JPH10128664A - ショットブラスト方法及びショットブラスト加工に用いる被処理部材保持用回転籠 - Google Patents

ショットブラスト方法及びショットブラスト加工に用いる被処理部材保持用回転籠

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JPH10128664A
JPH10128664A JP28849496A JP28849496A JPH10128664A JP H10128664 A JPH10128664 A JP H10128664A JP 28849496 A JP28849496 A JP 28849496A JP 28849496 A JP28849496 A JP 28849496A JP H10128664 A JPH10128664 A JP H10128664A
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Shigekazu Sakai
茂和 境
Katsuichi Tsujimoto
勝一 辻本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平板状であって加工歪を生じ易い物品のバリ
取りを機械化することが可能なショットブラスト方法
と、この方法を効率的且つ安価に実施できるショットブ
ラスト加工に用いる被処理部材保持用回転籠を提供す
る。 【解決手段】 回転羽根車により投射される投射材によ
り被処理部材の平板部に形成されている垂直バリを取る
ために行うショットブラスト方法であって、投射材が被
処理部材の平板部に形成されている垂直バリに対して選
択的に作用するように被処理部材の姿勢を保ちながら投
射材の投射を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転羽根車により
加速して投射される投射材を被処理部材の平板部に形成
されている垂直バリに衝突させてバリ取りを行うショッ
トブラスト方法およびこの方法に用いる被処理部材収納
用回転籠に関し、特に、HDD装置のケースの蓋のよう
な肉薄物品の基材となるアルミダイカストよりなる肉薄
の被処理部材に形成されている垂直バリを被処理部材に
加工歪を生じさせることなく的確に除去するのに好適な
ショットブラスト方法およびショットブラスト加工に用
いる被処理部材保持用回転籠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】回転羽根車により加速して投射される投
射材を被処理部材に衝突させてそのエネルギーにより被
処理部材のバリ等を破壊させて除去するショットブラス
ト方法は、複雑な制御なしに表面形状が多様な物品のバ
リを効率よく除去できるために従来より広く鋳バリ或い
は加工バリの除去に採用されているが、従来のショット
ブラスト方法は、主としてエンジンブロック等のような
大きな物品のバリ取りを対象として開発されたものであ
って、比較的小さな物品のバリ取りに応用されるとして
も、例えば、特開昭62−297068号公報に開示さ
れているように、回転ドラム中に多量の物品を装入して
これを転動させつつブラスティングする程度であり、転
動に耐えられ且つ如何なる方向からの投射材の衝突によ
っても加工歪を生じない程度に強度を有する物品に加工
の対象は限られていた。
【0003】ところが、最近では携帯用パソコンやハン
ディービデオカメラ等の電子機器の開発に伴い、最も薄
い部分の厚さが数百ミクロンにまで小型化されたアルミ
ダイカストよりなる小型部品が使用されるようになって
おり、このようなアルミダイカストよりなる小型部品の
平板部に形成されている垂直バリを従来のショットブラ
スト方法により行おうとしても前記した加工歪などの関
係で困難で、やむを得ず手作業により行われている現状
にあり、人件費の高騰などによる製品の価格の上昇が避
けられず、低価格化のために前記のような物品の垂直バ
リの除去に採用できるショットブラスト方法の開発が求
められてきたのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
するところは、前記のような要望に応えて、実質的に平
板状であって加工歪を生じ易い物品のバリ取りを機械化
することが可能なショットブラスト方法と、この方法を
効率的且つ安価に実施できるショットブラスト加工に用
