JPH10130169A - 超音波処理用組成物 - Google Patents

超音波処理用組成物

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JPH10130169A
JPH10130169A JP18462497A JP18462497A JPH10130169A JP H10130169 A JPH10130169 A JP H10130169A JP 18462497 A JP18462497 A JP 18462497A JP 18462497 A JP18462497 A JP 18462497A JP H10130169 A JPH10130169 A JP H10130169A
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gas
tumor
temperature
heating
bubbles
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JP18462497A
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C Anger Even
エバン・シー・アンガー
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ImaRx Pharmaceutical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体の加温療法に適する組成物の提供。 【解決手段】 超音波がかけられる患者に投与するため
の組成物であって、温度又は圧力変化によって気体を形
成する気体の前駆物質を含んでなる組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、患者を超音波処理
する際に使用できる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の炎症及び関節炎の症状の治療に加
熱が有用であることは以前から知られてきた。しかしな
がら、前記の症状、並びに例えば腫瘍の治療におけるよ
うなその他の治療目的に対して、このような熱を発生す
るために超音波を使用することは比較的新しい進展であ
る。
【0003】炎症及び関節炎の治療に関する場合、超音
波誘導熱の使用は、患部への血流の増加に役立ち、それ
が種々の有益な効果をもたらす。更に、超音波エネルギ
ーを腫瘍に照射すると、腫瘍組織の温度は、概括的に正
常な組織よりも高い率で上昇する。この温度は約43℃
以上に達する為、その腫瘍細胞は死滅し始め、そしてす
べてが首尾よく行けば、その腫瘍は徐々に消失する。生
物学的組織及び流体の超音波誘導熱による処理は加温性
超音波として当該技術分野で知られている。
【0004】加熱性超音波法の非侵入性はその方法の利
点の1つである。しかしながら、加熱性超音波を使用す
る場合、ある種の注意を払わなくてはならない。特に、
その周囲の、標的でない組織への熱誘導による損傷を避
けるために、その超音波エネルギーを、処理するべき部
位のみに集中させるよう注意せねばならない。例えば、
腫瘍の治療の際、約43℃を越える温度に達すると、そ
の周辺の正常組織への損傷は特別の感心事である。従っ
て、この非標的組織の過熱に対する心配が加温性超音波
の使用の限界を与える。もし標的組織及び流体に的中さ
せる方法、及びこれらの標的組織で発生する熱を最大に
する方法を案出することができれば、このような治療処
置は明らかに、より有効でより広範に利用されるだろ
う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は標的組織及び
流液の選択的加熱を促進することができる薬剤を提供す
ることにより、加温性超音波の有効性及び有用性を改善
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は生物学的組織及
び流体を加熱処理する方法に向けられ、その方法は、処
置を要する組織又は流体に、治療的に有効な量の加温増
強剤を投与し、次いで前記組織又は流体に超音波を照射
することからなる。
【0007】より具体的には、本発明によれば、患者に
投与すべき気体の前駆物質を含んでなる患者を超音波処
理するための組成物であって、前記気体の前駆物質が温
度又は圧力の変化の結果気体を形成する物質であり、前
記患者が超音波がかけられることを特徴とする組成物が
提供される。好適な態様では、前記組成物は安定化剤を
さらに含む。
【0008】本発明の組成物を使用することにより、加
温性超音波は腫瘍、炎症、及び関節炎、並びにその他の
種々の症状の処置に対して、より良好で、より選択的
で、より有効な治療効果をもたらす。
【0009】本発明は生物学的組織及び流体の加熱処置
法を目的としており、前記方法は、処置を要する組織又
は流体に治療的に有効量の本発明に従う組成物又は加温
増強剤を投与し、次いで前記組織又は流体に超音波を照
射することから成る。
【0010】本明細書で使用される「加温増強剤」とい
う語は、それが投与される生物学的組織及び流体におけ
る超音波誘導の加熱率を増強することができる、生物学
的に適合性のある固体、液体又は気体のいずれかを意味
する。この加温増強剤は気体、気体の前駆物質及びペル
フルオロカーボン類からなるグループから選ばれるもの
が好適である。
【0011】あらゆる生物学的に適合性のある気体が、
本方法の加温増強剤として使用可能である。しかし、使
用するガスは空気、二酸化炭素、酸素、窒素、キセノ
ン、アルゴン、ネオン又はヘリウム又はそれらいずれか
もしくはすべての組み合わせが好適である。そのガスは
安定化された気泡の形態にあるのが好適である。その気
泡は当該技術分野の専門家にとって周知の、多種多様な
方法により安定化することができる。最も好ましい態様
では、加温増強剤として使用されるガスは空気であり、
そしてその空気は安定化された気泡の形態で提供され
る。
【0012】気体の前駆物質もまた本法の加温増強剤と
して使用することができる。その気体の前駆物質は種々
のタイプのものである可能性があり、そして処置される
生物学的組織又は流体への投与前もしくは投与後のいず
れかで気体を生成するように作られた、温度感受性の、
圧力感受性の、感光性の、そしてpH感受性の、気体の
前駆物質を包含する。このような気体の前駆物質は、多
くの場合、安定化した気泡を包含する気体それ自体より
も、長期間の貯蔵に対しより安定であるという利点を持
つ。
【0013】本明細書で使用される「pH感受性の気体
