JPH10140450A - ジャカードラッセルレース地の編成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸切れ、針折れ、柄部分の乱れを招くことな
く、一層ボリュームのある斬新なジャカードラッセルレ
ース地の編成方法の提供を課題とする。 【解決手段】 ドロッパーバーと弾力性のある板バネを
使用したフランチン筬とを備えたジャカードラッセル編
機により編成される、１本以上の柄糸(1) が地組織の３
ウェール間以上を往復した厚地部分(G) と、１本以上の
柄糸(1) が２ウェール間を往復して編み込まれた薄地部
分(J) と、１本以上の柄糸(1) をウェールに沿ってラッ
ピングした穴地部分(H) とに、フランチン筬に通糸した
柄糸(1) のショッギング運動制御及びパンチングカード
によるドロッパーバーのドロップ高さの、基準値０と該
基準値に対して僅かの±値とする作動制御により、任意
のコース間隔毎の単一又は複数コースに１本以上の柄糸
(1) を前記厚地部分の往復ウェール数以上のウェール間
に往復させて厚地部分以上の厚みに編成したライン状膨
出部分(L) を組み合わせて編成することを特徴とするジ
ャカードラッセルレース地の編成方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はドロッパーバーと弾
力性のある板バネを使用したフランチン筬とを備え、チ
ェーンまたはパターンホイールの高低により地組織が決
定されるジャカードラッセル編機によって、ボリューム
のある図柄と縞柄を形成するレース地の編成方法に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、地組織を有するカーテンレース
地、衣料レース地等に用いられるラッセルレース地にお
いては、その地組織形成がチェーンまたはパターンホイ
ール等により地筬を制御して同一編組織を繰り返し、こ
のような網素地部分に対して柄糸の挿入により所望の柄
出しを行っていたが、このようにして編成されたレース
地は、同一組織の繰り返しであるため変化のあるものは
望めなかった。

【０００３】しかしこのような欠点は、鎖糸により形成
された鎖編目列に対して単列のフランチン筬に通糸した
柄糸により鎖編目列を引き寄せ、不規則に乱れさせてな
る網素地部分と、フランチン筬のショッギング運動によ
る柄糸のウェール間の横振り移動により、鎖編目列を一
重または二重に連結し、その重なり具合による濃淡によ
って柄出しを行うことによって解消している。

【０００４】ところが上記編成においては、網素地部分
形成の糸と柄糸が同一であるので、柄糸張力と網素地部
分の糸張力を極端に変化させると、糸切れ、針折れ、柄
部分の乱れが生じて実際上極端に変化させることができ
ない。このため、濃淡による柄出しはできるもののレー
ス地自体が平面的となり、ボリューム感のある斬新なジ
ャカードラッセルレース地を得ることができなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記現状に鑑
み、ドロッパーバーと弾力性のある板バネを使用したフ
ランチン筬とを備えた一般的なジャカードラッセル編機
によって、糸切れ、針折れ、柄部分の乱れを招くことな
く、一層ボリュームのある斬新なジャカードラッセルレ
ース地の編成方法の提供を課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、ドロッパーバ
ーと弾力性のある板バネを使用したフランチン筬とを備
えたジャカードラッセル編機により編成される、１本以
上の柄糸が地組織の３ウェール間以上を往復した厚地部
分と、１本以上の柄糸が２ウェール間を往復して編み込
まれた薄地部分と、一本以上の柄糸をウェールに沿って
ラッピングした穴地部分とに、フランチン筬に通糸した
柄糸のショッギング運動制御及びドロッパーバーのパン
チングカードによるドロップ高さの、基準値０と該基準
値に対して僅かの±値とする作動制御により、任意のコ
ース間隔毎の単一又は複数コースに１本以上の柄糸を前
記厚地部分の往復ウェール数以上のウェール間に往復さ
せて厚地部分以上の厚みに編成したライン状膨出部分を
組み合わせて編成することを特徴とするジャカードラッ
セルレース地の編成方法を要旨とするる。

【０００７】

【発明の実施の態様】及び

【実施例】本発明に係るジャカードラッセル編機による
レース地の編成方法を図示に従って詳細に説明すると、
図１は厚地部分(G) の編成組織拡大図と、各部分のフラ
ンチン筬とドロッパーバーのラッピング相互関係図、図
２は薄地部分(J) の編成組織拡大図と、各部分のフラン
チン筬とドロッパーバーのラッピング相互関係図、、図
３は穴地部分(H) の編成組織拡大図と、各部分のフラン
チン筬とドロッパーバーのラッピング相互関係図、図４
はライン状膨出部分(L) の編成組織拡大図と、各部分の
フランチン筬とドロッパーバーのラッピング相互関係
図、図５は本発明方法によって編成されたジャカードラ
ッセルレース地の一例を示した部分平面拡大図である。

