JPH1017492A - 腫瘍細胞増殖抑制剤 - Google Patents

腫瘍細胞増殖抑制剤

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JPH1017492A
JPH1017492A JP8189886A JP18988696A JPH1017492A JP H1017492 A JPH1017492 A JP H1017492A JP 8189886 A JP8189886 A JP 8189886A JP 18988696 A JP18988696 A JP 18988696A JP H1017492 A JPH1017492 A JP H1017492A
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metalloprotease
tumor
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cancer
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Motoo Nakajima
元夫 中島
Ikuo Saiki
育夫 済木
Toru Oku
亨 奥
Akira Shinagawa
朗 品川
Kayoko Yonezawa
佳代子 米沢
Hideaki Tokai
秀明 東海
Kazushi Iwata
和士 岩田
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Fuji Yakuhin Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腫瘍細胞に作用してその増殖を抑制すること
のできる薬剤を提供する。 【解決手段】 マトリックスメタロプロテアーゼ類(M
MPs)の阻害剤であるティシュ インヒビター オブ
メタロプロテアーゼ類(TIMPs)から成る群から
選ばれたものの少なくとも一つを含有する医薬は、腫瘍
細胞に直接作用してその増殖を抑制する活性を持ってい
る。特にTIMP−2は、医薬として優れた特性を有し
ており、またヒトrTIMP−2は実用的な抗腫瘍剤、
特には悪性腫瘍増殖抑制剤や癌の治療剤として非常に有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ティシュ インヒ
ビター オブ メタロプロテアーゼ類(tissue
inhibitors of metalloprot
einases:TIMPs)からなる群から選ばれた
少なくとも一つのティシュ インヒビターオブ メタロ
プロテアーゼ(tissue inhibitor o
f metalloproteinases:TIM
P)を有効成分として含有することを特徴とする医薬組
成物に関わるものであり、腫瘍細胞増殖抑制性医薬組成
物、特には悪性腫瘍細胞増殖抑制性医薬組成物に関す
る。特には本発明は、各種の癌を有する患者に適用され
てその治療や予防に用いられる抗癌剤に関する。さらに
詳しく言えば、本発明は、ティシュ インヒビター オ
ブ メタロプロテアーゼ−1(tissue inhi
bitor of matalloproteinas
es−1:TIMP−1)あるいはティシュ インヒビ
ター オブ メタロプロテアーゼ−2(tissue
inhibitor of matalloprote
inases−2:TIMP−2)を主たる有効成分と
して含有する製剤で、その主成分は腫瘍細胞に直接作用
して、腫瘍細胞の増殖を抑制するのに有効であり、原発
巣および転移巣での腫瘍の縮小化を特徴とする治療剤に
関する。
【0002】本発明は、別の面ではリコンビナント テ
ィシュ インヒビター オブ メタロプロテアーゼ類
(rTIMPs)からなる群から選ばれた少なくとも一
つのTIMPを有効成分として含有することを特徴とす
る腫瘍細胞増殖抑制剤、特には悪性腫瘍細胞増殖抑制剤
に関する。特にはリコンビナント ティシュ インヒビ
ター オブ メタロプロテアーゼ−1(rTIMP−
1)及びリコンビナントティシュ インヒビター オブ
メタロプロテアーゼ−2(rTIMP−2)から成る
群から選ばれたもの少なくとも一つを有効成分として含
有することを特徴とする抗癌剤、更にはその主成分が直
接腫瘍細胞に作用して、対象腫瘍細胞の増殖を抑制する
のに有効であり、原発巣および転移巣での腫瘍の縮小化
などの増殖抑制を示して癌などの悪性腫瘍を予防及び治
療するのための医薬に関する。
【0003】
【従来の技術】マトリックスメタロプロテアーゼ類(M
MPs)は、ファミリーを形成する一群の中性プロテア
ーゼであり、活性中心にZn2+を有する。細胞外マトリ
ックスの分解にMMPsが重要な役割を担っていること
は周知のことであり、現在までに10数種類のMMPが
知られている。MMPsによる細胞外マトリックスの破
壊は、組織破壊を伴う難治性疾患の治癒を遅延させてい
る主要な原因の一つであり、このMMP活性の上昇は、
内在性のMMPsインヒビターであるTIMPsとの量
的不均衡の結果生じていると考えられている。この他血
液細胞由来の炎症細胞のうちでも、好中球やマクロファ
ージでは多種類のMMPsの分泌能を有しているが、炎
症時に発現の昂進している増殖因子をはじめとする種々
のサイトカインによって、MMPs産生誘導は複雑に調
節を受けている。こうした場面においてもMMPsに対
する阻害剤としてTIMPsは重要な役割を果たしてい
るものと想像される。
【0004】こうしたTIMPsに関する様々な生体内
での働きの精力的な研究が現在進められている中で、上
記したようにMMPsによる細胞外マトリックスの破壊
などと関連してこれらTIMPsが浸潤性の腫瘍の転移
などに対して大きな働きを持つのではないかとして研究
がなされ幾つかの報告がなされてきている。ところが、
例えば、特表平4−500683号にはTIMP−2は
腫瘍転移動物モデル実験で静脈内に移植された腫瘍細胞
の肺への転移を抑制するが、腫瘍細胞の増殖や再構成基
底膜成分マトリゲルへの接着にはまったく影響を与えな
かったと記載されている。あるいは以下のような報告の
ようにこれまで腫瘍細胞の増殖を直接阻止することを示
すようなことは知られていなかった:
【0005】(1) TIMP−2はMMPsとの均衡破綻
により、細胞の細胞外マトリックスへの接着や細胞の運
動能は干渉され、結果的に、腫瘍細胞の転移結節の形成
に影響を与えている(Ray, et al., Annals of the New
York Academy of Sciences,732(1994)pp. 2
33−247); (2) 細胞外マトリックス成分を分解し、腫瘍細胞の侵入
をしやすくするIV型コラゲナーゼなどの酵素の働きを阻
害する(特表平4−500683号); (3) 高転移性のヒト・メラノーマ細胞にTIMP−2の
遺伝子を人工的に導入し、その細胞中でその導入遺伝子
を高度に発現させると、免疫不全マウスの皮膚に移植さ
れた腫瘍細胞が肺やリンパ節への転移することは抑制で
きなかったが、腫瘍細胞の増殖は抑制された;その原因
は間質性コラーゲンが腫瘍細胞を取り巻くことにより、
腫瘍細胞が正常細胞に分化し、結果的に腫瘍細胞的特徴
のひとつである無軌道な細胞増殖がなくなり、増殖速度
が遅くなったと推察される(Montgomery, et al, Cance
r Research,54(1994)pp. 5467−547
3); (4) 血管新生を完全に抑制する(Albini, et al., AID
S,8(1994)pp.1237−1244);
【0006】(5) 卵殻膜におけるスペルミン依存性の血
管新生をTIMP−1あるいはTIMP−2が妨害する
(Takigawa, et al., Biochemical and Biophysical Re
