JPH10141170A - 高温高圧噴射用インジェクタ - Google Patents

高温高圧噴射用インジェクタ

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JPH10141170A
JPH10141170A JP8303154A JP30315496A JPH10141170A JP H10141170 A JPH10141170 A JP H10141170A JP 8303154 A JP8303154 A JP 8303154A JP 30315496 A JP30315496 A JP 30315496A JP H10141170 A JPH10141170 A JP H10141170A
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JP
Japan
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nozzle body
fuel oil
fuel
injection
temperature
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Application number
JP8303154A
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English (en)
Inventor
Mamoru Ishikiriyama
守 石切山
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D2200/00Input parameters for engine control
    • F02D2200/02Input parameters for engine control the parameters being related to the engine
    • F02D2200/06Fuel or fuel supply system parameters
    • F02D2200/0606Fuel temperature

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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温耐久性の高いインジェクタを提供する。 【解決手段】 高温高圧噴射用インジェクタ1は、ハウ
ジング11、ハウジング内に配置されたノズルボディ1
3、ノズルボディ内に配置された、油圧室17を有する
燃料油ケーシング15を備える。油圧室内の燃料油はヒ
ータ19により加熱されて高温の超臨界状態になる。噴
射停止時は、ノズルボディはスプリング33により燃料
油ケーシングに押圧され、燃料油ケーシングの底面15
aとノズルボディの底面13aとが当接し、油圧室の連
通孔15bと噴孔13bとが遮断される。アクチュエー
タ31によりノズルボディを下方に移動させると底面1
5aと13aとが離れ、連通孔と噴孔とが連通し、油圧
室内の超臨界状態の燃料油が噴孔から噴射される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高温高圧の流体を噴
射するインジェクタに関し、詳細には燃料を高温高圧の
状態で内燃機関燃焼室に噴射するのに適した高温高圧噴
射用インジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、燃料油を臨界圧力以上の圧
力及び臨界温度以上の温度の超臨界状態にして内燃機関
に噴射する燃料噴射方法及び装置について既に出願して
いる(特願平8−26903号)。超臨界状態まで液体
を昇圧昇温することにより液体は気体に相変化するが、
超臨界状態での気体は極めて高い密度を有するため液体
に近い物性を示すようになる。すなわち、超臨界状態に
することにより、液体は気体と液体との中間の物性を示
す超臨界状態の流体になり、種々の特異な性質を示す。
【0003】例えば、液体燃料を超臨界状態にしてノズ
ルからより低い圧力、温度雰囲気の燃焼室内に噴射する
と、燃料はノズルから噴射される過程で温度または圧力
が臨界値より低い亜臨界状態になる。このため、燃料の
一部が気相から液相に変化して燃焼室内に拡散し、燃焼
室内に極めて微細な燃料粒子を均一に形成することがで
