JPH10156224A

JPH10156224A - 回転霧化頭

Info

Publication number: JPH10156224A
Application number: JP9272103A
Authority: JP
Inventors: Shinichi Takayama; 真一高山; Shiyoushiyun Kon; 将俊近; Shogo Ikeda; 正吾池田
Original assignee: ABB Industry KK
Current assignee: ABB Industry KK
Priority date: 1996-10-01
Filing date: 1997-09-18
Publication date: 1998-06-16
Anticipated expiration: 2017-09-18
Also published as: JP3433065B2

Abstract

(57)【要約】【課題】ベルカップの外周面に付着した塗料の洗浄を
確実に行う。【解決手段】ベルカップ１１に、塗料溜り１５とベル
カップ１１の外周面１１Ｈとの間を連通する溶剤通路１
６を設け、ベルカップ１１の外周側に環状ガイド１７を
設ける。これにより、回転霧化頭１０の洗浄時に、溶剤
供給ノズルから吐出されたシンナは、塗料溜り１５、溶
剤通路１６を介してベルカップ１１と環状ガイド１７の
拡開部１７Ｂとの間に形成された溶剤拡散室１８に流出
する。そして、このシンナは溶剤拡散室１８内でベルカ
ップ１１の全周に亘って拡散した後、ベルカップ１１の
外周面１１Ｈを放出端縁１１Ｄに向けて流れる。これに
より、ベルカップ１１の外周面１１Ｈに付着した塗料を
洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、色替を行いつつ塗
装を行う塗装機に用いて好適な回転霧化頭に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、回転霧化頭を用いた静電塗装機
は、塗装機本体と、該塗装機本体内を軸方向に延びて回
転自在に設けられた回転軸と、該回転軸を回転駆動する
ために前記塗装機本体に設けられたエアモータと、該エ
アモータによって回転せしめられるように前記塗装機本
体外に位置して前記回転軸先端に設けられた回転霧化頭
と、前記回転軸内に挿通され、先端側が該回転霧化頭内
に延在する供給ノズルとから大略構成されている。そし
て、該供給ノズルは前記回転霧化頭に向けて塗料または
洗浄用の溶剤としてのシンナを吐出、供給するもので、
該供給ノズルは、塗料配管等を介して色替弁装置やシン
ナ源等に接続されている。

【０００３】また、前記回転霧化頭は、ベル形またはカ
ップ形に形成され、内周面の前部側が塗料を薄膜化する
塗料薄膜化面となると共に内周面の後部側が塗料受面と
なったベルカップと、該ベルカップの内周側に位置して
該ベルカップの塗料薄膜化面と塗料受面との間に設けら
れたハブ部材と、該ハブ部材の後面と前記ベルカップの
塗料受面との間に画成され、塗装機本体に設けられた供
給ノズルから塗料受面に供給される塗料または溶剤を溜
める塗料溜りと、前記ハブ部材に設けられ、前記供給ノ
ズルから該塗料溜りに供給された塗料または溶剤を前記
ベルカップの塗料薄膜化面に流出させる複数の塗料流出
孔とから構成されている。

【０００４】このように構成される従来技術による静電
塗装機で塗装を行うときには、まず、エアモータに圧縮
エアを供給して回転軸と回転霧化頭を高速回転させる。
そして、供給ノズルから回転霧化頭に向けて塗料を吐出
する。これにより、塗料は回転霧化頭のベルカップ内周
側に流入し、塗料薄膜化面で薄膜化され、放出端縁から
帯電塗料粒子となって放出される。このとき、当該静電
塗装機と被塗物との間には静電界が形成されているた
め、回転霧化頭の放出端縁から放出された帯電塗料粒子
は、電気力線に沿って被塗物に向けて飛行し、該被塗物
に塗着する。

【０００５】また、前記静電塗装機により塗装を行う
と、ベルカップの塗料薄膜化面、塗料受面等に塗料が付
着する。この塗料薄膜化面等に付着した塗料を洗浄する
には、エアモータにより回転軸と回転霧化頭を回転させ
つつ、供給ノズルからベルカップに向けてシンナを吐出
する。これにより、シンナはベルカップの内周側に流入
し、該シンナが塗料薄膜化面を介して放出端縁から放出
されるまでの間に、塗料薄膜化面等に付着した塗料を除
去する。

【０００６】ところで、このような従来技術による静電
塗装機において、塗装時にベルカップの放出端縁から放
出された塗料粒子は、その大部分が電気力線に沿って被
塗物に塗着するが、一部の塗料粒子はベルカップの後方
に逆流し、ベルカップの外周側に回り込む。この結果、
ベルカップの外周面に塗料が付着する場合がある。

【０００７】即ち、回転霧化頭が高速回転すると、この
高速回転のために該ベルカップの前面に負圧領域が生
じ、この負圧領域にエアが吸い込まれるエアポンピング
現象が生起される。この結果、塗料粒子がベルカップの
後方に向けて逆流する。また、回転霧化頭によって形成
される噴霧パターンを被塗物の塗装条件に合わせてパタ
ーン成形するために、シェーピングエアを噴出すること
がある。このシェーピングエアを用いた場合には、その
噴流のためにベルカップの外周側に部分的に負圧が発生
する。この結果、塗料粒子がベルカップの後方に向けて
逆流する。

【０００８】このようにして、一部の塗料粒子が逆流し
てベルカップの外周面に塗料が付着すると、この塗料が
固化してしまう。このため塗装条件によっては、この固
化した塗料が剥離し、被塗物の表面に塗料片（ブツ）と
なって付着し、被塗物の塗装品質を低下させる場合があ
るという欠点がある。また、従来技術による静電塗装機
は、供給ノズルからベルカップの内周側に向けてシンナ
を供給することにより、ベルカップの塗料受面、塗料薄
膜化面等を洗浄できる。しかし、この供給ノズルからの
シンナによっては、ベルカップの外周面に付着した塗料
を洗浄することができないという欠点がある。

【０００９】そこで、かかる欠点を解決すべく、ベルカ
ップの外周面に向けてシンナを吐出する洗浄ノズルを塗
装機本体に設けた静電塗装機が、実開昭５７−６２６５
９号公報等により知られている（以下、これを他の従来
技術という）。かかる他の従来技術による静電塗装機に
よれば、回転霧化頭を回転させた状態で、塗装機本体に
設けられた洗浄ノズルからベルカップの外周面に向けて
シンナを吐出することにより、ベルカップの外周面に付
着した塗料を洗浄することが可能である。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した他
の従来技術では、回転霧化頭の外周側を洗浄するとき、
回転霧化頭を回転させた状態で、ベルカップの外周面に
向けてシンナを吐出するだけである。このため、ベルカ
ップに吐出されたシンナは、ベルカップの外周面で跳ね
返りが起こり易く、また、シンナとベルカップの外周面
との間の馴染みが悪く、ベルカップの外周面に付着した
塗料を確実に洗浄できない場合があるという問題があ
る。

【００１１】また、シンナの跳ね返り、馴染み不良等を
解消し、ベルカップの外周面に付着した塗料を確実に洗
浄するには、洗浄ノズルの取付位置や、洗浄ノズルの向
き、またはシンナの吐出量等を精密に設定する必要があ
り、設計、製造が難しく、高度な設計、製造技術が必要
となるという問題がある。

