JPH1017273A - クレーンの停止制御装置 - Google Patents

クレーンの停止制御装置

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JPH1017273A
JPH1017273A JP17241896A JP17241896A JPH1017273A JP H1017273 A JPH1017273 A JP H1017273A JP 17241896 A JP17241896 A JP 17241896A JP 17241896 A JP17241896 A JP 17241896A JP H1017273 A JPH1017273 A JP H1017273A
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JP17241896A
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Tadashi Morita
正 守田
Kazunori Kuromoto
和憲 黒本
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】作業者の意に反した方向にブーム先端が移動さ
れてしまうことを回避し、また作業者の予期せぬ、移動
方向変化、移動停止によって荷振れが発生するのを防止
する。 【解決手段】ブーム先端が限界作業領域の境界に到達す
るまでの残り時間が制御時間よりも小さくなる前に、制
御開始を示す信号が出力される。すると、これに応じ
て、ブームの先端が、現在位置から現在のブーム起伏角
速度、現在のブーム旋回角速度および現在のブーム伸縮
速度をそれぞれ初期速度として、ブーム起伏方向、ブー
ム旋回方向およびブーム伸縮方向にそれぞれ所定の減速
加速度で制御時間だけ移動するように、ブーム起伏角速
度、ブーム旋回角速度およびブーム伸縮速度が制御され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、限界作業領域内で
ブームを停止させる制御を行うクレーンの停止制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】ブームによって吊り荷が吊り下げられた
クレーンによって作業を行う場合、ブーム先端、つまり
吊り荷を、吊り荷の重量、アウトリガの張出し量等によ
って定まる限界作業領域内で停止させ、転倒の危険の可
能性のある領域に入らないようにすることが、作業の安
全を確保するために必要である。
【0003】しかも、吊り荷はロープによってブーム先
端に吊り下げられているため、ブームを停止させる際に
は慣性力等を考慮して荷振れなく停止させてやること
が、作業の安全上、必要となる。
【0004】こうした、荷を吊ったクレーンに対しその
旋回動作を荷振れなく自動的に停止させるための技術と
しては、論文「Anti-Swing Control of the Overhead C
raneUsing Linear Feedback、A.J.Ridout、Journal of
Electrical and Electronics Engineering.Australia-I
E Aust.& IREE Aust.Vol9.NO1/2」があり、この論文に
は、振り子の振れのない状態で、振り子の上端を一定加
速度で減速した場合、振り子の周期時間後であれば振れ
なく停止できることが示されている。
【0005】特公平3−18596号公報では、振り子
のこの特性を旋回型クレーンに応用して、吊り荷の旋回
半径、重量、ブームの慣性モーメント及びブームの許容
荷重からブームの横曲げ強度に基づく旋回角速度の許容
条件を算出し、次式に示される一定角速度βで旋回を制
動停止させるようにしている。
【0006】β=−ω・Ω0/2nπ 2π/ω:吊り荷の振れ周期 n:βが上記許容条件を満たす最小の自然数 さらに、特開平3−177299号公報では、上述した
ようにブーム曲げ強度条件を考慮して停止までに必要な
ブームの旋回所要角度を予め算出しておくとともに、ブ
ームが限界作業領域に到達するまでの旋回残り角度を作
業中に随時算出し、この旋回残り角度が上記旋回所要角
度に達した時点で、ブームを所定の減速加速度で減速さ
せる停止制御を開始して、限界作業領域内でブームを停
止させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平3−1
77299号記載の発明によれば、停止制御開始時に
は、作業半径が現在の作業半径に強制的に固定される。
これは、停止制御開始時以降に、作業者の意のままにブ
ームが伸長等されて作業半径が変化してしまうと、最終
的な停止地点が限界作業領域を超えてしまい、限界作業
領域内で停止させるという所期の目的を達成できなくな
るからである。
【0008】このため、図12(a)に示すようにブー
ム先端の初期速度ベクトルV1がブーム旋回方向成分の
みの場合には、ブーム先端が旋回方向T1に制御され
て、2次元平面x−y上の限界作業領域Sの境界位置で
精度よく停止(これを×印にて示す)されることにな
る。
【0009】しかし、ブーム先端は旋回方向成分のみな
らず、ブーム起伏方向成分、ブーム伸縮方向成分にも速
度を持っている。
【0010】このため、図12(b)に示すように起伏
方向と旋回方向にブームが操作されていて、その操作方
向V2(初期速度ベクトル)に移動すれば限界作業領域
S内に充分収まるにもかかわらず、作業者の意に反した
早い時期に作業半径が半径Rに強制的に固定されてしま
い、作業者の予期せぬ、ブーム旋回方向T2に沿った停
止制御が開始されてしまうことになる。
【0011】また、図12(c)に示すような方向V