きる。しかも、軽油等の液体燃料の臨界温度は300〜
500℃程度、臨界圧力は5MPa(50気圧)程度で
あるため、高温下であれば比較的低い圧力で超臨界状態
の軽油を形成することができる。従来、比較的低温の軽
油等の液体燃料を20MPa程度の高圧で燃焼室内に噴
射することにより機械的衝撃によって燃料を微粒化する
高圧噴射技術が知られているが、超臨界状態で液体燃料
を噴射することにより、より低い噴射圧力ではるかに微
細な燃料粒子を燃焼室内に均一に形成することが可能と
なる。このため、超臨界状態で燃料噴射を行うことによ
り、燃料噴射圧力を大幅に上昇させることなく、燃料の
微粒化による燃焼の向上を得ることが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、超臨界状態
で液体燃料を噴射する場合には燃料噴射圧力は比較的低
いものの、燃料温度を従来より高い温度に昇温する必要
がある。従来、一般的に使用される燃料噴射弁は、比較
的低い温度では高圧の噴射にも十分高い耐久性を有する
ものの、超臨界状態のような高温(例えば300〜50
0℃)で使用すると焼きつきや磨耗等の問題が生じ、燃
料噴射弁の耐久性が大幅に低下する問題が生じる。
【0005】図4は、従来の一般的な燃料噴射弁(ディ
ーゼルエンジン用の筒内燃料噴射弁)の構成を示す略示
図である。図4において、41は機関燃焼室に取着され
るハウジング、43はハウジング41に固定されたノズ
ルボディ、45はノズルボディ43先端内部に形成され
た油圧室(油だまり)、47は燃料噴射ポンプから供給
される高圧の燃料油を油圧室45に供給する燃料通路、
49は油圧室45に連通する噴孔を示している。また、
図4に411で示すのは、先端がテーパー状に加工され
たニードルである。ニードル411は、スプリング41
3により噴孔49側に押圧され、燃料噴射を停止した状
態では噴孔の周縁に形成されたバルブシートとニードル
411のテーパー部415との接触により油圧室45と
噴孔49とを遮断している。
【0006】この状態で、燃料噴射ポンプから燃料通路
47を通じて燃料油が供給され、油圧室45内の圧力が
上昇して所定の噴射圧力に到達すると、テーパー部41
5に作用する油圧によりニードル411がスプリング4
13の付勢力に抗して上昇し、油圧室45と噴孔49と
が連通する。これにより、油圧室45内の燃料油が噴孔
49から噴射される。また、燃料噴射により油圧室45
内の燃料圧力が低下すると、ニードル411はスプリン
グ413の付勢力により下降し、テーパー部415が噴
孔49周縁のバルブシートにに押圧される。これによ
り、油圧室45と噴孔49とが遮断されて燃料噴射が終
了する。
【0007】上述のように、従来の燃料噴射弁では各燃
料噴射毎にニードル411と噴孔49周縁のバルブシー
トとが接触してシールを行うようになっている。このた
め、従来の燃料噴射弁は、通常の比較的低い燃料温度で
使用する場合には問題は生じないものの、超臨界状態の
高温の燃料の噴射に使用した場合にはニードル4とバル
ブシートとの焼きつきやかじり等の作動不良が生じる問
題がある。
【0008】すなわち、バルブシートとニードル49の
テーパー部415とは、極めて接触面積の小さい、線接
触に近い接触状態となっているため、燃料噴射停止時の
シールを完全にするためにテーパー部415とバルブシ
ートとの接触圧力は大きく設定する必要がある。また、
従来の燃料噴射弁の構造ではニードル49はその全体が
燃料油中に浸漬されているため、高温の燃料油を使用す
るとニードルそのものの温度が高くなってしまい、テー
パー部415の熱膨張が大きくなる。このため、高温の
状態ではテーパー部の熱膨張と高温による耐久性の低下
とによりテーパー部415とバルブシートとに焼きつき
やかじりが生じやすくなるのである。
【0009】この問題は、理論的には、例えばセラミッ
クス等のように熱膨張率が小さく高温耐久性の良好な材
料でニードル411やバルブシート等を使用することに
よっても解決することができる。しかし、セラミックス
材料は機械加工が困難であり、特にニードル411をセ
ラミックス材料で製作する場合にはテーパー部415や
バルブシート部などのテーパーを有する部分を精度良く
加工することは難しい。このため、従来の燃料噴射弁と
同一の構造で、単に材料のみを変更したのでは、材料や
加工コストが大幅に上昇することとなり実際的でない。