の前駆物質」の語は、pHの変化にあうと気体を生成す
るような固体もしくは液体状の化合物を意味する。それ
らの化合物には、限定されるものでないが、アルカリ金
属炭酸塩及び重炭酸塩のような金属の炭酸塩及び重炭酸
塩、及びアルカリ土類炭酸塩及び重炭酸塩、そしてそれ
らの混合物が包含される。これらの化合物の具体例に
は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重
炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び重炭酸マグネシウ
ム等がある。更に有用な気体発生化合物には炭酸アンモ
ニウム、重炭酸アンモニウム、セスキ炭酸アンモニウム
及びセスキ炭酸ナトリウム、等がある。これらの化合物
は水に溶解すると、約7以上のpHを、通常は約8から
約12の間のpHを示す。他の、pHに活性化される気
体の前駆物質には、水に溶解すると、一般的に約5から
6のpHを示すアミノマロネートが包含される。アミノ
マロネートのpka1は3.32であり、そしてそのp
ka2は9.83である。アミノマロネートは当該技術
分野で周知であり、そしてその製法は、例えば、Thanas
si,Biochemistry,Vol.9,no.3,pp.525-532(1970)、Fitzpa
trick et al.,Inorganic Chemistry,Vol.13,no.3,pp.56
8-574(1974)、 Stelmashok et al.,Koordinatsionnaya K
himiya,Vol.3,no.4,pp.524ー527(1977)に記載されてい
る。他の適切なpH感受性の気体の前駆物質は当業者に
とって明らかであろう。
【0014】当該技術分野の専門家が認めるように、こ
のような化合物は希望すれば投与前に活性化することが
できる。もちろん適切なpKaを持つ気体の前駆物質を
選択することにより、当該技術分野の専門家は、それが
生物学的組織及び流体に投与された後に気体を発生する
ような処方を作成することができる。例えば、pH感受
性の気体の前駆物質は、低酸素で酸性の腫瘍におけるよ
うな、pHの低い部位で気体を発生するか、又は単に生
理学的pHにあうと気体を発生することができる。
【0015】本明細書で使用される「感光性気体の前駆
物質」の語は、そのような光に感光した後、気体になる
ような固体又は液体の、光に感受性のある化合物を意味
する。適切な感光性化合物には紫外線にさらすと分解し
て窒素ガスを発生するジアゾニウム化合物が含まれる。
もう1つの適切な化合物はアミノマロネートである。当
該技術分野の専門家が認めるように、光に感光した後に
気体を発生する、その他の気体の前駆物質を選択するこ
とができる。投与法により、このような光に感光させる
ことは、投与前に必要であるかもしれないし、又はある
場合には投与後に感光させることもある。
【0016】本明細書で使用される「温度感受性の気体
の前駆物質」の語は温度の変化に従って気体を発生する
固体又は液体を意味する。適切な温度感受性の気体の前
駆物質は当該技術分野の専門家に周知であり、そしてた
とえば、室温においては液相にあるが生理学的温度では
気体を発生する化合物のメチルラクテートを包含する。
当該技術分野の専門家が認めるように、これらの化合物
は投与前に活性化することも出来るし、又はメチルラク
テートの場合の様に、生理学的温度での投与時に、又は
超音波誘導加熱の結果として活性化することもできる。
【0017】すべての可能な気体の前駆物質の中で、本
発明の使用に最も好適な気体の前駆物質は、アミノマロ
ネート、重炭酸ナトリウム、メチルラクテート、及びジ
アゾニウム化合物、並びにそれらのいずれか及びすべて
の組み合わせ物からなる群から選ばれるものである。
【0018】本発明の方法に使用される加温増強剤は
又、1種又はそれ以上のペルフルオロカーボン類、好ま
しくはペルフルオロオクチルヨージド、ペルフルオロト
リブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミン及び
ペルフルオロオクチルブロミド、並びにそれらのいずれ
か及びすべての組み合わせ物からなる群から選ばれるペ
ルフルオロカーボンを含んでなることができる。前記フ
ルオロカーボンは乳化液の形態で投与することが好適で
ある。これらの乳化液は、ペルフルオロカーボンを血管
内注射用に使用する場合、肺血管網に取り込まれること
を避けるために特に望ましい。これらの使用に対しては
乳化粒子は、肺の微小循環を通過することができるため
にサイズが5ミクロン未満でなければならない。乳化液
の製法は周知であり、本明細書のペルフルオロカーボン
乳化液は、ペルフルオロカーボン乳化液の製法に対する
米国特許第4,865,836号明細書に記載されている製法に
よるような、通常の方法によって製造することができ、前
記特許の記載事項は引用することによりその全体が本明
細書に組み入れられる。
【0019】望ましい場合は、本明細書に記載された気
体、気体の前駆物質及びペルフルオロカーボン類のよう
な加温増強剤は、投与前にリポソーム中にカプセル化し
たり、又はその他の方法で安定化することができる。安
定化された気泡が特に好適である。ここで使用される安
定化された気泡という語はその中で気泡の放出が阻止、
抑制又は変化させられている構造物を意味する。
【0020】リポソームは1種又はそれ以上の、通常の
リポソームの製法の組み合わせを使用して製造すること
ができる。当該技術分野の専門家には容易に明らかなよ
うに、これらの通常の方法には押出、凍結融解押出、微
小乳化と組み合わせた、超音波処理、キレート透析、均
質化、溶媒注入、その他が包含される。これらの方法、
並びに他の方法は、例えば、米国特許第4,728,578号明細
書、英国特許第2193095号明細書、米国特許第4,728,575
号明細書、米国特許第4,737,323号明細書、国際特許出
願PCT/US85/01161号明細書、Mayer et al.,Biochimica
et BiophysicaActa, Vol.,858,pp.161-168(1986)、Hope
et al.,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.812,pp.5
5-65(1985)、米国特許第4,533,254号明細書、Mahew et a
l.,Method In Enzymology,Vol.149,pp.64-77(1987)、Mah
ew et al.,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.75,pp.
