JPH10140307A - Zn合金の熱処理方法 - Google Patents
Zn合金の熱処理方法Info
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- JPH10140307A JPH10140307A JP8312993A JP31299396A JPH10140307A JP H10140307 A JPH10140307 A JP H10140307A JP 8312993 A JP8312993 A JP 8312993A JP 31299396 A JP31299396 A JP 31299396A JP H10140307 A JPH10140307 A JP H10140307A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 金型や低融点金属中子として用いるZn系合
金の切削性、耐衝撃性、寸法安定性を向上させるための
熱処理方法、及び、Zn系合金からなるはんだを用いて
アルミニウム合金を接合する場合に、その接合部の接合
強度の経時的変化を抑えると共に、接合部の靭性を向上
させて、耐衝撃性を高めるための熱処理方法を提供す
る。 【解決手段】 Zn−Al系合金、特に88〜99重量
%のZn、0.5〜6重量%のAl、0.5〜4重量%
のMg、0〜1.5重量%のCu、0〜1.0重量%の
その他の元素からなるZn合金を、共析変態点よりも高
く、該Zn合金よりも低い温度で、20分以上加熱した
後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷するか、または、
100℃以上、該共析変態点以下の温度で、3時間以上
加熱した後、空中放冷する。
金の切削性、耐衝撃性、寸法安定性を向上させるための
熱処理方法、及び、Zn系合金からなるはんだを用いて
アルミニウム合金を接合する場合に、その接合部の接合
強度の経時的変化を抑えると共に、接合部の靭性を向上
させて、耐衝撃性を高めるための熱処理方法を提供す
る。 【解決手段】 Zn−Al系合金、特に88〜99重量
%のZn、0.5〜6重量%のAl、0.5〜4重量%
のMg、0〜1.5重量%のCu、0〜1.0重量%の
その他の元素からなるZn合金を、共析変態点よりも高
く、該Zn合金よりも低い温度で、20分以上加熱した
後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷するか、または、
100℃以上、該共析変態点以下の温度で、3時間以上
加熱した後、空中放冷する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス金型や低融
点金属中子、あるいはアルミニウム用はんだの材料とし
て用いられるZn(亜鉛)合金の諸特性を向上させるた
めの熱処理方法に関する。
点金属中子、あるいはアルミニウム用はんだの材料とし
て用いられるZn(亜鉛)合金の諸特性を向上させるた
めの熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛合金を熱処理する技術としては、Z
n合金(JIS H5301に示される、Mgの含有率
が0.06重量%以下のZDC1やZDC2)からなる
ダイカストの製品に、100℃で3〜10時間の安定化
処理を施すことが知られている。一方、これらZDC1
やZDC2のZn合金よりも高い含有率でMgを含むZ
n合金に関し、金型等の用途における寸法安定性等の向
上、あるいはアルミニウム合金の接合における接合強度
の安定性等の向上のために、鋳造後に熱処理する技術に
ついては、報告されていない。
n合金(JIS H5301に示される、Mgの含有率
が0.06重量%以下のZDC1やZDC2)からなる
ダイカストの製品に、100℃で3〜10時間の安定化
処理を施すことが知られている。一方、これらZDC1
やZDC2のZn合金よりも高い含有率でMgを含むZ
n合金に関し、金型等の用途における寸法安定性等の向
上、あるいはアルミニウム合金の接合における接合強度
の安定性等の向上のために、鋳造後に熱処理する技術に
ついては、報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、樹脂
の射出成形用金型や低融点金属中子として用いられるZ
n合金の硬度の増大及び寸法の経時的変化を抑制し、切
削性、寸法安定性、耐衝撃性を向上させることにある。
また、本発明の他の目的は、Zn−Al系アルミニウム
用はんだを用いてアルミニウム合金の接合を行なう場合
に、接合部の接合強度の経時的変化を抑えて安定化させ
ると共に、接合部の靭性を向上させて、耐衝撃性を高め
ることにある。
の射出成形用金型や低融点金属中子として用いられるZ
n合金の硬度の増大及び寸法の経時的変化を抑制し、切
削性、寸法安定性、耐衝撃性を向上させることにある。
また、本発明の他の目的は、Zn−Al系アルミニウム
用はんだを用いてアルミニウム合金の接合を行なう場合
に、接合部の接合強度の経時的変化を抑えて安定化させ
ると共に、接合部の靭性を向上させて、耐衝撃性を高め
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のZn合
金の熱処理方法は、88〜99重量%のZn、0.5〜
6重量%のAl、0.5〜4重量%のMg、0〜1.5
重量%のCu、0〜1.0重量%のその他の元素からな
るZn合金を、共析変態点よりも高く、融点よりも低い
温度で、20分以上加熱した後、0.1〜10℃/分の
速度で徐冷するか、または、100℃以上、共析変態点
以下の温度で、3時間以上加熱した後、空中放冷するこ
とを特徴とする。請求項2に記載のZn合金を用いた接
合部材の熱処理方法は、88〜99重量%のZn、0.