【0010】本発明は上記問題に鑑み、コストの大幅な
上昇を伴うことなく、超臨界状態の液状燃料の噴射に使
用するのに適した高温耐久性にすぐれた燃料噴射弁をが
提供されるすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、ハウジングと、 前記ハウジング内に、ハウジ
ング軸線方向に移動可能に収納されたノズルボディと、
前記ノズルボディの前記軸線方向端面に形成された噴孔
と、前記ノズルボディ内に収納され前記ハウジングに固
定された燃料油ケーシングと、前記燃料油ケーシング内
に形成され、内部に加圧燃料油が供給される油圧室と、
前記燃料油ケーシングの前記軸線方向端面に開口し、前
記油圧室に連通する連通孔と、前記油圧室周囲に配置さ
れ、油圧室内の燃料油を加熱する加熱手段と、前記加熱
手段と前記ノズルボディとの間に配置された断熱材と、
前記ノズルボディを、前記ハウジングと前記燃料油ケー
シングとに対して軸線方向に移動させる駆動手段であっ
て、前記ノズルボディ軸線方向端面と燃料ケーシング軸
線方向端面とが面接触し、前記連通孔がノズルボディの
前記端面により閉塞される噴射停止位置と、ノズルボデ
ィ端面が燃料ケーシング軸線方向端面から離間して前記
連通孔が開放され、前記油圧室と前記噴孔とが記連通孔
を介して連通する噴射位置との間を前記ノズルボディを
移動させる駆動手段と、を備えた高温高圧噴射用インジ
ェクタが提供される。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、前記ノズ
ルボディ端面と前記燃料油ケーシング端面との少なくと
も一方は、前記噴射停止位置において互いに面接触する
部分がセラミックス材で形成されている請求項1に記載
の高温高圧噴射用インジェクタが提供される。請求項1
の燃料噴射弁では、従来のようにニードルを移動させて
燃料噴射を行うのではなく、燃料ケーシングは固定した
ままで、外側に配置したノズルボディを移動させて燃料
噴射を行う。また、燃料噴射時には、従来の燃料噴射弁
のようにニードルと噴孔周縁のバルブシートとの線状の
接触によりシールを行う代わりに、ノズルボディを燃料
油ケーシング端面に押圧して、ノズルボディ端面と燃料
油ケーシング端面との面状の接触により燃料油のシール
を行う。このため、ノズルボディと燃料油ケーシングと
の接触部ではシール面積を大きくとることができ、接触
部の面圧を低く設定しても十分なシール効果を得ること
ができる。また、燃料油ケーシングとノズルボディとは
互いに当接しているのみであるため、従来のようにニー
ドルの熱膨張により接触部のクリアランスが過度に狭く
なることがない。更に、油圧室とノズルボディとの間に
は断熱材が配置されているため、油圧室内の燃料油の温
度が上昇してもノズルボディ温度は比較的低く保持する
ことができる。本発明の燃料噴射弁では、このように比
較的低温であるノズルボディの方を移動させて燃料噴射
を行うようにしたため、摺動部(例えばノズルボディと
ハウジングとの摺動部)温度を低く維持することができ
る。このため、高温の超臨界状態の燃料を使用した場合
でも、焼きつきやかじりを生じることがない。
【0013】請求項2の燃料噴射弁では、燃料油ケーシ
ング端面とノズルボディ端面との接触部分(シール部)
は、燃料油ケーシングとノズルボディとのうち少なくと
も一方はセラミックス材料(例えば窒化珪素等)で形成
される。セラミックスは、機械加工が困難であり、テー
パー加工等では加工精度を上げることは難しいため、従
来の燃料噴射弁のニードルをセラミックスで形成するこ
とは困難である。しかし、請求項1のように、燃料油ケ
ーシングとノズルボディとの端面を面接触させるような
場合には、接触面は略平面とすることができる。また、
セラミックスはテーパー加工等では加工精度を上げるこ
とは難しいが、平面加工では比較的容易に加工精度を上
げることができる。このため、請求項1の燃料噴射弁の
燃料油ケーシングとノズルボディとの接触面の少なくと
も一方を高温耐久性の優れたセラミックスを使用するこ
とにより燃料噴射弁の高温での信頼性が更に向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
高温高圧噴射用インジェクタの一実施形態について説明
する。図1は、本発明を内燃機関の燃料噴射弁に適用し
た場合の一実施形態の構成を示す断面略示図である。