169-174(1984)、及びChenget al.,Investigative Radio
logy,Vol.22,pp.47-55(1987)、及び1989年10月27日出願
の米国出願第428,339号明細書に公表されている。
【0021】上記特許、刊行物及び特許出願明細書のそ
れぞれの記載事項は引用することによってそれらの全体
が本明細書に組み入れられる。好適な製法としては、国
際特許出願PCT/US85/01161、又は1989年10月27出願の米
国特許出願第428,339号明細書に記載のものに類似し
た、溶媒のない系がリポソーム構造の製造に使用され
る。これらの方法に従って、その中に気体の前駆物質、
又は固体もしくは液体の造影剤をカプセル化したリポソ
ームを製造することができる。
【0022】本発明のリポソーム製造に使用することが
できる物質には、リポソーム構造に適切であると当該技
術分野の専門家に知られているいずれかの物質及びそれ
らの組み合わせが含まれる。使用される脂質(又は安定
化物質としての脂質)は天然のものでも合成のものでも
良い。これらの物質には、限定されるものでないが、コ
レステロール、コレステロールヘミサクシネート、ホス
ファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、
ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、
ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、リゾ
脂質、脂肪酸、スフィンゴミエリン、グリコスフィンゴ
脂質、グルコ脂質、グリコ脂質、スルファチド、エーテ
ル及びエステル結合脂肪酸を持った脂質、重合性脂質、
及びそれらの組み合わせ、のような脂質が包含される。
当該技術分野の専門家が認めるように、前記リポソーム
は、さらなる安定化物質をとして、取り込んだグリコ脂
質、複雑な炭水化物、蛋白質もしくは合成ポリマーの存
在しない場合でも又は存在する場合でも、通常の方法を
使用して合成することができる。リポソームの表面は
又、当該技術分野の専門家にとって容易に明白な方法を
使用して、例えばポリエチレングリコール(PEG)等
のポリマーで変性させることもできる。
【0023】生理学的に適切な条件下で、脂質もしくは
脂質マトリックス中に取り込まれた脂質と協同物質との
組み合わせが、二分子層相を形成するという唯一の条件
で、どんな種類の脂質でも使用することができる。当該
技術分野の専門家が認めるように、リポソームの組成
は、形成されるリポソームの生体内分布及びクリアラン
スの特性に変化を与えるように、変更することができ
る。
【0024】更に、小胞のサイズは、リポソームの生体
内分布及びクリアランスに変化を与えるために、濾過、
超音波処理、均質化及び類似の方法を含む種々の方法に
より調整することができる。内部の水溜りの容量を増加
させるために小胞を凍結融解の繰り返しのサイクルにさ
らすことができる。
【0025】使用するリポソームは種々のサイズにわた
ることができるが、好適には約30ナノメーターから約
10ミクロンの間の平均外径をもつ。当該技術分野の専
門家に知られているように、小胞のサイズは生体内分布
に影響を与えるので、種々の目的に、異なったサイズの
小胞が選ばれる。例えば、血管内の使用には、小胞サイ
ズはその平均外径が一般的に約2ミクロン以下であり、
そして一般的に約30ナノメーター以上である。血管以
外の使用には、必要なら、例えば約2ミクロンから約1
0ミクロンの間の平均外径を持つ、より大きい小胞を使
用することができる。
【0026】使用する脂質は、特定の治療の効果を最適
にし、毒性が最小で、そしてその製品の貯蔵可能期間が
最長なものを選択することができる。コレステロールの
ようなステロールを伴った、又はそれを伴わない、飽和
もしくは不飽和ホスファチジルコリンから成る中性の小
胞は、血管内の加温増強剤として極めて有効に作用し
て、気体及びペルフルオロカーボン類を捕える。細網内
皮細胞系(RES)のような細胞による取り込みを改善
するために、ホスファチジルグリセロール、ホスファチ
ジルセリン又は類似物質のような陰性の電荷を持つ脂質
を添加する。更に小胞の安定性を増加するために、その
リポソームを重合性脂質を使用してポリマー化したり、
又は小胞の表面を漿液蛋白質から防護するために、小胞
の表面をポリエチレングリコールのようなポリマーで被
覆するか、又はGM1のようなガングリオシドを脂質マ
トリックス内に取り込むことができる。小胞又はミセル
は又、腫瘍のような特別な種類の細胞への標的化を促進
するために、受容体もしくは抗体を付けて製造すること
ができる。
【0027】気体、気体の前駆物質、ペルフルオロカー
ボン類及びその他の加温増強剤は、通常のプロトコール
に従って、その中でリポソームが形成される媒質にそれ
らを添加することにより、リポソームでカプセル化する
