JPH10156901A - 複合材料射出成形方法 - Google Patents

複合材料射出成形方法

Info

Publication number
JPH10156901A
JPH10156901A JP8318954A JP31895496A JPH10156901A JP H10156901 A JPH10156901 A JP H10156901A JP 8318954 A JP8318954 A JP 8318954A JP 31895496 A JP31895496 A JP 31895496A JP H10156901 A JPH10156901 A JP H10156901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filler
material supply
injection molding
thermoplastic elastomer
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8318954A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Iino
恭弘 飯野
Yasusuke Matsushima
庸介 松島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP8318954A priority Critical patent/JPH10156901A/ja
Publication of JPH10156901A publication Critical patent/JPH10156901A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 押出機による予備混練、ペレット化を要する
ことなく、的確かつ安定した材料の供給のもとに、材料
供給路の材料排出側の材料供給部において少なくともフ
ィラーがより確実かつ均一に加熱筒内に分散されて溶融
混練されることを可能にした複合材料射出成形方法を提
供するものである。 【解決手段】 少なくとも2か所の材料供給部4、7か
ら成形材料が供給される熱可塑性樹脂または熱可塑性エ
ラストマーおよびフィラーからなる複合材料成形物の射
出成形方法において、これら熱可塑性樹脂または熱可塑
性エラストマーおよびフィラーの成形材料のうち少なく
ともフィラーを、フィードスクリュ10を挿入した材料
供給路の材料排出側の材料供給部7における落下口8に
てプランジャ16により加圧して加熱筒3内に定量的に
投入して、加熱筒3内にて溶融混練、可塑化し、金型K
に射出して直接成形することを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、押出機等による予
備混練をせずに、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト
マーおよびフィラーからなる複合材料成形物を加熱筒内
にて溶融混練、可塑化し、金型に射出して直接成形する
複合材料射出成形方法に関するものである。本発明は種
々の複合材料からなる成形物に適用できるものであり、
車両のステアリングホイールやエアバッグ収納用モジュ
ールカバー、スキーブーツ、あるいは複写機における給
紙ローラ等、幅広い分野での複合材料の成形に適用可能
である。
【0002】
【従来の技術】近年、複合材料からなる合成樹脂は、そ
の耐久性や耐衝撃性さらには耐磨耗性が向上し、かつ高
品質なものが生産されるようになったことで、その用途
が多岐にわたるようになり、例えばステアリングハンド
ルやエアバッグ等の自動車用部品においても広く採用さ
れている。乗員保護のためのエアバッグ装置は、車両に
不意な衝撃または急激な減速が生じた際に、袋体からな
るエアバッグを膨張させ、衝撃を緩和するエアクッショ
ンを乗員とエアバッグが取り付けられている車体部品と
の間に設置されるものであるが、このようなエアバッグ
装置は概して、エアバッグモジュールまたはエアバッグ
ユニット等と称される車載可能なユニットとして構成さ
れており、比較的高圧なガスを発生させるインフレータ
(ガス発生器)と、折り畳まれた状態で装置内に収納さ
れたエアバッグと、車室に面するモジュールカバーとを
備えている(例えば、特公昭61−44708号公報、
特開平3−167045号公報、実開平2−91051
号公報等参照)。
【0003】モジュールカバーは一般に、パッドカバ
ー、収納パッド、リッド、カバードアあるいはデプロイ
メントドア(Deployment door)等と称
され、通常は、エアバッグ収納用ケース、ハウジングま
たは緩衝材として機能し、衝突等の異常時には、エアバ
ッグの膨張により比較的容易に開裂、展開して、エアバ
ッグの迅速で円滑な膨張を保証する。確実かつ迅速なモ
ジュールカバーの開裂、展開を保証すべく、モジュール
カバーの比較的容易な開裂を促進する開裂部すなわちテ
ィアラインがモジュールカバーの所定の部位に設けられ
る。ティアラインは一般に、開裂用スリットまたは溝を