search Communications,171(1990)pp. 126
4−1271); (6) 後天性免疫不全症候群(エイズ)患者由来のカポジ
肉腫細胞が誘導する血管内皮細胞の浸潤をTIMP−2
やメタロプロテアーゼ由来合成ペプチドが抑制する(Be
nelli, et al., Oncology Research, 6(1994)p
p. 251−257); (7) 同様に、カポジ肉腫細胞由来の分泌成分の血管新生
作用をTIMP−2が約65%阻害した(Albini, et a
l., AIDS, 8(1994)pp. 1237−1244); (8) 血清共存下での塩基性線維芽細胞増殖因子に依存性
の微小血管内皮細胞増殖をトリチウム標識チミジンの細
胞内取り込みで試験したところ、TIMP−2は最大で
(塩基性線維芽細胞増殖因子処理後24時間目)増殖を
45−60%抑制した(Murphy, et al., The Journal
of Cellular Physiology, 157(1993)pp. 35
1−358); (9) メラノーマ細胞が細胞外マトリックスへ接着した
り、伸展したりすることを制御するゼラチナーゼB(M
MP−9)をTIMP−2が抑制することにより、腫瘍
細胞が移動したり、浸潤していき易くしている(Ray, e
t al., EMBO Journal 14(1995)pp. 908−9
17)。
【0007】その他、例えば、 (10)TIMP−2はヒト線維肉腫細胞HT−1080や
正常組織由来皮膚線維芽細胞の増殖を促進する(Corcor
an, et al., The Journal of Biological Chemistry,2
70(1995)pp. 13453−13459)とか、
その効果はTIMP−2で処理をして2時間後に顕著で
あり、処理後48時間まで持続するとか、 (11)TIMP−1および−2はヒト、ウシおよびマウス
由来の細胞など幅広くその増殖を促進する(Hayakawa,e
t al., FEBS letter, 298(1992)p.29−;Ha
yakawa,et al., The Journal of Cell Science, 107
(1994)pp.2373−2379)とか、 (12)SV40で形質転換させたヒト線維芽細胞はTIM
P−2を産生し、自己細胞の増殖を促進している(Neme
th, et al., Experimental Cell Research, 207(1
993)pp. 376−382)及び (13)赤血球系細胞の増殖因子として作用する(Stetler-
Stevenson, et al., FEBS Letter, 296(1992)
pp. 231−234)といったその増殖促進因子として
の報告が散見されるだけである。 つまり、TIMPs、特にTIMP−2に関してはMM
Psの作用や働きと関係付けて腫瘍の転移を抑制する等
による結果、腫瘍増殖を抑制する作用があるとか、癌な
どの悪性腫瘍部位への酸素及び栄養補給に大きな貢献を
する新生血管の形成を抑制することに関連付けての論議
が見出されるだけである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】腫瘍細胞の増殖を効果
的に抑制する物質は数多く研究開発が試みられている
が、必ずしも満足のいく結果が得られていないのが実情
である。これまでその治療が困難であった癌などの悪性
腫瘍に有効な薬物が求められている。特に実際の生体内
で固形癌と呼ばれるものは生体マトリックス中に浸潤し
て生長するので、そうした臨床上で普通見出される腫瘍
に効果的に働きそして抗腫瘍剤として利用できる活性物
質が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、TIM
Psを主な有効成分として含有する医薬組成物により、
腫瘍細胞の増殖を抑制する手段を提供するにある。特に
は癌などの悪性腫瘍を有する者の治療や予防処置を提供
すること、さらには種々の癌などの腫瘍細胞の増殖を抑
制し、原発巣および転移巣での腫瘍を縮小化することを
特徴とした治療手段を提供することにある。本発明者ら
は、TIMPsがヒトおよび齧歯類由来のメラノーマ細
胞や線維肉腫細胞などの各種腫瘍細胞の増殖を、試験管
内で抑制すること、さらには動物実験モデルでも原発巣
や転移巣の腫瘍細胞の増殖を抑制することを見出し、そ
の臨床的有用性から、TIMPsを有効成分とする腫瘍
細胞増殖抑制剤、特には悪性腫瘍を有する患者の治療剤
を提供すること並びに抗癌剤による療法を提供するに至
った。
【0010】本発明者らは、従来ヒトを含めた動物由来
の組織あるいは培養細胞、血液からでは大量に入手する
ことが困難で、なかなかその実際の厳密な適用あるいは
利用が困難であったTIMPsを組換えDNA技術を利
用して大量に得ると共に、こうして大量に得られたrT
IMPsを用いてそれが実際に直接腫瘍細胞に作用して
増殖抑制作用を有することを確認し、本発明を完成し
た。本発明で使用されるTIMPsは、MMPsに対す
るインヒビターを含んでいてよく、例えばTIMP−
1、TIMP−2といったMMPsに対するインヒビタ
ーを用いることができる。特にTIMP−2は腫瘍細胞
増殖抑制剤、特には抗癌剤として多くの優れた特性を持
っている。またとりわけrTIMP−2は優れた性状を
示す。
【0011】本発明は(1) ティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ類から成る群から選ばれた
少なくとも一つのティシュ インヒビター オブ メタ
ロプロテアーゼを有効成分とすることを特徴とする腫瘍
細胞増殖抑制剤、(2) 腫瘍が原発巣のものあるいは
転移したものであることを特徴とする上記(1)記載の
剤、(3) 腫瘍が固形癌に分類されるものであること
を特徴とする上記(1)記載の剤、(4) 腫瘍がメラ
ノーマ、扁平上皮癌、大腸癌、結腸癌、胃癌、絨毛癌、
前立腺癌、腎細胞癌、精巣癌、乳癌、子宮癌、膵臓癌、
肝臓癌、肺癌、神経芽細胞腫及び脳腫瘍からなる群から
選ばれたものであることを特徴とする上記(3)記載の
剤、(5) ティシュ インヒビター オブ メタロプ
ロテアーゼが直接に腫瘍細胞に働いてその増殖を抑制す
るものであることを特徴とする上記(3)記載の剤、
【0012】(6) 有効成分としてティシュ インヒ
ビター オブ メタロプロテアーゼ−1を含有すること
を特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一記載の
剤、(7) ティシュ インヒビター オブ メタロプ
ロテアーゼ−1としてリコンビナント ティシュ イン
ヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1を含有するこ
とを特徴とする上記(6)記載の剤、(8) リコンビ
ナント ティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ−1が宿主細胞として酵母、大腸菌、CHO細胞
又はCOS−1細胞を用いて得られた形質転換体細胞に
より発現され、得られた遺伝子産物を精製したものであ
ることを特徴とする上記(7)記載の剤、(9) 有効
成分としてティシュ インヒビター オブ メタロプロ
テアーゼ−2を含有することを特徴とする上記(1)〜
(5)のいずれか一記載の剤、(10) ティシュ イ
ンヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2としてリコ
ンビナント ティシュ インヒビター オブ メタロプ
ロテアーゼ−2を含有することを特徴とする上記(9)
記載の剤、(11) リコンビナント ティシュ イン
ヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2が宿主細胞と
