JPH10170516A - ラクトフェリンの希釈保存液 - Google Patents

ラクトフェリンの希釈保存液

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JPH10170516A
JPH10170516A JP32969696A JP32969696A JPH10170516A JP H10170516 A JPH10170516 A JP H10170516A JP 32969696 A JP32969696 A JP 32969696A JP 32969696 A JP32969696 A JP 32969696A JP H10170516 A JPH10170516 A JP H10170516A
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lactoferrin
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solution
casein
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JP32969696A
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Kimikazu Tanaka
公和 田中
Toshihide Nohara
敏秀 野原
Katsuya Hirota
勝也 広田
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NAKARAI TESUKU KK
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NAKARAI TESUKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器へのラクトフェリンの吸着を防止し、ラ
クトフェリン濃度を安定に保つことができるラクトフェ
リンの希釈保存液を提供する。 【解決手段】 10ミリモル/リットルの水酸化ナトリ
ウム水溶液50mlに牛乳由来の精製カゼイン0.5g
を添加して攪拌溶解後、リン酸2水素1ナトリウム塩を
少量づつ添加してpH7.0とした後、イオン交換水で
全量を100mlとして、牛由来カゼイン濃度が0.5
(W/V)%の希釈保存液を得る。カゼイン濃度は0.
001〜15(W/V)%の範囲が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末ラクトフェリ
ンの溶解やラクトフェリンを含有する生体試料等を希釈
する場合に用いる液であり、溶解・希釈した液中のラク
トフェリン濃度を安定に保つことのできるラクトフェリ
ンの希釈保存液に関する。
【0002】
【従来の技術】ラクトフェリンは、1939年ソレンセ
ン(Sφrensen et al.)らによって牛の乳汁から分離さ
れた糖蛋白質であり、人では母乳、血液、涙液等の種々
の体液中にヒトラクトフェリンが分泌されている(新飯
田裕一ら:医学のあゆみ,132(4),307頁,昭
和60年)。
【0003】人血液中のラクトフェリン量の変動は、膵
臓癌の発症と関連するとして、米島正廣(日本消化器病
学会誌,第79巻,第6号,1309頁,昭和57年)
の他、多くの研究者が免疫測定法を中心に、放射免疫測
定法(RIA),酵素免疫測定法(EIA)等を開発し
ている。免疫測定法は、抗原と抗体の高い反応特異性を
利用した同定・定量方法であり、詳細は生化学事典(株
式会社 東京化学同人,1990年11月22日発行,
第2版,第139頁)等に記載されている。
【0004】たとえば、ヒトラクトフェリンの酵素免疫
測定法は、数種のヒトラクトフェリン濃度既知の標準水
溶液と測定試料を並行して該法で測定し、各標準水溶液
の吸光度測定値とヒトラクトフェリン濃度の関係図を作
成した後、測定試料の吸光度測定値をこの関係図にあて
はめてヒトラクトフェリン濃度を読みとる。
【0005】従来、ラクトフェリンは水溶液にすると徐
々に容器に物理吸着し、水溶液中のラクトフェリン濃度
が経時的に低下するため、上記の免疫測定法等で正しい
濃度を定量することが困難であった。この事例として、
バーゲンス(Henrik S.Birgens:Danish Medical Bullet
in, 38(3),244,1991)は、ラクトフェリンがガラスやプ
ラスチック容器に強く物理吸着しやすいと報告してお
り、アントンセンら(S.Antonsen, et al.:Scand.J.Cli
