JPH10152569A - 生分解性粒子及びそれを含む生分解性組成物 - Google Patents

生分解性粒子及びそれを含む生分解性組成物

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JPH10152569A
JPH10152569A JP31358196A JP31358196A JPH10152569A JP H10152569 A JPH10152569 A JP H10152569A JP 31358196 A JP31358196 A JP 31358196A JP 31358196 A JP31358196 A JP 31358196A JP H10152569 A JPH10152569 A JP H10152569A
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gel particles
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Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
Akimasa Komura
晃雅 小村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性に優れているとともに、高い吸水
性、強度及び成形性を有する生分解性粒子及びそれを含
む生分解性組成物を提供する。 【解決手段】 生分解性を有する高分子ゲル粒子に高分
子化合物を化学結合させて得られる生分解性粒子であ
る。その高分子ゲル粒子は、吸水性を有するものである
こと及び多糖類系化合物であることが好ましい。高分子
ゲル粒子に結合している高分子化合物は、重合性モノマ
ーのグラフト重合体が好ましい。また、少なくとも、生
分解性を有する高分子ゲル粒子に高分子化合物を化学結
合してなる生分解性粒子を含む生分解性組成物である。
その組成物の一成分として生分解性樹脂を含む生分解性
組成物が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有する
高分子ゲルから得られる新規な生分解性粒子及びそれを
含む組成物に関するものである。本発明の生分解性粒子
及びそれを含む組成物は、吸水材料、保水材料、医療材
料、構造材料、包装材料及び機能性材料等として広範囲
の分野に応用可能である。
【0002】
【従来の技術】プラスチック等の廃棄物問題に端を発
し、土壌中等で微生物により分解される生分解性樹脂が
注目されている。現在、生分解性樹脂としては、脂肪族
ポリエステル等の化学合成あるいは生物合成により得ら
れたもの、澱粉やセルロース等の天然高分子化合物を利
用して得られたもの、ポリビニルアルコールやポリエー
テル等の化学合成で得られた高分子化合物等が知られて
いる。これらの詳細については、土肥義治著「生分解性
高分子材料」(工業調査会)等に記載されている。
【0003】一方、高吸水性樹脂という自重の数百倍に
も及ぶ水を吸収する樹脂が知られており、この高吸水性
樹脂は、衛生材料及び農業材料等の分野において実用化
されている。これらに使用されている樹脂としては、ポ
リアクリル酸塩の架橋体、澱粉に種々の親水性モノマー
をグラフト重合して得られる澱粉−ポリアクリル酸塩架
橋体のグラフト物及びポリ(ビニルアルコール−アクリ
ル酸塩)架橋体等のいわゆる高分子ゲル材料が挙げられ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】生分解性樹脂に関する
最近の進歩は著しいものがあるが、生分解性樹脂に求め
られる諸特性の中で、樹脂に生分解性を付与することに
伴う材料設計上の制約から、物理的や機械的な強度が不
足すること及び成形性に劣ること等の解決すべき諸課題
が未だ多く存在している。また、生分解性という観点か
らも、これらは土壌あるいは水中に放出された際に短時
間で分解されることが望ましいが、従来の生分解性樹脂
は、その分解期間が数か月又は数年を要するという問題
がある。
【0005】近年、高吸水性樹脂は衛生材料及び農業材
料等として広範囲で多量に使用されているが、その大量
消費に伴って廃棄物としての問題が高まっていることか
ら、高吸水性樹脂の生分解性化やコンポスト化が望まれ
ており、また、農業材料分野においても生分解性を持つ
樹脂材料が望まれている。しかしながら、従来の高吸水
性樹脂の代表であるポリアクリル酸塩の架橋体等の合成