モジュールカバーの裏面に形成し、モジュールカバーの
一部を局所的に薄肉化することにより形成される。従来
から知られているエアバッグ収納用モジュールカバーと
して、ネットや基布等の補強材をインサート材として埋
設した3層構造の発泡ウレタンを使用したもの、軟質樹
脂の表皮層と硬質樹脂のコア層とを一体的に射出成形し
た2層構造のものがある。このようなモジュールカバー
として、例えば、特開平1−202550号公報には、
2色成形法により軟質樹脂の表皮層と硬質樹脂のコア層
とが一体的に射出成形されるとともに、コア層にティア
ラインが形成されたモジュールカバーが開示されてい
る。
【0004】しかしながら、前記発泡ウレタン製のエア
バッグ用モジュールカバーにおいては、補強材を所望の
位置に埋設するのに時間と困難さを要するため、生産性
が低いのみならず、補強材が所望の位置に埋設されたエ
アバッグ用モジュールカバーの良品率が低いという問題
があった。また、前記2色成形法によるエアバッグ収納
用モジュールカバーの製造においては、成形に時間がか
かるとともに、表皮層用とコア層用の金型が必要とな
り、製造コストが高くなるという問題があった。また最
近では、エステル系熱可塑性エラストマーやオレフィン
系熱可塑性エラストマーを用いた単層の射出成形モジュ
ールカバーも知られている。これらのモジュールカバー
を射出成形によって製造する際に、前記開裂を促進する
厚さ0.4〜1.4mmの薄いティアラインをモジュー
ルカバーの天面の中央部および側部に、通常はH型のパ
ターンで形成する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、モジュール
カバーを使用した上記のようなエアバッグ装置におい
て、冬季等の低温下でのエアバッグ完全展開に要する時
間が、他の季節の常温下での完全展開時間に比較して大
幅に遅れることが指摘されている。本発明者等は、製造
が比較的容易な射出成形型のエアバッグ収納用モジュー
ルカバーにおける完全展開時間について、鋭意研究を重
ねた結果、その原因が、インフレータのガス発生速度が
低温時に遅いという要因の影響は微々たるもので、むし
ろティアライン部が主として発泡ウレタンまたはオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーからなる軟質樹脂のみによ
って構成されているために、モジュールカバーを構成す
る材料自体の材料強度が高くなるために、ティアライン
部の強度が増大し、該ティアライン部の強度が温度によ
り影響を受け易くなる結果、低温下での開裂に時間を要
するという要因の影響が非常に強いという事実を見いだ
した。本発明者等は、さらに鋭意検討の結果、熱可塑性
樹脂または熱可塑性エラストマーおよびフィラーからな
るモジュールカバーの少なくとも開裂部が平均粒子径1
00μm以下のフィラーを1〜50容積%配合した熱可
塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなるモジュー
ルカバーを使用することにより、環境温度の変化に関わ
らず、迅速で確実な開裂、展開が可能で乗員保護性能を
安定したものにするエアバッグ装置を完成させた。
【0006】このようなモジュールカバーを得る場合、
押出機等により熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ーおよびフィラーを予備的に溶融、混練、ペレット化し
て金型に射出成形する方法がとられていた。しかしなが
ら、このような熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ーおよびフィラーを予備的に溶融、混練、ペレット化す
る方法では、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー
が押出機により熱履歴を受け、射出成形により再度熱履
歴をうけるため、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト
マー、特にウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系
等の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーの分子量
低下に起因する強度低下が生じていた。このようなこと
から、押出機による熱履歴のない成形と、温度環境に左
右されない特性を有する複合材料の提供により、迅速で
確実なエアバッグの開裂、展開のためにフィラーをモジ
ュールカバー内に均一に分散させ、しかも生産効率向上
の点からも連続して射出成形できる製造方法が熱望され
ていた。さらに、省エネルギーの見地から、経済的にも
押出工程を削除することが望まれていた。
【0007】ところが、通常の射出成形では、ホッパー
に材料を貯蔵しておくことができるが、本モジュールカ
バーの製造においては、直径1.5〜2.5mm、高さ
4.5〜5.5mmの円柱状あるいは直径1.5〜2.