して酵母、大腸菌、CHO細胞又はCOS−1細胞を用
いて得られた形質転換体細胞により発現され、得られた
遺伝子産物を精製したものであることを特徴とする上記
(10)記載の剤、
【0013】(12) ティシュ インヒビター オブ
メタロプロテアーゼ類としてティシュ インヒビター
オブ メタロプロテアーゼ−1及びティシュ インヒ
ビターオブ メタロプロテアーゼ−2の混合物を有効成
分とすることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれ
か一記載の剤、(13) ティシュ インヒビター オ
ブ メタロプロテアーゼ−1としてリコンビナント テ
ィシュ インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1
をそしてティシュ インヒビター オブ メタロプロテ
アーゼ−2としてリコンビナントティシュ インヒビタ
ー オブ メタロプロテアーゼ−2をそれぞれ含有する
ことを特徴とする上記(12)記載の剤、及び(14)
リコンビナント ティシュ インヒビター オブ メ
タロプロテアーゼ−1及びリコンビナント ティシュ
インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2がそれぞ
れ宿主細胞として酵母、大腸菌、CHO細胞又はCOS
−1細胞を用いて得られた形質転換体細胞により発現さ
れ、得られた遺伝子産物を精製したものであることを特
徴とする上記(13)記載の剤に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】TIMP−1は糖タンパク質であ
り、ヒト、ウシその他の動物由来の軟骨、歯髄、歯肉、
子宮、胎盤、皮膚等の組織中や、関節軟骨細胞、骨芽細
胞、各種組織由来線維芽細胞、上皮細胞等の培養細胞、
羊水、血清、血漿、血小板、単球、マクロファージ等か
ら産生され、これらの組織や培養細胞のコンディション
培養液から調製することができる。例えば、Kodam
a et al.,Collagen Rel.Re
s.,7,341〜350,1987及びKishi
et al.,J.Biochem.,96,395〜
404,1984に記載の方法に準じて、ウシ歯髄由来
細胞の培養液やヒト血清からモノクローナル抗体を用い
たアフィニティークロマトグラフィー等により単離でき
る。また、Kodama et al.,J.Immu
nol.Methods,127,103〜108,1
990に記載の方法に従いヒト胎盤などからも得ること
ができる。
【0015】TIMP−2は、比較的最近になって見出
され、TIMP−1とアミノ酸配列上約40%の相同性
を有するが、TIMP−1と異なりN−結合型オリゴ糖
鎖を結合していない。TIMP−2もTIMP−1の場
合と同様の種々の組織、組織由来培養細胞の培養液等か
ら得ることが出来る。例えば、Fujimoto et
al.,Clin.Chim.Acta,220,3
1〜45,1993、特開平6−300757号公報等
に記載の方法に従い、ヒト胎盤などからモノクローナル
抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィー等によ
り得ることができる。TIMP−2は、TIMP−1と
異なる性状及びN−結合型オリゴ糖鎖を持たないという
異なる分子構造を有するにも拘らず、直接的に腫瘍細胞
に作用し、インビボ及びインビトロでその増殖を抑制す
るという薬効をもった組成物として有用であり、そして
抗腫瘍剤、腫瘍形成及び腫瘍の発生予防剤などとして非
常に有用である。
【0016】TIMP−1及びTIMP−2は組換えD
NA技術(Maniatis,etal.,Molec
ular Cloning,Cold Spring
Harbor Laboratory,Cold Sp
ring Harbor,New York,198
2)を用いることにより得ることもできる。従来の培養
細胞のコンディション培養液や血清、さらには胎盤など
から得る場合にはそれらに固有のある種の制約がある
が、組換えDNA技術を適用しての製造方法ではこうし
た制約を受けることがなく、医薬の製造承認に必要とさ
れる動物実験や臨床試験に用いることのできる量及び質
のTIMPsを得ることができる。特に悪性腫瘍が生体
内で増殖する場合は複雑な多段階の過程が関与し、そし
て各段階でそれぞれ異なる各種の生体内細胞や生理活性
因子が関与している。正常な場合それらは様々なバラン
スを保って作用しているが、癌などの悪性腫瘍が増殖す
るような病的な状態下ではTIMPsが実際に如何なる
役割を担い、どの様な薬理活性や生理活性を持ち、そし
てどの様な病気に有効かを確かめるのは困難であること
は理解されるべきである。組換えDNA技術を用いるこ
とにより、直接的形態で製造され、そして腫瘍細胞の増
殖を直接的に抑制していることが確認できるに十分な量
及び質で得られ、更に医薬の製造承認に必要とされる動
物実験や臨床試験に用いることのできる量及び質で得ら
れるし、そうして得られたrTIMPsを用いることで
腫瘍細胞増殖の抑制活性、特には抗腫瘍活性及び抗癌活
性を見出したことは注目される。
【0017】例えばTIMP−1及びTIMP−2をコ
ードする核酸配列を利用し、酵母、チャイニーズハムス
ター卵巣細胞(CHO細胞)などの真核細胞宿主や大腸
菌などの原核細胞宿主、Sf21などの昆虫細胞等、通
常組換えDNA技術に用いられる全ての宿主と宿主に応
じた発現ベクターを用いることにより得ることができ
る。糖タンパク質であるTIMP−1の場合は、好まし
くは真核細胞を宿主とした宿主ベクター系を使用する。
組換えDNA法によるrTIMP−1及びrTIMP−
2の取得は、例えばWilliamson,et a
l.,Biochem.J.,268,267〜27
4,1990、Boone,et al.,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA.,87,280
0〜2804,1990に記載の方法を参考にすること
ができる。
【0018】例えばrTIMP−1は、ヒト正常歯肉線
維芽細胞(Gin−1細胞)より調製したポリA+ mR
NAを鋳型、オリゴdT(15〜18個)をプライマー
とした逆転写反応により1st strand cDN
Aの合成を行い、次にPCRプライマー、例えばプライ
マーTlFl;5′−ATGGCCCCCTTTGAG
CCCCTG−3′及びプライマーTlRl;5′−C
AGGATTCAGGCTATCTG−3′を用いPC
R反応により適宜TIMP−1遺伝子の増幅を行い、得
られたTIMP−1遺伝子を適当なクローニングベクタ
ー、例えばpUC13にサブクローニング後、適当な発
現ベクター、例えばpMEMneo(Lee et a
l.,Nature,294,228〜232,198
1)にクローニングし、一般的なリン酸カルシウム共沈
法等によりCHO細胞等に導入した。TIMP−1遺伝
子導入酵母、CHO細胞等の形質転換体をマイクロキャ
リヤー培養や高密度連続培養など適当な方法で培養し、
得られたコンディション培地からrTIMP−1を調製
する。発現ベクターを導入した宿主細胞に対応して、遺
伝子産物の糖鎖構造は天然物と異なったものが得られる
ことは理解されるべきである。
【0019】また、rTIMP−2は、例えばヒトGi
n−1細胞より調製したポリA+ mRNAを鋳型、オリ
ゴdT(15〜18個)をプライマーとした逆転写反応
により1st strand cDNAの合成を行い、
次にPCRプライマー、例えばプライマーT2F7;
5′−AAAGTCGACCATGGGCGCCGCG
GCCCGCACCCT−3′及びプライマーT2R
