JPH10168678A - 回転リング及び回転リングにおける摺接リングの組込方法 - Google Patents
回転リング及び回転リングにおける摺接リングの組込方法Info
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- JPH10168678A JPH10168678A JP33760096A JP33760096A JPH10168678A JP H10168678 A JPH10168678 A JP H10168678A JP 33760096 A JP33760096 A JP 33760096A JP 33760096 A JP33760096 A JP 33760096A JP H10168678 A JPH10168678 A JP H10168678A
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- Spinning Or Twisting Of Yarns (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 より高速回転の可能な軸受構造を有する回転
リングを得る。 【解決手段】 加温により内径が大きく変化し、温度を
元に戻せば、元の内径に戻るような材質から成る切れ目
のない摺接リング25を回転筒28と共に加温して内径
を拡開し、その摺接リング25を回転筒28の環状軸受
溝32と対応する位置まで軸線方向に挿入し、その位置
で室温まで温度を低下させる。これにより、摺接リング
25は内径が基準径Aに戻り、環状軸受溝32に遊嵌さ
れる。回転筒28,摺接リング25共に一体部品である
から、動的バランス、環状軸受溝32の寸法精度、摺接
リング25の軸受精度が高く、組上がった回転リング
は、高速回転時に適した軸受構造を持つ。
リングを得る。 【解決手段】 加温により内径が大きく変化し、温度を
元に戻せば、元の内径に戻るような材質から成る切れ目
のない摺接リング25を回転筒28と共に加温して内径
を拡開し、その摺接リング25を回転筒28の環状軸受
溝32と対応する位置まで軸線方向に挿入し、その位置
で室温まで温度を低下させる。これにより、摺接リング
25は内径が基準径Aに戻り、環状軸受溝32に遊嵌さ
れる。回転筒28,摺接リング25共に一体部品である
から、動的バランス、環状軸受溝32の寸法精度、摺接
リング25の軸受精度が高く、組上がった回転リング
は、高速回転時に適した軸受構造を持つ。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、繊維機械、特に
リング精紡機、リング撚糸機等、トラベラを用いて糸を
巻取る形式の紡機に用いられる回転リングに関するもの
である。
リング精紡機、リング撚糸機等、トラベラを用いて糸を
巻取る形式の紡機に用いられる回転リングに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、リングレールにスピンドルの回転
中心と同心に固定筒を設け、この固定筒にスピンドルの
回転中心と同心で回転するように回転筒を摺接リング
(軸受)を介して回転自在に設け、その回転筒に、スピ
ンドル上のボビンに巻取られる糸をガイドするトラベラ
を円周方向に周回自在に取付けて成る紡績用回転リング
が提案されている。前記摺接リングは、2体に分離し
た上部回転筒と下部回転筒により摺接リングを上下から
挟み込んで、上下部回転筒を圧入一体化して、固定筒外
周に形成される環状軸受溝内に遊嵌されるもの(特開平
8―120530号、特公平6―89489号等)、
回転筒はトラベラを回転支持するフランジ部から摺接リ
ングを嵌め込む環状軸受溝を形成したボデイ部分までが
一体成形してあり、その環状軸受溝には、円周方向で2
つ割りにした摺接リングを嵌め込み、その摺接リングの
外側に全周にわたって切れ目のない環状の補強リングを
嵌め込んで成るもの(特開平8―246262号)等が
知られている。
中心と同心に固定筒を設け、この固定筒にスピンドルの
回転中心と同心で回転するように回転筒を摺接リング
(軸受)を介して回転自在に設け、その回転筒に、スピ
ンドル上のボビンに巻取られる糸をガイドするトラベラ
を円周方向に周回自在に取付けて成る紡績用回転リング
が提案されている。前記摺接リングは、2体に分離し
た上部回転筒と下部回転筒により摺接リングを上下から
挟み込んで、上下部回転筒を圧入一体化して、固定筒外
周に形成される環状軸受溝内に遊嵌されるもの(特開平
8―120530号、特公平6―89489号等)、
回転筒はトラベラを回転支持するフランジ部から摺接リ
ングを嵌め込む環状軸受溝を形成したボデイ部分までが
一体成形してあり、その環状軸受溝には、円周方向で2
つ割りにした摺接リングを嵌め込み、その摺接リングの
外側に全周にわたって切れ目のない環状の補強リングを
嵌め込んで成るもの(特開平8―246262号)等が
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、回転筒が回
転する回転リングでは、振動や振れの少ない回転筒の高
速回転を実現するために、回転筒は、軸受中心に対して
動的な釣り合いが取れていること、環状軸受溝は、高い
精度で形成されていることが要求される為、単一の部品
から構成されていることが好ましい。また、摺接リング
については、固定筒、及び、回転筒の環状軸受溝との間
の軸受隙間を適正なものに維持して高い軸受精度を実現
する為に、これまた、単一の部品で構成されることが望
ましい。こうした観点からみると、前記従来の技術で
は、回転筒が2体に分割されているために、組み立てた
後の回転筒の動的バランスと環状軸受溝の寸法精度が維
持しにくく、実際に回転筒を高速回転させたときに、振
動を発生し、また、軸受抵抗が安定しない欠点がある。
しかも、上下部回転筒を互いに嵌合するから、その嵌合
部は2重肉圧部となって、重量が増加するおそれがあっ
た。また、従来の技術では、回転筒は単一部品である
から、回転筒の動的バランスと環状軸受溝の寸法精度の
維持の点では問題がないが、摺接リングが分割されてい
るから、軸受精度が悪く、それによる振れは免れ得な
い。
転する回転リングでは、振動や振れの少ない回転筒の高
速回転を実現するために、回転筒は、軸受中心に対して
動的な釣り合いが取れていること、環状軸受溝は、高い