3、つまりブーム先端が、作業半径を長くする方向へ移
動している場合には、作業半径R固定により突然ブーム
先端の移動方向が旋回方向T3に大きく変化することに
なって予期せぬ荷振れが誘発されることになる。また、
図12(d)に示すように、ブーム先端が、旋回方向に
速度成分を持つことなく作業半径を長くする方向V4に
移動している場合には、作業半径が強制的に固定されて
しまい、これによってブームが強制的に停止され、大き
な荷振れが発生することになる。
【0012】本発明はこうした実状に鑑みてなされたも
のであり、作業者の意に反した方向にブーム先端が移動
されてしまうことを回避でき、また作業者の予期せぬ、
移動方向変化、移動停止によって荷振れが発生してしま
うことを防止できるクレーンの停止制御装置を提供する
ことを解決課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段および効果】そこで、請求
項1に係る発明では、ブームによって吊り下げられた吊
り荷の重量とアウトリガの張出し量とに基づいて前記ブ
ームの先端が移動できる限界作業領域を設定し、この限
界作業領域を超えない位置に、前記ブームの先端を停止
させるクレーンの停止制御装置において、前記ブームの
起伏角を検出するブーム起伏角検出手段と、前記ブーム
の起伏角速度を検出するブーム起伏角速度検出手段と、
前記ブームの旋回角を検出するブーム旋回角検出手段
と、前記ブームの旋回角速度を検出するブーム旋回角速
度検出手段と、前記ブームの長さを検出するブーム長検
出手段と、前記ブームの伸縮速度を検出するブーム伸縮
速度検出手段と、前記ブーム長検出手段の出力と、前記
ブーム起伏角検出手段の出力と、前記ブーム旋回角検出
手段の出力とに基づいて、前記ブームの先端の現在の位
置を演算する位置演算手段と、前記ブーム起伏角速度検
出手段の出力と、前記ブーム旋回角速度検出手段の出力
と、前記ブーム伸縮速度検出手段の出力と、前記位置演
算手段の出力と、前記設定された限界作業領域とに基づ
いて、前記ブームの先端が、現在位置から現在のブーム
起伏角速度、現在のブーム旋回角速度および現在のブー
ム伸縮速度をそれぞれ初期速度としてブーム起伏方向、
ブーム旋回方向およびブーム伸縮方向にそれぞれ所定の
減速加速度で移動したときの、前記限界作業領域を超え
るまでの残り時間を演算する残り時間演算手段と、前記
ブームを含むクレーンの旋回体および前記吊り荷の現在
の慣性モーメントに基づき、ブーム停止時において前記
吊り荷の触れが残らないために必要な制御時間を演算す
る制御時間演算手段と、前記残り時間演算手段で演算さ
れた残り時間と、前記制御時間演算手段で演算された制
御時間とを比較して、前記残り時間が前記制御時間より
も小さくなる前に、制御開始を示す信号を出力する比較
手段と、前記比較手段から制御開始信号が出力された場
合に、前記ブームの先端が、現在位置から現在のブーム
起伏角速度、現在のブーム旋回角速度および現在のブー
ム伸縮速度をそれぞれ初期速度としてブーム起伏方向、
ブーム旋回方向およびブーム伸縮方向にそれぞれ所定の
減速加速度で前記制御時間だけ移動するように、ブーム
起伏角速度、ブーム旋回角速度およびブーム伸縮速度を
制御する制御手段とを具えるようにしている。
【0014】このように、本願発明によれば、ブーム旋
回方向という一方向のみではなく、ブーム先端の起伏方
向、旋回方向および伸縮方向といったブーム先端が取り
得る三方向の角度(位置)変化を考慮してブーム停止制
御がなされる。
【0015】そして、こうした起伏方向、旋回方向およ
び伸縮方向といった三方向の角度変化を考慮してブーム
を限界作業領域内で停止させるために、これら各方向の
角度(位置)変化を同時に取り扱うことのできる残り時
間という概念を導入しており、この残り時間が停止制御
に必要な制御時間に達した時点で停止制御を開始するよ
うにしている。
【0016】また、請求項2に係る発明では、限界作業
領域を予め求めることなく、現在から制御時間が経過し
た将来位置における許容負荷モーメントと実負荷モーメ
ントの大小比較により、クレーンが転倒するおそれがあ
るか否かを直接判断する構成をとっている。そして、こ
の比較の結果、現在位置において制御を開始しなければ
クレーンが転倒するおそれがある、つまり限界作業領域
を超えると判断されたならば、請求項1に係る発明と同
様に、起伏方向、旋回方向および伸縮方向といった三方
向の角度変化が考慮された停止制御が開始されることに
なる。
【0017】本発明によれば、図11(b)に示すよう
に、図12(b)と同様に、起伏方向と旋回方向にブー
ムが操作されている場合でも、現在の起伏角速度、現在
の旋回角速度(V2はこれらの合成速度ベクトルを示
す)をそれぞれ初期速度として、それぞれの方向に所定
の減速加速度で減速される停止制御がなされるので、作
業者の意に反することなくブーム先端を限界作業領域S
内に収める方向T´2に移動させることができる。
【0018】また、図11(c)に示すように、図12
(c)と同様に、ブーム先端が作業半径を長くする方向
へ移動している場合でも、現在の起伏角速度、現在の旋
回角速度および現在の伸縮速度(V3はこれらの合成速
度ベクトルを示す)をそれぞれ初期速度として、それぞ
れの方向に所定の減速加速度で減速される停止制御がな
されるので、移動方向T´3は大きく変化することがな
く、予期せぬ荷振れの発生が防止される。また、図11
(d)に示すように、図12(d)と同様に、ブーム先
端が旋回方向に速度成分を持たずに作業半径を長くする
方向V4に移動している場合でも、現在の起伏角速度、
現在の伸縮速度(V4はこれらの合成速度ベクトルを示
す)をそれぞれ初期速度として、それぞれの方向に所定
の減速加速度で減速される停止制御がなされるので、従
