JPH10147242A

JPH10147242A - 列車運行管理システム

Info

Publication number: JPH10147242A
Application number: JP8322186A
Authority: JP
Inventors: Koki Yoshida; 弘毅吉田
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1996-11-19
Filing date: 1996-11-19
Publication date: 1998-06-02
Anticipated expiration: 2016-11-19
Also published as: JP3455794B2

Abstract

(57)【要約】【課題】列車追跡処理において、不合理なＣＴＣ情報
に対して列車を仮追跡状態に陥らせないタフネス性を備
え、地上設備が故障状態から回復した際、速やかなに且
つ自動的に列車在線位置と該当列車を確定することにあ
る。【解決手段】列車追跡・制御コンピュータ２を有し、
ＣＴＣ情報に基づいて、追跡する列車の最後尾が在線す
る軌道回路（基準軌道回路）を記憶する機能４と、当該
列車の進路を構成する信号機情報を記憶する機能５と、
当該列車の進行リンク情報を記憶する機能６と、当該列
車の進行する軌道回路の在線リンクを作成し、該在線リ
ンクを記憶する機能７を備え、追跡する列車の基準軌道
回路が扛上した場合、在線リンクに従い順に軌道回路を
照査し、落下状態である軌道回路を検出したとき、列車
の在線位置と在線列車を追跡列車として特定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、地上設備である軌
道回路装置から列車集中制御装置を介して伝達されるＣ
ＴＣ情報に基づいて列車の追跡・制御を行う列車運行管
理システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、列車集中制御装置から伝達される
ＣＴＣ情報を基に列車の運行を管理するシステムにおい
て、列車の在線情報として列車集中制御装置から軌道回
路の落下・扛上情報等のＣＴＣ情報を受信し、そのＣＴ
Ｃ情報に基づいて列車の追跡・制御を行うことが行われ
ている。ところで、従来の列車の運行管理システムで
は、高速・高密度で運行されている列車に列車遅延等の
ダイヤの乱れが一旦生じると、そのダイヤの乱れを回復
することは非常に困難な状況にある。ダイヤの乱れが生
じる原因は種々あるが、その一つとして不合理なＣＴＣ
情報による列車の仮追跡がある。列車追跡・制御を行う
コンピュータは、不合理なＣＴＣ情報を取得すると、追
跡していた列車を仮追跡状態、具体的には追跡している
列車の列車番号を仮列車番号に置き換え、追跡処理を続
行する。しかし、仮追跡の列車番号ではダイヤに基づい
た進路制御が行えないため、仮追跡列車の列車番号を確
定しない限り、列車の遅延が発生することは避けられな
い。従って、指令員は、鉄道電話等を使って列車の在線
位置と列車番号を確認し、仮追跡番号を実際に走行する
列車の列車番号に修正し、確定することが行われてい
る。あるいは、地上設備に列車番号検知装置がある場合
は、仮追跡の列車が列車番号検知装置を通過することを
待って、指令員が列車を確定している。因に、列車集中
制御装置がこの不合理なＣＴＣ情報を伝達する要因は、
地上設備である軌道回路に供給する電源の給電システム
の故障（落雷等自然災害を含む。）による停電や、軌道
回路装置自体の故障（レール破損を含む。）等による連
続的な軌道回路の異常状態や、列車集中制御装置が軌道
回路装置から軌道回路情報を取得する際に取得タイミン
グのずれ、列車追跡・制御コンピュータへＣＴＣ情報を
伝送する際の伝送タイミングや伝送エラー等の一過性の
ＣＴＣ情報によって発生する。また、連続したＣＴＣ情
報が正常に回復した際も、ＣＴＣ情報が異常状態になる
前と回復後の列車の在線位置が必ずしも一致するわけで
はなく、ＣＴＣ情報が正常に回復した場合においても、
列車追跡においてＣＴＣ情報の合理性判断によって仮追
跡状態に陥ることは避けがたい。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の列
車の運行管理システムによる列車の追跡・制御では、不
合理なＣＴＣ情報が列車集中制御装置から列車追跡・制
御を行うコンピュータに伝達されたとき、列車の追跡が
仮追跡状態に陥り、そのため、列車の確定に際し、地上
設備の障害回復後、あるいは一過性のＣＴＣ情報の不正
情報が発生した場合など指令員の介在を含み、ある一定
以上の時間を要さないと、当該列車を確定できない、と
いう問題がある。

