JPH10130732A - 転がり軸受用の軸受鋼部品、その焼入れ方法、その焼入れ装置、およびその表面温度測定装置 - Google Patents

転がり軸受用の軸受鋼部品、その焼入れ方法、その焼入れ装置、およびその表面温度測定装置

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JPH10130732A
JPH10130732A JP8285429A JP28542996A JPH10130732A JP H10130732 A JPH10130732 A JP H10130732A JP 8285429 A JP8285429 A JP 8285429A JP 28542996 A JP28542996 A JP 28542996A JP H10130732 A JPH10130732 A JP H10130732A
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JP
Japan
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bearing steel
bearing
quenching
steel part
temperature
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Katsunori Ito
勝教 伊藤
Seiji Mori
政治 森
Yukio Fujii
幸生 藤井
Kikuo Maeda
喜久男 前田
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Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロット内、ロット間の熱処理材質を安定にで
き、割れに強く長寿命の部品(軸受)を安定して製造す
る。 【解決手段】 転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ時に
軸受鋼部品の表面温度を測定しながら焼入れの条件を制
御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼を焼入れして使
用される転がり軸受、特に大型の転がり軸受において、
焼入れ時の変形がなく、安定した品質を有する転がり軸
受用の軸受鋼部品に関し、またその焼入れ方法、焼入れ
装置および表面温度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軸受などは、熱処理(焼入れ、焼戻し)
によりマルテンサイト変態を起こさせて所定の硬さを得
ている。熱処理部品の品質を決定する重要な要素である
焼入れ冷却速度の制御は、焼入れ時における軸受温度の
適当な測定技術がないため、焼入れ過程中に冷却油噴射
バルブの開閉度を一定として、焼入れ油からの製品の引
上げ速度を制御して行なっている。
【0003】また焼割れや使用中の割れを解決する手段
として、たとえば特公昭48−6010号公報に開示さ
れているように材料ジョミニー値の管理を行ない、製品
内部の硬度を表層よりも小さくし、表層の熱処理応力を
圧縮応力にする方法もある。しかしこの方法は、冷却条
件が一定であるという保証があって初めて有効である。
【0004】また、焼入れ過程におけるマルテンサイト
変態挙動を監視する方法として、磁気的な手段もある
が、磁気的な測定値は温度変化によって大きく変わるの
で、実用的な技術とはなっていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】実際の製品各部の表面
温度を正確に、リアルタイムに測定できれば、各部の冷
却曲線より冷却状態をコントロールすることができる。
このため、たとえばCCT(連続冷却変態)曲線との対
応で、ノーズ部分は早く冷し(油の噴射を強くして冷
却)、Ms(マルテンサイト変態開始)点直上はゆっく
り(静止油)冷却することで、必要なマルテンサイト組
織を得ながら内部との温度差を小さくして表層に残留す
る応力が引張りであれば小さく、圧縮であれば適切な応
力値とすることができ、さらに亀裂敏感性を小さくする
ことができる。
【0006】これには製品温度のリアルタイム測定が必
須であったが、これまでの熱電対式の温度計では冷却の
影響で表面の真温が測れず、非接触の放射温度計では油
中の製品温度測定は、誤差が大きすぎて不可能であっ
た。
【0007】いずれにしても製品1品ごとの焼入れ中の
温度を測定することが必要である。また、表層の引張応
力をなくすには浸炭鋼にしたり、焼入れ性の低い材料を
用いる方法があるが、前者ではコスト高の問題があり、
後者では熱処理材質の安定面、管理面の問題がある。つ
まり、後者では冷却速度の正確なコントロールが必要条
件である。また両者ともに寸法の安定性、熱処理変形の
面でも問題がある。
【0008】以上のごとく、大型機械部品の熱処理に関
する諸問題は、焼入れ冷却中の製品の温度測定技術に帰
するものである。
【0009】それゆえ、本発明の目的は、ロット内、ロ
ット間の熱処理材質を安定にでき、割れに強く長寿命の
部品(軸受)を安定して製造できる転がり軸受用の軸受
鋼部品の焼入れ方法および焼入れ装置を提供することで
ある。
【0010】また本発明の他の目的は、転がり軸受用の
軸受鋼部品の焼入れ時において、その軸受鋼部品の表面
温度を正確に測定できる表面温度測定装置を提供するこ
とである。