【0015】図1において、1は高温高圧噴射用インジ
ェクタ全体、11はインジェクタ1の円筒状のハウジン
グ(外筒)、13はノズルボディ、15は燃料油ケーシ
ングを示している。ノズルボディ13は、ハウジング1
1内に同軸に配置され、ハウジング11の軸線方向に移
動可能に保持されている。また、燃料油ケーシング15
は、ハウジング11の中央部、すなわちノズルボディ1
3内部に配置され、フランジ部15を介してハウジング
11に固定されている。図1に21、23で示すのはノ
ズルボディ13をハウジング11と燃料油ケーシング1
5とに対して摺動可能に保持するローラベアリング等の
軸受である。
【0016】燃料油ケーシング15内部には、油圧室1
7が形成されており、この油圧室17には燃料通路17
aを介して、図示しない燃料噴射ポンプから高圧の燃料
油が供給されている。また、本実施形態では、燃料油ケ
ーシング15の油圧室17部分の周囲には、加熱手段と
しての電気ヒータ19が配置されている。電気ヒータ1
9は、後述するように油圧室17内部の高圧の燃料油を
加熱して油圧室内部で超臨界状態の燃料油を生成するた
めのものである。電気ヒータ19及び燃料油ケーシング
15とノズルボディ13との間の間隙には断熱材25が
充填されており、電気ヒータ19及び燃料油ケーシング
15の熱がノズルボディ13に伝達されるのを防止し、
ノズルボディ13を比較的低温に維持するようになって
いる。
【0017】また、図1に31で示すのは、後述するノ
ズルボディ13の軸線方向の移動を行わせるための駆動
手段としてのソレノイド等の電磁アクチュエータ、33
で示すのは、ノズルボディ13を図1上方向に押圧付勢
するスプリングである。本実施形態では、燃料油ケーシ
ング15周囲の断熱材25は電磁アクチュエータ31部
分まで延設されており、燃料油ケーシング15から電磁
アクチュエータ31への熱の流入が防止される。また、
本実施形態では、ハウジング11内には、電磁アクチュ
エータ31周囲に冷却水等の冷媒が流れるコイル状の冷
却管35が設けられており高温作動条件下での電磁アク
チュエータ31の作動を確実にしている。
【0018】また、燃料油ケーシング15の軸線方向下
側の底面15aには、底面15aを貫通し、油圧室15
に連通する連通孔15bが設けられており、ノズルボデ
ィ13の底面13aには、噴孔13bが設けられてい
る。本実施形態では、インジェクタ1は、ノズルボディ
13の下側端面13aが内燃機関の燃焼室内に面するよ
うに機関に取着される。
【0019】図2(A) は、燃料油ケーシング15の底面
15a上の連通孔15bの配置を、図2(B) はノズルボ
ディ13の底面13a上の噴孔13bの配置を、それぞ
れ示している。図2(A) 、図2(B) にそれぞれ示すよう
に、連通孔15bは燃料油ケーシング15の底面15a
の中心周りの円周上に等距離に複数形成されているのに
対して、ノズルボディ13の底面13a上の噴孔13b
は底面の中心部に形成されている。燃料油ケーシング1
5とノズルボディ13とは同心に配置されているため、
図1に示したようにノズルボディ13が上昇位置にあ
り、ノズルボディ13の底面13aと燃料油ケーシング
15の底面15aとが当接した状態では連通孔15bと
噴孔13bとは底面13a、15aの接触部により遮断
される。すなわち、この状態では、底面13aと15a
との接触面は連通孔15bと噴孔13bとを遮断する面
シールを形成する。本実施形態では、図1に示すように
ノズルボディ13の底面13aと燃料油ケーシング15
の底面15aとが互いに当接する部分は、平板状の窒化
珪素等のセラミックス材13c、15cで形成され、底
面13a、15a間の平面シールを形成している。
【0020】次に、図1の高温高圧噴射用インジェクタ
1の動作について説明する。図1は、インジェクタ1か
らの燃料噴射を停止した状態の各部の位置関係を示して
いる。この状態では、電磁アクチュエータ31は通電さ
れておらず、ノズルボディ13はスプリング33の付勢
力により図の上方に付勢され、燃料油ケーシング15の
底面15aと、ノズルボディ13の底面13aとは互い
に当接した状態になっている。上述したように、この状
態では、連通孔15bと噴孔13bとは互いに遮断され
るため、油圧室17内の燃料油は連通孔13aから流出
せず、燃料噴射は行われない。
【0021】燃料油ケーシング15の油圧室17には、