精度で形成されていることが要求される為、単一の部品
から構成されていることが好ましい。また、摺接リング
については、固定筒、及び、回転筒の環状軸受溝との間
の軸受隙間を適正なものに維持して高い軸受精度を実現
する為に、これまた、単一の部品で構成されることが望
ましい。こうした観点からみると、前記従来の技術で
は、回転筒が2体に分割されているために、組み立てた
後の回転筒の動的バランスと環状軸受溝の寸法精度が維
持しにくく、実際に回転筒を高速回転させたときに、振
動を発生し、また、軸受抵抗が安定しない欠点がある。
しかも、上下部回転筒を互いに嵌合するから、その嵌合
部は2重肉圧部となって、重量が増加するおそれがあっ
た。また、従来の技術では、回転筒は単一部品である
から、回転筒の動的バランスと環状軸受溝の寸法精度の
維持の点では問題がないが、摺接リングが分割されてい
るから、軸受精度が悪く、それによる振れは免れ得な
い。
【0004】尚、特開昭52−55731号には、回転
筒及び摺接リングのいずれも分割されていないものの記
載があるが、この特開昭52−55731号は、摺接リ
ングが回転筒と一体となっているものであり、このよう
な回転筒に摺接リングを一体とする構造では、組立誤差
により、摺接リングによる軸受中心と、摺接リングを一
体とした回転筒の重量中心とが一致しないおそれがあ
り、好ましくない。また、回転筒と摺接リングが分割さ
れないものとして、特開昭57―117629号のもの
もあるが、これは、回転筒の上方への抜け止めと、回転
筒下面のスラスト軸受のために、止め輪を使用している
ため、止め輪を嵌め込む溝が回転筒外周に必要で、その
溝を確保するため回転筒の肉厚が厚くなり、回転筒の重
量がかさみ、また、スラスト軸受精度が悪く、回転筒を
円滑に回転支持できない。この発明の課題は、回転筒、
及び、摺接リングともに、単一の部品から構成して回転
筒の動的つりあい、回転筒の環状軸受溝の精度維持、軽
量化、摺接リングの精度維持を図ることの出来る回転リ
ングおよび、そのような回転筒に、単一部品から成る摺
接リングを組み込むことのできる回転リングにおける摺
接リングの組込方法を提供することにある。
筒及び摺接リングのいずれも分割されていないものの記
載があるが、この特開昭52−55731号は、摺接リ
ングが回転筒と一体となっているものであり、このよう
な回転筒に摺接リングを一体とする構造では、組立誤差
により、摺接リングによる軸受中心と、摺接リングを一
体とした回転筒の重量中心とが一致しないおそれがあ
り、好ましくない。また、回転筒と摺接リングが分割さ
れないものとして、特開昭57―117629号のもの
もあるが、これは、回転筒の上方への抜け止めと、回転
筒下面のスラスト軸受のために、止め輪を使用している
ため、止め輪を嵌め込む溝が回転筒外周に必要で、その
溝を確保するため回転筒の肉厚が厚くなり、回転筒の重
量がかさみ、また、スラスト軸受精度が悪く、回転筒を
円滑に回転支持できない。この発明の課題は、回転筒、
及び、摺接リングともに、単一の部品から構成して回転
筒の動的つりあい、回転筒の環状軸受溝の精度維持、軽
量化、摺接リングの精度維持を図ることの出来る回転リ
ングおよび、そのような回転筒に、単一部品から成る摺
接リングを組み込むことのできる回転リングにおける摺
接リングの組込方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明
は、トラベラを案内するフランジ部を有する回転筒とリ
ングレールに固定される固定筒との間に、摺接リングを
介在して回転筒を固定筒に回転可能に支持して成る紡績
機械の回転リングであって、回転筒の外周に設けた環状
軸受溝に摺接リングを遊嵌して成る回転リングにおい
て、回転筒は、フランジ部から環状軸受溝を形成するボ
デイ部分までを一体成形し、摺接リングを無端として、
熱もしくは外力により、その内径を回転筒外径より拡開
できて、その後、それらの熱もしくは外力を取り除くこ
とで内径が元の径に縮径する材質から形成し、摺接リン
グの内径の基準径を環状軸受溝の溝底径より僅かに大き
く設定し、その摺接リングの内径を拡開して回転筒の前
記環状軸受溝と対応させた後、縮径させて内径を基準径
に戻した時、環状軸受溝と摺接リングとの半径方向の重
なりが、スラスト加重を受けるに足る大きさとなるよう
に、遊嵌されていることを特徴とする。
は、トラベラを案内するフランジ部を有する回転筒とリ
ングレールに固定される固定筒との間に、摺接リングを
介在して回転筒を固定筒に回転可能に支持して成る紡績
機械の回転リングであって、回転筒の外周に設けた環状
軸受溝に摺接リングを遊嵌して成る回転リングにおい
て、回転筒は、フランジ部から環状軸受溝を形成するボ
デイ部分までを一体成形し、摺接リングを無端として、
熱もしくは外力により、その内径を回転筒外径より拡開
できて、その後、それらの熱もしくは外力を取り除くこ
とで内径が元の径に縮径する材質から形成し、摺接リン
グの内径の基準径を環状軸受溝の溝底径より僅かに大き
く設定し、その摺接リングの内径を拡開して回転筒の前
記環状軸受溝と対応させた後、縮径させて内径を基準径
に戻した時、環状軸受溝と摺接リングとの半径方向の重
なりが、スラスト加重を受けるに足る大きさとなるよう
に、遊嵌されていることを特徴とする。
【0006】本願の請求項2は、切れ目のない単一部品
の回転筒に切れ目のない単一部品の摺接リングを組み込
むことのできる摺接リングの組込方法の1つであり、ト
ラベラを案内するフランジ部を有する回転筒とリングレ
ールに固定される固定筒との間に、摺接リングを介在し
て回転筒を固定筒に回転可能に支持して成る紡績機械の
回転リングであって、回転筒の外周に設けた環状軸受溝
に摺接リングを遊嵌して成る回転リングにおいて、無端
の摺接リングを熱膨張による寸法変化の可逆範囲が大き
く、線膨張係数の大きな材質から形成し、その摺接リン
グを加温して内径を回転筒外径より大きくした状態で、
回転筒の前記環状軸受溝と対応する位置まで挿入し、そ
の状態で温度を下降させて前記拡開した内径を縮径さ
せ、環状軸受溝に摺接リングを遊嵌することを特徴とす
る。
の回転筒に切れ目のない単一部品の摺接リングを組み込
むことのできる摺接リングの組込方法の1つであり、ト
ラベラを案内するフランジ部を有する回転筒とリングレ
ールに固定される固定筒との間に、摺接リングを介在し
て回転筒を固定筒に回転可能に支持して成る紡績機械の