【0011】本発明のさらに他の目的は、十分な硬度を
有し、かつ所定の残留応力を有することで、大型転がり
軸受に適した転がり軸受用の軸受鋼部品を提供すること
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受用の
軸受鋼部品の焼入れ方法では、転がり軸受用の軸受鋼部
品の焼入れ時に軸受鋼部品の表面温度を測定しながら焼
入れの条件を制御する。
【0013】これにより、軸受鋼部品の表面温度をリア
ルタイムに測定できるため、リアルタイムで軸受鋼部品
の表層および内部の冷却状態を制御することが可能とな
る。このため、たとえば所定領域において必要なマルテ
ンサイト組織を得ながら、表層と内部との温度差を小さ
くして表層に残留する応力が引張りであれば小さく、圧
縮であれば適切な応力値とすることができ、さらに亀裂
敏感性を小さくすることができる。このようにロット
内、ロット間の熱処理材質を安定にでき、割れに強く長
寿命の転がり軸受用の軸受鋼部品を製造することができ
る。
【0014】また軸受レースの内径と外径との冷却速度
を所定の値に制御することにより、熱処理によるレース
の膨張収縮を制御でき、熱処理変形を小さくし、研削代
を小さくすることができる。
【0015】また個々の製品について冷却過程の温度測
定ができ、個々の製品に対して熱処理不良のチェックが
可能になる。
【0016】上記局面において好ましくは、軸受鋼部品
の表面温度は光ファイバにより測定される。
【0017】光ファイバを用いて表面温度を測定するこ
とで、光ファイバと軸受鋼部品の表面との間に、冷却用
の油が介在しても、正確に表面温度を測定することがで
きる。また、光ファイバ温度計の応答速度は十分速く、
冷却条件へのフィードバックも可能である。
【0018】上記局面において好ましくは、焼入れ時に
軸受鋼部品のマルテンサイト変態点直上の温度で冷却速
度が遅くされる。
【0019】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入
れ装置は、転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ時に軸受
鋼部品の表面温度を測定するための温度測定手段と、測
定された軸受鋼部品の表面温度に応じて冷却条件を設定
するための冷却条件設定手段と、設定された冷却条件に
基づいて軸受鋼部品を冷却するための冷却手段とを備え
ている。
【0020】これにより、上述した転がり軸受用の軸受
鋼部品の焼入れ方法を実現でき、上述した作用効果を得
ることができる。
【0021】上記局面において好ましくは、温度測定手
段は、軸受鋼部品の表面温度を測定する光ファイバを有
している。
【0022】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品の表面
温度測定装置は、転がり軸受用の軸受鋼部品の表面温度
を測定するための光ファイバと、光ファイバと軸受鋼部
品表面との間隔を一定に保つ治具とを備えている。
【0023】光ファイバを用いて表面温度を測定するこ
とで、光ファイバと軸受鋼部品の表面との間に、冷却用
の油が介在しても正確に表面温度を測定することができ
る。また、光ファイバ温度計の応答速度は十分速く、冷
却条件へのフィードバックも可能である。
【0024】また、光ファイバと軸受鋼部品表面との間
隔を一定に保つ治具を用いたことによって、表面温度の
測定条件を一定にし、測定結果の再現性と精密性とを高
めることができる。
【0025】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品は、焼
入れ鋼であり、表層に20MPa以上150MPa以下
の圧縮応力が残留しており、かつ表面硬度がHRC60
以上である。
【0026】これにより、十分な硬度を有し、かつ所定
の残留応力を有しているため、大型転がり軸受に適した
転がり軸受用の軸受鋼部品を得ることができる。
【0027】残留応力が20MPaよりも小さい圧縮応
力の場合には、大きな嵌合条件で使用すると軸受鋼部品
が短寿命となり、150MPaよりも大きな圧縮応力を
得ようとすると熱処理時に焼き割れの発生が懸念され
る。また表面硬度の設定範囲がHRC60以上ないと、
転がり軸受として充分な耐摩耗性が得られない。
【0028】
【発明の実施の形態】まず、本発明の一実施の形態にお
ける転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ方法および焼入
れ装置について説明する。
【0029】図1は、本発明の一実施の形態における転
がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ方法および焼入れ装置
を説明するためのブロック図である。図1を参照して、
たとえば大型転がり軸受の軸受鋼部品1の焼入れ時に
は、この軸受鋼部品1は油中に浸漬される。そしてこの
焼入れ時の軸受鋼部品1の表面温度は、たとえば光ファ
イバを有する表面温度測定手段2によって測定される。
また軸受鋼部品1の内部温度については、たとえば熱電
対により測定される。そしてこのように測定された軸受
鋼部品1の各部の温度に基づいて、冷却条件設定(変
更)手段3によって軸受鋼部品1の冷却条件が設定もし
くは変更される。このように設定もしくは変更された冷
却条件に基づいて冷却手段4は、大型軸受1が浸漬され
ている油の攪拌速度などの冷却条件を変更・実現する。
