JPH10150277A - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板の製造方法

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JPH10150277A
JPH10150277A JP32119196A JP32119196A JPH10150277A JP H10150277 A JPH10150277 A JP H10150277A JP 32119196 A JP32119196 A JP 32119196A JP 32119196 A JP32119196 A JP 32119196A JP H10150277 A JPH10150277 A JP H10150277A
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resin
resin composition
polymer
copper
copper foil
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JP32119196A
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English (en)
Inventor
Yoichi Haruta
要一 春田
Hideki Hiraoka
秀樹 平岡
Takeya Matsumoto
健也 松本
Hiroshi Hibino
浩 日比野
Kaoru Kimura
馨 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 クラックやボイドの発生を防止し、耐衝撃性
と耐熱性、電気的絶縁信頼性等とを両立させるプリント
配線板用絶縁樹脂に適した材料を提供する。 【解決手段】 アルカリ可溶性の(メタ)アクリル系重
合体組成物を、銅箔1の粗化面に塗工して銅張絶縁シー
ト3を作成する工程、めっきスルーホール8および導体
回路パターン4を有する内層パネル7上に銅張絶縁シー
ト3を積層してバリードバイアホールを形成すると共に
層間絶縁層を形成する工程、エッチングにより銅箔1に
微細穴を設ける工程、微細穴部分の露出した樹脂組成物
2をアルカリ水溶液で溶解してブラインドバイアホール
を作る工程、電子線照射および加熱により樹脂組成物2
を硬化する工程、ブラインドバイアホールに導電物質を
形成して内層パネル7の導体回路パターン4とを表面銅
箔とを電気的に接続する工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリント配線板用の
絶縁材料、さらに詳しくは、耐熱性、電気絶縁性、金属
に対する接着性、耐水性および耐衝撃性に優れた、硬化
性を有するアクリル系絶縁材料用樹脂組成物(以下「本
発明の樹脂組成物」と称する。)を用いた多層プリント
配線板の製造方法に関する。本発明の樹脂組成物を用い
ると高密度化に適しかつ量産性に優れたプリント配線板
を製造することができる。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化、多機能化に伴って、
現在プリント配線板はより高密度化の方向に進んでい
る。例えば、導体回路の細線化、高多層化、スルーバイ
アホール、ブラインドバイアホール、バリードバイアホ
ール等のインタースティシャルバイアホ−ルを含むバイ
アホールの小径化、小型チップ部品の表面実装による高
密度実装等があり、大判化と量産性に優れた多層プリン
ト配線板の製造方法が種々開発されつつある。さらにベ
アチップを複数実装したマルチチップモジュールも前記
バイアホールを設けて形成されているが、従来のデバイ
スベース、セラミックベースから量産性に優れた樹脂基
板ベースのマルチチップモジュールが望まれている。
【0003】従来よりガラスエポキシプリプレグ、ガラ
スポリイミドプリプレグを単数または複数枚介して両面
に銅箔を積層した銅張積層板の両面にエッチング処理を
施して内層パネルの導体回路パターンを形成し、黒化処
理を行った後、プリプレグ、銅箔を適宜レイアップして
プレスにより加熱加圧積層し、続いてドリル穴加工、め
っき、エッチング等の処理をしてパターン形成を行うこ
とにより多層プリント配線板が製造されている。しかし
この方法は層間絶縁材料としてガラスクロス入りプリプ
レグを使用するため重量が大きく、厚さの制約があり高
密度化する電子機器の要求する薄型軽量化には難があっ
た。また、高速化にとって必要な誘電率の低い材料が要
求されているが、従来の誘電率が高いガラスクロスを使
用したプリプレグでは限界があった。
【0004】また、従来の多層プリント配線板の製造方
法では、一般的には上述のように熱プレスを使用するた
め、熱プレスの準備として内層板パネル、プリプレグ1
〜2枚と銅箔、離型フィルム、鏡面プレス板等をレイア
ップし、それを熱プレスあるいは真空熱プレスで熱圧着
し、その後取り出して解体する作業等が必要である。さ
らにレイアップ、加熱時の温度上昇、加熱圧着、冷却、
解体等はバッチ生産となり、工数が大きい作業となると
いう問題があった。
【0005】また、ドリル穴加工の場合には1穴づつ明
けるために工数が大きくなるので、一般的には銅張積層
板を複数枚重ねてドリル穴加工の効率を高めている。し
かしながら、最近のように高密度化が進み、スルーバイ
アホール、ブラインドバイアホール等の小径穴が必要に
なってくると加工精度、ドリル強度等の問題から銅張積
層板を重ねてドリル加工することが不可能となり、1穴
づつ精度良く明けるために高度な加工技術が必要とな
り、生産性の低下等の問題を有していた。
【0006】これらの問題を解決するために、本発明者
等は特開平5−345810号でアルカリ溶解性のある
絶縁樹脂組成物を銅箔に塗工した銅張絶縁シートを導体
回路パターンを有する内層板に加熱ラミネートし、エッ
チングで表面銅箔に微細穴を設け、さらに該穴の下の樹
脂組成物をアルカリ溶解してブラインドバイアホールを
形成し、絶縁樹脂層を硬化させて多層プリント配線板を
製造する方法およびこれに用いる銅張絶縁シートを提案
した。また、特開平6−260771号および特開平6
−263916号で上記絶縁樹脂組成物としてアクリル