5〜6重量%のAl、0.5〜4重量%のMg、0〜
1.5重量%のCu、0〜1.0重量%のその他の元素
からなるZn合金をはんだに用いて接合した接合部材
を、該Zn合金の共析変態点よりも高く、融点よりも低
い温度で、20分以上加熱した後、0.1〜10℃/分
の速度で徐冷するか、または、100℃以上、共析変態
点以下の温度で、3時間以上加熱した後、空中放冷する
ことを特徴とする。
金の熱処理方法は、88〜99重量%のZn、0.5〜
6重量%のAl、0.5〜4重量%のMg、0〜1.5
重量%のCu、0〜1.0重量%のその他の元素からな
るZn合金を、共析変態点よりも高く、融点よりも低い
温度で、20分以上加熱した後、0.1〜10℃/分の
速度で徐冷するか、または、100℃以上、共析変態点
以下の温度で、3時間以上加熱した後、空中放冷するこ
とを特徴とする。請求項2に記載のZn合金を用いた接
合部材の熱処理方法は、88〜99重量%のZn、0.
5〜6重量%のAl、0.5〜4重量%のMg、0〜
1.5重量%のCu、0〜1.0重量%のその他の元素
からなるZn合金をはんだに用いて接合した接合部材
を、該Zn合金の共析変態点よりも高く、融点よりも低
い温度で、20分以上加熱した後、0.1〜10℃/分
の速度で徐冷するか、または、100℃以上、共析変態
点以下の温度で、3時間以上加熱した後、空中放冷する
ことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるZn合金として
は、88〜99重量%のZn、0.5〜6重量%のA
l、0.5〜4重量%のMg、0〜1.5重量%のC
u、0〜1.0重量%のその他の元素からなる合金を挙
げることができる。この合金は、高強度及び高硬度を有
するプレス金型用Zn合金、鋳物用低融点金属中子に用
いるダイカスト用Zn合金、及び超音波はんだ付け法を
用いて行われるアルミニウムダイカスト鋳物の接合にお
いて用いられるはんだ用Zn合金として、本発明者らが
開発したものである。この合金の成分組成について説明
すると、次の通りである。
は、88〜99重量%のZn、0.5〜6重量%のA
l、0.5〜4重量%のMg、0〜1.5重量%のC
u、0〜1.0重量%のその他の元素からなる合金を挙
げることができる。この合金は、高強度及び高硬度を有
するプレス金型用Zn合金、鋳物用低融点金属中子に用
いるダイカスト用Zn合金、及び超音波はんだ付け法を
用いて行われるアルミニウムダイカスト鋳物の接合にお
いて用いられるはんだ用Zn合金として、本発明者らが
開発したものである。この合金の成分組成について説明
すると、次の通りである。
【0006】0.5〜6重量%のAlを添加することに
よって、凝固開始温度を下げることができる。Alの添
加量が6重量%を超えると、凝固開始温度は徐々に高く
なり、凝固区間も長くなる。0.5〜4重量%のMgを
添加することによって、はんだの融点を低下させ、ま
た、不純物、特にPbやSnが混入した時に懸念される
粒界腐食を抑制することができる。Mgの添加量が0.