5;5′−TTAAGATCTGTCGACTTAAG
GATCCTCGATATCGAGGAATTCTTG
C−3′を用いPCR反応により適宜TIMP−2遺伝
子の増幅を行い、得られたTIMP−2遺伝子を適当な
クローニングベクター、例えばpUC13にサブクロー
ニング後、適当な発現ベクター、例えばpKGにクロー
ニングし、一般的なリン酸カルシウム共沈法等によりC
HO細胞等に導入した。TIMP−2遺伝子導入CHO
細胞などの形質転換体をマイクロキャリヤー培養や高密
度連続培養など適当な方法で培養し、得られたコンディ
ション培地からrTIMP−2を調製する。組換えDN
A技術を用いることにより得られるrTIMPsは、本
発明の目的に合致する限り、その構成アミノ酸における
1個以上の変異、例えば欠失、置換、挿入、転位もしく
は付加により、アミノ酸配列が相違したものであること
ができる。組換えDNA技術を用いれば、例えば基本と
なるDNA配列の特定の部位に突然変異を誘発すること
により、1個又は複数個のアミノ酸の欠失、置換、挿入
を図ることが可能である。代表的な方法としては、位置
指定変異導入法(日本生化学会編、「新生化学実験講座
2、核酸III 、組換DNA技術」、東京化学同人、23
3頁〜251頁、1992年10月5日)が挙げられ
る。
【0020】これら種々の起源に由来するTIMPs
は、従来公知の通常タンパク質の精製に用いられる方
法、例えば、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを用い
た塩析法、ゲルろ過担体やイオン交換担体を用いたクロ
マトグラフィー法、電気泳動法、各TIMPsに対する
モノクローナル抗体、ConAなどを用いたアフィニテ
ィークロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィ
ー法などを各TIMPの性質に合わせ、単独または任意
の組合わせにより使用して適宜精製することができる。
ところで、ミクロ的には天然物は、均一の産物として得
ることには限界があり、例えば天然物質であるTIMP
−1は、本来的あるいは単離の過程における処理の影響
で分子中に各種の形態の糖鎖を有し、それに起因して様
々な分子量等をもつ物質からなる産物であるのが実情で
ある。微量で生物活性を持ち、完全な分離精製が困難で
あることから非組換え細胞(非形質転換体)において普
通には随伴するような夾雑物を、rTIMPsは含まな
いと考えられる。特にrTIMP−2は、精製単離処理
を加えて、変成タンパク質などを含むことの少ない最終
産物として得ることが可能である。rTIMP−2は、
腫瘍細胞に作用して、腫瘍の増殖抑制活性を確認できる
に十分な量及び純度で得られ、更に医薬の製造承認に必
要とされる動物実験や臨床試験に用いることのできるに
十分な量及び純度で得られるという特性が認められ、医
薬の有効成分として優れている。
【0021】本発明は、TIMPsを有効成分とし薬学
的、製剤的に許容される医薬品添加物を含有する薬剤組
成物を提供する。有効成分のTIMPsから成る群から
選ばれたものは、1日当たり約0.001ng〜約10
0mgの範囲で投与することが可能であるが、もちろん
症状、年齢、疾患の程度、併用する薬剤などに応じ、副
作用などを生じないようにその投与量を選択することが
できるし、投与回数も1日当たり1回からそれ以上の複
数回といったように適宜選択することができる。有効成
分のTIMPsから成る群から選ばれたものは、製剤に
0.0001%〜50%の範囲で配合することができる
が、必要に応じその量は適宜選択することは可能であ
る。本発明の薬剤組成物は混合などによって調製され、
適宜必要に応じて安定化剤、pH調節剤、界面活性剤、
緩衝剤、香料、防腐剤、基剤、溶剤、希釈剤、充填剤、
増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸
濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、
粘着剤、弾性剤、可塑剤、結合剤、崩壊剤、噴射剤、保
存剤、抗酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止
剤、無痛化剤などを単独もしくは組合わせて含有させる
ことができる。安定化剤としては、グリシンなどのアミ
ノ酸あるいはその塩、ブドウ糖、ショ糖などの糖、マン
ニトール、ソルビトールなどの糖アルコール、オリゴ
糖、多糖、アルブミン、ゼラチン、グロブリン、プロタ
ミンなどのタンパク質、ペプチドなどが挙げられる。p
H調節剤としては、塩酸、硫酸、燐酸、炭酸などの無機
酸、クエン酸などの有機酸、あるいはそれらの塩が挙げ
られる。その他、医薬品に配合されて用いることが知ら
れているものから適宜必要に応じ選択して用いることが
出来る。 本発明の医薬組成物は、好ましくは塩類(塩
化ナトリウム、リン酸塩など)、賦形剤(乳糖、トウモ
ロコシデンプンなど)、軟膏基剤(白色ワセリン、パラ
フィン、オリーブ油、マクロゴール400、マクロゴー
ル軟膏など)、溶解剤(注射用蒸留水、アセトン、エー
テル、プロピレングリコールなど)、矯味・矯臭・着色
剤(単シロップ、l−メントール、ハッカ油、クエン酸
など)を配合することができる。
【0022】本発明の医薬組成物は、もちろん他の抗腫
瘍薬や抗癌剤薬、免疫増強剤などの薬剤と併用すること
も可能である。こうしたものとしては、例えば、各種代
謝拮抗剤(例、6−メルカプトプリン、6−チオグアニ
ン、チオイノシンなどのプリン代謝拮抗剤、フルオロウ
ラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、カルモフ
ール、ドキシフルリジン、ブロクスウリジン、シタラビ
ン、エノシタビンなどのピリミジン代謝拮抗剤、メトト
レキサート、トリメトレキサートなどの葉酸代謝拮抗剤
など、および、その塩もしくは複合体)、抗腫瘍性抗生
物質(マイトマイシンC、ブレオマイシン、ペプロマイ
シン、ダウノルビシン、アクラルビシン、ドキソルビシ
ン、ピラルビシン、THP−アドリアマイシン、4’−
エピドキソルビシン、エピルビシンなどのアントラサイ
クリン系抗生物質抗腫瘍剤、クロモマイシンA3 、アク
チノマイシンDなど、および、その塩もしくは複合
体)、その他抗腫瘍剤(例、シスプラチン、カルボプラ
チン、タモキシフェン、カンプトテシン、イホスファミ
ド、シクロホスファミド、メルファラン、L−アスパラ
ギナーゼ、アセクラトン、シゾフィラン、ピシバニー
ル、ウベニメクス、クレスチンなど、および、その塩も
しくは複合体)、抗腫瘍性植物成分(ビンデシン、ビン
クリスチン、ビンブラスチンなどのビンカアルカロイド
類、エトポシド、テニポシドなどのエピポドフィロトキ
シン類、および、その塩もしくは複合体)、サイトカイ
ンやリンフォカイン類などを含むBRM(生物学的応答
性制御物質)(例、腫瘍壊死因子、インターロイキン−
1,−2,−8,−12,インドメタシンなど、およ
び、その塩もしくは複合体)、血管新生阻害剤(フマジ
ロール誘導体、および、その塩もしくは複合体)、細胞
接着阻害剤(例、RGD配列を有する物質、および、そ
の塩もしくは複合体)、マトリックス・メタロプロテア
ーゼ阻害剤(例、マリマスタット、バチマスタットな
ど、および、その塩もしくは複合体)、ホルモン(ヒド
ロコルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロ
ン、プレドニゾロン、プラステロン、ベタメタゾン、ト
リアムシノロン、オキシメトロン、ナンドロロン、メテ
ノロン、ホスフェストロール、エチニルエストラジオー
ル、クロルマジノン、メドロキシプロゲステロンなど、
および、その塩もしくは複合体)、ビタミン(ビタミン
C、ビタミンA、および、その塩もしくは複合体)、抗
