JPH10176245A - 低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレールおよびその 製造方法 - Google Patents

低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレールおよびその 製造方法

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JPH10176245A
JPH10176245A JP33810696A JP33810696A JPH10176245A JP H10176245 A JPH10176245 A JP H10176245A JP 33810696 A JP33810696 A JP 33810696A JP 33810696 A JP33810696 A JP 33810696A JP H10176245 A JPH10176245 A JP H10176245A
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JP
Japan
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rail
resistance
bainite
hardness
less
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JP33810696A
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English (en)
Inventor
Sadahiro Yamamoto
定弘 山本
Hiroyasu Yokoyama
泰康 横山
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐損傷性に優れ、パーライト型レ
ールと同等以下の低電気抵抗を有する高強度ベイナイト
レールおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 mass%で、C:0.25〜0.65
%、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.30〜
1.50%、P:0.035%以下、S:0.035%
以下、Mo:0.50〜2.00%、Cr:0.10〜
1.00%、Nb:0.05〜0.15%を含有し、残
部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組成のレール
で、不等式:14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+1.1Mo+6.4(Nb+
V)+7≦27.0(但し、式中の元素記号はそれぞれのmas
s%を表す)を満たし、前記レールの金属組織が全面均
質なベイナイト組織であり、前記レールの硬度が頭頂及
び頭部コーナー部のいずれの位置においてもHv400
以上である低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレー
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来のパーライト
型熱処理レールと同等以下の低電気抵抗を有する高強度
ベイナイトレールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高荷重下で使用されるレール鋼に
は耐摩耗性、耐転動疲労特性重視の観点からパーライト
鋼を用い、パーライトラメラーの微細化を主体とした高
強度化のみが指向されてきた。しかし近年、鉄道輸送に
おけるより一層の高速化、高軸重化に伴いレールの使用
条件はますます厳しいものになってきている。特にアメ
リカ、カナダにおいて鉱石を運搬する高軸重鉄道では、
曲線外軌のゲージコーナー部のシェリング損傷および曲
線内軌の頭頂面に発生するフレーキング損傷が問題視さ
れている。
【0003】このような耐シェリング性、耐フレーキン
グ性を飛躍的に向上させる耐損傷レールとして、従来の
微細パーライト鋼から全く発想を変え、ベイナイト組織
を有する高強度ベイナイトレールが提案されている。こ
れらのベイナイトレールは、頭頂部と頭部コーナー部に
硬度差をつけることで耐損傷性を高めたものと、摩耗の
促進により耐損傷性を高めたものに大別される。前者の
例は、特開平2-282448号公報、特開平6-336614号公報、
特開平7-34133号公報に開示されており、後者の例は、
