JPH1017627A - ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体 - Google Patents

ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体

Info

Publication number
JPH1017627A
JPH1017627A JP19273796A JP19273796A JPH1017627A JP H1017627 A JPH1017627 A JP H1017627A JP 19273796 A JP19273796 A JP 19273796A JP 19273796 A JP19273796 A JP 19273796A JP H1017627 A JPH1017627 A JP H1017627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
thermoplastic resin
weight
modified thermoplastic
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19273796A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Miyajima
元 宮島
Shoji Kajiwara
章次 梶原
Takao Morikawa
隆夫 森川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP19273796A priority Critical patent/JPH1017627A/ja
Publication of JPH1017627A publication Critical patent/JPH1017627A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペレット化が可能で、取り扱いが容易なう
え、他の熱可塑性樹脂を配合して得られる熱可塑性樹脂
組成物の成形品のフィッシュアイ発生が大幅に改良さ
れ、光沢、耐衝撃性に優れたゴムリッチABS樹脂系の
造粒体を提供すること。 【解決手段】 ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族
ビニル化合物(b)およびシアン化ビニル化合物(c)
を重合して得られ、(a)成分の含有率が50〜80重
量%、(b)成分の含有率が5〜48重量%、(c)成
分の含有率が2〜45重量%〔ただし、(a)+(b)
+(c)=100重量%〕であり、しかも本文で規定す
るQ値が30×10-4〜500×10-4cc/秒である
ゴム変性熱可塑性樹脂を主体とする造粒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムリッチなゴム
変性熱可塑性樹脂の造粒体に関し、さらに詳細には造粒
形成性に優れ、例えば押し出し工程でストランドが引け
てペレット化が可能であり、さらにはこの造粒体に他の
熱可塑性樹脂を配合することにより得られる熱可塑性樹
脂組成物の成形品の耐衝撃性、光沢に優れ、かつフィッ
シュアイ発生の不良現象が大幅に改良されたゴム変性熱
可塑性樹脂造粒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム変性熱可塑性樹脂として、ABS樹
脂、AES樹脂が広く知られ、工業的に大量に使用され
ている。ABS樹脂の製造法としては、下記の2つの方
法が一般に知られている。 ゴム状重合体5〜25重量%の存在下に、スチレンと
アクリロニトリルからなる単量体75〜95重量%を重
合して得る方法。 ゴム状重合体40〜45重量%の存在下にスチレンと
アクリロニトリルからなる単量体55〜60重量%を重
合して得られる高ゴム含有率のABS樹脂(以下「ゴム
リッチABS樹脂」という)を、別途、重合して得られ
たスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)に
配合し、配合物中のゴム状重合体の含有率を5〜25重
量%に調節することでABS樹脂を得る方法(この方法
で得られたABS樹脂を、以下「ブレンドタイプABS
樹脂」という)。 上記のの方法は、ゴムリッチABS樹脂の配合量を適
宜選択すること、AS樹脂の種類を適宜選択すること
で、各種の品質の異なる多種類のABS樹脂を生産性良
く製造することができる。しかし、ABS樹脂業界で
は、さらなるコストダウンが要求されている。このコス
トダウンの対応策としては、ゴムリッチABS樹脂のゴ
ム含有率をさらに高め、これに、生産性に優れ低コスト
のAS樹脂の配合量を高めることで、ブレンドタイプA
BS樹脂の生産性を高める方法が考えられる。しかし、
ゴムリッチABS樹脂のゴム含有率を従来品に比べて高
めると、造粒形成性が悪く、例えば押し出し工程でスト
ランドが引けないためペレット化ができず、また押し出
し機内部での熱劣化による焼け異物の増加や色調の低下
が発生する。さらには、最終製品のフィッシュアイが増
加するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ゴム含有率
を高めたゴムリッチABS樹脂の有している上記の課題
を解決し、ペレット化が可能で、またペレット状にする
ことで、ブロッキングや粉舞いが起こらず、取り扱いが
容易なうえ、成形品の耐衝撃性、光沢に優れ、かつフィ
ッシュアイ発生が大幅に改善されたゴムリッチABS樹
脂系の造粒体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゴム状重合体
(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)およびシ
アン化ビニル化合物(c)を重合して得られ、(a)成
分の含有率が50〜80重量%、(b)成分の含有率が
5〜48重量%、(c)成分の含有率が2〜45重量%
〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量%〕で
あり、しかも本文で規定するQ値が30×10-4〜50