5mmの球状であり、かつ比重が約0.9〜1.1の熱
可塑性エラストマーペレットと平均粒径数μm〜数百μ
mで比重が0.2〜5.0のフィラーというサイズ、形
状および比重の著しく異なる材料同士であるため、予め
計量、混合してホッパーに貯蔵しておいても、材料が互
いに分離し、次第に混合比率が変化してくるため、的確
かつ安定した材料の供給のもとに連続的な射出成形がで
きないという課題があった。
【0008】そこで、本発明者らは、以上述べてきたよ
うな従来の、開裂を促進するティアラインを備えたモジ
ュールカバー等に適用される複合材料成形物の製造方法
における諸課題を解決して、押出機による予備混練、ペ
レット化を要することなく、的確かつ安定した材料の供
給のもとに、フィラーがモジュールカバー等の複合材料
成形物内に均一に分散し、かつ連続して成形が可能なも
のとして、図3に示したような少なくとも2か所の材料
供給部から成形材料が供給される熱可塑性樹脂または熱
可塑性エラストマーおよびフィラーからなる複合材料成
形物の射出成形方法を提案した(特開平8−72659
号公報、特開平8−91164号公報)。これを簡単に
説明すると、少なくとも熱可塑性材料およびフィラーか
らなり、ティアラインを備えたを設けたエアバッグ収納
用モジュールカバーの製造方法において、射出成形装置
2の加熱筒3の後部に設けた第1材料供給部4より熱可
塑性材料を定量的に供給すると同時に、該熱可塑性材料
がスクリュ10により前方へ移送されながら溶融化状態
になったとき、前記加熱筒3のほぼ中間部に設けた第2
材料供給部7からフィラーを定量的に供給し、溶融混練
および計量を行った後、計量された前記熱可塑性材料お
よびフィラーの混練材料を金型K内に射出して成形する
ようにしたものである。このような複合材料射出成形方
法によって、フィラーが熱可塑性材料に均一に配合され
て環境温度による強度の分布にむらのない安定した複合
材料成形物が予備混練等の不要な経済的な直接成形によ
って成形することが可能になった。
【0009】本発明は、前述した本発明者らの提案をさ
らに改良して、複合材料成形物の製造方法における諸課
題を解決して、押出機による予備混練、ペレット化を要
することなく、的確かつ安定した材料の供給のもとに、
材料供給路の材料排出側の材料供給部において少なくと
もフィラーがより確実かつ均一に加熱筒内に分散されて
溶融混練されることを可能にした複合材料射出成形方法
を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、少な
くとも2か所の材料供給部から成形材料が供給される熱
可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーおよびフィラー
からなる複合材料成形物の射出成形方法において、これ
ら熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーおよびフィ
ラーの成形材料のうち少なくともフィラーを、フィード
スクリュを挿入した材料供給路の材料排出側の材料供給
部における落下口にてプランジャにより加圧して加熱筒
内に定量的に投入して、加熱筒内にて溶融混練、可塑化
し、金型に射出して直接成形することを特徴とするもの
である。また本発明は、前記少なくともフィラーの材料
供給部における落下口に配置されるプランジャは、前記
少なくともフィラーの材料供給口を挟んだ上死点および
下死点を有するストロークにより動作することを特徴と
するもので、これらを課題解決のための手段とするもの
である。
【0011】
【実施の形態】以下本発明の1実施の形態を説明する。 (1)熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー。 本発明で使用される熱可塑性樹脂または熱可塑性エラス
トマーとしては、−40〜90°Cまで使用できるもの
であれば、特に制限はないが、本発明による複合材料成
形物が自動車部品として使用される場合を想定して、例
えば車室内装として触れた感触が良好なショア押込硬度
55D以下のものが好ましい。ウレタンを主成分として
含むウレタン系エラストマー、スチレンを主成分として
含むスチレン系エラストマーもしくはその水素添加物、
塩化ビニルを主成分として含む塩化ビニル系エラストマ
ー、ポリエステルを主成分として含むエステル系エラス
トマー、ポリアミドを主成分として含むポリアミド系エ
ラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主成分
として含むオレフィン系エラストマーからなる群から選
択される1種のエラストマーまたは2種以上のエラスト
マー混合物が挙げられる。また、熱可塑性樹脂として
は、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・12、
ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等が好