【0030】次に、本発明の一実施の形態における転が
り軸受用の軸受鋼部品の表面温度測定装置について説明
する。
【0031】図2と図3とは、本発明の一実施の形態に
おける転がり軸受用の軸受鋼部品の表面温度測定装置の
構成を概略的に示す正面図および断面図である。図2と
図3とを参照して、表面温度測定装置10は、軸受鋼部
品(製品)1の表面温度を測定するための光ファイバ1
1と、光ファイバ11を固定するための光ファイバ固定
治具12と、光ファイバ固定治具12に支持され軸受鋼
部品1に当接可能なガイド用軸受13とを有している。
【0032】光ファイバ温度計の構成を以下の表1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示されるように、光ファイバ温度計
には高温用と低温用の2種類があるが、焼入れに重要な
マルテンサイト変態点は、150〜250℃程度にある
ので、特に低温系の温度計を用いることが望ましい。
【0035】軸受鋼部品1からの熱の逃げをなくすため
には、ガイド用軸受13を断熱効果の大きいセラミック
スにすることが望ましい。
【0036】また、たとえば超音波を用いて軸受鋼部品
1との距離を測定するためのギャップセンサ14が光フ
ァイバ固定治具12に取付けられていてもよい。このギ
ャップセンサ14によって、軸受鋼部品1との距離を一
定に保つように光ファイバ1をコントロールしながら追
従させることが可能となる。このため、複雑な形状の軸
受鋼部品1にもこの表面温度測定装置10を適用するこ
とができる。
【0037】また、一定の圧力でガイド用軸受13を軸
受鋼部品1に押圧するためのばね、ダンパ機構などを組
合せることにより、より安定した測定が可能となる。
【0038】なお、軸受鋼部品1の局部的な温度を測定
するには、光ファイバ11の先端を軸受鋼部品1に接触
させて測温することも可能である。
【0039】次に、本発明の一実施の形態における転が
り軸受用の軸受鋼部品について説明する。
【0040】本発明の軸受鋼部品は、焼入れ鋼であり、
その表層に20MPa以上150MPa以下の圧縮応力
を有している。ここで焼入れ鋼の表層に圧縮応力が残留
する機構を、引張応力の場合と比較して説明する。
【0041】図4と図5とは、表層に引張応力もしくは
圧縮応力が生じた様子を示す焼入れ鋼の断面図である。
【0042】まず図4を参照して、焼入れにより軸受鋼
部品1を冷却すると、部品1が大きい場合には熱は表面
から放散される。このため、部品1の温度は表面から下
がり始め、マルテンサイト変態は表面から始まる。次い
で中心部1bの温度低下に伴い、表層部1aと同様に中
心部1bでもマルテンサイト変態が開始する。しかし、
中心部1bのマルテンサイト変態が開始したときには、
表層部1aの変態はほぼ終わっているため、体積膨張を
起こそうとしても表層部1aはそれ以上膨張できない。
そこで、中心部1bは拘束された状態で矢印で示すよう
に外周方向へ体積膨張を起こそうとすることになる。よ
って、焼入れにより部品1を急冷した場合には、表層部
1aに矢印A方向に示す引張応力が生じることになる。
【0043】次に図5を参照して、軸受鋼部品1の焼入
れ時において、マルテンサイト変態点直上から徐冷した
際には、表層部1aは完全にマルテンサイト変態する
が、中心部1bの変態は不完全になり、表層部1aの膨
張量が中心部1bの膨張量を上回ることになる。したが
って、表層部1aが、矢印で示すように中心部1bによ
って内周側へ引張られるような状態となり、表層部1a
には矢印Bで示す方向に圧縮応力が生成する。
【0044】また、圧縮応力の生じる原因として、マル
テンサイト変態点が表層部1aと中心部1bとで若干異
なることも考えられる。中心部1bの焼入れ組織が不完
全なものであるため、マルテンサイト組織に固溶してい
る炭素量は完全焼入れ組織よりも少なくなる。したがっ
て、生地に固溶している炭素量によって表面はマルテン
サイト変態点が低くなっており、表層部1aの変態が時
間的に遅れて変態すると考えられる。中心部1bの変態
が終わってから、表層部1aが変態することになるた
め、表層部1aが圧縮されることになる。
【0045】また残留応力が20MPaよりも小さい圧
縮応力の場合には、大きな嵌合い条件で使用すると軸受
鋼部品が短寿命となり、150MPaよりも大きな圧縮
応力を得ようとすると熱処理時に焼割れの発生が懸念さ
れる。このため、表層の残留応力は20MPa以上15
0MPa以下でなければならない。
【0046】また上記に関連した実験の結果によれば、
残留応力が50MPaの引張応力である転がり軸受と上
記設定範囲とした転がり軸受とでは、その寿命の間に1
0倍の開きが生じる。
【0047】また、表面硬度の設定範囲はHRC60以
上である。硬度がHRC60以上ないと、転がり軸受と
して充分な耐摩耗性が得られないからである。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例について図に基づいて
説明する。
【0049】まず、油中への冷却(500℃から静止油
へ浸漬)時の測定温度に及ぼす光ファイバ先端と製品間
距離の影響について調べた。その結果を図6に示す。
【0050】図6を参照して、この条件においてはゆっ
くりとした冷却のため、製品表面から2.5mmの深さ
で測定した熱電対温度が、ほぼ表面温度を表わすと考え
られる。この熱電対によって測定した温度曲線に対し
て、光ファイバと製品との距離が0.3mmおよび0.