【００１２】さらに、従来技術による静電塗装機のよう
に、回転軸に挿通された供給ノズルからベルカップの内
周側に向けてシンナを供給する構成を備えているにも拘
らず、ベルカップの外周面を洗浄するための専用のノズ
ルを別途設けるのは、非効率的であり、構造の複雑化、
部品点数の増加、コスト上昇を招くという問題がある。

【００１３】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、ベルカップの外周面に付着した塗料を確
実に洗浄することができるようにした回転霧化頭を提供
することを目的としている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明に適用する回転霧化頭は、ベル形またはカ
ップ形に形成され、内周面の前部側が塗料を薄膜化する
塗料薄膜化面となると共に内周面の後部側が塗料受面と
なったベルカップと、該ベルカップの内周側に位置して
該ベルカップの塗料薄膜化面と塗料受面との間に設けら
れたハブ部材と、該ハブ部材の後面と前記ベルカップの
塗料受面との間に画成され、塗装機本体に設けられたノ
ズルから塗料受面に供給される塗料または溶剤を溜める
塗料溜りと、前記ハブ部材に設けられ、前記ノズルから
該塗料溜りに供給された塗料または溶剤を前記ベルカッ
プの塗料薄膜化面に流出させる複数の塗料流出孔とを備
えている。

【００１５】そして、請求項１に係る発明が採用する構
成の特徴は、流入口が前記ベルカップの内周面に位置し
て前記塗料受面に開口し、流出口が前記ベルカップの外
周面に開口して設けられ、前記塗料溜りと前記ベルカッ
プの外周側とを連通する複数の溶剤通路と、前記ベルカ
ップの外周側と隙間を持った状態で該ベルカップを包囲
して設けられ、該各溶剤通路の流出口から流出する溶剤
を案内する環状ガイドと、該環状ガイドの内周面と前記
ベルカップの外周面との間に全周に亘って形成され、前
記溶剤通路から供給された溶剤を拡散する溶剤拡散室と
から構成したことにある。

【００１６】上記の構成より、塗装を行うときには、当
該回転霧化頭を回転させ、ノズルから塗料溜りに塗料を
供給する。これにより、塗料溜りに供給された塗料は遠
心力によって塗料溜り内で拡散し、ハブ部材に設けられ
た塗料流出孔を介してベルカップの塗料薄膜化面に流出
する。そして、この塗料は、塗料薄膜化面で液膜化さ
れ、ベルカップから塗料粒子となって放出される。そし
て、この塗料粒子は、静電力によって被塗物に向けて飛
行し、被塗物に塗着する。なお、塗料は溶剤と比較して
粘度が高いため、塗装時にノズルから供給された塗料
は、総て塗料流出孔から流出し、溶剤通路に流入するこ
とはない。

【００１７】次に、前色の塗装が終了し、次色の塗料を
用いて塗装をするには、回転霧化頭に付着した前色塗料
を洗浄する必要がある。このため、回転霧化頭の洗浄を
行うときには、回転霧化頭を回転させ、ノズルから塗料
溜りに向けて溶剤を吐出する。これにより、この溶剤は
塗料溜りに流入し、遠心力によって塗料溜りの内部で拡
散する。そして、塗料溜り内の溶剤の一部は、塗料流出
孔から塗料薄膜化面に流出し、該塗料薄膜化面に付着し
た前色塗料を洗浄しつつ放出端縁から放出される。

【００１８】一方、溶剤は粘度が小さいため、塗料溜り
内で拡散した溶剤の残部は溶剤通路の流入口に流入し、
該溶剤通路を通ってベルカップの外周側に向けて流れ
る。そして、この溶剤は溶剤通路の流出口から溶剤拡散
室に流出し、該溶剤拡散室内でベルカップ外周側を全周
に亘って拡散する。さらに、溶剤拡散室内の溶剤は環状
ガイドによりベルカップの前部側に案内され、ベルカッ
プ前部側の外周面に向けて吹きつけられる。これによ
り、ベルカップ前部側の外周面に付着した前色塗料を洗
浄する。

【００１９】また、請求項２に係る発明は、溶剤拡散室
内には、環状ガイドの内周面とベルカップの外周面との
間に位置して前記溶剤拡散室内を流れる溶剤を前記ベル
カップの全周に亘って拡散させる環状突条部を設けたこ
とにある。

【００２０】上記の構成により、回転霧化頭の洗浄時
に、ノズルから吐出された溶剤は、塗料溜り、溶剤通路
を介して溶剤拡散室に流入する。そして、溶剤拡散室内
を流れる溶剤は、環状突条部によって一時的に堰き止め
られ、ダム効果によって溶剤拡散室内の全周に亘って拡
散する。このため、溶剤拡散室内の溶剤は、ベルカップ
の全周に亘って拡散した後、ベルカップの前部側の外周
面に向けて流出し、ベルカップの外周面に付着した塗料
を全周に亘って洗浄する。

【００２１】請求項３に係る発明は、環状ガイドの内周
面に、ベルカップの外周面に向けて突出する環状突条部
を設け、該環状突条部とベルカップの外周面との間に環
状絞り通路を形成したことにある。

【００２２】上記の構成より、回転霧化頭の洗浄時に、
ノズルから吐出された溶剤は、塗料溜り、溶剤通路を介
して、溶剤拡散室に流入する。そして、この溶剤は、環
状ガイドによって案内されつつベルカップの前部側に向
けて流れ、環状ガイドの内周面から突出した環状突条部
に衝突する。これにより、この溶剤は溶剤拡散室内でベ
ルカップの全周に亘って拡散する。このように、該環状
突条部は溶剤拡散室内を流れる溶剤を一時的に堰き止め
るダムとしての効果を奏する。そして、溶剤拡散室内の
溶剤は、ベルカップの全周に亘って拡散した後、環状絞
り通路を通過してベルカップ前部側の外周面に向けて流
出し、ベルカップの外周面に付着した塗料を全周に亘っ
て洗浄する。

【００２３】また、請求項４に係る発明は、ベルカップ
の外周面に、環状ガイドの内周面に向けて突出する環状
突条部を設け、該環状突条部とベルカップ外周面との間
に環状絞り通路を形成したことにある。

【００２４】上記の構成より、前述と同様に、回転霧化
頭の洗浄時に、溶剤拡散室に流入した溶剤を、ダム効果
によってベルカップの全周に亘って拡散させることがで
きる。従って、ベルカップの外周面に付着した塗料を全
周に亘って洗浄することができる。

【００２５】一方、請求項５に係る発明は、各溶剤通路
の流入口を、各塗料流出孔よりも一定の寸法だけ奥まっ
た位置に開口する構成としたことにある。

【００２６】上記の構成より、塗装時に、ノズルから吐
出され塗料溜りに流入した塗料は、ハブ部材の後面上を
各塗料流出孔に向けて流れるため、各塗料流出孔よりも
奥まった位置に開口している各溶剤通路の流入口に塗料
が流入することはない。一方、回転霧化頭の洗浄時に、
ノズルから吐出され塗料溜りに流入した溶剤は、その粘
度が塗料に比して低いため、塗料溜り内で広く拡散し、
各溶剤通路の流入口に容易に流入する。