5重量%未満では、目的とする融点のはんだを得ること
ができず、逆に4重量%を超えると、溶融時の酸化物
(滓)の発生が著しくなって、材料の歩留まりを低下さ
せるばかりか、はんだが著しく脆化して実用に供し得な
い。
よって、凝固開始温度を下げることができる。Alの添
加量が6重量%を超えると、凝固開始温度は徐々に高く
なり、凝固区間も長くなる。0.5〜4重量%のMgを
添加することによって、はんだの融点を低下させ、ま
た、不純物、特にPbやSnが混入した時に懸念される
粒界腐食を抑制することができる。Mgの添加量が0.
5重量%未満では、目的とする融点のはんだを得ること
ができず、逆に4重量%を超えると、溶融時の酸化物
(滓)の発生が著しくなって、材料の歩留まりを低下さ
せるばかりか、はんだが著しく脆化して実用に供し得な
い。
【0007】1.5重量%以下のCuを添加することに
よって、合金を強化することができる。Cuの添加量が
1.5重量%を超えると、高融点の初晶を招き、結果的
にはんだの融点を下げることができなくなる。上記その
他の元素としては、地金中に含まれる不純物のSn、C
d、Pb、Fe等を挙げることができる。これらの元素
は、合金の融点を下げる効果を示すものの、著しく粒界
腐食を招くおそれがあるため、含有率の小さい方が好ま
しい。
よって、合金を強化することができる。Cuの添加量が
1.5重量%を超えると、高融点の初晶を招き、結果的
にはんだの融点を下げることができなくなる。上記その
他の元素としては、地金中に含まれる不純物のSn、C
d、Pb、Fe等を挙げることができる。これらの元素
は、合金の融点を下げる効果を示すものの、著しく粒界
腐食を招くおそれがあるため、含有率の小さい方が好ま
しい。
【0008】このZn合金は、次のようにして製造され
る。まず、高純度Zn地金(純度99.99%以上)と
純Al地金(純度99.9%以上)を所定の比率で秤量
した後、Alの融点付近(約660℃)の温度に加熱し
て、Zn−Al合金を溶製する。次に、溶湯が約450
℃付近にまで降温してから、純Mg塊(純度99.99
%)を溶湯中に添加して溶解させ、当温度に30分位保
持した後、インゴットケースに出湯して、目的とするZ
n合金はんだのインゴットを得る。Cuを添加したい場
合は、純Alに替えて、Al−Cu合金と純Alとを使
用し、目標組成に秤量して上述の方法と同様にして溶製
する。
る。まず、高純度Zn地金(純度99.99%以上)と
純Al地金(純度99.9%以上)を所定の比率で秤量
した後、Alの融点付近(約660℃)の温度に加熱し
て、Zn−Al合金を溶製する。次に、溶湯が約450
℃付近にまで降温してから、純Mg塊(純度99.99
%)を溶湯中に添加して溶解させ、当温度に30分位保
持した後、インゴットケースに出湯して、目的とするZ
n合金はんだのインゴットを得る。Cuを添加したい場
合は、純Alに替えて、Al−Cu合金と純Alとを使
用し、目標組成に秤量して上述の方法と同様にして溶製
する。
【0009】アルミニウムの接合に用いるはんだ用Zn
合金としては、上述の組成の合金の他に、代表的なもの
として、Zn−Al系合金、例えば、JIS Z328
1に示すAH−Z95A等を挙げることができる。
合金としては、上述の組成の合金の他に、代表的なもの
として、Zn−Al系合金、例えば、JIS Z328
1に示すAH−Z95A等を挙げることができる。
【0010】本発明における共析変態点について、Zn
−4Al合金(4重量%のAlと残部のZnからなるこ
とを表す。以下、同じ。)を例に取り、以下、説明す
る。図1のように、この合金は、390℃付近から凝固
を開始し、少量のAlを固溶したZn固溶体を晶出し、
382℃でα+βの共晶(βは17.2重量%のAlを
含む固溶体)となる。ところが、β相は、275℃で共
析変態を起こして、α+β’(β’は68.4重量%の
Alを含む固溶体)に分解する。このときの温度(27
5℃)、すなわちβからβ’に移行する温度を共析変態
点という。さらに温度が下がると、β’はαを析出し
て、常温ではAlを約92重量%も含む固溶体となる。
−4Al合金(4重量%のAlと残部のZnからなるこ
とを表す。以下、同じ。)を例に取り、以下、説明す
る。図1のように、この合金は、390℃付近から凝固
を開始し、少量のAlを固溶したZn固溶体を晶出し、