n.Lab.Invest,53,133-144,1993)は、酵素免疫測定法
(EIA)での健常者の血液中ヒトラクトフェリン量の
報告値[エステベノンら(Estevenon et al.:134±79μ
g/l),チャンら(Chung et al.:540±260μg/l)]を
紹介し、報告者により数倍も値が異なることを指摘して
いる。
【0006】ヒトラクトフェリンの測定方法に関する公
開特許公報は、昭58−201067(酵素免疫測定
法)や昭60−224066(ラテックス粒子を用いた
免疫測定法)等で開示されているが、水溶液中のヒトラ
クトフェリン濃度を安定に保つ方法に関しては示してい
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ラクトフェリンを定量
する方法として開発された各種の免疫測定法を利用し
て、正しいラクトフェリン量を定量するためには、ラク
トフェリン濃度が安定に保たれた標準水溶液が必要であ
る。また、高検出感度の該測定法に用いる測定試料は、
数十倍から数万倍に希釈される場合が多く、希釈した測
定試料のラクトフェリン濃度が安定に保たれないと、希
釈前の測定試料のラクトフェリン濃度を正しく算出する
ことができない。測定試料が病態判定の目的で採取した
血液や涙液の場合は、病院等での検体採取後に外部施設
へ検体輸送して、外部施設でラクトフェリン定量を行う
場合も多く、少なくとも採取後1週間程度は検体中ラク
トフェリン濃度を安定に保つ必要がある。
【0008】以上のように、ラクトフェリンを該免疫測
定法を用いて正しく定量するためには、ラクトフェリン
濃度を安定に保つことのできる溶液組成の開発が必須で
ある。
【0009】容器に吸着しやすいタンパク質の定量を該
免疫測定法で行う場合、1(W/V)%牛血清アルブミ
ン水溶液等の既知タンパク質水溶液で測定対象のタンパ
ク質を希釈し、測定対象タンパク質の容器への物理吸着
を防止する方法が一般的である。
【0010】この方法を応用した例として、アントンセ
ンら(S.Antonsen, et al.:Scand.J.Clin.Lab.Invest,5
3,133-144,1993)は、1971年以降の文献報告例を比
較検討して、ヒトラクトフェリン水溶液に牛血清アルブ
ミン、塩化ナトリウムおよび硫酸アンモニウムを添加す
ることでヒトラクトフェリンの容器への吸着が防止でき
ると報告しているが、これらを添加しても徐々に溶液中
のヒトラクトフェリン濃度が低下し、ヒトラクトフェリ
ン濃度を安定に保つことが困難である。
【0011】以上の様に、従来の方法では水溶液のヒト
ラクトフェリン濃度を安定に保つことが困難であるた
め、正しいヒトラクトフェリン濃度を測定するために
は、測定毎にヒトラクトフェリン粉体を使用時にその都
度溶解し、標準水溶液を調製することが強いられて来
た。また、アントンセンら(S.Antonsen, et al.:Scan
d.J.Clin.Lab.Invest,53,133-144,1993)の文献報告例
の様に、免疫測定法で血液や涙液等の体液中ヒトラクト
フェリン濃度を定量する場合は、血液や涙液を数十から
数万倍に希釈して測定するため、希釈液中のヒトラクト
フェリンが容器に物理吸着し、実際のヒトラクトフェリ
ン濃度とは異なった定量値が得られる。
【0012】本発明は、これらの問題点を鑑み、容器へ
のラクトフェリンの吸着を防止し、ラクトフェリン濃度
を安定に保つことができるラクトフェリンの希釈保存液
の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を達成するために鋭意検討した結果、ラクトフェリン
水溶液にカゼインを添加することにより、水溶液のラク
トフェリン濃度が安定に保てることを見いだして本発明
に到達した。
【0014】すなわち、本発明のラクトフェリンの希釈
保存液は、水とカゼインを少なくとも含有しており、カ
ゼイン濃度が0.001〜15(W/V)%であること
を特徴とする。
【0015】また、前記本発明のラクトフェリンの希釈
保存液に於いては、希釈保存液のpHが5.0〜9.0
であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のラクトフェリンの希釈保
存液によれば、カゼインが特定の濃度で含有されている
ので、水溶液中のヒトラクトフェリンが容器へ物理吸着
することを防止でき、従ってヒトラクトフェリン濃度が
安定な標準水溶液が得られる。すなわち、測定毎にヒト
ラクトフェリン粉体をその都度溶解し、標準水溶液を調