んで用いられる。また、これらの熱可塑性エラストマー
と熱可塑性樹脂を適宜な比率で混合して使用してもよ
い。ウレタン系エラストマーとしては、エーテル系、エ
ステル系、ポリカーボネート系が好ましく使用できる。
【0012】本発明において、熱可塑性樹脂または熱可
塑性エラストマーには、必要に応じて、難燃剤、酸化防
止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤、発
泡剤等の各種添加剤を加えることができる。難燃剤とし
ては、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、五酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等
の無機系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、含ハロゲン
リン酸エステル系難燃剤等のリン酸難燃剤、臭素系難燃
剤、塩素化パラフィン、パークロロシクロデカン等の塩
素系難燃剤が挙げられる。酸化防止剤としては、光安定
剤、金属不活性剤、オゾン劣化防止剤等の連鎖開始阻止
剤、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤等のラジ
カル補足剤、硫黄系抗酸化剤、リン系抗酸化剤等の過酸
化物分解剤等が挙げられる。帯電防止剤としては、各種
界面活性剤や官能基を有するポリマーが挙げられる。着
色剤としては、顔料、染料のいずれも使用可能であり、
顔料としては、難溶性アゾレーキ等のアゾ系有機顔料、
フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系有機顔料、
アントラキノン系等のスレン系有機顔料、塩基性染料系
等の染色レーキ系有機顔料、その他の有機顔料、チタン
系等の酸化物系無機顔料、黄鉛等のクロム酸モリブデン
酸系無機顔料、カドミウムイエロー等の硫化物、セレン
化物系無機顔料、紺青等のフェロシアン系無機顔料、そ
の他の無機顔料が挙げられ、使用可能な染料としては、
アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系等の油溶性
染料や水溶性染料等が挙げられる。紫外線吸収剤として
は、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリア
ゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系
の紫外線吸収剤があげられる。可塑剤としては、フタル
酸系可塑剤、脂肪酸系可塑剤、リン酸系可塑剤、アジピ
ン酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑
剤が挙げられる。
【0013】(2)フィラー。 本発明で使用されるフィラーとしては、平均粒子径10
0μm以下のものであれば特に制限はないが、炭酸カル
シウム(重質炭酸カルシウム、チョーク、胡粉)、ケイ
酸アルミニウム(カリオンクレー、ロウ石クレー)、ケ
イ酸マグネシウム(タルク)、シリカ(ケイ砂、ケイ藻
土、無定型シリカ、湿式法ホワイトカーボン、乾式法ホ
ワイトカーボン)、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム(アルミナ水和物)、沈降硫酸バリウム、酸
化亜鉛、酸化アルミニウム、カーボンブラック、雲母、
ガラス球、木粉、再生ゴム、エボ粉、変成メラミン樹
脂、ガラス繊維、ミルドファイバー、炭素繊維、比重1
以下の軽量フィラー(ガラスバルーン、シラスバルー
ン、フライアッシュバルーン、パーライトバルーン、シ
リカバルーン等のケイ酸系無機質バルーン、非ケイ酸系
無機質バルーン、熱硬化性有機質バルーン、熱可塑性有
機質バルーン)等が挙げられる。なかでも、滑らかで均
一であり、粒子表面が濡れやすいガラス球、比重1以下
の軽量フィラーが好ましい。さらにこれらのフィラーの
うち、配合物の比重低減効果のある真比重1以下の軽量
フィラーが好ましい。さらにこれらの軽量フィラーのう
ちでは、比重低減効果、耐圧強度に優れたガラスバルー
ンが最も好ましい。さらに、真比重が0.28〜0.7
0の範囲内にあり、粒子表面の多孔度が小さく、滑らか
で均一であり、粒子表面が濡れやすいガラスバルーンが
最も好ましく使用し得る。真比重が0.28未満では、
ガラスバルーンの耐圧強度が50kgf/cm2 未満と
なることが多く、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト
マーに溶融混練する場合には、その工程で、ガラスバル
ーンが破壊し、エアバッグ収納用モジュールカバーの比
重が高くなって、好ましくなく、他方、真比重が0.7
0を越えると、エアバッグ収納用モジュールカバーの比
重の低減効果が必ずも充分でない。フィラーの平均粒子
