JPH10130996A - レピア織機用キャリアテープ、繊維構造体及びその製造方法 - Google Patents

レピア織機用キャリアテープ、繊維構造体及びその製造方法

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JPH10130996A
JPH10130996A JP8292870A JP29287096A JPH10130996A JP H10130996 A JPH10130996 A JP H10130996A JP 8292870 A JP8292870 A JP 8292870A JP 29287096 A JP29287096 A JP 29287096A JP H10130996 A JPH10130996 A JP H10130996A
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JP
Japan
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carrier tape
fiber structure
hole
fiber
fibrous structure
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JP8292870A
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English (en)
Inventor
Masahiko Kanehara
雅彦 金原
Makoto Tsuzuki
誠 都築
Masahiko Yasue
雅彦 安江
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D03WEAVING
    • D03DWOVEN FABRICS; METHODS OF WEAVING; LOOMS
    • D03D47/00Looms in which bulk supply of weft does not pass through shed, e.g. shuttleless looms, gripper shuttle looms, dummy shuttle looms
    • D03D47/27Drive or guide mechanisms for weft inserting
    • D03D47/271Rapiers
    • D03D47/272Rapier bands

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Braiding, Manufacturing Of Bobbin-Net Or Lace, And Manufacturing Of Nets By Knotting (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Looms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のFRP製のキャリアテープに比較して
耐久性が良く、加工工数を低減可能なレピア織機用キャ
リアテープを提供する。 【解決手段】 キャリアテープ1はその幅とほぼ同じ
(若干狭く)に組織された扁平な繊維構造体2を強化材
とし、樹脂をマトリックスとして構成され、スプロケッ
トホイールの歯と係合可能な係合孔3が長手方向に所定
ピッチで形成されている。繊維構造体2は三次元組みひ
もで構成され、繊維構造体2を構成する糸条4は、係合
孔3の周囲で切断されることなく係合孔3を回避して延
びるように配列されている。糸条4は破断強度が高く、
弾性率の大きい炭素繊維で形成されている。キャリアテ
ープ1は繊維構造体2を金型の突起に貫通された状態で
成形用金型内に配置し、樹脂の含浸硬化を行うことによ
り形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレピア織機用キャリ
アテープとその製造方及びそのキャリアテープの強化材
として好適な繊維構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レピア織機の緯入れ装置として、図15
に示すように、先端にレピアヘッド61を固定したレピ
アバンド(キャリアテープ)62をスプロケットホイー
ル63で駆動する方式のものがある(例えば、特開平3
−180542号公報)。キャリアテープ62にはスプ
ロケットホイール63の歯63aと係合可能な係合孔6
4がその長手方向に所定ピッチで列設されている。スプ
ロケットホイール63の往復回動は歯63aと係合孔6
4との嵌合に基づいてキャリアテープ62に伝達され、
キャリアテープ62はスプロケットホイールの往復回動
に伴って往復動される。そして、キャリアテープ62の
往復動に伴ってキャリアテープ62に固定されたレピア
ヘッド61が経糸開口内へ進入すると共に、経糸開口内
から退避して緯糸の緯入れが行われる。
【0003】キャリアテープとしてはプラスチック(例
えば、ポリエステル)製のものと、繊維強化プラスチッ
ク(FRP)製のものとがある。FRP製のキャリアテ
ープは、例えば図16に示すように、キャリアテープ6
2の厚さ方向に強化繊維層(平織りの織物Wあるいは一
方向に繊維が配列されたシートUD1,UD2)が複数層積
層された構成となっている。そして製造に際しては強化
繊維層に樹脂を含浸硬化させた後、切削加工又はプレス
加工により係合孔64を形成している。また、係合孔6
4は平面長方形状に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】プラスチック製あるい
は強化繊維が僅かに使用されたプラスチック製のキャリ
アテープを使用すると、キャリアテープはレピアホイー
ルの外周面の曲率に対応して湾曲変形する。また、剛性
が低いためレピアホイールから繰り出された状態におい
て下方に湾曲する状態となったり、後退時にキャリアテ
ープの先端側が浮き上がる状態になる等、ガイド部材が
ない状態では経糸開口内への進入及び経糸開口内からの
退避が円滑に行われない。
【0005】そこで、経糸の開口時に経糸の下側から経
糸開口内に進入してキャリアテープを案内するガイド部
材を設ける必要がある。ガイド部材は筬が支持されるス
レー(図示せず)上に配設され、ガイド部材は千鳥状に
配設されている。そして、ガイド部材はスレーの揺動に
より経糸開口内に対して出入りするため、ガイド部材に
経糸が引っかかって切断されたり、経糸がガイド部材と
の摩擦により毛羽立つ等の問題がある。
【0006】一方、複数の繊維層を積層したFRP製の
キャリアテープは剛性が大きいため、レピアヘッドの姿
勢が安定して経糸開口内への進入及び経糸開口からの退
避が円滑に行われる。しかし、従来のFRP製のキャリ
アテープを使用した場合は、キャリアテープの係合孔の
周面及びスプロケットホイールの歯面の磨耗が激しいと
いう問題がある。この原因としては次のことが考えられ
る。係合孔64が樹脂の含浸硬化後に切削やプレス加工
で形成されるため、図17に示すように、係合孔63a
の周面においては、強化繊維65の切断端部が樹脂66
の外に露出してたわし状となっている。また、強化繊維
65には剛性の大きい炭素繊維が使用される。そして、
キャリアテープ62のスプロケットホイール63からの
繰り出し及びスプロケットホイール63への巻き付けが
緯入れ毎に繰り返されるので、歯63aの表面は硬い炭
素繊維で頻繁にこすられる状態となる。また、歯63a
が係合孔64内に進入する際及び係合孔64から抜け出