菌性抗生物質および化学療法剤などが挙げられる。抗癌
剤としては、上記したようなものの他、さらにアルキル
化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ナイトロジ
ェンマスタードN−オキシド、クロラムブチル、アジリ
ジン系アルキル化剤(例、カルボコン、チオテパな
ど)、エポキシド系アルキル化剤(例、ディブロモマン
ニトール、ディブロモダルシトールなど)、ブスルファ
ン、トシル酸インプロスルファン、ダカルバジン、ニト
ロソウレア系アルキル化剤(例、カルムスチン、ロムス
チン、セムスチン、ニムスチンハイドロクロライド、ス
トレプトゾシン、クロロゾトシン、ラニムスチンなど)
など)、プロカルバジン、ピポブロマン、ネオカルチノ
スタチン、ヒドロキシウレアなども挙げることができ
る。
【0023】またサイトカイン及びリンフォカイン類と
しては、さらに、例えばPDGF、TGF−α、TGF
−β、IGF−I、CSF、IL−8、EGF,bFG
F、KGFなどの増殖因子をはじめとするものあるいは
その他の生理活性物質を配合することも本発明の腫瘍細
胞増殖抑制に有効であるならば可能である。本発明の医
薬組成物は、経口、局所、経皮、静脈内、筋肉内、皮
下、皮内もしくは腹腔内投与に適用し得るが、腫瘍患部
への直接投与も可能であり、またある場合には好適でも
ある。また好ましくはヒトを含む哺乳動物に経口的に、
あるいは非経口的(例、腫瘍内、静脈内、筋肉内、皮
下、皮内、腹腔内、胸腔内、脊髄腔内、点滴静脈内、注
腸、経直腸、点眼や点鼻、皮膚や粘膜への塗布など)に
投与することができる。本発明の医薬組成物は、散剤、
顆粒剤、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロ
カプセル剤、軟膏製剤、硬膏製剤、溶液剤、水剤、油
剤、クリーム剤、パスタ剤、パップ剤、リニメント剤、
ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、点鼻剤、懸
濁剤、乳濁剤、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、埋込
剤、直腸坐剤、灌注剤、貼付剤、輸液剤、注射剤、注射
用液剤などのための粉末剤、凍結乾燥製剤等を任意に選
択することができる。医薬品製造にあたっては、その添
加剤等や調製法などは、例えば財団法人日本公定書協会
監修、第十二改正 日本薬局方解説書、平成3年7月2
9日発行、株式会社廣川書店発行;一番ヶ瀬 尚 他編
医薬品の開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年1
0月15日発行、株式会社廣川書店;同、医薬品の開発
12巻(製剤素材〔II〕)平成2年10月28日発行、
株式会社廣川書店などの記載を参考にしてそれらのうち
から必要に応じて適宜選択して適用することができる。
【0024】錠剤、カプセル剤などの固体の単位投与形
態では、慣用の形態のものでよいが、例えば本発明のT
IMPs、例えば、TIMP−2と、トウモロコシデン
プン、バレイショデンプン、アルギン酸ナトリウム、カ
ルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチンなどの
崩壊剤、デキストリン、アラビアゴム、トラガント、ト
ウモロコシデンプン、白糖、ヒドロキシプロピルセルロ
ース(HPC)などの結合剤、ステアリン酸塩(Al、
K、Na、Ca、Mg)などの滑沢剤、乳糖、結晶セル
ロース、微結晶セルロース、セラックなどの担体と混合
され、製剤化されて錠剤、カプセル剤などの固体製剤に
される。非経口投与には、界面活性剤及びその他の薬学
的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えずに、
水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容され
る液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化される。
製剤に使用される油としては、天然、半合成あるいは合
成の油脂類が挙げられ、例えばピーナッツ油、トウモロ
コシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が挙げられる。一
般的には、水、食塩水、デキストロース水溶液、その他
関連した糖の溶液、エタノール、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコールなどのグリコール類が好ま
しい注射剤用液体担体として挙げられる。
【0025】本発明では腫瘍細胞増殖抑制に有効である
ならば、当該分野で知られた如何なる方法、手段をも用
いることが出来る。本発明の薬剤組成物に含まれるTI
MPsは、MMPs活性を阻害するTIMPsであれば
どのようなTIMPsでも使用することができるが、好
ましくは大量に均質なTIMPsが得られる点で人為的
に調製したrTIMPsを使用することができる。特に
rTIMP−2は均質でかつ直接的に腫瘍細胞に作用し
て、増殖を抑制するに有効な量及び純度で得られ、さら
にその取扱いにおいても優れた性状を有している。医薬
として用いるにあたっては製剤の安定性などについても
厳しい要件が必要とされるが、rTIMP−2はこうし
た点でもすぐれた性状を有している。TIMP−2は、
その投与量を広範囲にわたって選択して投与できるが、
その投与量及び投与回数などは、処置患者などの症状、
性別、年齢、投与方法などに応じて決めることが可能で
ある。TIMP−2の有効量は、任意でありうるが、例
えば、マウスでは0.5−500mg/kg/回、ヒト
では0.005−50mg/kg/回の投与量で、1日
1−3回、連日もしくは2−3回/週の頻度で、静脈内
に点滴注入することができる。
【0026】本発明に関わる薬剤組成物の調製に必要な
TIMPsの定量は、特開昭63−210665号公報
及び特開平5−244985号公報に記載の方法に従
い、TIMP−1あるいはTIMP−2それぞれで異な
るエピトープを特異的に認識する2種類のモノクローナ
ル抗体を用いたサンドイッチアッセイ系により酵素免疫
化学的に行うことができる。本発明に関わる薬剤組成物
は、種々の腫瘍細胞あるいは腫瘍細胞由来の株化細胞、
腫瘍細胞を移植した動物モデルなどを用い、さらにその
活性を評価するのに適した系を用いてその作用・効果の
確認を行うことができる。こうした株化細胞の例として
は、マウス白血病由来細胞株L−1210、P388、
ザルコーマ180(腹水型)、ザルコーマ180(固
形)、ヒト結腸癌のヌードマウス移植系、ヒト乳癌のヌ
ードマウス移植系、ヒト肺癌のヌードマウス移植系、マ
ウス結腸癌、マウス乳癌、マウス肺癌、マウスB16メ
ラノーマ、マウス白血病L1210、ヒト乳癌異種移植
系(MX−1)などを挙げることができるが、これらに
は限定されない。特に本発明に関わるrTIMP−2
は、ヒト線維肉腫細胞、ヒト・メラノーマ細胞などのヒ
ト由来腫瘍細胞の培養系を用いたり、あるいはマウスな
どの実験動物にそうしたヒト由来腫瘍細胞を移植したモ
デル系を用いてその作用・効果の確認を行うことができ
るが、他に様々な手法を用いることが出来ることは理解
されるべきである。例えば、古江尚ら編著、「癌化学療
法の基礎と臨床」、昭和53年4月1日発行、癌と化学
療法社を参考にして必要に応じそのうちから適当なもの
を選んで適用することができる。
【0027】こうしてTIMPsから成る群から選ばれ
た少なくとも一つのTIMPを有効成分とする薬剤は、
ヒトおよび齧歯類由来のメラノーマ細胞や線維肉腫細胞
などの各種腫瘍細胞の増殖を、試験管内で抑制するこ
と、および、動物実験モデルでも原発巣や転移巣の腫瘍
