JPH10128222A - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

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JPH10128222A
JPH10128222A JP28475896A JP28475896A JPH10128222A JP H10128222 A JPH10128222 A JP H10128222A JP 28475896 A JP28475896 A JP 28475896A JP 28475896 A JP28475896 A JP 28475896A JP H10128222 A JPH10128222 A JP H10128222A
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JP
Japan
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coating
paint
parts
resin
coating film
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Pending
Application number
JP28475896A
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English (en)
Inventor
Akira Kasari
章 加佐利
Tetsuya Yokoyama
哲也 横山
Hiroaki Oda
浩明 小田
Mitsugi Endo
貢 遠藤
Motomi Shimakawa
幹巨 島川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は熱可塑性有機溶剤系着色ベース塗料、
熱可塑性水系着色塗料および熱硬化性有機溶剤系クリヤ
ー塗料を用いて三層塗膜を形成する方法であって、特
に、深み感、真珠光沢感、平滑性、鮮映性、真珠光沢
感、耐衝撃性および耐チッピング性などがすぐれ、しか
も塗装時の湿度が高くても塗料が流れにくく低湿度で塗
装しても塗面に肌荒れが生じることがない塗膜形成方法
に関する。 【解決手段】基体樹脂が酸価5〜100で且つそれらが
塩基で中和されており、実質的に熱により架橋しない熱
可塑性有機溶剤系着色ベース塗料(A)を塗装し、該着
色塗面に、実質的に熱により架橋しない熱可塑性水系着
色塗料(B)を塗装し、必要に応じて50〜100℃で
予備乾燥してから、熱硬化性有機溶剤系クリヤー塗料
(C)を塗装した後、加熱して上記(A)、(B)およ
び(C)からなる三層塗膜を同時に硬化させることを特
徴とする塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は着色ベース塗料、水系着
色塗料およびクリヤー塗料を用いて三層塗膜を形成する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】酸価が5〜100である多価
カルボン酸樹脂の中和物およびアミノ樹脂を必須成分と
し、メタリック顔料を含有しない有機溶剤系熱硬化性塗
料を塗装し、塗着した該塗料の粘度を10ポイズ(20
℃)以上に調整し、その上に熱硬化性水性メタリック塗
料を塗装し、さらに透明熱硬化性塗料を塗装した後、こ
れらの三層塗膜を加熱して同時に硬化することは知られ
ている(特公平4−25076)。しかしながら、この
方法では、得られる塗膜の耐衝撃性や耐チッピング性が
劣るなどの問題があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は上記方法の欠陥
を解消し、深み感、真珠光沢感、平滑性、鮮映性などが
すぐれた塗膜形成方法に関する。
【0004】すなわち、本発明は、基体樹脂が酸価5〜
100で且つそれらが塩基で中和されており、実質的に
熱により架橋しない熱可塑性有機溶剤系着色ベース塗料
(A)を塗装し、該着色塗面に、実質的に熱により架橋
しない熱可塑性水系着色塗料(B)を塗装し、必要に応
じて50〜100℃で予備乾燥してから、熱硬化性有機
溶剤系クリヤー塗料(C)を塗装した後、加熱して上記
(A)、(B)および(C)からなる三層塗膜を同時に
硬化させることを特徴とする塗膜形成方法に関する。
【0005】以下に本発明の塗膜形成方法(本方法)に
ついて詳細に説明する。
【0006】着色ベース塗料(A):基体樹脂が酸価5
〜100で且つそれらが塩基で中和されており、実質的
に熱により架橋しない熱可塑性有機溶剤系着色ベース塗
料であり、熱可塑型水系着色塗料(B)に先立って被塗
物に塗装する液状塗料である。
【0007】着色ベース塗料(A)は、酸価が5〜10
0である水酸基含有樹脂(A−1)の中和物および着色
顔料(A−2)を必須成分とし、これらを有機溶剤に混
合せしめてなる熱可塑性有機溶剤系着色塗料である。