る際に強化繊維65及び樹脂が剪断力を受ける。その結
果、炭素繊維は硬くてもろいためポキポキ折れて樹脂6
6から脱落する。そして、強化繊維65が無くなった状
態の樹脂66が歯63aと摩擦することで磨耗し易くな
る。
【0007】また、繊維切断面が端部に存在するとその
部分が破壊の起点となって破壊が生じ易く、歯63aが
係合孔64から離脱する際の歯63aと係合孔64との
摩擦により表面剥離や剪断破壊が発生し、耐久性が低下
するという問題がある。
【0008】また、キャリアテープ62に形成される係
合孔64のピッチ及び形状の精度が悪いと歯63aと係
合孔64との間にがたが生じ、キャリアテープ62の往
復動時に歯63aと係合孔64の周面との衝撃が大きく
なって磨耗を促進する。係合孔64をドリル加工で形成
する場合は、係合孔64を1個ずつ形成するため、多数
の係合孔64のピッチ及び形状を精度良く形成するのが
難しい。また、プレス加工で形成する場合、キャリアテ
ープに形成すべき係合孔を一度に形成すれば、プレス金
型を精度良く形成することにより、係合孔64をそのピ
ッチ及び形状を精度良く形成することができる。しか
し、キャリアテープは1m以上と長く、係合孔の数も多
いため、1度でプレス加工を行うには大型のプレス機が
必要となって製造コストが大幅にアップする。複数回に
分けてプレス加工を行うと、係合孔のピッチの精度がそ
の分悪くなる。
【0009】また、従来は樹脂の含浸硬化処理完了後に
係合孔の加工を行うため、キャリアテープの加工工数が
多くなるという問題もある。本発明は前記の問題点に鑑
みてなされたものであって、その第1の目的は従来のF
RP製のキャリアテープに比較して耐久性が良く、加工
工数を低減可能なレピア織機用キャリアテープを提供す
ることにあり、第2の目的はそのキャリアテープの強化
材として好適な繊維構造体を提供することにある。ま
た、第3の目的は前記繊維構造体の製造方法を提供する
ことにあり、第4の目的は前記キャリアテープの製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るため請求項1に記載の発明は、レピア織機に使用され
るキャリアテープであって、扁平な繊維構造体を強化材
とした繊維強化プラスチックで形成されるとともにスプ
ロケットホイールの歯と係合可能な孔が長手方向に所定
ピッチで形成され、前記繊維構造体を構成する糸条が前
記孔の周囲で切断されることなく孔を回避して配列され
ている。なお、糸条とは糸だけでなくフィラメントを引
き揃えた繊維束いわゆるロービングをも意味する。
【0011】請求項2に記載の発明では、前記繊維構造
体は三次元組みひもで構成されている。請求項3に記載
の発明では、請求項2に記載の発明において、前記繊維
構造体は三次元組みひもを構成する糸条の一部が、前記
孔と対応する部分を回避するように繊維構造体の中央付
近で折り返されている。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
請求項3に記載の発明において、前記繊維構造体は三次
元組みひもを構成する糸条の配向角が、前記孔が形成さ
れる領域とその他の領域とで異なり、かつ孔が形成され
る領域における配向角が他の領域の配向角より大きく形
成されている。
【0013】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明において、前記繊維構造体は前記孔が形成され
る領域と、幅方向の両側に位置する領域との間に境界領
域が設けられ、該境界領域における糸条の配向角がその
両側に位置する領域の配向角の間の値となるように設定
されている。
【0014】また、第2の目的を達成するため請求項6
に記載の発明では、繊維構造体を請求項2〜請求項5の
いずれか一項に記載の繊維構造体とした。また、第3の
目的を達成するため請求項7に記載の発明では、請求項
2みひもの製織時に、前記孔を形成すべき箇所に拘束体
を三次元組みひもの厚さ方向に貫通するように挿入しつ
つ製織するようにした。
【0015】また、第4の目的を達成するため請求項8
に記載の発明では、スプロケットホイールによりキャリ
アテープが駆動されるレピア織機の繊維強化プラスチッ
ク製キャリアテープの製造方法であって、前記スプロケ
ットホイールの歯と係合可能な孔を形成するための突起
が所定ピッチで突設された成形用金型内に、強化用の繊
維構造体をその糸条が前記突起と対応する箇所において
は糸条の間隔を拡げて、突起が糸条を切断することなく
繊維構造体を貫通する状態で配置し、次いで成形用金型
を閉じて繊維構造体への樹脂の含浸硬化を行うようにし
た。
【0016】請求項9に記載の発明では、請求項8に記
載の発明において、前記繊維構造体は三次元組みひもで
構成され、前記突起は菱形に形成されている。請求項1
0に記載の発明では、スプロケットホイールによりキャ
リアテープが駆動されるレピア織機の繊維強化プラスチ
ック製キャリアテープの製造方法であって、強化材を構
成する三次元組みひもの製織時に、キャリアテープに形
成される孔を形成すべき箇所に拘束体を三次元組みひも
の厚さ方向に貫通するように挿入しつつ製織し、製織さ
れた三次元組みひもを前記スプロケットホイールの歯と
係合可能な孔を形成するための突起が所定ピッチで突設
された成形用金型内に、前記拘束体が前記各突起と対向
するように配置した後、拘束体から離脱させて突起に貫
通された状態にセットし、次いで成形用金型を閉じて繊
維構造体への樹脂の含浸硬化を行うようにした。
【0017】請求項11に記載の発明では、請求項10
に記載の発明において、前記拘束体には少なくとも一方
に前記突起の先端側と嵌合可能な嵌合部が形成され、嵌
合部を突起の先端に嵌合させた状態で繊維構造体を突起
側へ移動させる。
【0018】請求項1〜請求項5に記載の発明のレピア
織機用キャリアテープは、先端にレピアヘッドが固定さ
れて使用される。キャリアテープは所定ピッチで形成さ
れた孔がスプロケットホイールの歯と係合することによ
り、スプロケットホイールの回動に伴って経糸開口内へ
の進入あるいは経糸開口内から退避するように往復移動
される。強化材として使用された繊維構造体を構成する
糸条が前記孔の周囲で切断されることなく孔を回避して
配列されているため、従来のキャリアテープと異なり、
前記歯の孔への進入及び孔からの離脱の繰り返しによっ
ても、繊維切断面が破壊の起点となることによる孔の周
囲からの破壊が生じ難くなる。また、孔の周縁での表面
剥離や剪断破壊が抑制される。
【0019】請求項2に記載の発明では、繊維構造体が
三次元組みひもにより構成されているため、繊維構造体
を構成する糸条は幅方向の端部で折り返されるように組
織されており、繊維切断面がキャリアテープの幅方向の
両端部に存在せず、キャリアテープに頻繁に曲げ応力が
加えられても、キャリアテープの幅方向の端部から破壊
が生じ難い。また、厚さ方向と直交する平面を境にした
層間剥離の進行不能に組織されているため、従来のFR
P製キャリアテープと異なり、層間剥離の進行が阻止さ
れる。また、樹脂を含浸硬化させる前は繊維構造体が柔
軟なため、成形用金型に突設された孔形成用の突起が繊
維を切断せずに繊維構造体を貫通する状態に、繊維構造
体を成形用金型にセットするのが容易となる。
【0020】請求項3に記載の発明では、繊維構造体は
三次元組みひもを構成する糸条の一部が、前記孔と対応
する部分を回避するように繊維構造体の中央付近で折り
返されているため、繊維構造体を前記のように成形用金
型にセットするのがより容易となる。