径は100μm以下であことが好ましい。平均粒子径が
100μmを越えると、モジュールカバーの表面、特に
薄肉部であるティアライン部の表面が凹凸になり、外観
上好ましくない。フィラーの配合量としては、熱可塑性
樹脂または熱可塑性エラストマーへの配合量を、配合物
全体に対して、1〜50容量%とすることが必要であ
る。1容量%以下では、エアバッグ装置とした場合、−
40°Cにおける完全展開時間が常温(室温)に比較し
て遅くなり、迅速な開裂展開の効果が充分でなく、50
容量%以上では、配合物の引張強度が低下しすぎて実用
的ではない。
【0014】(3)塗装。 モジュールカバーの表面を質感向上および耐久性向上の
ために塗装を施すこともできる。塗料としては、ウレタ
ン系の塗料が使用されることが好ましい。
【0015】(4)複合材料成形物の製造方法。 本発明の実施の形態においては、図1に示すように、射
出成形機1は射出装置2と、金型Kを備え、射出装置2
は内部にスクリュ10を挿入した加熱筒3を備える。加
熱筒3の前端には射出ノズル12を有し、後端には前記
スクリュ10を回転および前進させるスクリュ駆動装置
13を有する。加熱筒3の後部には第1の成形材料であ
る熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを供給する
供給装置である第1材料供給部4を設け、該第1材料供
給部4には第1の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト
マーのペレットを収容するホッパー6と、該ホッパー6
に連通する水平移送路39と、該水平移送路39の内部
に配したフィードスクリュ40と、該フィードスクリュ
40を回転駆動する駆動モータユニット41と、前記水
平移送路39の先端に連通しかつ加熱筒32の内部に連
通する鉛直落下口5とを設けている。これによって、ホ
ッパー6から水平移送路39に落下した第1の熱可塑性
樹脂または熱可塑性エラストマーは、駆動モータユニッ
ト41により回転するフィードスクリュ40によって移
送されるとともに、鉛直落下口5を落下して加熱筒3の
内部に供給される。この時、駆動モータユニット41の
回転数を制御すれば、第1の熱可塑性樹脂または熱可塑
性エラストマーの供給量を可変制御できる。ただし、こ
の供給装置は使用しなくてもよい。他方、材料供給路で
ある加熱筒3の材料排出側となる中間部、望ましくは略
中央部には例えばベント式射出成形装置のベント口を構
成する開口部が設けられ、第2の成形材料であるフィラ
ーを供給する供給装置である第2材料供給部7が設置さ
れる。該第2材料供給部7は、前記第1材料供給部4と
同様の構成、ホッパー9、水平移送路44、フィードス
クリュ45、駆動モータユニット46および鉛直落下路
47を有する。
【0016】本発明の1実施の形態では、図2に拡大し
て明瞭に示すように、少なくともフィラーの加熱筒3へ
の供給を、逆流や詰まり等の虞れなく、より的確かつ安
定して行うことでフィラーの混練すべき複合材料内に均
一に分散できるように、以下のような構成が採用されて
いる。第2材料供給部7において、フィラーMaである
ガラスバルーンを用いる場合について、ガラスバルーン
は直径が0.03〜0.06mm程度の内部中空の粒状
球体であり、成形品を軽量化する機能を有する。第2材
料供給部7において、前述したホッパ9からフィードス
クリュ45により水平移送路44、鉛直落下路47を通
じて供給されたフィラーは、材料供給管48内を流下
し、加熱筒3の開口部に連通して起立設置された鉛直状
の落下口8の上部側壁における材料供給口11において
射出されるように構成される。一方、前記落下口8の上
部にはエアシリンダ15等(油圧シリンダが採用されて
もよい)が設置され、該エアシリンダ15の駆動力によ
って軸動するロッド17の先端には前記落下口8内を気
密に摺動するプランジャ16が装着される。前記少なく
ともフィラーの材料供給部7における落下口8に配置さ
れるプランジャ16は、前記フィラーの材料供給口11
を挟んだ上死点(図面実線位置)および下死点(図面点
線位置16’)を有するストロークにより動作するよう
に構成されている。
【0017】本発明の別の実施の形態では、図示はしな
いが、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーおよび
フィラーが加熱筒の後部に設けられたホッパー口から投
入される。熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーが
投入される第1材料供給部が前記ホッパー口に設置さ
れ、該第1材料供給部の排出側の上部にフィラーが投入
される第2材料供給部の排出側が合流接続されて構成さ
れる。第1材料供給部には熱可塑性樹脂または熱可塑性
エラストマーが投入されるホッパーが、第2材料供給部
にはフィラーが投入されるホッパーがそれぞれ設けられ
ている。本実施の形態においても、詳述しないが前記実