【００２７】また、請求項６に係る発明は、各溶剤通路
を、その流入口から流出口に向かうに従ってベルカップ
の回転方向に傾斜させる構成としたことにある。

【００２８】上記の構成より、回転霧化頭の洗浄時に、
ノズルから吐出され、塗料溜りに流入した溶剤を、各溶
剤通路の流入口に容易に流入させることができる。即
ち、回転霧化頭の洗浄時には、ベルカップが所定の方向
に回転しているため、ノズルから吐出されて塗料溜りに
流入した溶剤も、塗料溜り内で、ベルカップの回転方向
に回転するようにして流れる。この場合、塗料溜り内で
回転している溶剤の流れ方向と各溶剤通路の傾斜の関係
から、この溶剤が各溶剤通路に流入し易くなる。

【００２９】さらに、請求項７に係る発明は、各溶剤通
路を、その流入口から流出口に向かうに従って、ベルカ
ップの後部側に傾斜させる構成としたことにある。

【００３０】上記の構成より、各溶剤通路をベルカップ
の後部側に傾斜させることによって、各溶剤通路の伸長
方向と、ベルカップの遠心方向（ベルカップの径方向）
とが異なる。これにより、塗装時に、ノズルから塗料溜
りに供給された塗料が、ベルカップの高速回転によって
塗料溜り内でベルカップの遠心方向に拡散しても、この
塗料が、各溶剤通路に流入することはない。

【００３１】一方、溶剤は、その粘度が塗料に比して低
く、細い管路でも容易に流通する性質を有する。このた
め、回転霧化頭の洗浄時に、ノズルから塗料溜りに供給
された溶剤は、各溶剤通路に容易に流入する。

【００３２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
回転霧化頭を、添付図面に従って詳述する。

【００３３】ここで、図１ないし図４は第１の実施の形
態による回転霧化頭を用いた静電塗装機を示している。

【００３４】図１中、１は静電塗装機本体の外形を形成
するカバーを示し、該カバー１内には、エアモータ２
と、該エアモータ２によって高速回転する回転軸３が設
けられている。

【００３５】４は筒状に形成され、回転軸３内に挿通さ
れたフィードチューブを示し、該フィードチューブ４
は、塗料供給ノズル５と、溶剤供給ノズル６等から構成
されている。

【００３６】ここで、塗料供給ノズル５は、基端側が塗
料弁等を介して塗料源（いずれも図示せず）に接続さ
れ、先端側が回転軸３の先端から突出し、後述する回転
霧化頭１０内に伸長している。そして、該塗料供給ノズ
ル５は、塗装時に、回転霧化頭１０に向けて塗料を供給
する。

【００３７】また、溶剤供給ノズル６は、塗料供給ノズ
ル５の外周側に塗料供給ノズル５と同軸に設けられてい
る。さらに、該溶剤供給ノズル６は、基端側が溶剤弁等
を介して溶剤源（いずれも図示せず）に接続され、先端
側が回転軸３の先端側に位置し、回転霧化頭１０内に伸
長している。また、該溶剤供給ノズル６の先端側には弾
性部材からなるチェック弁７が設けられている。そし
て、回転霧化頭１０の洗浄時に、溶剤弁を開弁すると、
溶剤供給ノズル６に溶剤としてのシンナが圧送され、こ
のときのシンナの圧力によりチェック弁７が開弁し、シ
ンナが回転霧化頭１０に供給される。

【００３８】８はカバー１の先端に設けられたシェーピ
ングエアリングであり、該シェーピングエアリング８は
筒状に形成され、その先端面には、複数のシェーピング
エア吐出口８Ａ，８Ａ，…が環状に形成されている。

【００３９】９はシェーピングエア供給通路であり、該
シェーピングエア供給通路９はカバー１に設けられた通
路９Ａ、シェーピングエアリング８に設けられた通路９
Ｂ等により構成されている。そして、該シェーピングエ
ア供給通路９は、エア供給源（図示せず）から供給され
るシェーピングエアを各シェーピングエア吐出口８Ａに
向けて供給するものである。

【００４０】ここで、シェーピングエアは、各シェーピ
ングエア吐出口８Ａから矢示Ａ方向に吐出することによ
り、ベルカップ１１から飛び出す塗料粒子の噴霧パター
ンをパターン成形するものである。また、このシェーピ
ングエアは、後述するように、ベルカップ１１の各溶剤
通路１６から流出するシンナがベルカップ１１の外周面
１１Ｈに吹きつけられるように、シンナの流れ方向を規
制する役割をも有する。

【００４１】１０は回転軸３に取付けられた回転霧化頭
である。１１は回転霧化頭１０の外形をなすベルカップ
を示し、該ベルカップ１１は、図２に示すように、後部
側から前部側に向けて拡開するベル形またはカップ形に
形成され、その後部側が回転軸３の先端部に螺着される
回転軸取付部１１Ａとなっている。また、該ベルカップ
１１の中心は、回転軸３の先端側から突出した塗料供給
ノズル５と溶剤供給ノズル６のチェック弁７を挿通させ
る小径の挿通部１１Ｂが形成されている。

【００４２】さらに、該ベルカップ１１の内周側は、前
記挿通部１１Ｂから該ベルカップ１１の前端にかけてス
カート状に漸次拡径している。そして、該ベルカップ１
１内周面の前部側は塗料を薄膜化させる塗料薄膜化面１
１Ｃとなり、該塗料薄膜化面１１Ｃの先端側が放出端縁
１１Ｄとなっている。また、ベルカップ１１内周面の後
部側は塗料供給ノズル５から吐出した塗料または溶剤供
給ノズル６から吐出したシンナを受ける塗料受面１１Ｅ
となっている。さらに、塗料薄膜化面１１Ｃと塗料受面
１１Ｅとの間には、後述するハブ部材１２を取付けるた
めのハブ取付溝１１Ｆが形成されている。また、ベルカ
ップ１１の外周側には、軸方向中間に位置してガイド取
付段部１１Ｇが形成されている。

【００４３】１２はベルカップ１１のハブ取付溝１１Ｆ
に設けられたハブ部材を示し、該ハブ部材１２は円板状
に形成され、該ハブ部材１２の中心軸が回転霧化頭１０
の中心軸（回転軸）と一致するように配設されている。
また、該ハブ部材１２の前面１２Ａはベルカップ１１の
塗料薄膜化面１１Ｃと連続した平面となり、該ハブ部材
１２の後面は塗料供給面１２Ｂとなっている。そして、
該塗料供給面１２Ｂの中央には円錐状突起１２Ｃが形成
されている。

【００４４】１３，１３，…はハブ部材１２の外周側に
多数個、環状に形成された塗料流出孔で、該各塗料流出
孔１３は、塗料供給ノズル５からベルカップ１１の内周
側に吐出された塗料、または、溶剤供給ノズル６からベ
ルカップ１１の内周側に吐出された溶剤を塗料薄膜化面
１１Ｃに流出させるものである。

【００４５】１４，１４，…はハブ部材１２の円錐状突
起１２Ｃの位置で塗料供給面１２Ｂから前面１２Ａに貫
通する複数の溶剤流出孔であり、該溶剤流出孔１４は、
回転霧化頭１０の洗浄時に、溶剤供給ノズル６からベル
カップ１１の内周側に吐出されたシンナをハブ部材１２
の前面１２Ａに流出させるものである。

【００４６】１５は塗料溜りで、該塗料溜り１５はベル
カップ１１のハブ取付溝１１Ｆにハブ部材１２を取付け
ることにより、該ハブ部材１２の塗料供給面１２Ｂとベ
ルカップ１１の塗料受面１１Ｅとの間に形成されてい
る。そして、この塗料溜り１５は、塗料供給ノズル５か
ら吐出した塗料または溶剤供給ノズル６から吐出したシ
ンナを一時的に溜め、塗料またはシンナを拡散させるた
めの空間である。