来のようにブームの強制的な停止によって大きな荷振れ
が発生することが防止される。
【0019】以上のように、本発明によれば、作業者の
意に反した方向にブーム先端が移動されてしまうことを
回避でき、また作業者の予期せぬ、移動方向変化、移動
停止によって荷振れが発生することが防止される。
【0020】
【発明の実施の形態】
・実施の形態1 以下、図面を参照して本発明に係るクレーンの停止制御
装置の実施の形態について説明する。
【0021】図3は、本発明が適用されるクレーン車両
1の側面を示す図である。
【0022】このクレーン車両1の主要な構成について
説明すると、このクレーン車両1は、下部走行体である
車体2と、この車体2に付設され、その張出し量が調整
できるアウトリガ52と、車体2を基台として旋回され
る旋回体(上部旋回体)3と、この旋回体3によって支
持され、起伏方向に上下動するとともに、伸縮自在にそ
のブーム長が変化されるブーム4と、このブーム4の先
端より、巻上げおよび巻下げが自在に吊り下げられたロ
ープ5と、このロープ5の先端に設けられ、吊り荷7を
係止するフック6とから構成されている。
【0023】(なお、以下において(X・)とあるのは
Xの1階微分を示すものとする。) さらに、クレーン車両1には、ブーム4の長さLを検出
するブーム長センサ10と、ブーム4の伸縮速度(L
・)を検出する伸縮速度センサ53と、ブーム4の起伏
角θを検出するブーム起伏角センサ11と、ブーム4の
起伏角速度(θ・)を検出する起伏角速度センサ54
と、ブーム4を起伏駆動する起伏用油圧シリンダ55内
の圧油の圧力を検出するブーム起伏シリンダ圧力センサ
12と、ブーム4の旋回角度βを検出する旋回角センサ
13と、ブーム4(旋回体3)の旋回角速度(β・)を
検出する旋回角速度センサ14と、現在ウインチから引
き出されているロープ長を検出するロープ長センサ15
と、アウトリガ52の張出し長さlaを検出する張出し
長さセンサ16と、車体2の傾斜角φを検出する車体傾
斜センサ17とが設けられている。なお、ブーム起伏シ
リンダ圧力センサ12は、ブーム起伏シリンダ55内の
圧力を検出することによって、吊り荷7の重量Wwを検
出するセンサである。
【0024】図2は、こうしたクレーン車両1のブーム
4の移動、停止を制御するための制御ブロック図を示し
ている。
【0025】まず、クレーン旋回体3を旋回停止させる
ための旋回油圧システム40は、図5に示すように、電
磁比例減圧弁(EPC弁)41,42、旋回油圧モータ
43、方向制御弁44、メインポンプ45、メインリリ
ーフ弁46、タンク47、チャージポンプ48、リリー
フ弁49、タンク50、手動操作バルブ(PPC弁)5
1等で構成されている。
【0026】通常の手動旋回操作では、PPC弁51の
レバーが操作されると、レバー操作ストロークSに比例
した2次圧力が油圧管路m1、m2に発生され、これらの
2次圧力によりEPC弁41、42を介して方向制御弁
44のスプールが移動され、これにより旋回モータ43
に流入する流量が制御されて旋回停止制御が行われる。
【0027】一方、EPC弁41、42には、制御量算
出部37から旋回用の制御電流指令i2が入力されてお
り、この制御電流指令i2によっても旋回停止制御が行
われる。すなわち、EPC弁41、42への入力電流i
2が変化されると、PPC弁51の操作によって油圧管
路m1、m2で発生した2次圧力は、入力電流i2に応じ
て減圧されて方向制御弁44に伝わるので、手動操作ス
トロークSが大きな場合でも、旋回を減速側に制御でき
ることになる。起伏油圧システム70、伸縮油圧システ
ム80についても上記旋回油圧システム40と同様に構
成されており、制御量算出部37からブーム起伏用の制
御電流指令i1、ブーム伸縮用の制御電流指令i3が入力
されると、手動操作レバーの操作ストロークSが大きな
場合であっても、起伏、伸縮を減速する側に制御するこ
とができるようになっている。
【0028】さて、図1のクレーン旋回体慣性モーメン
ト算出部31は、ブーム長センサ10およびブーム起伏
角センサ11の出力に基づいて、クレーンブームの姿勢
を算出し、これによってクレーン旋回体(旋回体3およ
びブーム4)の慣性モーメントJ0を算出する。
【0029】吊荷慣性モーメント算出部32は、ブーム
長センサ10、ブーム起伏角センサ11およびブーム起
伏シリンダ圧力センサ12の出力に基づいて、吊り荷7
の重量Wwと吊り荷7の吊り半径(旋回半径)L´を求
め、これらによって吊り荷慣性モーメントJwを算出す
る。
【0030】ここで、クレーン旋回駆動系を数式モデル
として考察する。
【0031】図4に、クレーン減速時における旋回駆動
系のモデルを示す。
【0032】すなわち、図4においては、吊り荷7とク
レーン旋回体の2つの回転運動を考え、油圧モータによ
る駆動部に対しこれら2つの回転運動体がねじりこわさ
Kw、K0およびねじり粘性減衰係数Cw、C0によって結
合されているとする。
【0033】ここで、 Jw:吊り荷7の慣性モーメント J0:クレーン旋回体の慣性モーメント Kw:吊り荷7とクレーン旋回体の間のねじりこわさ Cw:吊り荷7とクレーン旋回体の間のねじり粘性減衰
係数 K0:クレーン旋回体と減速機の間のねじりこわさ C0:クレーン旋回体と減速機の間のねじり粘性減衰係
数 βw:吊り荷7の回転角 β0:クレーン旋回体の回転角 また、油圧モータによる駆動部は、 qM:モータ容量 j :減速機減速比 ηt:油圧モータ+減速機のトルク効率 ΔP:旋回モータ前後差圧(制動トルクに対応する) であり、そのときの出力トルクτは、 τ=(ΔP・qM・j・ηt)/200π となり、そのときの運動方程式は下式(1)のようにな
る。