【０００８】厚地部分(G) は、図１に示すように１本の
柄糸(1) を地組織の鎖編糸３本にラッピングした場合で
あって、隣接するウェール間に２本の柄糸(1) が重なり
合って編み込まれ、模様部が厚地に編成されている。こ
の場合の編成は、フランチン筬のチェーンまたはパター
ンホイールによるショッギング運動制御及びパンチング
カードによるドロッパーバーの作動、不作動の制御によ
り編成される。すなわち、隣接するウェール間に渡すべ
き柄糸(1) を、ドロッパーバーの落下によってガイドニ
ードルを押し、３ウェール間に渡すようにして、隣接す
るウェール間に２本の柄糸(1) が重なった厚地部分(G)
を形成する方法により編成される。

【０００９】また薄地部分(J) は、図２に示すように柄
糸(1) が隣接する２本の鎖編糸の間に１本だけ横たえら
れて、模様部が薄地に編成されている。この場合の編成
は、フランチン筬のチェーンまたはパターンホイールに
よるショッギング運動制御のみでドロッパーバーを不作
動制御として編成される。すなわち、フランチン筬のチ
ェーンまたはパターンホイールによるショッギング運動
制御によって編成される、隣接する２本の鎖編糸の間に
柄糸(1) の１本だけ横たえられた、フランチン筬のチェ
ーンまたはパターンホイールによるショッギング運動制
御によって編成がそのまま現われるようにした薄地部分
(J) を形成する方法により編成される。

【００１０】さらに穴地部分(H) は、図３に示すように
柄糸(1) を鎖編糸の１本にだけ絡ませたものである。こ
の場合の編成は、フランチン筬のチェーンまたはパター
ンホイールによるショッギング運動制御及びパンチング
カードによるドロッパーバーの作動、不作動の制御によ
り編成される。すなわち、隣接するウェール間に渡すべ
き柄糸(1) を、ドロッパーバーの作動によって１本の鎖
編糸のみに絡ませ、ウェール部分に柄糸(1) が横たわら
ない状態となるようにした穴地部分(H) を形成する方法
により編成される。

【００１１】上記、厚地部分(G) 、薄地部分(J) 、穴地
部分(H) と組み合わせて編成するライン状膨出部分(L)
は、図４に示すように任意のコース間隔毎に、相隣る少
なくとも１本以上（図示においては１本）の柄糸(1) を
ラッピングしたものであり、１本の柄糸(1) が６ウェー
ル間を振られて横たえられ、隣接するウェール間に重合
的に編み込まれ、地組織の１マス目の長さに１２本の柄
糸(1) が重合介在するライン状膨出部分(L) が、設定し
たコース毎の２コース以上に幅方向に編成される。すな
わち、フランチン筬に通糸した柄糸(1) のショッギング
運動制御及びパンチングカードによるドロッパーバーの
作動制御により、その３ウェール間に渡るべき柄糸(1)
を６ウェール間に渡してラッピングすることにより編成
する。

【００１２】以上説明した、厚地部分(G)、薄地部分(J)、
穴地部分(H) 及びライン状膨出部分(L) の形成において
は、チェーンまたはパターンホイール制御によりフラン
チン筬に通糸した柄糸(1) にショッギング運動を付与
し、パンチングカードによってドロップ高さを基準値０
と該基準値に対して僅かの±値とに設定されたドロッパ
ーバーの作動制御することを前提として行われるから、
編成されたジャカードラッセルレース地には、厚地部分
(G)、薄地部分(J)、穴地部分(H) の重なりの濃淡による柄
模様形成と同時に、１本以上の柄糸(1) が７本の鎖編糸
間の６ウェール間に振られて横たわり、隣接するウェー
ル間に、１２本以上の柄糸(1) が地組織の１マス目の長
さに重合的に編み込まれてライン状膨出部分(L) が編成
され、このライン状膨出部分(L) が設定したコース毎の
２本以上のコースに沿って幅方向に連続し、ボリューム
のある縞柄模様が形成される。