【0021】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
請求項3に記載の発明において、前記繊維構造体は三次
元組みひもを構成する糸条の配向角が、前記孔が形成さ
れる領域とその他の領域とで異なり、かつ孔が形成され
る領域における配向角が他の領域の配向角より大きく形
成されている。三次元組みひもを強化材とした場合、そ
の配向角がキャリアテープの強度に影響を及ぼす。孔が
形成されない領域では配向角が小さい方がキャリアテー
プの強度が大きくなる。しかし、孔が形成される領域で
は、配向角が小さいと、キャリアテープが孔を介してス
プロケットホイールの歯から駆動力を得る場合、キャリ
アテープを移動方向に押す力よりキャリアテープを破壊
(裂く)しようとする方向へ作用する力が大きくなる。
従って、孔を形成する領域に配列される糸条の配向角
を、孔が形成されない領域に配列される糸条の配向角よ
り大きくすることにより、全ての領域で同じ配向角に糸
条を配列した場合に比較してキャリアテープの耐久性が
向上する。
【0022】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明において、前記繊維構造体は前記孔が形成され
る領域と、幅方向の両側に位置する領域との間に設けら
れた境界領域の存在により、境界領域を挟んだ両領域の
配向角の差が大きくても、境界領域に配列される糸条の
配向角をその中間の値にすることにより、境界部にクラ
ックや樹脂リッチ部が発生し難くなってキャリアテープ
の耐久性がより向上する。
【0023】請求項6に記載の発明の繊維構造体を強化
繊維としたFRP製のキャリアテープは、請求項2〜請
求項5のいずれかに記載の発明のうちの対応する発明と
同様な作用をなす。
【0024】請求項7に記載の発明では、請求項2〜請
求項5のいずれか一項に記載の繊維構造体を構成する三
次元組みひもの製織時に、前記孔を形成すべき箇所に拘
束体が三次元組みひもの厚さ方向に貫通するように挿入
された状態で糸条が組織される。そして、拘束体の周囲
に配列された糸条は、繊維構造体に対する樹脂の含浸硬
化処理を行うために拘束体を繊維構造体から離脱させた
際、その後に孔が形成された状態に保持され、繊維構造
体を成形用金型へのセットが容易となる。
【0025】請求項8に記載の発明では、レピア織機の
スプロケットホイールの歯と係合可能な孔を形成するた
めの突起が所定ピッチで突設された成形用金型内に、強
化用の繊維構造体が配置(セット)される。繊維構造体
は前記突起が糸条を切断することなく繊維構造体を貫通
するように、突起と対応する箇所においては糸条の間隔
を拡げるようにして所定位置に配置される。次いで成形
用金型が閉じられて繊維構造体への樹脂の含浸硬化が行
われる。
【0026】請求項9に記載の発明では、請求項8に記
載の発明において、繊維構造体を構成する糸条の配列方
向が繊維構造体の長手方向に対して斜めになっているた
め、菱形の突起が繊維構造体を貫通した状態に糸条を損
傷せずにセットし易い。
【0027】請求項10に記載の発明では、強化材(繊
維構造体)を構成する三次元組みひもの製織時に、キャ
リアテープに形成される孔を形成すべき箇所に拘束体が
三次元組みひもの厚さ方向に貫通するように挿入されな
がら製織される。そして、拘束体は三次元組みひもが成
形用金型内に配置されるまでは、三次元組みひもに挿入
された状態に保持される。そして、レピア織機のスプロ
ケットホイールの歯と係合可能な孔を形成するための突
起が所定ピッチで突設された成形用金型内に、前記拘束
体が各突起と対向するように三次元組みひもが配置され
た後、三次元組みひもから拘束体を離脱させ、三次元組
みひもを拘束体が挿入されていた箇所に突起が貫通した
状態にセットされる。次いで成形用金型が閉じられて繊
維構造体への樹脂の含浸硬化が行われる。
【0028】請求項11に記載の発明では、請求項10
に記載の発明において、三次元組みひもは拘束体が挿入
された状態で、成形用金型内に三次元組みひもをセット
する際、先ず拘束体に形成された嵌合部が突起の先端側
と嵌合された状態に配置される。次に三次元組みひもは
拘束体をガイドとして突起側へ移動される。従って、三
次元組みひもを成形用金型の所定位置にセットするのが
容易になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図1〜図8に従って説明する。図1はレピ
ア織機用の繊維強化プラスチック製のキャリアテープ1
の部分模式斜視図である。キャリアテープ1はその幅と
ほぼ同じ(若干狭く)に組織された扁平な繊維構造体2
を強化材とし、樹脂をマトリックスとして構成されてい
る。キャリアテープ1には、レピア織機のキャリアテー
プ駆動用スプロケット(図示せず)の歯と係合可能な孔
としての係合孔3がキャリアテープ1の長手方向に沿っ
て所定ピッチで形成されている。
【0030】各係合孔3は菱形に形成されている。繊維
構造体2を構成する糸条4は、係合孔3の周囲で切断さ
れることなく係合孔3を回避して延びるように配列され
ている。繊維構造体2を構成する糸条4には弾性率の大
きな繊維、例えば炭素繊維、セラミック繊維等のロービ
ングが使用されている。樹脂には例えばエポキシ樹脂な
どの熱硬化性樹脂が使用されている。
【0031】繊維構造体2はレピア織機で緯入れ時にキ
ャリアテープ1が水平方向に延びた状態で経糸開口内を
移動可能な剛性を付与可能な厚さ(1〜3mm)に組織
された三次元組みひもで構成されている。繊維構造体2
は断面ほぼ長方形をなし、多数の糸条4が繊維構造体2
の表面で折り返すとともに、繊維構造体2の長手方向に
所定の配向角θをなすように配列されている。配向角θ
とは糸条4が繊維構造体2の長手方向となす角度であ
り、長手方向に延びる直線から対象の糸条4に向かって
反時計回りに向かう角度をプラス(+)、時計回りに向
かう角度をマイナス(−)として表す。配向角の値は±
1°〜60°の範囲で適宜設定されるが、この実施の形
態では±45°に設定されている。従って、繊維構造体
2を構成する糸条の切断端が繊維構造体2の幅方向の端
部に露出することはない。
【0032】繊維構造体2は、例えば特開平2−259
148号公報、特開平2−307949号公報等に開示
されている三次元ブレーダ(ロータ・キャリア方式三次
元織物織機)により製織される。三次元ブレーダは図2
に示すように、キャリア軌道面に沿って多数行、多数列
に配列されたキャリア駆動ユニット5を備え、該駆動ユ
ニット5により、図示しないボビンを支承する糸条キャ
リア6(図3に図示)に所要の軌跡を走行するように運
動を与え、それらのボビンから解じょした糸条を製織す
るものである。
【0033】キャリア駆動ユニット5は、図3に示すよ
うに、それぞれ独立したアクチュエータ7により駆動さ
れるロータ8を備えている。ロータ8は隣接するロータ
8との間で糸条キャリア6を挟持するための凹部9を外
周の4箇所に備えている。凹部9は隣接するロータ8の
回転軸を中心とする円弧状に形成され、隣接するロータ
8の一方が回転するときに、他方のロータ8の凹部9が
糸条キャリア6のガイドとして機能するように配設され
ている。なお、図2に示すように、複数行、複数列に配
設されたキャリア駆動ユニット5の周囲には糸条キャリ
ア6と係合する凹部10aを有する固定ガイド10が配
設されている。
【0034】図3に示すように、糸条キャリア6はロー
タ8の凹部9と対応する一対の円弧面11a(一方のみ
図示)を備えた保持部11と、保持部11の両端に形成
されたフランジ12と、ボビン支持軸13とを備えてい
る。そして、糸条キャリア6は保持部11がロータ8間