【0034】 そして、こうしたクレーン速度駆動系に対し、油圧モー
タ前後差圧ΔPを入力とし、ブーム先端の角速度、すな
わちこのモデルでは、dβ0/dtの軌道を目標出力と
した制御をせねばならぬのであるが、その目標軌道の与
え方によっては、ブーム先端の振動が観測されることが
ある。これは先の運動方程式(1)において、慣性項J
0、Jwが大きく、減衰項C0、Cwや剛性項K0、Kwが小
さいために、駆動系自体が振動的な特性を有しているた
めで、ブーム長さLが大きくなるに従い、またブーム起
伏角θが小さくなるにしたがい、また吊り荷重量Wwが
大きくなるに従って、この傾向は強まることになる。
【0035】以上のクレーン駆動系の数学モデルでは、
簡単のため集中質量による2自由度系の振動モデルとし
たが、実際にはこれらはクレーン構造物の弾性振動であ
ることから連続体による無限自由度モデルでなければな
らず、かつ機械的なガタに起因する非線形性が強いこ
と、あるいは制御内部にも無駄時間や時間遅れが発生す
ることから解析モデルを構築することは容易ではない。
【0036】したがって、本装置においては、予め実験
によって許容される減速時間Tminを求めておき、実際
の旋回自動停止制御においては、吊り荷7の振れ周期T
に自然数nを乗じた値nTが下限値Tminより大である
という関係のもとに、nTなる時間で一定減速角加速度
となるようにクレーン旋回体を速度制御し、停止に至ら
せるようにする。
【0037】すなわち、クレーン旋回体の目標角加速度
α2をα2=−(β0・)/nTで与えるようにする。な
お、(β0・)は旋回自動停止制御開始直前のクレーン
旋回体の角速度であり、Tは吊り荷7の周期、nはnT
≧Tminなる最小の自然数である。
【0038】以上、旋回停止制御の場合について説明し
たが、起伏停止制御についても同様にして制御時間の下
限値Tminが求められ、これによってnT≧Tminとなる
最小の自然数nが求められる。ここで、本アルゴリズム
によれば、制御中における旋回体3及びブーム4の弾性
振動は当然抑制されるわけであるから、ブーム部材は当
然降伏には至らず、先の従来技術で示したようなブーム
横曲げ強度条件を考慮する必要はない。すなわち、許容
条件をブーム強度によるものではなく、制御動特性に起
因する制約時間で設定することだけで、破損の心配の無
い良好なクレーン停止制御を実現できるのである。
【0039】以上、(1)式に示したように、慣性モー
メントJ0、Jwによって旋回角度制御系の動特性は変化
するので、予めJ0、Jwと、制御時間の下限値Tmin[s
ec]の関係を実験によって求めておき、これらの対応関
係を示すテーブルマップが制限時間下限値算出部34に
記憶されている。
【0040】ここで、クレーン旋回体慣性モーメント算
出部31は、ブーム長センサ10、起伏角センサ11の
出力に基づき起伏方向の慣性モーメントと旋回方向の慣
性モーメントを求めている。また、吊り荷慣性モーメン
ト算出部32でも、ブーム長センサ10、起伏角センサ
11、起伏シリンダ圧力センサ12の出力に基づき起伏
方向の慣性モーメントと旋回方向の慣性モーメントを求
めている。
【0041】制限時間下限値算出部34では、入力され
たJ0値、Jw値に対応する制限時間下限値Tminをテー
ブルマップから読み出す。起伏角度制御系についても同
様にして制御時間下限値Tminが求められる。そして、
旋回についての制御時間下限値Tmin、起伏についての
制御時間下限値Tminのうち、大きい方が制限時間算出
部35に出力される。
【0042】一方、吊り荷振れ周期算出部33は、ロー
プ長センサ15によって検出されたロープ長と、ブーム
長センサ10によって検出されたブーム長Lとによって
ブーム先端4aから吊り荷7(フック6)までのロープ
長さlp(図3参照)を算出し、下式によって吊り荷7
の周期T[sec]を算出する。
【0043】T=2π√(L/g) …(2) 但し、gは重力加速度である。
【0044】そして、制御時間算出部35は、制限時間
下限値算出部34で算出されたTminと吊り荷振れ周期
算出部33で算出された吊り荷振れ周期Tを用い、次の
(3)式、 nT≧Tmin …(3) が成立する最小の自然数nを選択し、該選択したnを用
いてnTを制御時間Tcとして決定する。このようにし
て決定された制御時間Tc(=nT)は目標減速加速度
算出部36に出力されるとともに、後述する比較部57
に出力される。
【0045】目標減速加速度算出部36は、入力された
制御時間Tc(=nT)を用いて下式(4)にしたがっ
て、目標減速角加速度(起伏方向)α1、目標減速角加
速度(旋回方向)α2および目標減速加速度(伸縮方
向)α3を算出する。
【0046】 但し、(θ0・)は自動停止制御開始直前の起伏速度[d
eg/sec]、(β0・)は自動停止制御開始直前の旋回速
度[deg/sec]、(L0・)は自動停止制御開始直前の伸
縮速度[m/sec]である。
【0047】自動停止制御は、比較部57において、ブ
ーム先端4aが限界作業領域Sの境界に到達するまでの
残り時間Tallow(これについては後述する)と、上記
制御時間算出部35で算出される制御時間Tcとの関係
が、 Tc≧Tallow …(5) であると判断されたとき、つまり、残り時間Tallowが
停止制御に必要な制御時間Tcに達した時点で停止制御
を開始するようにしている。なお、この場合、停止制御
にΔtだけ余裕を設けてもよく、この場合、上記(5)
式の代わりに、 Tc+Δt≧Tallow …(5)´ なる式を使用してもよい。
【0048】ここで、上記残り時間Tallowについて説
明する。
【0049】残り時間Tallowは、限界作業領域算出部
21、作業半径算出部56、旋回角センサ13、吊り荷
速度ベクトル算出部22の各出力に基づいて、残り時間