特開平5-271871号公報、特開平8-92696号公報に開示さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなベ
イナイトレールは、いずれもC含有量を低くした代わり
にMn,Cr,Moなどの合金元素を多量に含有しているため、
従来のパーライト型熱処理レールに比べて電気抵抗(固
有抵抗率)が高い。レールの電気抵抗は、鉄道の信号の
作動に影響を与える。これは、鉄道の信号がレールに信
号電流を流すことにより車両の有無を検出しているため
である。
【0005】一般に、信号の誤作動を防止するために
は、レールに流す信号電流の抵抗損失を少なくすること
が必要である。従って、従来技術では、高強度ベイナイ
トレールを実敷設した場合、信号の誤作動が生じ易くな
る。このように、高強度ベイナイトレールは電気抵抗が
高いということが問題である。
【0006】また、摩耗の促進により耐損傷性を高めた
特開平5-271871、特開平8-92696号公報記載のベイナイ
トレールについては、海外の鉱山鉄道のような高軸重条
件下で使用した場合、レール頭部の摩耗が著しく促進さ
れレールの寿命が極端に短くなるという問題もある。
【0007】このように高速運転条件下における急曲線
区間、あるいは海外の鉱山鉄道のような高荷重条件下で
要求される耐摩耗性及び耐損傷性に加えて、高強度ベイ
ナイトレールにおける電気抵抗の低減は重要な課題であ
るが、従来の技術においては、このような観点から系統
的な検討が行われた例は無い。
【0008】本発明はこのような問題に鑑みなされたも
ので、従来のパーライト型熱処理レールに比べ耐摩耗
性、耐損傷性に優れ、パーライト型熱処理レールと同等
以下の低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレールおよ
びその製造方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、
(a)mass%で、 C:0.25〜0.65% Si:0.05〜0.30% Mn:0.30〜1.50% P:0.035%以下 S:0.035%以下 Mo:0.50〜2.00% Cr:0.10〜1.00% Nb:0.05〜0.15% を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組
成のレールであり、(b)前記成分組成は次の不等式を
満たし、 14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+1.1Mo+6.4(Nb+V)+7≦27.0 (但し、式中の元素記号はそれぞれのmass%を表
す) (c)前記レールの金属組織が全面均質なベイナイト組
織であり、(d)かつ、前記レールの硬度が頭頂及び頭
部コーナー部のいずれの位置においてもHv400以上
である低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレールであ
る。
【0010】本発明における硬度、化学成分、製造条件
についての限定理由を述べる。 (1)硬度(耐摩耗性、耐損傷性) 耐摩耗性 硬度がHv400以上ならば摩耗量が高強度微細パーライ
トレールと同程度以下になる。耐摩耗性については実際
に敷設した場合の摩耗量で評価することが最も望ましい
が、西原式摩耗試験機を用いて実敷設レールの接触条件
をシミュレートした比較試験により評価する方法も有効
である。この試験法を用いれば短期間で耐摩耗性を評価
することができる。
【0011】そこで、これらの点について詳細に検討す
るため、0.35C-0.35Si-Mn-1Cr-0.3Mo-0.06Nb鋼を用いて
摩耗試験を行った。鋼の硬さは、Mn添加量を変化させて
変えた。表1に、摩耗試験に用いた鋼(0.35C-0.35Si-Mn
-1Cr-0.3Mo-0.06Nb鋼)の成分を示す。
【0012】
【表1】
【0013】摩耗試験は、外径30mm、幅8mmの西
原式摩耗試験片を用い、接触荷重250kg、すべり率
−10%、潤滑剤無しの乾燥条件で行い、50万回回転
後の摩耗減量を測定した。また固有抵抗値の測定には外
径6mm、長さ100mmの丸棒試験片を用い、20℃におい
て測定を行った。
【0014】図1は、この摩耗試験の結果から作成し
た、硬さ(ビッカース硬さHv)の増加に伴う摩耗減量
および固有抵抗率の変化を示す図である。図中には従来
のパーライト型熱処理レールの値も加えた。Mnの増加
に伴う硬さの上昇に伴い摩耗減量は減少する。同一硬さ
で比較した場合、ベイナイト鋼はパーライト鋼に比べ摩
耗量が多いが、硬さを400まで高めることによりパーラ