あるいはロータ8及び固定ガイド10間に挟持されるよ
うになっている。
【0035】前記構成の三次元ブレーダで繊維構造体2
を製織する場合は、糸条キャリア6をその移動域におい
て繊維構造体2の断面形状に対応して配置した状態で三
次元ブレーダを運転する。製織に際しては、ロータ配列
の行及び列内において互いに隣接しないロータ8同士を
一つの群として全体を2群に分け、各群毎のロータ8を
一斉に駆動する。なお、図4において斜線を付したロー
タ8と、斜線を付していないロータ8とによって二つの
群を区別している。以下、図4で斜線を付したロータ8
を時計方向に90°又は180°の間欠回転を行うロー
タ(第1群のロータ)とし、斜線の付してないロータ8
を反時計方向に90°又は180°の間欠回転を行うロ
ータ(第2群のロータ)とする。
【0036】製織は一方の群のロータを非回転の固定ガ
イドとして、他方の群を一方向に90°又は180°回
転させ、次いで先に回転させた一方の群のロータを固定
ガイドとして他方の群のロータを逆の方向に90°又は
180°回転させ、この動作を順次繰り返すことによっ
て行われる。
【0037】糸条キャリア6は、製織時に糸条キャリア
6の配列範囲内で比較的単純な規則性の下で移動する。
例えば、図4において、隣接する各ロータ8間に糸条キ
ャリア6を挟持させ、第1群及び第2群のロータ8をそ
れぞれ90°回転させたときの各糸条キャリア6の移動
軌跡は図5(a)〜(c)に示すようになる。即ち、糸
条キャリア6に支持されたボビンから解じょされる糸条
は図5(a)〜(c)に示す曲線に沿って閉ループを形
成して移動することになる。一方、第1群及び第2群の
ロータをそれぞれ180°回転させた場合は、別の単純
な移動軌跡となる。従って、両群のロータを順次逆の方
向に90°又は180°回転させることにより、糸条が
繊維構造体2の各表面で折り返すように配列されるとと
もに、所定の位置に芯糸5aが挿入された繊維構造体2
が製織される。
【0038】製織中に必要に応じて筬打ちを行うことが
でき、筬打ちの程度と製織された織物(三次元組みひ
も)の巻取速度とを調整することにより、繊維構造体2
における糸条の配向角度を調整できる。
【0039】次に繊維構造体2への樹脂の含浸処理方法
を説明する。樹脂の含浸硬化には、例えば、レジントラ
ンスファーモールディング(RTM)法が採用される。
RTM法では、成形金型内に繊維構造体2を載置し、こ
の成形金型内に熱硬化性のマトリック樹脂を注入して繊
維構造体2に含浸させた後、加熱硬化させることによ
り、複合成形材(FRP製キャリアテープ)が製造され
る。樹脂には例えばエポキシ樹脂が使用される。この実
施の形態では繊維構造体2を強化材として、スプロケッ
トホイールで駆動されるFRP製のキャリアテープ1を
製造する場合、従来の製法と異なり、特殊な成形用金型
を使用することにより、繊維構造体2への樹脂の含浸硬
化処理時に係合孔3の形成が同時に行われる。
【0040】図6及び図7に示すように、成形用金型1
4は下型15と上型16とからなり、下型15の周囲に
所定間隔で形成された複数のねじ孔15aに、上型16
に形成されたボルト挿通孔16aを貫通して螺合される
六角穴付ボルト17により両型14,15が締付け固定
されるようになっている。下型15には成形室18が形
成され、成形室18内には所定ピッチで突起19が突設
されている。突起19は先端側が四角錐台と四角錐とが
連続する形状に形成されたスタッド20の基端側を下型
に嵌合固着することにより形成されている。下型の上面
にはシールリング21を配置する環状溝15bが形成さ
れている。
【0041】上型16の下面には突起19と対応する位
置に突起19の先端が嵌合可能な凹部16bが形成され
ている。上型16には注入孔22及びベント孔23が形
成されている。図8に示すように、注入孔22にはマト
リックス樹脂の注入管路24に接続されたニップル24
aが連結され、ベント孔23には減圧装置に連結された
管路25に接続するためのニップル25aが連結されて
いる。
【0042】繊維構造体2への樹脂の含浸硬化を行う場
合、先ず下型15の成形室18内に繊維構造体2(プリ
フォーム)をセットする。このとき、突起19で糸条4
が傷つかないように、繊維構造体2の中央部の糸条4を
拡げるようにしてセットする。次に環状溝15bにシー
ルリング21を嵌合した後、上型16を下型15上に載
置し、下型15の突起19の先端に上型16の凹部16
bが嵌合する状態で六角穴付ボルト17により両型を締
め付け固定する。次に図8に示すように、注入管路24
に注入孔22側を接続し、管路25にベント孔23側を
接続した状態で樹脂の注入を行う。先ず、注入管路24
側の弁24bを閉じ、成形室18内を減圧とした後、弁
24bを開けて注入孔22から成形用金型14内に樹脂
を注入する。そして、管路25の途中に設けられたガラ
ス製の減圧トラップ26によりベント孔23からの樹脂
の溢出を確認した後、管路25側の弁25bを閉じると
ともに成形用金型14内を所定の圧力となるように加圧
する。その状態で注入管路24側の弁24bを閉じ、成
形用金型14を加熱してマトリックス樹脂を硬化させ
る。次いで成形用金型14が冷えた後に成形用金型14
を開いて成型品を取り出し、ばり取りを行うことにより
キャリアテープ1の製造が完了する。
【0043】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) FRP製のキャリアテープ1の強化材として使
用される繊維構造体2が、緯入れ時にキャリアテープ1
がレピアヘッドの姿勢が安定した状態で移動可能な剛性
を付与可能な帯状に組織されているため、レピアヘッド
の姿勢が安定した状態で、レピアホイールの回動に伴っ
て経糸開口内への進入及び経糸開口内からの退避が可能
となる。従って、ガイド部材で経糸が損傷したり、ガイ
ド部材とキャリアテープ1との摩擦でキャリアテープ1
が磨耗して寿命が短くなることが防止される。
【0044】(ロ) FRP製のキャリアテープ1の強
化材として使用される繊維構造体2を構成する糸条4が
係合孔3と対応する箇所で切断されることなく、係合孔
3を回避して配列されている。従って、従来のキャリア
テープと異なり係合孔3の周囲に繊維切断面が存在しな
いため、スプロケットホイールの歯の孔への進入及び孔
からの離脱の繰り返しによっても、繊維切断面が破壊の
起点となることによる孔の周囲からの破壊が生じ難くな
る。また、孔の周縁での表面剥離や剪断破壊が抑制され
る。その結果、キャリアテープ1の耐久性が向上して寿
命が延びる。
【0045】(ハ) FRP製のキャリアテープ1の強
化材として使用される繊維構造体2を構成する糸条4
が、キャリアテープ1の幅方向の両端部で折り返される
ように組織されており、繊維切断面がキャリアテープ1
の幅方向の両端部に存在しない。従って、キャリアテー
プ1に頻繁に曲げ応力が加えられても、キャリアテープ
1の幅方向の端部から破壊が生じ難く、従来の積層繊維
を強化材としたFRP製のキャリアテープに比較して耐
久性が向上する。
【0046】(ニ) 繊維構造体2が三次元組みひもで
構成されているため、キャリアテープ1とした場合、厚
さ方向と直交する平面で明確に分けられる層が存在しな
いため、キャリアテープ1に曲げ応力が繰り返し作用し
ても、従来の平面状の織物を積層した強化材を使用した
ものと異なって層間剥離が発生せず、耐久性がより向上
する。
【0047】(ホ) 係合孔3を形成するための突起1
9が所定ピッチで突設された成形用金型14内に、突起
19が糸条4を切断することなく繊維構造体2を貫通す