製する手間を省き、免疫測定法等の測定操作を簡易にす
ることができる。また、血液や涙液等の体液を測定試料
とする場合は、測定試料を本発明の希釈保存液に添加・
希釈することにより、液中のヒトラクトフェリンが保存
容器に物理吸着して減少することを防止できるので、正
しいヒトラクトフェリン濃度が定量できる。
【0017】本発明の希釈保存液の調製に用いるカゼイ
ンは、特に由来を限定しないが、牛由来の精製カゼイン
が安価であり、好ましく用いられる。本発明の希釈保存
液のカゼイン濃度は0.001〜15(W/V)%であ
ることが必要であり、カゼイン濃度が0.001(W/
V)%より小さいと、ラクトフェリンの保存容器への物
理吸着を有効に防止することができないので好ましくな
い。カゼイン濃度が15(W/V)%より大きい場合に
は、カゼインが溶解せず、かつどろどろの粘度の高い液
になるので、ラクトフェリンの希釈保存液としては不適
当である。カゼイン濃度は濃すぎると、保存中に自己凝
集して沈殿発生の危険性が高まるので、1(W/V)%
濃度以下がより好ましい。
【0018】本発明の希釈保存液は、カゼインを10ミ
リモル/リットル程度の水酸化ナトリウム水溶液で溶解
した後に、希塩酸で中和して調製することもできるが、
中和にリン酸塩(一般にNa塩やK塩が用いられる。以
下塩については同様である。)、クエン酸塩、酢酸塩、
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の生化学分
野で汎用されているpH緩衝剤を添加しても良く、pH
緩衝剤としてはリン酸塩が好ましく用いられる。pH緩
衝剤の濃度は、特に限定する必要は無いが、0.01〜
1モル/リットル程度の濃度が好ましく用いられる。
【0019】本発明の希釈保存液は、カゼイン以外のタ
ンパク質(例えば牛血清アルブミン等)、塩(例えば塩
化ナトリウム等)、界面活性剤(例えばポリオキシエチ
レンソルビタンモノラウレート等)など、本発明の作用
効果を阻害しない範囲で必要に応じて添加することは差
し支えない。
【0020】本発明の希釈保存液のpHは、ラクトフェ
リンが加水分解せず、免疫測定法等で抗原と抗体の反応
を妨害しない弱酸性から弱アルカリ性で、pH5.0〜
9.0にすることが好ましく、pH7.0〜8.0程度
が一層好ましい。
【0021】
【実施例】以下に本発明の理解を容易にするため、具体
的な実施例を示してより詳細に説明するが、本発明はこ
れらの実施例になんら限定されるものではない。
【0022】(実施例1)牛由来カゼインを用いた希釈
保存液の調製 10ミリモル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液50
mlに牛乳由来の精製カゼイン0.5gを添加して攪拌
溶解後、リン酸2水素1ナトリウム塩を少量づつ添加し
てpH7.0とした後、イオン交換水で全量を100m
lとして、牛由来カゼイン濃度が0.5(W/V)%の
希釈保存液を得た。
【0023】(実施例2)ヒトラクトフェリンの酵素免
疫測定 抗体固定マイクロプレートの調製 酵素免疫測定用の96穴マイクロプレート(コースター
社製)の各穴にヒツジ由来抗ヒトラクトフェリン抗体
(IgG分画,バインディングサイト製)の10μg/
ml水溶液(0.9(W/V)%塩化ナトリウム含有)
100μlを分注して、4℃で一昼夜静置して、マイク
ロプレートの各穴の壁面にヒツジ由来抗ヒトラクトフェ
リン抗体を固定した。その後、マイクロプレートを逆さ
まにして、分注した抗体水溶液を除去し、精製水300
μlを各穴に分注し、穴内に残存している抗体水溶液を
希釈洗浄した。同様の操作を3回繰り返し、十分に洗浄
して、マイクロプレートの各穴の壁面に固定されなかっ
た余分のヒツジ由来抗ヒトラクトフェリン抗体を除去し
た。つづいて、1(w/v)%牛血清アルブミン水溶液
(10ミリモル/リットル リン酸緩衝液pH7.4)
350μlを各穴に分注して、室温で2時間静置した。
(この操作は、抗原抗体反応により、下記のの操作で
ヒトラクトフェリンをマイクロプレートの各穴の壁面に
固定されたヒツジ由来抗ヒトラクトフェリン抗体と反応
させる際に、マイクロプレートの各穴の壁面中のヒツジ
由来抗ヒトラクトフェリン抗体が固定されていない部分
にヒトラクトフェリンが物理吸着しない様に、マスクと
して牛血清アルブミンをあらかじめ固定しておくための
操作である。)。その後、分注した牛血清アルブミン水
溶液を除去し、精製水300μlを各穴に分注し、穴内
に残存している牛血清アルブミン水溶液を希釈洗浄し