いる被処理部材保持用回転籠を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、投射直進性に優れた回転羽根車
により投射される投射材により被処理部材の平板部に形
成されている垂直バリを取るために行うショットブラス
ト方法であって、投射材が被処理部材の平板部に形成さ
れている垂直バリに対して選択的に作用する範囲に被処
理部材の姿勢を保ちながら投射材の投射を行うことを特
徴とするショットブラスト方法を請求項1に係る発明と
する。そして、このようなショットブラスト方法におい
ては、被処理部材を小さい自由度を持たせて保持させて
平板部の主平面が投射方向と略平行となる位置を基準と
して平板部の姿勢を連続的に変化させて行うことが好ま
しく、これを請求項2に係る発明とする。さらに、前記
した方法を効率的に行うには、被処理部材を公転円周上
に保持させて一側より投射領域を被処理部材が2回横切
るよう公転させて行うようにすればよく、これを請求項
3に係る発明とする。なお、前記した各方法を実施する
場合における被処理部材の姿勢はその主平面と投射方向
のなす角度が45度未満、好ましくは30度以下のとき
最も効率的な処理を行うことができ、これを請求項4に
係る発明とする。一方、このような方法を効率的且つ安
価に実施できるところの、実質的に平板状をした被処理
部材を個別に収納してその姿勢を所定の範囲内に保つ扁
平な網籠の多数個を公転軸の回りに放射方向に配設して
各網籠内に収納される被処理部材の主平面が公転半径に
沿わせる向きを保持して回転されるようにしてあること
を特徴とするショットブラスト加工に用いる被処理部材
収納用回転籠を請求項5に係る発明とするものである。
【0006】前記したような新しいショットブラスト方
法においては、回転羽根車により投射材を加速するショ
ットブラスト方法を採用したので、加速流体に乗せて投
射材を運ぶ場合のような激しい乱気流が投射室内に生ず
ることが少なく、直進性に優れた投射領域を投射室内に
形成することが可能となる。また、この投射領域内にお
いて、実質的に平板状の被処理部材をその主平面が投射
方向に対して45度未満、好ましくは30度以下である
所定の角度以内となるように保持して処理すると、投射
材の運動エネルギーは主平面に小さく垂直バリに大きい
選択的な加わり方をするようにすることができるから的
確な処理を行うことができる。なお、前記した所定の角
度を定めるには、被処理部材の形状寸法或いは加工歪許
容値に応じて上記角度以下の好適な角度を調査したうえ
選定すればよく、小さな角度による投射で影の部分にバ
リ残りを生じ難い平坦な被処理部材においては更に小さ
な角度を設定することにより能率良くバリを除去するこ
とが可能となる。
【0007】また、安価に上記の方法を具現化するため
には、ワークを公転円周状に保持して投射領域を2回横
切るようにすれば、公転中に被処理部材の主平面が投射
方向に対して所定角度以上となる位置を投射領域の外と
して上記の条件を満たしながら、許容範囲内の全ての連
続的に変化する角度で投射材が被処理部材に作用するこ
ととなり、被処理部材にリブ等がある場合でもその影と
なって投射材が届かない部位が最も少なくなるようにし
て処理することができ、さらに、被処理部材を小さな自
由度を持たせて保持して投射材を投射するようにしたこ
とによって、被処理部材は処理中において自由に若干姿
勢をかえることとなって更に影の部分を減少させること
ができることとなるのである。なお、小さな自由度によ
り被処理部材が姿勢を変える場合の如何なる場合にも上
記の角度範囲内に保たれるよう公転半径及び与える自由
度を選定することは言うまでもない。さらに、上記の具
現化の1つの形態として被処理部材を網籠内に保持する
こととすれば、被処理部材の小さな姿勢の変化で保持部
材による影部を投射にさらすことができ、また、被処理
部材を公転半径方向に沿わせることとしたことにより、
公転円内の中心付近に所定幅の投射領域を構成して容易
に上記の条件を満たすことができ、また、この場合には
条件を満たす相反する2方向から投射材が作用すること
となって更に影の部分は減少されるのである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参考にしながら詳しく説明する。図1および
図2は、本発明のショットブラスト加工に用いる被処理
部材収納用回転籠を使用して本発明方法を実施している
状態を示すもので、回転籠1は、公転軸2に16本の腕
3が放射方向に張設してその先端と内側に輪状部材4と