【0008】(A−1)は酸価が5〜100である水酸
基含有樹脂であり、1分子中にカルボキシル基および水
酸基を併存している。
【0009】該カルボキシル基の含有量は酸価に基いて
5〜100mgKOH/gの範囲内であって、特に10
〜70mgKOH/g、特に好ましくは30〜50mg
KOH/gが好ましい。酸価が5mgKOH/gより小
さくなると次いで塗装する水系着色塗料(B)塗膜との
なじみが悪く、かつ該塗膜中の水分を吸い込む能力が劣
るために、該塗料(B)塗膜のムラ、タレなどを生じ、
一方、酸価が100より大きくなると該塗料(A)塗膜
の耐水性が低下するのでいずれも好ましくない。
【0010】また該樹脂(A−1)中の水酸基は付着性
を付与させるもので、その含有量は水酸基価に基いて1
0〜150mgKOH/g、特に30〜80mgKOH
/gが好ましい。
【0011】樹脂(A−1)として、具体的には、カル
ボキシル基および水酸基を有せしめたアクリル樹脂、ビ
ニル樹脂およびポリエステル樹脂などがあげられる。
【0012】アクリル樹脂およびビニル樹脂は、カルボ
キシル基含有不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量
体を主成分とし、さらに必要に応じてその他の不飽和単
量体を使用してなる重合体であって、数平均分子量は約
3000〜100000、特に約5000〜50000
が好ましい。
【0013】カルボキシル基含有不飽和単量体は1分子
中に重合性不飽和二重結合およびカルボキシル基をそれ
ぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えばアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロト
ン酸およびこれらのジカルボン酸のハーフモノアルキル
(炭素数1〜10が適している)エステル化物などがあ
げられ、これらは1種または2種以上が使用できる。
【0014】水酸基含有不飽和単量体は1分子中に重合
性不飽和二重結合および水酸基をそれぞれ少なくとも1
個有する化合物であり、例えばヒドロキシエチルアクリ
レート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシ
プロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレ
ートなどのアクリル酸またはメタクリル酸と炭素数2〜
10のグリコール類とのモノエステル類、ε−カプロラ
クトン変性ビニル単量体などがあげられ、これらは1種
または2種以上が使用できる。
【0015】その他の不飽和単量体は、1分子中に重合
性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物であ
り、カルボキシル基や水酸基を有さない不飽和単量体で
ある。具体的には、メチルアクリレート、メチルメタク
リレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレー
ト、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、
ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチル
アクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルアク
リレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、
ラウリルアクリレートおよびラウリルメタクリレートな
どのアクリル酸またはメタクリル酸と炭素数1〜24の
モノアルコール類とのモノエスエテル類;グリシジルア
クリレートおよびグリシジルメタクリレートなどのグリ
シジル基含有不飽和単量体;アクリロニトリル、アクリ
ルアミド、Nーメチルアクリルアミド、N−メチロール
アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドお
よびジメチルアミノエチルメタクリレートなどの窒素含
有不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレンおよび
ビニルトルエンなどの芳香環含有不飽和単量体;酢酸ビ
ニル、塩化ビニルなどがあげられ、これらは1種または
2種以上が使用できる。
【0016】ポリエステル樹脂は、多価アルコールおよ
び多塩基酸、さらに必要に応じて一塩基酸、油成分(こ
の脂肪酸も含む)などを用いてエステル反応させること
によって調製されるオイルフリーもしくは油変性のポリ
エステル樹脂である。該樹脂の数平均分子量は約500
〜50000、特に約3000〜30000が好まし
い。
【0017】多価アルコールは1分子中に2個以上の水
酸基を有する化合物であり、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