系樹脂の利用を提案した。さらに本発明者等は特開平7
−233226号において、難燃化したアクリル系樹脂
を用いた層間絶縁材料用難燃性樹脂組成物を提案してき
た。
【0007】しかしながらこれらの絶縁樹脂層には従来
のようにガラスクロスによる補強材がないため、プリン
ト配線板の穴加工や外形加工等を金型による打ち抜きで
行う際、室温付近では樹脂に微細なクラックが入り易く
信頼性を低下させることから、打ち抜き加工時にはプリ
ント配線板を加熱して行う必要があった。また、樹脂の
硬化時やはんだ付け時に発生する樹脂の膨張、収縮等の
応力に樹脂が十分追随することができず、プリント配線
板の構造上、樹脂層の厚さが異なる境界部分ではんだ付
け時の熱衝撃により樹脂中にクラックが発生する場合が
あった。
【0008】また、図1〜図5に示すようにめっきスル
ーホール8を有する内層パネル7に前記銅張絶縁シート
3の樹脂側を積層して樹脂組成物2をめっきスルーホー
ル8に埋め込みバリードバイアホールを形成し、電子線
照射および熱硬化すると樹脂の硬化収縮により図11に
示すようなボイドが発生することがあった。また、硬化
時にボイドが無い場合でも、はんだ付け時に図12に示
すようなクラックが発生することがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
なガラスクロスのない構造でしかもアクリル系樹脂材料
を使用する場合の問題を解決し、耐衝撃性と耐熱性、電
気的絶縁信頼性等とを両立させ、さらにアルカリ溶液に
よる微細なブラインドバイアホール(以下「BLVH」
と称する。)等の加工性に優れるプリント配線板用絶縁
樹脂に適した材料、およびこれを用いた多層プリント配
線板の製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至ったもの
である。すなわち、本発明は、(1)カルボキシル基を
有するアルカリ可溶性のアクリル系重合体および/また
はメタクリル系重合体(以下「(メタ)アクリル系重合
体」と称する。)、(2)C=C不飽和二重結合を1個
以上有する重合性化合物、(3)カルボキシル基を含有
し、平均粒径が5μm以下の微粒子状の架橋弾性重合
体、並びに(4)加熱によって前記C=C不飽和二重結
合の重合を開始させ得る重合開始剤の、(1)(2)
(3)および(4)各成分を配合してなる絶縁材料用樹
脂組成物を、銅箔の粗化面に塗工して銅張絶縁シートを
作成する工程、めっきスルーホールおよび導体回路パタ
ーンを有する内層パネル上に前記銅張絶縁シートの樹脂
側を加熱ラミネートしてめっきスルーホール部分を樹脂
で埋めてバリードバイアホール(以下「BAVH」と称
する。)を形成すると共に層間絶縁層を形成する工程、
エッチングにより銅箔に微細穴を設ける工程、微細穴部
分の露出した前記樹脂組成物をアルカリ水溶液で溶解し
てBLVHを形成する工程、電子線照射および加熱によ
り前記樹脂組成物を硬化する工程、BLVHに導電物質
を形成して内層パネルの導体回路パターンとを表面銅箔
とを電気的に接続する工程からなる多層プリント配線板
の製造方法である。
【0011】前述の製造方法によれば、層間絶縁層がカ
ルボキシル基を有するアルカリ可溶性の(メタ)アクリ
ル系重合体およびカルボキシル基を有する微粒子状の架
橋弾性重合体を主成分とするため、BLVHの加工をア
ルカリ水溶液による溶解で、容易にかつ一括してできる
こと、電子線照射および熱硬化を併用することによりパ
ターン加工が容易となる平滑性を有する銅箔表面が得ら
れること、硬化後の樹脂がはんだ付け等の熱衝撃に安定
であること等の利点を有する。
【0012】本発明者等は特願平7−145405号で
めっきスルーホールを有する内層パネルの穴埋めに2層
の樹脂層を有する銅張絶縁シートを加熱ラミネートし、
しかも2層目の樹脂層にフィラーを入れて、硬化時のボ
イドやはんだ付け時のクラックを防止する方法を提案し
た。しかし無機フィラーを使用すると樹脂とフィラーと
の界面で銅のマイグレーションが起こり易いという問題
があった。また、フィラーを混ぜるときには樹脂を3本
ロールで練る必要があり、また銅箔に2層の樹脂を塗工
するには、工数が大きくなり生産性が悪くなるという問
題もあった。本発明によれば、微粒子状の架橋弾性重合
体と樹脂成分との親和性がよくなるため、無機フィラー
のような銅のマイグレーションは発生しない。また、微
粒子状の架橋弾性重合体は無機フィラーより比較的分散
が容易であり、銅張絶縁シートの樹脂層を1層とするこ
とができるので塗工工数が低減できる。
【0013】さらに、別の本発明は、前述の絶縁材料用
樹脂組成物を銅箔の粗化面に塗工して銅張絶縁シートを
作成する工程、めっきスルーホールおよび導体回路パタ
ーンを有する内層パネル上に前記銅張絶縁シートの樹脂
側を加熱ラミネートして、めっきスルーホール部分を樹
脂で埋めてBAVHを形成すると共に層間絶縁層を形成
する工程、前記内層パネルの任意のめっきスルーホール
および導体回路パターンの上の位置の表面銅箔に、エッ
チングにより微細穴を設ける工程、微細穴部分の露出し
た前記樹脂組成物をアルカリ水溶液で溶解してBLVH
を形成する工程、電子線照射および加熱により前記樹脂
組成物を硬化する工程、BLVHに導電物質を形成して
内層パネルの前記めっきスルーホールおよび導体回路パ
ターンと表面銅箔とを電気的に接続する工程からなる多
層プリント配線板の製造方法である。
【0014】本発明によれば、内層パネルのめっきスル
ーホールおよび表面銅箔間を電気的に接続するBLVH
と、内層パネルの表面の導体回路パターンおよび表面銅
箔間を接続するBLVHとを同時に形成できる。また内
層パネルのめっきスルーホール部分をBLVHとして利
用できるため設計上の自由度を上げることができる。
【0015】めっきスルーホール上に設けるBLVHの
径は内層パネルの導体回路パターン表面に設けるBLV
Hの径よりも大きくすることが好ましい。なぜならば、
銅箔微細穴の下の樹脂をアルカリ溶解する際に、めっき
スルーホールの穴壁まで樹脂を溶解させる必要があり、
穴径を大きくするとアルカリ溶液の流れが良くなり同じ
時間でも深く樹脂を溶解できるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】第1成分のカルボキシル基を有す