高分子は、殆んど生分解しないものである。また、天然
高分子である澱粉に親水性モノマーをグラフト重合して
得られた澱粉−ポリアクリル酸塩架橋体は、生分解性を
有するとされているが、天然高分子と合成高分子が分子
レベルで絡み合ったネットワーク構造のものであること
からみて、高い生分解性を持つことは期待できないもの
である。また、高い生分解性を示す高吸水性樹脂とし
て、カルボキシメチルセルロース(CMC)塩の架橋体
(特開平7−82301号公報)が提案されているが、
これは吸水性やゲル強度に劣る等の問題があった。
【0006】本発明は、従来の技術における上記した実
情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目
的は、生分解性に優れているとともに、高い吸水性、強
度及び成形性を有する生分解性粒子及びそれを含む生分
解性組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高分子材
料の高次構造に着目して、鋭意検討した結果、高分子ゲ
ル粒子に種々の高分子化合物を化学結合させて得られる
新規な粒子が良好な生分解性を有することを見出し、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明の生分解性
粒子は、生分解性を有する高分子ゲル粒子に高分子化合
物を化学結合してなることを特徴とするものである。そ
の高分子ゲル粒子は、吸水性を有するものであることが
好ましく、また、多糖類系化合物であることが好まし
い。本発明に用いる高分子ゲル粒子の大きさは、平均粒
子径が0.01μm〜5mmの範囲のものであることが
好ましい。高分子ゲル粒子に結合している上記の高分子
化合物は、重合性モノマーをグラフト重合してなるもの
であることが好ましい。また、本発明の生分解性組成物
は、少なくとも、生分解性を有する高分子ゲル粒子に高
分子化合物を化学結合してなる生分解性粒子を含むこと
を特徴とするものであり、また、その組成物の一成分と
して生分解性樹脂を含むことが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の生分解性粒子は、生分解性を有する高分
子ゲル粒子に、高分子化合物を化学結合させて得られた
構造を基本的な構造とするものであり、その構造例を図
1に示す。化学結合された高分子化合物は、理想的には
高分子ゲル粒子の表面に多数存在していることが好まし
いが、高分子ゲル粒子の内部に存在していてもよい。
【0009】本発明の生分解性粒子を構成する高分子ゲ
ル粒子としては、セルロース及びその誘導体、澱粉及び
その誘導体、海藻由来のアガロース、カラギーナン及び
アルギン酸、甲穀類由来のキチンやキトサン及びその誘
導体、植物由来のペクチン及びコンニャクマンナン、微
生物由来のジュランガム、キサンタンガム及びカードラ
ン、ヒアルロン酸等の天然多糖類、天然タンパク及びポ
リ(γ−グルタミン酸)、ポリ(ε−リジン)等のポリ
ペプチド化合物、ポリビニルアルコール及びその誘導
体、ビニルアルコール−(メタ)アクリル酸共重合体及
びその塩等の高分子化合物が使用できる。これらの中で
も、天然多糖類は、安価であり生分解性が高く生物に安
全である等の利点を持っていることから好ましく使用さ
れる。
【0010】また、高い吸水性を示すものとしては、カ
ルボキシル基やスルホン酸基等の酸基及びその金属塩等
のイオン性基を有する天然多糖類誘導体を使用すること
が好ましく、例えば、カルボキシメチルセルロース、カ
ルボキシメチル化澱粉、スルホン酸メチル化セルロー
ス、スルホン酸メチル化澱粉、セルロースのスルホン酸
エステル及び澱粉のスルホン酸エステル等の金属塩が挙
げられる。特に、多糖類を使用する場合には、生分解性
が高いことを必要とするから、そのグルコース環に存在
するヒドロキシ基の置換度(DS値)が2.0以下のも
の、より好ましくは1.5以下のものである。
【0011】高分子ゲルは、上記の高分子化合物に架橋
剤を添加して化学反応により架橋させる方法、高分子化
合物に電子線や紫外線等のエネルギー等を照射して物理
的に架橋させる方法及び単量体を重合させる段階で架橋
性モノマーを添加する方法によって製造することができ
る。これらに関する技術は、産業図書発行、荻野一善等
著「ゲル」等に記載されている。架橋剤としては、多官
能カルボン酸、多官能エポキシ化合物、エピクロルヒド
リン、多官能アルデヒド化合物、多官能イソシアネート