タンジオール、ペンタンジオール、2,2−ジメチルプ
ロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトールおよびカージュラE(シェル
化学社製、商品名)などがあげられ、これらは1種また
は2種以上が使用できる。多塩基酸は1分子中に2個以
上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えばフタ
ル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒ
ドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれ
らの無水物などがあげられ、これらは1種または2種以
上が使用できる。
【0018】一塩基酸は1分子中に1個のカルボキシル
基を有する化合物であり、例えば安息香酸およびt−ブ
チル安息香酸などがあげられ、油成分(この脂肪酸も含
む)としてはヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油、
大豆油、あまに油、トール油、ヤシ油およびこれらの脂
肪酸などがあげられ、これらは1種または2種以上が使
用できる。
【0019】該ポリエステル樹脂において、カルボキシ
ル基は例えば1分子中に3個以上のカルボキシル基を有
するトリメリット酸およびピロメリット酸などの多価カ
ルボン酸を併用するか、ジカルボン酸をハーフエステル
付加することによって導入でき、水酸基はグリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの
1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールを
併用することによって容易に導入できる。
【0020】樹脂(A−1)として、アクリル樹脂また
はビニル樹脂をポリエステル樹脂にグラフト化したグラ
フト重合体、さらにはウレタン化アクリル樹脂およびウ
レタン化ポリエステル樹脂も適用でき、その数平均分子
量は500〜40000が適している。該グラフト重合
体は重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂に上記不
飽和単量体を反応させることによって得られる。
【0021】着色ベース塗料(A)で使用する該樹脂
(A−1)はそのカルボキシル基を塩基性物質を用いて
中和する。
【0022】中和用の塩基性物質としては水溶性が好ま
しく、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミ
ン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、モルホリ
ン、N−アルキルモルホリン、ピリジン、モノイソプロ
パノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソ
プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノ
ール、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
ジエチルエタノールアミンおよびトリエタノールアミン
などがあげられ、これらは1種または2種以上が使用で
きる。これらの中和剤の使用量は樹脂(A−1)中のカ
ルボキシル基に対して0.1〜2.0当量、特に0.3
〜1.2当量が適している。
【0023】着色顔料(A−2)は着色ベース塗料
(A)塗膜をソリッド調またはメタリック調に着色させ
るためのものであり、該塗膜は着色透明または着色不透
明のいずれでもよい。
【0024】かかる着色顔料(A−2)として、例えば
二酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、べんがら、
カドミウムレッド、モリブデンレッド、黄鉛、カドミウ
ムイエロー、クロムエロ−、チタンイエロー、酸化クロ
ム、コバルトグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、
プルシアンブル−、コバルトブル−、コバルトバイオレ
ット、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔
料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、スレン系
顔料、ペリレン顔料、チオインジゴ顔料などの無機系お
よび有機系顔料などから選ばれたソリッドカラ−用顔
料;りん片状のアルミニウム、雲母、金属酸化物で表面
被覆した雲母、雲母状酸化鉄、銀メッキガラスフレー
ク、チタンコートグラファイト、金属チタンフレーク、
フタロシアニンフレークなどのメタリック用顔料;など
が包含される。これらから選ばれた単独で、もしくは2