るアルカリ可溶性の(メタ)アクリル系重合体とは、ア
クリル酸および/またはメタクリル酸(以下「(メタ)
アクリル酸」と称する。)と、(メタ)アクリル酸エス
テルとを主成分とする線状重合体であって、そのカルボ
キシル基を残存させている重合体である。
【0017】(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸
エステルとを主成分とする線状重合体(以下「未変性ア
クリル系重合体」と称する。)は、メチルアクリレート
および/またはメチルメタクリレート(以下「アクリレ
ートおよび/またはメタクリレート」を「(メタ)アク
リレート」と称する。)、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒド
ロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステルと、(メタ)アクリル酸とを適当な組成比
率で、例えばイソプロピルアルコール、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル等のアルコール系溶媒に溶解し、アゾビス
イソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等を開
始剤とし、共重合させることにより得られるものであ
る。
【0018】未変性アクリル系重合体は、(メタ)アク
リル酸および(メタ)アクリル酸エステル以外の別成分
として、スチレン、アクリロニトリル等の他のビニル化
合物を共重合させることも可能であり、特に耐熱性、耐
水性を必要とする場合はスチレンを該重合体を構成する
全単量体に対し、5〜30重量%の範囲で共重合させる
と良い。
【0019】未変性アクリル系重合体中の、(メタ)ア
クリル酸とその他の成分との比率は、硬化前の本発明の
樹脂組成物にアルカリ可溶性を付与させるためには、最
終組成物としての酸価を0.5〜3.0meq/g の範囲に
調整する必要があり、また後述するように、未変性アク
リル系重合体中のカルボキシル基の一部をグリシジル基
およびC=C不飽和二重結合を有する化合物との付加に
利用する場合のことを考慮すると、(メタ)アクリル酸
が該重合体を構成する全単量体に対し、20〜50重量
%であることが好ましい。
【0020】本発明の第1成分は、前記未変性アクリル
系重合体のカルボキシル基の一部に、一分子中にグリシ
ジル基およびC=C不飽和二重結合を有する化合物を付
加したものが好ましい。
【0021】該化合物は、加熱または電子線のようなC
=C二重結合を重合させ得るような活性エネルギー線に
より本発明の樹脂組成物を不溶不融化させ、かつ配線基
板として充分な機械物性を付与する効果を有する。該化
合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシ
ジルエーテル、4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチ
ルベンジルアクリルアミド等が挙げられ、これらの中で
は、入手し易さ、カルボキシル基への付加反応が容易に
可能な点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好まし
い。
【0022】また本発明者等の発明に係る特開平7−2
33226号に開示した臭素化フェニルグリシジルエー
テルのような他のグリシジル化合物を用いても良い。
【0023】第1成分の重合体の分子量は5,000〜
100,000が好ましい。5,000未満では耐熱性
が低く加熱時の流動性が高いので、本発明の樹脂組成物
を銅箔の粗面化面に塗工してなる銅張絶縁シートを内層
パネルに加熱ラミネートする際に、層間絶縁樹脂の厚み
の制御が難しくなる。一方100,000を超えると、
本発明の多層プリント配線板の製造方法において、内層
パネル上のめっきスルーホールや導体回路パターンの凹
部への樹脂の埋め込みが困難になり易く、いずれも好ま
しくない。
【0024】本発明の樹脂組成物は、分子量の大きな重
合体である第1成分を主成分としているため、樹脂流れ
を制御することができるという特長を有する。すなわ
ち、本発明の樹脂組成物を用いて製造される前述の銅張
絶縁シートをロール状にして保存する際、ロール端から
の樹脂のしみだしや巻きずれを防止する効果を得ること
ができる。該銅張絶縁シートを内層パネルに加熱ラミネ
ートする際にも、凹部には流れ込むが内層パネルと表面
銅箔間の距離を保つことができる程度の流動性を有して
いる。なお加熱ラミネートの温度は60〜120℃が好
ましく、さらに好ましくは70〜100℃の範囲であ
る。
【0025】さらに第1成分は、塗工乾燥後の樹脂のひ
び割れや銅箔からの樹脂の脱落を防止するために必要不
可欠な成分である。その好ましい配合量は、本発明の樹
脂組成物全体の10〜60重量%である。
【0026】次に、第2成分であるC=C不飽和二重結
合を1個以上有する重合性化合物について説明する。こ
れらは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基
またはビニル基等を有する化合物である。具体的には二
重結合が1個の化合物としては、メチル(メタ)アクリ
レート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)
アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;スチ
レン、アクリロニトリル等ビニル基を有する化合物;ア
リルフェノール、オイゲノール等アリル基を有する化合
物;N−フェニルマレイミド、p−ヒドロキシ−N−フ
ェニルマレイミド、p−クロロ−N−フェニルマレイミ
ド等マレイミド基を有する化合物等が挙げられる。
【0027】二重結合が2個の化合物としては、1,3
−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポ
キシのジ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート
等のジ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等ビ
