JPH10140233A - Ｔｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生防止方法 - Google Patents
Ｔｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生防止方法Info
- Publication number
- JPH10140233A JPH10140233A JP31687496A JP31687496A JPH10140233A JP H10140233 A JPH10140233 A JP H10140233A JP 31687496 A JP31687496 A JP 31687496A JP 31687496 A JP31687496 A JP 31687496A JP H10140233 A JPH10140233 A JP H10140233A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 Ｔｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成す
る酸化膜の発生を防止する方法を提供すること。 【解決手段】 Ｔｉ合金材の表面に炭化物などの酸化防
止剤を塗布して加熱または熱間加工をすること。
る酸化膜の発生を防止する方法を提供すること。 【解決手段】 Ｔｉ合金材の表面に炭化物などの酸化防
止剤を塗布して加熱または熱間加工をすること。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、Ｔｉ合金材の加熱
または熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防止する方
法に関する。
または熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防止する方
法に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、Ｔｉ合金のインゴット、スラブな
どのＴｉ合金材を熱間加工する場合、大気雰囲気の加熱
炉で加熱し、この加熱炉から取り出した後、大気中で熱
間加工を行っていた。そのため、Ｔｉ合金材は、加熱ま
たは熱間加工中にその表面が酸化され、硬くて緻密な酸
化膜が生成していた。この酸化膜が硬いために表面欠陥
が生じ、この熱間加工の後に行う冷間圧延において面割
れをする原因となっていた。
どのＴｉ合金材を熱間加工する場合、大気雰囲気の加熱
炉で加熱し、この加熱炉から取り出した後、大気中で熱
間加工を行っていた。そのため、Ｔｉ合金材は、加熱ま
たは熱間加工中にその表面が酸化され、硬くて緻密な酸
化膜が生成していた。この酸化膜が硬いために表面欠陥
が生じ、この熱間加工の後に行う冷間圧延において面割
れをする原因となっていた。
【０００３】そこで、熱間加工をした後、冷間圧延する
前に酸洗をしているが、この酸化膜を除去するためには
一回の酸洗に約０．２ｍｍ除去する必要があり、冷間圧
延する厚さにするまでには４〜５回酸洗をしなければな
らないので、酸化膜の除去に時間がかかるとともに、か
なりのＴｉ合金材が無駄になっていた。
前に酸洗をしているが、この酸化膜を除去するためには
一回の酸洗に約０．２ｍｍ除去する必要があり、冷間圧
延する厚さにするまでには４〜５回酸洗をしなければな
らないので、酸化膜の除去に時間がかかるとともに、か
なりのＴｉ合金材が無駄になっていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Ｔｉ合金材
の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防止
する方法を提供することを目的としている。
の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防止
する方法を提供することを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のＴｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成
する酸化膜の発生を防止する方法においては、Ｔｉ合金
材の表面に酸化防止剤を塗布して加熱または熱間加工を
することである。
め、本発明のＴｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成
する酸化膜の発生を防止する方法においては、Ｔｉ合金
材の表面に酸化防止剤を塗布して加熱または熱間加工を
することである。
【０００６】また、本発明のＴｉ合金材の加熱または熱
間加工中に生成する酸化膜の発生を防止する方法におい
ては、酸化防止剤としてＳｉＣ＋Ｂ4 Ｃなどの炭化物を
用いることである。
間加工中に生成する酸化膜の発生を防止する方法におい