【００４７】１６，１６，…はベルカップ１１の周方向
に所定間隔毎に例えば１２個設けられた溶剤通路を示
し、該各溶剤通路１６は、流入口１６Ａがベルカップ１
１の塗料受面１１Ｅに開口し、流出口１６Ｂがベルカッ
プ１１の外周面１１Ｈに開口し、ベルカップ１１内をそ
の内周側から外周側に向けて伸長している。これによ
り、回転霧化頭１０の洗浄時には、溶剤供給ノズル６か
ら吐出され、塗料溜り１５に流入したシンナが、該各溶
剤通路１６に流入し、ベルカップ１１の外周側に向けて
流れる。なお、該溶剤通路１６は１２個に限らず、２〜
１１個または１３個以上としてもよい。

【００４８】ここで、各溶剤通路１６の流入口１６Ａ
は、図４に示すように、各塗料流出孔１３よりも一定の
寸法ａだけ奥まった位置に開口している。即ち、各溶剤
通路１６の流入口１６Ａを、各塗料流出孔１３の開口位
置からベルカップ１１の後部側へ離間させている。これ
により、塗装時には、塗料供給ノズル５から塗料溜り１
５に供給された塗料が、溶剤通路１６に流入するのを防
止し、洗浄時には、溶剤供給ノズル６から塗料溜り１５
に供給されたシンナが、溶剤通路１６に流入するのを許
す構成となっている。

【００４９】また、各溶剤通路１６は、その流入口１６
Ａから流出口１６Ｂに向かうに従って、ベルカップ１１
の後部側に傾斜している。即ち、該各溶剤通路１６の流
出口１６Ｂは、流入口１６Ａの開口位置よりもベルカッ
プ１１の後部側に位置して開口している。これにより、
塗装時に、塗料が各溶剤通路１６に流入するのを防止し
ている。

【００５０】また、各溶剤通路１６は、図３に示すよう
に、その流入口１６Ａから流出口１６Ｂに向かうに従っ
て、回転霧化頭１０の回転方向（矢示Ｂ方向）に傾斜
し、回転霧化頭１０の回転方向に捩るようにして設けら
れている。即ち、各溶剤通路１６は、ベルカップ１１の
径方向に対して、例えば１５°〜５０°の範囲の所定角
αをなすように回転方向に傾斜して設けられている。こ
れにより、回転霧化頭１０の洗浄時に、溶剤供給ノズル
６から塗料溜り１５内に吐出されたシンナが、各溶剤通
路１６に流入し易くなる。

【００５１】１７はベルカップ１１のガイド取付段部１
１Ｇに設けられた環状ガイドを示し、該環状ガイド１７
は、基端側が取付部１７Ａとなり、該取付部１７Ａから
前端側にかけては、ベル形またはカップ形に拡開した拡
開部１７Ｂとなっている。ここで、該環状ガイド１７
は、取付部１７Ａがベルカップ１１のガイド取付段部１
１Ｇに固着され、拡開部１７Ｂがベルカップ１１の外周
面１１Ｈとの間に一定の隙間を形成しつつ、前記ベルカ
ップ１１の外周面１１Ｈに沿ってベルカップ１１の前端
側に向けて伸長している。これにより、該環状ガイド１
７は、ベルカップ１１の外周側と隙間をもった状態でベ
ルカップ１１を包囲している。

【００５２】１８は環状ガイド１７の拡開部１７Ｂ内周
面とベルカップ１１の外周面１１Ｈとの間に形成された
溶剤拡散室を示し、該溶剤拡散室１８はベルカップ１１
の全周に亘って環状に形成されている。また、該溶剤拡
散室１８の奥部に各溶剤通路１６の流出口１６Ｂが開口
している。そして、回転霧化頭１０の洗浄時に、塗料溜
り１５から各溶剤通路１６内に流入したシンナは、該各
溶剤通路１６の流出口１６Ｂから該溶剤拡散室１８内に
流入する。さらに、このシンナは、該溶剤拡散室１８内
で周方向に拡散する。

【００５３】本実施の形態による回転霧化頭１０は上述
したような構成を有するものであり、次に、該回転霧化
頭１０の塗装時の動作について説明する。

【００５４】塗装を行うときには、エアモータ２により
回転軸３を高速に回転させ、回転霧化頭１０を図３中の
矢示Ｂ方向に高速に回転させる。そして、塗料供給ノズ
ル５から回転霧化頭１０の塗料溜り１５に向けて塗料を
吐出する。これにより、塗料溜り１５に流入した塗料
は、各塗料流出孔１３を通過して塗料薄膜化面１１Ｃに
流出する。さらに、この塗料は該塗料薄膜化面１１Ｃ上
で薄膜化され、放出端縁１１Ｄから液糸となって飛び出
し、塗料粒子として微粒化される。

【００５５】このとき、回転霧化頭１０と被塗物との間
には高電圧が印加されているため、回転霧化頭１０によ
って微粒化された帯電塗料粒子は、被塗物に向かって飛
行し、被塗物に塗着する。また、このときの塗料の噴霧
パターンは、シェーピングエアリング８の各シェーピン
グエア吐出口８Ａから流出しているシェーピングエアに
よってパターン成形される。

【００５６】次に、回転霧化頭１０に付着した前色塗料
の洗浄動作について説明する。回転霧化頭１０の洗浄時
には、エアモータ２により回転軸３と共に回転霧化頭１
０を回転させ、溶剤供給ノズル６からシンナを供給す
る。これにより、図４に示すように、チェック弁７が開
弁し、シンナが溶剤供給ノズル６から塗料溜り１５に吐
出される。そして、塗料溜り１５内に流入したシンナ
は、塗料溜り１５内で拡散し、図４中の矢示の如く各塗
料流出孔１３、各溶剤流出孔１４、各溶剤通路１６にそ
れぞれ流入する。

【００５７】ここで、各塗料流出孔１３に流入したシン
ナは、ベルカップ１１の塗料薄膜化面１１Ｃに流出、拡
散し、該塗料薄膜化面１１Ｃに付着した前色塗料を洗浄
しつつ、放出端縁１１Ｄから放出される。

【００５８】また、各溶剤流出孔１４に流入したシンナ
は、ハブ部材１２の前面１２Ａに流出、拡散し、該ハブ
部材１２に付着した前色塗料を洗浄する。そして、この
シンナは塗料薄膜化面１１Ｃを流通して放出端縁１１Ｄ
から放出される。

【００５９】一方、各溶剤通路１６に流入したシンナ
は、各溶剤通路１６の流出口１６Ｂからベルカップ１１
の径方向外向きに流出する。ところが、このシンナは、
環状ガイド１７の拡開部１７Ｂ内周面に衝突し、溶剤拡
散室１８内に一時的に滞留する。このとき、シンナは溶
剤拡散室１８内でベルカップ１１の全周に亘って拡散す
る。

【００６０】そして、溶剤拡散室１８内のシンナは、環
状ガイド１７の拡開部１７Ｂによってベルカップ１１の
前部側に案内され、溶剤拡散室１８からベルカップ１１
の前端側に向けて流出し、ベルカップ１１の外周面１１
Ｈに付着した前色塗料を洗浄する。