算出部23において求められる。
【0050】限界作業領域算出部21は、ブーム長セン
サ10、ブーム起伏角度センサ11、旋回角度センサ1
3、アウトリガ張出し長さセンサ16、車体傾斜センサ
17、ブーム起伏シリンダ圧力センサ12の各出力に基
づいて、現在のブーム張出し量la等の車両状態と吊り
荷7の重量Wwにおける限界作業領域Sを図11(a)
に示すごとく算出する。
【0051】同図11(a)は、ブーム先端4aが移動
できる限界作業領域Sの上面図であり、ハッチングで示
す領域はその他の領域に比べて限界作業領域が小さくな
っているのがわかる。
【0052】このため、ブーム先端4aが同じ位置Pか
ら右に旋回したとしても経路のとり方R1、R2、R3に
よって限界作業領域Sを超えるまでの距離、時間は異な
ってくる。
【0053】吊り荷速度ベクトル算出部22は、ブーム
起伏角度センサ11、ブーム起伏角速度センサ54、ブ
ーム旋回角度センサ13、ブーム旋回角速度センサ1
4、ブーム長センサ10、ブーム伸縮速度センサ53の
各出力に基づいて、現在の吊り荷7の速度ベクトルV、
つまりブーム先端4aの速度ベクトルVを算出する。た
とえば、図11(b)、(c)、(d)に示すような速
度ベクトルV2、V3、V4が求められる。
【0054】残り時間算出部23は、吊り荷速度ベクト
ル算出部22で算出された速度Vを初速度として所定の
減速加速度で減速させたときに、現在位置P0から限界
作業領域Sの境界点Psに到達するまでの残り時間Tall
ow、つまり図8において点P0、Ps間の距離(経路)Q
0sを辿るのに要する時間Tallowを算出する。ここで現
在位置P0(x、y)は、作業半径算出部56で算出さ
れる旋回中心Cからブーム先端4aまでの水平方向距離
である作業半径L´と、旋回角度センサ13の検出値β
とから求められる。
【0055】以下、吊り荷ベクトル算出部22、残り時
間算出部23で行われる演算について、図7ないし図9
を併せ参照して説明する。
【0056】すなわち、図7に示すように、ブーム先端
4aを3次元座標x−y−z上の座標位置(x、y、
z)で表すと、ブーム4のx−y平面への正射影(作業
半径)L´、x−y平面上の座標位置(x、y)は次式
(6)、(7)、(8)のように表される。但し、起伏
角θは、ブーム上昇方向をプラスとし、旋回角βは左旋
回方向をプラスとする。
【0057】L´=Lcosθ …(6) x=L´cosβ=Lcosθ・cosβ …(7) y=L´cos(90-β)=Lcosθ・sinβ …(8) よって、x方向、y方向の速度vx、vyは上記(7)、
(8)式を1階微分することによって得られ、 vx=(x・)=((−sinθ)(θ・)cosβ+cosθ(−sinβ)(β・)) +(L・)cosθcosβ …(9) vy=(y・)=((−(θ・)sinθsinβ)+cosθ(β・)cosβ) +(L・)cosθsinβ …(10) となる。
【0058】したがって、ブーム先端4aの速度ベクト
ルVは、図8に示すように、上記(9)、(10)式の
速度vx、vyを合成することによって得られる。
【0059】よって、ブーム先端4aの現在の速度ベク
トルVは、各センサの出力θ、(θ・)、β、(β
・)、L、(L・)を上記(9)、(10)式に代入す
ることによって得られる。
【0060】上記(9)、(10)式より、各時刻tに
おける速度ベクトルV(t)は、 V(t)=(Aθ(t)、Bβ(t)、CL(t)) …(11) と、A、B、Cを各係数として、起伏方向の成分Aθ
(t)、旋回方向の成分Bβ(t)、伸縮方向の成分CL(t)
で表されるのがわかる。
【0061】このようにブーム先端4aの速度は、起伏
方向、旋回方向および伸縮方向といった三方向の自由度
を持つが、この実施の形態ではこれら三方向の速度を考
慮してブーム先端4aを限界作業領域S内で停止させる
ための制御が行われる。
【0062】そのためには、ブーム先端4aが現在点P
0から限界作業領域Sの境界点Psに到達するまでに辿る
経路Q0s(この経路Q0sを移動するのに要する時間Tal
low)を知る必要がある。
【0063】しかし、図9に ブーム先端4aが速度一
定で移動した場合の軌跡を示すように、ブーム先端4a
の速度は、起伏方向、旋回方向および伸縮方向といった
三方向の自由度を持つため、ブーム先端4aの移動経路
Q0sを一義的に求め、この移動経路から残り時間Tallo
wを一義的に求めることはできない。
【0064】そこで、この実施の形態では、下記(1
2)式に示すように、時間t経過後のブーム先端将来位
置(xt、yt)を求める式を設定し、この将来位置(x
t、yt)が限界作業領域Sの境界座標位置Psになった
ときの積分演算終端時間tを、残り時間Tallowとして
決定するようにしている。
【0065】 すなわち、上記(12)において、積分演算終端時間t
が残り時間Tallowになったとき、左辺は限界作業領域
Sの境界点Psに達したときのブーム先端位置Ps(x
t、yt)を表し、右辺第1項は停止制御開始時における
ブーム先端位置P0(x0、y0)を表し、右辺第2項は
停止制御開始のP0点から境界点Psに到達するまでのブ
ーム先端移動距離を表している。
【0066】右辺第1項(x0、y0)は、上記(6)式
の作業半径L´と、旋回角度センサ13の検出値βとか
ら求められる。右辺第2項の移動距離は、上記(9)、
(10)式の速度vx、vyに基づき求められる。但し、
右辺第2項の移動距離は、(9)、(10)式に、各セ
ンサの将来の検出値θ、(θ・)、β、(β・)、L、
(L・)を代入することによって得られるものであるの
で、(9)、(10)式をそのまま積分することは不可
能である。そこで、(9)、(10)式に各センサの現