イト型熱処理レールと同等の耐摩耗性が得られる。一
方、固有抵抗値はMnの増加に伴う硬さの上昇と共に連
続的に増加し、本成分系の場合Hv400ではパーライト
型熱処理レールの1.18倍となる。
【0015】図1に示したように、摩耗減量は硬度、ミ
クロ組織の影響を受ける。硬度の増加に伴い摩耗減量が
減少し、同一硬度においてはパーライト組織よりもベイ
ナイト組織のほうが摩耗減量が大きいが、ベイナイト鋼
においても、硬さをHv400以上とすることにより、摩
耗減量が高強度微細パーライトレールと同程度以下にな
り、高強度微細パーライトレールより優れた耐摩耗性が
得られる。
【0016】 耐損傷性 ベイナイト組織において硬さがHv275以上ならば高強
度微細パーライトレールと同等以上の耐損傷性が得られ
る。
【0017】各種損傷のうち、塑性変形を伴うフレーキ
ング損傷はその抑制が最も重要視されている損傷の1つ
である。フレーキング損傷はマトッリクスの塑性フロー
と疲労強度が複雑に影響した現象であると考えられてお
り、その抑制には塑性フローが生じ難く疲労強度が高い
ことが重要である。
【0018】フレーキング損傷に関しても実敷設による
評価が最も望ましいが、西原式摩耗試験機を用いてフレ
ーキング損傷の発生をシミュレートした比較試験により
評価する方法も有効である。この試験法を用いれば短期
間で耐フレーキング損傷性を評価できる。
【0019】図3はフレーキング損傷試験の試験片形状
と試験方法の概略を示す図である。表1に成分を示した
鋼を用い、図3に示すサンプルを用いて接触荷重50k
g、すべり率−20%、油潤滑の条件で耐フレーキング
損傷特性を調べた。
【0020】図2は、フレーキング損傷試験の結果から
作成した硬さとフレーキング発生寿命の関係を示す図で
ある。同一硬さで比較した場合、0.2%耐力の高いベ
イナイト鋼は、微細パーライト組織の高強度レール鋼よ
りもフレーキング発生寿命が長い。図より、ベイナイト
組織であれば硬さがHv275以上ならば、現在使用され
ている高強度微細パーライトレール鋼よりも優れた耐フ
レーキング損傷性が得られる。
【0021】従って、ベイナイト組織の場合、硬度がH
v400以上であれば、前述の耐摩耗性とともに耐損傷
性も、現在使用されている高強度微細パーライトレール
と同等以上の特性が得られる。そこでこの発明では、硬
さを頭頂部、頭部コーナー部のいずれの位置においても
Hv400以上とした。なお、頭頂部の一部の硬さが低下
すると、相対的に耐摩耗性、耐損傷性が低下することに
なるため、頭部は均一硬さであることが必要である。
【0022】(2)化学成分 次に、固有抵抗率について検討した。表2に、試験に用
いた鋼の成分を示す。ここでは、0.4C-0.4Cr-1.0Mo-0.0
7Nb-0.05V鋼において、Si量を3レベル設定し、それぞれ
のSiレベルにおいてMn添加量により強度を変化させた。
なお、固有抵抗率の測定は、前述に同じである。
【0023】
【表2】
【0024】図4は、得られた結果から作成した硬さと
固有抵抗率の関係を示す図である。Mn量の増加に伴う硬
さの上昇とともに固有抵抗率は増加するが、同一硬さで
比較した場合、Si含有量が低いほど固有抵抗率が低い。
【0025】同様に、CrとMoのバランスを変えた場合に
ついても検討した。表3に、試験に用いた鋼の成分を示
す。ここでは、0.25C-0.25Si-0.1Nb-0.03V鋼において、
Cr-Moバランスを変化させ、それぞれにおいてMn添加量
により硬さを変化させた。
【0026】
【表3】
【0027】図5は、得られた結果から作成した硬さと
固有抵抗率の関係を示す図である。Mn量の増加に伴う硬
さの上昇とともに固有抵抗率は増加するが、同一硬さで
比較した場合、Cr含有量が低く、Mo含有量が高いほど固
有抵抗率が低い。
【0028】これらの試験結果をもとに、固有抵抗率に
及ぼす成分元素の影響を鋭意検討した。その結果、ベイ
ナイト組織における固有抵抗率について、次のように成
分元素の影響を整理することができた。ベイナイト組織
における固有抵抗率は次の式であらわされるパラメータ
Rと良い相関がある。
【0029】 R= 14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+1.1Mo+6.4(Nb+V)+7 ここで、式中の元素記号はそれぞれのmass%を表
す。
【0030】図6は、このパラメータRと固有抵抗率の
関係を示す図である。ベイナイト組織におけるパラメー
タRと固有抵抗率は、ほぼ同一の直線上に乗っている。
このパラメータRの値を27.0以下とすることにより、高