ことができる。気体が関与する場合、好適に使用される
方法は1990年8月20日出願の本出願人の係属中の出願第5
69,828号に記載される、リポソーム中に気体をカプセル
化する方法であり、その記載事項は引用することにより
その全体が本明細書に組み入れられる。
【0028】pH感受性の気体の前駆物質がリポソーム
にカプセル化される場合、その気体の前駆物質がpHの
傾きに遭遇する時、気体をより有効に発生することがで
きるようにイオノホアがリポソーム膜中にとりこまれな
ければならない、ということに注目するべきである。実
際、リポソームはプロトン又は水酸化物イオンに不浸透
性ではないが、リポソームの浸透係数は一般的に非常に
低いので、pHの傾きを放散させるのにしばしば数週間
から数カ月を要することが見い出されている。pHに調
整される気体の前駆物質を活性化するためには、リポソ
ームの膜を通過する水素イオン又は水酸化物イオンの、
より早い運搬を提供することが必要である。本発明によ
ると、リポソームの膜中へのイオノホアの取り込みは、
活性化イオンを運搬する必要な手段を提供する。リポソ
ームの膜を通過する水素イオン又は水酸化物イオンの流
れの速度を増加することにより、このようなイオノホア
はリポソーム中での、pHにより活性化される気体の前
駆物質からの気体の発生速度を増加させるであろう。
【0029】本明細書で使用される、「イオノホア含有
リポソーム」の語は、その膜の中にイオノホアを取り込
んだリポソームを意味する。本明細書で使用される「イ
オノホア」という語は、リポソームの膜内のpH変化に
影響を与える為に、リポソームの膜を通過するイオンの
運搬を促進する事が出来る化合物を意味し、一般的にプ
ロトンキャリア及びチャンネル形成体と呼ばれる化合物
を包含する。
【0030】適切なイオノホアにはニトロフェノール、
ハロフェノール、及び酸化フェノール及びカルボニルシ
アニドフェニルヒドラゾンのようなプロトンキャリアが
包含される。これらのプロトンキャリアで好適なもの
は、カルボニルシアニド、pートリフルオロメトキシフ
ェニルヒドラゾン(FCCP)、カルボニルシアニドM
−クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、カルボニル
シアニドフェニルヒドラジン(CCP)、テトラクロロ
ー2ートリフルオロメチルベンズイミダゾール(TTF
B)、5,6ージクロロー2ートリフルオロメチルベン
ズイミダゾール(DTFB)及びアンカプラー(Uncoup
ler)1799である。適切なチャンネル形成体にはグラミシ
ジン(gramicidin)、アラメチシン(alamethicin)、フィ
リピン(filipin)、エトルスコマイシン(etruscomyci
n)、ナイスタチン(nystatin)、ピマリシン(pimarici
n)、及びアンホテリシン(amphotericin)が包含される。
その他の適切なプロトンキャリアには、好適には陽イオ
ンに選択性を示すが又プロトン及び/又は水酸化物イオ
ンをも運搬する下記の化合物が包含される:すなわちバ
リノマイシン(valinomycin)、エニアチン(enniatin)
(タイプA、B又はC)、ビュウベリシン(beauverici
n)、モノマイシン(monomycin)、ノナクチン(nonacti
n)、モナクチン(monactin)、ジナクチン(dinactin)、ト
リナクチン(trinactin)、テトラナクチン(tetranacti
n)、アンタマニド(antamanido)、ニゲリシン(nigerici
n)、モネンシン(monensin)、サリノマイシン(salinomyc
in)、ナリシン(narisin)、ムタロマイシン(mutalomyci
n)、キャリオマイシン(carriomycin)、ジアネマイシン
(dianemycin)、セプタマイシン(septamycin)、A−20
4 A、X−206、X−537 A(ラサロシド(lasa
locid))、A−23187及びジシクロヘキシル18ー
クラウンー6である。これらのイオノホアは当該技術分
野で周知であり、例えばJain et al.,Introduction to
Biological Membranes,(J.Wiley and Sons,N.Y.1980)中
に、特にpp.192-231に、そしてMetal Ions In Biologica
l Systems,ed.H.Sygel,Vol.19,“Antibiotics And Thei
r Complexes"(Dekker,N.Y.1985)に記載されており、そ
れらの各々の記載事項は引用することによりそれらの全
体が本明細書に組み入れられる。前記イオノホアは単独
でも又は相互に組み合わせても使用することができる。
【0031】イオノホアをリポソームの膜中に取り込む
ために、親油性であるイオノホアを単に脂質の混合物に
添加し、次いで通常の方法でリポソームを製造する。イ