化合物、メラミン化合物、多官能ハロゲン化合物、多官
能アリジリン化合物、多官能アルコール化合物、ハロゲ
ン化アルコール化合物等が使用可能である。また、架橋
性モノマーとしては、ジビニルベンゼン等のジビニル化
合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の
ジ(メタ)アクリレート化合物、トリ(メタ)アクリレ
ート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、メチ
レンビス(メタ)アクリルアミド等のジ(メタ)アクリ
ルアミド化合物等が使用可能である。
【0012】本発明において、上記の高分子ゲルを粒子
化させるには、複数の方法を適用することができ、例え
ば、あらかじめ架橋した高分子化合物を粒子化する方
法、高分子化合物を粒子化した後に架橋する方法及び粒
子化重合法によって架橋高分子粒子を得る方法等が挙げ
られる。高分子化合物を粒子化するには、物理的又は化
学的に粉砕する方法が適用可能である。その物理的粉砕
方法では、マイクロナイザー、アトマイザー、遊星ミル
等の乾式粉砕機又はコロイドミル等の湿式粉砕機を用い
て架橋した高分子化合物を粒子化し、また、化学的粉砕
方法では、高分子化合物の溶液を貧溶剤中に混合攪拌
し、粒子状に分散させて粒子化する。これらの架橋は、
粒子化する過程又は粒子化した後に行うことが好まし
く、前記した架橋剤を添加するか又はエネルギー照射に
より行うことができる。一方、粒子化重合法には、乳化
重合法、懸濁重合法、シード乳化重合法及び沈殿重合法
等があり、高分子の前駆体モノマーと架橋性モノマーを
混合使用して重合させるものである。高分子ゲル中に添
加される架橋剤又は架橋性モノマーの量は、0.01〜
50重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜
20重量%の範囲である。
【0013】本発明における高分子ゲル粒子には、有機
及び無機の各種充填剤、有機顔料、無機顔料、染料及び
顔料等の着色剤及び安定剤等の各種添加剤を含有させる
ことができる。その高分子ゲル粒子の形状は、特に制限
されるものではなく、真球状、卵状、偏平状、針状、多
面体状、多孔質状、微小な凹凸を有する形状、中空状又
は内部に空洞を持つ、いわゆるドーナッツ状等の粒子形
状や繊維状であってもよい。
【0014】また、使用される高分子ゲル粒子の大きさ
は、その平均粒子径が0.01μm〜5mmの範囲であ
ることが好ましく、さらに好ましくは0.01μm〜1
mmの範囲である。平均粒子径がそれより小さいと、取
扱いが困難であるから不適当であり、一方、それより大
きいと、目的とする機能を得ることが困難になることか
ら不適当である。
【0015】次に、本発明において、高分子ゲル粒子に
高分子化合物を化学結合させて生分解性粒子を得る方法
について説明する。高分子ゲル粒子に高分子化合物を化
学結合させるには、複数の方法を適用することができ、
例えば、あらかじめ調製した反応性高分子化合物を高分
子ゲル粒子に直接反応させて高分子化合物を化学結合さ
せる方法、又は高分子ゲル粒子にグラフト重合によって
高分子化合物を結合させる方法等がある。
【0016】上記の反応性高分子化合物としては、ポリ
(メタ)アクリル酸系、ポリ(メタ)アクリレート系、
ポリエチレングリコール系、ポリビニルアルコール系、
ポリアリールアミン系、ポリスルフォン酸ビニル系、ポ
リ(メタ)アクリルアミド系、ポリマレイン酸系、ポリ
ビニルピロリドン系、ポリアミド系、ポリエステル系の
各種高分子及びそれらの共重合体、多糖類、タンパク質
等のポリペプチド化合物を使用することが好ましい。
【0017】これらの反応性高分子化合物は、ヒドロキ
シ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオ
ール基、エポキシ基、アルデヒド基、イソシアネート基
等の反応性基を有するものであり、これらの基と高分子
ゲル粒子に存在する同様の反応性基とを化学結合させる
ことにより生分解性粒子を得ることができる。この化学
結合を行わせる際に、種々の触媒やカップリング剤を添
加することも好ましい。これらの反応性高分子化合物と
しては、分子量が1000〜100万の範囲のものが用
いられる。
【0018】一方、高分子ゲル粒子にグラフト重合させ
る場合には、公知の各種グラフト重合法を適用すること
ができる。例示すれば、セリウム塩系、フェントン試薬