強度微細パーライトレールと同等以下の低電気抵抗(固
有抵抗率:27μΩ・cm以下)が得られる。
【0031】以下に、個々の成分組成の限定理由を述べ
る。Cは、硬さおよび耐摩耗性を確保するための必須元
素であり、0.25%未満ではレール鋼としての硬さ、
耐摩耗性を確保することが難しい。また、0.65%を
超えるとレール頭部に均一なベイナイト組織が得られず
マルテンサイトが生成し、これを起点とする損傷が発生
するようになる。従って、Cは0.25〜0.65%に
限定した。
【0032】Siは、脱酸剤として有効な元素である
が、0.05%未満ではその効果が認められない。また
図4に示したように、高強度ベイナイト組織において低
電気抵抗を確保するためには、低いほうが望ましいた
め、その上限を0.30%とする。従って、Siは、
0.05〜0.30%に限定する。
【0033】Mnは、ベイナイト変態温度を低下させ焼
入性を高めることによりレールの高強度化に寄与する元
素である。しかし、0.30%未満ではその効果が小さ
い。添加量の増加とともに固有抵抗値を大幅に増加させ
る。図4、5では硬さの上昇に伴い固有抵抗値が増加し
ているが、これは前述のようにMnの添加により硬さを
上昇させているので、Mnの影響を示すと言える。ま
た、添加量の増加に伴い、鋼のミクロ偏析によるマルテ
ンサイト組織を生じ易く、熱処理時及び溶接時に硬化や
脆化を生じ材質劣化を来すので好ましくない。従って、
Mnは、0.30〜1.50%に限定する。
【0034】Moは、ベイナイト変態を促進する重要な
元素であり、また本発明で明らかにした Cr-Moバランス
と固有抵抗率の関係(図5)のように、固有抵抗率を低
く抑えたまま大幅な高硬度化が達成できる。その効果を
効率良く活用するには0.50%以上が必要であるが、
2.00%を超えると鋼のミクロ偏析によるマルテンサ
イト組織を生じ易く、熱処理時及び溶接時に硬化や脆化
を生じ材質劣化をきたすので好ましくない。従って、Mo
は、0.50〜2.00%に限定する。
【0035】Pは、靭性を劣化させることから、0.0
35%以下と限定する。
【0036】Sは主に介在物の形態で鋼中に存在する
が、0.035%を超えるとこの介在物量が著しく増加
し、脆化による材質の劣化を引き起こすので0.035
%以下と限定する。
【0037】Crは、ベイナイト変態を促進する重要な
元素であり、本発明鋼のようにミクロ組織をベイナイト
組織として高強度化を図るために非常に重要な元素であ
る。0.10%未満ではベイナイト焼入性が低く、ミク
ロ組織が均一なベイナイト組織とならない。一方、図5
に示したように、Cr-Moバランスで見るとCrが高くMoが
低いほど同一硬度における固有抵抗値が高いことから、
1.00%を上限とした。従って、Crは、0.10〜
1.00%に限定する。
【0038】Nbは、ベイナイト変態を促進させるこ
と、またベイナイト中のCと結び付いて圧延後に析出す
ることから、頭部の内部まで析出強化により硬度を高く
し耐摩耗性を向上させ、レールの寿命を延ばすために有
効である。また耐遅れ破壊特性の向上にも効果がある。
ただし、この効果は0.05%未満の添加では有効では
なく、0.15%を超えて添加してもその効果は飽和し
てしまう。従って、Nbは、0.05〜0.15%に限
定する。
【0039】請求項2の発明は、請求項1記載の成分組
成においてさらに、 Ni:0.10〜1.00% V:0.01〜0.10% のうち、1種以上を含有することを特徴とする請求項1
記載の低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレールであ
る。
【0040】この発明では、請求項1の発明にさらにN
i又はVを添加している。以下に、個々の成分組成の限
定理由を述べる。
【0041】Niは、ベイナイト変態を促進せしめ、高
強度化するのに有効な元素であるが、0.1%未満では
その効果が認められない。一方、1.0%を超えた添加
ではその効果が飽和してしまう。従って、この範囲内で
添加することが有効であり、Niは、0.10〜1.0
%に限定する。
【0042】Vは、ベイナイト中のCと結び付いて圧延
後に析出することから、頭部内部まで析出強化により硬
度を高くし耐摩耗性を向上させ、レールの寿命を延ばす
ために有効である。ただし、この効果は0.01%未満
の添加では有効ではなく、また0.10%を超えて添加
してもその効果は飽和してしまう。従って、Vは0.0
1〜0.10%に限定する。
【0043】請求項3記載の発明は、(a)mass%