【００１３】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、少なくとも穴地部分(H) を含む、厚地部分(G)、薄
地部分(J) のいずれか一種類とライン状膨出部分(L) と
を組み合わせて、あるいは基本ラッピングを３針間と
し、該基本ラッピングよりも左右へ１針増、減するよう
に実施してもよい。なお図５は、穴地部分(H)、薄地部分
(J) 及びライン状膨出部分(L) とを組み合わせた、本発
明方法により編成したジャカードラッセル編機によるレ
ース地の現物を、四倍に拡大コピーして示したものであ
る。

【００１４】

【発明の効果】以上説明した本発明に係るジャカードラ
ッセル編機によるレース地の編成方法によれば、チェー
ンまたはパターンホイールの高低によって編組織が決定
されるジャカードラッセル編機によるレース地の編成に
おいて、フランチン筬に通糸した柄糸のショッギング運
動制御及びドロッパーバーのドロップ高さの、基準値０
と該基準値に対して僅かの±値とするパンチングカード
による作動制御により編成するようにしたから、柄糸張
力と網素地部分の糸張力を極端に変化させ且つ柄糸のウ
ェール間の横振り移動を大きくして鎖編糸目列の重なり
を多くしても、糸切れ、針折れ、図柄等の部分に乱れを
生じず、また柄糸のウェール間の横振り移動範囲及び鎖
編糸目列の重なり数を増大することができるようにな
る。

【００１５】したがって本発明の方法によれば、１本以
上の柄糸を編素地の３ウェール間に振って重合的に編成
した厚地部分と、隣接する２本の鎖編糸の間に柄糸の１
本だけが横たえられた状態に編成された薄地部分と、１
本の柄糸がウェールに沿って編み込まれた穴地部分の
内、少なくとも前記穴地部分を含む他の両方又はいずれ
かの一つの部分と、相隣る少なくとも１本以上の柄糸が
前記厚地部分の振りウェール数以上のウェール間に振ら
れて隣接するウェール間に重合的に編み込まれ、地組織
の１マス目の長さに振りウェール数の倍数以上の柄糸が
横たわるライン状膨出部分とを、組み合わせて編み込み
設定したコース毎の２コース以上に幅方向に編成するこ
とができ、編成されたジャカードラッセルレース地は、
網素地部分となる穴地部分に、厚地部分、薄地部分の全
部またはいずれか一つの部分によって、柄糸の重なり具
合による濃淡により形成される図柄模様とは別に、ライ
ン状膨出部分によるボリュームのある縞柄模様が、任意
のコース毎の複数コース以上に沿う幅方向に連続して形
成されたものとなり、全体として高ボリュームの立体感
に富み、斬新で美麗な図柄、縞柄を併有し、カーテンレ
ース地、衣料レース地等に最適のジャカードラッセルレ
ース地を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るジャカードラッセル編機によるレ
ース地の編成方法により編成したレース地を構成する、
厚地部分(G) の編成組織拡大図と、各部分のフランチン
筬とドロッパーバーのラッピング相互関係図である。

【図２】レース地を構成する薄地部分(J) の編成組織拡
大図と、各部分のフランチン筬とドロッパーバーのラッ
ピング相互関係図である。

【図３】レース地を構成する穴地部分(H) の編成組織拡
大図と、各部分のフランチン筬とドロッパーバーのラッ
ピング相互関係図である。

【図４】レース地を構成するライン状膨出部分(L) の編
成組織拡大図と、各部分のフランチン筬とドロッパーバ
ーのラッピング相互関係図である。

【図５】本発明方法によって編成されたジャカードラッ
セルレース地の一例を示した部分平面拡大図である。

【符号の説明】

(G) 厚地部分 (J) 薄地部分 (H) 穴地部分 (L) ライン状膨出部分 (1) 柄糸

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドロッパーバーと弾力性のある板バネを
   使用したフランチン筬とを備えたジャカードラッセル編
   機により編成される、１本以上の柄糸が地組織の３ウェ
   ール間以上を往復した厚地部分と、１本以上の柄糸が２
   ウェール間を往復して編み込まれた薄地部分と、一本以
   上の柄糸をウェールに沿ってラッピングした穴地部分と
   に、フランチン筬に通糸した柄糸のショッギング運動制
   御及びドロッパーバーのパンチングカードによるドロッ
   プ高さの、基準値０と該基準値に対して僅かの±値とす
   る作動制御により、任意のコース間隔毎の単一又は複数
   コースに１本以上の柄糸を前記厚地部分の往復ウェール
   数以上のウェール間に往復させて厚地部分以上の厚みに
   編成したライン状膨出部分を組み合わせて編成すること
   を特徴とするジャカードラッセルレース地の編成方法。