種以上併用することができる。着色顔料(A−2)の配
合量は目的とする色調(ソリッド調またはメタリック
調)に応じて任意に選択でき、制限はない。
【0025】本方法における着色ベース塗料(A)は、
上記の樹脂(A−1)の中和物および着色顔料(A−
2)を有機溶剤に混合することによって得られる。
【0026】有機溶剤としては塗料用の通常の既知のも
のが使用でき、例えばエステル系、エーテル系、アルコ
ール系、アミド系、ケトン系、脂肪族炭化水素系、脂環
族炭化水素系、芳香族炭化水素系の溶剤があげられ、こ
れらから選ばれた1種もしくは2種以上を使用できる。
特にこのうち、酢酸エチレングリコールモノメチルエー
テル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキ
サン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、アリ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、第3ブチルアルコール、エチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレン
グリコール、2,3−ブチレングリコール、ヘキシレン
グリコール、ヘキサンジオール、ジプロピレングリコー
ル、アセトン、ヂアセトンアルコール、などのような親
水性有機溶剤を用いることが好ましい。これらの親水性
有機溶剤は1種もしくは2種以上を使用できる。該親水
性有機溶剤は水に溶解しやすく、例えば20℃におい
て、水100重量部あたり50重量部以上溶解する有機
溶剤である。親水性有機溶剤の比率は、塗装時の着色ベ
ース塗料(A)に含まれる有機溶剤の合計重量に基いて
20重量%以上、特に40〜100重量%含有している
ことが適している。
【0027】着色ベース塗料(A)において、これらの
有機溶剤の一部を脱イオン水などの水に置換して、有機
溶剤と水との混合系とし、これに上記各成分を混合した
塗料も含まれる。有機溶剤と水との混合系において、有
機溶剤含有率は50〜100重量%、水含有率は0〜5
0重量%の範囲内が適している。
【0028】着色ベース塗料(A)には、さらに必要に
応じて沈降防止剤や体質顔料などを適宜配合することが
できる。また、着色ベース塗料(A)の塗装時における
不揮発分濃度は、通常20〜65重量%であるが、大気
汚染防止や省資源のために有機溶剤量を少なくし、30
〜60重量%、特に40〜60重量%に調整したハイソ
リッドタイプであることが好ましい。
【0029】着色ベース塗料(A)の単独塗膜は着色不
透明または着色透明のソリッド調もしくはメタリック調
の塗膜である。ここで不透明塗膜とは20μの乾燥膜厚
における光線透過率が5%未満のことであり、透明塗膜
とは20μの乾燥膜厚における光線透過率が5%以上の
ことである。
【0030】本方法において、着色ベース塗料(A)
は、自動車外板(金属製またはプラスチック製)などの
被塗物に直接塗装することは可能であるが、カチオン型
やアニオン型の電着塗料などのプライマーおよび中塗塗
料などを塗装し硬化した塗面に塗装することが好まし
い。
【0031】着色ベース塗料(A)の塗装は、塗装時粘
度を13〜60秒/フォードカップ#4/20℃、好ま
しくは15〜40秒/フォードカップ#4/20℃に調
整し、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装など
により、乾燥塗膜に基づく膜厚が5〜25μm、特に1
0〜20μmになるように塗装することが好ましい。こ
の着色ベース塗料(A)の塗膜を加熱させることなく必
要に応じて常温で1〜20分放置してから、該塗面に、
熱可塑性水系着色塗料(B)を塗装する。
【0032】水系着色塗料(B):着色ベース塗料
(A)の塗面に塗装する実質的に熱により架橋しない熱
可塑性水系着色塗料であり、基体樹脂(B−1)および
着色顔料(B−2)を水に混合分散してなる。
【0033】基体樹脂(B−1)としては、例えば、カ
ルボキシル基および水酸基を有せしめたアクリル樹脂、
ビニル樹脂およびポリエステル樹脂などがあげられる。
【0034】該カルボキシル基は該樹脂を水に溶解もし
くは分散しやすくするもので、酸価に基いて20〜15
0mgKOH/g、特に30〜100mgKOH/gが
適している。水酸基は付着性を付与させるもので、その
含有量は水酸基価に基いて10〜150mgKOH/
g、特に30〜80mgKOH/gが好ましい。これら
の基体樹脂のうち、アクリル樹脂およびビニル樹脂の数
平均分子量は約3000〜100000、特に約500
0〜50000が、ポリエステル樹脂は約500〜50
000、特に約3000〜30000が好ましい。
【0035】これらのアクリル樹脂、ビニル樹脂および
ポリエステル樹脂(基体樹脂B−1)は、上記着色ベ−
ス塗料(A)の水酸基含有樹脂(A−1)で説明した成
分を用い、水酸基価、酸価および分子量が上記範囲内に