で、 C:0.25〜0.65% Si:0.05〜0.30% Mn:0.30〜1.50% P:0.035%以下 S:0.035%以下 Mo:0.50〜2.00% Cr:0.10〜1.00% Nb:0.05〜0.15% を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組
成を有し、(b)前記成分組成が次の不等式を満たす鋼
を用いて、 14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+1.1Mo+6.4(Nb+V)+7<27.0 (但し、式中の元素記号はそれぞれのmass%を表
す) (c)前記鋼を、圧延仕上温度を750〜1000℃の
条件で熱間圧延してレールに成形し、(d):次いでベ
イナイト変態開始点以上の温度から400℃以下まで
を、放冷ないし5℃/s以下の冷却速度で冷却して、全体
をベイナイト変態させる低電気抵抗を有する高強度ベイ
ナイトレールの製造方法である。
【0044】この発明と次の請求項4の発明は製造方法
の発明であり、両者まとめて説明する。
【0045】請求項4の発明は、請求項3記載の成分組
成においてさらに、 Ni:0.10〜1.00% V:0.01〜0.1% のうち、1種以上を含有させた請求項3記載の低電気抵
抗を有する高強度ベイナイトレールの製造方法である。
【0046】これらの発明では、請求項1又は請求項2
の発明と同じ成分組成の鋼を用いて高強度ベイナイトレ
ールを製造する。以下、製造条件の限定理由について説
明する。
【0047】まず、圧延仕上温度が750℃未満では未
再結晶オーステナイトからフェライトが生成し易く、強
度が著しく低下する。また圧延仕上温度が1000℃を
超えるとオーステナイト粒が粗大化し、熱間圧延後の靭
性の確保が困難になる。従って、圧延仕上温度を750
℃以上1000℃以下とする。
【0048】冷却速度に関しては、本出願成分範囲の場
合、空冷でもベイナイト組織が得られ必要な強度が確保
できるため、加速冷却を施さなくても問題はない。加速
冷却を行った場合は同一成分で高硬度が得られるため、
耐摩耗性、耐損傷性が一層向上する。しかし、冷却速度
が5℃/sを超えるとマルテンサイトが生成し靭性が著し
く低下する。従って、冷却速度を放冷ないし5℃/s以下
とする。
【0049】なお、全体をベイナイト変態させる理由
は、部分的にベイナイト組織以外の組織が出現すること
により、耐磨耗性が損なわれることと、パラメータRと
固有抵抗率との相関が失われ、成分組成の調製により目
的とする低い固有抵抗率が得られなくなることを防ぐた
めである。
【0050】
【発明の実施の形態】この発明の高強度ベイナイトレー
ルに用いる鋼は、通常の転炉製鋼法または電気炉製鋼法
で容易に製造することができる。成分組成は、この発明
で規定するもの以外は、通常の不純物として含まれてい
てもよいことは言うまでもない。
【0051】圧延は、通常のレール圧延の方法であれ
ば、いずれの方法でも可能である。圧延後は通常の空冷
でよい。なお、部分的にベイナイト組織以外の組織が出
現するような徐冷に近いような放冷を避けることは言う
までもない。通常の空冷であればベイナイト組織が得ら
れるので問題ない。
【0052】
【実施例】
(実施例1)表4に示す成分を有する供試鋼を1250
℃に加熱し、800℃で圧延を終了後、No.1 を除き放
冷した。No.1 については圧延後2℃/sで加速冷却し
た。耐摩耗性、耐損傷性、電気抵抗の評価法について
は、前述(1)、と同じ手法を用いた。これらの試
験結果を表4に追記する。
【0053】
【表4】
【0054】この表で、No.1 は従来の熱処理型パーラ
イトレール、その他はベイナイト型レールである。いず
れのベイナイト型レールにおいてもフレーキング発生寿
命は熱処理型パーライトレールよりも優れているが、本
発明の成分、硬さの条件を満たしていないNo.7 は熱処
理型パーライトレールよりも固有抵抗値が高くまた耐摩
耗性が劣る。またNo.2 、3、4、9は本発明の硬さの条件
は満たしているものの固有抵抗値に関する本発明条件で
あるパラメータR≦27.0( 14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+
1.1Mo+6.4(Nb+V)+7≦27.0)を満たしていないため、熱
処理型パーライトレールよりも固有抵抗値が高い。これ
に対し、No.5 、6、8、10、11は本発明条件をいずれも
満たしているため、熱処理型パーライトレールよりも優
れた耐摩耗性、耐損傷性、低電気抵抗を有している。
【0055】(実施例2)表5に示す成分を有する供試
鋼を1270℃に加熱し、900℃で圧延を終了後1.