在の検出値θ、(θ・)、β、(β・)、L、(L・)
を代入して現在の速度vx、vyを求め、この初期速度が
所定の減速加速度で減速されるものとして、将来の速度
を時間の関数として表し、これを積分すればよい。
【0067】こうして、積分終端時間tの値を所定間隔
ずつ変えて上記(12)式の右辺の積分演算を繰り返し
行い、その度に左辺の将来位置(xt、yt)が、限界作
業領域Sの境界点Psに到達したか否かを判断する。こ
の結果、将来位置(xt、yt)が、限界作業領域Sの境
界点Psに到達したと判断されたときの積分終端時間t
が、最終的に残り時間Tallowであると決定される。
【0068】こうして、ブーム先端4aが限界作業領域
Sの境界点Psに到達するまでの残り時間Tallowが求め
られると、この残り時間Tallowと、上記制御時間算出
部35で算出される制御時間Tcとを比較し、その関係
が、上記(5)式を満足しているか否かが逐次判断され
る。この結果、上記(5)式(Tc≧Tallow)を満足し
ているものと判断されると、比較部57は、停止制御を
開始する旨の信号を制御量算出部37に送出する。
【0069】制御量算出部37は、目標減速加速度算出
部36で算出された減速加速度(角加速度)α1、α2、
α3が得られるように、起伏油圧システム70、旋回油
圧システム40、伸縮油圧システム80の各電磁比例減
圧弁(EPC弁)41、42に対する制御電流量i1、
i2、i3を演算し、該演算した制御電流i1、i2、i3
によってEPC弁41、42を制御する。
【0070】すなわち、上記求められた(4)式の減速
加速度α1、α2、α3で各軸(θ、β、L)を減速させ
るための目標速度(角速度)(θopt・)、(βopt
・)、(Lopt・)が、時間tの関数として、次式(1
3)に示すごとく求められる。 (θopt・)=(θ(t)・)=(θ0・)(1−t/Tc) (βopt・)=(β(t)・)=(β0・)(1−t/Tc) (Lopt・)=(L(t)・)=(L0・)(1−t/Tc) …(13) この(13)式の目標速度(角速度)(θopt・)、
(βopt・)、(Lopt・)は、図6に示される。
【0071】そこで、現在の速度(θ・)、(β・)、
(L・)を各速度センサ54、14、53より逐次フィ
ードバック量として入力し、下記(14)式に示すよう
に、これと上記目標速度(角速度)(θopt・)、(βo
pt・)、(Lopt・)との誤差を算出し、この誤差を零
にするための制御電流値i1、i2、i3を算出する。こ
うして算出された制御電流値i1、i2、i3が、起伏油
圧システム70、旋回油圧システム40、伸縮油圧シス
テム80にそれぞれ出力される。
【0072】 但し、K1、K2、K3はそれぞれ起伏、旋回、伸縮ごと
の定数である。
【0073】これにより、クレーン1のブーム4は、図
6に示した目標速度(角速度)軌道(θopt・)、(βo
pt・)、(Lopt・)にしたがって減速され、荷振れを
生ずることなく限界作業領域S内で停止する。
【0074】・実施の形態2 次に、限界作業領域Sを予め求めることなく、クレーン
車両1の転倒限界を示す許容負荷モーメントと実際のク
レーン車両1の車両状態を示す実負荷モーメントの大小
比較により、クレーン1が転倒するか否かを直接判断す
る実施の形態について図2を参照して説明する。
【0075】図2の構成において図1と異なるのは、位
置演算部58、モーメント演算部59、比較部60を設
けている点である。
【0076】位置演算部58は、作業半径算出部56の
出力と、ブーム旋回角センサ13の出力と、吊り荷速度
ベクトル算出部22の出力と、制御時間算出部35の出
力とに基づいて、現在から制御時間Tcが経過した時点
におけるブーム先端4aの位置(xc、yc)を演算する
ものである。
【0077】すなわち、作業半径算出部56から出力さ
れる作業半径L´と、旋回角センサ13の検出値βとに
基づき、現在のブーム先端位置(x0、y0)を求め、こ
れを上記(12)の右辺第1項に代入するとともに、同
(12)式の右辺第2項の積分演算終端時間tに、制御
時間算出部35から出力される制御時間Tcを代入して
積分演算を行う。こうして現在から制御時間Tcが経過
した時点におけるブーム先端4aの位置(xc、yc)
が、(12)式の左辺の値として求められる。
【0078】モーメント演算部59は、位置演算部58
の出力と、ブーム起伏シリンダ圧力センサ12の出力
と、アウトリガ張出し長さセンサ16の出力と、車体傾
斜センサ17の出力とに基づいて、現在から制御時間T
cが経過した時点における実負荷モーメントMrealを演
算するとともに、現在から制御時間Tcが経過した時点
における許容負荷モーメントMallowを演算する。
【0079】以下、図10(a)、(b)を参照して、
これら実負荷モーメントMreal、許容負荷モーメントM
allowについて説明する。
【0080】図10(a)は、クレーン車両1の上面図
であり、図10(b)は、クレーン車両1をx−z平面
でみた側面図である。
【0081】この図10に示すように、 Ww:吊り荷7の重量 Wb:ブーム4の重量 Wr:旋回体(上部旋回体)3の重量 Ws:車体(下部走行体)2の重量 Lw:旋回中心Cから吊り荷7までの距離 Lb:旋回中心Cからブーム重心までの距離 Lr:旋回中心Cから上部旋回体重心までの距離 Ls:旋回中心Cから下部走行体重心までの距離 L0:旋回中心Cから転倒支点までの距離 とすると、旋回中心まわりの実負荷モーメントMreal
は、 Mreal=Ww・Lw+Wb・Lb+Ws・Ls+Wr・Lr …(15) となり、一方、旋回中心まわりの許容負荷モーメントM
allowは、 Mallow=L0(Ww+Wb+Ws+Wr) …(16) となる。ここで、Wb、Ws、Wr、Lsは既知の値であ