回転リングであって、回転筒の外周に設けた環状軸受溝
に摺接リングを遊嵌して成る回転リングにおいて、無端
の摺接リングを熱膨張による寸法変化の可逆範囲が大き
く、線膨張係数の大きな材質から形成し、その摺接リン
グを加温して内径を回転筒外径より大きくした状態で、
回転筒の前記環状軸受溝と対応する位置まで挿入し、そ
の状態で温度を下降させて前記拡開した内径を縮径さ
せ、環状軸受溝に摺接リングを遊嵌することを特徴とす
る。
【0007】請求項2においてより具体的には、摺接リ
ングの内径は、常温において環状軸受溝の溝底径より僅
かに大きな基準径となっており、環状軸受溝と対応する
位置まで挿入した後に、常温まで温度を下降させ、環状
軸受溝に遊嵌した状態で、環状軸受溝と摺接リングとの
半径方向の重なりが、スラスト加重を受けるに足る大き
さとなるように遊嵌して成る。
ングの内径は、常温において環状軸受溝の溝底径より僅
かに大きな基準径となっており、環状軸受溝と対応する
位置まで挿入した後に、常温まで温度を下降させ、環状
軸受溝に遊嵌した状態で、環状軸受溝と摺接リングとの
半径方向の重なりが、スラスト加重を受けるに足る大き
さとなるように遊嵌して成る。
【0008】請求項4は、切れ目のない単一部品の回転
筒に切れ目のない単一部品の摺接リングを組み込むこと
のできる摺接リングの別の組込方法であって、トラベラ
を案内するフランジ部を有する回転筒とリングレールに
固定される固定筒との間に、摺接リングを介在して回転
筒を固定筒に回転可能に支持して成る紡績機械の回転リ
ングであって、回転筒の外周に設けた環状軸受溝に摺接
リングを遊嵌して成る回転リングにおいて、無端の摺接
リングを弾性限度の大きな弾性材から構成し、その摺接
リングに外力を与えて内径を拡開して回転筒の前記環状
軸受溝と対応する位置まで挿入し、前記外力を除去して
拡開した内径を縮径させ、環状軸受溝に摺接リングを遊
嵌することを特徴とする。
筒に切れ目のない単一部品の摺接リングを組み込むこと
のできる摺接リングの別の組込方法であって、トラベラ
を案内するフランジ部を有する回転筒とリングレールに
固定される固定筒との間に、摺接リングを介在して回転
筒を固定筒に回転可能に支持して成る紡績機械の回転リ
ングであって、回転筒の外周に設けた環状軸受溝に摺接
リングを遊嵌して成る回転リングにおいて、無端の摺接
リングを弾性限度の大きな弾性材から構成し、その摺接
リングに外力を与えて内径を拡開して回転筒の前記環状
軸受溝と対応する位置まで挿入し、前記外力を除去して
拡開した内径を縮径させ、環状軸受溝に摺接リングを遊
嵌することを特徴とする。
【0009】請求項4においてより具体的には、回転筒
の下端に、回転筒に向けて広がるテーパ面を外周面とし
た案内具を嵌め込み、案内具の、回転筒との接合端と逆
の端部から、摺接リングを押し込み、摺接リングを回転
筒に向けて移動させつつ、その内径を押し広げて、回転
筒の環状軸受溝まで案内するようにしたことを特徴とす
る。
の下端に、回転筒に向けて広がるテーパ面を外周面とし
た案内具を嵌め込み、案内具の、回転筒との接合端と逆
の端部から、摺接リングを押し込み、摺接リングを回転
筒に向けて移動させつつ、その内径を押し広げて、回転
筒の環状軸受溝まで案内するようにしたことを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】図1において、繊維機械のリング
精紡機1のスピンドルレール2には、長手方向に所定ピ
ッチで多数のスピンドル3が回転自在に支持されてい
る。各スピンドル3は主モータ4によりチンプーリシャ
フトを介して駆動されるプーリ5やベルト6を介して回
転駆動される。なお、スピンドル3は各錘毎に設けた単
独モータによって回転されるようにしても良い。7はリ
ングレールで、図示しない昇降装置により一定量の上下
動(チェース)を行いつつ、そのチェース運動中にチェ
ース位置を僅かずつ上昇させる、いわゆるシェーパ送り
を行うようになっている。リングレール7には、各スピ
ンドル3に対応して、回転リング20が取り付けられて
いる。回転リング20は、トラベラ8を周回可能に案内
しており、このトラベラ8が主モータ4又は他のモータ
により回転されるドラフトローラ9から送出されてスネ
ールワイヤ11に案内されている糸10を案内しながら
スピンドル3の回りを旋回し、糸はボビン12の外周に
巻取られるようになっている。
精紡機1のスピンドルレール2には、長手方向に所定ピ
ッチで多数のスピンドル3が回転自在に支持されてい
る。各スピンドル3は主モータ4によりチンプーリシャ
フトを介して駆動されるプーリ5やベルト6を介して回
転駆動される。なお、スピンドル3は各錘毎に設けた単
独モータによって回転されるようにしても良い。7はリ
ングレールで、図示しない昇降装置により一定量の上下
動(チェース)を行いつつ、そのチェース運動中にチェ
ース位置を僅かずつ上昇させる、いわゆるシェーパ送り
を行うようになっている。リングレール7には、各スピ
ンドル3に対応して、回転リング20が取り付けられて
いる。回転リング20は、トラベラ8を周回可能に案内
しており、このトラベラ8が主モータ4又は他のモータ
により回転されるドラフトローラ9から送出されてスネ
ールワイヤ11に案内されている糸10を案内しながら
スピンドル3の回りを旋回し、糸はボビン12の外周に
巻取られるようになっている。
【0011】図2、3に基づいて、回転リング20を詳
細に説明する。リングレール7には、各スピンドル3と
対応して固定筒22の取付孔21が、スピンドル3の回
転中心CLと同心に形成されている。各取付孔21には
中空の固定筒22が嵌め込まれ、固定筒22の環状フラ
ンジ部22aがリングレール7上面に当て付けられた状
態で、固定筒22のリングレール7より下方に突出した
環状突出部22bに形成された環状係止溝23にゴム製
のセットリング24を嵌め込んで、固定筒22がリング
レール7に取り付けられている。固定筒22は合成樹脂
から成っており、後述の回転筒28の回転に伴う回転衝
撃を緩和し、また、回転筒28の回転衝撃によりリング
レール7表面の塗装が剥がれて錆びが発生する事態も防
止している。
細に説明する。リングレール7には、各スピンドル3と
対応して固定筒22の取付孔21が、スピンドル3の回
転中心CLと同心に形成されている。各取付孔21には
中空の固定筒22が嵌め込まれ、固定筒22の環状フラ