382℃でα+βの共晶(βは17.2重量%のAlを
含む固溶体)となる。ところが、β相は、275℃で共
析変態を起こして、α+β’(β’は68.4重量%の
Alを含む固溶体)に分解する。このときの温度(27
5℃)、すなわちβからβ’に移行する温度を共析変態
点という。さらに温度が下がると、β’はαを析出し
て、常温ではAlを約92重量%も含む固溶体となる。
【0011】このような変化は、合金が極めて徐冷され
た場合であり、薄肉のダイカスト鋳物や薄肉のアルミニ
ウム同士の接合の場合のように、Zn合金からなるはん
だも急冷される場合には、凝固後起こるべき全ての変化
は、阻止されてしまう。その結果、Zn合金は、常温放
置中にその内部組織が徐々に変化し、それに伴って、Z
n合金の諸性質も、時間と共に徐々に変化する。この現
象は、時効現象またはエイジング(ageing)と呼
ばれる。常温での時効現象の例を図2に示す。この現象
は、共析組成のZn−22Al合金において最も著しく
なる。しかし、図3に示すように、微量のMgを添加す
ることによって、この現象を抑えることができる。
た場合であり、薄肉のダイカスト鋳物や薄肉のアルミニ
ウム同士の接合の場合のように、Zn合金からなるはん
だも急冷される場合には、凝固後起こるべき全ての変化
は、阻止されてしまう。その結果、Zn合金は、常温放
置中にその内部組織が徐々に変化し、それに伴って、Z
n合金の諸性質も、時間と共に徐々に変化する。この現
象は、時効現象またはエイジング(ageing)と呼
ばれる。常温での時効現象の例を図2に示す。この現象
は、共析組成のZn−22Al合金において最も著しく
なる。しかし、図3に示すように、微量のMgを添加す
ることによって、この現象を抑えることができる。
【0012】ところが、本発明で用いるZn合金は、比
較的多量のMgを含有するため、焼き入れをすると、硬
さ及びおそらく寸法についても、経時的な変化が生じて
しまう。このため、本発明で用いるZn合金を金型や中
子の材料として採用することには少々難点があり、ま
た、超音波接合のはんだとして用いたとしても、接合強
度に経時的な変化が生じるなどの不都合がある。そこ
で、これらの欠点を解消するために、Zn合金の凝固後
に、共析変態点(240〜300℃)よりも高く、融点
(335〜380℃)よりも低い温度で、20分以上加
熱した後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷するか、ま
たは、100℃以上、共析変態点以下の温度で、3時間
以上加熱した後、空中放冷する。
較的多量のMgを含有するため、焼き入れをすると、硬
さ及びおそらく寸法についても、経時的な変化が生じて
しまう。このため、本発明で用いるZn合金を金型や中
子の材料として採用することには少々難点があり、ま
た、超音波接合のはんだとして用いたとしても、接合強
度に経時的な変化が生じるなどの不都合がある。そこ
で、これらの欠点を解消するために、Zn合金の凝固後
に、共析変態点(240〜300℃)よりも高く、融点
(335〜380℃)よりも低い温度で、20分以上加
熱した後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷するか、ま
たは、100℃以上、共析変態点以下の温度で、3時間
以上加熱した後、空中放冷する。
【0013】ここで、共析変態点よりも高く、融点より
も低い温度で加熱する場合の加熱時間は、20分以上、
好ましくは1時間以上である。ただし、300〜380
℃で加熱した場合、加熱時間は、20分〜2時間とし、
加熱後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷する。徐冷の
方法としては、例えば、炉冷を挙げることができる。共
析変態点よりも高い温度で加熱する代わりに、100℃
以上で共析変態点以下の温度、一般的には100〜22
0℃、好ましくは150〜200℃、特に好ましくは1
60〜190℃の温度で加熱してもよい。この場合、加
熱時間は、3時間以上、好ましくは5時間以上である。
加熱後、空中放冷する。
も低い温度で加熱する場合の加熱時間は、20分以上、
好ましくは1時間以上である。ただし、300〜380
℃で加熱した場合、加熱時間は、20分〜2時間とし、