0×10-4cc/秒であるゴム変性熱可塑性樹脂を主体
とする造粒体を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂
は、ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合
物(b)、シアン化ビニル化合物(c)を重合して得ら
れ、(a)成分の含有率が50〜80重量%、(b)成
分の含有率が5〜48重量%、(c)成分の含有率が2
〜45重量%、Q値が30×10-4〜500×10-4
c/秒である。
【0006】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂のベースゴ
ムとなるゴム状重合体(a)としては、例えばポリブタ
ジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合
体(スチレン含量5〜60重量%が好ましい)、スチレ
ン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、エチレン−α−オレフィン系共重合体、エ
チレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、アクリル
ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共
重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素
化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタ
ジエン系重合体、エチレン系アイオノマーなどが挙げら
れる。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、
スチレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、
ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造
を有するものなどが含まれる。さらに、水素化ブタジエ
ン系重合体は、上記ブロック共重合体の水素化物のほか
に、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム
共重合体のブロック体の水素化物、ポリブタジエン中の
1,2−ビニル結合含量が20重量%以下のブロックと
1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタ
ジエンブロックからなる重合体の水素化物などが含まれ
る。これらのゴム状重合体(a)は、1種単独でまたは
2種以上で使用される。好ましい(a)成分としては、
ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン(スチレン含量
5〜60重量%が好ましい)共重合体から選ばれた少な
くとも1種の共役ジエン系ゴムであり、さらに好ましく
はポリブタジエン/スチレン−ブタジエン共重合体=5
0〜99/1〜50(重量%)の割合からなる混合物で
ある。
【0007】また、ゴム変性熱可塑性樹脂に用いられる
芳香族ビニル化合物(b)としては、例えばスチレン、
t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチ
レン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、ビニル
ピリジン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジク
ロロスチレン、モノブロモスチレン、フルオロスチレ
ン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げら
れ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。こ
れらの芳香族ビニル化合物は、1種単独であるいは2種
以上混合して用いられる。また、シアン化ビニル化合物
(c)としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルが挙げられる。
【0008】本発明の目的に対しては、上記(b)〜
(c)成分以外に、支障のない範囲で他のビニル系単量
体を使用することができる。他のビニル系単量体とし
て、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルア
クリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシル
アクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリ
レートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクレー
ト、エチルメタクレート、プロピルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシル
メタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレ
ート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
トなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水
イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;
アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N
−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−ま
たはβ−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミ
ド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、ア
リルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸ア
ミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メ
タクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物、
3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−
ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸
基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサ
ゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。これらの
他のビニル系単量体は、1種または2種以上で使用され
る。他のビニル系単量体の含有率は、(a)成分を除い
た成分中、好ましくは20重量%以下、さらに好ましく
は10重量%以下である。
【0009】ゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム状重合体
(a)成分の含有率は、50〜80重量%、好ましくは
52〜75重量%、さらに好ましくは56〜74重量%
である。(a)成分の含有率が50重量%未満では、生
産性の改良効果が充分でなく、一方80重量%を超える
と、フィシュアイの発生が多くなり、外観性・耐衝撃性
が大巾に低下し、また造粒形成性が悪くペレット化が難
しく、さらにペレット化において焼け樹脂による異物が
混入し、成形品の外観を悪化させる。また、ゴム変性熱
可塑性樹脂中の芳香族ビニル化合物(b)の含有率は、
5〜48重量%、好ましくは5〜46重量%、さらに好
ましくは、13〜41重量%である。また、シアン化ビ
ニル化合物(c)の含有率は、2〜45重量%、好まし
くは2〜43重量%、さらに好ましくは3〜31重量%
である。(b)成分が5重量%未満の場合、(b)成分
が48重量%を超える場合、(c)成分が2重量%未満
の場合、(c)成分が45重量%を超える場合のいずれ
の場合にも、フィシュアイ発生の不良現象の改良効果、
外観性の改良効果、耐衝撃性の改良効果のいずれか少な
くとも1つが充分でなく、三者をともに目的のレベルに
維持することができない。
【0010】ゴム変性熱可塑性樹脂のQ値は、30×1
-4〜500×10-4cc/秒、好ましくは50×10
-4〜400×10-4cc/秒、さらに好ましくは70×
10-4〜400×10-4cc/秒である。Q値が30×
10-4cc/秒未満であっても、500×10-4cc/
秒を超えても、ともにストランド切れが生じてペレット
化できない場合があり、またフィシュアイの発生が多く
なり、外観性が劣り、耐衝撃性も充分でない。
【0011】ここで、Q値の測定条件を以下に示す。 測定に供する樹脂は、110℃×60分の条件におけ
る揮発物質含有率を0.1重量%以下に調整する。 Q値の測定条件 測定装置;島津フローテスター CAPILLARY
RHEOMETERCFT−500 測定条件; サンプル量 :1.8g プランジャー面積:1.0cm2 ダイのサイズ :2.0mm長×1.0mmφ 予熱の温度と時間:200℃×5分 測定温度 :200℃ 荷重 :60kg/cm2
【0012】なお、ゴム変性熱可塑性樹脂のグラフト率
は、5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。
グラフト率が5重量%未満であると、造粒形成性が悪
く、ペレット化が難しく、また得られる成形品のフィシ
ュアイの発生が多く、外観性、耐衝撃性が劣る。グラフ
ト率は、下記の方法で測定される。ここでグラフト率と
は、ゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム量に対し、ゴム状重
合体に直接グラフト結合している共重合体成分の割合を
いう。このグラフト率は、重合開始剤量、重合温度など
によって制御することができる。このグラフト率の具体
的な求め方は、まず本発明のゴム変性熱可塑性樹脂2g
を室温のアセトンに投入し、充分撹拌し、不溶解分
(w)を求める。一方、不溶解分(w)中のゴム状重合
体量は、重合処方をもとに算出することができる。この
算出されたゴム状重合体総量をRとし、次式よりグラフ
ト率を求める。 グラフト量(重量%)=〔(w−R)/R〕×100
【0013】なお、乳化重合の場合、ゴム変性熱可塑性
樹脂に使用されるゴム状重合体(a)のラテックスの平
均粒子径は、好ましくは50〜600nm、さらに好ま
しくは100〜500nm、特に好ましくは150〜4
50nmであり、この範囲にあると、本発明のゴム変性
熱可塑性樹脂造粒体を用いて得られる熱可塑性樹脂組成
物のアイゾット衝撃強度、光沢に優れたものとなる。
【0014】ここで、平均粒子径は、ゴム状重合体
(a)ラテックスをオスミウム酸で処理し、これを例え
ば大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA
−3100を用い、電子顕微鏡写真にとり(倍率;3万
倍)、粒子100個以上について粒子径を測定し、数平
均より算出した値である。なお、ゴム状重合体(a)の
ラテックスの平均粒子径は、乳化剤量、重合開始剤量、
重合温度などの選定により、これらを組み合わせて目的
とするラテックスが得られる。
【0015】また、本発明において、ゴム変性熱可塑性
樹脂に用いられるゴム状重合体(a)のラテックスのゲ
ル含量は、好ましくは50〜100重量%、さらに好ま
しくは60〜95重量%である。ゲル含量が、50重量
%未満の場合には、ゴムの変形量が大きく、本発明のゴ
ム変性熱可塑性樹脂造粒体を用いて得られる熱可塑性樹
脂組成物の光沢度が低下し好ましくない。特に、ゲル含
量が60〜95重量%の場合には、得られる熱可塑性樹
脂組成物は、耐衝撃性、ウエルド、光沢などの外観が求
められるグレード、例えば電気製品、OA機器などに適
している。
【0016】ここで、ゲル含量とは、ゴム状重合体
(a)のラテックスフィルム(Ag)を、100mlの