ンジ部22aがリングレール7上面に当て付けられた状
態で、固定筒22のリングレール7より下方に突出した
環状突出部22bに形成された環状係止溝23にゴム製
のセットリング24を嵌め込んで、固定筒22がリング
レール7に取り付けられている。固定筒22は合成樹脂
から成っており、後述の回転筒28の回転に伴う回転衝
撃を緩和し、また、回転筒28の回転衝撃によりリング
レール7表面の塗装が剥がれて錆びが発生する事態も防
止している。
【0012】固定筒22には、内側に回転自在に嵌め込
まれた軸受としての摺接リング(摺動ベアリング)25
を介して回転筒28が、固定筒22の中心軸線と同心に
即ちスピンドル3の回転中心CLと同心に回転自在に支
承されている。摺接リング25は、円周方向にわたって
切れ目のない連続した、単一の部品から構成され、固定
筒22の上面に取り付けられたカバー27により、上方
へ抜けないように保持されている。
まれた軸受としての摺接リング(摺動ベアリング)25
を介して回転筒28が、固定筒22の中心軸線と同心に
即ちスピンドル3の回転中心CLと同心に回転自在に支
承されている。摺接リング25は、円周方向にわたって
切れ目のない連続した、単一の部品から構成され、固定
筒22の上面に取り付けられたカバー27により、上方
へ抜けないように保持されている。
【0013】環状の回転筒28には、その回転筒28の
下部に環状ブレーキ部29が取り付けられ、また、回転
筒28の中間部外周に樹脂製の防塵カバー30が設けて
ある。回転筒28は、上端部がフランジ部31に形成さ
れ、そのフランジ部31から少なくとも前記摺接リング
25が遊嵌される環状軸受溝32が形成されている下部
ボデイ部分35迄が単一の部品となるように全体が一体
形成されている。フランジ部31には、トラベラ8が円
周方向に周回自在に案内されている。環状軸受溝32よ
り下方のボデイ部分外周は、軸受溝32より上方部分外
周より小径に設定してあり、前記摺接リング25の挿入
軸部33となっている。回転筒28のフランジ部31の
下方には、前記カバー27の僅か上方の位置に前記防塵
カバー30が一体に固着されている。環状ブレーキ部2
9は、回転筒28に固着されている図3の樹脂製のブレ
ーキリング36によって構成されている。
下部に環状ブレーキ部29が取り付けられ、また、回転
筒28の中間部外周に樹脂製の防塵カバー30が設けて
ある。回転筒28は、上端部がフランジ部31に形成さ
れ、そのフランジ部31から少なくとも前記摺接リング
25が遊嵌される環状軸受溝32が形成されている下部
ボデイ部分35迄が単一の部品となるように全体が一体
形成されている。フランジ部31には、トラベラ8が円
周方向に周回自在に案内されている。環状軸受溝32よ
り下方のボデイ部分外周は、軸受溝32より上方部分外
周より小径に設定してあり、前記摺接リング25の挿入
軸部33となっている。回転筒28のフランジ部31の
下方には、前記カバー27の僅か上方の位置に前記防塵
カバー30が一体に固着されている。環状ブレーキ部2
9は、回転筒28に固着されている図3の樹脂製のブレ
ーキリング36によって構成されている。
【0014】ブレーキリング36は、エアブレーキ部材
を構成し、リング本体37の上部に円筒状の嵌合部38
が形成され、嵌合部38の下部に外方へ張り出す円環状
の上側遮断壁39が形成されている。ブレーキリング3
6は、嵌合部38が回転筒28の被嵌合部28aに嵌着
され、上側遮断壁39が回転筒28の下端部に当接され
て位置決めされている。ブレーキリング36の上側遮断
壁39の下部には、多数のフィン41が設けられてい
る。各フィン41は円周方向等角度間隔で回転中心CL
を中心とする放射方向の縦板状に形成されている。各フ
ィン41の内側には、嵌合部38と連続する円筒状の風
圧遮断壁42が形成され、各フィン41をボビン12側
の空間から遮蔽している。各フィン41の下側には、半
径方向に延びる円環状の下側遮断壁43が形成され、各
フィン41の下側を外部空間から遮蔽している。下側遮
断壁43は、風圧遮断壁42の下部から固定筒22の下
部に対応する部分まで張出し、固定筒22の下部との間
に狭い隙間44を設けている。ボビン12(スピンドル
3)が高速定常回転となったときに、トラベラ8が回転
筒28とほぼ一体回転するように、回転筒28とトラベ
ラ8間の摩擦抵抗、環状ブレーキ部29による周囲の空
気に対する回転抵抗が設定されている。
を構成し、リング本体37の上部に円筒状の嵌合部38
が形成され、嵌合部38の下部に外方へ張り出す円環状
の上側遮断壁39が形成されている。ブレーキリング3
6は、嵌合部38が回転筒28の被嵌合部28aに嵌着
され、上側遮断壁39が回転筒28の下端部に当接され
て位置決めされている。ブレーキリング36の上側遮断
壁39の下部には、多数のフィン41が設けられてい
る。各フィン41は円周方向等角度間隔で回転中心CL
を中心とする放射方向の縦板状に形成されている。各フ
ィン41の内側には、嵌合部38と連続する円筒状の風
圧遮断壁42が形成され、各フィン41をボビン12側
の空間から遮蔽している。各フィン41の下側には、半
径方向に延びる円環状の下側遮断壁43が形成され、各
フィン41の下側を外部空間から遮蔽している。下側遮
断壁43は、風圧遮断壁42の下部から固定筒22の下
部に対応する部分まで張出し、固定筒22の下部との間
に狭い隙間44を設けている。ボビン12(スピンドル
3)が高速定常回転となったときに、トラベラ8が回転
筒28とほぼ一体回転するように、回転筒28とトラベ
ラ8間の摩擦抵抗、環状ブレーキ部29による周囲の空
気に対する回転抵抗が設定されている。
【0015】次に、摺接リング25の組込について説明
する。今、 A :摺接リング25の内径(基準径:常温時) A’:摺接リング25の内径(温度差Tの時)=A*
(1+T*αA) αA:摺接リング25の線膨張係数 B :回転筒28の摺接リング挿入軸部33の外径(常
温時) B’:回転筒28の摺接リング挿入軸部33の外径(温
度差Tの時)=B*(1+T*αB) αB:回転筒28の線膨張係数 C :スラスト受幅=(B−A)/2 D :溝底径(常温時) とすると、温度を加えて、摺接リング25の内径を広
げ、環状軸受溝32に嵌め込むためには、A’がB’よ
り僅かに大きいことが、温度差による摺接リング25の
組込に必要な条件であることが判る。そして、この回転