るように繊維構造体2を配置(セット)した状態で、樹
脂の含浸硬化処理が行われる。従って、強化材への樹脂
の含浸硬化後に係合孔を加工する従来方法と異なり、係
合孔3のピッチ及び形状の精度が向上し、係合孔3とレ
ピア織機のスプロケットホイールの歯と係合離脱による
磨耗が少なくなる。また、繊維構造体2を構成する糸条
4が係合孔3の周囲で切断されないように係合孔30を
形成するのが容易となる。また、樹脂の含浸硬化後に係
合孔を加工する工程が不要となるため、加工工数が少な
くなって生産性が向上する。
【0048】(へ) 繊維構造体2が三次元組みひもで
構成され、突起19が菱形に形成されているため、繊維
構造体2を成形用金型14にセットする際、糸条4が突
起19の周面に沿って配列され易く、糸条4を損傷せず
に突起19が繊維構造体2を貫通した状態にセットし易
い。また、成形時に部分的に樹脂が多くなる部分(樹脂
リッチ部)を少なくでき、キャリアテープ1の強度を高
めることができる。
【0049】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図9に従って説明する。この実施の形態では繊維構
造体2を構成する三次元組みひもの組織が前記実施の形
態と若干異なっており、その他の構成は同じである。図
9(b)に示すように、前記実施の形態の繊維構造体2
は全ての糸条4が幅方向の両端部で折り返されているの
に対して、この実施の形態の繊維構造体2は図9(a)
に示すように、係合孔が形成される箇所を糸条4が横切
らないように、一部の糸条4が繊維構造体2の中央付近
で折り返すように配列されて孔部2aが形成されてい
る。即ち、繊維構造体2を構成する糸条4はその一部が
係合孔3と対応する部分を回避するように繊維構造体2
の中央付近で折り返されるように組織され、前記実施の
形態と異なり係合孔となるべき部分に繊維密度が少ない
孔部2aが形成されている。
【0050】この繊維構造体2を製織する場合も第1の
実施の形態と同じ三次元ブレーダが使用される。三次元
ブレーダは前記のように多数のロータ8を二つの群に分
けて駆動することにより三次元組みひもを製織するが、
駆動するロータ8の一部を一時停止あるいはその回動量
を変更することにより、糸条キャリア6の反転位置を変
更することが可能であり、特定の糸条の反転位置を他の
糸条と異なるように製織することもできる。従って、製
織中、三次元組みひもが所定量製織される毎に所定のロ
ータ8の動きを他のロータ8と異ならせることにより、
一部の糸条4が係合孔を形成すべき箇所と対応する箇所
において繊維構造体2の中央付近で折り返された繊維構
造体2を製織できる。
【0051】このように構成された繊維構造体2を強化
材としたキャリアテープ1は前記実施の形態のものと同
様な効果を有する他に、次の効果を有する。 (ト) 繊維構造体2は係合孔となるべき部分が他とは
っきり異なり、繊維構造体2を成形用金型14にセット
する際、孔部2aを突起19に対応させた状態で装着す
ることにより、繊維構造体2を所定の位置に間違いなく
容易にセットできる。
【0052】(チ) 前記実施の形態では繊維構造体2
に孔部2aがないため、繊維構造体2を成形用金型14
にセットする際、突起19が糸条4を傷つけずに繊維構
造体2を貫通するように、突起19と対応する部分の糸
条4を拡げる(かき分ける)ようにしてセットする。成
形用金型14には多数の突起19が存在するため、全て
の突起19と対応する位置で拡げ方を同じにすることは
難しく、突起19の周囲における繊維密度が異なる状態
となり、樹脂の含浸硬化処理によって製造されたキャリ
アテープの特性にばらつきが生じる。また、繊維構造体
2が幅方向あるいは長手方向に多少ずれた状態でセット
され、製品の特性がばらつく虞がある。しかし、この実
施の形態ではそのような不都合はない。
【0053】(第3の実施の形態)次に第3の実施の形
態を図10及び図11に従って説明する。この実施の形
態では繊維構造体2を構成する三次元組みひもの製織方
法と、成形用金型14への繊維構造体2のセットの仕方
が異なっている。
【0054】図10に示すように、この実施の形態では
三次元組みひも(繊維構造体2)の製織時に、製織の進
行に伴ってキャリアテープ1の係合孔3を形成すべき箇
所に拘束体27が繊維構造体2の厚さ方向に貫通するよ
うに挿入された状態で糸条4が組織される。ロータ8の
間欠回転が所定回数行われるたびに、拘束体27を組織
される直前の糸条4の間に挿入することにより、拘束体
27が所定ピッチで繊維構造体2に挿入される。拘束体
27が挿入された状態の繊維構造体2を巻き取る場合
は、拘束体27を遊挿可能な溝が螺旋状に形成されたド
ラム(図示せず)に、拘束体27と繊維構造体2とが干
渉しないように螺旋状に巻き取る。繊維構造体2に挿入
された拘束体27は、製織完了後も繊維構造体2が成形
用金型14にセットされるまでは繊維構造体2に挿入さ
れた状態に保持される。
【0055】三次元組みひもの組織は第1の実施の形態
のように全部の糸条4が幅方向の両端で折り返す組織で
あっても、第2の実施の形態のように孔部2aを形成す
るように一部の糸条4が中央付近で折り返す組織のいず
れであってもよい。
【0056】拘束体27はその周長が係合孔3の周長以
下のロッド又はパイプで構成される。なお、周長とは拘
束体27又は係合孔3の断面の周縁の長さである。この
実施の形態では拘束体27として角パイプが使用されて
いる。角パイプの内径は、角パイプの端部が成形用金型
14の突起19の先端側と嵌合可能な大きさに形成され
ている。角パイプの端部が突起19の先端と嵌合可能な
嵌合部27aを構成する。
【0057】所定長さに製織された繊維構造体2を成形
用金型14にセットする場合は、図11に示すように、
各拘束体27を突起19と対向させる。次に各拘束体2
7の嵌合部27aを突起19の先端側に嵌合した状態に
繊維構造体2を配置し、その状態で繊維構造体2を拘束
体27に沿って押し下げて突起19側へ移動させる。拘
束体27が突起19の先端部に嵌合した状態において、
拘束体27と下型15の上面との間には繊維構造体2の
厚さ以上の間隔があるため、繊維構造体2を押し下げる
ことにより繊維構造体2は拘束体27をガイドとして突
起19に貫通される位置に移動される。次に拘束体27
を嵌合部27aから取り外した後、上型16を六角穴付
きボルト17で下型15に締め付け固定することによ
り、成形用金型14への繊維構造体2のセットが完了す
る。その後、前記と同様にして繊維構造体2への樹脂の
含浸硬化処理が行われる。
【0058】三次元ブレーダで三次元組みひもを製織す
る場合、糸条4の張力で組織が収束するため、孔部2a
を組織しても製織中あるいは製織完了後、成形用金型1
4にセットするまでの間に孔部2aの周囲の糸条4が近
接する状態となり、セット時には突起19で押し開く必
要がある。糸条4を押し拡げる量が多いと、繊維構造体
2の組織が歪み、樹脂の含浸硬化で形成されたキャリア
テープ1の特性が低下する。
【0059】しかし、この実施の形態では成形用金型1
4へのセットの直前に拘束体27が繊維構造体2から離
脱するため、拘束体27が離脱した後には突起19の形
状と対応する孔部が形成された状態となる。その結果、
突起19が繊維構造体2を貫通する状態にセットする
際、糸条4に無理な力が加わらず、繊維構造体2の組織
が歪む虞がない。
【0060】前記の効果の他にこの実施の形態では次の
効果を有する。 (リ) 拘束体27が繊維構造体2に所定ピッチで挿入
されるため、孔部のピッチが突起19のピッチと正確に
対応し、成形用金型14へのセット時に繊維構造体2が