ては、酸化防止剤としてＳｉＣ＋Ｂ4 Ｃなどの炭化物を
用いることである。
【０００７】
【発明の実施の形態】本発明は、Ｔｉ合金材の表面にＳ
ｉＣ＋Ｂ4 Ｃなどの炭化物、ＮａＣｌなどの塩化物など
の酸化防止剤を塗布して加熱または熱間加工をするＴｉ
合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生
を防止する方法である。
ｉＣ＋Ｂ4 Ｃなどの炭化物、ＮａＣｌなどの塩化物など
の酸化防止剤を塗布して加熱または熱間加工をするＴｉ
合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生
を防止する方法である。
【０００８】本発明の酸化防止剤は、ＳｉＣ＋Ｂ4 Ｃな
どの炭化物、ＮａＣｌなどの塩化物の単独でもよいし、
付着させるための有機融剤、剥離し易くするための酸化
物などを混合したものでもよい。この酸化防止剤は、懸
濁液、粉末などとしてＴｉ合金材の表面に塗布すること
ができる。またこの塗布はこれらの酸化防止剤の懸濁液
又は粉末をスプレー、刷毛などで行うことができる。
どの炭化物、ＮａＣｌなどの塩化物の単独でもよいし、
付着させるための有機融剤、剥離し易くするための酸化
物などを混合したものでもよい。この酸化防止剤は、懸
濁液、粉末などとしてＴｉ合金材の表面に塗布すること
ができる。またこの塗布はこれらの酸化防止剤の懸濁液
又は粉末をスプレー、刷毛などで行うことができる。
【０００９】
【作用】本発明の酸化防止剤として炭化物、塩化物が好
ましい理由は明確でないが、炭化物は、炭化物自体が酸
化され、Ｔｉ合金材の酸化を防止するものと推測され
る。また塩化物が好ましいのは、塩化物が溶融し、この
溶融した塩化物がＴｉ合金材の表面を覆い、空気を遮断
するためと考えられる。しかし、塩化物は、酸化防止効
果及び塗布した塗膜の剥離性が炭化物より劣っているの
で、炭化物のほうが好ましい。
ましい理由は明確でないが、炭化物は、炭化物自体が酸
化され、Ｔｉ合金材の酸化を防止するものと推測され
る。また塩化物が好ましいのは、塩化物が溶融し、この
溶融した塩化物がＴｉ合金材の表面を覆い、空気を遮断
するためと考えられる。しかし、塩化物は、酸化防止効
果及び塗布した塗膜の剥離性が炭化物より劣っているの
で、炭化物のほうが好ましい。
【００１０】次に、各種の酸化防止剤についてその効果
を試験した結果を説明する。下記表１の成分組成の厚さ
４ｍｍ、幅１６ｍｍ及び長さ１８．５ｍｍのＴｉ合金材
の試験片に下記表２の酸化防止剤を表２に示したように
重ねて塗布し、乾燥した後下記図１に示した過程で加熱
及び冷却をした。これらの試験片の表面を観察した結果
を下記に示すとともに、中央部を切断し、その硬度の分
布を図２に示す。
を試験した結果を説明する。下記表１の成分組成の厚さ
４ｍｍ、幅１６ｍｍ及び長さ１８．５ｍｍのＴｉ合金材
の試験片に下記表２の酸化防止剤を表２に示したように
重ねて塗布し、乾燥した後下記図１に示した過程で加熱
及び冷却をした。これらの試験片の表面を観察した結果
を下記に示すとともに、中央部を切断し、その硬度の分
布を図２に示す。
【００１１】
【表１】
【００１２】
【表２】
【００１３】この試験片の表面を観察したところ、塩化
物を含有している酸化防止剤は、塩化物が溶けてＴｉ合
金材に付着して簡単に剥離しなかったが、塩化物を含有
していない酸化防止剤はいずれも、剥離しているかまた
は擦ると簡単に剥離した。
物を含有している酸化防止剤は、塩化物が溶けてＴｉ合
金材に付着して簡単に剥離しなかったが、塩化物を含有
していない酸化防止剤はいずれも、剥離しているかまた
は擦ると簡単に剥離した。
【００１４】次に、中央部を切断し、その硬度の分布か
らその酸化状態を観察した。この結果から酸化物のＡｌ
2 Ｏ3 は、粉末で重ねて被覆したもの（▲─▲─▲）、
懸濁液として重ねて被覆したもの（□─□─□）及び粉
末で被覆し、その上に懸濁液として被覆したもの（△─
△─△）のいずれも、被覆してないもの（×─×─×）
の硬さの変化、すなわち酸化層の厚さが殆ど違わないこ
とから、酸化防止の効果がないことが明らかになった。
また、炭化物のＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物の懸濁液を重ね
て塗布したもの（◆─◆─◆）は、酸化物が最も少な
く、その酸化層は表面から１ｍｍまでであり、またその
酸化層は完全に酸化物になっていないものであった。
らその酸化状態を観察した。この結果から酸化物のＡｌ
2 Ｏ3 は、粉末で重ねて被覆したもの（▲─▲─▲）、
懸濁液として重ねて被覆したもの（□─□─□）及び粉
末で被覆し、その上に懸濁液として被覆したもの（△─
△─△）のいずれも、被覆してないもの（×─×─×）
の硬さの変化、すなわち酸化層の厚さが殆ど違わないこ
とから、酸化防止の効果がないことが明らかになった。