た。同様の操作を3回繰り返し、穴壁に固定されていな
い残存している牛血清アルブミンを十分に除去した後に
測定に用いた。
【0024】ヒトラクトフェリンの標準水溶液の調製 ヒトラクトフェリン(シグマ社製)1mgを秤量し、実
施例1で調製したラクトフェリンの希釈保存液1mlで
溶解した。さらに本液を該希釈保存液で段階的に希釈す
ることにより、ヒトラクトフェリン濃度25,50,1
00ng/mlの標準水溶液を調製した。
【0025】また、上記の希釈保存液に代えて、比較の
ため、1(W/V)%牛血清アルブミン水溶液を用い、
上記希釈操作に従ってヒトラクトフェリン濃度25,5
0,100ng/mlの標準水溶液を調製した。
【0026】測定試料(涙液)の調製 ヒト涙液を濾紙片で10μl採取し、実施例1の希釈保
存液1ml中に濾紙片を投入した。静かに攪拌後、該液
10μlをマイクロピペットで取り、前記の希釈保存液
1mlと十分混合した。
【0027】涙液中ラクトフェリン濃度の定量操作 で調製した抗体固定マイクロプレートの穴に、それぞ
れ、上記で調製した本発明の希釈保存液で調製した標
準水溶液および牛血清アルブミン水溶液を用いて調製し
た標準水溶液、ヒトラクトフェリンが添加されていない
ブランクの本発明の希釈保存液、ヒトラクトフェリンが
添加されていないブランクの1(W/V)%牛血清アル
ブミン水溶液、およびで調製した測定試料の各50μ
lを別々に加え、マイクロプレート用攪拌器で1分間攪
拌した後、室温で30分間静置した。静置後、マイクロ
プレートを逆さまにして、各穴に分注した液を除去し、
0.9(W/V)%塩化ナトリウム水溶液300μlを
各穴に分注し、マイクロプレート用攪拌器で1分間攪拌
した後、上記操作に従って液を除去した。この操作を3
回繰り返した後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ由来抗ヒト
ラクトフェリン抗体水溶液(10ミリモル/リットル
リン酸緩衝液pH7.4,0.9(W/V)%塩化ナト
リウム,0.05(V/V)%ポリオキシエチレンソル
ビタンモノラウレート含有)100μlを各穴に分注
し、マイクロプレート用攪拌器で1分間攪拌した後、室
温で30分間静置した。静置後、マイクロプレートを逆
さまにして、各穴に分注した液を除去し、0.9(W/
V)%塩化ナトリウム水溶液300μlを各穴に分注
し、マイクロプレート用攪拌器で1分間攪拌した後、上
記操作に従って液を除去した。この操作を5回繰り返し
た後、十分に穴内の残液を除去した。次に、ペルオキシ
ダーゼの発色剤であるオルトフェニレンジアミン溶液
(1mg/ml,50ミリモル/リットル リン酸クエ
ン酸緩衝液pH4.8,0.5μl/ml過酸化水素水
含有)50μlを各穴に分注し、マイクロプレート用攪
拌器で1分間攪拌した後、暗所、室温で20分間静置し
た。引き続いて、4モル/リットル 硫酸水溶液を各穴
に分注することにより反応を停止し、マイクロプレート
用攪拌器で1分間攪拌した後、マイクロプレート用吸光
度測定器で吸収波長492nmの吸光度を測定した。
【0028】吸光度測定値とヒトラクトフェリン濃度
の関係図作成 本発明の希釈保存液で調製した標準水溶液と本発明の希
釈保存液(測定ブランク)の吸光度測定値を用い、吸光
度測定値とヒトラクトフェリン濃度の関係図(横軸:ヒ
トラクトフェリン濃度、縦軸:吸光度測定値)を作成し
た。測定試料のヒトラクトフェリン濃度は、の操作に
よる測定試料の吸光度測定値をこの関係図に当てはめて
読み取った。希釈倍率(10,000倍希釈)を換算し
た涙液中のヒトラクトフェリン濃度は、2.3mg/m
lであった。
【0029】(実施例3)標準水溶液の経時的変化比較 希釈保存液として従来の一般的な物理吸着の防止方法で
ある1(W/V)%牛血清アルブミン水溶液を用いる方
法と本発明の希釈保存液を用いる方法で、水溶液中ラク
トフェリン濃度を安定に保てる程度を比較した。
【0030】すなわち、実施例2のの本発明の希釈保
存液で調製した標準水溶液、および牛血清アルブミン水
溶液で調製した標準水溶液を冷蔵で7日間保管した。
尚、いずれの標準水溶液もガラス製の容器に入れて保管
したものである。
【0031】冷蔵保管した両標準水溶液は、使用時調製
した該両標準水溶液と共に、実施例2の酵素免疫測定法
で吸光度を測定した。表1は、上記操作により得られた
吸光度測定値とヒトラクトフェリン濃度の関係を示して
いる。本発明の希釈保存液を用いた標準水溶液では、吸
光度測定値とヒトラクトフェリン濃度の関係に大きな変
化は観られない。しかし、1(W/V)%牛血清アルブ
