JPH10149473A - 印刷物の識別法 - Google Patents
印刷物の識別法Info
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- JPH10149473A JPH10149473A JP32330996A JP32330996A JPH10149473A JP H10149473 A JPH10149473 A JP H10149473A JP 32330996 A JP32330996 A JP 32330996A JP 32330996 A JP32330996 A JP 32330996A JP H10149473 A JPH10149473 A JP H10149473A
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Abstract
偽造変造防止を必要とする印刷物を形成する印刷インキ
中に含まれる樹脂あるいは顔料等を、非破壊により測定
し、得られる近赤外スペクトルのわずかな違いを統計的
に処理することにより、真偽判別を行う印刷物の識別法
を提供する。 【解決手段】 印刷物を形成する印刷インキ中に含まれ
る樹脂あるいは顔料等を、得られたスペクトルを統計処
理することでパターン認識のできるフーリエ変換近赤外
線分析装置(FTNIR)を用いて、該装置の光ファイ
バープローブを印刷物に密着し、密着部分の近赤外スペ
クトルを統計処理することにより測定し、印刷物の識別
法の手段としている。
Description
券等の有価証券、切手等の偽造変造防止を必要とする印
刷物を形成する印刷インキ中に含まれる樹脂や顔料等
を、非破壊により測定し、真偽判別を行う印刷物の識別
法に関するものである。ケモメトリックスとは、スウェ
ーデンUmeo大学のWoldが、1972年に彼の論文のなか
で初めて使った、化学を示すChemistry と計量を示すMe
trics で構成され、化学の諸問題を数学的手法及び統計
学的手法で解明する学問分野として定義される。
ら印刷物を識別する場合、有機物をフーリエ変換法を用
いて分析し、得られた赤外スペクトルやラマンスペクト
ルを解析する方法を応用した解析法がある。しかし、印
刷物の場合、反射法を用いて測定されたスペクトルから
は、印刷物上に形成された印刷インキ中に含まれる樹脂
とともに、前記印刷インキ中に含まれる無機及び有機顔
料と、更に前記印刷インキのインキ皮膜下の、基材とし
ての、例えば紙等のバックグランドが大きな吸収スペク
トルとなって重なってくるので、前記得られた反射スペ
クトルから、印刷物上に形成された印刷インキに含まれ
る樹脂や顔料のみを解析するのは非常に困難であった。
などがわずかに変化しただけでも分析装置の感度が高す
ぎて、反対にスペクトル形状が大きく異なることとなる
ため、この方法により印刷物を形成する印刷インキ中に
含まれる樹脂や顔料等を識別するのは非常に難しい技術
である。そのため、実際には印刷物を形成する印刷イン
キの一部をかき取り、前記かき取った試料をアセトンや
クロロホルムなどの有機溶媒に浸し、印刷インキ中の樹
脂や顔料のみを抽出した後、赤外分光分析又はラマン分
光分析装置にかけて、赤外スペクトルやラマンスペクト
ルを得て解析を行う必要があったが、印刷インキ中に含
まれる樹脂や顔料の抽出操作や、得られたスペクトルの
解析にはかなりの熟練を必要とし、多くの時間も必要と
した。また、この方法は印刷部分から試料をかき取る必
要があるため、非破壊の状態で分析を行わなければなら
ない場合には適用ができないという欠点があった。
物質、例えば特定波長領域において反射及び吸収を示す
樹脂や顔料を用いて印刷した印刷物を、積分球により反
射測定のできる分光光度計を用いて、紫外領域から近赤
外領域までの分光反射率曲線を得ることによって、非破
壊的に判別する方法がある。しかし、前記分光反射率曲
線による判別方法では、前記特殊な物質を用いた印刷物
の識別には効果があるが、一般的にインキに使用されて
いる樹脂、例えばアルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリ
レート樹脂などを用いて印刷した印刷物の分光反射率曲
線は、ほとんど同じであり識別するのは困難であった。
(4,500〜10,000cmー1)のスペクトルの一般的な特徴と