ニル化合物類;ジアリルフタレート、ビスフェノールA
のジアリルエーテル等アリル化合物類が挙げられる。ま
た、二重結合が3個以上の化合物としては、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、フェノールノボラ
ック型エポキシ(メタ)アクリレートおよびトリアリル
イソシアヌレート等が挙げられる。
【0028】上記化合物の中では、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレートのように架橋点間が長く
柔軟な硬化物を与える化合物と、第1成分との相溶性の
点で、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレートが好ましい。また、これら
化合物の配合量は、第1成分100重量部に対して、1
0〜200重量部の範囲が耐熱性の点で好ましい。
【0029】第3成分であるカルボキシル基を含有する
微粒子状の架橋弾性重合体は、本発明の樹脂組成物の硬
化後に、硬化物中に均一に分散していることによって海
島構造の島に相当する構造を形成し、後述のように耐衝
撃性を向上させることができるものである。該微粒子状
重合体の平均粒子径は体積基準法による値で5μm以下
とする。5μmを超える場合は、本発明の樹脂組成物の
うち第3成分以外の各成分を溶剤に溶かした樹脂ワニス
中での第3成分の分散性が悪くなり安定性が得られなく
なる。
【0030】本発明の樹脂組成物を溶剤と混合して樹脂
ワニスを製造する場合、第3成分がワニス中の溶剤に可
溶だと、溶剤中で該成分が凝集して均一に分散し難くな
る。このまま本発明の樹脂組成物とした場合には、アル
カリ溶解時に該凝集物が溶解せずに残り易くなる。さら
に、第3成分が樹脂ワニス中に完全に溶解した場合に
は、前述の海島構造の島に相当する部分を形成しないた
め、クラックが発生し易くなる。これに対して第3成分
が海島構造を作る場合は、常温時の衝撃や加熱時のスト
レスが加わっても、樹脂の部分的な破壊が第3成分の界
面で止まるために破壊が伸張しなくなる。また第3成分
に帰する柔軟成分が海島構造の海の部分にも残ってしま
うため、本発明の樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度
(Tg)が低下してしまい、高温での物性が低下するた
め好ましくない。このため、第3成分は、樹脂ワニスを
製造するときの溶剤に不溶または難溶なものが好まし
く、具体的には架橋された構造とすることにより不溶ま
たは難溶とすることができる。また架橋構造とすること
により、樹脂ワニス中での安定性が高まるという効果も
発現する。
【0031】第1成分のカルボキシル基を有するアルカ
リ可溶性の(メタ)アクリル系重合体と第3成分のカル
ボキシル基を有する微粒子状の架橋弾性重合体とを組み
合わせることにより、未硬化の本発明の樹脂組成物は、
アルカリ性水溶液等で溶解除去する際の溶解性が著しく
向上する。これは第3成分がカルボキシル基を有するた
め元々アルカリ溶解性に優れているのに加え、架橋して
いるため、本発明の樹脂組成物中に海島状に分散され易
いとの理由によるものと考えられる。カルボキシル基を
含有させない架橋弾性重合体を用いた場合でも、第1成
分に含まれるカルボキシル基によって樹脂層の除去は可
能であるが、均一に溶解させることは困難であり、アル
カリ現像機のスプレーの力によって膨潤した樹脂がはぎ
取られる様にして除去される。このためアルカリ現像に
よってBLVHを形成する場合、カルボキシル基を含有
しない微粒子状架橋弾性重合体を第3成分の代わりに用
いると、穴加工の歩留まりが低くなり、穴径が0.5m
m以下になるような微細なBLVHでは穴底に溶け残っ
た該重合体が互いに融着した層ができてしまい完全な穴
の形成が困難になるという問題があった。
【0032】第3成分の種類としては、カルボキシル基
を有する架橋アクリルゴム、カルボキシル基を有する架
橋NBRおよびカルボキシル基を有する架橋MBS樹脂
等が挙げられるが、入手が容易で、かつ本発明の樹脂組
成物の硬化時の絶縁性および未硬化時のアルカリ溶解性
を共に良好にさせることから架橋アクリルゴムが好まし
い。
【0033】第3成分の配合量は、本発明の樹脂組成物
が十分な耐衝撃性を得るためには、本発明の樹脂組成物
全体の5〜40重量%の範囲で添加することが好まし
い。40重量%を超えて配合する場合は、耐衝撃性の点
では問題はないが、本発明の樹脂組成物を溶剤と混合し
てなる樹脂ワニスを製造した場合、第3成分が分離し易
く、ワニスの安定性が低下したり、銅箔に塗工乾燥する
際に塗工ムラや気泡の発生が起こり易くなるため好まし
くない。
【0034】第3成分を本発明の樹脂組成物中に分散さ
せる方法としては、予めメチルエチルケトン等の溶剤中
に第3成分を加えてホモミキサー等により分散した後
に、本発明の樹脂組成物を構成する他の成分を配合する
か、第3成分、溶剤および他の成分を配合後ホモミキサ
ーを用いて分散する等の手段を用い、微粒子の二次凝集
をほぐしておくことが好ましい。またその他の方法とし
て三本ロール、ボールミル等も好適である。二次凝集が
十分ほぐされないまま使用すると第3成分が樹脂ワニス
中で分離してワニスの保存安定性が著しく低下し、また
このワニスを銅箔に塗工しても均一な塗膜が得られない
ため、本発明の樹脂組成物を塗工した銅張絶縁シートを
導体回路パターンを有する内層パネル上に積層する際、
気泡がかみ易くなり、絶縁信頼性を低下させる。また凝
集した粒子が大きい場合は塗工した銅張絶縁シートを、
重ねたり巻き取ったりして保存する間に銅箔を変形させ
てしまうために、エッチング法による微細な回路の形成
が著しく損なわれる恐れがある。
【0035】第4成分である加熱による重合開始剤とし
ては、有機過酸化物系、アゾビス系が挙げられる。この
中では、分解開始温度が高いため保存安定性が良い点
と、分解した時に低分子量の揮発性成分の発生が少ない
点から、ジアルキルパーオキサイドが好ましく、具体的
にはジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオ
キサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン等が挙げられ