また、炭化物のＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物の懸濁液を重ね
て塗布したもの（◆─◆─◆）は、酸化物が最も少な
く、その酸化層は表面から１ｍｍまでであり、またその
酸化層は完全に酸化物になっていないものであった。
【００１５】また、塩化物のＮａＣｌとＳｉＯの混合物
の懸濁液を重ねて塗布したもの（◇─◇─◇）は、Ｓｉ
ＣとＢ4 Ｃの混合物の懸濁液を重ねて塗布したもの（◆
─◆─◆）より多く酸化されているが、酸化物のＡｌ2
Ｏ3 を重ねて被覆したものより酸化量が非常に少なかっ
た。また、Ａｌ2 Ｏ3 とアクリル樹脂の混合粉末を塗布
した上にＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物の懸濁液を重ねて塗布
したもの（●─●─●）はＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物の懸
濁液を重ねて塗布したもの（◆─◆─◆）と殆ど同じで
あり、またＡｌ2 Ｏ3 とアクリル樹脂の混合粉末を塗布
した上にＮａＣｌとＳｉＯの混合物の懸濁液を塗布した
もの（▽─▽─▽）は塩化物のＮａＣｌとＳｉＯの混合
物の懸濁液を重ねて塗布したもの（◇─◇─◇）と殆ど
同じであること及び酸化物が全く効果がないことから、
ＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物及びＮａＣｌとＳｉＯの混合物
の懸濁液は、重ねて塗布する必要がないことが分かっ
た。なお、図２中の○─○─○は、Ｔｉ合金材の試験片
のそのままの硬度分布である。
の懸濁液を重ねて塗布したもの（◇─◇─◇）は、Ｓｉ
ＣとＢ4 Ｃの混合物の懸濁液を重ねて塗布したもの（◆
─◆─◆）より多く酸化されているが、酸化物のＡｌ2
Ｏ3 を重ねて被覆したものより酸化量が非常に少なかっ
た。また、Ａｌ2 Ｏ3 とアクリル樹脂の混合粉末を塗布
した上にＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物の懸濁液を重ねて塗布
したもの（●─●─●）はＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物の懸
濁液を重ねて塗布したもの（◆─◆─◆）と殆ど同じで
あり、またＡｌ2 Ｏ3 とアクリル樹脂の混合粉末を塗布
した上にＮａＣｌとＳｉＯの混合物の懸濁液を塗布した
もの（▽─▽─▽）は塩化物のＮａＣｌとＳｉＯの混合
物の懸濁液を重ねて塗布したもの（◇─◇─◇）と殆ど
同じであること及び酸化物が全く効果がないことから、
ＳｉＣとＢ4 Ｃの混合物及びＮａＣｌとＳｉＯの混合物
の懸濁液は、重ねて塗布する必要がないことが分かっ
た。なお、図２中の○─○─○は、Ｔｉ合金材の試験片
のそのままの硬度分布である。
【００１６】これらの試験結果から、ＳｉＣとＢ4 Ｃの
混合物などからなる炭化物及び塩化物は酸化を防止する
効果が優れており、また炭化物は更に剥離性が優れてい
るので、炭化物が酸化防止剤として特に優れていること
が分かる。
混合物などからなる炭化物及び塩化物は酸化を防止する
効果が優れており、また炭化物は更に剥離性が優れてい
るので、炭化物が酸化防止剤として特に優れていること
が分かる。
【００１７】
【発明の効果】本発明は、上記構成にしたことにより、
Ｔｉ合金材の熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防止
することができるので、酸化膜を除去するための時間、
手間、使用する薬品などが少なくなり、また酸化膜とし
て消耗するＴｉ合金材が少なくなる。その結果Ｔｉ合金
材の製造コストを大幅に低くすることができるという優
れた効果を奏する。
Ｔｉ合金材の熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防止
することができるので、酸化膜を除去するための時間、
手間、使用する薬品などが少なくなり、また酸化膜とし
て消耗するＴｉ合金材が少なくなる。その結果Ｔｉ合金
材の製造コストを大幅に低くすることができるという優
れた効果を奏する。
【図１】試験片の加熱及び冷却する過程を説明するため
の説明図である。
の説明図である。
【図２】本発明の方法において酸化物が生成する状況を
説明するためのもので、試験片の中心からの距離と硬さ
の関係を示したグラフである。
説明するためのもので、試験片の中心からの距離と硬さ
の関係を示したグラフである。
Claims (3)
- 【請求項１】 Ｔｉ合金材の表面に酸化防止剤を塗布し
て加熱または熱間加工をすることを特徴とするＴｉ合金
材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生を防
止する方法。 - 【請求項２】 酸化防止剤が炭化物であることを特徴と