しての、(1)近赤外スペクトルの吸収ピークは、赤外
領域の吸収ピークに比べ1/1000で非常に弱い、(2)水
素結合や分子間の相互作用によって特定のバンドにシフ
トが起こるが、該シフトの大きさは、赤外バンドの場合
に比べはるかに大きい、(3)赤外領域の倍音や結合音
によるバンドが重なり合ったり、フェルミ共鳴によるバ
ンドが多く観測される、というような理由から、バンド
の帰属は赤外スペクトル以上に困難である。
ルターや回折格子を用いた波長分散型であるため、一回
の測定で得られたスペクトルのS/Nはあまり良くない
ため、データの統計処理手法を適用することができなか
った。そのため、利用される用途は限られ、印刷物を形
成する印刷インキなどのように、類似した樹脂が少量し
か含まれていず、なおかつ、基材として、例えば紙など
のバックグランドの吸収が大きい試料に対して、従来の
近赤外分析装置を用いて、印刷インキ中の樹脂の種類を
識別することは殆ど不可能であった。
の進歩に伴い、フーリエ変換型の近赤外分析装置が開発
され、データの統計処理手法を利用したパターン認識が
可能となったため、医薬品や食料品の分野において、液
体、ペースト又は粉体試料に対する品質管理や特性分析
等に該装置が利用されるようになってきた。そこで、本
発明者等は、従来より行われていた印刷物を形成する印
刷インキをかき取って、該印刷インキ中の樹脂を有機溶
剤で抽出するか、又は特殊な物質を用いて印刷した印刷
物の分光反射率曲線を得て、非破壊的に測定するという
限定された測定方法に対し、前記装置を用いることによ
って、従来より困難とされていた印刷物を形成する印刷
インキに含まれる樹脂等の種類を、構造的に類似した場
合においても、非破壊法で、短時間に識別できる方法を
見いだしたものである。
に本発明に係る印刷物の識別法は、光源からの光を干渉
計により干渉光とし、光ファイバープローブを通して試
料に干渉光を照射、受光し、検出器により得られた信号
をフーリエ変換する手段と、前記フーリエ変換した波数
4,500〜10,000cmー1の近赤外スペクトルを吸光度変換、
微分処理及び標準化処理を任意に組み合わせて処理した
データを、ケモメトリックスにおける多変量解析を行う
ことでパターン認識を行う手段とを備えたフーリエ変換
近赤外線分析装置(FTNIR)において、前記光ファ
イバープローブを印刷物に直接接触させて測定すること
と、得られた近赤外スペクトルを波数範囲を5,400〜6,4
00cmー1に限定することを特徴とし、クリアコートした樹
脂や樹脂と顔料を混合して塗布した印刷物を、非破壊に
より、予め作成された標準試料による既知の判別モデル
に比較して判別あるいは識別し、真偽判別することを特
徴とする。
を混合して塗布した印刷物を構成する印刷インキに含ま
れる樹脂の、少なくとも二種類以上を任意の割合で混合
し塗布した印刷物を、前記請求項1の識別法を用いて識
別することを特徴とする。
を混合して塗布した印刷物を、前記請求項1の識別法を
用いて識別することを特徴とする。
外スペクトルを統計処理することでパターン認識のでき
るフーリエ変換近赤外線分析装置(FTNIR)を用い
て、該装置の光ファイバープローブを印刷物に密着し、
密着部分の近赤外スペクトルをとり、前記近赤外スペク
トルの波数を限定し、吸光度変換、微分処理及び標準化
処理を任意に組み合わせたデータを統計処理することで
パターン認識しているので、印刷物を破壊することな
く、印刷物を形成する印刷インキ中の樹脂、あるいは顔
料の識別を行うことにより真偽判別することを可能にし
ている。
本発明はこの実施例によってなんら限定されるものでは
ない。
変換近赤外線分析装置(FTNIR)の概略図であり、
試料台(1)、光ファイバープローブ(3)、フーリエ
変換近赤外線分析装置(FTNIR)本体(4)、コン
ピュータ(5)より構成される。
別法の測定フローチャート図であり、図2(b)は解析
フローチャート図である。
に従い測定する。試料台(1)の上に印刷物(2)をセ
ットした後、試料台(1)を上昇させることにより印刷
物表面を、固定した光ファイバープローブ(3)に密着
させる。近赤外線は光源からの光を干渉計により干渉
後、光ファイバープローブ(3)を通って印刷物(2)
に照射される。印刷物表面で吸収、拡散反射又は正反射
した光は、再び光ファイバープローブ(3)を通って、