【００６１】かくして、本実施の形態によれば、回転霧
化頭１０の洗浄時に、溶剤供給ノズル６から塗料溜り１
５に供給されたシンナを各溶剤通路１６を介して溶剤拡
散室１８に流入させ、このシンナを環状ガイド１７によ
りベルカップ１１の前部側に案内し、ベルカップ１１の
外周面１１Ｈに吹きつけることにより、ベルカップ１１
の外周面１１Ｈに付着した塗料を洗浄することができ
る。

【００６２】また、本実施の形態では、各溶剤通路１６
の流入口１６Ａを、図４に示すように、各塗料流出孔１
３よりも一定の寸法ａだけ奥まった位置に開口させる構
成としたから、洗浄時にはシンナを溶剤通路１６に流入
させることができ、塗装時には塗料が溶剤通路１６に流
入するのを防止することができる。

【００６３】即ち、塗装時に、塗料溜り１５内に流入し
た塗料の大部分は、ハブ部材１２の塗料供給面１２Ｂ上
を各塗料流出孔１３に向けて流れるから、この塗料が各
塗料流出孔１３よりも奥まった位置に開口した各溶剤通
路１６の流入口１６Ａに流入することはない。また、塗
料溜り１５内に流入した塗料の一部は、ベルカップ１１
の塗料受面１１Ｅ側にも拡散するが、塗料はシンナに比
して粘度が高いため、表面張力により、各溶剤通路１６
の流入口１６Ａに流入することはない。さらに、各溶剤
通路１６は、ベルカップ１１の後部側に向けて傾斜して
いるため、各溶剤通路１６に塗料が流入するのを防止す
る効果がある。

【００６４】また、本実施の形態では、ベルカップ１１
の外周側を包囲するように環状ガイド１７を設ける構成
としたから、回転霧化頭１０に付着した前色塗料を洗浄
するときに、各溶剤通路１６を流通して、該各溶剤通路
１６の流出口１６Ｂから遠心方向に飛散しようとするシ
ンナを、環状ガイド１７の拡開部１７Ｂ内周面に衝突さ
せ、溶剤拡散室１８内に一時的に滞留させることができ
る。これにより、各溶剤通路１６から流出したシンナの
総てを、環状ガイド１７によってベルカップ１１の前部
側へ案内してベルカップ１１の外周面１１Ｈに吹きつけ
ることができる。

【００６５】従って、ベルカップ１１の外周面１１Ｈに
付着した塗料を洗浄するに際して、シンナを無駄なく、
効率よく使用することができ、シンナの使用量を必要最
小限に抑え、洗浄効率を大幅に向上させることができ
る。

【００６６】また、環状ガイド１７により、各溶剤通路
１６から溶剤拡散室１８内の流出したシンナをベルカッ
プ１１の外周面１１Ｈに沿って拡散させることができ
る。これにより、ベルカップ１１の外周面１１Ｈに付着
した塗料を全周に亘って洗浄することができる。

【００６７】さらに、本実施の形態では、各溶剤通路１
６を回転霧化頭１０の回転方向に傾斜するように捩って
形成する構成としたから、回転霧化頭１０の洗浄時に
は、塗料溜り１５に流入したシンナを各溶剤通路１６に
確実に、かつ多量に流入させることができる。即ち、回
転霧化頭１０が矢示Ｂ方向に回転すると、塗料溜り１５
内のシンナは、その粘性により回転霧化頭１０の回転方
向と同じ方向（矢示Ｃ方向）に回転するように流れる。
従って、シンナは矢示Ｂ方向に捩るように形成された各
溶剤通路１６に確実に流入するようになる。これによ
り、シンナを各溶剤通路１６、溶剤拡散室１８を介して
ベルカップ１１の外周面１１Ｈに確実に、かつ多量に吹
きつけることができ、ベルカップ１１の外周面１１Ｈに
付着した塗料を効果的に洗浄することができる。

【００６８】さらに、本実施の形態によれば、ベルカッ
プ１１に各溶剤通路１６、環状ガイド１７等を設けるだ
けで、上述したような優れた洗浄能力を得ることができ
る。これにより、回転軸内にノズルが挿入された、いわ
ゆるセンタフィードチューブ方式の静電塗装機にあって
は、回転霧化頭を改良するだけでよく、塗装機本体側の
改変は不要である。従って、改良が容易であり、コスト
上昇、構成の複雑化を招くことなく、洗浄能力を向上さ
せることができる。

【００６９】次に、本発明の第２の実施の形態による回
転霧化頭を図５ないし図７に基づいて説明する。本実施
の形態の特徴は、環状ガイドの内周面に、ベルカップの
外周面に向けて突出する環状突条部を設け、該環状突条
部とベルカップ外周面との間に環状絞り通路を形成した
ことにある。なお、本実施の形態では、環状ガイドを除
いて、前述した第１の実施の形態と同一の構成要素に同
一の符号を付し、その説明を省略するものとする。

【００７０】図５中、２１は本実施の形態による回転霧
化頭を示す。２２はベルカップ１１のガイド取付段部１
１Ｇに固着された本実施の形態による環状ガイドを示
し、該環状ガイド２２は、前述した第１の実施の形態に
よる環状ガイド１７とほぼ同様に、基端側が取付部２２
Ａとなり、該取付部２２Ａから前端側にかけては、ベル
形またはカップ形に拡開した拡開部２２Ｂとなってい
る。そして、該環状ガイド２２は、ベルカップ１１の外
周側と隙間をもった状態でベルカップ１１を包囲するよ
うに設けられている。これにより、該環状ガイド２２の
拡開部２２Ｂ内周面とベルカップ１１の外周面１１Ｈと
の間には、溶剤拡散室２３が形成されている。

【００７１】２４は環状ガイド２２の拡開部２２Ｂ内周
面に設けられた環状突条部を示し、該環状突条部２４
は、拡開部２２Ｂの前端側に位置し、拡開部２２Ｂの内
周面からベルカップ１１の外周面１１Ｈに向けて突出し
ている。そして、該環状突条部２４は、該環状ガイド２
２の全周に亘って環状に形成され、該環状突条部２４と
ベルカップ１１の外周面１１Ｈとの間は、環状絞り通路
２５となっている。

【００７２】ここで、該環状突条部２４は、回転霧化頭
２１の洗浄時に、各溶剤通路１６の流出口１６Ｂから流
出し、溶剤拡散室２３内でベルカップ１１の前部側に向
けて流通するシンナを、環状ガイド２２の拡開部２２Ｂ
前端側で一時的に堰き止めるダムとしての機能を果たす
ものである。

【００７３】本実施の形態による回転霧化頭２１は上述
したような構成を有するもので、塗装時の動作および洗
浄時の基本的動作については前述した第１の実施の形態
と格別差異はない。

【００７４】然るに、本実施の形態による回転霧化頭２
１では、色替時に回転霧化頭２１に付着した前色塗料を
洗浄するときには、エアモータ２により回転霧化頭３０
を回転させ、溶剤供給ノズル６から塗料溜り１５に向け
てシンナを供給する。これにより、塗料溜り１５に流入
したシンナは、各塗料流出孔１３、各溶剤流出孔１４、
各溶剤通路１６にそれぞれ流入する。そして、各塗料流
出孔１３に流入したシンナは、ベルカップ１１の塗料薄
膜化面１１Ｃに付着した前色塗料を洗浄し、各溶剤流出
孔１４に流入したシンナは、ハブ部材１２の前面１２Ａ
に付着した前色塗料を洗浄する。