なるように、有機溶剤中で溶液重合することによって得
られるが、分散安定剤水溶液の存在下でエマルジョン重
合することによっても製造できる。
【0036】エマルジョン重合で用いる分散安定剤とし
ては、ノニオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤の
ほか、酸価20〜150で数平均分子量が5000〜3
0000のアクリル樹脂などの水性樹脂の水溶液などが
好適に使用できる。
【0037】エマルジョン重合自体は既知の方法で行う
ことができる。なかでも、カルボキシル基含有不飽和単
量体を使用した多段重合法によって製造したエマルジョ
ンは塗装作業性がすぐれているので好ましい。すなわ
ち、最初にカルボキシル基含有不飽和単量体を全くもし
くは殆ど含まない(通常全単量体中3重量%以下)系で
重合を行い、次いでカルボキシル基含有不飽和単量体を
多量(通常全単量体中5〜30重量%)含有させて重合
し中和すると、エマルジョンの粘度が上昇し、タレやム
ラがなく塗装作業性にすぐれているので好ましい。中和
剤としては上記樹脂(A−1)で例示した物質が適用で
き、その使用量は該重合体中のカルボキシル基に対して
0.1〜2.0当量、特に0.3〜1.2当量が適して
いる。
【0038】さらに、基体樹脂(B−1)として、ポリ
イソシアネ−ト、数平均分子量500〜5000のポリ
エ−テルポリオ−ルやポリエステルポリオ−ル、分子量
500未満の低分子量ポリオ−ルおよびジメチロ−ルア
ルカン酸などをウレタン化反応させてなるポリウレタン
も使用できる。
【0039】着色顔料(B−2)は水系着色塗料(B)
塗膜をソリッド調またはメタリック調に着色させるため
のものであり、該塗膜は着色透明または着色不透明のい
ずれでもよい。かかる着色顔料(B−2)としては上記
着色ベース塗料(A)の着色顔料(A−2)で例示した
ソリッドカラ−用顔料およびメタリック用顔料などから
選ばれた単独で、もしくは2種以上併用することができ
る。
【0040】水系着色塗料(B)は、基体樹脂(B−
1)および着色顔料(B−2)を水に混合分散すること
によって得られる。水系着色塗料(B)において、水の
一部を着色ベース塗料(A)で例示した親水性有機溶剤
に置換することも可能で、該有機溶剤含有率は水との合
計量を基準に0〜50重量%が適している。
【0041】水系着色塗料(B)には、さらに必要に応
じて沈降防止剤や体質顔料などを適宜配合することがで
きる。また、水系着色塗料(B)の塗装時における不揮
発分濃度は、通常15〜65重量%が好ましく、その単
独塗膜は不透明または透明のソリッド調もしくはメタリ
ック調の塗膜である。ここで不透明塗膜とは20μの乾
燥塗膜における光線透過率が5%未満のことであり、透
明塗膜とは20μの乾燥塗膜における光線透過率が5%
以上のことである。
【0042】水系着色塗料(B)は、必要に応じて常温
で1〜20分間放置した着色ベース塗料(A)の塗面に
塗装する。水系着色塗料(B)の塗装時粘度を15〜6
0秒/フォードカップ#4/20℃、好ましくは20〜
50秒/フォードカップ#4/20℃に調整し、エアス
プレー、エアレススプレー、静電塗装などにより、乾燥
塗膜に基づく膜厚が5〜40μm、特に10〜35μm
になるように塗装することが好ましい。
【0043】本方法では、着色ベース塗料(A)の未硬
化塗面に水系着色塗料(B)を塗装し、ついで熱硬化型
クリヤー塗料(C)を塗装するが、該クリヤー塗料
(C)の塗装に先立ち、着色ベース塗料(A)および水
系着色塗料(B)からなる二層塗膜を50〜100℃で
予備乾燥しておくこと好ましい。この予備乾燥により該
両塗膜中の有機溶剤や水などの揮発性成分の殆どもしく
はすべて蒸発する。かかる予備乾燥を行なうと、その塗
面にクリヤー塗料(C)を塗装し該塗膜中に含まれる溶
剤や低分子樹脂成分などが該両塗膜中に浸透拡散して
も、該両塗膜の粘度が低下せずメタリック顔料などが再
流動することがなくムラなどの発生を防止することがで
きる。
【0044】熱硬化性クリヤー塗料(C):熱可塑性水
系着色塗料(B)の塗膜面に塗装する、透明塗膜を形成
する有機溶剤系熱硬化性塗料であり、基体樹脂(C−
1)および架橋剤(C−2)を有機溶剤に溶解もしくは
分散せしめてなる液状塗料である。
【0045】基体樹脂(C−1)は、カルボキシル基、
水酸基、グリシジル基、シラノール基、アルコキシシリ
ル基などから選ばれた1種もしくは2種以上の架橋性官
能基を1分子中に2個以上有するアクリル樹脂、ビニル
樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂な
どが好適にあげられる。
【0046】これらの官能基を有するアクリル樹脂およ
びビニル樹脂は、該官能基および重合性不飽和二重結合
を1分子中にそれぞれ1個以上有する重合性不飽和単量
体とこれらの官能基を持たない非官能性重合性不飽和単
量体とを重合せしめることにより得られ、数平均分子量