筒28の摺接リング25の挿入軸部33の外径Bは、前
記スラスト受幅Cとの関係において、回転筒28の環状
軸受溝32の下壁32aと摺接リング25の下面との間
で、充分なスラスト加重を受けることのできる大きさで
あり、 A*(1+T*αA)/(1+T*αB) …(式1) で求まる値より僅かに小さく設定されることになる。
する。今、 A :摺接リング25の内径(基準径:常温時) A’:摺接リング25の内径(温度差Tの時)=A*
(1+T*αA) αA:摺接リング25の線膨張係数 B :回転筒28の摺接リング挿入軸部33の外径(常
温時) B’:回転筒28の摺接リング挿入軸部33の外径(温
度差Tの時)=B*(1+T*αB) αB:回転筒28の線膨張係数 C :スラスト受幅=(B−A)/2 D :溝底径(常温時) とすると、温度を加えて、摺接リング25の内径を広
げ、環状軸受溝32に嵌め込むためには、A’がB’よ
り僅かに大きいことが、温度差による摺接リング25の
組込に必要な条件であることが判る。そして、この回転
筒28の摺接リング25の挿入軸部33の外径Bは、前
記スラスト受幅Cとの関係において、回転筒28の環状
軸受溝32の下壁32aと摺接リング25の下面との間
で、充分なスラスト加重を受けることのできる大きさで
あり、 A*(1+T*αA)/(1+T*αB) …(式1) で求まる値より僅かに小さく設定されることになる。
【0016】そこで、こうした熱による組込のために、
摺接リング25は、この実施形態では、熱膨張による寸
法変化の可逆範囲が大きく、線膨張係数の大きな材質、
即ち、加熱により内径が大きく変化し、温度を元に戻せ
ば、元の内径に戻るような材質が用いられる。ここで
は、四フッ化エチレンにカーボン繊維、二硫化モリブデ
ンなどを含む、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたエ
ンジニアリングプラスチックの中から選択され、例えば
熱膨張による可逆範囲が280度、線膨張係数が、14
×(10のマイナス5乗)/℃の材料を用いる。摺接リ
ング25の常温(20度)における内径の基準径Aは、
常温における回転筒28の溝底径Dより僅かに大きく設
定してある。一方、回転筒28は、摺接リング25と同
じ温度環境で摺接リング25を組む込む関係から、摺接
リング25の線膨張係数に比べて小さい線膨張係数の材
料、例えば鋼材(線膨張係数が、1×(10のマイナス
5乗)/)℃を用いる。このことは逆に、回転筒28を
構成する材料の線膨張係数に比べて、かなり大きな線膨
張係数を有し、かつ、熱膨張による寸法変化の可逆範囲
が大きい材質を、摺接リング25として採用するという
ことと言い替えてもよい。
摺接リング25は、この実施形態では、熱膨張による寸
法変化の可逆範囲が大きく、線膨張係数の大きな材質、
即ち、加熱により内径が大きく変化し、温度を元に戻せ
ば、元の内径に戻るような材質が用いられる。ここで
は、四フッ化エチレンにカーボン繊維、二硫化モリブデ
ンなどを含む、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れたエ
ンジニアリングプラスチックの中から選択され、例えば
熱膨張による可逆範囲が280度、線膨張係数が、14
×(10のマイナス5乗)/℃の材料を用いる。摺接リ
ング25の常温(20度)における内径の基準径Aは、
常温における回転筒28の溝底径Dより僅かに大きく設
定してある。一方、回転筒28は、摺接リング25と同
じ温度環境で摺接リング25を組む込む関係から、摺接
リング25の線膨張係数に比べて小さい線膨張係数の材
料、例えば鋼材(線膨張係数が、1×(10のマイナス
5乗)/)℃を用いる。このことは逆に、回転筒28を
構成する材料の線膨張係数に比べて、かなり大きな線膨
張係数を有し、かつ、熱膨張による寸法変化の可逆範囲
が大きい材質を、摺接リング25として採用するという
ことと言い替えてもよい。
【0017】いま、摺接リング内径Aを45mmとし、
前記可逆範囲280度に対して安全を見て常温(20
度)から250度まで加温し、元に戻すというように温
度差230度を与えるとする。常温の摺接リング25
(図4の)を回転筒28とともに250度まで加温
し、その内径(基準径)をAからA’に拡開する(図
の)。このとき、回転筒28は、その摺接リング挿入
軸部33の外径がBからB’に広がっているが、B’は
A’より僅かに小さく設定してあるから、その広がった
摺接リング25を軸線方向に移動させて、回転筒28の
環状軸受溝32と対応する位置まで挿入し、その位置
で、室温まで温度を低下させる(図4の)。これによ
り、摺接リング25はその内径が基準径Aに戻り、ま
た、回転筒28外径もB’からBに戻るから、摺動リン
グは図2に示すように、環状軸受溝32に遊嵌される。
上記具体的な数値を用いて求めた(式1)の値から、回
転筒28の摺接リング挿入軸部33の外径Bを46.3
mmと設定すると、リング組込後の軸受溝32と摺接リ
ング25の半径方向重なり量(スラスト受幅)Cは0.
65mmとなり、回転筒28下部のスラスト軸受とし
て、充分な大きさとなる。こうして、摺接リング25を
遊嵌した回転筒28は、カバー27で摺接リング25を
抜け止めして固定筒22に取り付けられ、その後、回転
筒28の下端にブレーキリング36が取付られる。
前記可逆範囲280度に対して安全を見て常温(20
度)から250度まで加温し、元に戻すというように温
度差230度を与えるとする。常温の摺接リング25
(図4の)を回転筒28とともに250度まで加温
し、その内径(基準径)をAからA’に拡開する(図
の)。このとき、回転筒28は、その摺接リング挿入
軸部33の外径がBからB’に広がっているが、B’は
A’より僅かに小さく設定してあるから、その広がった
摺接リング25を軸線方向に移動させて、回転筒28の
環状軸受溝32と対応する位置まで挿入し、その位置
で、室温まで温度を低下させる(図4の)。これによ
り、摺接リング25はその内径が基準径Aに戻り、ま
た、回転筒28外径もB’からBに戻るから、摺動リン
グは図2に示すように、環状軸受溝32に遊嵌される。
上記具体的な数値を用いて求めた(式1)の値から、回
転筒28の摺接リング挿入軸部33の外径Bを46.3
mmと設定すると、リング組込後の軸受溝32と摺接リ
ング25の半径方向重なり量(スラスト受幅)Cは0.