幅方向及び長手方向にずれる虞がない。
【0061】(ヌ) 拘束体27に突起19の先端と嵌
合可能な嵌合部27aが形成されているため、拘束体2
7を突起19に嵌合させた状態で繊維構造体2を拘束体
27をガイドとして突起19側へ移動できる。従って、
繊維構造体2を成形用金型14の所定位置にセットする
のがより容易になる。
【0062】(ル) 拘束体27の周長が係合孔3の周
長以下、即ち突起19の周長以下に設定されているた
め、拘束体27が繊維構造体2から離脱した跡の孔部
と、突起19の周面との間に大きな隙間が存在する虞が
なく、キャリアテープ1の係合孔3の周囲に樹脂リッチ
部が発生する虞がない。
【0063】(第4の実施の形態)次に第4の実施の形
態を図12に従って説明する。この実施の形態では、繊
維構造体2を構成する三次元組みひもの糸条4の配向角
θが一定ではなく、係合孔3が形成される領域とその他
の領域とで異なる点が前記各実施の形態と大きく異なっ
ている。
【0064】三次元組みひもを強化材とした場合、その
配向角がキャリアテープ1の強度に影響を及ぼす。キャ
リアテープ1の物性(引っ張り強度、曲げ強度)を良く
するには配向角θを小さくするのがよい。しかし、配向
角θを小さくすると係合孔3の周縁のうちキャリアテー
プ1の長手方向と対応する側の部分に樹脂リッチ部がで
き易くなるとともに、スプロケットホイールの歯からキ
ャリアテープ1に作用する駆動力の分力として、係合孔
3の当該部分からキャリアテープ1を裂くように作用す
る力が大きくなる状態となる。一方、係合孔3の周囲の
強度を高めるため及び樹脂リッチ部をでき難くするため
に配向角θを大きくすると、キャリアテープ1の曲げ弾
性(曲げ強度)が小さくなる。従って、キャリアテープ
1に必要な強度を持たせるには、三次元組みひもの厚さ
を厚くする必要があり、強化材を構成する繊維量及び含
浸樹脂量が多くなってキャリアテープ1の製造コスト及
び重量が増大する。また、キャリアテープ1の重量が増
大すると、レピア織機の駆動動力も増大するという不都
合がある。
【0065】この実施の形態のキャリアテープ1は、係
合孔3が形成される領域A1(スプロケットホイールか
らの動力を受け持つ領域)と、キャリアテープ1に作用
する曲げ弾性力を受け持つ領域A2と、両領域A1,A
2の間に位置する境界領域A3とからなり、繊維構造体
2を構成する三次元組みひもは糸条4の配向角θが各領
域A1,A2,A3で異なる値となるように組織されて
いる。各領域A1,A2,A3の配向角θ1,θ2,θ
3(図示せず)の値は各部分に作用する力に対して適正
な値に設定されている。各配向角θ1,θ2,θ3はθ
2<θ3<θ1、即ち孔が形成される領域A1における
配向角θ1が他の領域A2,A3の配向角θ2,θ3よ
り大きく、境界領域A3における配向角θ3がその両側
に位置する領域A1,A2の配向角θ1,θ2の間の値
となるように設定されている。
【0066】領域A1の配向角θ1は25°〜65°が
好ましく、より好ましくは35°〜55°で最適範囲は
40°〜50°であり、この実施の形態では配向角θ1
は45°に設定されている。領域A2の配向角θ2は1
°〜30°が好ましく、より好ましくは3°〜25°で
最適範囲は7°〜15°であり、この実施の形態では配
向角θ1は10°に設定されている。境界領域の配向角
θ3は隣接する領域A1,A2、A2,A3の間の配向
角の差が大きくならないように、通常は両配向角θ1,
θ2の平均値に近い値に設定される。
【0067】各領域の境界部分が弱くならないように、
糸条4は各領域の幅方向の端部で折り返すのではなく、
全ての領域に跨って配列される。従って、第2の実施の
形態のように、係合孔3が形成される箇所を糸条4が横
切らないように組織される三次元組みひもを除いて、通
常は全ての糸条4が三次元組みひもの幅方向の両端で折
り返される状態に配列される。
【0068】従って、この実施の形態のキャリアテープ
1は係合孔3の周囲に樹脂リッチ部が発生せずに、しか
もスプロケットホイールからの駆動力が係合孔3の当該
部分からキャリアテープ1を裂くように強く作用するこ
とがない。その結果、同じ耐久性を有するキャリアテー
プ1を形成する場合は、配向角が全て同じに組織された
繊維構造体2を使用する場合に比較して、必要な繊維量
及び樹脂量を少なくでき、キャリアテープの製造コスト
の低減及びキャリアテープ1の軽量化が可能となる。そ
して、キャリアテープ1が軽くなることにより、レピア
織機の動力消費量を少なくできる。また、配向角が全て
同じに組織された繊維構造体2と同じ量の繊維を使用し
た場合は、耐久性が向上する。
【0069】また、繊維構造体2に配向角が異なる領域
を設けた場合、互いに隣接する領域の配向角の差が大き
いと、その境界部に樹脂リッチ部やクラックが発生し易
くなる。そして、領域A1の配向角θ1と領域A2の配
向角θ2とをそれぞれ最適値に設定した場合は両者の差
が大きくなり、両領域A1,A2が直接連続する組織で
はキャリアテープ1にしたとき、その境界部に樹脂リッ
チ部やクラックが発生し易くなる。しかし、この実施の
形態では領域A1及び領域A2の間に所定の幅を有する
境界領域A3を設け、その配向角θ3を両配向角θ1,
θ2の中間値にすることにより、互いに隣接する領域の
配向角の差がキャリアテープ1の強度に悪影響を及ぼす
ほど大きくなることを防止できる。
【0070】また、全ての領域で配向角が同じに組織さ
れた三次元組みひもを強化材とした場合、キャリアテー
プ1の強度が均一になるため、キャリアテープ1の寿命
がきたときに突然破断が発生し、キャリアテープ1の一
部が経糸開口内に残った状態で筬打ちされる虞がある。
しかし、領域により配向角が異なる場合はキャリアテー
プ1の強度が幅方向に均一ではないため、幅方向全域に
渡って一度に切断し難くなり、破断前にキャリアテープ
1の異常を検知でき、キャリアテープ1の一部が経糸開
口内に残った状態で筬打ちされる虞がない。
【0071】なお、本発明は前記各実施の形態に限定さ
れるものではなく、例えば、次のように具体化してもよ
い。 (1) 繊維構造体2を構成する三次元組みひもを、第
4の実施の形態のように糸条4の配向角が領域によって
異なる構成とする場合、図13に示すように、係合孔3
が形成される領域A1と、キャリアテープ1に作用する
曲げ弾性力を受け持つ領域A2との二つの領域を有する
組織としてもよい。例えば、係合孔3の周囲の強度を高
めることと、樹脂リッチ部をでき難くすることとを優先
して領域A1の配向角θ1の値を設定し、領域A2の配
向角θ2は両領域の境界部に樹脂リッチ部やクラックが
発生し難い値に設定する。この場合、キャリアテープ1
の曲げ強度の耐久性を全領域の配向角θが同じ三次元組
みひもと同等にするには繊維量を多くする必要がある。
しかし、図13に示すように、繊維構造体2の長手方向
に沿って延びる芯糸28を配列すると、芯糸28により
曲げ強度が高められ、繊維量の増加を抑えることができ
る。
【0072】芯糸28が配列された三次元組みひもを組
織する場合は、第1の実施の形態の三次元ブレーダにお
いて、ロータ8の中心及びアクチュエータ7を貫通する
孔を設け、その孔を通して固定糸(芯糸)を導出した状
態で三次元ブレーダを運転することにより組織される。
【0073】(2) 繊維構造体2として三次元組みひ
もに代えて、厚さ方向に複数の繊維層が積層されるとと
もに各繊維層を貫通して各繊維層を結合する糸条が存在
する三次元織物を使用する。三次元織物としては例えば
特開平5−272030号公報等に開示されている方法
で製造されるものや、特公昭54−38673号公報、