輪状部材5を固定したもので、この輪状部材4から輪状
部材5にかけては、扁平な網籠6を公転半径方向に沿わ
せて上下2段に均等に8個ずつ合計16個取付けてあ
り、各網籠6にはそれぞれ1枚ずつ被処理部材7を装入
可能とされて同時に16枚の被処理部材を処理可能とし
ている。
【0009】そして、前記した回転籠1は、投射材9が
回転羽根車10により加速されて略一方向に飛行してい
る投射領域8がその中央付近を貫くような大きさであっ
て、投射領域8に被処理部材7が臨む場合の最大角度が
30度となるように形成されており、このように構成す
る結果、被処理部材7は前の有効投射領域8aにおいて
片側よりの投射を受け、その反対の有効投射領域8bで
は反対側から投射を受ける結果、各網籠6内に装入され
ている被処理部材7の端部に形成されている垂直バリは
万遍なく除去されることとなるのである。また、図2に
示すように上下方向には2機の回転羽根車10を備えて
いて、上下方向からは万遍なく投射を受けてバリが全体
的に除去されるのである。なお、本発明の回転籠1は汎
用的に販売されているハンガータイプのショットブラス
ト機に装着して使用できるもので、投射機構や投射材搬
送機構等の相違は問題とならず、また、実際の使用で
は、投射室の壁面等から跳ね返った投射材が別の角度か
ら被処理部材に衝突し得るが、これらは充分にエネルギ
ーが小さくなっており、加工歪への悪影響は実験の範囲
では認められなかった。
【0010】次に、本発明の実施例として、投射方向に
よって形成される角度(以下、単に角度と呼ぶ)を固定
して配置した被処理部材にブラスティングした場合と、
前記したような回転籠1の内部に自由度をもたせて板状
の被処理部材を装入し、回転籠1を回転させながら投射
方向によって形成される0〜30度の角度で被処理部材
にブラスティングを行った場合の各バリ取り効果及び加
工歪への影響を調べた実験結果を比較例とともに表1に
示す。
【0011】
【表1】
【0012】上記した表1において、実施例No.1は角度
を20度に固定してブラスティングした結果であるが、
この場合はバリ残不良は10枚中2枚発生したものの、
加工歪不良は全く発生していない。また、角度30度に
固定して行った実施例No.2ではバリ残不良の発生に改善
がみられ、角度40度とした実施例No.3では更にバリ残
不良が改善されるものの、加工歪が2枚発生しており、
角度を小さくするほど加工歪不良を生じ難い反面、影部
分のバリ残りを発生しやすいことが判る。更に、角度を
0度から30度に連続的に変化させつつブラスティング
した実施例No.4ではバリ残不良は0枚となって、30度
に固定した実施例No.2に比べたとき、加工歪不良を増加
させずにバリ残不良を改善することができ、従って、所
定角度以内で角度を連続的に変化させる方法はより好適
であることも判った。
【0013】これに対して、比較例Aは角度を60度と
してブラスティングした場合であって、バリは除去でき
たものの全数が大きな加工歪を生じて不良となった。ま
た、投射材を細かくし投射材の作用力を小さくして、同
じく角度を60度に固定してブラスティングした比較例
Bについて見てみれば、全ての被処理部材についてバリ
残不良を発生したのみならず加工歪不良も2枚に発生し
ており、45度以上の角度を保って加工歪不良なしにバ
リを良好に除去することは困難であることが判る。一
方、比較例Cは、従来のショットブラスト方法を採用し
た場合であって、回転ドラムに10枚を一度に装入し、
転動させながらブラスティングした例である。この場合
は全数とも大きく変形してしまい、従来のショットブラ
スト方法が加工歪を生じ易いものであることが確かめら
れた。また、比較例Dは、重力式エアブラストを採用し
た場合であるが、この場合も、バリ残不良と共に全てに
加工歪不良を発生しておりこれも採用できないことが確
かめられた。
【0014】なお、前記した実験に用いた被加工物は、
70mm角の正方形平板状のアルミダイカスト部品であっ
て、厚み1mm〜0.4 mmの平板状の一部に最大3mmのリブ
が複雑に形成され、そのリブの端面より多数の垂直バリ
が延立している電気機器部品であって、加工歪を100
ミクロン以下に保ってバリを除去することを要求されて
いるものであり、また、投射材にはナイロン製で1.8 mm
の円柱形粒子(I)と、同じくナイロン製で1.0 mmの円
柱形粒子(II)を採用し、10秒間の投射で前記被加工
物10枚を処理してその結果を比較したものである。な