系及びマンガン系等のレドックス系、Scott−xa
nthation法等のラジカルグラフト法、エネルギ
ー照射ラジカルグラフト重合法、アニオングラフト重合
法、カチオングラフト重合法又はグラフトさせる高分子
ゲル粒子(基体)にアゾやパーオキシド等のラジカル開
始点を導入したものを用いる方法、基体にビニル基やエ
ポキシ基等の重合性基を導入して重合させる方法等があ
る。
【0019】このグラフト重合に用いるモノマーとして
は、(メタ)アクリレート系、(メタ)アクリル酸、ス
ルホン酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニ
ル、ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、エチ
レン、ブタジエン、イソプレン、プロピレン、(メタ)
アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチ
レンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンイミン、
カプロラクタム化合物、カプロラクトン化合物等のモノ
マー、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アク
リレート化合物、トリ(メタ)アクリレート化合物、テ
トラ(メタ)アクリレート化合物、メチレンビス(メ
タ)アクリルアミド等のジ(メタ)アクリルアミド化合
物、多官能エポキシド等の架橋モノマーの1種又は複数
種から選択される。
【0020】高分子ゲル粒子に化学結合させる高分子化
合物としては、上記の中でも生分解性に優れたポリビニ
ルアルコール及びその誘導体、ポリエチレングリコール
及びその誘導体、ポリアミド系化合物、ポリエステル系
化合物、多糖類、たんぱく質等のポリペプチド化合物を
用いることが好ましい。高分子ゲル粒子に化学結合させ
る高分子化合物の量は、高分子ゲル粒子100重量部に
対して1〜500重量部の範囲が好ましく、より好まし
くは10〜200重量部の範囲である。この範囲外の量
では、生分解性が低下する、あるいは目的とする機能が
得られないことから不適当である。
【0021】本発明において、上記の生分解性を有する
高分子ゲル粒子に高分子化合物を化学結合して得られた
生分解性粒子は、その粒子単独で又はその粒子の集合体
(成形体)として有用に使用することができる。生分解
性粒子の集合体(成形体)を調製するには、生分解性粒
子に、イソシアネート化合物、エポキシ化合物又はメラ
ミン化合物等に代表される架橋剤等を添加して粒子同士
を化学結合することも好ましい。
【0022】本発明の生分解性粒子は、各種樹脂、無機
材料又は溶剤に混合あるいは分散した生分解性組成物と
することができる。この生分解性組成物に使用される樹
脂としては、各種熱可塑性の生分解性樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、アクリル系樹脂及びナイロン系樹脂等が挙げ
られるが、特に、生分解性樹脂を用いると組成物の生分
解性を向上させることができるから好ましい。また、本
発明の生分解性組成物には、その他に、成形加工性、強
度及び可撓性等を向上させるための添加剤、水やグリセ
リン等の可塑剤等が添加されていてもよいし、また、本
発明の利点が阻害されない範囲で、充填剤、安定剤、酸
化防止剤及び着色剤等を混合してもよい。
【0023】図2、図3及び図4は、本発明の生分解性
粒子を用いた構造例を示すものである。図2は、化学結
合した高分子化合物量の少ない生分解性粒子を凝集させ
た生分解性粒子の構造例を示し、化学結合した高分子化
合物が点接着したものの代表例である。図3は、化学結
合した高分子化合物量が図2のものに比べて増加した生
分解性粒子を成形体とした構造例を示し、海島型の内部
構造を持つものの代表例である。図4は、生分解性粒子
と樹脂を混合した生分解性組成物の成形体の代表的な構
造例を示すものであり、これらは生分解性粒子及びその
樹脂を加熱成形するか又は溶剤に分散させて成形するこ
とにより得られる。図3及び図4に示す成形体には、生
分解性粒子として自重の数倍以上の高い吸水性を持つも
のを使用すると、成形体に含有される生分解性粒子が吸
水し膨潤することにより成形体の崩壊が加速され、生分
解速度を向上させる効果がある。
【0024】図5は、本発明の生分解性粒子を化学結合