り、吊り荷重量Wwは、ブーム起伏シリンダ圧力センサ
12の出力として求められる。距離Lw、Lb、Lrは、
位置演算部58から出力されるブーム先端4aの位置
(xc、yc)と、車体傾斜センサ17から出力される車
体2の傾斜φに基づいて求められる。距離L0は、アウ
トリガ張出し長さセンサ16から出力されるアウトリガ
張出し長さlaと、車体傾斜センサ17から出力される
車体2の傾斜φに基づいて求められる。なお、車体傾斜
センサ17は、車体傾斜角φの影響を除去する補正をか
けるために必要であるが、車体傾斜角φの影響が小さい
場合には、車体傾斜角φの影響を除去する補正は省略す
ることができる。
【0082】比較部60は、こうして演算された、現在
から制御時間Tcが経過した時点における実負荷モーメ
ントMrealと、現在から制御時間Tcが経過した時点に
おける許容負荷モーメントMallowとを比較し、この結
果、実負荷モーメントMrealが許容負荷モーメントMal
low以上になった場合に、現在から制御時間Tc経過後に
クレーン1が転倒する虞があるものと判断し、停止制御
を開始する旨の信号を制御量算出部37に送出する。つ
まり、限界作業領域Sの境界に到達するまでの残り時間
Tallowが、上記(5)式(Tc≧Tallow)を満足して
いるものと判断して、比較部60は、停止制御を開始す
る旨の信号を制御量算出部37に送出する。
【0083】制御量算出部37は、目標減速加速度算出
部36で算出される減速加速度(角加速度)α1、α2、
α3が得られるように、起伏油圧システム70、旋回油
圧システム40、伸縮油圧システム80の各電磁比例減
圧弁(EPC弁)41、42に対する制御電流量i1、
i2、i3を演算し、該演算した制御電流i1、i2、i3
によってEPC弁41、42を制御する。
【0084】すなわち、上記求められた(4)式の減速
加速度α1、α2、α3で各軸(θ、β、L)を減速させ
るための目標速度(角速度)(θopt・)、(βopt
・)、(Lopt・)が、時間tの関数として、上記(1
3)に示すごとく求められる。そこで、現在の速度(θ
・)、(β・)、(L・)を各速度センサ54、14、
53より逐次入力し、これと上記目標速度(角速度)
(θopt・)、(βopt・)、(Lopt・)との誤差を算
出し、この誤差を零にするための制御電流値i1、i2、
i3を上記(14)式のごとく算出する。こうした算出
された制御電流値i1、i2、i3が、起伏油圧システム
70、旋回油圧システム40、伸縮油圧システム80に
それぞれ出力される。
【0085】これにより、クレーン1のブーム4は、図
6に示した目標速度(角速度)軌道(θopt・)、(βo
pt・)、(Lopt・)にしたがって減速され、荷振れを
生ずることなく限界作業領域S内で停止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態1を示す制御ブロッ
ク図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態2を示す制御ブロッ
ク図である。
【図3】図3は実施の形態におけるクレーン車両の側面
図である。
【図4】図4はクレーン減速時における旋回駆動系のモ
デルを示す図である。
【図5】図5は旋回油圧システムの構成を示す油圧回路
図である。
【図6】図6は目標速度軌跡あるいは目標角速度軌跡の
一例を示す図である。
【図7】図7はブーム先端の座標位置を3次元座標系で
示す図である。
【図8】図8はブーム先端の移動経路と限界作業領域と
の関係を説明する図である。
【図9】図9はブーム先端の移動経路を説明する図であ
る。
【図10】図10(a)はクレーン車両の上面を、図1
0(b)はクレーン車両の側面をそれぞれ示す図であ
り、実負荷モーメントと許容負荷モーメントを説明する
ために用いた図である。
【図11】図11(a)、(b)、(c)、(d)はそ
れぞれ、本発明における、ブーム先端の移動経路と限界
作業領域との関係を説明する図である。
【図12】図12(a)、(b)、(c)、(d)はそ
れぞれ、従来技術における、ブーム先端の移動経路と限
界作業領域との関係を説明する図である
【符号の説明】
1…クレーン車両 4…ブーム 7…吊り荷 10…ブーム長センサ 11…ブーム起伏角センサ 12…ブーム起伏シリンダ圧力センサ 13…ブーム旋回角センサ 14…ブーム旋回角速度センサ 15…ロープ長センサ 16…アウトリガ張出長さセンサ 21…限界作業領域算出部 22…吊り荷速度ベクトル算出部 23…残り時間算出部 35…制御時間算出部 37…制御量算出部 40…旋回油圧システム 52…アウトリガ 53…ブーム伸縮速度センサ 54…ブーム起伏角速度センサ 56…作業半径算出部 57…比較部 58…位置演算部 59…モーメント演算部 60…比較部 70…起伏システム 80…伸縮油圧システム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブームによって吊り下げられた吊り
    荷の重量とアウトリガの張出し量とに基づいて前記ブー
    ムの先端が移動できる限界作業領域を設定し、この限界
    作業領域を超えない位置に、前記ブームの先端を停止さ
    せるクレーンの停止制御装置において、 前記ブームの起伏角を検出するブーム起伏角検出手段
    と、 前記ブームの起伏角速度を検出するブーム起伏角速度検
    出手段と、 前記ブームの旋回角を検出するブーム旋回角検出手段
    と、 前記ブームの旋回角速度を検出するブーム旋回角速度検
    出手段と、 前記ブームの長さを検出するブーム長検出手段と、 前記ブームの伸縮速度を検出するブーム伸縮速度検出手