トルエンに50℃で2時間攪拌下で浸漬したのち、12
0メッシュ金網を用いてろ過し、ろ液の一部(Cml)
を正確に採取して蒸発乾固させ、得られた残存固形分
(トルエン可溶分;Bg)を秤量し、下記式によってゲ
ル含量とした値である。 ゲル含量(重量%)={〔A−B×(100/C)〕/
A}×100
【0017】このゲル含量の調整は、分子量調整剤の種
類、量を選ぶことによって容易に実施することができ
る。そのほか、ゲル含量の調整は、架橋剤の添加、重合
時の重合開始剤量、重合開始温度などの選定があり、こ
れらを組み合わせて目的とするゴム状重合体(a)のラ
テックスを得ることができる。
【0018】上記ゴム変性熱可塑性樹脂の(a)成分、
(b)成分、(c)成分の含有率は、重合時にそれら成
分の仕込量により適宜調整することができる。また、ゴ
ム変性熱可塑性樹脂中の(a)成分、(b)成分、
(c)成分含有率は、それら成分の仕込量と重合転化率
などから求めることができる。また、他の方法として
は、公知の定量分析法でも求めることができる。ゴム変
性熱可塑性樹脂のQ値の調整は、重合時に使用する連鎖
移動剤、開始剤などの種類・量を適宜選択する方法、重
合温度を適宜選択する方法、ゴム状重合体(a)のゲル
含量、分子量を適宜選択することで行なえる。
【0019】なお、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂のメ
チルエチルケトン可溶分の極限粘度(メチルエチルケト
ン、30℃)は、好ましくは0.1〜0.5dl/g、
さらに好ましくは0.15〜0.4dl/gである。
0.1dl/g未満では、得られるゴム変性熱可塑性樹
脂の耐衝撃性が低下し、一方0.5dl/gを超える
と、フィッシュアイの発生が多くなり、成形外観性が劣
る。この極限粘度は、連鎖移動剤や重合開始剤の種類・
量、重合温度を適宜選択することにより、容易に調整す
ることができる。
【0020】ゴム変性熱可塑性樹脂の製造方法として
は、特に限定されるものではないが、好ましい重合法と
しては、乳化重合法である。乳化重合に際しては、重合
開始剤、連鎖移動剤および乳化剤などが使用される。
【0021】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂の製造時に
使用する重合開始剤として、各種の有機過酸化物が用い
られる。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド
類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイ
ド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケター
ル類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類な
どが挙げられる。また、過硫酸カリウム、アゾビスイソ
ブチロニトリルなどの重合開始剤も、用いることができ
る。有機過酸化物は、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキ
シレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレー
ト処方の混合処方などの還元剤との組み合わせによって
も使用される。上記有機過酸化物の中で、さらに好まし
くはハイドロパーオキサイド類、アルキルパーエステル
類、パーカーボネート類である。これらの有機過酸化物
は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混
合して用いることもできる。また、−O−O−結合を2
つ以上有する有機過酸化物を用いると、一段と優れた本
発明の効果が得られる。
【0022】上記開始剤の使用量は、ゴム成分と単量体
成分の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部、
好ましくは0.1〜2重量部である。0.01重量部未
満ではモノマー転化率が低く、未反応単量体が多く残
り、生産上好ましくない。一方、5重量部を超えると、
グラフトされた共重合体の分子量が著しく低下し、充分
な耐衝撃性が得らず、また得られる熱可塑性樹脂の色調
が著しく悪化する。
【0023】また、連鎖移動剤としては、例えばハロゲ
ン化炭化水素類(例えば、クロロホルム、ブロモホルム
など)、メルカプタン類(例えば、n−ドデシルメルカ
プタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメル
カプタン、n−ヘキサデシルメルカプタンなど)、メル
カプトプロピオン酸エステル(例えば、ドデシルメルカ
プトプロピオネート、オクチルメルカプトプロピオネー
トなど)、テルペン類(例えば、ジペンテン、ターピノ
ーレンなど)、α−メチルスチレンダイマーが挙げられ
る。連鎖移動剤の使用量は、ゴム成分と単量体成分の合
計100重量部に対し、2重量部以下、好ましくは1.
5重量部以下である。連鎖移動剤の使用量が2重量部を
超えると、グラフトした共重合体の分子量が低下し、充
分な耐衝撃性が得られず、また造粒形成性が悪く、ペレ
ット化できない場合がある。
【0024】乳化重合に用いられる乳化剤としては、ア
ニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および両
性界面活性剤が挙げられる。このうち、アニオン性界面
活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステ
ル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸
塩、リン酸系などが挙げられる。また、ノニオン性界面
活性剤としては、通常、ポリエチレングリコールのアル
キルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェノ
ール型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤とし
ては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分
としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つもの
が挙げられる。この両性界面活性剤の具体例としては、
ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン
類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニ
ン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ
(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのもの
などが用いられる。これらの乳化剤は、1種単独で使用
することも、あるいは2種以上を混合して用いることも
できる。乳化剤の使用量は、ゴム成分と単量体成分の合
計100重量部に対し、通常、0〜5重量部程度であ
る。
【0025】グラフト重合に際しては、パーオキサイ
ド、乳化剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各
種電解質、pH調整剤などを併用して、ゴム成分(固形
分換算)および単量体成分の合計100重量部に対し
て、通常、水を100〜500重量部と、上記パーオキ
サイド、乳化剤、連鎖移動剤などを上記範囲内の量使用
し、通常、重合温度5〜120℃、重合時間0.1〜2
0時間の条件で重合される。
【0026】通常、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂は、
上記の乳化重合により得られるラテックスを、通常法に
より凝固させ、得られた粉末を水洗したのち、乾燥する
ことによって製造される。このようにして得られるゴム
変性熱可塑性樹脂の粉体の粒径は、標準フルイを用いて
行う乾式分級による測定において、下記およびの条
件を満たしていることが好ましい。 φ0.15mm(=150μm)以下(100メッシ
ュパス分)が全体の40重量%以下。 φ0.85mm以上(18.5メッシュパスオン)が
全体の10重量%以上。 この範囲外にあると、ペレット化の際に、押し出し機な
どで脈動を起こし、安定運転ができない場合や、最終製
品のフィッシュアイが増加する場合があり、好ましくな
い。この粒径は、凝固時の凝固剤の種類および量、温度
などにより、容易に調整することができる。
【0027】得られるゴム変性熱可塑性樹脂の造粒方法
は、上記粉体を単独でもしくは他の熱可塑性樹脂と混合
したものを、ルーダーでペレット化する方法、押し出し
機で凝固・脱水処理するプロセスで粒体を得る方法など
が挙げられる。ここで、他の熱可塑性樹脂として好まし
いものは、シアン化ビニル化合物および芳香族ビニル化
合物からなる熱可塑性樹脂であり、その使用量として
は、ゴム変性熱可塑性樹脂との合計量に対し、55重量
%以下、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは
45重量%以下である。得られるペレット(造粒体)形
状は、円柱状、角柱状、または球状であり、〜
の場合、底面積3〜30mm2 、好ましくは4〜9m
2 、高さ2〜10mm、好ましくは3〜4mm程度、
の場合、体積が4〜165mm3 、好ましくは6.4
〜36mm3 程度である。一般のゴムリッチABS樹脂
は、押し出し工程でストランドが引けず、ペレット化が
できない。また、押し出し機内部での脈動が発生し易
く、樹脂が滞留して焼け、異物が発生する。しかしなが
ら、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂は、Q値が上記範囲
内にあり、流動性に優れているため、ペレット化の際、
例えば溶融ダイから押し出された溶融ストランドが脈動
することなく、容易にペレタイザーに導入され、ペレッ
ト化することができる。従って、本発明のゴム変性熱可
塑性樹脂は、ペレット化することができるので、他の熱
可塑性樹脂とのブレンド工程において、簡単な混合機で
ブレンドすることができ、高品質な製品が得られ、また
ブレンドの生産性に優れる。また、貯蔵効率、デリバリ
性に優れる。このように、ゴムリッチなABS樹脂系の
樹脂をペレット化できることは、生産技術として、重要
である。
【0028】なお、ペレット化前の本発明のゴム変性熱
可塑性樹脂の粉体には、粉体特性を改善するために、シ
リコーンオイルおよび滑剤を配合することができる。こ
のシリコーンオイルは、ゴムリッチのゴム変性熱可塑性
樹脂粉体のブロッキングを防止するとともに、該樹脂の
耐衝撃性を向上させることができる。このシリコーンオ
イルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチル
シロキサン、ポリメチル・フェニルシロキサン、または
これらの変性物などで代表されるオルガノポリシロキサ
ン類が挙げられる。シリコーンオイルは、分散性および
ハンドリング面より、分子量が好ましくは2,300〜
60,000、動粘度が好ましくは30〜10,000
cs(25℃)である。シリコーンオイルは、ゴム変性
熱可塑性樹脂の重合後のラテックス系、凝固・乾燥工程
における仕上げ工程、粉体のいずれにも添加することが
できる。シリコーンオイルの添加量は、本発明のゴム変
性熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜6重量
部、好ましくは0.02〜5重量部である。0.01重
量部未満では、ブロッキング防止の効果に乏しく、また
耐衝撃性が向上しない。一方、6重量部を超えると、押
し出し機での吐出不良や最終製品でのシルバーストリー
ク、黒モヤ、フィッシュアイなどの成形外観不良を引き
起こす。
【0029】また、滑剤は、シリコーンオイルと併用す
ることにより、ゴム変性熱可塑性樹脂の耐衝撃性をさら
に向上させるとともに、ゴムリッチのゴム変性熱可塑性
樹脂粉体の長期の粉体保管が可能となる。この滑剤とし
ては、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸バ
リウム、ミリスチン酸カドミウムなどの脂肪酸金属塩、
オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステ
アリルアミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチ
レンビスオレイン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ブチル
ステアレート、ステアリルステアレート、ソルビタンモ
ノステアレートなどのソルビタンステアリン酸エステ
ル、ペンタエリスリトールテトラステアレートなどのペ
ンタエリスリトールステアリン酸エステル、オレイン酸
モノグリセリドなどのグリセリン脂肪酸エステル、硬化
ひまし油などの脂肪酸エステル、ステアリルアルコール
などの高級アルコールなどが挙げられるが、好ましくは
脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの併用である。滑剤の添
加量は、ゴム変性熱可塑性樹脂100重量部に対し、
0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部で
ある。0.1重量部未満では、ゴム変性熱可塑性樹脂粉
体のさらなる耐衝撃性の向上と長期保管の効果に乏し
く、一方20重量部を超えると、耐熱性の低下や、シル
バーストリーク、黒モヤ、焼けなどの成形外観不良を引
き起こす。滑剤も、ゴム変性熱可塑性樹脂の重合後のラ
テックス系、凝固・乾燥工程における仕上げ工程、粉体
のいずれにも添加することができる。
【0030】また、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂造粒
体は、他の熱可塑性樹脂を配合し、熱可塑性樹脂組成物
とすることができる。ここで、他の熱可塑性樹脂として
は、例えばゴム状重合体含有率が50重量%未満のAB
S樹脂・AES樹脂・AAS樹脂、AS樹脂、HIP
S、PSなどのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのオレフィン系樹脂;PA6、PA6,
6、PA4,6、PA12などポリアミド樹脂;ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリアリレートなどのポリエステル樹脂;ポリカーボネ
ート樹脂、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレ
ンエーテル/スチレン系樹脂などのポリフェニレンエー
テル系樹脂;ポリアセタール、塩化ビニル樹脂、ポリス
ルフォン、PPS、ポリエーテルスルフォン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、EVOHなどがあり、これらは
1種または2種以上併用して使用することができる。
【0031】好ましい他の熱可塑性樹脂としては、下記
の、それぞれ単独あるいはとの併用が挙げられ
る。 ゴム状重合体の存在下に、芳香族化合物、シアン化ビ
ニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド
系単量体の群から選ばれた少なくとも2種の群からなる
単量体を重合して得られ、かつゴム状重合体含有率が5
0重量%未満の他のゴム変性熱可塑性樹脂。なお、ここ
でのゴム状重合体、単量体は上記に示したものが挙げら
れる。また、このゴム変性熱可塑性樹脂のメチルエチル
ケトン可溶分の固有粘度(メチルエチルケトン中、30
℃)は、0.1〜1dl/gのものが好ましく、さらに
好ましくは0.2〜0.6dl/gである。 芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メ
タ)アクリル酸エステル、マレイミド系単量体の群から
選ばれた少なくとも2種の群からなる単量体を重合して
得られ、かつ固有粘度(メチルエチルケトンを溶媒とし
て、30℃で測定)が好ましくは0.2〜1.3dl/
g、さらに好ましくは0.3〜1dl/g、特に好まし
くは0.35〜0.7dl/gである共重合体。 上記のとしては、例えばABS樹脂、AES樹脂、A
AS樹脂、MBS樹脂などが挙げられ、その中で好まし
くはABS樹脂、AES樹脂である。上記のとして
は、下記の共重合体が挙げられる。 (イ)芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の共
重合体。好ましい組成割合は、前者の単量体が50〜9
9重合%、後者が1〜50重量%である。 (ロ)芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステ
ルの共重合体。 (ハ)芳香族ビニル化合物とマレイミド系単量体と必要
に応じて、シアン化ビニル化合物および/または(メ
タ)アクリル酸エステルからなる共重合体。なお、上記
のマレイミド系単量体に代えて、不飽和酸無水物単量体
を用い、得られた共重合体をイミド化して、得られる後
イミドタイプの共重合体もここに含まれる。ここでの芳
香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)ア
クリル酸エステル、マレイミド系単量体は、上記に示し
たそれらのものと同じである。
【0032】ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体と他の熱可塑
性樹脂を含む上記熱可塑性樹脂組成物中の各成分の組成
比率は、ゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム状重合体(a)
が該組成物中に好ましくは3〜35重量%含有されるよ
うに、それぞれの成分を適宜配合する。(a)成分のさ
らに好ましい上記含有率は、5〜25重量%である。
(a)成分の含有率が3重量%未満であると、充分な耐
衝撃強度が得られない。一方、35重量%を超えると成
形品が軟かくなり、好ましくない。一方、他の熱可塑性
樹脂として、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂以外の他の
ゴム変性熱可塑性樹脂を用いた場合、他のゴム変性熱可