させる高分子化合物鎖同士を主に反応させて得られた成
形体の溶液中における状態を例示するものである。この
成形体は、高分子ゲル粒子を結合点としたネットワーク
構造を形成しているものであり、例えば、高分子ゲル粒
子には主に生分解機能を有し、また、結合高分子化合物
鎖には吸水性等の他の機能を有するように個別に設定さ
せることが可能となり、機能性及び生分解性の両立を計
ることができる。
【0025】
【実施例】
実施例1 (高分子ゲル粒子Aの調製)メチルセルロース(DS値
約1.0:東京化成試薬社製)100g、蒸留水500
g、水酸化ナトリウム10g及び架橋剤としてエピクロ
ヒドリン50gを混合した粘調溶液を、60℃で10時
間加熱してゲルを調製した。得られたゲルを蒸留水で洗
浄し、乾燥した後、ミキサー及びボールミルを用いて粉
砕し、平均粒径が約50μmの高分子ゲル粒子(基体
A)約100gを得た。 (高分子ゲル粒子へのアクリル酸のグラフト重合)高分
子ゲル粒子10gを蒸留水100gに分散させ、これに
アクリル酸30gを添加した後、硝酸セリウム(IV)ア
ンモニウム(和光純薬社製)0.5g、1N硝酸4ml
及び蒸留水10mlの混合液を添加し、25℃で6時間
重合反応させ、生成した重合生成物を蒸留水で洗浄し、
これを乾燥することによりアクリル酸をグラフト重合し
た高分子ゲル粒子19gを得た。得られた高分子ゲル粒
子のグラフト重合体は、その乾燥重量の増加からグラフ
ト率(基体Aの重量に対するグラフト部の重量%)は約
90%であった。
【0026】(吸水性の評価)上記の高分子ゲル粒子の
グラフト重合体を5%水酸化ナトリウム水溶液で処理
し、そのポリアクリル酸部を中和した後、洗浄し乾燥さ
せた。得られたグラフト重合体1.0g(乾燥重量)を
蒸留水に24時間浸漬した後、ガラス濾過器で濾別し、
吸水ゲルの重量を測定したところ、この高分子ゲル粒子
のグラフト重合体は、自重の100倍以上の高い吸水能
を有しており、また、吸水状態においても十分なゲル強
度を有していた。 (生分解性の評価)中和処理した上記高分子ゲル粒子の
グラフト重合体の生分解性について、酵素分解により評
価した。グラフト重合体1.0g(乾燥重量)をpH
6.0に調製したリン酸バッファー水溶液に混合し、セ
ルロース分解酵素:セルラーゼ(和光純薬社製)100
mgを添加し、40℃で72時間反応させたところ、反
応後にはグラフト重合体は消失、溶解していた。その溶
解物の分析から、セルロース部が低分子量化合物に分解
されていることが確認され、この高分子ゲル粒子のグラ
フト重合体は優れた生分解性を有することが示された。
【0027】実施例2 (高分子ゲル粒子Bの調製)実施例1と同様な方法でメ
チルセルロースのゲルを調製し、これをミキサー及びボ
ールミルを用いて粉砕し、平均粒径が約10μmの高分
子ゲル粒子(基体B)約90gを得た。 (高分子ゲル粒子へのメタクリル酸メチルのグラフト重
合)高分子ゲル粒子10gを蒸留水100gに分散さ
せ、これに硝酸セリウム(IV)アンモニウム(和光純薬
社製)3.0g、1N硝酸10ml及び蒸留水20ml
の混合液を添加し、25℃で30分間攪拌した。この水
溶液を窒素気流下に濾過した後、メチルエチルケトン
(MEK)100ml及びメタクリル酸メチル(和光純
薬社製)50mlを添加し、25℃で10時間重合反応
させ、生成した重合生成物をMEKで洗浄し、これを乾
燥することによりメタクリル酸メチルをグラフト重合し
た高分子ゲル粒子28gを得た。得られた高分子ゲル粒
子のグラフト重合体は、その乾燥重量の増加から、グラ
フト率(基体Bの重量に対するグラフト部の重量%)は
約180%であった。 (成形体の作製と生分解性の評価)上記のメタクリル酸
メチルをグラフト重合させて得た高分子ゲル粒子のグラ
フト重合体を、加熱・加圧成形して厚さ約1mmのシー
トを作製し、これから50mm角の四角形試料を切出し
た。一方、この試料と比較するために、ポリメタクリル
酸メチル(平均分子量約10万)及び市販の生分解性樹
脂(ラクティ:島津製作所社製)を同様に成形した試料
を作製した。これらの試料は、いずれも殆んど同様の強
度を有していた。
【0028】上記各試料の生分解性の評価は、それぞれ
の試料を土中に90日間埋設して、それらの重量変化及
び形態変化により判定した。実施例2で得られた本発明
の高分子ゲル粒子のグラフト重合体からなる成形体は、
多孔質状に崩壊し、崩壊片を集めた残存重量は約52%
であり、良好な生分解性を有するものであることが確認