る。また、その配合量は、本発明の樹脂組成物100重
量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。0.5重量
部未満では重合が不十分となり、5重量部を超えるとシ
ェルフライフが短くなるとともに開始剤の分解物の量が
多く発生するために耐熱性が損なわれる恐れがある。
【0036】本発明は、少なくとも上記4成分を必須成
分として配合してなる樹脂組成物であるが、該樹脂組成
物に難燃性を付与するためには、さらに第5成分とし
て、ハロゲン化フェノール化合物のグリシジルエーテル
と(メタ)アクリル酸との反応物、並びに/或いは第6
成分として、リンまたはリン系難燃剤を追加することが
好ましい。
【0037】第5成分であるハロゲン化フェノール化合
物のグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応
物の具体例としては、テトラブロモビスフェノールAジ
グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物、
テトラブロモビスフェノールA骨格および臭素を含有し
ないビスフェノールAを共に含有するエポキシ樹脂(例
えばダウ社製DER514)と(メタ)アクリル酸との
反応物等が挙げられ、所望により2種類以上を使用する
こともできる。またテトラブロモビスフェノールAの副
生成物として含まれるモノブロモ体やジブロモ体等ビス
フェノールA骨格当たりの臭素置換数の異なる化合物が
存在していても良い。また単官能の臭素化エポキシ樹脂
(例えば日本化薬(株)製BROCシリーズ)と(メ
タ)アクリル酸との反応物や多官能の臭素化エポキシ樹
脂(例えば日本化薬(株)製BRENシリーズ)と(メ
タ)アクリル酸との反応物を使用することもできる。こ
れらの中では、本発明の樹脂組成物に配合した場合に、
強度と適度な柔軟性を併わせ持たせることができる2官
能性の化合物が好ましく、ハロゲンの種類としては臭素
が難燃性が優れるため特に好ましい。第5成分の配合量
は本発明の樹脂組成物中において、臭素含有量が5〜2
5重量%になるようにすることが好ましい。
【0038】臭素含有量が5重量%未満では、後述の第
6成分由来のリンを2重量%以上配合しないと、本発明
の樹脂組成物の硬化物の難燃性が十分に得られなく、リ
ンを多量に配合することは絶縁性を低下させるために好
ましくない。臭素配合量が25重量%を超える場合も難
燃性は得られるが加熱時にハロゲン化合物が脱離し易く
なりはんだ耐熱性や長期の信頼性が低下するため好まし
くない。
【0039】第6成分であるリン酸エステルの具体例と
しては、トリクレジルホスフェート、トリ(2,6−ジ
メチルフェニル)ホスフェート(大八化学工業(株)製
PX130)、トリアリールホスフェート(味の素
(株)製レオフォス)等が使用でき、所望により2種類
以上を添加することもできる。またリン単体である赤燐
も難燃効果が高く、その微粉末例えば日本化学工業
(株)製ヒシガードCPなども使用できる。
【0040】第6成分の配合量は本発明の樹脂組成物中
のリン含有量が0.1〜2重量%の範囲になるようにす
ることが好ましい。リンの含有量が0.1重量%未満の
場合には臭素化合物をより多く配合しないと難燃性が得
られないため、はんだ付けの際にハロゲン化物の分解物
が多く発生して耐熱性が十分でなくなり、2重量%を超
えると電気的な絶縁性が悪くなり易い。
【0041】本発明の樹脂組成物には、さらに通常使用
されるようなタルク、炭酸カルシウムまたはシリカ等の
無機充填材、あるいはレベリング剤、消泡剤、顔料また
はイオン捕捉剤等の添加剤を必要に応じて追加してもよ
い。
【0042】樹脂ワニスにする際の溶剤としては、第3
成分以外の各成分を溶解すると共に本発明の樹脂組成物
を銅箔に塗工後、該樹脂組成物が重合しない程度の加熱
および時間で揮発するものが好ましく、具体的にはメチ
ルエチルケトン、エタノールおよびイソプロピルアルコ
ール等沸点が100℃未満のものが挙げられる。該溶剤
は、樹脂ワニスの固型分濃度が30〜80重量%となる
ように配合することが好ましい。
【0043】本発明の樹脂組成物は、本発明の多層プリ
ント配線板の製造方法に好適である。すなわち、内層パ
ネルの導体回路パターンと表面銅箔間の電気的な接続を
するためのBLVHの形成が従来1穴ずつドリルで明け
ていたところを、本発明の樹脂組成物がアルカリ可溶性
を付与しているため、所定位置の銅箔をエッチング法で
取り除き、露出した樹脂組成物をアルカリ水溶液で溶解
除去することにより一度に多数個のBLVHを形成する
ことができ、生産効率を上げることができる。
【0044】本発明の樹脂組成物の硬化は、電子線照射
および加熱を併用する。電子線のみでは硬化が不十分に
なり易く、一方加熱のみでは加熱時に樹脂がBLVH中
に流れ込む恐れがある。
【0045】本発明の多層プリント配線板の製造におい
て、銅箔をエッチングして微細穴を設け、アルカリ水溶
液でその微細穴の樹脂層を溶解させて露出した内層絶縁
パネルの導体回路パターンと表面銅箔とを電気的に接続
する方法としては、無電解めっきまたは/および電解め
っき法、金、銀、銅、はんだ等の導電ペーストをスクリ
ーン印刷、ディスペンサー、ピン印刷等で塗布し乾燥硬
化する方法等が使用できる。
【0046】従来のガラスエポキシ積層板の誘電率は1
MHz で4.7〜5.0である。エポキシ樹脂単独では誘
電率が3.7であるがガラスクロスを補強材に使用する
と誘電率が大きくなることが知られている。本発明の樹
脂組成物による絶縁材料ではガラスクロスがないことそ
して樹脂の特性から誘電率は1MHz で2.9〜3.0で
あり、層間絶縁材料として使用する場合には信号伝送の
高速化に有利になる。
【0047】一般に絶縁材料用樹脂組成物を0.6mm以
下の薄いプリント配線板の層間絶縁材料として使用する
とはんだ付けやはんだリフローのように高温に加熱する
とプリント配線板に反りが発生し易い。さらに本発明の
第3成分を含まずしかもガラスクロスや無機フィラーが
ないと上記の加熱による反りの発生に加え、応力を分散
できず樹脂にクラックや内層と外層の銅箔で挟まれる樹
脂層でふくれが発生することがあった。しかしながら、