5mmの場合には、低温域でほとんど誤差のない値を示
しているのに対し、光ファイバ温度計と製品との距離が
1mmの場合には誤差が大きくなっていることがわか
る。したがって、光ファイバ温度計と製品表面との距離
は0.5mm以下にコントロールする必要がある。
【0051】次に、軸受鋼部品の焼入れ時の油の噴射条
件(油の攪拌条件)を変えた場合の軸受鋼部品の冷却曲
線について調べた。その結果を図7と図8とに示す。
【0052】また、熱電対により測定された軸受鋼部品
の中心部と表層部との温度の違いを基に熱伝導方程式か
ら推定した表面温度と、光ファイバ温度計で得られた表
面温度との関係を調べた。その結果を図9と図10とに
示す。
【0053】ここで図7および図9に示すデータは油攪
拌を比較的弱くした場合を示し、図8および図10に示
すデータは油攪拌を比較的強くした場合を示している。
【0054】図7と図8とを参照して、表層の熱電対と
光ファイバ温度計との測定温度差は噴射条件が厳しいほ
ど大きい。また図9と図10とを参照して、熱電対によ
り測定された温度(図中の白抜き記号)から推定した表
面温度と、光ファイバ温度計で得られた表面温度(図中
の黒塗り記号)とがよく一致していることがわかる。こ
れにより、油の噴射が厳しいときも、光ファイバ温度計
を用いて正確に軸受鋼部品の表面温度を測定することが
できているといえる。
【0055】次に、実際の製品の冷却速度をコントロー
ルしながら焼入れた場合および従来の方法で焼入れた場
合の表層の残留応力と硬度とについて調べた。その結果
を以下の表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】なお、表2における冷却条件中に示されて
いる冷却曲線1〜5は、図11の各冷却曲線に対応して
いる。
【0058】表2の結果より明らかなように、所定の条
件を満たすような冷却曲線2および3を実現できるよう
な焼入れを行なうことにより、製品表層の残留応力が圧
縮応力で20MPa以上150MPa以下で、かつ表面
硬度がHRC60以上の転がり軸受用の軸受鋼部品を得
ることができる。
【0059】また以上の結果より、CCT曲線のノーズ
内で冷却速度をコントロールしながら焼入れることによ
り、表層の引張応力を小さくできるとともに、十分な硬
さが得られている。特に、マルテンサイト変態点(M
s)付近をゆっくりと冷やし内部との温度差を小さくす
ることが有効である。
【0060】なお、表2の表層の残留応力において
「+」は引張応力であることを示し、「−」は圧縮応力
であることを示している。
【0061】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0062】
【発明の効果】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品の焼
入れ方法では、軸受鋼部品の表面温度をリアルタイムに
測定できるため、リアルタイムで軸受鋼部品の表層およ
び内部の冷却状態を制御することが可能となる。このた
め、たとえば所定領域において必要なマルテンサイト組
織を得ながら、表層と内部との温度差を小さくして表層
の引張応力を小さくし、あるいは表層に適切な圧縮応力
を残留させ亀裂敏感性を小さくすることができる。この
ようにロット内、ロット間の熱処理材質を安定にでき、
割れに強く長寿命の転がり軸受用の軸受鋼部品を製造す
ることができる。
【0063】また軸受レースの内径と外径との冷却速度
を所定の値に制御することにより、熱処理によるレース
の膨張収縮を制御でき、熱処理変形を小さくし、研削代
を小さくすることができる。
【0064】また個々の製品について冷却過程の温度測
定ができ、個々の製品に対して熱処理不良のチェックを
することが可能となる。
【0065】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入
れ装置では、上述した転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入
れ方法を実現でき、上述した作用効果を得ることができ
る。
【0066】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品の表面
温度測定装置では、光ファイバを用いて表面温度を測定
することで光ファイバと軸受鋼部品の表面との間に、冷
却用の油が介在しても、正確に表面温度を測定すること
ができる。
【0067】また光ファイバと軸受鋼部品表面との間隔
を一定に保つ治具を用いたことによって、表面温度の測
定条件を一定にし、測定結果の再現性と精密性とを高め
ることができる。