された。一方、比較試料としたポリメタクリル酸メチル
は、全く分解されていなかったし、また、市販の生分解
性樹脂(ラクティ)は、表面が変色して崩壊していた
が、重量変化は15%程度と少なく、生分解速度が遅か
った。それらの結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明の生分解性粒子は、生分解性に優
れているうえに、高い吸水能、強度及び成形能等の特性
にも優れたものであるから、その生分解性粒子及びそれ
を含む生分解性組成物は、吸水材料、保水材料、医療材
料、構造材料、包装材料及び機能性材料として広範囲の
分野に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生分解性粒子の構造例を示す。
【図2】 本発明の生分解性粒子の成形体(凝集体)の
構造例を示す。
【図3】 本発明の生分解性粒子の他の成形体の構造例
を示す。
【図4】 本発明の生分解性組成物の成形体の構造例を
示す。
【図5】 本発明の生分解性粒子を化学結合させる高分
子化合物鎖同士の反応により得られた成形体の溶液中で
の状態を例示するものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性を有する高分子ゲル粒子に高分
    子化合物を化学結合してなることを特徴とする生分解性
    粒子。
  2. 【請求項2】 高分子ゲル粒子が、吸水性を有するもの
    であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性粒
    子。
  3. 【請求項3】 高分子ゲル粒子が、多糖類系化合物であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性粒
    子。
  4. 【請求項4】 高分子ゲル粒子の大きさは、平均粒子径
    が0.01μm〜5mmの範囲のものであることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性粒
    子。
  5. 【請求項5】 高分子ゲル粒子に結合している高分子化
    合物が、重合性モノマーをグラフト重合してなるもので
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の生分解性粒子。
  6. 【請求項6】 少なくとも、生分解性を有する高分子ゲ
    ル粒子に高分子化合物を化学結合してなる生分解性粒子
    を含むことを特徴とする生分解性組成物。
  7. 【請求項7】 生分解性を有する高分子ゲル粒子に高分
    子化合物を化学結合してなる生分解性粒子及び生分解性
    樹脂を含むことを特徴とする請求項6に記載の生分解性
    組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016500721A (ja) * 2012-10-12 2016-01-14 カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチCouncil Of Scientific & Industrial Research 生物分解可能な疎水性合成材料、およびこの製造プロセス
JP2020536981A (ja) * 2017-08-28 2020-12-17 ナショナル ユニバーシティー オブ シンガポールNational University of Singapore 大豆廃棄物からの栄養ゲル原料の生産

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JP2016500721A (ja) * 2012-10-12 2016-01-14 カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチCouncil Of Scientific & Industrial Research 生物分解可能な疎水性合成材料、およびこの製造プロセス
JP2020536981A (ja) * 2017-08-28 2020-12-17 ナショナル ユニバーシティー オブ シンガポールNational University of Singapore 大豆廃棄物からの栄養ゲル原料の生産

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