細胞の増殖を抑制するなど癌等に対する予防作用あるい
は治療作用、症状改善作用などを有していると判断され
る。TIMPsから成る群から選ばれた少なくとも一つ
のTIMPを有効成分とする薬剤は、単独で直接腫瘍細
胞に作用し、強力な効果を示す薬剤として有用である。
またTIMPsから成る群から選ばれた少なくとも一つ
のTIMPを有効成分とする薬剤は、癌等の発生予防や
転移に対しても予防活性を示し、その上直接的増殖抑制
作用をもった抗腫瘍剤として有用である。対象腫瘍とし
ては、肺の扁平上皮癌、胃の転移性腺癌、腎癌、メラノ
ーマ、平滑筋肉腫、消化管腫瘍、唾液腺腫瘍、神経芽
腫、肺小細胞癌、卵巣腺癌、網膜芽腫、骨肉腫、Wil
ms腫瘍、膀胱癌などがあげられる。特にTIMP−2
は、腫瘍を保持する哺乳動物(例えば、マウス、ラッ
ト、家兎、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒト
等)の治療に有用であり、これら担癌動物における原発
および転移巣の癌細胞の増殖抑制、および担癌動物の延
命に奏効する。かかる対象疾患として各種悪性および良
性腫瘍、例えば、メラノーマ、悪性リンパ腫、白血病、
消化器(例、胃、結腸、肝臓、膵臓など)癌、肺癌、食
道癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、脳腫瘍、カポ
ジ肉腫、血管腫、骨肉腫、筋肉腫、線維肉腫などが挙げ
られる。さらにrTIMPsから成る群から選ばれた少
なくとも一つのTIMP、特にrTIMP−2を有効成
分として含有する医薬は、その製剤としての加工などを
含めた有利な点に加え、各種の固形癌、例えばメラノー
マ、扁平上皮癌、大腸癌、結腸癌、胃癌、絨毛癌、前立
腺癌、腎細胞癌、精巣癌、乳癌、子宮癌、膵臓癌、肝臓
癌、肺癌、神経芽細胞腫及び脳腫瘍等に優れた活性を示
す。rTIMP−2含有腫瘍細胞増殖抑制剤は、長期間
の保存の後でも安定した生理活性が期待でき、患部に適
用した後も優れた生物活性の作用効果が期待できる。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されること無く様々な態
様が含まれることは理解されるべきである。 実施例1 TIMPsの調製 TIMP−1は、例えばKodama et al.,
Collagen Rel.Res.,7,341〜3
50,1987に記載の方法に従い、ヒト正常歯肉線維
芽細胞(Gin−1細胞)のコンディション培養液より
Ultrogel AcA−44(LKB),Con
Aセファロース、抗TIMP−1モノクローナル抗体
(例えば特開昭63−219392号公報に開示のクロ
ーンNo.7−21B12など)結合セファロース4B
・アフィニティーカラムを用いて精製し、最後に、35
℃、30分間、4Mグアニジン−塩酸中で処理した後、
Bio−gel P60カラムに供試しTIMP−1に
結合している可能性のあるタンパク性因子を解離、分画
により除去し調製した。
【0029】TIMP−2は、例えばFujimoto
et al.,Clin.Chim.Acta,22
0,31〜45,1993及び特開平6−300757
号公報に記載の方法に従い、胎盤を細断後、緩衝液中で
撹拌し、得られた上清を抗TIMP−2モノクローナル
抗体(例えば特開平5−244985号公報に開示のク
ローンNo.67−4Hllなど)結合セファロース4
B・アフィニティーカラムに供試した後、Ultrog
el AcA−44(LKB)を用いて調製した。
【0030】rTIMP−1は、例えば特開平5−19
9868号公報に記載の方法に準じて調製した。ヒト正
常歯肉線維芽細胞(Gin−1細胞)より調製した全R
NA画分からオリゴ(dT)−セルロースカラムにより
ポリA+ mRNA精製濃縮した。ポリA+ mRNAを鋳
型、オリゴdT(15〜18個)をプライマーとした逆
転写反応により1st strand cDNAの合成
を行った。Docherty et al.,Natu
re,318,66〜69,1985に記載されている
TIMP−1のcDNA配列を参考にPCRプライマ
ー、 プライマーTlFl;5′−ATGGCCCCCTTT
GAGCCCCTG−3′及びプライマーTlRl;
5′−CAGGATTCAGGCTATCTG−3′を
作成し、これらのPCRプライマーを用い、先に調製し
た1st strand cDNAを鋳型としたPCR
反応によりTIMP−1遺伝子の増幅を行った。
【0031】得られたTIMP−1遺伝子を適当なクロ
ーニングベクター、例えばpUC13にサブクローニン
グ後、適当な発現ベクター、例えばpMEMneo(L
eeet al.,Nature,294,228〜2
32,1981)にクローニングし、一般的なリン酸カ
ルシウム共沈法によりCHO細胞に導入した。TIMP
−1遺伝子導入CHO細胞をマイクロキャリヤー培養や
高密度連続培養など適当な方法で培養し、得られたコン
ディション培地からrTIMP−1を調製した。調製さ
れたrTIMP−1は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリ
アクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE、12%均
一ゲル、還元条件)上で約30kDaの単一バンドとし
て認められ、ペルオキシダーゼ標識マウス抗ヒトTIM
P−1抗体を用いたウエスタンブロッティングにおいて
も約30kDaの単一バンドとして認められた。rTI
MP−1のヒト線維芽細胞(CCD−41SK細胞)由
来MMP−1に対する阻害活性は、IC50が約1×10
-9Mであった。
【0032】rTIMP−2は、例えばAokiらの方
法(Conective Tissue,26,281
〜290,1995)に準じて調製した。ヒトGin−
1細胞より調製した全RNA画分からオリゴ(dT)−
セルロースカラムによりポリA+ mRNAを精製濃縮し
た。ポリA+ mRNAを鋳型、オリゴdT(15〜18
個)をプライマーとした逆転写反応により1st st
rand cDNAの合成を行った。Boone,et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA.,87,2800〜2804,1990に記載の
TIMP−2のcDNA配列を参考にPCRプライマ
ー、 プライマーT2F7;5′−AAAGTCGACCAT
GGGCGCCGCGGCCCGCACCCT−3′及
びプライマーT2R5;5′−TTAAGATCTGT
CGACTTAAGGATCCTCGATATCGAG
GAATTCTTGC−3′を作成し、これらのPCR
プライマーを用い、先に調製した1st strand
cDNAを鋳型としたPCR反応によりTIMP−2
遺伝子の増幅を行った。
【0033】得られたTIMP−2遺伝子を適当なクロ
ーニングベクター、例えばpUC13にサブクローニン
グ後、適当な発現ベクター、例えばpKGにクローニン
グし、一般的なリン酸カルシウム共沈法によりCHO細
胞に導入した。TIMP−2遺伝子導入CHO細胞をマ
イクロキャリヤー培養や高密度連続培養など適当な方法
で培養し、得られたコンディション培地からrTIMP
−2を調製した。調製されたTIMP−2はSDS−P
AGE(12%均一ゲル、還元条件)上で約24kDa
の単一バンドとして認められ、マウス抗ヒトTIMP−
2モノクローナル抗体によるウエスタンプロッティング
においても約24kDaの単一バンドとして認められた
ものであった。CCD−41SK細胞由来MMP−1に
対する阻害活性は、IC50が約1.1×10-9Mであっ
た。本発明に提供される薬剤組成物には、MMPs活性
を阻害するTIMPsであればどのようなTIMPsで
も使用することができるが、好ましくは大量に均質なT