本発明の樹脂組成物では変形応力が樹脂層に加わること
にはなるが、第3成分が上記応力を吸収するために上記
のようなクラックやふくれが発生し難くなる。
【0048】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳細に説明す
る。
【0049】実施例1 (第1成分の合成)メチルアクリレート48重量部、ス
チレン29重量部、アクリル酸23重量部およびアゾビ
スイソブチロニトリル0.25重量部からなる混合物
を、窒素ガス雰囲気下で、温度75℃に保持したメチル
エチルケトンおよびエタノールの混合溶剤(混合比率=
7対3)100重量部中に5時間かけて滴下した。その
後0.5時間熟成し、さらにアゾビスイソブチロニトリ
ル0.3重量部を加えて4時間熟成することにより未変
性アクリル系重合体を合成した。次に重合禁止剤として
ハイドロキノン0.23重量部を加えて微量の空気を吹
き込みながら、N,N−ジメチルベンジルアミン1.5
重量部およびグリシジルメタクリレート14.7重量部
を加え、温度77℃で10時間反応させて、分子量1
5,000〜50,000、酸価1.81meq/g 、不飽
和基含有量0.9モル/kgのカルボキシル基を有する第
1成分(以下「ベースレジン」と称する。)を合成し
た。
【0050】(樹脂組成物の調製)上述のように合成し
たベースレジンを固型分換算で40重量部、ポリエチレ
ングリコールジアクリレートを10重量部、平均粒径
0.7μmのカルボキシル基変性架橋アクリルゴム(日
本合成ゴム(株)製DHS2)10重量部、臭素化ビス
フェノールA−エポキシメタクリレート(固形分中の臭
素含有量は約38%)を固形分換算で40重量部、リン
酸エステル(味の素(株)製レオフォス、リン含有量8
%)7.0重量部、加熱による重合開始剤(日本油脂
(株)製パーヘキシン25B)1.0重量部およびメチ
ルエチルケトン75重量部をホモディスパー(特殊機化
工業(株)製)を用いてよく混合して樹脂組成物を調製
し、メチルエチルケトンを加えて粘度を約700cps
とした後、300目のろ布でろ過しさらに穴径5μmの
フィルターを用いて加圧ろ過して樹脂ワニスを調製し
た。
【0051】比較例1 (樹脂組成物の調製)実施例1で合成したベースレジン
を固型分換算で35重量部、ポリプロピレングリコール
ジアクリレート5重量部、平均粒径0.2μのカルボキ
シル基を有しないアクリルゴム(鐘淵化学工業(株)カ
ネエースFM21)20重量部、臭素化ビスフェノール
A−エポキシメタクリレート40重量部、レオフォス
7.0重量部、パーヘキシン25B 1.0重量部およ
びメチルエチルケトン60重量部を実施例1と同様によ
く混合して樹脂組成物を調製し、メチルエチルケトンを
加えて粘度を約700cpsとした。
【0052】比較例2 (樹脂組成物の調製)実施例1で合成したベースレジン
を固型分換算で35重量部、ポリプロピレングリコール
ジアクリレート5重量部、カルボキシル基末端液状NB
R(米国 BFGoodrich社製 HycarCTBN 1300×13)20
重量部、臭素化ビスフェノールA−エポキシメタクリレ
ートを40重量部、レオフォス 6.7重量部およびパ
ークミルD 1.0重量部を実施例1と同様によく混合
して樹脂組成物を調製し、メチルエチルケトンを加えて
粘度を約700cpsとした。
【0053】(銅張絶縁シートの作製)実施例1、比較
例1〜2の樹脂組成物を用いて、以下に示す方法で銅張
絶縁シートを作製した。厚さ18μmの銅箔の粗面化面
に上記の樹脂組成物をバーコーターを用いて塗布し、7
0℃で10分間乾燥した後、さらに110℃で5分乾燥
して溶剤を蒸発除去し厚さ約80μmの樹脂層を形成し
て、銅箔と樹脂からなる2層構造の銅張絶縁シートを作
製した。
【0054】(多層プリント配線板の製造)本発明によ
る多層プリント配線板の製造方法について図面に基づき
説明する。図1に示すように0.5mmφの銅めっきスル
ーホール8を有する0.8mm厚のガラスエポキシ4層多
層プリント配線板(内層パネル)7の銅めっきスルーホ
ール8部分および導体回路パターン4を黒化処理した
後、上記銅張絶縁シート3を90℃の熱ロールで積層し
て、図2に示すように銅めっきスルーホール8中に樹脂
組成物2を充填させると共に導体回路パターンと表面銅
箔間に50μm厚さの絶縁層を形成した。
【0055】次に、表面銅箔に厚さ15μmのドライフ
ィルムタイプの感光性エッチングレジストをBLVHの
必要な部分を除いて形成した。引き続き、周知のエッチ
ング液で銅箔をエッチングして0.15mmφの微細穴を
明け、引き続き30℃の1.0%の炭酸ナトリウム水溶
液をスプレー圧1.5kg/cm2 で70秒間吹き付けて銅
箔の微細穴から露出した樹脂を溶解してBLVH(9)
を形成した(実施例1)。比較例1および比較例2の樹
脂組成物は膨潤するものの内層パネルの導体回路パター
ン4が露出するように完全に溶解させることはできなか
った。
【0056】以下、実施例6の樹脂組成物に関して、多
層プリント配線板を作成した。次に電子線照射装置にて
加速電圧175kVの電子線を20Mrad照射した後、17
0℃で30分間加熱して樹脂層を硬化して、外層のエッ
チングレジストを除去することにより、図3に示すよう
な内層パネルとBLVHを有する銅張積層パネルを作成
した。
【0057】引き続き、図1に示すように前記銅張積層
パネル全面を活性化処理した後、無電解銅めっき、電気
銅めっきを施し、25μm厚のめっきBLVH(10)
を形成した。次に、周知のエッチングレジストを形成し
て不要部分の銅を除去し、膜はぎすることにより、図5
に示すようなめっきBLVHを有する多層プリント配線
板が得られた。比較例1および2の樹脂組成物を用いて
同様に多層プリント配線板を作成した。但し、比較例1
および2はBLVHを作成しなかった。
【0058】上記のように実施例1の樹脂組成物を使用
して作成した多層プリント配線板の評価を下記のように
行った。JIS−C6481に従って銅箔を50mm/mi
n の速度で引き剥して引き剥し強さを測定した結果、す
べてのサンプルが1.3〜1.6kg/cm内に入った。2
5mm角パターンのテストピースを、浴温260℃の溶融
はんだ浴に銅箔面を下にして浮かべ、銅箔が膨れるまで