は約3000〜100000、特に約5000〜500
00が好ましい。
【0047】カルボキシル基含有不飽和単量体、水酸基
含有不飽和単量体およびグリシジル基含有不飽和単量体
としては、前記(A−1)成分の説明で例示したものが
使用できる。
【0048】シラノール基またはアルコキシシリル基含
有不飽和単量体は1分子中にシラノール基またはアルコ
キシシリル基と重合性不飽和二重結合とをそれぞれ1個
以上有する化合物であり、例えば、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2
−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセ
トオキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−スチリル
エチルトリメトキシシランなどがあげられ、これらは1
種もしくは2種以上使用できる。
【0049】非官能性重合性不飽和単量体は上記の官能
基を持たない重合性不飽和単量体であり、具体的には前
記(A−1)成分の説明で例示したものが挙げられ、こ
れらは1種または2種以上が使用できる。
【0050】基体樹脂(C−1)における上記架橋性官
能基を有する重合性不飽和単量体の比率は目的に応じて
任意に選択できるが、カルボキシル基含有単量体は酸価
に基いて5〜150mgKOH/g、特に10〜70m
gKOH/gが好ましい。水酸基含有単量体は水酸基価
に基いて10〜150mgKOH/g、特に30〜80
mgKOH/gが好ましい。エポキシ基含有不飽和単量
体、シラノール基含有不飽和単量体またはアルコキシシ
ラノール基含有不飽和単量体は、非官能性重合性不飽和
単量体などとの合計量に基づいて1〜60重量%、特に
5〜35重量%が適している。これらの単量体の重合反
応は溶液重合などのそれ自体既知の方法により行うこと
ができる。
【0051】基体樹脂(C−1)としてのポリエステル
樹脂は、多価アルコールおよび多塩基酸、さらに必要に
応じて一塩基酸、油成分(この脂肪酸も含む)などを用
いてエステル反応させることによって調製されるオイル
フリーもしくは油変性のポリエステル樹脂である。該樹
脂の数平均分子量は約500〜50000、特に約30
00〜30000が好ましい。これらの多価アルコール
や多塩基酸などは前記(A−1)成分の説明で例示した
ものが使用できる。また、該樹脂へのカルボキシル基、
水酸基、グリシジル基、シラノール基、アルコキシシリ
ル基などの官能基を導入法も既知の方法で行える。
【0052】基体樹脂(C−1)として、ポリイソシア
ネ−ト、数平均分子量500〜5000のポリエ−テル
ポリオ−ルやポリエステルポリオ−ル、分子量500未
満の低分子量ポリオ−ルおよびジメチロ−ルアルカン酸
などをウレタン化反応させてなるウレタン樹脂も使用で
きる。
【0053】基体樹脂(C−1)として、例えばパーフ
ルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオ
ロイソノニルエチル(メタ)アクリレ−ト、パーフルオ
ロオクチルエチル(メタ)アクリレートパーフルオロア
ルキル(メタ)アクリレート;フルオロエチレン、フッ
カビニリデン、テトラフルオロエチレン、パ−フルオロ
などのフッ化オレフィンなどを含有する重合体に上記官
能基を導入せしめたものも使用できる。
【0054】架橋剤(C−2)は基体樹脂(C−1)中
の上記架橋性官能基と架橋反応しうる化合物で、硬化塗
膜を形成せしめるものである。例えば、カルボキシル基
と反応するエポキシ化合物、水酸基と反応しうるアミノ
樹脂やブロックポリイソシアネ−ト、グリシジル基と反
応するカルボキシル化合物などがあげられる。
【0055】エポキシ化合物は1分子中に2個以上のエ
ポキシ基を有する化合物で、例えば、エチレングリコー
ル・ジグリシジルエーテル、ヘキサンジオール・ジグリ
シジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジ
ルエーテル、グリセリン・ジグリシジルエーテル、グリ
セリン・トリグリシジルエーテル、ジグリセリン・トリ
グリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジルエ
ーテル、水添ビスフェノールA・ジグリシジルエーテル
またはビスフェノールA・ジグリシジルエーテルなどの
多価アルコールのポリグリシジルエーテル、あるいはp
−オキシ安息香酸のグリシジルエステル・グリシジルエ
ーテル、フタル酸ジグリシジルエステルまたはヘキサヒ
ドロフタル酸・ジグリシジルエステル、さらにはヒダン
トイン環含有エポキシ樹脂、そして側鎖にエポキシ基を
有するビニル系重合体などが挙げられる。脂環構造にオ
キシラン環が結合した脂環式エポキシ化合物も含まれ
る。
【0056】ブロックポリイソシアネ−トはポリイソシ
アネート化合物のイソシアネート基をフェノール類、ア