施の形態と同様に、フィラーが投入される第2材料供給
部にはエアシリンダ等により駆動されるプランジャによ
って材料供給部における落下口にてプランジャにより加
圧して加熱筒内に定量的に投入され、フィラー粒子が程
よく均一にばらされてより的確かつ安定した供給制御が
行われて成形品にフィラーが均一に配合されることにな
る。かくして、射出成形の可塑化、計量工程すなわち射
出成形機本体のスクリュ10が回転し、樹脂材料を加熱
筒3の先端に、可塑化しながら移送する。それ以降の成
形工程は、通常の射出成形と同様に実施でき、フィラー
が熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーに均一に配
合されたモジュールカバー等の複合材料成形物が連続し
て得られることになる。
【0018】以上の構成によって、駆動モータユニット
46によりフィードスクリュ45を回転させれば、ホッ
パ9から供給されるフィラーMaはフィードスクリュ4
5により水平移送路44、鉛直落下路47を通じて供給
され、材料供給管48内を流下し、落下口8の上部側壁
における材料供給口11から投入される。前記材料供給
口11から落下口8内に射出されたフィラーは、エアシ
リンダ15の駆動力によって軸動するロッド17の先端
に装着されたプランジャ16によって落下口8内を下方
に加圧移送される。所定量を加圧移送してプランジャ1
6が下死点16’(図示点線位置)の位置に達すると、
エアシリンダ15によってプランジャ16は上死点の原
位置に復帰する(図示実線位置)。以後これを繰り返し
て順次フィラーを加圧供給する。かくしてプランジャ1
6によって加圧移送されたフィラーは、落下口8から加
熱筒3への供給を、逆流や詰まり等の虞れなく、より的
確かつ安定して行うことでフィラーの混練すべき複合材
料内に均一に分散できることとなる。なお、この際、図
示はしないが材料供給路内に複数の孔部(切欠部)を設
けた規制部材を介在させて通過するフィラーMaの通過
量を、孔部の大きさ、数等により規制、制限することに
よってフィードスクリュから送出された成形材料の通過
量を的確かつ安定した供給制御を行うようにしてもよ
い。また、射出成形機本体スクリュ10の一部、特に先
端部にダルメージ構造、サブフライト構造、多条構造を
有するスクリュを用いた場合には、さらに配合の均一性
が向上する。
【0019】また本発明では、射出成形の計量可塑化工
程において、前記供給装置を射出成形機本体のスクリュ
ー回転に連動して作動させて成形するもので、すなわち
各材料の供給装置における供給量は供給装置のフィード
スクリュの回転数に依存するので、これを供給する材料
の種類などに応じて適切に制御するものであり、射出成
形機本体のスクリュー回転すなわち加熱筒内における材
料の可塑化の進行具合に応じてこれに連動して作動させ
るものである。
【0020】さらに本発明では、前記供給装置の1つを
射出成形機本体加熱筒のほぼ中間部に設けられた開口部
に設置して、該供給装置からフィラーのみを定量的に供
給して成形したことを特徴とし、加熱筒内におけるスク
リュの回転によって別の供給装置から投入された熱可塑
性樹脂または熱可塑性エラストマー材料が可塑化されて
前記開口部に到るまでに完全に溶融されているように構
成されているものである。そして、該フィラーが投入さ
れた供給装置の下流において、加熱筒内におけるスクリ
ュの回転によってフィラーは均一に熱可塑性樹脂または
熱可塑性エラストマー材料内に配合される。このよう
に、本発明の成形方法による複合材料成形物は、押出機
を使用した予備溶融混練工程を経ることがないので、熱
履歴によるダメージを最小限に抑えることができ、経済
的にも有利であり、フィラーの熱可塑性樹脂または熱可
塑性エラストマーへの分散性も確実で均一かつ良好で、
強度にむらがない。
【0021】以上各実施の形態について説明してきた
が、各供給装置4、7におけるフィードスクリュの回転
速度および加熱筒3内におけるスクリュ10の回転速度
およびスクリュ10と前記各供給装置におけるフィード
スクリュの回転速度すなわち各熱可塑性樹脂または熱可
塑性エラストマーの供給量との関係については、各供給
装置への材料の投入形態、選択された材料等によって適
宜選択されるものである。また、本発明の趣旨の範囲内
で、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーおよびフ
ィラーは前記例示以外のものも使用でき、射出成形機の
形状、種類、金型の形状、落下口の形状、材料供給口と
落下口との連通形態、プランジャの落下口内における設
置形態、プランジャのロッドへの装着形態、エアシリン
ダ等によるロッドの駆動形態についても適宜のものが採
用できる。
【0022】
【発明の効果】以上詳細に述べてきたように、本発明で
は、複合材料成形物の射出成形方法において、少なくと
も2か所の材料供給部から成形材料が供給される熱可塑
