条件で作成した。
【0108】
【表13】 上記L〜Oの4本の光受容部材の撥水性を評価するため
に実施例1と同様の方法によりに表面の接触角を純水で
測定したところ、何れの光受容部材に関してもフッ素原
子を含有しないa−BN膜よりも高い撥水性が得られ
た。
【0109】次いで、この4本の光受容部材を実施例1
と同様に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進
耐久試験を行い画像流れの評価を行った。ただし、実施
例1と同様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、
露光、現像、転写、分離、スクレープクリーニングの各
工程を順次繰り返した。
【0110】以上の評価で得られた結果を表14に示
す。何れの光受容部材においても5サイクルの耐久後で
も画像流れおよびキズ等の画像欠陥は全く発生しなかっ
た。また、5サイクルの耐久後の接触角を測定した結
果、何れの光受容部材に関しても耐久前の接触角と比較
して2%以下の低下に抑えられており、初期の撥水性が
維持できいた。この結果から成膜およびエッチング処理
の操作を2回以上繰り返すことにより本発明の効果が得
られることが判明した。
【0111】
【表14】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れを実施例1と
同様にハーフトーン濃度ムラにより評価した。この評価
で得られた結果を表15に示す。その結果、何れの光受
容部材においても5サイクル耐久後でもワイヤー汚れに
よって発生するスジ状の濃度ムラは発生しなかった。
【0112】
【表15】 [実施例6]図2に示すプラズマCVD装置を用いて、
表16に示す条件により、光受容部材を製造した。ただ
し、表面層形成において成膜する堆積膜の1回の膜厚を
1000オングストロームとした。このようにして得ら
れた堆積膜に対して、表2に示す条件でフッ素処理によ
る500オングストロームのエッチング操作を繰り返
し、トータル3000オングストロームの膜厚のフッ素
原子を含有する表面層を形成した。
【0113】
【表16】 上記の光受容部材の撥水性を評価するために実施例1と
同様に表面の接触角を純水で測定したところ、何れの光
受容部材に関してもフッ素原子を含有しないa−BN膜
よりも、高い撥水性が得られた。
【0114】次いで、この光受容部材を実施例1と同様
に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進耐久試
験を行い画像流れの評価を行った。ただし、実施例1と
同様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、露光、
現像、転写、分離、スクレープクリーニングの各工程を
順次繰り返した。
【0115】以上の評価で得られた結果を表17に示
す。その結果、5サイクルの耐久後でも、画像流れおよ
びキズ等の画像欠陥は全く発生しなかった。また、5サ
イクルの耐久後の接触角を測定した結果、耐久前の接触
角と比較して、2%以下の低下に抑えられており、初期
の撥水性が維持できていた。
【0116】
【表17】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れを実施例1と
同様にハーフトーン濃度ムラにより評価した。この評価
で得られた結果を表18に示す。その結果、5サイクル
耐久後でもワイヤー汚れによって発生するスジ状の濃度
ムラは発生しなかった。以上の結果から表面層以外の層
構成、および放電周波数には影響されないことがわかっ
た。
【0117】
【表18】 [実施例7]図5〜図7を用いて説明したプラズマCV
D装置を用いて、表1に示す条件により光受容部材を製
造した。ただし、このとき1回の成膜による堆積膜の膜
厚を1000オングストロームとし、前記堆積膜を表2
に示す条件でフッ素処理を施すことにより500オング
ストロームのエッチングを行なう操作を繰り返し、トー
タル3000オングストロームの膜厚のフッ素原子を含
有する表面層を形成した。
【0118】上記の光受容部材の撥水性を評価するため
に実施例1と同様に表面の接触角を純水で測定したとこ
ろ、何れの光受容部材に関してもフッ素原子を含有しな
いa−BN膜よりも、高い撥水性が得られた。
【0119】次いで、この光受容部材を実施例1と同様
に、35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進耐久
試験を行い画像流れの評価を行った。この場合も実施例