の時間を測定した結果、全て180秒以上であった。J
IS−C5012に規定される多層プリント配線板用テ
ストパターンのMパターンにより、外層と内層間の絶縁
抵抗を測定した結果、初期値は101213Ωで耐湿後
(C-96/40/95)は101112Ωであった。雄型が先に本
発明の樹脂硬化物に当たるように亀倉精機製ミニデスク
プレスにセットし2cm角の正方形の打ち抜き型で打ち
抜き、抜け落ちた基板(2cm角)を観察してクラックの
有無を観察した結果、クラックはなく良好であった。2
60℃のはんだ浴に30秒間浮かべた後直ち絶縁層のク
ラックの有無を観察したがクラックの発生は無かった。
UL94基づいてサンプルを切断し試験を行った結果、
全てUL94V−0レベルであった。さらに、連結20
0ホールのブラインドバイアホールの導通抵抗変化をみ
るための−65℃30分、125℃30分を1サイクル
とする冷熱サイクル試験を100サイクル行ったが特に
異常がなく、±5%以内の抵抗変化率であった。
【0059】比較例1および2の樹脂組成物を使用して
得た多層プリント配線板を用い、実施例1の多層プリン
ト配線板と同様にミニディスクプレスによる打抜き試験
を行った結果、比較例1ではクラックがなかったが、比
較例2ではクラックが発生した。また260℃の浴に3
0秒間浮かべたところ、比較例1ではクラックの発生が
なかったが、比較例2ではクラックが観察された。
【0060】実施例2 (多層プリント配線板の製造2)本発明によるもう一つ
の多層プリント配線板の製造方法について図面に基づき
説明する。実施例1と同じ銅張絶縁シートを作製した。
図6に示すように0.5mmφの銅めっきスルーホール8
を有する0.8mm厚のガラスエポキシ4層多層プリント
配線板(内層パネル)7の銅めっきスルーホール8部分
および導体回路パターン4を黒化処理した後、上記銅張
絶縁シート3を90℃の熱ロールで積層して、図7に示
すように銅めっきスルーホール8中に樹脂組成物2を充
填させると共に内層パネルの導体回路パターンと表面銅
箔間に50μm厚さの絶縁層を形成した。
【0061】次に、表面銅箔に厚さ15μm厚さのドラ
イフィルムタイプの感光性エッチングレジストをBAV
HおよびBLVHの必要な部分を除いて形成した。引き
続き、周知のエッチング液で銅箔をエッチングしてBA
VHは0.5mmφでBLVHは0.15mmφの微細穴
を明けた。引き続き30℃の1.0%の炭酸ナトリウム
水溶液をスプレー圧1.5kg/cm2 で70秒間吹き付け
て銅箔の微細穴の下から露出した樹脂を溶解してBAV
H上のBLVH(11)およびBLVH(9)を同時に
形成した。
【0062】次に、電子線照射装置にて加速電圧175
kVの電子線を20Mrad照射した後、170℃で3
0分間加熱して樹脂層を硬化して、外層のエッチングレ
ジストを除去することにより、図8に示すような内層パ
ネルとBAVH上のBLVH11とBLVH(9)を有
する銅張積層パネルを作成した。
【0063】引き続き、図9に示すように上記銅張積層
パネル全面を活性化処理した後、無電解銅めっき、電気
銅めっきを施し、25μm厚のBAVH上のめっきBL
VH(12)およびめっきBLVH(10)を形成し
た。次に、周知のエッチングレジストを形成して不要部
分の銅を除去し、膜はぎすることにより、図10に示す
ようなめっきBLVHを有する多層プリント配線板が得
られた。
【0064】上記のように作成した多層プリント配線板
の評価を下記のように行った。JIS−C6481に従
って銅箔を50mm/min の速度で引き剥して引き剥し強
さを測定した結果、すべてのサンプルが1.3〜1.6
kg/cm内に入った。25mm角パターンのテストピース
を、浴温260℃の溶融はんだ浴に銅箔面を下にして浮
かべ、銅箔が膨れるまでの時間を測定した結果、全て1
80秒以上であった。JIS−C5012に規定される
多層プリント配線板用テストパターンのMパターンによ
り、外層と内層間の絶縁抵抗を測定した結果、初期値は
101213Ωで耐湿後(C-96/40/95)は101112Ωで
あった。雄型が先に本発明の樹脂硬化物に当たるように
亀倉精機製ミニデスクプレスにセットし2cmmの正方形
の打ち抜き型で打ち抜き、抜け落ちた基板(2cm角)を
観察してクラックの有無を観察した結果、クラックはな
く良好であった。260℃のはんだ浴に30秒間浮かべ
た後直ち絶縁層のクラックの有無を観察したがクラック
の発生は無かった。UL94に基づいてサンプルを切断
し試験を行った結果、全てUL94V−0レベルであっ
た。さらに、連結200ホールのブラインドバイアホー
ルの導通抵抗変化をみるための−65℃30分、125
℃30分を1サイクルとする冷熱サイクル試験を100
サイクル行ったが異常がなく、±5%以内の抵抗変化で
あった。
【0065】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物によれば、ガラスク
ロスのような補強材のない構造でしかも従来のアクリル
系樹脂では得られなかった耐衝撃性、耐熱性、難燃性、
絶縁信頼性を兼ね備えた材料を得ることができる。一
方、本発明の多層プリント配線板の製造方法によれば、
BAVHの樹脂埋めが銅張絶縁シートの加熱ラミネート
という簡単な方法で可能となり、BLVHの加工も銅箔
微細穴のエッチングおよび樹脂のアルカリ溶解とケミカ
ルエッチングで一括加工が可能となり生産性が向上す
る。さらに、BAVH上にBLVHの形成も可能となり
設計上の自由度が大きくなるという利点も有している。
従って、本発明は、薄型軽量化、高速伝送化に適し、信
頼性に優れかる量産性に優れた多層プリント配線板の製
造方法が提供できることから工業上の利用価値が大きい
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1である多層プリント配線板の
製造過程における、銅張絶縁シート、表面に導体回路パ
ターン4を有する内層パネル7に銅張絶縁シート3を積
層する状態を示した概略断面図である。
【図2】同製造過程における、内層用パネルに銅張絶縁
シート3を積層してBAVHを形成した後の構成を示し
た概略断面図である。
【図3】同製造過程における、表面銅箔にエッチングお
よびアルカリ溶解によりBLVHを形成した後の上記内