フーリエ変換近赤外線分析装置(FTNIR)本体
(4)の検出器により検出され、電気信号に変換するこ
とによって近赤外スペクトルを得る。
測定フローチャート図に従って、紙に塗布した印刷イン
キ中の樹脂や顔料を混合した樹脂と顔料の種類を変えた
何種類かの印刷物についてそれぞれ繰り返し実行し、そ
れぞれの印刷物の近赤外スペクトルを測定する。
た近赤外スペクトルのデータ処理を図2(b)に示す解
析フローチャート図に従って行う。まず、波数4,500〜1
0,000cmー1の近赤外スペクトルを5,400〜6,400cmー1の波
数範囲に限定する。これは、4,700、5,100、6,400〜7,200
cmー1には、紙そのものの吸収ピークが大きなバックグラ
ンドとして確認されること、また、9,100、9,700cmー1に
はCH伸縮振動の倍音の大きなピークがあるが、このピー
クはどの樹脂にも大きく現れるために判別用には用いら
れない、という理由から紙のピークとできるだけ重なら
ず、樹脂間のわずかな違いを示す5,400〜6,400cmー1に波
数範囲を限定する。
分法又は二次微分法)及び標準化法などの処理法を任意
に組み合わせて最適なモデルを作成する。吸光度変換法
は、ランバート・ベールの法則に従って、スペクトルを
ピーク面積から定量的に評価することができる。微分処
理法は、重なり合ったバンドの分離とベースライン補正
を行う。その中で一次微分法は、スペクトル形状から傾
き成分を抽出して重なり合ったバンドを分離する。二次
微分法は、下向きのピークは元のスペクトルの上向きピ
ークに対応し、重なり合ったピークが別々のピークとし
てはっきり現れ、ベースラインも一定となる。実際に
は、微分処理により印刷物を形成する印刷インキ中の樹
脂の膜厚のばらつきを補正することができる。標準化法
は、スペクトルの中で最大のピーク強度のポイントを
1、最小のピーク強度のポイントを0として補正するも
ので、この処理により印刷物と光ファイバープローブと
の密着性のばらつきを補正できる。
を利用し、情報損失量が最小になるよう互いに無相関な
小数の主成分に情報を要約し、主成分得点の大きさによ
り試料間の関係を調べる主成分分析を行い、主要因子
(主成分)に分解する。そして、主成分空間における各
スペクトル間の距離や類似度に基づき試料を分類し、グ
ループに分けるクラスター分析などのパターン認識用の
判別モデルを作成する。
種の既知の樹脂あるいは顔料により印刷された印刷物に
ついて、パターン認識用の判別モデルを作成しておく。
次に、実際に識別したい印刷物を同様の方法で測定し、
前記標準判別モデルの許容範囲内にあるかどうかパター
ン認識することにより、偽造品の真偽判別や樹脂等の種
類の判別を行う。
ポキシ樹脂及びアクリレート樹脂を、それぞれ70重量
部と、フタロシアニンブルーの顔料を30重量部とを混
合した3種類の印刷インキを調整し、紙に印刷して得ら
れた印刷物の波数4,500〜10,000cmー1の近赤外スペクト
ルを示したものである。得られた前記3種類の印刷物を
形成する印刷インキのスペクトルから樹脂の種類を見分
けることは困難であるので、紙のバックグランドの吸収
の影響を除くため、図4に示すようにデータ処理範囲を
5,400〜6,400cmー1に狭め、前記データ処理の中から吸光
度変換と一次微分処理を行って得たスペクトルを図5に
示す。この図から各樹脂間に違いがあるのは確認できる
が、実際には、これらの違いの中には測定誤差やサンプ
リング誤差などが含まれるため構造的に大きく異なり、
特徴的なスペクトルパターンとなる成分は判別できる
が、構造的に類似した成分の判別分析には利用できな
い。そこで、得られたデータを主要因子に分解する主成
分分析を行った後、各樹脂をグループに分けるクラスタ
ー分析を行うことにより判別モデルを作成する。
を示したものである。この図から、アルキド樹脂
(6)、エポキン樹脂(7)及びアクリレート樹脂
(8)にグループ分けが行われているのが分かる。この
ように、それぞれの樹脂の許容半径により描いた円が、
樹脂どおしの間で重なっていなければ、樹脂の判別に利
用できるので、印刷物に塗布された印刷インキに含まれ
る樹脂が未知の場合には、同様の方法により測定し、ど
の樹脂の円内に存在するかによって樹脂の判別を行う。
エン共重合体)とNBR(アクリロニトリルーブタジエ