1と同様に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、露
光、現像、転写、分離、スクレープクリーニングの各工
程を順次繰り返した。
【0120】以上の評価で得られた結果を表19に示
す。その結果、5サイクルの耐久後でも画像流れ、およ
びキズ等の画像欠陥は全く発生しなかった。また、5サ
イクルの耐久後の接触角を測定した結果、耐久前の接触
角と比較して2%以下の低下に抑えられており、初期の
撥水性が維持できていた。
【0121】
【表19】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れを実施例1と
同様にハーフトーン濃度ムラにより評価した。この評価
で得られた結果を表20に示す。その結果、5サイクル
耐久後でもワイヤー汚れによって発生するスジ状の濃度
ムラは発生しなかった。以上の結果から成膜装置の構成
に関わらず、本発明の製造方法によれば良好な効果が得
られることが判明した。
【0122】
【表20】 [実施例8]図2に記載のプラズマCVD装置を用い
て、表21に示す条件により光受容部材を製造した。た
だし、表面層形成において成膜する堆積膜の1回の膜厚
を1000オングストロームとした。このようにして得
られた堆積膜に対して表2に示す条件でフッ素処理によ
る500オングストロームのエッチング操作を繰り返
し、トタール3000オングストロームの膜厚のフッ素
原子を含有した表面層を形成した。
【0123】
【表21】 上記の光受容部材の撥水性を評価するために実施例1と
同様に表面の接触角を純水で測定したところ、何れの光
受容部材に関してもフッ素原子を含有しないa−BN膜
よりも高い撥水性が得られた。
【0124】次いで、この光受容部材を実施例1と同様
に35℃相対湿度90%の高温、高湿環境で促進耐久を
行い画像流れの評価を行った。ただし、実施例1と同様
に光受容部材の加温手段は使用せずに帯電、露光、現
像、転写、分離、スクレープクリーニングの各工程を順
次繰り返した。
【0125】以上の評価で得られた結果を表22に示
す。その結果、5サイクルの耐久後でも画像流れ、およ
びキズ等の画像欠陥は全く発生しなかった。また、5サ
イクルの耐久後の接触角を測定した結果、耐久前の接触
角と比較して2%以下の低下に抑えられており、初期の
撥水性が維持できていた。
【0126】
【表22】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れを実施例1と
同様にハーフトーン濃度ムラにより評価した。この評価
で得られた結果を表23に示す。その結果、5サイクル
耐久後でもワイヤー汚れによって発生するスジ状の濃度
ムラは発生しなかった。以上の結果から表面層の成膜ガ
スにフッ素系のガスを使用しても、本発明の効果が、充
分に得られた。
【0127】
【表23】 [実施例9]図2に記載のプラズマCVD装置を用い
て、表24に示す条件により光受容部材を製造した。た
だし、表面層形成において高周波電力の周波数を13.
56MHzとし、成膜する堆積膜の1回の膜厚を100
0オングストロームとした。このようにして得られた堆
積膜に対して表24に示す条件でフッ素処理による50
0オングストロームのエッチング操作を繰り返し、トー
タル3000オングストロームの膜厚のフッ素原子を含
有した表面層を形成した。
【0128】
【表24】 上記の光受容部材の撥水性を評価するために実施例1と
同様に表面の接触角を純水で測定したところ、何れの光
受容部材に関してもフッ素原子を含有しないa−BN膜
よりも高い撥水性が得られた。次いで、この光受容部材
を実施例1と同様に35℃相対湿度90%の高温、高湿
環境で促進耐久試験を行い画像流れの評価を行った。た
だし、実施例1と同様に光受容部材の加温手段は使用せ
ずに帯電、露光、現像、転写、分離、スクレープクリー
ニングの各工程を順次繰り返した。
【0129】以上の評価で得られた結果を表25に示
す。その結果、5サイクルの耐久後でも画像流れ、およ
びキズ等の画像欠陥は全く発生しなかった。また、5サ
イクルの耐久後の接触角を測定した結果、耐久前の接触
角と比較して2%以下の低下に抑えられており、初期の
撥水性が維持できていた。
【0130】
【表25】 また、各サイクル後の帯電器ワイヤー汚れを実施例1と
同様にハーフトーン濃度ムラにより評価した。この評価
で得られた結果を表26に示す。その結果、5サイクル
の耐久後でも、ワイヤー汚れによって発生するスジ状の
濃度ムラは発生しなかった。ただし、表面層形成に1.