IMPsが得られる点で人為的に調製したrTIMPs
を使用できる。
【0034】実施例2 TIMP−2含有液剤の調製 処方例(1回量): ヒトrTIMP−2 20μg ヒト血清アルブミン 0.05g 乳糖 1g 注射用生理食塩液 適量 ────────────────────────── 全量 50ml 以上の成分を溶解して注射剤を調製した。
【0035】実施例3 rTIMP−1含有軟膏の調製 軟膏製剤としては、公知公用の各種軟膏基剤を使用する
ことができるが、例えばrTIMP−1をマクロゴール
軟膏に加えて以下の様にして製剤化することができる。
マクロゴール400及びマクロゴール4000の同量か
ら製したマクロゴール軟膏にパラオキシ安息香酸エチル
5mg及び実施例1で得られたTIMP−11mgを加
え全量を10gとし、常法により均一に混合して軟膏剤
を調製した。
【0036】実施例4 ヒトrTIMP−2含有軟膏の
調製 ヒトrTIMP−2含有軟膏は、実施例3に記載の方法
と同様にして実施例1で得られたrTIMP−2をマク
ロゴール軟膏に加えて製剤化することができる。
【0037】実施例5 ヒトrTIMP−1含有液剤の
調製 0.005%塩化ベンザルコニウム含有生理食塩水
(0.005%塩化ベンザルコニウム含有0.15M
NaCl溶液、pH7.2)に、実施例1で得られたr
TIMP−1を最終濃度0.1%となるように加え調製
する。調製した液剤は、ポアサイズ0.1μmのメンブ
レンフィルターで滅菌した後、使用時まで冷蔵(4℃)
で保存した。
【0038】実施例6 ヒトrTIMP−2含有液剤の
調製 rTIMP−2含有液剤は、実施例5に記載の方法と同
様にして実施例1で得られたrTIMP−2を用いて製
剤化することができる。
【0039】実施例7 ヒトrTIMP−2の腫瘍細胞増殖抑制活性 (1)ヒトrTIMP−2含有試験薬の調製 rTIMP−2含有試験薬として、実施例6で調製した
rTIMP−2含有液剤を使用した。対照として0.0
05%塩化ベンザルコニウム含有生理食塩液をポアサイ
ズ0.1μmのメンブレンフィルターで滅菌したものを
使用した。
【0040】(2)培養ヒト線維肉腫細胞に対する増殖
抑制活性 5%牛胎児血清(FCS)を添加したイーグル最少必須
培地(MEM)に10000個/mlとなるように懸濁
したヒト線維肉腫細胞あるいはマウスメラノーマ細胞を
96穴マイクロプレートに0.1ml/穴ずつ播種し、
一晩5%炭酸ガス環境下で培養装置にて培養する。培養
液を取り除き、各種濃度のヒトrTIMP−2を含む当
該培養液に置換し、さらに、3日間培養する。1/10
量の生細胞数計数試薬WST−1(和光純薬工業)を添
加し、4時間培養後、その吸光度を測定し、細胞数を算
出した。図1は複数回の独立した実験結果をまとめたも
ので、各点はそれらの平均値±1標準誤差で示してあ
る。ヒトrTIMP−2は、0.4−100μg/ml
の範囲で用量依存的に、FCS共存下の腫瘍細胞増殖を
抑制し、その効果は100μg/mlで最大で、増殖抑
制率はヒトrTIMP−2無添加対照と比較しておよそ
40%であった。
【0041】(3)培養ヒト・メラノーマ細胞に対する
増殖抑制活性 培養ヒト・メラノーマ細胞に対する増殖抑制活性につい
ての本実施例は上記実施例7(2)とほぼ同様に試験を
実施した。すなわち、10%牛胎児血清(FCS)ある
いは0.1%牛血清アルブミン(BSA)を添加したR
PMI1640培地に25000個/mlとなるように
懸濁した各種のヒト・メラノーマ細胞を96穴マイクロ
プレートに0.1ml/穴ずつ播種し、同時に、各種濃
度のヒトrTIMP−2を含む当該培養液0.1ml/
穴ずつ加え、3日間培養する。0.025mlの生細胞
数計数試薬MTT溶液を添加し、4時間培養後、ホルマ
ザンをDMSOで抽出し、その吸光度を測定し、細胞数
を算出した。各種のヒト・メラノーマ細胞(A375
M、C8161、MeWoおよびA2058)を使用し
た実験の結果を図2〜図5に示す。この際に使用した生
細胞数計数試薬はWST−1と同系統のMTT(シグ
マ)である。図1の結果と同様で、腫瘍細胞増殖を0.
1−10μg/mlの範囲で、用量依存的に抑制した。
図6はヒトrTIMP−2の細胞増殖抑制効果をA37
5Mヒトメラノーマ細胞のコロニー形成能により評価し
た結果である。100個/ml/皿となるように細胞を
播種し、1/10量のヒトrTIMP−2を添加した。
10日間の培養後、ギムザ染色し、コロニー数を計測し
た。結果は図2〜図5と同様で、腫瘍細胞増殖を0.1
−10μg/mlの範囲で、用量依存的に抑制した。図
7はA375Mヒトメラノーマ細胞に対するヒトrTI
MP−2の効果を経日的に観察した結果である。100
00個/mlの細胞懸濁液を6穴プレートに2ml/穴
ずつ播種し、経日的に培養液を取り除き、0.05%E
DTAで細胞を剥離させ、血球計算盤を使用し、顕微鏡
下にて計数した。50μg/mlのヒトrTIMP−2
はそれが存在しない場合と比較して、顕著に腫瘍細胞の
増殖を抑制した。表1はその際の各細胞分裂周期の細胞
の割合をpropidium iodine染色し、フローサイトメータ
ーで解析した結果である。この結果はヒト リコビナン
ト TIMP−2(ヒトrTIMP−2)が特定の細胞
周期に作用しているのではないことを示している。
【0042】
【表1】
【0043】(4)移植腫瘍細胞に対する増殖抑制活性 (a)1%FCS/MEMに懸濁したB16−BL6マ
ウス・メラノーマ細胞(3000000個/0.1ml
/頭)をマウス(C57BL/6)の皮内に移植して、
ヒトrTIMP−2を100μg/頭ずつ投与した時の
結果を図8に示した。図8に示した投与スケジュール
で、1群当り5匹のマウスを使用し、腫瘍移植後28日
目の原発腫瘍塊の大きさをノギスを使用し、計測した。
腫瘍移植直後より連日5回(day 0−4)、あるいは、
移植後3日目より隔日に5回(days3,5,7,9,お
よび,11)投与することにより、無処置群と比較し
て、腫瘍細胞の増殖が約30%抑制された。 (b)1%FCS/MEMに懸濁したB16−BL6マ
ウス・メラノーマ細胞(100000個/0.1ml/
頭)をマウス(C57BL/6)の尾静脈に移植して、
人為的に転移させ、その結果生じた転移結節の大きさに
及ぼすヒトrTIMP−2の効果を検討した。1群当り
4−5匹のマウスを使用し、腫瘍細胞移植1日前より連
日5回、10−1000μg/頭の範囲で、静脈内、皮
下、筋肉内、および、腹腔内投与した。移植後2週間目
に安楽死させ、肺を取り出し、Bouin 液にて固定し、肺
表面の転移結節の大きさを無処置群と比較したが、いず
れの投与経路においても、100−1000μg/頭の
範囲で顕著に抑制されていた。 尚、これらの試験において観察所見上判断される副作用
は全く認められなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明は、TIMPsを主たる有効成分
とする薬剤組成物を提供する。TIMPsから成る群か
ら選ばれた少なくとも一つのTIMP、特にrTIMP
−2を有効成分として含有する医薬は、その製剤として
の加工などを含めた有利な点に加え、上記したような各
種の腫瘍細胞、特にはメラノーマ細胞などの悪性固形腫
瘍細胞等に対して優れた増殖抑制活性を示す。rTIM
P−2含有腫瘍細胞増殖抑制剤は、長期間の保存の後で
も安定した生理活性が期待でき、患部に適用した後も優
れた生物活性の作用効果が期待できる。こうしてTIM
Psから成る群から選ばれた少なくとも一つのTIMP
を有効成分とする薬剤、特にTIMP−2を有効成分と
する薬剤は、腫瘍を保持する哺乳動物(例えば、マウ
ス、ラット、家兎、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル、ヒ