【０００４】本発明の課題は、列車の運行管理システム
における列車追跡処理において、不合理なＣＴＣ情報に
対して列車を仮追跡状態に陥らせないタフネス性を備
え、地上設備が故障状態から回復した際、速やかに且つ
自動的に列車在線位置と該当列車を確定することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題は、追跡する列
車の最後尾が在線する軌道回路（基準軌道回路）を記憶
する機能と、追跡する列車の進行する軌道回路の在線リ
ンクを作成し、該在線リンクを記憶する機能を備え、追
跡する列車の基準軌道回路が扛上した場合、在線リンク
に従い順に軌道回路を照査し、落下状態である軌道回路
を検出したとき、列車の在線位置と在線列車を追跡列車
として確定し、また、地上設備の故障回復時に、地上設
備故障前の基準軌道回路から在線リンクに従い順に軌道
回路を照査し、列車の最後尾が在線する軌道回路を検出
したとき、当該列車を地上設備故障前に追跡していた列
車として確定することによって、解決される。

【０００６】本発明は、基準軌道回路の情報、軌道回路
の在線リンクの情報に基づいて追跡する列車の在線位置
と在線列車を追跡列車として確定する。これは、列車集
中制御装置を介して伝達されるＣＴＣ情報の合理性を判
断することになり、追跡している列車の追跡状態が仮追
跡状態に陥ることを未然に防止することができ、当該列
車に対してダイヤ通りの進路制御が行え、結果として列
車の遅延発生と遅延波及を防止することができる。ま
た、地上設備の故障からの復旧の際も、故障発生直前に
落下していた基準軌道回路が故障回復後、列車の空走
（高速で走行している列車が停止するためには、相当な
距離を必要とする。）により当該の基準軌道回路が扛上
つまり列車が通り過ぎてしまった場合においても、自動
的に故障発生前の基準軌道回路から在線リンクに従い軌
道回路を順に照査し、落下している軌道回路を検出し
て、故障発生前に在線していた列車を速やかに且つ確実
に追跡し、列車を特定するため、列車の追跡状態が仮追
跡状態に陥ることなく、列車の追跡・制御を継続して実
行することができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。図１は、本発明の一実施形態による
列車運行管理システムを示す。列車運行管理システム
は、列車追跡・制御コンピュータ２、計画ダイヤ作成装
置のダイヤ情報を格納するダイヤファイル３、在線軌道
回路情報ファイル４、進路名や信号機の現示状態、進路
の開通方向等を格納する信号機情報ファイル５、信号機
情報から進路方向を格納する進路リンク情報ファイル
６、列車の軌道回路照査対象となる軌道回路を記憶する
在線リンク軌道回路ファイル７及び指令卓（運転整理用
端末）８からなる。また、地上設備（現地）として、運
行されている列車がレール上を走行すると、地上設備で
ある軌道回路装置（図示せず）や列車番号検出装置（図
示せず）から発せられるＣＴＣ情報つまり信号機情報、
軌道回路落下・扛上情報、列車番号情報を認識すると共
に、列車追跡・制御コンピュータ２から伝送される信号
機制御情報を基に、信号機を制御する列車集中制御装置
１を設備する。列車追跡・制御コンピュータ２は、列車
集中制御装置１から伝送されるＣＴＣ情報を基に、在線
軌道回路情報ファイル４、信号機情報ファイル５を更
新、格納し、あわせて信号機情報から進路の開通方向を
認識するための進路リンク情報ファイル６を更新する。
さらに、在線軌道回路情報、信号機情報及び進路リンク
情報に基づいて当該列車の軌道回路照査対象となる軌道
回路を作成し、その情報を在線リンク軌道回路情報とし
て在線リンク軌道回路ファイル７を更新、格納する。ま
た、列車追跡・制御コンピュータ２は、これらの一連の
処理を行って指令員が列車の運行状況を把握し、監視す
るための端末である指令卓８に更新されたファイルの結
果を伝送する。指令卓８は、伝送された情報を表示する
機能の他、警報等の情報を表示、通知等出力する機能を
備える。在線軌道回路情報ファイル４は、図２に示すよ
うに、在線列車テーブル４−１と軌道回路追跡テーブル
４−２からなり、在線列車テーブル４−１は在線する列
車単位に、軌道回路追跡テーブル４−２は軌道回路単位
に存在する。在線列車テーブル４−１と軌道回路追跡テ
ーブル４−２は、軌道回路追跡テーブル４−２の在線列
車テーブルポインタのアドレス情報によりリンケージす
る。ここで、図３に（表１）在線列車テーブルの構成、
図４に（表２）軌道回路追跡テーブルの構成を示す。