オノホアは又、望ましい場合には、リポソームを形成し
た後に添加することもでき、それが自然に膜内に浸透し
ていく。
【0032】本発明の化合物、具体的には気体、を安定
化するその他の方法は周知である。例えば、ある物質は、
閉じ込めた気泡を包囲する、密閉した、膜で区切られた
構造物として調製することができ、その例には、限定さ
れるものでないが、米国特許第4,898,734号明細書に公
表されたような種々の方法により製造されるポリマーの
マイクロカプセル、米国特許第4,466,442号明細書に記
載のようなポリマー混合物、そして米国特許第4,718,43
3号明細書に公表されたようなアルブミンのマイクロス
フェアーが含まれ、それら記載事項は、それぞれ引用す
ることによってそれらの全体が本明細書に組み入れられ
る。このような構造は、包囲された気泡が物理的に正常
な膜を通過することができず、そして/又はその膜が本
質的に包囲した気泡に対し低い透過性を有するので、気
体の放出を妨げるか抑制する。物質は又、高度に架橋し
たマトリックス中に気泡を物理的に包囲する役目をする
巨大網状多孔質構造物として調製することもできる。こ
のような系の例としては、限定されるものでないが、架
橋のデキストランビーズ、シリカのエーロゲル又は架橋
蛋白質構造が含まれる。架橋の本質は、長いポリマー繊
維の物理的絡まりにおけるような物理的なもの、即ち非
共有結合であるか、又はそうでなければ、例えば、合成
ポリアミノ酸の鎖のグルタルアルデヒド架橋におけるよ
うな化学的結合、即ち共有結合であってもよい。このよ
うな巨大網状系は中空の殻又は充填構造として調製する
ことができる。脂質のミセル構造も又使用することがで
きる。最終的に、気体が本来それに対して高い親和性を
持ち、そして構造材表面に吸収されるか、もしくはその
構造材中に溶解する物質を準備すればよい。前者の例と
しては、限定されるものでないが、多種の気体がそれに
吸収される炭素粒子もしくは表面張力の低い界面活性剤
粒子が含まれる。後者の例には、窒素等の気体が選択的
に溶解する水中油乳化液又はコアセルベート、又はシリ
コン粒子が含まれる。これらの物質はその物質中に吸収
もしくは溶解する気体の量を最大にするために、高圧下
で、もしくは一定の温度範囲で調製することが好適であ
ろう。
【0033】本発明の加温増強剤は生物学的組織又は生
物学的流体に投与し、次いでその生物学的物質に超音波
を照射する。本発明の方法は、腫瘍組織、筋肉組織又は
血液のような生物学的物質に関連して使用されると、特
に有用である。
【0034】その使用が生体内の場合、投与は、種々の
投与様式を用いて、例えば血管内投与、リンパ管内投
与、非経口投与、皮下投与、筋肉内投与、腹膜内投与、
間質内投与、高比重性投与又は腫瘍内投与のような種々
の方法で実施され、投与の具体的な経路及び使用量は、
求める治療効果の種類及び使用する具体的な増強剤の種
類に依存する。例えば、気体の加温増強剤は、安定化を
伴ってもしくは伴わずに、腫瘍に直接に注入することが
できる。しかし、血管内投与経路を使用して腫瘍部位に
気泡を送るためには、その気泡は肺循環による取り込み
を避けるために、安定化することが好適である。気体の
動脈内投与を腫瘍への運搬に使用する場合は、その気泡
は末梢血管内注射の場合ほど安定である必要はない。ペ
ルフルオロカーボンは血管内投与もしくは間質内投与の
いずれかで投与されるのが好適である。具体的には投与
量はより低いレベルから開始して、望ましい温度上昇効
果が得られるまで増加する。腎臓のような主要な動脈供
給を受ける腫瘍には、これらの加温増強剤は動脈内投与
することができる。
【0035】生体内使用に対しては、患者はどんな種類
の哺乳動物でもよいが、ヒトが最適である。本発明の方
法は腫瘍、種々の炎症性症状、及び関節炎の治療に、な
かんずく腫瘍の治療に特に有用である。安定化された気
泡、気体の前駆物質及びペルフルオロカーボンは、漏れ
易い毛細血管及び患部組織からの遅い流出の為に、腫瘍
中に、なかんずく脳の腫瘍中に蓄積する。同様に腫瘍血
管が漏れ易い、身体のその他の患部にも前記加温増強剤
は蓄積するであろう。
【0036】本発明の加温増強剤は単独で、又は、ペル
フルオロカーボンを気体と併用して使用するように、互
いに併用して使用することができる。更に、本発明の増
強剤はその他の治療剤及び/又は診断薬と組み合わせて
使用することができる。例えば、腫瘍治療の投与におい
て、加温増強剤を種々の化学療法剤と組み合わせて投与
することができる。
【0037】種々のタイプの超音波を照射する器械のい
ずれをも、本発明の実施に使用することが出来るが、そ
の器械の特定の種類もしくは型は本発明の方法に対して
重要ではない。しかし、超音波加熱投与用に特別にデザ
インされた器械が好適である。前記の器械は米国特許第
4,620,546号、同4,658,828号及び同4,586,512号明細書
中に記載されており、おのおのの記載事項は引用するこ
とによりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0038】出願人は作用の特定の理論に限定される意
図はないが、本発明の方法で使用する加温増強剤は、下
記の科学的仮定のために、それらの優れた結果をもたら
すと考えられる。
【0039】超音波エネルギーは組織を通過して伝達さ
れるか、反射されるか又は吸収される。本発明の増強剤
は生物学的組織又は流体中の音波のエネルギーの吸収を
増加させ、それが加熱を増加させ、従って超音波加熱の
治療的効果を増加させると考えられる。
【0040】音波の吸収は高度に超音波的に不均質性を
持つ音響領域で増加すると考えられる。高度の不均質性
を持つ軟組織及び流体は、音響学的により均一である組
織又は流体よりも早い速度で音を吸収するであろう。音
波が周囲の媒体と異なった音響インピーダンスを持つ界
面に遭遇すると、音波の反射も音波の吸収も両者とも増
加すると考えられる。音波の吸収の度合は界面を形成す
る2つの組織又は構造物の間の音響インピーダンスの差
が増加するにつれて増加すると考えられる。
【0041】強力な音波のエネルギーは又、空洞形成を
引き起こすとも考えられ、そして空洞形成が起こると、
これが次いで強力な局所的加熱を引き起こすと考えられ
る。気泡は空洞形成の域値を低下させる、即ち、超音波
処理中の空洞形成の過程を加速すると考えられる。
【0042】気泡及びペルフルオロカーボンは高い液体
と軟組織間の音響インピーダンスの差をもち、同時に空
洞形成域値を減少させるので、それらは超音波エネルギ
ーの吸収率を増加させる様に作用し、そしてそのエネル
ギーの局所の熱への変換に影響を与えるであろう。更
に、気体の低い熱伝導率も局所の熱放散を減少するのに
役立ち、その結果加熱率の増加及び最終平衡温度の増加
をもたらすであろう。
【0043】本発明の増強剤は、腫瘍及び組織において
音響学的不均質性を増加させ、そして空洞形成の核を生
成させ、それによって超音波加熱処置の加熱効果の増強
剤として作用するであろう。気体とペルフルオロカーボ
ンは組織と近接の液体間に音響インピーダンスの不釣合
いを作り出すため、ペルフルオロカーボン及び気泡は同
様に作用して、音の吸収及びエネルギーの熱への変換を
増加させる。
【0044】
【実施例】下記の実施例は単に本発明を具体的に説明す
るものであり、いずれかの態様に本発明の範囲を限定す
るものと考えてはならない。これらの実施例及びそれら
と同様な例は、本発明の明細書及び添付の請求の範囲を
考慮すると、本技術の専門家にとってより明白になるで
あろう。
【0045】下記の実施例すべてにおいて、超音波エネ
ルギーを照射するために1.0メガヘルツの連続波超音
波変換器(Medco Mark IV Sonlator)が使用された。溶液
からの脱気、すなわちその溶液からの気体の除去は標準
の真空化方法を使用して実施された。
【0046】実施例1から実施例7は本発明の実際の実
験例である。実施例8から実施例16は、本発明が特定
条件下でいかに作用するであろうかを具体的に示すため
の予想実施例である。
【0047】実施例1 冷却し、脱気したリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)溶
液に超音波加熱処理をした。他の同量の標準PBSに市
販のソーダサイフォン中で二酸化炭素を加圧した。圧力
をかけ、次いでその溶液に前記のPBS溶液と同様なパ
ラメーターを持つ超音波を照射した。通気した溶液は脱
気した溶液に比して有意に高い温度に達した。これらの
結果は図1に具体的に示される。
【0048】実施例2 窒素の気泡をPBSの標準溶液に通気した。PBSの脱
気溶液を製造した。それぞれの溶液に超音波エネルギー
を照射し、その間、温度計で温度を測定した。気泡を含
有する溶液(サンプル2)は脱気溶液(サンプル1)よ
りも有意に高い温度に達した。この実施例の結果は図2
に示され、そして、それらは実施例1で認められたもの
と質的に同様であった。
【0049】実施例1及び実施例2の両者において、超
音波加熱はその溶液の通気直後に開始したことに注目す
るべきである。超音波加熱開始が通気処置後5分以上遅
れると、もたらされる温度は脱気PBSよりもごく僅か
しか上昇しなかった。これは溶液中の安定化されていな
い気泡は比較的早く分解するためである。
【0050】実施例3 気体カプセル化リポソームを、1990年8月20日出願の当
出願人の同時係属中の米国出願第569,828号明細書に既
に記載された加圧方法により製造した。気体を含まない
リポソームも製造した。前記2種のサンプルに前述のよ
うに超音波エネルギーを照射した。結果は図2で示され
たものと同様に、気体をカプセル化したリポソームで加
熱の改善が認められた。リポソーム等の、外部の安定化
被覆部内に埋包されていてもいなくても、気体は加熱を
増強せしめる。
【0051】リポソーム又はその他のこの種の安定化法