    段と、 前記ブーム長検出手段の出力と、前記ブーム起伏角検出
    手段の出力と、前記ブーム旋回角検出手段の出力とに基
    づいて、前記ブームの先端の現在の位置を演算する位置
    演算手段と、 前記ブーム起伏角速度検出手段の出力と、前記ブーム旋
    回角速度検出手段の出力と、前記ブーム伸縮速度検出手
    段の出力と、前記位置演算手段の出力と、前記設定され
    た限界作業領域とに基づいて、前記ブームの先端が、現
    在位置から現在のブーム起伏角速度、現在のブーム旋回
    角速度および現在のブーム伸縮速度をそれぞれ初期速度
    としてブーム起伏方向、ブーム旋回方向およびブーム伸
    縮方向にそれぞれ所定の減速加速度で移動したときの、
    前記限界作業領域を超えるまでの残り時間を演算する残
    り時間演算手段と、 前記ブームを含むクレーンの旋回体および前記吊り荷の
    現在の慣性モーメントに基づき、ブーム停止時において
    前記吊り荷の触れが残らないために必要な制御時間を演
    算する制御時間演算手段と、 前記残り時間演算手段で演算された残り時間と、前記制
    御時間演算手段で演算された制御時間とを比較して、前
    記残り時間が前記制御時間よりも小さくなる前に、制御
    開始を示す信号を出力する比較手段と、 前記比較手段から制御開始信号が出力された場合に、前
    記ブームの先端が、現在位置から現在のブーム起伏角速
    度、現在のブーム旋回角速度および現在のブーム伸縮速
    度をそれぞれ初期速度としてブーム起伏方向、ブーム旋
    回方向およびブーム伸縮方向にそれぞれ所定の減速加速
    度で前記制御時間だけ移動するように、ブーム起伏角速
    度、ブーム旋回角速度およびブーム伸縮速度を制御する
    制御手段とを具えたクレーンの停止制御装置。
  2. 【請求項2】 吊り荷が吊り下げられたブームの先
    端を、限界作業領域を超えない位置に停止させるクレー
    ンの停止制御装置において、 前記ブームの起伏角を検出するブーム起伏角検出手段
    と、 前記ブームの起伏角速度を検出するブーム起伏角速度検
    出手段と、 前記ブームの旋回角を検出するブーム旋回角検出手段
    と、 前記ブームの旋回角速度を検出するブーム旋回角速度検
    出手段と、 前記ブームの長さを検出するブーム長検出手段と、 前記ブームの伸縮速度を検出するブーム伸縮速度検出手
    段と、 前記アウトリガの張出し長さを検出するアウトリガ張出
    し長さ検出手段と、 前記吊り荷の重量を検出する吊り荷重量検出手段と、 前記ブーム長検出手段の出力と、前記ブーム起伏角検出
    手段の出力と、前記ブーム旋回角検出手段の出力とに基
    づいて、前記ブームの先端の現在の位置を演算する現在
    位置演算手段と、 前記ブームを含むクレーンの旋回体および前記吊り荷の
    現在の慣性モーメントに基づき、ブーム停止時において
    前記吊り荷の触れが残らないために必要な制御時間を演
    算する制御時間演算手段と、 前記現在位置演算手段の出力と、前記ブーム起伏角速度
    検出手段の出力と、前記ブーム旋回角速度検出手段の出
    力と、前記ブーム伸縮速度検出手段の出力と、前記制御
    時間演算手段の出力とに基づいて、前記ブームの先端
    が、現在位置から現在のブーム起伏角速度、現在のブー
    ム旋回角速度および現在のブーム伸縮速度をそれぞれ初
    期速度としてブーム起伏方向、ブーム旋回方向およびブ
    ーム伸縮方向にそれぞれ所定の減速加速度で前記制御時
    間だけ移動したときの、ブームの先端の位置を演算する
    将来位置演算手段と、 前記アウトリガ張出し長さ検出手段の出力と、前記吊り
    荷重量検出手段の出力と、前記将来位置演算手段の出力
    とに基づいて、現在から前記制御時間が経過した時点に
    おけるクレーンの許容負荷モーメントと実負荷モーメン
    トを演算する負荷モーメント演算手段と、 前記負荷モーメント演算手段で演算された許容負荷モー
    メントと実負荷モーメントを比較して、実負荷モーメン
    トが許容負荷モーメントよりも大きくなる前に制御開始
    を示す信号を出力する比較手段と、 前記比較手段から制御開始信号が出力された場合に、前
    記ブームの先端が、現在位置から現在のブーム起伏角速
    度、現在のブーム旋回角速度および現在のブーム伸縮速
    度をそれぞれ初期速度としてブーム起伏方向、ブーム旋
    回方向およびブーム伸縮方向にそれぞれ所定の減速加速
    度で前記制御時間だけ移動するように、ブーム起伏角速
    度、ブーム旋回角速度およびブーム伸縮速度を制御する
    制御手段とを具えたクレーンの停止制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103879907A (zh) * 2014-02-25 2014-06-25 中联重科股份有限公司 单缸插销伸缩机构的控制方法及控制系统
JP2021147131A (ja) * 2020-03-17 2021-09-27 株式会社タダノ ブームの先端位置の予測システム、及び、ブームの先端位置の予測方法
WO2021210554A1 (ja) * 2020-04-14 2021-10-21 株式会社タダノ 積載形トラッククレーン及びブームの限界旋回角算出方法
CN114572910A (zh) * 2022-03-09 2022-06-03 杭州爱知工程车辆有限公司 一种折臂式高空作业车的作业范围控制方法

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