65mmとなり、回転筒28下部のスラスト軸受とし
て、充分な大きさとなる。こうして、摺接リング25を
遊嵌した回転筒28は、カバー27で摺接リング25を
抜け止めして固定筒22に取り付けられ、その後、回転
筒28の下端にブレーキリング36が取付られる。
【0018】次に、上記紡績用回転リングの作用効果に
ついて説明する。精紡機1の主モータ4を起動し、スピ
ンドル3を回転すると共に、リングレール7にチェース
とシェーパ送りを与えて、ドラフトローラ9から送り出
されてくる糸10を、スネールワイヤ11、トラベラ8
を経てボビン12の外周に巻取り、管糸を形成してい
く。スピンドル3が回転されるとトラベラ8も回転し、
トラベラ8と回転筒28の間の摩擦により摺接リング2
5を介して回転筒28も回転する。スピンドル3の回転
が高速の定常状態となると、トラベラ8に加わる遠心力
により、トラベラ8が回転筒28のフランジ部31に強
く接触した状態となるので、両者はほぼ一体に回転し、
トラベラ8が回転筒28に対して殆ど相対回転しないた
め、高速回転してもトラベラ8の摩耗が小さく抑えら
れ、その寿命を長くできる。回転筒28はその環状軸受
溝32を形成したボデイ部分35までが完全に一体部材
であるから、回転筒28を2体としたものと比べて、環
状軸受溝32が高精度に形成され、また、動的バランス
がよく、加えて摺接リング25が切れ目のない単一の部
品から成るから変形が少なく摺接リング25の軸受精度
も高く、従って、これらを組み合わせた本願回転リング
20では、軸受抵抗が安定する結果、摺接リング25を
介しての回転筒28の回転が、高速においても、きわめ
て円滑に、振動発生を抑えて行われる。
ついて説明する。精紡機1の主モータ4を起動し、スピ
ンドル3を回転すると共に、リングレール7にチェース
とシェーパ送りを与えて、ドラフトローラ9から送り出
されてくる糸10を、スネールワイヤ11、トラベラ8
を経てボビン12の外周に巻取り、管糸を形成してい
く。スピンドル3が回転されるとトラベラ8も回転し、
トラベラ8と回転筒28の間の摩擦により摺接リング2
5を介して回転筒28も回転する。スピンドル3の回転
が高速の定常状態となると、トラベラ8に加わる遠心力
により、トラベラ8が回転筒28のフランジ部31に強
く接触した状態となるので、両者はほぼ一体に回転し、
トラベラ8が回転筒28に対して殆ど相対回転しないた
め、高速回転してもトラベラ8の摩耗が小さく抑えら
れ、その寿命を長くできる。回転筒28はその環状軸受
溝32を形成したボデイ部分35までが完全に一体部材
であるから、回転筒28を2体としたものと比べて、環
状軸受溝32が高精度に形成され、また、動的バランス
がよく、加えて摺接リング25が切れ目のない単一の部
品から成るから変形が少なく摺接リング25の軸受精度
も高く、従って、これらを組み合わせた本願回転リング
20では、軸受抵抗が安定する結果、摺接リング25を
介しての回転筒28の回転が、高速においても、きわめ
て円滑に、振動発生を抑えて行われる。
【0019】回転筒28が回転すると、ブレーキリング
36の各フィン41が一体に回転し、回転筒28には、
各フィン41と空気との間の空気摩擦抵抗によって適度
な回転制動力を生じる。この場合、ブレーキリング36
の内側部分に風圧遮断壁42が設けられているので、ボ
ビン12の回転によって発生した旋回気流が各フィン4
1に作用しなくなり、回転筒28の減速が良好に行われ
る。従って、リングレール7が下降から上昇に切り変わ
って回転筒28の周速度(チェース運動するときボビン
径が上部より下部の方が大きいのでトラベラ8の回転速
度は上部より下部のときが速くなる。)が増速から減速
に変わると、ブレーキリング36のブレーキ力によって
回転筒28及びトラベラの回転速度が理想速度のように
減速されることになる。その結果、チェース運動の度に
回転筒28及びトラベラ8の減速が一時的に遅れてバル
ーニングが崩壊するのを防止でき、隣合うスピンドル3
間を仕切っているセパレータ(図示なし)に糸10が接
触するのを回避できて糸切れを防止できる。
36の各フィン41が一体に回転し、回転筒28には、
各フィン41と空気との間の空気摩擦抵抗によって適度
な回転制動力を生じる。この場合、ブレーキリング36
の内側部分に風圧遮断壁42が設けられているので、ボ
ビン12の回転によって発生した旋回気流が各フィン4
1に作用しなくなり、回転筒28の減速が良好に行われ
る。従って、リングレール7が下降から上昇に切り変わ
って回転筒28の周速度(チェース運動するときボビン
径が上部より下部の方が大きいのでトラベラ8の回転速
度は上部より下部のときが速くなる。)が増速から減速
に変わると、ブレーキリング36のブレーキ力によって
回転筒28及びトラベラの回転速度が理想速度のように
減速されることになる。その結果、チェース運動の度に
回転筒28及びトラベラ8の減速が一時的に遅れてバル
ーニングが崩壊するのを防止でき、隣合うスピンドル3
間を仕切っているセパレータ(図示なし)に糸10が接
触するのを回避できて糸切れを防止できる。
【0020】また、ブレーキ力により回転筒28の回転
速度がトラベラ8の回転速度を越えてしまう現象を回避
でき、スピンドル停止時においては、回転筒28とトラ
ベラ8とを同期して停止でき、トラベラ8の近傍におい
て糸10が乱れる所謂スナール現象を回避できる。ま
た、各フィン41が、上下側と半径方向内側を閉鎖され
て半径方向外側が開放された状態で旋回し、しかも各フ
ィン41が上側遮断壁39、下側遮断壁43、風圧遮断
壁42及び固定筒22の内面によって囲まれた閉鎖空間
で旋回されるので、各フィン41が空気を切りながら回
転する度合いが抑制され、過度のブレーキ力が作用する
ことがなくなり、その結果スピンドル3がボビン12、
トラベラ8、回転筒28を回転させるのに要する駆動エ
ネルギを節減でき、精紡機のランニングコストを低くで
きる。
速度がトラベラ8の回転速度を越えてしまう現象を回避
でき、スピンドル停止時においては、回転筒28とトラ
ベラ8とを同期して停止でき、トラベラ8の近傍におい
て糸10が乱れる所謂スナール現象を回避できる。ま
た、各フィン41が、上下側と半径方向内側を閉鎖され
て半径方向外側が開放された状態で旋回し、しかも各フ
ィン41が上側遮断壁39、下側遮断壁43、風圧遮断
壁42及び固定筒22の内面によって囲まれた閉鎖空間