燃料通路17aを介して、例えば5〜10MPa程度の
圧力の燃料油が供給されている。油圧室17内に充満し
た燃料油は、電気ヒータ19により加熱され300〜5
00℃程度の温度にまで昇温される。これにより、本実
施形態ではインジェクタ1内で加熱され燃料油が超臨界
状態に到達する。
【0022】図3は、図1のインジェクタ1の燃料噴射
時の各部の位置関係を示している。図1の状態から電磁
アクチュエータ31に通電が行われると、ノズルボディ
13はソレノイドの励磁によりスプリング33の付勢力
に抗して図の下方に移動し、図3に示した燃料噴射時の
位置に到達する。この状態では、ノズルボディ13の底
面13aは燃料油ケーシング15の底面15aから離間
し、燃料油ケーシング15の連通孔15bと噴孔13b
とは、底面15aと13aとの間に形成される容積部3
9を介して連通する。このため、油圧室17内の超臨界
状態の燃料油は連通孔15bから容積部39に流入し、
噴孔13bから機関燃焼室内に噴射される。この結果、
機関燃焼室内には極めて微細な燃料粒子が均一に分散し
て形成されるため、機関の燃焼状態が向上する。
【0023】本実施形態のインジェクタ1では、燃料噴
射量はノズルボディ13が下方に移動している時間、す
なわち電磁アクチュエータ31の通電時間により制御さ
れる。軽油等の燃料を超臨界状態に保持すると分子量の
大きい直鎖状飽和炭化水素や芳香族炭化水素が分解し、
分子量の小さい炭化水素が生成され、燃料が改質される
(特願平8−26903号参照)。本実施形態によれ
ば、油圧室17の容積をできるだけ大きく設定し油圧室
17内の燃料油の平均滞留時間が長くなるようにするこ
とにより、油圧室17内での燃料油の超臨界改質を行う
ようにすることも可能である。
【0024】次に、図1から図3の実施形態のインジェ
クタの特長について説明する。本実施形態では、以下の
特徴により図4に示した従来型の燃料噴射弁では得られ
ない高温耐久性を達成している。 燃料噴射停止のためのシールを、燃料油ケーシング
15の底面15aとノズルボディ13の底面13aとの
当接による面接触で行ったこと。
【0025】 高温の油圧室17及び電気ヒータ19
とノズルボディ13との間に断熱材を配置し、ノズルボ
ディ13を移動させることにより燃料噴射を行うように
したこと。 上記により、連通孔15bと噴孔13bとの間に大き
な接触面積をとることができるため、比較的小さな接触
圧力で効果的にシールを行うことが可能となる。また、
従来のニードルとバルブシートとの接触によるシール
は、接触時にニードルのテーパー部とバルブシートとの
間に必ず摺動が生じるのに対して、本実施形態では、接
触面は互いに当接するのみで接触面間に摺動が生じるこ
とがない。このため、本実施形態では高温時にも大きな
接触圧力や摺動によって接触面の焼きつきやかじりが生
じることがなくなり、高温耐久性が大幅に向上してい
る。
【0026】また、本実施形態では、ノズルボディ13
の底面13aと燃料油ケーシング15の底面15aとの
面接触によりシールを行うようにしたことにより、コス
トの大幅な上昇を招くことなく、接触部にセラミックス
材料を使用することが可能となっている。前述したよう
に、セラミックス材料は優れた対高温特性を示すもの、
従来の燃料噴射弁のニードルテーパー部等のようにテー
パー加工を行うことは極めて困難であった。しかし、セ
ラミックス材料を精度良く平面状に加工することは比較
的容易であり、本実施形態のように接触面が平面状の場
合には接触面にセラミックス材料を用いても大きなコス
トの上昇は生じない。このため、本実施形態では、ノズ
ルボディ13の底面13aと燃料油ケーシング15の底
面15aとの面接触によりシールを行うようにしたこと
により、接触面を平面状にすることができ、高温耐久性
が優れたセラミックス材料を接触面に使用することが可
能となっている。なお、本実施形態では底面13a、1
5bの両方の接触面にセラミックスシール13c、15
cを配置しているが、底面13a、15aのうち一方の
みにセラミックスシールを配置するようにしても良い。
【0027】また、上記により、油圧室17内の燃料
油が高温になってもノズルボディ13は比較的低い温度
に維持される。本実施形態では、この低温のノズルボデ
ィ13を移動させて燃料噴射を行うことにより、ノズル
ボディ13の摺動部や駆動機構の熱負荷を低減すること
が可能となり、高温時のノズルボディ13の作動の信頼