【0068】本発明の転がり軸受用の軸受鋼部品は、十
分な硬度を有し、かつ所定の残留応力を有しているた
め、大型転がり軸受に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における転がり軸受用の
軸受鋼部品の焼入れ方法および焼入れ装置について説明
するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態における転がり軸受用の
軸受鋼部品の表面温度測定装置の構成を概略的に示す正
面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における転がり軸受用の
軸受鋼部品の表面温度測定装置の構成を概略的に示す断
面図である。
【図4】焼入れ鋼の表層部に引張応力が生じた様子を示
す概略断面図である。
【図5】焼入れ鋼の表層部に圧縮応力が生じた様子を示
す概略断面図である。
【図6】油中で冷却したときの測定温度に及ぼす光ファ
イバ先端と製品表面との間の距離の影響を示すグラフで
ある。
【図7】攪拌を比較的弱くした場合の焼入れ時の製品の
冷却曲線を示すグラフである。
【図8】攪拌を比較的強くした場合の焼入れ時の製品の
冷却曲線を示すグラフである。
【図9】攪拌を比較的弱くした場合の熱電対により測定
された中心部と表層部の温度との違いをもとに熱伝導方
程式から推測した表面温度と光ファイバ温度計とで得ら
れた表面温度との関係を示すグラフである。
【図10】攪拌を比較的強くした場合の熱電対により測
定された中心部と表層部との温度の違いをもとに熱伝導
方程式から推定した表面温度と、光ファイバ温度計とで
得られた表面温度との関係を示すグラフである。
【図11】表2の冷却条件を説明するための焼入れ時の
時間と製品温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 軸受鋼部品 2 表面温度測定手段 3 冷却条件設定(変更)手段 4 冷却手段

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ時に
    前記軸受鋼部品の表面温度を測定しながら前記焼入れの
    条件を制御する、転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ方
    法。
  2. 【請求項2】 前記軸受鋼部品の表面温度を光ファイバ
    により測定する、請求項1に記載の転がり軸受用の軸受
    鋼部品の焼入れ方法。
  3. 【請求項3】 前記焼入れ時に前記軸受鋼部品のマルテ
    ンサイト変態点直上の温度で冷却速度を遅くする、請求
    項1に記載の転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ方法。
  4. 【請求項4】 転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ時
    に、前記軸受鋼部品の表面温度を測定するための温度測
    定手段と、 測定された前記軸受鋼部品の表面温度に応じて冷却条件
    を設定するための冷却条件設定手段と、 設定された前記冷却条件に基づいて前記軸受鋼部品を冷
    却するための冷却手段とを備えた、転がり軸受用の軸受
    鋼部品の焼入れ装置。
  5. 【請求項5】 前記温度測定手段は、前記軸受鋼部品の
    表面温度を測定する光ファイバを有する、請求項4に記
    載の転がり軸受用の軸受鋼部品の焼入れ装置。
  6. 【請求項6】 転がり軸受用の軸受鋼部品の表面温度を
    測定するための光ファイバと、 前記光ファイバと前記軸受鋼部品表面との間隔を一定に
    保つよう前記光ファイバを支持する光ファイバ支持用治
    具とを備えた、転がり軸受用の軸受鋼部品の表面温度測
    定装置。
  7. 【請求項7】 焼入れ鋼であり、表層に20MPa以上
    150MPa以下の圧縮応力が残留しており、かつ表面
    硬度がHRC60以上である、転がり軸受用の軸受鋼部
    品。
JP8285429A 1996-10-28 1996-10-28 転がり軸受用の軸受鋼部品、その焼入れ方法、その焼入れ装置、およびその表面温度測定装置 Withdrawn JPH10130732A (ja)

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CN100436607C (zh) * 2006-04-10 2008-11-26 张光荣 铁路轴承内外套圈淬火设备

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