【０００８】次に、図５は、列車追跡の基となるＣＴＣ
情報、特に、軌道回路情報について軌道回路装置の仕組
みとＣＴＣ情報の関係を示す。図５（ａ）は、軌道回路
装置の仕組みであり、導電性であるレール２１を電気回
路の一部に見立ててそのレール２１に軌道回路用電源２
３からレール電気を流し、レール２１を通じて列車検知
リレー２２に電流を送り、列車検知リレー２２の作用を
利用してリレースイッチ２４を作動し、列車の在線を検
出する。ここで、列車検知リレー２２は、電流が供給さ
れることによりリレーに磁界が発生し、その電磁力によ
りリレースイッチ２４が誘導され、スイッチが入った状
態（以下、ＯＮ状態）となる。この状態を列車の在線し
ていない状態と位置づけ、これを軌道回路の扛上とい
う。すなわち、これが軌道回路扛上のＣＴＣ情報を表わ
す。また、列車２５が軌道回路に進入すると、導電性で
ある列車の車輪２６及び車軸２７により両レール回路を
短絡させることとなる。レール回路が車軸２７により短
絡されると、列車検知リレー２８にレール電流が供給さ
れなくなり、列車検知リレー磁束がなくなり、リレース
イッチ２９が開放状態（以下、ＯＦＦ状態）となる。こ
の状態を列車の在線している状態と位置づけ、これを軌
道回路の落下という。すなわち、これが軌道回路落下の
ＣＴＣ情報を表わす。列車追跡・制御コンピュータ２
は、このように作成されたＣＴＣ情報に基づいて列車を
追跡する。図５（ｂ）は、軌道回路装置に故障が発生し
た場合を示し、軌道回路に電気を供給する給電システム
の故障の例である。軌道回路装置用電源３０に供給する
電気が給電システムの故障（落雷を含む。）により供給
できなくなった場合、レール回路に電流が流れないた
め、列車検知リレー３１の磁束がなくなり、結果として
リレースイッチ３２がＯＦＦ状態となる。すなわち、列
車の在線を示す「軌道回路落下＝ＯＦＦ状態」を意味す
るＣＴＣ情報として列車集中制御装置１から列車追跡・
制御コンピュータ２に伝達される。図５（ｃ）は、上記
（ａ）及び（ｂ）の軌道回路状態とＣＴＣ表示情報の関
係をまとめた表である。ＣＴＣ表示情報は、地上設備の
状態として、「列車なし」のとき「扛上」、「列車あ
り」または「設備故障（停電）」のとき「落下」とな
る。

【０００９】次に、図６〜図８を参照し、実際の列車の
レール上の走行と、列車追跡・制御コンピュータ２上の
軌道回路の関係について説明する。図６〜図８におい
て、列車追跡・制御コンピュータ２上の軌道回路の斜線
部は、列車の在線を示す軌道回路の落下状態、白抜きの
部分は、列車在線していないことを示す軌道回路の扛上
状態を表わす。ここで、追跡する列車の最後尾が在線す
る軌道回路を「基準軌道回路」、追跡する列車の進行す
る軌道回路の結びつきを「在線リンク」という。