を使用する利点は、生体内で安定化した気泡は、恐らく
カプセル化されていない気泡よりも腫瘍などの部位に、
より容易に到達させられる点にある。実施例1及び実施
例2に記述された非カプセル化気泡は溶液中でほんの数
分間安定であったが、リポソーム化気泡はかなり長い安
定性を有するであろうことに注目願いたい。
【0052】実施例4 空気を埋包するために、米国特許第4,718,433号明細書
に既に記載されているようにアルブミンのマイクロスフ
ェアーを製造した。2種のPBS溶液、一方は気体を埋
包したアルブミンマイクロスフェアーを含有し、他方は
脱気したPBS中に同濃度のアルブミンを含有する溶
液、を製造した。両者のアルブミン濃度は1%であっ
た。次いで実施例1と同様に超音波エネルギーを照射し
た。気体充填のアルブミンマイクロスフェアー含有溶液
は、気体を含有しないアルブミン溶液よりも有意に高い
温度に達した。通気した溶液に認められた温度上昇は実
施例1から実施例3までに記述された気体含有のサンプ
ルで認められたものと同様であった。
【0053】実施例5 安定化した気泡を、前述のように、米国特許第4,466,44
2号明細書におけるように、ポリオキシエチレンポリマ
ー及びポリオキシプロピレンポリマーの混合物を使用し
て、溶液中で製造した。超音波エネルギーを照射した。
再度温度測定値は、安定化した気泡含有溶液の方がより
高い温度を示した。
【0054】実施例6 ペルフルオロオクチルブロミド(PFOB)乳化液含有
溶液を米国特許第4,865,836号明細書記載のように製造
し(サンプル1)、その溶液に超音波加熱処置をした。
更に、第二のPFOB乳化液を、第二の溶液は米国特許
第4,927,623号明細書に記載されたように酸素を通気し
た点を除いて同様な方法で製造した(サンプル2)。次
いでサンプル2に超音波加熱処置をした。PFOB含有
のサンプル1及びサンプル2は両者とも、実施例1及び
実施例2の脱気したPBSよりも超音波処置でより高い
温度に達した。更にサンプル2はサンプル1よりも超音
波加熱により、より高い温度に達した。
【0055】実施例7 組織に等価の模型を、50℃のゲル化温度を持つ低温寒
天ゲルを用いて製造した。模型は脱気したPBSと4%
の寒天ゲルから製造した。もう1つの模型を製造した
が、今度は、52℃の、注文製造された加圧室で、24
時間180psiで液体ゲルに窒素ガスを加圧した。圧
力は5秒間かけて開放したので、液体であるが粘性のゲ
ル中に微小泡を形成した。両者のゲルサンプル(脱気し
たサンプルと微小気泡含有のサンプル)をゲル化させ、
37℃に冷却した。次いでそのサンプルに前述のように
超音波エネルギーを照射し、温度を記録した。再度、微
小泡含有のサンプルが、脱気溶液から製造されたゲルよ
りもかなり高い加熱率をもたらした。
【0056】前述の実験を繰り返したが、今度は気体埋
包リポソームをゲル中に入れ、そのゲルを再度37℃に
冷却した。超音波加熱は再度加熱率の改善を示した。組
織に等価の模型の目的は、気泡が組織すなわち腫瘍にお
いていかにして加熱を増強することができるかを具体的
に示すことであった。
【0057】実施例8 C2クローン誘導の上皮癌を持つ2匹のラットを超音波
法で処置する。このラットのうち1匹に窒素ガス2cc
を腫瘍量約4cc中に注入する。両方のラットに加熱処
理を行い、腫瘍内温度を監視する。窒素間隙注入処置を
受けたラットはより高い腫瘍温度を示す。
【0058】実施例9 脳のVX2癌をもつ1群のウサギを、その腫瘍温度及び
周囲の組織の温度をゾンデを用いて監視しながら、超音
波加熱により処置する。ペルフルオロオクチルブロミド
の乳化液3ccから5ccの容量を、腫瘍及び周囲の組
織を監視しながら、第2群のウサギの、脳腫瘍と同側の
頚動脈に注入する。PFOB処置ウサギは、正常組織に
比して腫瘍の温度上昇及び脳腫瘍のより選択的加熱を示
す。
【0059】実施例10 気体カプセル化リポソーム3cc注入を使用して、実施
例9と同様の実験を繰り返す。再度、腫瘍及び正常組織
の温度測定値は、気体充填リポソーム処置動物の正常組
織に比較して、腫瘍の温度増加を示す。
【0060】実施例11 気体の前駆物質のメチルアクテート(methylactate)を
カプセル化したリポソームの溶液を製造し、PBSに懸
濁する。コントロールのPBS溶液及びメチルアクテー
トカプセル化リポソーム含有溶液を超音波で加熱し、温
度を測定する。メチルアクテートカプセル化リポソーム
含有溶液の温度は2倍指数的な加熱率を示し、それは気
体が気体の前駆物質から生成される温度を越えた加熱効
率の改善を反映している。
【0061】実施例12 腎臓癌の患者において、標準法を用いて左大腿動脈にカ
テーテルを挿入する。腎臓動脈にカテーテルを挿入し、
気体を含有した超音波処理アルブミンマイクロスフェア
ーの1%溶液10ccを腎臓動脈に注入する。治療的超
音波を腫瘍を加熱するために照射し、腫瘍に送られた気
体の微小泡は腫瘍の加熱の改善をもたらす。