ルコール類、オキシム類、ラクタム類などのブロック剤
で封鎖してなる化合物であり、所定温度(通常80〜1
60℃)以上に加熱するとブロック剤が解離し遊離イソ
シアネート基が再生し、これが樹脂(C−1)の水酸基
と架橋反応する。
【0057】ポリイソシアネ−ト化合物は1分子中に2
個以上のイソシアネ−ト基を有する化合物であり、例え
ばトリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソ
シアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチ
レンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロ
ンジイソシアネ−トおよびこれらのポリイソシアネ−ト
と低分子量もしくは高分子量のポリ−ル類とをイソシア
ネ−ト基過剰で反応させてなる遊離イソシアネ−ト基含
有プレポリマ−などがあげられる。ブロックポリイソシ
アネ−トの分子量は200〜10000のが好ましい。
【0058】アミノ樹脂としては、例えばメラミン、ベ
ンゾグアナミンまたは尿素などのアミノ化合物のアミノ
基の一部もしは全部にホルムアルデヒドを縮合反応して
得られるイミノ基が残存していることもあるメチロール
化アミノ樹脂;さらに該メチロール化アミノ樹脂のメチ
ロール基のすべてもしくは一部に炭素数1〜10のモノ
アルコールから選ばれた1種もしくは2種以上アルコー
ルでエーテル化してなるイミノ基やメチロール基などが
残存していることもあるアルキルエーテル化アミノ樹脂
があげられる。該アルキルエーテル化アミノ樹脂の数平
均分子量は400〜3000が好ましい。
【0059】カルボキシル化合物は1分子中に2個以上
のカルボキシル基(酸無水基も含む)を有する化合物
で、例えばフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ドデシニ
ルサクシニックアシッド、ピロメリチックアシッド、ク
ロレンディックアシッドおよびこれらの酸無水物などが
挙げられる。これらのカルボキシル基や酸無水基が側鎖
に結合したアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹
脂などもカルボキシル化合物として使用できる。
【0060】これらの基体樹脂(C−1)と架橋剤(C
−2)との比率は、例えば該両成分の合計固形分重量に
基いて、基体樹脂は50〜90%、特に65〜85%、
架橋剤は50〜10%、特に35〜15%が適してい
る。
【0061】特に環境問題、省資源など観点から、有機
溶剤含有率の少ないハイソリッド型クリヤー塗料を用い
ることが好ましい。なかでも、アクリル樹脂およびヘキ
サアルコキシメチルメラミンをビヒクル成分とし、さら
に酸触媒を配合してなる有機溶剤系高固形分熱硬化性ク
リヤー塗料が適している。
【0062】クリヤー塗料(C)は上記基体樹脂(C−
1)と架橋剤(C−2)とを有機溶剤に溶解もしくは分
散せしめてなる液状塗料である。有機溶剤は上記ビヒク
ル成分を溶解もしくは分散せしめるものであり、例えば
炭化水素型、アルコール型、エステル型、ケトン型、エ
ーテル型などから選ばれた1種もしくは2種以上の塗料
用溶剤が使用できる。クリヤー塗料(C)は上記成分を
主成分としているが、さらに必要に応じて紫外線吸収
剤、光安定剤、表面調整剤などを適宜添加でき、また着
色顔料、メタリック顔料および雲母などの干渉模様顔料
などを該塗膜の透明性が阻害されない程度に配合でき
る。
【0063】本方法では、着色ベース塗料(A)および
水系着色塗料(B)を塗装したのち、必要に応じ50〜
100℃で5〜60分間予備乾燥を行ってから、水系着
色塗料(B)の塗面に、塗装時粘度を15〜50秒、好
ましくは20〜40秒に調整したクリヤー塗料(C)
を、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装などに
より、硬化塗膜に基づく膜厚が20〜60μm、特に3
0〜50μmになるように塗装する。ついで、必要に応
じ室温で1〜20分間放置してから120〜180℃で
10〜60分間加熱して、着色ベース塗料(A)、水系
着色塗料(B)およびクリヤー塗料(C)からなる三層
塗膜を同時に三次元架橋硬化せしめることによって本発
明の塗膜形成方法が達成される。
【0064】本方法において、着色ベース塗料(A)、
水系着色塗料(B)およびクリヤー塗料(C)を使用し
てなる三層塗膜構造の形態の具体例として種々あげられ
るがその代表例はつぎのとおりである。
【0065】1)不透明ソリッドカラ−塗膜(A)/不
透明メタリック塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 2)不透明ソリッドカラ−塗膜(A)/透明メタリック
塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 3)不透明ソリッドカラ−塗膜(A)/不透明ソリッド