お、バリの評価は投射方向に対向する表面のみについて
行い裏面のバリは評価しなかった。
【0015】この表1に結果によれば、投射材が被処理
部材の平板部に形成されている垂直バリに対して選択的
に作用する範囲に被処理部材の姿勢を保ちながら投射材
の投射を行う場合でも、垂直バリに投射材を作用させる
角度を小さくすれば、大きな加工歪を発生させることな
くバリを効果的に除去できることも明らかとなった。
【0016】
【発明の効果】本発明は前記説明から明らかなように、
肉薄の平板状の物品の端部に形成される垂直バリの除去
に極めて効果的であり、本方法を採用すれば、手作業に
よるバリ取り工程を機械化することが可能となって、製
品品質の安定に寄与するとともに製品価格の軽減にも寄
与するものであり、また、本発明のショットブラスト加
工に用いる被処理部材収納用回転籠は、高価な位置制御
装置や煩雑なプログラミング作業を必要とすることな
く、単純な作業で前記のような高品位なブラスティング
が可能であり、しかも、回転籠自体は単純な構成であっ
て安価に製作することができる利点がある。従って、本
発明は実質的に平板状のであって加工歪を生じ易い物品
のバリ取りを機械化することが可能なショットブラスト
方法と、この方法を効率的且つ安価に実施できるショッ
トブラスト加工に用いる被処理部材収納用回転籠とし
て、産業分野に貢献するところは誠に大なるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を本発明の回転籠を用いて実施して
いる状態を説明する平面図である。
【図2】本発明方法を本発明の回転籠を用いて実施して
いる状態を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 回転籠 2 公転軸 6 網籠 7 被処理部材 8 投射領域 10 回転羽根車

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転羽根車により投射される投射材によ
    り被処理部材の平板部に形成されている垂直バリを取る
    ために行うショットブラスト方法であって、投射材が被
    処理部材の平板部に形成されている垂直バリに対して選
    択的に作用するように被処理部材の姿勢を保ちながら投
    射材の投射を行うことを特徴とするショットブラスト方
    法。
  2. 【請求項2】 被処理部材を小さい自由度を持たせて保
    持させて平板部の主平面が投射方向と略平行となる位置
    を基準として平板部の姿勢を連続的に変化させて行う請
    求項1に記載のショットブラスト方法。
  3. 【請求項3】 被処理部材を公転円周上に保持させて一
    側より投射領域を被処理部材が2回横切るよう公転させ
    て行う請求項1または2に記載のショットブラスト方
    法。
  4. 【請求項4】 被処理部材の平板部の主平面と投射方向
    との角度を45度未満好ましくは30度以内に保って行
    う請求項1または2または3に記載のショットブラスト
    方法。
  5. 【請求項5】 実質的に平板状をした被処理部材を個別
    に収納してその姿勢を所定の範囲内に保つ扁平な網籠の
    多数個を公転軸の回りに放射方向に配設して各網籠内に
    収納される被処理部材の主平面が公転半径に沿わせる向
    きを保持して回転されるようにしてあることを特徴とす
    るショットブラスト加工に用いる被処理部材保持用回転
    籠。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008119759A (ja) * 2006-11-08 2008-05-29 Sinto Brator Co Ltd ショットブラスト装置およびショットブラスト方法
CN109531440A (zh) * 2018-12-28 2019-03-29 泰州市大润机械有限公司 一种具有球状工作框的抛丸机及其抛丸工艺

Cited By (2)

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JP2008119759A (ja) * 2006-11-08 2008-05-29 Sinto Brator Co Ltd ショットブラスト装置およびショットブラスト方法
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