ト等)の治療に有用であり、これら担癌動物における原
発および転移巣の癌細胞の増殖抑制、および担癌動物の
延命に奏効する。本発明の組成物は各種悪性および良性
腫瘍、例えば、メラノーマ、悪性リンパ腫、白血病、消
化器(例、胃、結腸、肝臓、膵臓など)癌、肺癌、食道
癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、脳腫瘍、カポジ
肉腫、血管腫、骨肉腫、筋肉腫、線維肉腫などの治療剤
として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトrTIMP−2の培養ヒト線維肉腫細胞
(HT−1080)又は培養マウスメラノーマ細胞(B
16−BL6)に対する増殖抑制活性(抑制%)を示
す。
【図2】ヒトrTIMP−2の培養ヒト・メラノーマ細
胞(MeWo)に対する増殖抑制活性を示す。
【図3】ヒトrTIMP−2の培養ヒト・メラノーマ細
胞(A2058)に対する増殖抑制活性を示す。
【図4】ヒトrTIMP−2の培養ヒト・メラノーマ細
胞(C8161)に対する増殖抑制活性を示す。
【図5】ヒトrTIMP−2の培養ヒト・メラノーマ細
胞(A375M)に対する増殖抑制活性を示す。
【図6】腫瘍細胞のコロニー形成能により評価したヒト
rTIMP−2の培養ヒト・メラノーマ細胞(A375
M)に対する増殖抑制活性を示す。
【図7】ヒトrTIMP−2の培養ヒト・メラノーマ細
胞(A375M)に対する増殖抑制活性を経日的に観察
した結果を示す。
【図8】マウスに移植したB16−BL6マウス・メラ
ノーマ細胞に対するヒトrTIMP−2の増殖抑制活性
の結果を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07H 21/04 A61K 37/64 ACD C07K 14/81 ACJ C12N 15/09 ACV C12P 21/00 9282−4B C12N 15/00 A //(C12P 21/00 C12R 1:91) (C12P 21/00 C12R 1:85) (C12P 21/00 C12R 1:19) (72)発明者 品川 朗 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 米沢 佳代子 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 東海 秀明 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ティシュ インヒビター オブ メタロ
    プロテアーゼ類からなる群から選ばれた少なくとも一つ
    のティシュ インヒビター オブ メタロプロテアーゼ
    を有効成分として含有することを特徴とする腫瘍細胞増
    殖抑制剤。
  2. 【請求項2】 腫瘍が原発巣のものあるいは転移したも
    のであることを特徴とする請求項1記載の剤。
  3. 【請求項3】 腫瘍が固形癌に分類されるものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の剤。
  4. 【請求項4】 腫瘍がメラノーマ、扁平上皮癌、大腸
    癌、結腸癌、胃癌、絨毛癌、前立腺癌、腎細胞癌、精巣
    癌、乳癌、子宮癌、膵臓癌、肝臓癌、肺癌、神経芽細胞
    腫及び脳腫瘍からなる群から選ばれたものであることを
    特徴とする請求項3記載の剤。
  5. 【請求項5】 ティシュ インヒビター オブ メタロ
    プロテアーゼが直接に腫瘍細胞に働いてその増殖を抑制
    するものであることを特徴とする請求項3記載の剤。
  6. 【請求項6】 有効成分としてティシュ インヒビター
    オブ メタロプロテアーゼ−1を含有することを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか一記載の剤。
  7. 【請求項7】 ティシュ インヒビター オブ メタロ
    プロテアーゼ−1としてリコンビナント ティシュ イ
    ンヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1を含有する
    ことを特徴とする請求項6記載の剤。
  8. 【請求項8】 リコンビナント ティシュ インヒビタ
    ー オブ メタロプロテアーゼ−1が宿主細胞として酵
    母、大腸菌、CHO細胞又はCOS−1細胞を用いて得
    られた形質転換体細胞により発現され、得られた遺伝子
    産物を精製したものであることを特徴とする請求項7記
    載の剤。
  9. 【請求項9】 有効成分としてティシュ インヒビター
    オブ メタロプロテアーゼ−2を含有することを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか一記載の剤。
  10. 【請求項10】 ティシュ インヒビター オブ メタ
    ロプロテアーゼ−2としてリコンビナント ティシュ
    インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−2を含有す
    ることを特徴とする請求項9記載の剤。
  11. 【請求項11】 リコンビナント ティシュ インヒビ
    ター オブ メタロプロテアーゼ−2が宿主細胞として
    酵母、大腸菌、CHO細胞又はCOS−1細胞を用いて
    得られた形質転換体細胞により発現され、得られた遺伝
    子産物を精製したものであることを特徴とする請求項1
    0記載の剤。
  12. 【請求項12】 ティシュ インヒビター オブ メタ
    ロプロテアーゼ類としてティシュ インヒビター オブ
    メタロプロテアーゼ−1及びティシュ インヒビター
    オブ メタロプロテアーゼ−2の混合物を有効成分と
    することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載の
    剤。
  13. 【請求項13】 ティシュ インヒビター オブ メタ
    ロプロテアーゼ−1としてリコンビナント ティシュ
    インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−1をそして
    ティシュ インヒビター オブ メタロプロテアーゼ−
    2としてリコンビナント ティシュ インヒビター オ
    ブ メタロプロテアーゼ−2をそれぞれ含有することを
    特徴とする請求項12記載の剤。
  14. 【請求項14】 リコンビナント ティシュ インヒビ
    ター オブ メタロプロテアーゼ−1及びリコンビナン
    ト ティシュ インヒビター オブ メタロプロテアー
    ゼ−2がそれぞれ宿主細胞として酵母、大腸菌、CHO
    細胞又はCOS−1細胞を用いて得られた形質転換体細
    胞により発現され、得られた遺伝子産物を精製したもの
    であることを特徴とする請求項13記載の剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002522391A (ja) * 1998-08-03 2002-07-23 イー ホウィーラー,ロナルド 前立腺配合物
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KR101062980B1 (ko) 2008-10-14 2011-09-07 건국대학교 산학협력단 Timp-1의 발현을 증가시키는 활성을 갖는 신규한 방선균속에 속하는 신규균주

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