特開昭61−245335号公報等に開示された三次元
織物と同様なものが使用される。
【0074】特開平5−272030号公報に開示され
た方法では、三次元織物の長手方向、長手方向と直交す
る方向及び長手方向に対して所定の角度をなすように幅
方向に糸条をそれぞれ折り返し状に配列した繊維層(糸
層)を厚さ方向に積層し、各繊維層を貫通して厚さ方向
に折り返し状に配列された糸条により各繊維層を結合す
る。また、特公昭54−38673号公報、特開昭61
−245335号公報等に開示された方法では、経糸を
複数行、複数列に張設した状態で各行間及び各列間に第
1及び第2の緯糸を経糸と直交する状態で順次折り返し
状に挿入するとともに耳糸で抜け止めを図って三次元織
物を製織する。
【0075】三次元織物を繊維構造体2とする場合も第
1の実施の形態と同様にして樹脂の含浸硬化処理が行わ
れてキャリアテープ1が製造される。この場合も第1の
実施の形態の効果のうち、(ニ)及び(ヘ)の三次元組
みひもの組織に起因する効果を除いた効果を発揮する。
また、強化材として三次元織物で構成された繊維構造体
2を使用した場合は、三次元組みひもで構成された繊維
構造体2と異なり、繊維構造体の厚さ方向と直交する平
面で分けられる糸層(繊維層)が存在する。従って、キ
ャリアテープ1に頻繁に曲げ応力が加えられると一部に
層間の剪断破壊や表面剥離が発生する場合がある。しか
し、繊維構造体2の厚さ方向に各糸層を貫通して配列さ
れる糸状により各糸層が結合されているため、層間剥離
の進行が阻止される。その結果、繊維層が厚さ方向に積
層されただけで、積層された繊維層を貫く糸条がない従
来のキャリアテープに比較してその耐久性が向上する。
【0076】(3) 三次元織物を特開平5−2720
30号公報に開示された方法で製造する場合、係合孔を
形成すべき箇所に係合孔と対応する形状のピンを立設し
た状態で各糸条の配列を行えば、第3の実施の形態と同
様に繊維構造体2の成形用金型14へのセットが容易に
なるとともに、係合孔の周囲に樹脂リッチ部が発生し難
くなる。
【0077】(4) 繊維構造体2として三次元組みひ
もや三次元織物のように糸条が立体的に組織されたもの
に代えて、二次元組ひもあるいは小幅織機やテープ織機
で製織される平織り又は綾織りの単層の織物を使用す
る。これらの場合、キャリアテープ1を形成したときに
所定の剛性を持たせるには繊維構造体2を構成する糸条
として、複数の繊維層でキャリアテープ1を構成したと
きの厚さに近い太さの糸条が使用される。繊維構造体2
への樹脂の含浸硬化処理は第1の実施の形態と同様に行
われる。
【0078】この繊維構造体を強化材としたFRP製の
キャリアテープは、繊維構造体が単層の織物であるため
層間剥離が発生しない。また、糸条が繊維構造体の幅方
向の両端部で折り返されているため、繊維切断面がキャ
リアテープの幅方向の両端部に存在せず、キャリアテー
プに頻繁に曲げ応力が加えられても、キャリアテープの
幅方向の端部から破壊が生じ難い。
【0079】(5) 繊維構造体として従来のFRP製
キャリアテープのように、繊維が一方向に配列されたシ
ートUDを積層したもの(図14(a))、平織物を積
層したもの(図14(b))、バイアスクロスを積層し
たもの(図14(c))あるいは、前記シートUD、平
織物及びバイアスクロスを適宜選択して積層したものを
使用してもよい。これらの繊維構造体への樹脂の含浸硬
化処理は第1の実施の形態と同様に行われる。
【0080】(6) 係合孔3は平断面形状が菱形に限
らず円形、楕円形、正方形、長方形、多角形であっても
よい。しかし、三次元組みひもや二次元組みひもあるい
はバイアスクロスを強化材として使用する場合は、係合
孔3の平断面形状は菱形が好ましく、三次元織物や平織
物を使用する場合は円形が好ましい。このように係合孔
の平断面形状を形成した場合は、係合孔の周囲に樹脂リ
ッチ部ができ難い。
【0081】(7) 第3の実施の形態において拘束体
27として角パイプに代えて角柱状のロッドの端面に突
起19の先端と嵌合可能な嵌合部を形成したものを使用
してもよい。しかし、ロッドの端面に嵌合部を形成する
より角パイプの方が製造が容易となる。突起19の断面
形状が円の場合は、拘束体7として丸ロッド又は丸パイ
プを使用するのが好ましい。しかし、拘束体27の断面
形状は突起19の断面形状と対応する必要はなく、突起
19の断面形状が菱形あるいは多角形の場合に丸ロッド
あるいは丸パイプを拘束体として使用してもよい。
【0082】(8) 第3の実施の形態において拘束体
27として嵌合部のないロッドを使用し、繊維構造体2
を成形用金型14にセットするときに拘束体を繊維構造
体2から取り除き、その跡に突起19を挿入するように
セットしてもよい。この場合、拘束体はガイドの役割を
果たさないが、拘束体の抜き跡がハッキリ残った状態に
あるため、繊維構造体2の所定位置に突起19を簡単に
挿入できる。
【0083】前記実施の形態及び変更例から把握できる
請求項記載以外の発明について、以下にその効果ととも
に記載する。 (1) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発
明において、繊維構造体を三次元織物とする。この場合
も糸条が孔の周囲で切断されることなく孔を回避して配
列されているため、従来のFRP製のキャリアテープに
比較して耐久性が向上するとともに、加工工数の低減が
可能となる。
【0084】(2) 請求項1〜請求項3のいずれか一
項に記載の発明において、繊維構造体をキャリアテープ
の厚さとほぼ同じ太さの糸条で製織された単層織物とす
る。この場合も糸条が孔の周囲で切断されることなく孔
を回避して配列されているため、従来のFRP製のキャ
リアテープに比較して耐久性が向上するとともに、加工
工数の低減が可能となる。また、従来の平面状の織物を
積層した強化材を使用したものと異なって層間剥離が発
生せず、耐久性がより向上する。
【0085】(3) 請求項7に記載の製造方法で製織
された三次元組みひもを、拘束体が挿入される溝を有す
る保持体(例えば螺旋状の溝を有するドラム)に、拘束
体が溝に挿入された状態で支持して(例えば巻き付け
て)保管する三次元組みひもの保管方法。この場合は、
係合孔となるべき箇所に拘束体が挿入された状態に保持
されるため、拘束体を繊維構造体(三次元組みひも)か
ら取り外して成形用金型にセットする場合に、繊維構造
体に金型の突起と対応する孔部が形成されて、簡単に所
定位置にセットできる。
【0086】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項5
に記載の発明では、FRP製のキャリアテープの強化材
を構成する糸条が、スプロケットホイールの歯と係合す
る孔の周囲で切断されることなく孔を回避して配列され
ているため、従来のFRP製のキャリアテープに比較し
て耐久性が良い。また、成形用金型を使用して強化材に
樹脂の含浸硬化処理を行う際に、前記孔を形成すること
により加工工数の低減が可能となる。
【0087】請求項2に記載の発明では、繊維構造体が
三次元組みひもで構成されているため、キャリアテープ
に曲げ応力が繰り返し作用しても、従来の平面状の織物
を積層した強化材を使用したものと異なって層間剥離が
発生せず、耐久性がより向上する。
【0088】請求項3に記載の発明では、三次元組みひ
もを構成する糸条の一部が、前記孔と対応する部分を回
避するように繊維構造体の中央付近で折り返されている
ため、繊維構造体は孔となるべき部分が他とはっきり異
なり、繊維構造体を成形用金型にセットする際、繊維構
造体を所定の位置に間違いなく容易にセットできる。