【００１０】図６は、実際の列車走行と列車追跡・制御
コンピュータ上の軌道回路情報の関係を示す。図６
（ａ）において、実際に列車の最後尾が軌道回路４０に
在線するとき、列車追跡・制御コンピュータ２上は、軌
道回路４０を基準軌道回路として認識し、そして、当該
列車の軌道回路照査リンケージである在線リンクとして
在線リンク４６〜５０を認識する。列車の走行に伴い、
図６（ｂ）の状態へ移行する。列車の先頭車両が軌道回
路４１に進入したため、軌道回路４１は落下状態とな
る。さらに列車が進むと、図６（ｃ）の状態になる。こ
の状態は列車の最後尾が在線していた軌道回路４０から
列車が存在しなくなるため、軌道回路４０が扛上する。
すなわち、基準軌道回路４０が扛上することになる。基
準軌道回路４０が扛上すると、列車追跡・制御コンピュ
ータ２は、基準軌道回路４０に在線していた列車の在線
リンクしている軌道回路４１、４２、４３、４４、４５
を基準軌道回路４０から順に照査し、落下している軌道
回路を検出する。図６（ｃ）のケースでは、基準軌道回
路４０の扛上により、まず、軌道回路４１の照査を行
い、その結果、軌道回路４１が落下していることから、
軌道回路４１を列車の最後尾が在線する基準軌道回路と
して認識し、基準軌道回路の情報を更新し、在線軌道回
路情報ファイル４に格納する。また、図６（ｃ）の軌道
回路４４は、軌道回路装置の故障等により列車追跡・制
御コンピュータ２上の列車の在線を示す軌道回路の落下
状態となった場合を表わす。列車追跡・制御コンピュー
タ２は、軌道回路４４の落下状報を受けると、この落下
した軌道回路４４に在線リンクしている列車の基準軌道
回路４１や列車長、走行予測データ等をもとに、この軌
道回路４４の落下情報の合理性を判断する。この場合、
合理性判断結果、不正な軌道回路の落下情報として認識
し、指令員に対して警報出力、表示通知等を行う。な
お、図６（ｃ）において、列車が在線しているにも拘ら
ず、列車追跡・制御コンピュータ２が軌道回路４１の扛
上状態を受けると、同様に不正な軌道回路の扛上情報と
して認識し、指令員に対して警報出力、表示通知等を行
う。

【００１１】図７、図８は、進路開通方向と在線リンク
の関係を示す。図７（ａ）は、正常時における信号機５
１の現示名称と進路開通方向及び在線リンクの関係を表
わす。いま、列車６８がＡ駅５０に接近し、軌道回路５
９に在線したとき、列車追跡・制御コンピュータ２は、
ダイヤファイル３を基に当該列車６８をＡ駅２番線に入
場させるべく、Ａ駅の入場信号機５１に対して「ＲＤ
１」（ＲＤ１：２番線への進路名称）の進路出力要求を
行う。この進路出力要求は列車集中制御装置１を介して
入場信号機５１へ伝達され、入場信号機５１は「ＲＤ
１」すなわちＡ駅２番線への進路を開通する。続いて、
この入場信号機５１の進路開通状態が列車集中制御装置
１を介してＣＴＣ情報として列車追跡・制御コンピュー
タ２に伝達される。列車追跡・制御コンピュータ２は、
このＣＴＣ情報を取得すると、信号機名称、この場合
「ＲＤ１」から信号機情報ファイル５の該当信号機５１
の現示名称を更新し、併せて信号機名称から進路リンク
情報ファイル６を検索し、当該列車の在線リンク軌道回
路を作成し、在線リンク軌道回路ファイル７に格納す
る。この状態を列車追跡・制御コンピュータ２の在線認
識として示すと、図７（ａ）となる。５３〜５７は列車
６８の在線軌道回路照査軌道回路を示す在線リンクであ
り、信号機５２の開通方向ＲＤ１側、すなわち、Ａ駅２
番線へ在線リンク５３〜５７が設定される。

【００１２】図７（ｂ）は、図７（ａ）において在線リ
ンクが確立した直後に、軌道回路に電気を供給する給電
システムに何らかの障害が発生し、軌道回路に電気が送
られなくなった状態を表わす。軌道回路に電気が供給さ
れなくなると、図５に示す通り、レール電流がなくな
り、列車検知リレー３１の磁束がなくなり、リレースイ
ッチ３２が開放されることから、結果として、列車追跡
・制御コンピュータ２は、ＣＴＣ情報として列車の在線
と等価の軌道回路落下情報を取得することになる。その
ため、図７（ｂ）に示す列車追跡・制御コンピュータ２
上の認識する軌道回路５８〜６７は全て落下状態とな
る。給電システムの障害は、走行している列車に対して
も電気の供給を絶つことから、列車は自走能力を失い、
緊急停止する。しかし、高速で走行中の列車は、停止す
るためにある程度の停止距離を必要とするため、給電シ
ステムの障害が発生したときに、列車が在線していた軌
道回路と給電システムの障害が回復した時に列車が在線
している軌道回路は必ずしも一致しない。列車が高速で
走行していればいるほど、また、駅構内付近を走行して
いると、障害回復後の軌道回路は殆ど一致することはな
い。図７（ｂ）は、在線リンクが確立した直後の給電シ
ステムの障害発生であり、また、当該列車６８が停止距
離を要したために、進路が開通されていたＡ駅２番線に
進入して停止した状態を示している。