5倍の時間を要し、さらに5サイクル耐久後の画像上の
実用上問題ないレベルのキズが発生する場合があった。
【0131】
【表26】 以上の結果から、表面層の成膜および、エッチングに用
いる放電周波数を13.56MHzとし、表面層の成膜
ガスにフッ素系のガスを用いても、本発明の効果は充分
に得られるが、堆積速度および、機械的強度を考慮する
と、表面層の成膜、およびエッチングに用いる放電周波
数は50〜450MHzを用いることが望ましい。
【0132】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明においては
50〜450MHzの高周波電力を用いた成膜およびフ
ッ素系ガスによるエッチング処理を複数回繰り返して光
受容部材を作成するので、表面層の全領域にフッ素原子
が効果的に含有される。これを電子写真装置等に用いた
場合、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニングの
各工程を繰り返してもコロナ放電生成物の付着を充分に
防止することが可能となる。
【0133】また、表面保護層としての硬度を損なうこ
とがなく、ブレードによるスクレープクリーニングを長
期間繰り返した結果、光受容部材の最表面が研磨されて
も、表面層の撥水性が維持でき、環境の違いによる水分
吸着の変化が実質的になく、光受容部材の加温手段を設
けることなく画像流れや画像ボケの発生を防止すること
が可能となった。
【0134】さらには、クリーニング性に優れ、複写工
程を繰り返し行ってもクリーニング性を維持することが
可能であり、トナー飛散に起因する帯電器ワイヤー汚れ
によって発生する画像濃度ムラを防止することが可能に
なった。加えて、光受容部材の加温が不要になることか
ら、使用できるトナー種類も格段に広げることができ
る。
【0135】なお、本発明の主旨の範囲内で適宜、変形
組み合わせを行うことができ、上記した各実施例に限定
されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光受容部材の表面層の構成の好適な一
例を示す模式的断面図。
【図2】本発明に適用可能なVHF−PCVD法により
光受容部材を製造するために用いられる堆積装置の一例
を示す模式的構成図。
【図3】本発明の光受容部材の構成例を示す模式的断面
図。
【図4】電子写真装置の一例を説明する模式的断面図。
【図5】本発明に適用可能なVHF−PCVD法により
光受容部材を製造する際に用いられる堆積装置の一例を
示す模式的縦断面図。
【図6】図5の堆積装置の模式的横断面図。
【図7】図5の堆積装置の全体構成を説明する模式的構
成図。
【符号の説明】
101 フッ素原子が拡散している領域 102 フッ素原子が結合状態で存在する領域 2100,5100 堆積装置 2110,5111 反応容器 2111,5118 カソード電極 2112,5115 導電性基体 2113,5116 基体加熱用ヒーター 2114,5117 ガス導入管 2115,5112 高周波マッチングボックス 2116 ガス配管 2117 リークバルブ 2118 メインバルブ 2119 真空系 2120,5119 高周波電源 2121 絶縁材料 2122 絶縁シールド板 2123 受け台 2200,5200 ガス供給装置 2211〜2216,5211〜5216 マスフロ
ーコントローラー 2221〜2226,5221〜5226 ボンベ 2231〜2236,5231〜5236 バルブ 2241〜2246,5241〜5246 流入バル
ブ 2251〜2256,5251〜5256 流出バル
ブ 2260,5260 補助バルブ 2261〜2266,5261〜5266 圧力調整
器 301 導電性基体 302 電荷注入阻止層 303 光導電層 304 表面層 305 電荷発生層 306 電荷輸送層 401 光受容部材 402 主帯電器 403 静電潜像形成部位 404 現像器 405 転写紙供給系 406(a) 転写帯電器 406(b) 分離帯電器 407 クリーニングローラー 408 搬送系 409 除電光源 410 ハロゲンランプ 411 原稿台 412 原稿 413〜416 ミラー 417 レンズユニット 418 レンズ 419 給紙ガイド 420 ブランク露光LED 421 クリーニングブレード 422 レジストローラー 423 面状ヒーター 424 定着器 450 クリーナー 5120 モーター 5121 ホルダー

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧可能な反応容器内で、基体上に、硼
    素原子および、窒素原子を含む非単結晶材料の層の成膜
    とエッチングを交互に複数回繰り返すことにより表面層
    を形成することを特徴とする光受容部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記エッチングに用いるガスが、フッ素
    を有するガスである請求項1記載の光受容部材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記フッ素を有するガスが、CF4 ,C
    HF3 ,C26 ,ClF3 の少なくとも何れか一種を
    含む請求項2記載の光受容部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 1回のエッチングによってエッチングさ
    れる膜厚が、20オングストローム以上である請求項1
    記載の光受容部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 1回のエッチングによってエッチングさ
    れる膜厚が、50オングストローム以上である請求項1
    記載の光受容部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記成膜の1回で堆積される膜厚が、3