【００７５】一方、各溶剤通路１６に流入したシンナ
は、各溶剤通路１６の流出口１６Ｂから溶剤拡散室２３
に流出する。そして、このシンナは、環状ガイド２２に
案内されつつ溶剤拡散室２３内を環状ガイド２２の前端
側に向けて流れ、環状突条部２４に衝突する。これによ
り、シンナは、環状突条部２４のダム効果によって一時
的に堰き止められ、溶剤拡散室２３内でベルカップ１１
の全周に亘って拡散する。

【００７６】その後、このシンナは、環状突条部２４を
乗り越え、環状絞り通路２５を通過してベルカップ１１
の外周面１１Ｈに吹きつけられる。これにより、ベルカ
ップ１１の外周面１１Ｈに付着した塗料を全周に亘って
完全に洗浄することができる。

【００７７】ここで、図６は本実施の形態による回転霧
化頭２１を斜め後方から見た図であり、溶剤供給ノズル
６から、シンナを２秒間吐出させた状態を示したもので
ある。図６によると、ベルカップ１１の外周面１１Ｈに
付着していた塗料は全周に亘って完全に洗い流され、外
周面１１Ｈには塗料が全く付着していない。これは、環
状ガイド２２に設けられた環状突条部２４のダム効果に
より、シンナがベルカップ１１の外周面１１Ｈを全周に
亘って拡散し、図６中の矢示に示す如く、ベルカップ１
１全周の至る場所からシンナが吐出したためである。

【００７８】一方、図７は前述した第１の実施の形態に
よる回転霧化頭１０を斜め後方から見た図であり、図６
に示す回転霧化頭２１と同様に、前記溶剤供給ノズル６
からシンナを、２秒間吐出させた状態を示したものであ
る。図７によると、ベルカップ１１の外周面１１Ｈに
は、部分的に塗料Ｐ（ハッチングの部分）が付着したま
ま残っている。これは、第１の実施の形態による回転霧
化頭１０の環状ガイド１７には、本実施の形態で述べた
ような環状突条部が設けられていないため、２秒間とい
う短時間に、シンナがベルカップ１１の全周に亘って十
分に拡散しなかったためである。なお、第１の実施の形
態による回転霧化頭１０であっても、シンナの吐出時間
を５秒間程度に延長すれば、その間にシンナが溶剤拡散
室１８内で全周に亘って拡散するため、ベルカップ１１
に付着した塗料を十分に洗浄することができる。

【００７９】以上のように、本実施の形態による回転霧
化頭２１によれば、環状ガイド２２の内周面に環状突条
部２４を設けることにより、洗浄能力をより一層向上さ
せることができ、洗浄の確実性、洗浄時間の短縮および
シンナ使用量の低減を図ることができる。

【００８０】次に、本発明の第３の実施の形態による回
転霧化頭を図８に基づいて説明する。本実施の形態の特
徴は、ベルカップの外周面に環状ガイドの内周面に向け
て突出する環状突条部を設け、該環状突条部とベルカッ
プ外周面との間に、環状絞り通路を形成したことにあ
る。なお、本実施の形態では、ベルカップを除いて前述
した第１の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を
付し、その説明を省略するものとする。

【００８１】３１は本実施の形態による回転霧化頭を示
す。３２は該回転霧化頭３１の外形をなすベルカップを
示し、該ベルカップ３２は、ベル形またはカップ形に形
成され、回転軸取付部３２Ａ、挿通部３２Ｂ、塗料薄膜
化面３２Ｃ、放出端縁３２Ｄ、塗料受面３２Ｅ、ハブ取
付溝３２Ｆ、ガイド取付段部３２Ｇ、外周面３２Ｈ等と
から構成されている。

【００８２】そして、ベルカップ３２のハブ取付溝３２
Ｆにはハブ部材１２が設けられ、該ハブ部材１２の塗料
供給面１２Ｂとベルカップ３２の塗料受面３２Ｅとの間
に塗料溜り３３が形成されている。

【００８３】また、ベルカップ３２には、第１の実施の
形態と同様に、流入口３４Ａがベルカップ３２の塗料受
面３２Ｅに開口し、流出口３４Ｂがベルカップ３２の外
周面３２Ｈに開口した複数の溶剤通路３４が形成されて
いる。さらに、ベルカップ３２のガイド取付段部３２Ｇ
には環状ガイド１７が設けられ、ベルカップ３２の外周
面３２Ｈと環状ガイド１７の拡開部１７Ｂ内周面との間
には溶剤拡散室１８が形成されている。

【００８４】以上の点では前述した第１の実施の形態に
よるベルカップ１１と同様であるが、本実施の形態によ
るベルカップ３２の外周面３２Ｈには、環状突条部３５
が設けられている点で第１の実施の形態によるベルカッ
プ１１と異なる。即ち、該環状突条部３５は、ベルカッ
プ３２の外周面３２Ｈのうち、環状ガイド１７の拡開部
１７Ｂ前端部に対向する位置に設けられている。そし
て、該環状突条部３５は、該ベルカップ３２の全周に亘
って環状に形成され、該環状突条部３５と環状ガイド１
７の拡開部１７Ｂとの間には、環状絞り通路３６が形成
されている。

【００８５】ここで、該環状突条部３５は、回転霧化頭
３１の洗浄時に、各溶剤通路３４の流出口３４Ｂから流
出し、溶剤拡散室１８内でベルカップ３２の前部側に向
けて流通するシンナを、環状ガイド１７の前端側で一時
的に堰き止めるダムとしての機能を果たすものである。

【００８６】このように構成される本実施の形態による
回転霧化頭３１によっても、前述した第１の実施の形態
と同様に、洗浄の確実性、洗浄時間の短縮およびシンナ
使用量の低減を図ることができる。

【００８７】次に、本発明の第４の実施の形態による回
転霧化頭を図９に基づいて説明する。本実施の形態の特
徴は、ベルカップの外周側を包囲する環状ガイドを、ベ
ルカップに一体形成したことにある。なお、本実施の形
態では、前述した第１の実施の形態と同一の構成要素で
あるハブ部材、塗料流出孔、溶剤流出孔等については、
第１の実施の形態と同一の符号を付し、その説明を省略
するものとする。

【００８８】４１は本実施の形態による回転霧化頭を示
す。４２は該回転霧化頭４１の外形をなすベルカップを
示し、該ベルカップ４２は、前述した第１の実施の形態
によるものと同様に、ベル形またはカップ形に形成さ
れ、回転軸取付部４２Ａ、挿通部４２Ｂ、塗料薄膜化面
４２Ｃ、放出端縁４２Ｄ、塗料受面４２Ｅ、ハブ取付溝
４２Ｆ、外周面４２Ｇとから構成されている。そして、
前記ハブ取付溝４２Ｆには、ハブ部材１２が設けられ、
該ハブ部材１２の塗料供給面１２Ｂとベルカップ４２の
塗料受面４２Ｅとの間には塗料溜り４３が形成されてい
る。

【００８９】４４，４４，…はベルカップ４２の周方向
に例えば１２個設けられた溶剤通路を示し、該各溶剤通
路４４は、前述した第１の実施の形態による溶剤通路１
６と同様に、流入口４４Ａが塗料溜り４３に開口し、流
出口４４Ｂがベルカップ４２の外周面４２Ｇに開口して
いる。