塑性樹脂に含有されているゴム状重合体(以下
「(a′)成分」という)の扱いを下記のとおりとす
る。(a′)成分も(a)成分とみなし、下記の条件を
満たすものとする。〔(a)+(a′)〕の含有率が3
〜35重量%、かつ(a)の含有率が3〜35重量%と
する。好ましくは〔(a)+(a′)〕の含有率が5〜
25重量%、かつ(a)の含有率が5〜25重量%であ
る。
【0033】上記熱可塑性樹脂組成物は、本発明のゴム
変性熱可塑性樹脂造粒体と他の熱可塑性樹脂と必要に応
じて、各種の添加剤を混練りして製造される。混練方法
としては、押し出し機、ロール、バンバリーミキサー、
ニーダーなどを用いる方法がある。好ましい方法として
は、押し出し機を用いる方法であり、押し出し機として
は単軸押し出し機、二軸押し出し機などがある。上記、
混練方法を用いて各種成分を混練りするに際し、全成分
を一括して混練りしてもよく、一部の成分を先に混練り
し、残りの成分を一括または分割して添加混練りしても
よい。また、ゴム変性熱可塑性樹脂にも必要に応じて、
各種の添加剤を添加することができる。また、混練りを
必要とするときは、上記に示した方法で混練りすること
ができる。各種の添加剤としては、公知の着色剤、顔
料、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱老化
防止剤、可塑剤、抗菌・防カビ剤などが挙げられる。本
発明のゴム変性熱可塑性樹脂造粒体は、通常、上記他の
熱可塑性樹脂をブレンドして熱可塑性樹脂組成物とし、
これを、射出成形、シート押し出し、真空成形、異形押
し出し、インジェクションプレス、発泡成形、ブロー成
形、中空成形などによって各種成形品を成形することが
できる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は、特に断わ
らない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価
は、次のようにして測定した値であり、また各成分は、
次のようにして調製した。
【0035】〔評価方法〕Q値の測定 測定に供する樹脂は、110℃×60分の条件におけ
る揮発物質含有率を0.1%以下に調整したものを用い
た。 Q値の測定条件 測定装置:島津フローテスター CAPILLARY RHEOMETER CFT−5
00 測定条件: サンプル量 ;1.8g プランジャー面積;1.0cm2 ダイのサイズ ;2.0mm長×1.0mmφ 予熱の温度と時間;200℃×5分 測定温度 ;200℃ 荷重 ;60kg/cm2
【0036】ペレット形成性 乳化重合によって得たゴム変性熱可塑性樹脂粉体とシリ
コーンオイルおよび滑剤などを、表2〜3の割合でヘン
シェルミキサーで混合したもの、および場合によって
は、他の熱可塑性樹脂を加えたものを、ユニメルト式ス
クリューベント式押し出し機(仕様;スクリュー内径=
φ40mm、L/D=28)を用い、スクリュー回転数
60rpm、溶融温度(1C=190℃、2C〜5C=
200℃、NH=210℃)で押し出し、ストランドの
吐出性、得られる造粒体(ペレット)中の焼け樹脂、異
物の有無などを調べた。ここで、評価基準は、通常のA
BS樹脂のペレット化とほぼ同等の運転状況であるもの
を◎、ほとんどペレット化運転のできない運転状況であ
るものを×と判定した。
【0037】ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体と他の熱可塑
性樹脂の混合方法 ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体と他の熱可塑性樹脂を表4
〜5に示す割合でタンブラー式ミキサーを用いて混合
し、その混合物をシリンダーセット温度200℃の押し
出し機により、ペレットを得た。テストピースの成形方法 上記の方法で得たペレットを成形材料として、下記の成
形条件で光沢測定用テストピース、ならびにアイゾット
衝撃強度測定用テストピースを成形した。 成形機 ;80トン インラインスクリュータイプ成
形機 金型温度;50℃±5℃ 成形機設定条件; シリンダーセット温度:200℃ 射出圧力 :一次圧75〜95kg/cm2
G、2次圧50kg/cm2 G 背圧 :5kg/cm2 G 成形サイル :インジェクション15秒、ロー
ディング10秒、キュアリング40秒、サイクルスター
ト2秒
【0038】光沢度の測定 デジタル変角光沢計〔スガ試験機(株)製 DGITA
L VARIABLEGROSS METER UGV
−5D〕を用い、入射角および受光角を45℃で測定し
た。アイゾット衝撃強度の測定 ASTM D256(1/4″、ノッチ付、単位=kg
・cm/cm)で測定した。フィシュアイの測定方法 下記の方法で、フィシュアイ測定用シートサンプルを作
成し、フィシュアイを測定した。 220℃の加温した50トンプレス機を用意する。 上記の方法で得たペレットをSUS製モールド板(3
0×30cm×0.5mm)にはさむ(10〜15
g)。 そのままプレス機にはさみ、0〜0.5kg/cm2
の圧をかけ5分間加温する。 圧をゆっくりかけていき(10kg/cm2 まで)モ
ールド板の間よりはみ出して来たペレットサンプル(溶
融)をゆっくりと引き出す。 サンプルをフィルム状に引き出し、厚さ約10〜30
μmの薄さで1m以上引き出す。 フィルムサンプル上に直径3.57cmの円(面積1
0cm2 )を描き、円内のフィシュアイを数える(直径
0.2mm以上のもの)。 上記を3点行ない、合計を面積で割って1cm2
たりの個数を求め、フィシュアイの評価とする。その個
数が1個以下の場合を良好、1個を超える場合を不良と
判定した。
【0039】参考例1〔ゴム変性熱可塑性樹脂ABS−
1〜8の調製〕 フラスコ内に、ポリブタジエンゴムラテックスを固形分
換算で50部、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴムラ
テックスを固形分換算で10部加え、イオン交換水15
0部、スチレン7部、アクリロニトリル3部、t−ドデ
シルメルカプタン0.2部をさらに加えてフラスコ内温
度を60℃に昇温したのち、ピロリン酸ナトリウム0.