する請求項１記載のＴｉ合金材の加熱または熱間加工中
に生成する酸化膜の発生を防止する方法。 - 【請求項３】 炭化物がＳｉＣ＋Ｂ4 Ｃであることを特
徴とする請求項２記載のＴｉ合金材の加熱または熱間加
工中に生成する酸化膜の発生を防止する方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31687496A JPH10140233A (ja) | 1996-11-14 | 1996-11-14 | Ｔｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31687496A JPH10140233A (ja) | 1996-11-14 | 1996-11-14 | Ｔｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生防止方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10140233A true JPH10140233A (ja) | 1998-05-26 |
Family
ID=18081884
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP31687496A Pending JPH10140233A (ja) | 1996-11-14 | 1996-11-14 | Ｔｉ合金材の加熱または熱間加工中に生成する酸化膜の発生防止方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10140233A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009012029A2 (en) * | 2007-07-17 | 2009-01-22 | Babcock & Wilcox Technical Services Y-12, Llc | Method and apparatus for protecting metal from oxidation |
| CN107130133A (zh) * | 2017-05-26 | 2017-09-05 | 哈尔滨工业大学 | 一种梯度双连续结构的陶瓷/金属复合材料以及其制备方法和应用 |
| CN107130138A (zh) * | 2017-05-19 | 2017-09-05 | 淮阴工学院 | 医用高耐磨钛合金复合材料及3d打印梯度原位纳米复相减磨医用钛合金的方法 |
| KR20190061996A (ko) * | 2017-11-28 | 2019-06-05 | 삼우금속공업 주식회사 | 티타늄 합금 부품 성형 방법 |
-
1996
- 1996-11-14 JP JP31687496A patent/JPH10140233A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009012029A2 (en) * | 2007-07-17 | 2009-01-22 | Babcock & Wilcox Technical Services Y-12, Llc | Method and apparatus for protecting metal from oxidation |
| WO2009012029A3 (en) * | 2007-07-17 | 2010-05-20 | Babcock & Wilcox Technical Services Y-12, Llc | Method and apparatus for protecting metal from oxidation |
| CN107130138A (zh) * | 2017-05-19 | 2017-09-05 | 淮阴工学院 | 医用高耐磨钛合金复合材料及3d打印梯度原位纳米复相减磨医用钛合金的方法 |
| CN107130138B (zh) * | 2017-05-19 | 2018-09-04 | 淮阴工学院 | 医用高耐磨钛合金复合材料及3d打印梯度原位纳米复相减磨医用钛合金的方法 |
| CN107130133A (zh) * | 2017-05-26 | 2017-09-05 | 哈尔滨工业大学 | 一种梯度双连续结构的陶瓷/金属复合材料以及其制备方法和应用 |
| CN107130133B (zh) * | 2017-05-26 | 2019-02-05 | 哈尔滨工业大学 | 一种梯度双连续结构的陶瓷/金属复合材料以及其制备方法和应用 |
| KR20190061996A (ko) * | 2017-11-28 | 2019-06-05 | 삼우금속공업 주식회사 | 티타늄 합금 부품 성형 방법 |
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