【００９０】４５はベルカップ４２の軸方向中間部に位
置し、ベルカップ４２の外周側に設けられた環状ガイド
を示し、該環状ガイド４５は、前述した第１の実施の形
態による環状ガイド１７とほぼ同様に形成されているも
のの、該環状ガイド４５はベルカップ４２の一体形成さ
れている。そして、ベルカップ４２の外周面４２Ｇと環
状ガイド４５の内周面との間には溶剤拡散室４６が形成
されている。

【００９１】このように構成される本実施の形態による
回転霧化頭４１によっても、前述した第１の実施の形態
とほぼ同様の作用効果を奏する。特に、環状ガイド４５
をベルカップ４２と一体形成したことにより、部品点数
を削減することができる。

【００９２】次に、本発明の第５の実施の形態による回
転霧化頭を図１０に基づいて説明する。本実施の形態の
特徴は、前部側が長筒状に形成されたベルカップに複数
の溶剤通路と環状ガイドを設けたことにある。

【００９３】５１は本実施の形態による回転霧化頭を示
す。５２は該回転霧化頭５１の外形をなすベルカップを
示し、該ベルカップ５２は、ベル形またはカップ形に形
成され、回転軸取付部５２Ａ、挿通部５２Ｂ、塗料薄膜
化面５２Ｃ、放出端縁５２Ｄ、塗料受面５２Ｅ、ハブ取
付溝５２Ｆ、ガイド取付段部５２Ｇ、外周面５２Ｈとか
ら構成されている点で、前述した第１の実施の形態によ
るベルカップ１１と同様である。ところが、本実施の形
態によるベルカップ５２は、その前部側がほぼ長筒状に
形成されており、全体として円筒に近い形状となってい
る点で第１の実施の形態によるベルカップ１１と異な
る。

【００９４】５３はベルカップ５２のハブ取付溝５２Ｆ
に設けられたハブ部材であり、該ハブ部材５３は、円板
状に形成された円板部５３Ａと円筒状に形成された円筒
部５３Ｂとから構成されている。また、円板部５３Ａの
前面５３Ｃは平面状に形成され、円板部５３Ａの後面は
塗料供給面５３Ｄとなっている。

【００９５】また、ハブ部材５３には、円板部５３Ａと
円筒部５３Ｂとの境界近傍に、複数の塗料流出孔５４が
環状に形成されている。また、ハブ部材５３には、円板
部５３Ａの中央側に位置して円錐状突起５３Ｅが形成さ
れ、該円錐状突起５３Ｅには、複数の溶剤流出孔５５が
形成されている。

【００９６】さらに、ベルカップ５２のハブ取付溝５２
Ｆにはハブ部材５３が設けられ、該ハブ部材５３の塗料
供給面５３Ｄとベルカップ５２の塗料受面５２Ｅとの間
には塗料溜り５６が形成されている。

【００９７】５７，５７，…はベルカップ５２の周方向
に例えば１２個設けられた溶剤通路を示し、該各溶剤通
路５７は、その流入口５７Ａがベルカップ５２の塗料受
面５２Ｅに開口し、流出口５７Ｂがベルカップ５２の外
周面５２Ｈに開口している。また、該各溶剤通路５７の
中間部はハブ部材５３の円筒部５３Ｂを貫通している。
即ち、ハブ部材５３の円筒部５３Ｂには、各溶剤通路５
７の一部を構成する連通孔５３Ｆが形成されている。

【００９８】５８はベルカップ５２のガイド取付段部５
２Ｇに設けられた環状ガイドを示し、該環状ガイド５８
は、基端側に位置する取付部５８Ａと、前端側に位置し
てベルカップ５２の外周面５２Ｈに沿って拡開した拡開
部５８Ｂとから構成され、ベルカップ５２の外周側と隙
間をもった状態で、ベルカップ５２を包囲している。そ
して、ベルカップ５２の外周面５２Ｈと環状ガイド５８
の拡開部５８Ｂ内周面との間には溶剤拡散室５９が形成
されている。

【００９９】このように構成される本実施の形態による
回転霧化頭５１によっても、前述した第１の実施の形態
と同様の作用効果を得ることができる。

【０１００】なお、前述した第２の実施の形態では、図
５に示すように、環状ガイド２２の拡開部２２Ｂ前端側
に環状突条部２４を設けるものとして述べた。しかし、
本発明はこれに限らず、環状突条部を環状ガイド２２の
拡開部２２Ｂ内周面のうち、軸方向中間部ないし後部の
いずれの場所に配設してもよい。即ち、図１１に示す変
形例のように、環状突条部２４′を環状ガイド２２の軸
方向中間部に設けてもよい。

【０１０１】また、前述した第３の実施の形態では、図
８に示すように、環状突条部３５をベルカップ３２の外
周面３２Ｈのうち、環状ガイド１７の拡開部１７Ｂ前端
側に対向した位置に設けるものとして述べた。しかし、
本発明はこれに限らず、環状突条部を環状ガイド１７の
拡開部１７Ｂの軸方向中間部ないし後部に対向する場所
に配設してもよい。即ち、図１２に示す変形例のよう
に、環状突条部３５′を環状ガイド１７の軸方向中間部
に対向する位置に設けてもよい。

【０１０２】さらに、前記各実施の形態では、本発明に
よる回転霧化頭を、回転軸３内に塗料供給ノズル５、溶
剤供給ノズル６を設けるセンターフィードタイプの静電
塗装機に適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、
本発明はこれに限らず、回転軸の外部に塗料供給管、溶
剤供給管を設け、各供給管から回転霧化頭内に向けて塗
料、シンナを供給する構成の静電塗装機にも適用でき
る。

【０１０３】

【発明の効果】以上詳述したとおり、請求項１に係る発
明によれば、ベルカップ内に形成された塗料溜りとベル
カップの外周側とを連通する複数の溶剤通路を設けると
共に、ベルカップの外周側と隙間をもった状態で該ベル
カップを包囲するように環状ガイドを設け、該環状ガイ
ドの内周面と前記ベルカップの外周面との間に溶剤拡散
室を設ける構成としたから、回転霧化頭の洗浄時には、
ノズルから供給された溶剤を塗料溜り、溶剤通路を介し
て溶剤拡散室に導き、該溶剤拡散室からベルカップの外
周面に向けて吹きつけることができ、ベルカップの外周
面に付着した塗料を確実に洗浄することができる。

【０１０４】さらに、前記溶剤通路から流出した溶剤
を、溶剤拡散室に一時的に滞留させてから、ベルカップ
の前部側に向けて流すことにより、前記溶剤通路から流
出した溶剤の総てを、無駄なく、ベルカップ外周面の洗
浄に使用することができる。従って、溶剤の使用効率を
向上させることができ、洗浄効率を大幅に高めることが
できる。

【０１０５】請求項２に係る発明によれば、溶剤拡散室
内には、前記環状ガイドの内周面とベルカップの外周面
との間に位置して前記溶剤拡散室内を流れる溶剤を前記
ベルカップの全周に亘って拡散させる環状突条部を設け
る構成としたから、溶剤通路から溶剤拡散室に流入した
溶剤を、環状突条部のダム効果によりベルカップの周方
向に拡散させることができる。これにより、ベルカップ
外周面の全周に亘って溶剤を吹きつけることができ、ベ
ルカップの外周面に付着した塗料を全周に亘って完全に
洗浄することができる。