7℃/sで350℃まで加速冷却した。耐摩耗性、耐損傷
性、固有抵抗率の評価法については、前述(1)、
と同じ手法を用いた。これらの試験結果を表5に追記す
る。
【0056】
【表5】
【0057】この表では、いずれも固有抵抗値に関する
本発明条件であるパラメータR≦27.0を満たしている。
従って、いずれも低電気抵抗を有している。しかし、N
o.12、14は本発明の成分、硬さの条件を満たしていない
ため、熱処理型パーライトレールよりも耐摩耗性が劣
る。一方、No.13 、15〜19はいずれも本発明条件を満た
すため、熱処理型パーライトレールよりも優れた耐摩耗
性、耐損傷性、低電気抵抗を有している。
【0058】(実施例3)表6に示す成分を有する供試
鋼を1250℃に加熱し、780℃で圧延を終了後放冷
または400℃まで加速冷却を行った。耐摩耗性、耐損
傷性、電気抵抗の評価法については、前述(1)、
と同じ手法を用いた。これらの試験結果を表6に追記す
る。
【0059】
【表6】
【0060】この表で、No.20 〜28はいずれも本発明条
件を満たすため、冷却条件にかかわらず、熱処理型パー
ライトレールよりも優れた耐摩耗性、耐損傷性、低電気
抵抗を有している。
【0061】
【発明の効果】本発明により、熱間圧延後空冷又はオン
ラインで熱処理することにより、従来のパーライト型熱
処理レールに比べ耐摩耗性及び耐損傷性に優れかつパー
ライト型熱処理レールと同等以下の低電気抵抗を有する
高強度ベイナイトレールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬さの増加に伴う摩耗減量および固有抵抗率の
変化を示す図である。
【図2】硬さとフレーキング発生寿命の関係を示す図で
ある。
【図3】フレーキング損傷試験の試験片形状と試験方法
の概略を示す図である。
【図4】硬さと固有抵抗率の関係を示す図である。(S
iレベルの影響)
【図5】硬さと固有抵抗率の関係を示す図である。(C
r−Moバランスの影響)
【図6】発明のパラメータRと固有抵抗率の関係を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/48 C22C 38/48

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)mass%で、 C:0.25〜0.65% Si:0.05〜0.30% Mn:0.30〜1.50% P:0.035%以下 S:0.035%以下 Mo:0.50〜2.00% Cr:0.10〜1.00% Nb:0.05〜0.15% を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組
    成のレールであり、(b)前記成分組成は次の不等式を
    満たし、 14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+1.1Mo+6.4(Nb+V)+7≦27.0 (但し、式中の元素記号はそれぞれのmass%を表
    す) (c)前記レールの金属組織が全面均質なベイナイト組
    織であり、(d)かつ、前記レールの硬度が頭頂及び頭
    部コーナー部のいずれの位置においてもHv400以上
    である低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレール。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成分組成においてさら
    に、 Ni:0.10〜1.00% V:0.01〜0.10% のうち、1種以上を含有することを特徴とする請求項1
    記載の低電気抵抗を有する高強度ベイナイトレール。
  3. 【請求項3】 (a)mass%で、 C:0.25〜0.65% Si:0.05〜0.30% Mn:0.30〜1.50% P:0.035%以下 S:0.035%以下 Mo:0.50〜2.00% Cr:0.10〜1.00% Nb:0.05〜0.15% を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる成分組
    成を有し、(b)前記成分組成が次の不等式を満たす鋼
    を用いて、 14.3C+15.5Si+5.4Mn+6.2Cr+1.1Mo+6.4(Nb+V)+7<27.0 (但し、式中の元素記号はそれぞれのmass%を表
    す) (c)前記鋼を、圧延仕上温度を750〜1000℃の
    条件で熱間圧延してレールに成形し、(d):次いでベ
    イナイト変態開始点以上の温度から400℃以下まで
    を、放冷ないし5℃/s以下の冷却速度で冷却して、全体
    をベイナイト変態させる低電気抵抗を有する高強度ベイ
    ナイトレールの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の成分組成においてさら
    に、 Ni:0.10〜1.00% V:0.01〜0.1% のうち、1種以上を含有させた請求項3記載の低電気抵
    抗を有する高強度ベイナイトレールの製造方法。
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