性樹脂または熱可塑性エラストマーおよびフィラーから
なる複合材料成形物の射出成形方法において、これら熱
可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーおよびフィラー
の成形材料のうち少なくともフィラーを、フィードスク
リュを挿入した材料供給路の材料排出側の材料供給部に
おける落下口にてプランジャにより加圧して加熱筒内に
定量的に投入して、加熱筒内にて溶融混練、可塑化し、
金型に射出して直接成形するようにしたので、各種形態
のフィラーに対して、プランジャによって加圧移送され
たフィラーは、落下口から加熱筒への供給を、逆流や詰
まり等の虞れなく、より的確かつ安定して行うことでフ
ィラーの混練すべき複合材料内に均一に分散させること
が可能となり、確実に粒子が程よく均一にばらされて的
確かつ安定した供給制御が行われて成形品にフィラーが
均一に配合されることとなる。また、加熱筒のほぼ中間
部に設けられた開口部からフィラーを投入した場合、該
開口部で前記熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー
が充分溶融しているのでフィラーの形状破壊が抑制さ
れ、的確かつ安定した成形材料の供給により、フィラー
が熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーに均一に配
合された複合材料成形物が連続して得られる。このよう
に、本発明の複合材料成形物の製造方法においては、押
出機を使用した予備溶融混練工程を経ることがないの
で、樹脂材料のペレット化の必要がなく、熱履歴による
ダメージを最小限に抑えることができ、軽量で経済的に
も有利であり、フィラーの熱可塑性樹脂または熱可塑性
エラストマーへの分散性も均一で良好で、温度環境に左
右されることなく、低温から高温まで幅広い温度環境下
において強度にむらのない複合材料成形物が提供される
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態において使用される射出成
形機の全体図である。
【図2】図1の射出成形機における第2材料供給部の拡
大詳細図である。
【図3】本発明の前提技術を示す射出成形機の全体図で
ある。
【符号の説明】
1 射出成形機 2 射出装置 3 加熱筒 4 第1材料供給部 5 落下口 6 ホッパ 7 第2材料供給部 8 落下口 9 ホッパ 10 スクリュ 11 材料供給口 12 射出ノズル 13 駆動装置 15 エアシリンダ 16 プランジャ 17 ロッド 48 材料供給管 K 金型
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 31:50

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2か所の材料供給部から成形
    材料が供給される熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト
    マーおよびフィラーからなる複合材料成形物の射出成形
    方法において、これら熱可塑性樹脂または熱可塑性エラ
    ストマーおよびフィラーの成形材料のうち少なくともフ
    ィラーを、フィードスクリュを挿入した材料供給路の材
    料排出側の材料供給部における落下口にてプランジャに
    より加圧して加熱筒内に定量的に投入して、加熱筒内に
    て溶融混練、可塑化し、金型に射出して直接成形するこ
    とを特徴とする複合材料射出成形方法。
  2. 【請求項2】 前記少なくともフィラーの材料供給部に
    おける落下口に配置されるプランジャは、前記少なくと
    もフィラーの材料供給口を挟んだ上死点および下死点を
    有するストロークにより動作することを特徴とする請求
    項1に記載の複合材料射出成形方法。
JP8318954A 1996-11-29 1996-11-29 複合材料射出成形方法 Pending JPH10156901A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8318954A JPH10156901A (ja) 1996-11-29 1996-11-29 複合材料射出成形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8318954A JPH10156901A (ja) 1996-11-29 1996-11-29 複合材料射出成形方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10156901A true JPH10156901A (ja) 1998-06-16

Family

ID=18104850