2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、ブドウ糖0.4
部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加え、クメン
ハイドロパーオキサイド0.1部をさらに加えて重合を
開始し、温浴温度を70℃に保った。1時間重合させた
のち、スチレン21部、アクリロニトリル9部、t−ド
デシルメルカプタン0.5部、クメンハイドロパーオキ
サイド0.2部を2時間かけて連続的に添加し、さらに
1時間重合させて反応を完結させた。得られた共重合体
ラテックスを硫酸を用いて凝固し、水洗、乾燥した。表
1に示すABS−1を得た。
【0040】表1のABS−2およびABS−3は、A
BS−1のクメンハイドロパーオキサイドに代えて、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートおよびジ
−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート
を用い、他はABS−1と同様の条件で重合を行なっ
た。表1のABS−4〜8はABS−1の処方で、ゴム
量、t−ドデシルメルカプタン量を適宜変量し、他はA
BS−1と同様の条件で行なった。
【0041】参考例2〔添加剤の調製〕 シリコーンオイル; KF96−100:信越シリコーン(株)製、ジメチル
ポリシロキサン〔動粘度=100cs(25℃)、分子
量=約6,000〕 滑剤; エチレンビスステアリルアミド〔(以下「EBS」とも
いう):ステアリン酸マグネシウム:
【0042】参考例3〔他の熱可塑性樹脂の調製〕 AS−1;スチレン75%とアクリロニトリル25%の
共重合体であり、〔η〕(メチルエチルケトン可浴分の
固有粘度)は0.4dl/g AS−2;スチレン75%とアクリロニトリル25%の
共重合体であり、〔η〕は0.6dl/g
【0043】参考例4(ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体P
−1〜9の調製〕 表2〜3に示す添加剤を配合して、ユニメルト式押し出
し機でペレット化し、ペレット1〜9を得た。ペレット
1〜6は、Q値が本発明の範囲内のゴム変性熱可塑性樹
脂の造粒体である。また、ペレット7〜9は、本発明の
範囲外のゴム変性熱可塑性樹脂の造粒体である。ペレッ
ト1〜6は、ペレット7〜9との比較から明らかなとお
り、異物などの発生がなく、ペレット化が可能である。
【0044】実施例1〜9、比較例1〜3 実施例1〜9は、本発明の範囲内のゴム変性熱可塑性樹
脂造粒体に、他の熱可塑性樹脂を配合した熱可塑性樹脂
組成物である。また、比較例1〜3は、Q値が本発明の
範囲外のゴム変性熱可塑性樹脂造粒体に、他の熱可塑性
樹脂を配合した熱可塑性樹脂組成物である。配合処方な
らびに評価結果を表4〜5に示す。実施例1〜9は、比
較例1〜3との比較から明らかなとおり、本発明のゴム
変性熱可塑性樹脂造粒体を用いた熱可塑性樹脂組成物の
成形品は、光沢、耐衝撃性に優れ、フィシュアイ発生の
不良現象も改良されている。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】注1)スクリューの過負荷により、運転継
続が困難。 注2)ストランドが切れやすいうえ、ペレット形状が安
定せず、運転継続困難。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】本発明のゴム変性熱可塑性樹脂造粒体
は、高ゴム成分含量であっても、造粒が可能であり、こ
の造粒体に他の熱可塑性樹脂を配合して得られる熱可塑
性樹脂組成物の成形品は、光沢、成形外観性、耐衝撃性
に優れ、かつフィシュアイ発生の不良現象が大巾に改良
されている。そして、本発明のゴム変性熱可塑性樹脂造
粒体は、高ゴム成分含有率であるために、少量で耐衝撃
性改良効果が得られるので、展開性に対応しやすい。そ
の上、AS樹脂などの熱可塑性樹脂は、生産性に優れ、
かつ低コストであるので、それに配合することにより、
生産性に優れ、低コストのABS樹脂を大量に製造する
ことができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族
    ビニル化合物(b)およびシアン化ビニル化合物(c)
    を重合して得られ、(a)成分の含有率が50〜80重
    量%、(b)成分の含有率が5〜48重量%、(c)成
    分の含有率が2〜45重量%〔ただし、(a)+(b)
    +(c)=100重量%〕であり、しかも本文で規定す
    るQ値が30×10-4〜500×10-4cc/秒である
    ゴム変性熱可塑性樹脂を主体とする造粒体。
JP19273796A 1996-07-04 1996-07-04 ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体 Pending JPH1017627A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19273796A JPH1017627A (ja) 1996-07-04 1996-07-04 ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19273796A JPH1017627A (ja) 1996-07-04 1996-07-04 ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1017627A true JPH1017627A (ja) 1998-01-20

Family

ID=16296231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19273796A Pending JPH1017627A (ja) 1996-07-04 1996-07-04 ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1017627A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2896331B2 (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP4618692B2 (ja) ゴム含有グラフト重合体及び熱可塑性樹脂組成物
JP3235411B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物
JPH08259777A (ja) 肥大化ゴムラテックスおよびそれを用いたabs系樹脂組成物
JP3173378B2 (ja) 粉体組成物
JP2015178567A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品
JP3537954B2 (ja) ゴム強化スチレン系樹脂の製法
JP2000017170A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2006193582A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JPH11286587A (ja) 熱可塑性樹脂組成物および塗装成形品
JPH08319327A (ja) ゴム状重合体およびそれを用いたabs系樹脂
JPH1017627A (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂造粒体
JP3340631B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0525227A (ja) 熱可塑性樹脂
JP3216466B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物
JPH10120740A (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂の製造方法
JP3218981B2 (ja) ゴム変性ビニル系重合体およびその組成物
JPH10158508A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
WO2017104508A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3985287B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3270154B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH1017628A (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂の製造方法
JPH09263680A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH10298375A (ja) ゴム変性耐熱性スチレン系樹脂組成物
JPH1030047A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20001114