層板パネルを示した概略断面図である。
【図4】同製造過程における、めっき処理後の概略断面
図である。
【図5】同製造過程における、表面銅箔パターンをエッ
チング後の概略断面図である。
【図6】本発明の実施例2である多層プリント配線板の
製造過程における、銅張絶縁シート、表面に導体回路パ
ターン4を有する内層パネル7に銅張絶縁シート3を積
層する状態を示した概略断面図である。
【図7】同製造過程における、内層パネルに銅張絶縁シ
ート3を積層してBAVHを形成した後の構成を示した
概略断面図である。
【図8】同製造過程における、表面銅箔にエッチングお
よびアルカリ溶解によりBAVH上のBLVHと内層パ
ネルの銅箔上にBLVHを形成した後の上記内層板パネ
ルを示した概略断面図である。
【図9】同製造過程における、めっき処理後の概略断面
図である。
【図10】同製造過程における、表面銅箔パターンをエ
ッチング後の概略断面図である。
【図11】従来の製造方法によるBAVHを有する多層
プリント配線板の製造過程で、樹脂の硬化後に発生する
ボイド不良を示す概略断面図である。
【図12】従来の製造方法により作成したBAVHを有
するよる多層プリント配線板で、はんだ付け時に発生す
るクラック不良を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 銅箔 2 樹脂組成物 3 銅張絶縁シート 4 導体回路パターン 5 導体層 6 絶縁樹脂 7 内層パネル 8 めっきスルーホール 9 BLVH 10 めっきBLVH 11 BAVH上のBLVH 12 BAVH上のめっきBLVH 13 ボイド 14 クラック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 浩 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 木村 馨 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)カルボキシル基を有するアルカリ
    可溶性のアクリル系重合体および/またはメタクリル系
    重合体、(2)C=C不飽和二重結合を1個以上有する
    重合性化合物、(3)カルボキシル基を含有し、平均粒
    径が5μm以下の微粒子状の架橋弾性重合体、並びに
    (4)加熱によって前記C=C不飽和二重結合の重合を
    開始させ得る重合開始剤を配合してなる絶縁材料用樹脂
    組成物を、銅箔の粗化面に塗工して銅張絶縁シートを作
    成する工程、めっきスルーホールおよび導体回路パター
    ンを有する内層パネル上に前記銅張絶縁シートの樹脂側
    を加熱ラミネートして、めっきスルーホール部分を樹脂
    で埋めてバリードバイアホールを形成すると共に層間絶
    縁層を形成する工程、エッチングにより表面銅箔に微細
    穴を設ける工程、微細穴部分の露出した前記樹脂組成物
    をアルカリ水溶液で溶解してブラインドバイアホールを
    形成する工程、電子線照射および加熱により前記樹脂組
    成物を硬化する工程、ブラインドバイアホールに導電物
    質を形成して内層パネルの導体回路パターンと表面銅箔
    とを電気的に接続する工程からなることを特徴とする多
    層プリント配線板の製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)カルボキシル基を有するアルカリ
    可溶性のアクリル系重合体および/またはメタクリル系
    重合体、(2)C=C不飽和二重結合を1個以上有する
    重合性化合物、(3)カルボキシル基を含有し、平均粒
    径が5μm以下の微粒子状の架橋弾性重合体、並びに
    (4)加熱によって前記C=C不飽和二重結合の重合を
    開始させ得る重合開始剤を配合してなる絶縁材料用樹脂
    組成物を、銅箔の粗化面に塗工して銅張絶縁シートを作
    成する工程、めっきスルーホールおよび導体回路パター
    ンを有する内層パネル上に前記銅張絶縁シートの樹脂側
    を加熱ラミネートして、めっきスルーホール部分を樹脂
    で埋めてバリードバイアホールを形成すると共に層間絶
    縁層を形成する工程、前記内層パネルの任意のめっきス
    ルーホールおよび導体回路パターンの上の位置の表面銅
    箔に、エッチングにより微細穴を設ける工程、微細穴部
    分の露出した前記樹脂組成物をアルカリ水溶液で溶解し
    てブラインドバイアホールを形成する工程、電子線照射
    および加熱により前記樹脂組成物を硬化する工程、ブラ
    インドバイアホールに導電物質を形成して内層パネルの
    前記めっきスルーホールおよび導体回路パターンと表面
    銅箔とを電気的に接続する工程からなることを特徴とす
    る多層プリント配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 (1)カルボキシル基を有するアルカリ
    可溶性のアクリル系重合体および/またはメタクリル系
    重合体が、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、
    アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸アクリ
    ル酸エステルとを主成分とする線状重合体であって、そ
    のカルボキシル基の一部に、グリシジル基およびC=C
    不飽和二重結合を有する化合物を付加させた線状重合体
    であることを特徴とする請求項1または2の多層プリン
    ト配線板の製造方法。
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CN103917047B (zh) * 2012-12-31 2017-08-29 联想(北京)有限公司 一种电路板制造工艺和电路板
WO2019080209A1 (zh) * 2017-10-26 2019-05-02 惠科股份有限公司 信号传输装置及显示装置

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