ン共重合体)を段階的に混合し、紙にクリアコートを行
う。次に、FTNIRを用いてクリアコート面の反射測
定を行い、実施例1と同じ方法により判別モデルを作成
する。図7は、樹脂の混合割合の違いにより作成した判
別モデルを示したものである。表に図7に示す9〜13
のそれぞれのグループの樹脂の混合割合を示す。
と、青色顔料で種類の異なるスレンブルー(14)、フ
タロシアニンブルー(15)及びコバルトブルー(1
6)をそれぞれ30重量部とを混合し3種類の印刷イン
キを調整し、前記混合した印刷インキで用紙に印刷を行
い、得られた印刷物をFTNIRにより反射測定を行
い、実施例1と同じ方法により判別モデルを作成した。
図8は、顔料の違いにより作成した判別モデルを示した
ものである。
た樹脂あるいは顔料を用いて印刷した印刷物等をFTN
IRにより反射測定し、得られた近赤外スペクトルを、
紙などのバックグランドの影響が少なく、類似した樹脂
のわずかな違いを判別する領域として波数範囲を5,400
〜6,400cmー1に限定し、吸光度変換法、微分法及び標準
化法の処理を任意に組み合わせたデータを、統計的に処
理するパターン認識法により、紙などのバックグランド
の吸収を含んだ状態においても識別することができるの
で、本発明の識別法を用いることによって、分析技術な
どの特殊な技能及び経験を必要としないで、非破壊によ
り印刷物を形成する印刷インキ中の樹脂や顔料の識別が
可能となる。そのため、印刷物を形成する印刷インキ部
分、例えば凹版インキ、平版インキ等を、本識別法を用
いて識別することによって真偽判別に適用できる。ま
た、印刷物を製造する段階で、印刷物のデザインに対し
て、印刷インキに含まれる樹脂あるいは顔料等の配合割
合を部分的に変えて印刷することにより、真偽判別をよ
り有効に発揮することもできるので、銀行券、株券、債
券等の有価証券、切手等の付加価値の高い製品の迅速な
真偽判別に適用できる。
R)を示す
ト樹脂を、それぞれ70重量部、フタロシアニンブルー
の顔料を30重量部混合したインキにより印刷した印刷
物の近赤外スペクトルを示す
図
ルを示す
ラスター分析を行うことにより作成した判別モデルを示
す
デルを示す
Claims (3)
- 【請求項1】 光源からの光を干渉計により干渉光と
し、光ファイバープローブを通して試料に干渉光を照
射、受光し、検出器により得られた信号をフーリエ変換
する手段と、前記フーリエ変換した波数4,500〜10,000c
mー1の近赤外スペクトルを吸光度変換、微分処理及び標
準化処理を任意に組み合わせて処理したデータを、ケモ
メトリックスにおける多変量解析を行うことでパターン
認識を行う手段とを備えたフーリエ変換近赤外線分析装
置(FTNIR)において、前記光ファイバープローブ
を印刷物に直接接触させて測定することと、得られた近
赤外スペクトルを波数範囲を5,400〜6,400cmー1に限定す
ることを特徴とし、クリアコートした樹脂や樹脂と顔料
を混合して塗布した印刷物を、非破壊により、予め作成
された標準試料による既知の判別モデルに比較して判別
あるいは識別し、真偽判別することを特徴とする印刷物
の識別法。 - 【請求項2】 クリアコートした樹脂や樹脂と顔料を混
合して塗布した印刷物を形成する印刷インキに含まれる
樹脂の、少なくとも二種類以上を任意の割合で混合し塗
布した印刷物を、前記請求項1の識別法を用いて識別す
ることを特徴とする印刷物の識別法。 - 【請求項3】 樹脂と種類の異なる同系色の顔料とを混
合して塗布した印刷物を、前記請求項1の識別法を用い
て識別することを特徴とする印刷物の識別法。
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JP32330996A JP3673957B2 (ja) | 1996-11-20 | 1996-11-20 | 印刷物の識別法 |
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1996
- 1996-11-20 JP JP32330996A patent/JP3673957B2/ja not_active Expired - Fee Related
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