で旋回されるので、各フィン41が空気を切りながら回
転する度合いが抑制され、過度のブレーキ力が作用する
ことがなくなり、その結果スピンドル3がボビン12、
トラベラ8、回転筒28を回転させるのに要する駆動エ
ネルギを節減でき、精紡機のランニングコストを低くで
きる。
【0021】また、摺接リング25に接触する空間がブ
レーキリング36と固定筒26の間を経て放射方向の隙
間44によって外部空間に連通しているので、ブレーキ
リング36の回転により隙間44に放射方向の空気の流
れを起こして摺接リング25部分に空気の流れを生じ、
その結果摺接リング部分で発生する熱を効率良く放熱で
きて回転筒28の円滑な回転を長期に亘って担保でき
る。
レーキリング36と固定筒26の間を経て放射方向の隙
間44によって外部空間に連通しているので、ブレーキ
リング36の回転により隙間44に放射方向の空気の流
れを起こして摺接リング25部分に空気の流れを生じ、
その結果摺接リング部分で発生する熱を効率良く放熱で
きて回転筒28の円滑な回転を長期に亘って担保でき
る。
【0022】次に、切れ目のない摺接リング25を、弾
性限度の大きな弾性材から構成した場合の組込方法につ
いて説明する。回転筒28も、前記同様に一体成形部品
である。回転筒28の下端に、回転筒28に向けて広が
るテーパ面51を外周面とした案内具50を嵌め込む。
その案内具50は、回転筒28との接合部分において最
大径となり、その大きさは、回転筒28の摺接リング挿
入軸部35と同じ径Bに設定される。案内具50の、最
大径部(回転筒28との接合部分)52と逆の挿入端部
53の直径は、変形前の摺接リング25の内径(基準
径)Aより小さい径に設定してある。内径Aは溝底径D
よりわずかに大きくしてある。そして、摺接リング25
を案内具50の挿入端部53から押し込み(図5の
)、摺接リング25を回転筒28に向けて移動させつ
つその内径を押し広げて(図の5)、回転筒28の前
記環状軸受溝32と対応する位置まで挿入すると、径B
まで拡開していた内径が、自体の弾性により縮径して元
の内径Aに戻り、環状軸受溝32に摺接リング25が遊
嵌される。例えば、摺接リング25にポリアセタールを
用いる場合、その弾性ひずみは3パーセント程度まで許
容され、弾性変形を用いて組み込むときの摺接リング2
5のひずみは、近似的に 100*(B−A)/A(パーセント) と考えてよいから、摺接リング25の内径Aを45mm
としたとき、これらの式、数値から寸法Bを46.3m
mとすると、スラスト受幅Cは、0.65mmとなり、
充分な大きさとなる。
性限度の大きな弾性材から構成した場合の組込方法につ
いて説明する。回転筒28も、前記同様に一体成形部品
である。回転筒28の下端に、回転筒28に向けて広が
るテーパ面51を外周面とした案内具50を嵌め込む。
その案内具50は、回転筒28との接合部分において最
大径となり、その大きさは、回転筒28の摺接リング挿
入軸部35と同じ径Bに設定される。案内具50の、最
大径部(回転筒28との接合部分)52と逆の挿入端部
53の直径は、変形前の摺接リング25の内径(基準
径)Aより小さい径に設定してある。内径Aは溝底径D
よりわずかに大きくしてある。そして、摺接リング25
を案内具50の挿入端部53から押し込み(図5の
)、摺接リング25を回転筒28に向けて移動させつ
つその内径を押し広げて(図の5)、回転筒28の前
記環状軸受溝32と対応する位置まで挿入すると、径B
まで拡開していた内径が、自体の弾性により縮径して元
の内径Aに戻り、環状軸受溝32に摺接リング25が遊
嵌される。例えば、摺接リング25にポリアセタールを
用いる場合、その弾性ひずみは3パーセント程度まで許
容され、弾性変形を用いて組み込むときの摺接リング2
5のひずみは、近似的に 100*(B−A)/A(パーセント) と考えてよいから、摺接リング25の内径Aを45mm
としたとき、これらの式、数値から寸法Bを46.3m
mとすると、スラスト受幅Cは、0.65mmとなり、
充分な大きさとなる。
【0023】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明では、回転
筒は、フランジ部から環状軸受溝を形成するボデイ部分
までを一体成形し、摺接リングを無端として、熱、もし
くは、外力により、摺接リングを拡開して回転筒の環状
軸受溝に遊嵌したので、回転筒は、動的バランスがよ
く、しかも、環状軸受溝の形成精度も高く維持でき、し
かも、摺接リングも分割、切断されていないから、変形
もなく、その寸法精度が高く維持でき、これらを組み合
わせて成る回転リングでは、精度の高い軸受構造を得る
ことができて、回転に伴う振動発生を少なく抑え、軸受
抵抗が安定し、回転のバラツキが抑えられて、より高速
回転に適した構造とすることができる。
筒は、フランジ部から環状軸受溝を形成するボデイ部分
までを一体成形し、摺接リングを無端として、熱、もし
くは、外力により、摺接リングを拡開して回転筒の環状
軸受溝に遊嵌したので、回転筒は、動的バランスがよ
く、しかも、環状軸受溝の形成精度も高く維持でき、し
かも、摺接リングも分割、切断されていないから、変形
もなく、その寸法精度が高く維持でき、これらを組み合
わせて成る回転リングでは、精度の高い軸受構造を得る
ことができて、回転に伴う振動発生を少なく抑え、軸受
抵抗が安定し、回転のバラツキが抑えられて、より高速
回転に適した構造とすることができる。
【0024】また、請求項2〜5の発明では、切れ目の
ない摺接リングを熱による可逆変形の大きな材質あるい
は、弾性変形の大きな材質から構成して、その内径を熱
又は、外力によって拡開して、回転筒外周の環状軸受溝
に対応する位置まで挿入して、それらの熱、外力を除去
して、環状軸受溝に摺接リングを遊嵌するようにしたの
で、回転筒を従来のように上下2体に分割する必要がな
く、回転筒を単一の部品から構成することができ、回転
筒の動的バランスの維持、及び、環状軸受溝の形成精度
を高くすることができ、無端の摺接リングとの組み合わ
せによって、より高速回転に適した構造の回転リングを
組立ることができる。
ない摺接リングを熱による可逆変形の大きな材質あるい
は、弾性変形の大きな材質から構成して、その内径を熱
又は、外力によって拡開して、回転筒外周の環状軸受溝
に対応する位置まで挿入して、それらの熱、外力を除去
して、環状軸受溝に摺接リングを遊嵌するようにしたの