加熱後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷する。徐冷の
方法としては、例えば、炉冷を挙げることができる。共
析変態点よりも高い温度で加熱する代わりに、100℃
以上で共析変態点以下の温度、一般的には100〜22
0℃、好ましくは150〜200℃、特に好ましくは1
60〜190℃の温度で加熱してもよい。この場合、加
熱時間は、3時間以上、好ましくは5時間以上である。
加熱後、空中放冷する。
【0014】
【実施例】実施例1 本発明者は、焼き入れをしたZn合金の物性の変化の原
因が、βからβ’への移行時の非平衡にあると考え、以
下の実験を行った。まず、Zn−4.1Al−1.8M
g合金の共析変態点を示差熱分析(DSC)で調べた。
これによれば、図4に示すように、293.7℃付近か
らβ’相が析出し始め、284.1℃に共析変態点をも
つことが分かった。このため、水焼き入れされた該Zn
合金を、共析変態点よりも低く、室温放置時よりも時効
がすみやかに進行する温度(180℃)に6時間保持し
た後、炉内より取り出して空中放冷した。熱処理後の経
過時間とロックウェル硬さとの関係を調べたところ、図
5に示す結果が得られた。図5から、熱処理後のロック
ウェル硬さの経時的変化が少なく、極めて安定した硬さ
が得られることがわかる。
因が、βからβ’への移行時の非平衡にあると考え、以
下の実験を行った。まず、Zn−4.1Al−1.8M
g合金の共析変態点を示差熱分析(DSC)で調べた。
これによれば、図4に示すように、293.7℃付近か
らβ’相が析出し始め、284.1℃に共析変態点をも
つことが分かった。このため、水焼き入れされた該Zn
合金を、共析変態点よりも低く、室温放置時よりも時効
がすみやかに進行する温度(180℃)に6時間保持し
た後、炉内より取り出して空中放冷した。熱処理後の経
過時間とロックウェル硬さとの関係を調べたところ、図
5に示す結果が得られた。図5から、熱処理後のロック
ウェル硬さの経時的変化が少なく、極めて安定した硬さ
が得られることがわかる。
【0015】実施例2 一方、水焼き入れされた上記Zn合金を、共析変態点よ
りも高く、融点よりも低い温度(300℃)に1時間保
持した後、炉冷によって1℃/分の速度で降温(炉冷)
させた。、結果は、図5に示す通りであり、硬さの変動
(寸法変化)が小さくなることがわかった。比較例1 水焼き入れしただけの上記Zn合金を室温に放置した結
果を図5に示す。
りも高く、融点よりも低い温度(300℃)に1時間保
持した後、炉冷によって1℃/分の速度で降温(炉冷)
させた。、結果は、図5に示す通りであり、硬さの変動
(寸法変化)が小さくなることがわかった。比較例1 水焼き入れしただけの上記Zn合金を室温に放置した結
果を図5に示す。
【0016】実施例3、4、比較例2 Zn−4.1Al−1.8Mg合金の代わりにZn−
3.6Al−1.6Mg合金を用いた他は、実施例1と
同様にして実験を行なった。その結果を図5に示す。実
施例3は、180℃で6時間加熱した例であり、実施例
4は、300℃で1時間加熱した例であり、比較例2
は、水焼き入れのみの例である。以上の実施例3、実施
例4、比較例2について、それらの機械的性質の変化を
表1に示す。表1から明らかなように、実施例3では、
比較例2と比べて、引張強度の変化がほとんどなく、伸
びが改善され、硬さが低下し、切削されやすくなってい
る。また、実施例4では、引張強さが低下するが、伸び
が改善され、靭性と切削性が特に改善されている。
3.6Al−1.6Mg合金を用いた他は、実施例1と
同様にして実験を行なった。その結果を図5に示す。実
施例3は、180℃で6時間加熱した例であり、実施例
4は、300℃で1時間加熱した例であり、比較例2
は、水焼き入れのみの例である。以上の実施例3、実施
例4、比較例2について、それらの機械的性質の変化を
表1に示す。表1から明らかなように、実施例3では、
比較例2と比べて、引張強度の変化がほとんどなく、伸
びが改善され、硬さが低下し、切削されやすくなってい
る。また、実施例4では、引張強さが低下するが、伸び
が改善され、靭性と切削性が特に改善されている。
【0017】
【表1】
【0018】次に、本発明の熱処理によって得られる合
金の顕微鏡写真を説明する。図6の顕微鏡写真は、Zn
−3.6Al−1.6Mg合金を400℃で溶解後、金