【0062】実施例13 実施例12を他の患者で繰り返すが、今度は10ページ
(tensides)のポリオキシエチレン及びポリオキシプロピ
レン中にカプセル化された気泡を、腎臓を塞栓するため
に使用する。再度腎臓に治療的超音波を照射し、結果は
腫瘍の加熱を改善する。
【0063】実施例14 実施例13を繰り返すが、今回は化学療法剤及び二酸化
炭素ガスの両者をカプセル化したリポソームを使用す
る。再度、超音波を使用して、加熱処置を腫瘍に施し、
そして腫瘍の加熱を改善するのみならず、又同時の加熱
及び化学療法の相互作用によりもたらされる腫瘍反応を
も改善する。
【0064】実施例15 直径約100nm未満の小リポソームを製造し、圧力下
で窒素ガスを埋包させる。42.5℃の液体結晶転移温
度に対しゲルであるような相に感受性の脂質を選択す
る。これらを、通常は死に至る脳腫瘍である多形性膠芽
腫の患者に静脈内投与する。前以て外科的に作った頭蓋
の皮膚弁を通して、脳腫瘍の病巣に超音波加熱処置を行
う。リポソーム中に埋包された微小気泡は、腫瘍血管の
漏れ易さのため、患者の腫瘍に蓄積する。それらの微小
気泡は血液脳関門の統合性ゆえに、正常な脳からは排除
される。超音波エネルギーは腫瘍温度を摂氏42.5度
まで上昇させ、リポソームは相間転移し、泡を膨張させ
る。腫瘍内の気泡は治療的超音波により腫瘍内の加熱の
効果を増強させる。
【0065】実施例16 米国特許第4,684,479号明細書に前述のように、気泡を
脂質の単分子膜に埋包させる。多形性膠芽腫の患者に、
これらの脂質単分子膜で安定化された気泡を、毎日の超
音波加熱治療期間中、7日間毎日静脈内投与する。この
安定化気泡は患者の腫瘍に蓄積し、患者は超音波加熱治
療に対する反応が改善する。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波エネルギーの1.0メガヘルツの連続波
源を使用する超音波処置を受けた、3種の異なったサン
プルにつき、時間に対する温度を表すグラフである。サ
ンプル1(卵のホスファチジルコリンから成り、CO2
ガスをカプセル化したものからなる多層小胞)及びサン
プル3(CO2ガスを加圧されたリン酸緩衝化生理食塩
水)の両者は時間に対して同様な温度の上昇を示す。サ
ンプル2(脱気したリン酸緩衝化生理食塩水)はサンプ
ル1及びサンプル3に比して、時間に対する温度の上昇
はかなり低かった。
【図2】超音波エネルギーの1.0メガヘルツの連続波
源を使用する超音波処置を受けた、2種の異なったサン
プルにつき、時間に対する温度を表すグラフである。サ
ンプル2(CO2ガスを加圧されたリン酸緩衝化生理食
塩水)はサンプル1(脱気したリン酸緩衝化生理食塩
水)よりもかなり大きい、時間に対する温度の増加を示
す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者に投与すべき気体の前駆物質を含ん
    でなる患者を超音波処理するための組成物であって、前
    記気体の前駆物質が温度又は圧力の変化の結果気体を形
    成する物質であり、前記患者が超音波がかけられること
    を特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】 前記組成物が安定化物質をさらに含む請
    求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 安定化物質が脂質、ポリマーもしくは蛋
    白質又はそれらの2種以上の組み合わせを含んでなる請
    求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 安定化物質が界面活性剤を含んでなる請
    求項2記載の組成物。
  5. 【請求項5】 乳化物の形態にある請求項1〜4のいず
    れかに記載の組成物。
  6. 【請求項6】 気体の前駆物質が、ペルフルオロカーボ
    ン化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の組成
    物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008526785A (ja) * 2005-01-10 2008-07-24 チョンチン・ハイフ(エイチアイエフユー)・テクノロジー・カンパニー・リミテッド 高密度焦点式超音波療法のための増強剤および同剤のスクリーニングの方法
US11964050B2 (en) 2017-07-24 2024-04-23 Pharmosa Biopharm Inc. Liposome compositions comprising weak acid drugs and uses thereof

Cited By (3)

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