【0089】請求項4に記載の発明では、三次元組みひ
もを構成する糸条の配向角が、前記孔が形成される領域
とその他の領域とで異なる状態に組織されて、各領域を
必要に応じた強度とすることができ、全ての領域で同じ
配向角に糸条を配列した場合に比較して同等の耐久性を
持たせる場合には強化繊維量(強化糸条量)を少なくで
き、キャリアテープが軽量となってレピア織機の動力消
費を少なくできる。
【0090】請求項5に記載の発明では、前記孔が形成
される領域と、幅方向の両側に位置する領域との間に設
けられた境界領域の存在により、境界領域を挟んだ両領
域の配向角の差が大きくても、境界部にクラックや樹脂
リッチ部が発生し難くなってキャリアテープの耐久性が
より向上する。
【0091】請求項6に記載の発明の繊維構造体を使用
して形成したFRP製のキャリアテープは、請求項2〜
請求項5に記載の対応する発明と同様な効果を発揮す
る。請求項7に記載の発明では、請求項2〜請求項5に
記載の繊維構造体を成形用金型にセットし易いように所
定ピッチで孔部が形成された状態で製織できる。
【0092】請求項8〜請求項11に記載の発明では、
請求項1に記載のキャリアテープを容易に製造できる。
請求項9に記載の発明では、成形用金型の菱形の突起が
繊維構造体を貫通した状態に糸条を損傷せずに容易にセ
ットできる。
【0093】請求項10に記載の発明では、繊維構造体
を幅方向及び長手方向へのずれがなく、繊維構造体の組
織に歪みを生じさせない状態で成形用金型に容易にセッ
トすることができる。
【0094】請求項11に記載の発明では、請求項10
に記載の発明に比較して、より容易に繊維構造体を成形
用金型にセットできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のキャリアテープの部分模
式斜視図。
【図2】 同じく繊維構造体の製織(組織)状態の模式
斜視図。
【図3】 キャリア駆動ユニットの斜視図。
【図4】 ロータと糸条キャリアの配置を説明する模式
図。
【図5】 ロータを90°回転させたときの糸条キャリ
アの軌跡の模式図。
【図6】 成形用金型の分解模式斜視図。
【図7】 金型内に繊維構造体をセットした状態の断面
図。
【図8】 樹脂を注入する状態の概略図。
【図9】 (a)は第2の実施の形態の繊維構造体の模
式平面図、(b)は第1の実施の形態と同様な繊維構造
体の模式平面図。
【図10】 第3の実施の形態の製織状態の模式斜視
図。
【図11】 繊維構造体を金型にセットする状態を示す
要部模式斜視図。
【図12】 第4の実施の形態のキャリアテープの模式
斜視図。
【図13】 変更列のキャリアテープの模式斜視図。
【図14】 別の変更例のキャリアテープを示す模式平
面図。
【図15】 キャリアテープの駆動装置を示す模式側面
図。
【図16】 従来のキャリアテープの一部破断模式斜視
図。
【図17】 キャリアテープの破壊作用を説明する模式
断面図。
【符号の説明】
1…キャリアテープ、2…繊維構造体、3…孔としての
係合孔、4…糸条、14…成形用金型、19…突起、2
7…拘束体、27a…嵌合部、A1…領域、A2…領
域、A3…境界領域、θ…配向角。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レピア織機に使用されるキャリアテープ
    であって、扁平な繊維構造体を強化材とした繊維強化プ
    ラスチックで形成されるとともにスプロケットホイール
    の歯と係合可能な孔が長手方向に所定ピッチで形成さ
    れ、前記繊維構造体を構成する糸条が前記孔の周囲で切
    断されることなく孔を回避して配列されているレピア織
    機用キャリアテープ。
  2. 【請求項2】 前記繊維構造体は三次元組みひもで構成
    されている請求項lに記載のレピア織機用キャリアテー
    プ。
  3. 【請求項3】 前記繊維構造体は三次元組みひもを構成
    する糸条の一部が、前記孔と対応する部分を回避するよ
    うに繊維構造体の中央付近で折り返されている請求項2
    に記載のレピア織機用キャリアテープ。
  4. 【請求項4】 前記繊維構造体は三次元組みひもを構成
    する糸条の配向角が、前記孔が形成される領域とその他
    の領域とで異なり、かつ孔が形成される領域における配
    向角が他の領域の配向角より大きく形成されている請求
    項2又は請求項3に記載のレピア織機用キャリアテー
    プ。
  5. 【請求項5】 前記繊維構造体は前記孔が形成される領
    域と、幅方向の両側に位置する領域との間に境界領域が
    設けられ、該境界領域における糸条の配向角がその両側
    に位置する領域の配向角の間の値となるように設定され
    ている請求項4に記載のレピア織機用キャリアテープ。
  6. 【請求項6】 請求項2〜請求項5のいずれか一項に記
    載の繊維構造体。
  7. 【請求項7】 請求項2〜請求項5のいずれか一項に記
    載の繊維構造体の製造方法であって、三次元組みひもの
    製織時に、前記孔を形成すべき箇所に拘束体を三次元組
    みひもの厚さ方向に貫通するように挿入しつつ製織する
    繊維構造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 スプロケットホイールによりキャリアテ
    ープが駆動されるレピア織機の繊維強化プラスチック製
    キャリアテープの製造方法であって、前記スプロケット
    ホイールの歯と係合可能な孔を形成するための突起が所
    定ピッチで突設された成形用金型内に、強化用の繊維構
    造体をその糸条が前記突起と対応する箇所においては糸
    条の間隔を拡げて、突起が糸条を切断することなく繊維
    構造体を貫通する状態で配置し、次いで成形用金型を閉
    じて繊維構造体への樹脂の含浸硬化を行うレピア織機用
    キャリアテープの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記繊維構造体は三次元組みひもで構成
    され、前記突起は菱形に形成されている請求項8に記載
    のレピア織機用キャリアテープの製造方法。
  10. 【請求項10】 スプロケットホイールによりキャリア
    テープが駆動されるレピア織機の繊維強化プラスチック
    製キャリアテープの製造方法であって、強化材を構成す
    る三次元組みひもの製織時に、キャリアテープに形成さ
    れる孔を形成すべき箇所に拘束体を三次元組みひもの厚
    さ方向に貫通するように挿入しつつ製織し、製織された
    三次元組みひもを前記スプロケットホイールの歯と係合
    可能な孔を形成するための突起が所定ピッチで突設され
    た成形用金型内に、前記拘束体が前記各突起と対向する
    ように配置した後、拘束体から離脱させて前記突起に貫
    通された状態にセットし、次いで成形用金型を閉じて繊
    維構造体への樹脂の含浸硬化を行うレピア織機用キャリ
    アテープの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記拘束体には少なくとも一方に前記
    突起の先端側と嵌合可能な嵌合部が形成され、嵌合部を
    突起の先端に嵌合させた状態で繊維構造体を突起側へ移
    動させる請求項10に記載のレピア織機用キャリアテー
    プの製造方法。
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