型に鋳造して急冷した直後のものを5%ナイタールで腐
食させたものである。白色の部分がα相、灰色の部分が
β’相、粒状の部分がZn−Al−Mg3元共晶物と思
われる。ここで、β’相は、アルミニウムを多く含む金
属間化合物であるため硬く、これが広範に多く晶出して
いるため硬くて脆くなり易い。
金の顕微鏡写真を説明する。図6の顕微鏡写真は、Zn
−3.6Al−1.6Mg合金を400℃で溶解後、金
型に鋳造して急冷した直後のものを5%ナイタールで腐
食させたものである。白色の部分がα相、灰色の部分が
β’相、粒状の部分がZn−Al−Mg3元共晶物と思
われる。ここで、β’相は、アルミニウムを多く含む金
属間化合物であるため硬く、これが広範に多く晶出して
いるため硬くて脆くなり易い。
【0019】これを300℃に1時間保持した後、徐冷
したものが図7の顕微鏡写真である。 さらに、図6の
顕微鏡写真で示すZn合金を共析変態点より低い温度
(180℃)で長時間(6時間)安定化させたものが、
図8の顕微鏡写真である。
したものが図7の顕微鏡写真である。 さらに、図6の
顕微鏡写真で示すZn合金を共析変態点より低い温度
(180℃)で長時間(6時間)安定化させたものが、
図8の顕微鏡写真である。
【0020】
【発明の効果】金型や低融点金属中子として用いるZn
系合金に、本発明の熱処理を施すことによって、切削
性、耐衝撃性、寸法安定性を向上させることができる。
また、Zn系合金からなるはんだを用いてアルミニウム
合金の接合を行なう場合に、その接合部に本発明の熱処
理を施すことによって、接合部の接合強度の経時的変化
を抑えて安定化させると共に、接合部の靭性を向上させ
て、耐衝撃性を高めることができる。
系合金に、本発明の熱処理を施すことによって、切削
性、耐衝撃性、寸法安定性を向上させることができる。
また、Zn系合金からなるはんだを用いてアルミニウム
合金の接合を行なう場合に、その接合部に本発明の熱処
理を施すことによって、接合部の接合強度の経時的変化
を抑えて安定化させると共に、接合部の靭性を向上させ
て、耐衝撃性を高めることができる。
【図1】Zn−Al系2元平衡状態を示す図である。
【図2】Zn−Al合金におけるAlの含有率の変化
が、該合金の硬さに及ぼす影響を示す図である。
が、該合金の硬さに及ぼす影響を示す図である。
【図3】Zn−22Al合金中のMgの含有率の変化
が、該合金の収縮率に及ぼす影響を示す図である。
が、該合金の収縮率に及ぼす影響を示す図である。
【図4】Zn−4.1Al−1.8Mg合金のDSC分
析結果を示す図である。
析結果を示す図である。
【図5】Zn−4.1Al−1.8Mg合金及びZn−
3.6Al−1.6Mg合金のロックウェル硬さの経時
的変化を示す図である。
3.6Al−1.6Mg合金のロックウェル硬さの経時
的変化を示す図である。
【図6】鋳造したZn合金を急冷した後の状態を示す顕
微鏡写真(400倍)である。
微鏡写真(400倍)である。
【図7】鋳造したZn合金を急冷後、300℃で1時間
保持し、徐冷した後の状態を示す顕微鏡写真(400
倍)である。
保持し、徐冷した後の状態を示す顕微鏡写真(400
倍)である。
【図8】鋳造したZn合金を急冷後、180℃で6時間
安定化処理した後の状態を示す顕微鏡写真(400倍)
である。
安定化処理した後の状態を示す顕微鏡写真(400倍)
である。
1 α相 2 β’相 3 Zn−Al−Mg3元共晶物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 691 C22F 1/00 691B 691C 692 692A
Claims (2)
- 【請求項1】 88〜99重量%のZn、0.5〜6重
量%のAl、0.5〜4重量%のMg、0〜1.5重量
%のCu、0〜1.0重量%のその他の元素からなるZ
n合金を、共析変態点よりも高く、融点よりも低い温度
で、20分以上加熱した後、0.1〜10℃/分の速度
で徐冷するか、または、100℃以上、共析変態点以下
の温度で、3時間以上加熱した後、空中放冷することを
特徴とするZn合金の熱処理方法。 - 【請求項2】 88〜99重量%のZn、0.5〜6重
量%のAl、0.5〜4重量%のMg、0〜1.5重量
%のCu、0〜1.0重量%のその他の元素からなるZ
n合金をはんだに用いて接合した接合部材を、該Zn合
金の共析変態点よりも高く、融点よりも低い温度で、2