ミンを用いた標準水溶液では、7日保管で吸光度測定値
が使用時調製の1/4程度に低減した。
【0032】すなわち、本発明の希釈保存液を用いた標
準水溶液は安定であるが、1(W/V)%牛血清アルブ
ミンを用いた標準水溶液では、水溶液中のヒトラクトフ
ェリンが容器に吸着してヒトラクトフェリン濃度が低減
した。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例4)ヤギ由来カゼインを用いた牛
ラクトフェリンの希釈保存液 実施例1で使用する牛由来カゼインをヤギ由来カゼイン
に、実施例2で使用するヤギ由来抗ヒトラクトフェリン
抗体およびペルオキシダーゼ標識ヤギ由来抗ヒトラクト
フェリン抗体を、ウサギ由来抗牛ラクトフェリン抗体お
よびペルオキシダーゼ標識ウサギ由来抗牛ラクトフェリ
ン抗体に替え、実施例1〜3の操作を行った結果、本発
明の希釈保存液を用いた標準水溶液は、吸光度測定値と
牛ラクトフェリン濃度の関係に経時的な変化が観られな
かった。 (実施例5)希釈保存液の牛由来カゼイン濃度の検討 実施例1と同様の手順で0.5(W/V)%牛由来カゼ
イン濃度の希釈保存液を調製し、精製水で希釈して下記
表2に示した牛カゼイン濃度に希釈した。そして、各液
を用いてヒトラクトフェリン濃度が50ng/mlのヒ
トラクトフェリン水溶液を調製し、ガラス製とプラスチ
ック(ポリプロピレン)製容器に分注して冷蔵7日間保
管した。冷蔵保管後の各水溶液のヒトラクトフェリン濃
度は、使用時調製した標準水溶液を基準に、実施例2の
酵素免疫測定法で測定した。
【0035】表2は、冷蔵7日間保管した該水溶液のラ
クトフェリン濃度算出値と希釈保存液の牛カゼイン濃度
との関係を示している。すなわち、冷蔵保管した各水溶
液のヒトラクトフェリン濃度は、ガラス製容器でカゼイ
ン濃度0.01(W/V)%以上、プラスチック製容器
でカゼイン濃度0.001(W/V)%以上で安定に保
たれていることが確認できた。よって、使用する容器の
材質に合わせて希釈保存液として0.001(W/V)
%以上の適当なカゼイン濃度を選択すれば、溶液中のラ
クトフェリン濃度を安定に保つことができることが分か
る。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明のラクトフェリンの希釈保存液
は、容器へのラクトフェリンの物理吸着を防止するの
で、ラクトフェリン水溶液のラクトフェリン濃度を安定
に保つことができる。このことにより、ラクトフェリン
濃度が安定な標準水溶液が得られるので、測定時毎に標
準水溶液の調製を行う必要が無くなり、測定操作を大幅
に簡易化することができる。また、血液や涙液等の測定
試料を本発明の希釈保存液に添加・希釈することによ
り、測定試料中のラクトフェリンが経時的に保存容器に
物理吸着することが無くなるので、採取から時間を経て
も、測定試料の正しいラクトフェリン濃度を定量するこ
とができる。
【0038】以上のように、本発明のラクトフェリンの
希釈保存液により、初めて簡易に、正しくラクトフェリ
ン濃度が定量できるようになる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水とカゼインを少なくとも含有してお
    り、カゼイン濃度が0.001〜15(W/V)%であ
    ることを特徴とするラクトフェリンの希釈保存液。
  2. 【請求項2】 希釈保存液のpHが5.0〜9.0であ
    る請求項1に記載のラクトフェリンの希釈保存液。
JP32969696A 1996-12-10 1996-12-10 ラクトフェリンの希釈保存液 Pending JPH10170516A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1000627A4 (en) * 1997-07-31 2000-09-13 Santen Pharmaceutical Co Ltd AQUEOUS LACTOFERRINE PREPARATION WITH IMPROVED STABILITY
KR20030062176A (ko) * 2002-01-16 2003-07-23 김인기 섬유질 고분자 에멀젼의 제조 방법
JP2018169273A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 東ソー株式会社 ペプチドの吸着抑制剤

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