【０１０６】請求項３に係る発明によれば、環状ガイド
の内周面に、ベルカップの外周面に向けて突出する環状
突条部を設け、該環状突条部とベルカップ外周面との間
に環状絞り通路を形成する構成としたから、溶剤通路か
ら溶剤拡散室に流入した溶剤を、環状突条部のダム効果
によりベルカップの周方向に拡散させることができる。

【０１０７】また、請求項４に係る発明の如く、ベルカ
ップの外周面に、環状ガイドの内周面に向けて突出する
環状突条部を設け、該環状突条部とベルカップ外周面と
の間に環状絞り通路を形成する構成としても、溶剤通路
から溶剤拡散室に流入した溶剤を、環状突条部のダム効
果によりベルカップの周方向に拡散させることができ
る。

【０１０８】請求項５に係る発明によれば、各溶剤通路
の流入口を、各塗料流出孔よりも一定の寸法だけ奥まっ
た位置に開口する構成としたから、塗装時には、ノズル
から吐出され塗料溜りに流入した塗料が各溶剤通路に誤
って流入するのを防止でき、回転霧化頭の洗浄時には、
ノズルから吐出され塗料溜りに流入した溶剤を各溶剤通
路に容易に流入させることができる。

【０１０９】請求項６に係る発明によれば、各溶剤通路
を、その流入口から流出口に向かうに従ってベルカップ
の回転方向に傾斜させる構成としたから、回転霧化頭の
洗浄時に、ノズルから吐出され塗料溜りに流入した溶剤
を、各溶剤通路に容易に流入させることができ、ベルカ
ップの外周側に向けて多量の溶剤を送り込むことができ
る。

【０１１０】請求項７に係る発明によれば、各溶剤通路
を、その流入口から流出口に向かうに従ってベルカップ
の後部側に傾斜させる構成としたから、塗装時には、ノ
ズルから吐出され塗料溜りに流入した塗料が各溶剤通路
に流入し、ベルカップの外周側に向けて流れるのを防止
でき、回転霧化頭の洗浄時には、ノズルから吐出され塗
料溜りに流入した溶剤を各溶剤通路に容易に流入させ、
ベルカップの外周側に向けて流通させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態による回転霧化頭を
回転軸、シェーピングエアリング等と一緒に示す縦断面
図である。

【図２】図１中の回転霧化頭を示す縦断面図である。

【図３】図２中の回転霧化頭を矢示III −III 方向から
みた横断面図である。

【図４】回転霧化頭を洗浄している状態を示す図１中の
要部拡大縦断面図である。

【図５】本発明の第２の実施の形態による回転霧化頭を
示す縦断面図である。

【図６】第２の実施の形態による回転霧化頭において、
ベルカップの外周面をシンナで洗浄している状態を示す
斜視図である。

【図７】第１の実施の形態による回転霧化頭において、
ベルカップの外周面をシンナで洗浄している状態を示す
斜視図である。

【図８】本発明の第３の実施の形態による回転霧化頭を
示す要部縦断面図である。

【図９】本発明の第４の実施の形態による回転霧化頭を
示す縦断面図である。

【図１０】本発明の第５の実施の形態による回転霧化頭
を示す縦断面図である。

【図１１】第２の実施の形態による回転霧化頭におい
て、環状突条部を環状ガイドの軸方向中間部に設けた変
形例を示す要部縦断面図である。

【図１２】第３の実施の形態による回転霧化頭におい
て、環状突条部を環状ガイドの軸方向中間部に対向する
位置に設けた変形例を示す要部縦断面図である。

【符号の説明】

１カバー３回転軸５塗料供給ノズル６溶剤供給ノズル１０，２１，３１，４１，５１回転霧化頭１１，３２，４２，５２ベルカップ１１Ｃ，３２Ｃ，４２Ｃ，５２Ｃ塗料薄膜化面１１Ｄ，３２Ｄ，４２Ｄ，５２Ｄ放出端縁１１Ｅ，３２Ｅ，４２Ｅ，５２Ｅ塗料受面１１Ｈ，３２Ｈ，４２Ｇ，５２Ｈ外周面１２，５３ハブ部材１３，５４塗料流出孔１５，３３，４３，５６塗料溜り１６，３４，４４，５７溶剤通路１６Ａ，３４Ａ，４４Ａ，５７Ａ流入口１６Ｂ，３４Ｂ，４４Ｂ，５７Ｂ流出口１７，２２，４５，５８環状ガイド１８，２３，４６，５９溶剤拡散室２４，３５環状突条部２５，３６環状絞り通路

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ベル形またはカップ形に形成され、内周
面の前部側が塗料を薄膜化する塗料薄膜化面となると共
に内周面の後部側が塗料受面となったベルカップと、該ベルカップの内周側に位置して該ベルカップの塗料薄
膜化面と塗料受面との間に設けられたハブ部材と、該ハブ部材の後面と前記ベルカップの塗料受面との間に
画成され、塗装機本体に設けられたノズルから塗料受面
に供給される塗料または溶剤を溜める塗料溜りと、前記ハブ部材に設けられ、前記ノズルから該塗料溜りに
供給された塗料または溶剤を前記ベルカップの塗料薄膜
化面に流出させる複数の塗料流出孔とからなる回転霧化
頭において、流入口が前記ベルカップの内周面に位置して前記塗料受
面に開口し、流出口が前記ベルカップの外周面に開口し
て設けられ、前記塗料溜りと前記ベルカップの外周側と
を連通する複数の溶剤通路と、前記ベルカップの外周側と隙間をもった状態で該ベルカ
ップを包囲して設けられ、該各溶剤通路の流出口から流
出する溶剤を案内する環状ガイドと、該環状ガイドの内周面と前記ベルカップの外周面との間
に全周に亘って形成され、前記溶剤通路から供給された
溶剤を拡散する溶剤拡散室とから構成したことを特徴と
する回転霧化頭。
【請求項２】前記溶剤拡散室内には、前記環状ガイド
の内周面とベルカップの外周面との間に位置して前記溶
剤拡散室内を流れる溶剤を前記ベルカップの全周に亘っ
て拡散させる環状突条部を設けてなる請求項１に記載の
回転霧化頭。
【請求項３】前記環状ガイドの内周面には前記ベルカ
ップの外周面に向けて突出する環状突条部を設け、該環
状突条部とベルカップの外周面との間に環状絞り通路を
形成してなる請求項１に記載の回転霧化頭。
【請求項４】前記ベルカップの外周面には前記環状ガ
イドの内周面に向けて突出する環状突条部を設け、該環
状突条部とベルカップ外周面との間に環状絞り通路を形
成してなる請求項１に記載の回転霧化頭。
【請求項５】前記各溶剤通路の流入口は、前記各塗料
流出孔よりも一定の寸法だけ奥まった位置に開口してな
る請求項１に記載の回転霧化頭。
【請求項６】前記各溶剤通路を、その流入口から流出
口に向かうに従って前記ベルカップの回転方向に傾斜さ
せる構成としてなる請求項１に記載の回転霧化頭。
【請求項７】前記各溶剤通路を、その流入口から流出
口に向かうに従って前記ベルカップの後部側に傾斜させ
る構成としてなる請求項１に記載の回転霧化頭。