性が向上する。また、本実施形態ではノズルボディ13
を移動させて燃料噴射を行うようにしているが、理論的
にはノズルボディ13を固定して燃料油ケーシング15
を移動させることにより燃料噴射を行うことも可能であ
る。しかし、この場合には、高温の燃料油ケーシング1
5の可動部からの燃料油漏洩を防止するためのシールが
必要となる問題や、燃料油ケーシング15とハウジング
11やノズルボディ13との摺動部での焼きつきの問題
等が生じるおそれがある。これに対して、本実施形態で
はノズルボディ13を可動としたことにより、高温の燃
料油ケーシング15はハウジングに固定することがで
き、上記の問題は生じない。
【0028】更に、本実施形態ではインジェクタ1内に
加熱手段としての電気ヒータを内蔵させたことにより、
上記の高温耐久性の向上以外にも次の効果を得ている。 インジェクタ内で燃料を加熱できるため、燃料油を
超臨界状態にするための独立したヒータを設ける必要が
なく、特に自動車用機関に適用した場合には機関の搭載
スペースの増大を防止することができる。
【0029】 インジェクタに供給される燃料油温度
は比較的低温で足りるため、高温の超臨界状態の燃料油
を外部配管を通じてインジェクタに供給する場合に較べ
て安全性が増大する。 インジェクタ内で燃料油を加熱昇温するため、高温
の燃料油を配管でインジェクタに供給する場合の放熱に
よるエネルギロスが低減される。
【0030】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、従来に
比してインジェクタの高温耐久性が大幅に向上するた
め、例えば超臨界状態のような高温の燃料油を使用する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高温高圧噴射用インジェクタの一実施
形態の構成を示す断面図である。
【図2】図1のインジェクタの連通孔と噴孔との位置関
係を説明する図である。
【図3】図1のインジェクタの燃料噴射時の各部の位置
関係を示す断面図である。
【図4】従来のインジェクタの構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1…高温高圧噴射用インジェクタ 11…ハウジング 13…ノズルボディ 15…燃料油ケーシング 17…油圧室 13b…噴孔 15b…連通孔 19…ヒータ 25…断熱材 31…アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02M 51/06 F02M 51/06 Z 53/04 P 53/04 31/12 321E

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、 前記ハウジング内に、ハウジング軸線方向に移動可能に
    収納されたノズルボディと、 前記ノズルボディの前記軸線方向端面に形成された噴孔
    と、 前記ノズルボディ内に収納され前記ハウジングに固定さ
    れた燃料油ケーシングと、 前記燃料油ケーシング内に形成され、内部に加圧燃料油
    が供給される油圧室と、 前記燃料油ケーシングの前記軸線方向端面に開口し、前
    記油圧室に連通する連通孔と、 前記油圧室周囲に配置され、油圧室内の燃料油を加熱す
    る加熱手段と、 前記加熱手段と前記ノズルボディとの間に配置された断
    熱材と、 前記ノズルボディを、前記ハウジングと前記燃料油ケー
    シングとに対して軸線方向に移動させる駆動手段であっ
    て、前記ノズルボディ軸線方向端面と燃料ケーシング軸
    線方向端面とが面接触し、前記連通孔がノズルボディの
    前記端面により閉塞される噴射停止位置と、ノズルボデ
    ィ端面が燃料ケーシング軸線方向端面から離間して前記
    連通孔が開放され、前記油圧室と前記噴孔とが記連通孔
    を介して連通する噴射位置との間を前記ノズルボディを
    移動させる駆動手段と、 を備えた高温高圧噴射用インジェクタ。
  2. 【請求項2】 前記ノズルボディ端面と前記燃料油ケー
    シング端面との少なくとも一方は、前記噴射停止位置に
    おいて互いに面接触する部分がセラミックス材で形成さ
    れている請求項1に記載の高温高圧噴射用インジェク
    タ。
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