【００１３】図８は、給電システムの障害が回復したと
きの列車追跡・制御コンピュータ２の動作を表わす。給
電システムが回復すると、軌道回路装置に電気が再び供
給される。電気が供給された軌道回路では、列車の在線
していない軌道回路は列車検知リレーに磁束を生じてリ
レースイッチがＯＮ状態になることにより、軌道回路扛
上状態になり、また、列車の在線している軌道回路では
列車検知リレーのリレースイッチがＯＦＦ状態のままで
軌道回路短絡状態を保ち、軌道回路落下状態になり、こ
の情報が列車集中制御装置１を介してＣＴＣ情報として
列車追跡・制御コンピュータ２に伝達される。列車追跡
・制御コンピュータ２は、受信したＣＴＣ情報により給
電システム障害発生前の基準軌道回路５９が扛上してい
ることを検知すると、在線リンク５３〜５７に基づいて
軌道回路を照査する。まず、扛上した基準軌道回路５９
の在線リンク先軌道回路である軌道回路６０を照査す
る。軌道回路６０は列車が存在しない状態、つまり軌道
回路の扛上状態となっているため、次の在線リンク先軌
道回路である軌道回路６１を照査する。軌道回路６１も
軌道回路６０と同様に軌道回路扛上状態となっているた
め、さらに先の在線リンク軌道回路である軌道回路６５
を照査する。軌道回路６５は列車６８の在線により軌道
回路状態が落下状態となっていることから、列車追跡・
制御コンピュータ２は軌道回路６５に列車６８の最後尾
が在線していると判断して、軌道回路６５を基準軌道回
路として情報を更新し、在線軌道回路情報ファイル４に
格納する。このように、基準軌道回路が扛上することに
より、在線リンク軌道回路を基準軌道回路から順に照査
し、落下状態にある軌道回路を検出すると、その軌道回
路を新たな基準軌道回路と判断し、在線軌道回路情報フ
ァイル４を更新し、格納する。これにより、障害回復後
の列車の在線位置及び当該列車を速やかに且つ自動的に
確定することができる。

【００１４】次に、図９〜図１２を参照し、列車追跡・
制御コンピュータ２がＣＴＣ情報として軌道回路の落下
情報を取得した場合と、軌道回路の扛上情報を取得した
場合の処理フローについて説明する。図９及び図１０
は、軌道回路が扛上している状態から落下状態へ変化し
たときの処理フローを示す。図９において、ステップ１
では、落下した軌道回路に対して在線リンクの有無を検
索し、不正な軌道回路の落下であるか否かを判定する。
ここでは、在線リンクのない軌道回路の落下は、列車の
走行に関係のない軌道回路の変化情報と判断し、ステッ
プ５の在線外処理によつて不正な軌道回路の落下として
警報出力、表示等を実行する。当該軌道回路に在線リン
クがある場合は、列車の軌道回路への進入による軌道回
路と考えられるため、ステップ２では、当該軌道回路の
変化が基準軌道回路からみて、有効な範囲の軌道回路変
化であるか否かの判定を行う。図１０に、図９のステッ
プ２の有効軌道回路の判定処理の詳細処理フローを示
す。ステップ２−１において、落下した軌道回路に在線
リンクしている列車について、表２（図４）のＮｏ．１
在線列車テーブルポインターを用いて該当する在線列車
テーブル４−１を検索し、表１（図３）のＮｏ．１列車
番号を取り出し、ステップ２−２において、取り出した
列車番号を基に表１のＮｏ．２基準軌道回路から当該列
車番号の最後尾が在線する軌道回路番号を取り出す。ス
テップ２−３では、取り出した基準軌道回路を基に在線
リンク軌道回路ファイル７から在線リンク軌道回路を取
り出す。続いて、ステップ２−４では、取り出した在線
リンク軌道回路の内、列車長、走行予測等から当該列車
の在線可能な軌道回路を在線リンク軌道回路ファイル７
から取り出す。次に、ステップ２−５において、落下し
た軌道回路が当該列車の在線可能な軌道回路に該当する
か否かを判定し、判定の結果、一致する場合は列車の軌
道回路への進入を決定し、不一致の場合は列車の進入以
外の軌道回路の落下と決定し、図９ステップ２へ戻る。
図９のステップ３において、ステップ２の結果を判定
し、落下した軌道回路が在線有効広範囲の場合は、ステ
ップ４において軌道回路在線処理を行い、在線軌道回路
情報ファイル４を更新し、格納する。落下した軌道回路
が在線有効広範囲外の場合は、ステップ５の軌道回路在
線処理において不正な軌道回路の変化発生として警報を
出力、表示等を実施する。