    0〜2500オングストロームである請求項1記載の光
    受容部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記成膜の1回で堆積される膜厚が、6
    0〜1000オングストロームである請求項1記載の光
    受容部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記成膜とエッチングの1回の組によっ
    て形成される表面層の膜厚が、10〜2000オングス
    トロームである請求項1記載の光受容部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成膜とエッチングの1回の組によっ
    て形成される表面層の膜厚が、40〜1000オングス
    トロームである請求項1記載の光受容部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記成膜とエッチングによって、フッ
    素が結合した領域が形成される請求項1記載の光受容部
    材の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記領域の厚さが、1〜500オング
    ストロームである請求項10記載の光受容部材の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記表面層が、前記基体上に形成され
    た受容層上に形成されている請求項1記載の光受容部材
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記受容層が、光導電性を有する請求
    項12記載の光受容部材の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記受容層が、光導電層を有する請求
    項12記載の光受容部材の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記光導電層が、単層型である請求項
    14記載の光受容部材の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記光導電層が、機能分離型である請
    求項14記載の光受容部材の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記光導電層が、電荷輸送層と電荷発
    生層を有する請求項14記載の光受容部材の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記受容層が、前記基体側に電荷注入
    阻止層を有する請求項12記載の光受容部材の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記受容層が、シリコン原子を母体と
    する非単結晶材料を有する請求項12記載の光受容部材
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記表面層が、さらにフッ素原子を含
    有する請求項1記載の光受容部材の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記非単結晶材料の層が、非晶質材料
    を含む請求項1記載の光受容部材の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記表面層の成膜に用いる高周波電力
    が、50〜450MHzである請求項1記載の光受容部
    材の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記表面層のエッチングに用いる高周
    波電力が、50〜450MHzである請求項1記載の光
    受容部材の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記表面層の成膜とエッチングに用い
    る高周波電力が、50〜450MHzである請求項1記
    載の光受容部材の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記受容層の成膜に用いる高周波電力
    が、1〜450MHzである請求項12記載の光受容部
    材の製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項1記載の光受容部材の製造方法
    によって作成された光受容部材。
  27. 【請求項27】 請求項1記載の光受容部材の製造方法
    によって作成された光受容部材を有する電子写真装置。
  28. 【請求項28】 請求項1記載の光受容部材の製造方法
    によって作成された光受容部材を用い、帯電、露光、現
    像、転写、クリーニングの各工程を順次行う電子写真プ
    ロセス。
  29. 【請求項29】 前記光受容部材を、加熱手段により加
    熱することなく行う請求項28記載の電子写真プロセ
    ス。
  30. 【請求項30】 減圧可能な反応容器内で、基体上に形
    成された受容層上に、硼素原子および、窒素原子を含む
    非単結晶材料の層を成膜とエッチングとを用いて形成さ
    れた表面層を光受容部材を加熱することなく順次、該光
    受容部材を帯電すること、帯電された該光受容部材に光
    を照射し静電潜像を形成すること、前記光照射された光
    受容部材の表面を現像してトナー像を形成すること、該
    形成されたトナー像を記録材上に転写すること、トナー
    像を転写した後の前記光受容部材の表面をクリーニング
    すること、の各プロセスを有する電子写真プロセス。
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