で、回転筒を従来のように上下2体に分割する必要がな
く、回転筒を単一の部品から構成することができ、回転
筒の動的バランスの維持、及び、環状軸受溝の形成精度
を高くすることができ、無端の摺接リングとの組み合わ
せによって、より高速回転に適した構造の回転リングを
組立ることができる。
【図1】精紡機のスピンドル部を示す説明図である。
【図2】回転リングの拡大断面図である。
【図3】環状ブレーキ部を示す斜視図である。
【図4】摺接リングの組込方法の説明図である。
【図5】摺接リングの、他の組込方法の説明図である。
3 スピンドル 8 トラベラ 22 固定筒 25 摺接リング 28 回転筒 31 フランジ部 32 環状軸受溝 33 摺接リング挿入軸部 35 ボデイ部分 50 案内具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩間 泰志 愛知県葉栗郡木曽川町大字門間字南島海6 −10
Claims (5)
- 【請求項1】 トラベラを案内するフランジ部を有する
回転筒とリングレールに固定される固定筒との間に、摺
接リングを介在して回転筒を固定筒に回転可能に支持し
て成る紡績機械の回転リングであって、回転筒の外周に
設けた環状軸受溝に摺接リングを遊嵌して成る回転リン
グにおいて、回転筒は、フランジ部から環状軸受溝を形
成するボデイ部分までを一体成形し、摺接リングを無端
として、熱もしくは外力により、その内径を回転筒外径
より拡開できて、その後、それらの熱もしくは外力を取
り除くことで内径が元の径に縮径する材質から形成し、
摺接リングの内径の基準径を環状軸受溝の溝底径より僅
かに大きく設定し、その摺接リングの内径を拡開して回
転筒の前記環状軸受溝と対応させた後、縮径させて内径
を基準径に戻した時、環状軸受溝と摺接リングとの半径
方向の重なりが、スラスト加重を受けるに足る大きさと
なるように、遊嵌されて成ることを特徴とする回転リン
グ。 - 【請求項2】 トラベラを案内するフランジ部を有する
回転筒とリングレールに固定される固定筒との間に、摺
接リングを介在して回転筒を固定筒に回転可能に支持し
て成る紡績機械の回転リングであって、回転筒の外周に
設けた環状軸受溝に摺接リングを遊嵌して成る回転リン
グにおいて、無端の摺接リングを熱膨張による寸法変化
の可逆範囲が大きく、線膨張係数の大きな材質から形成
し、その摺接リングを加温して内径を回転筒外径より大
きくした状態で、回転筒の前記環状軸受溝と対応する位
置まで挿入し、その状態で温度を下降させて前記拡開し
た内径を縮径させ、環状軸受溝に摺接リングを遊嵌する
ことを特徴とする回転リングにおける摺接リングの組込
方法。 - 【請求項3】 摺接リングの内径は、常温において環状
軸受溝の溝底径より僅かに大きな基準径となっており、
環状軸受溝と対応する位置まで挿入した後に、常温まで
温度を下降させ、環状軸受溝に遊嵌した状態で、環状軸
受溝と摺接リングとの半径方向の重なりが、スラスト加
重を受けるに足る大きさとなるように遊嵌して成ること
を特徴とする請求項2記載の回転リングにおける摺接リ
ングの組込方法。 - 【請求項4】 トラベラを案内するフランジ部を有する
回転筒とリングレールに固定される固定筒との間に、摺
接リングを介在して回転筒を固定筒に回転可能に支持し
て成る紡績機械の回転リングであって、回転筒の外周に
設けた環状軸受溝に摺接リングを遊嵌して成る回転リン
グにおいて、無端の摺接リングを弾性限度の大きな弾性
材から構成し、その摺接リングに外力を与えて内径を拡
開して回転筒の前記環状軸受溝と対応する位置まで挿入
し、前記外力を除去して拡開した内径を縮径させ、環状
軸受溝に摺接リングを遊嵌することを特徴とする回転リ
ングにおける摺接リングの組込方法。 - 【請求項5】 回転筒の下端に、回転筒に向けて広がる
テーパ面を外周面とした案内具を嵌め込み、案内具の、
回転筒との接合端と逆の端部から、摺接リングを押し込
み、摺接リングを回転筒に向けて移動させつつ、その内
径を押し広げて、回転筒の環状軸受溝まで案内するよう
にしたことを特徴とする請求項4記載の回転リングにお
ける摺接リングの組込方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33760096A JPH10168678A (ja) | 1996-12-02 | 1996-12-02 | 回転リング及び回転リングにおける摺接リングの組込方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33760096A JPH10168678A (ja) | 1996-12-02 | 1996-12-02 | 回転リング及び回転リングにおける摺接リングの組込方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10168678A true JPH10168678A (ja) | 1998-06-23 |
Family
ID=18310181
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33760096A Withdrawn JPH10168678A (ja) | 1996-12-02 | 1996-12-02 | 回転リング及び回転リングにおける摺接リングの組込方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10168678A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011093088A (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Jen-Chu Tsai | 締緩工具用ソケット |
-
1996
- 1996-12-02 JP JP33760096A patent/JPH10168678A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011093088A (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Jen-Chu Tsai | 締緩工具用ソケット |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040203 |