【００１５】図１１及び図１２は、落下していた軌道回
路が扛上状態へ変化したときの処理フローを示す。図１
１において、落下していた軌道回路が扛上すると、ステ
ップ１００では、扛上した軌道回路に該当する軌道回路
追跡テーブル４−２から表２のＮｏ．５またはＮｏ．６
リンク軌道回路情報を取り出し、扛上した軌道回路の在
線リンクの有無を検索する。検索の結果、在線リンクが
認められなかった場合は、列車の通過に伴う軌道回路の
扛上ではないと判断し、ステップ１５０において不正な
軌道回路の扛上の処理を実施する。在線リンクが認めら
れた場合、ステップ１１０において、表２のＮｏ．１在
線列車テーブルポインターを用いて該当する在線列車テ
ーブル４−１を検索し、表１のＮｏ．１列車番号を取り
出す。ステップ１２０では、表１のＮｏ．２基準軌道回
路から当該列車番号の最後尾が在線する軌道回路番号を
取り出し、ステップ１３０において、扛上した軌道回路
番号と表１のＮｏ．２基準軌道回路の軌道回路番号とを
比較する。比較の結果、扛上した軌道回路番号と基準軌
道回路番号が一致していれば、ステップ１４０におい
て、基準軌道回路更新処理を行う。また、不一致であれ
ば、基準軌道回路以外の軌道回路扛上であるとして、ス
テップ１５０において不正な軌道回路の扛上の処理を実
施する。不正落下した軌道回路の扛上であれば、ステッ
プ１６０で軌道回路の不正状態を解除する。

【００１６】図１２は、図１１のステップ１４０の基準
軌道回路更新処理の詳細処理フローを示す。図１２にお
いて、ステップ１４０−１では、在線リンク軌道回路番
号を取り出すため、軌道回路追跡テーブル４−２の表２
のＮｏ．５またはＮｏ．６リンク軌道回路情報を検索す
る。ステップ１４０−２では、ステップ１４０−１のリ
ンク軌道回路情報に基づいて在線リンク先軌道回路の在
線状態を検索する。リンク先軌道回路に該当する軌道回
路追跡テーブル４−２を取り出し、取り出したテーブル
内の表２のＮｏ．３在線状態の情報を参照する。ステッ
プ１４０−３では、Ｎｏ．３在線状態が「落下」状態で
あれば、ステップ１４０−５の基準軌道回路の更新処理
を行う。Ｎｏ．３在線状態が「落下」状態でなければ、
ステップ１４０−４において次に照査する軌道回路を設
定し、ステップ１４０−２へ戻る。この処理はステップ
１４０−３において軌道回路の落下が検出されるまで繰
り返される。ステップ１４０−５において、在線列車テ
ーブル４−１の表１のＮｏ．２基準軌道回路の情報を前
記のリンク先軌道回路番号に更新する。すなわち、落下
を検出した軌道回路を列車の最後尾が在線する軌道回路
すなわち基準軌道回路として判断し、基準軌道回路情報
を更新し、格納する。これにより、列車の在線軌道回路
及び列車番号を確定することができる。ステップ１４０
−６では、新たに基準軌道回路となった軌道回路から在
線可能な軌道回路の範囲を算出し、ステップ１４０−７
において、扛上した軌道回路の軌道回路追跡テーブル４
−２の表２のＮｏ．５またはＮｏ．６のリンク軌道回路
情報を更新し、扛上した軌道回路の在線リンクを切断す
る。これは、元の基準軌道回路の在線リンクを切断する
ことにより、常に列車の最後尾が在線する軌道回路から
進行方向への軌道回路照査を確実なものとし、併せて元
の基準軌道回路への後続列車の在線リンクを可能とする
ことになり、軌道回路照査範囲の細密化を保つことがで
きる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
列車運行管理システムの列車追跡・制御を司る機能にお
いて、列車集中制御装置を介して伝達されるＣＴＣ情報
の合理性を判断することにより、追跡している列車の追
跡状態が仮追跡状態に陥ることを未然に防止することが
できるため、当該列車に対してダイヤ通りの進路制御が
行え、結果として列車の遅延発生と遅延波及を防止する
ことができる。また、地上設備の故障からの復旧の際
も、地上設備側の復旧と同時に追跡していた列車の在線
位置を速やかに且つ自動的に確定することができるた
め、指令員による在線確認のための連絡作業が省かれ、
また、地上設備側の異常発生前と回復後の列車の在線位
置の不一致による列車の仮追跡状態に陥ることなく、列
車の追跡・制御を継続して実行することができ、列車遅
延の早急な回復を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態による列車運行管理システ
ムの構成図