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8318954A Pending JPH10156901A (ja) 1996-11-29 1996-11-29 複合材料射出成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10156901A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016144940A (ja) * 2013-04-15 2016-08-12 三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社 射出成形装置、及び、射出成形方法
JP2017031343A (ja) * 2015-08-04 2017-02-09 鬼怒川ゴム工業株式会社 ゴム組成物およびステアリングホールカバー
CN108724596A (zh) * 2017-04-13 2018-11-02 东莞市远茂塑胶机械有限公司 一种直排式双色橡胶鞋底射出成型机

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016144940A (ja) * 2013-04-15 2016-08-12 三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社 射出成形装置、及び、射出成形方法
JP2016144941A (ja) * 2013-04-15 2016-08-12 三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社 射出成形装置、及び、射出成形方法
JP2017031343A (ja) * 2015-08-04 2017-02-09 鬼怒川ゴム工業株式会社 ゴム組成物およびステアリングホールカバー
CN108724596A (zh) * 2017-04-13 2018-11-02 东莞市远茂塑胶机械有限公司 一种直排式双色橡胶鞋底射出成型机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6210614B1 (en) Process of making decorative automotive interior trim articles with cast integral light-stable covering containing invisible tear seam
JP4297982B2 (ja) 自動車内装用パネル状構造物を製造するプロセスおよび自動車内装用パネル状構造物を含む製品
JP4920598B2 (ja) 改善されたメルト・フロー・インデックス(mfi)を有するプラスチック製支持ウェブの製造方法
CN105451830A (zh) 形成高尔夫球或高尔夫球的一部分的方法及由此获得的高尔夫球
GB2419570A (en) Moulded elastic airbag
EP0662032A1 (en) Thermoplastic coated substrates
JPH10156901A (ja) 複合材料射出成形方法
JP2972057B2 (ja) エアバッグ用収納パッドおよびその製造方法
JPH0891164A (ja) エアバッグ収納用モジュールカバーの製造方法
JP2021133928A (ja) ウレタンおよびグラフェンの内装トリムパネル
JPH0872659A (ja) エアバッグ収納用モジュールカバーの製造方法
KR20160007551A (ko) 스프레이 코팅법
GB2300588A (en) Thermoplastic coated substrates
EP1825983A2 (en) Double-cast slush molding method and apparatus
JPH0858515A (ja) エアバッグ収納用モジュールカバーの製造方法
KR101418148B1 (ko) 파우더 슬러쉬 성형을 위한 미세 구형 파우더 및 그 제조방법
GB2300589A (en) Thermoplastic coated substrates
WO1997012930A1 (en) Padding element provided with gas-filled cells for impact absorption
KR100627771B1 (ko) 합성수지 장식물 제조방법
JPH07329678A (ja) エアバッグ装置およびエアバッグ収納用パッド
JP2000246759A (ja) 樹脂製自動車部品の製造方法
JPH071674A (ja) エアバッグ用収納パッドおよびその製造方法
JP2022184381A (ja) 内装品、及びその製造方法
Eyerer et al. Processing (primary forming) of plastics into structural components
JPH11123751A (ja) リサイクル材層を有する多層積層成形体の製造方法