0分以上加熱した後、0.1〜10℃/分の速度で徐冷
するか、または、100℃以上、共析変態点以下の温度
で、3時間以上加熱した後、空中放冷することを特徴と
するZn合金を用いた接合部材の熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8312993A JPH10140307A (ja) | 1996-11-08 | 1996-11-08 | Zn合金の熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8312993A JPH10140307A (ja) | 1996-11-08 | 1996-11-08 | Zn合金の熱処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10140307A true JPH10140307A (ja) | 1998-05-26 |
Family
ID=18035950
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8312993A Pending JPH10140307A (ja) | 1996-11-08 | 1996-11-08 | Zn合金の熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10140307A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7425765B2 (en) | 2004-12-15 | 2008-09-16 | Fujitsu Limited | Zinc-aluminum solder alloy |
EP2055799A1 (de) * | 2007-11-05 | 2009-05-06 | ThyssenKrupp Steel AG | Stahlflachprodukt mit einem vor Korrosion schützenden metallischen Überzug und Verfahren zum Erzeugen eines vor Korrosion schützenden metallischen Zn-Mg Überzugs auf einem Stahlflachprodukt |
JP2013030607A (ja) * | 2011-07-28 | 2013-02-07 | Nissan Motor Co Ltd | 半導体装置の製造方法及び半導体装置 |
-
1996
- 1996-11-08 JP JP8312993A patent/JPH10140307A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2009059950A2 (de) * | 2007-11-05 | 2009-05-14 | Thyssenkrupp Steel Ag | Stahlflachprodukt mit einem vor korrosion schützenden metallischen überzug und verfahren zum erzeugen eines vor korrosion schützenden metallischen zn-mg-überzugs auf einem stahlflachprodukt |
WO2009059950A3 (de) * | 2007-11-05 | 2009-07-16 | Thyssenkrupp Steel Ag | Stahlflachprodukt mit einem vor korrosion schützenden metallischen überzug und verfahren zum erzeugen eines vor korrosion schützenden metallischen zn-mg-überzugs auf einem stahlflachprodukt |
JP2013030607A (ja) * | 2011-07-28 | 2013-02-07 | Nissan Motor Co Ltd | 半導体装置の製造方法及び半導体装置 |
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