【図２】本発明の在線軌道回路情報ファイルの構成図

【図３】表１在線列車テーブルの構成表図

【図４】表２軌道回路追跡テーブルの構成表図

【図５】軌道回路の仕組みとＣＴＣ情報との関係を示す
図

【図６】本発明による列車走行と列車追跡・制御コンピ
ュータ上の軌道回路情報の関係を示す図

【図７】本発明による進路開通方向と在線リンクの関係
を示す図

【図８】本発明による進路開通方向と在線リンクの関係
を示す図

【図９】本発明による軌道回路落下処理フロー図

【図１０】本発明による軌道回路落下処理ステップ２の
詳細処理フロー図

【図１１】本発明による軌道回路扛上処理フロー図

【図１２】本発明による軌道回路扛上処理ステップ１４
０の詳細処理フロー図

【符号の説明】

１…列車集中制御装置２…列車追跡・制御コン
ピュータ３…ダイヤファイル４…在線軌道回路情報フ
ァイル５…信号機情報ファイル６…進路リンク情報ファ
イル７…在線リンク軌道回路ファイル８…指令卓（運転整理用端末）４０〜４５、５８〜６７…軌道回路４６〜５０、５３〜５７…在線リンク５１…信号機

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】地上設備である軌道回路装置から列車集
中制御装置を介して伝達されるＣＴＣ情報に基づいて列
車の追跡・制御を行う列車運行管理システムにおいて、
追跡する列車の最後尾が在線する軌道回路（基準軌道回
路）を記憶する機能と、追跡する列車の進行する軌道回
路の在線リンクを作成し、該在線リンクを記憶する機能
を備え、追跡する列車の基準軌道回路が扛上した場合、
在線リンクに従い順に軌道回路を照査し、落下状態であ
る軌道回路を検出したとき、列車の在線位置と在線列車
を追跡列車として特定することを特徴とする列車運行管
理システム。
【請求項２】請求項１において、追跡する列車の最後
尾が在線する軌道回路（基準軌道回路）が扛上したと
き、列車の通過と判断することを特徴とする列車運行管
理システム。
【請求項３】請求項１において、追跡する列車の最後
尾が在線する軌道回路（基準軌道回路）と該列車の列車
長から軌道回路の異常落下または異常扛上を判断する機
能を備えることを特徴とする列車運行管理システム。
【請求項４】地上設備である軌道回路装置から列車集
中制御装置を介して伝達されるＣＴＣ情報に基づいて列
車の追跡・制御を行う列車運行管理システムにおいて、
追跡する列車の最後尾が在線する軌道回路（基準軌道回
路）を記憶する機能と、追跡する列車の進行する軌道回
路の在線リンクを作成し、該在線リンクを記憶する機能
を備え、地上設備の故障回復時に、地上設備故障前の基
準軌道回路から在線リンクに従い順に軌道回路を照査
し、列車の最後尾が在線する軌道回路を検出したとき、
当該列車を地上設備故障前の追跡列車として特定するこ
とを特徴とする列車運行管理システム。
【請求項５】請求項１または請求項４において、追跡
する列車の進行する軌道回路の在線リンクは、追跡する
列車の最後尾が在線する軌道回路（基準軌道回路）情
報、当該列車の進路を構成する信号機の現状状態と進路
開通方向の情報及び当該列車の進行方向の情報をもとに
作成することを特徴とする列車運行管理システム。