カラ−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 4)不透明ソリッドカラ−塗膜(A)/透明ソリッドカ
ラ−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 5)透明ソリッドカラ−塗膜(A)/不透明メタリック
塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 6)透明ソリッドカラ−塗膜(A)/透明メタリック塗
膜(B)/クリヤー塗膜(C) 7)透明ソリッドカラ−塗膜(A)/不透明ソリッドカ
ラ−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 8)透明ソリッドカラ−塗膜(A)/透明ソリッドカラ
−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 9)不透明メタリック塗膜(A)/不透明メタリック塗
膜(B)/クリヤー塗膜(C) 10)不透明メタリック塗膜(A)/透明メタリック塗
膜(B)/クリヤー塗膜(C) 11)不透明メタリック塗膜(A)/不透明ソリッドカ
ラ−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 12)不透明メタリック塗膜(A)/透明ソリッドカラ
−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 13)透明メタリック塗膜(A)/不透明メタリック塗
膜(B)/クリヤー塗膜(C) 14)透明メタリック塗膜(A)/透明メタリック塗膜
(B)/クリヤー塗膜(C) 15)透明メタリック塗膜(A)/不透明ソリッドカラ
−塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 16)透明メタリック塗膜(A)/透明ソリッドカラ−
塗膜(B)/クリヤー塗膜(C) 本発明の方法により達成される技術的効果はつぎのとお
りである。
【0066】1.酸価が5〜100である水酸基含有樹
脂の中和物を含有する有機溶剤系着色ベース塗料(A)
の未硬化塗膜中の該中和物は強い水吸収性を有してい
る。よって、該未硬化塗面に水系着色塗料(B)を塗装
すると該塗料(B)塗膜中の水分が急速に吸収されて、
粘度が上昇し、該塗膜のタレやメタリックムラなどの発
生が防止できた。したがって、水系着色塗料(B)の塗
装時の周囲の湿度の高低になんら左右されることなく仕
上がり外観がすぐれている。
【0067】2.着色ベース塗料(A)および水系着色
塗料(B)を塗装し、50〜100℃で予備乾燥してか
らクリヤー塗料(C)を塗装すると、水系着色塗膜とク
リヤー塗膜との混層が起こらずワキやタレなどの発生が
防止できた。
【0068】3.水系着色塗料(B)は水性系であるの
で有機溶剤系に比べて、メタリック顔料が塗面に対して
平行に配向しやすく、深み感、奥行感および真珠光沢感
が改良された。
【0069】4.水系着色塗料(B)を有機溶剤系の着
色ベース塗料(A)の未硬化塗面に塗装しているので、
塗装時の湿度が変動しても塗料が流れたり、塗面に肌荒
れが生じたりすることが殆どなくなり、そのため塗装時
の湿度管理を厳密に行う必要がなくなった。
【0070】
【実施例】以下に、本発明に関する実施例および比較例
について説明する。部および%はいずれも重量に基づ
く。
【0071】1.製造例 1)アクリル樹脂溶液(a−1) 120℃に加温したブチルセロソルブ60部に、単量体
成分−1(注1)を3時間を要して加え共重合させて、
酸価40、水酸基価52および数平均分子量約1000
0である不揮発分60%のアクリル樹脂溶液(a−1)
を得た。
【0072】注1:単量体成分−1 メタクリル酸メチル30部、メタクリル酸エチル23
部、メタクリル酸ブチル30部、メタクリル酸ヒドロキ
シエチル12部、メタクリル酸5部およびα,α´−ア
ゾビスイソブチロニトリル2部からなる。
【0073】2)アクリル樹脂溶液(a−1N) アクリル樹脂溶液(a−1)100部にジメチルアミノ
エタノール3.5部を加えて中和し、その後イソプロピ
ルアルコールを加えて不揮発分50%のアクリル樹脂溶
液(a−1N)を得た。
【0074】3)ポリエステル樹脂溶液(b−1) ネオペンチルグリコール0.7モル、トリメチロールプ
ロパン0.3モル、無水フタル酸0.4モルおよびアジ
ピン酸0.5モルを反応容器に入れ、200〜230℃
で5時間反応させてから、無水トリメリット酸0.03
モル添加してさらに180℃で1時間反応させた後、ブ
チロセロソルブを加えて、酸価40、水酸基価70およ
び数平均分子量約6000である不揮発分70%のポリ
エステル樹脂溶液(b−1)を得た。
【0075】4)ポリエステル樹脂溶液(b−1N) ポリエステル樹脂溶液(b−1)100部にジメチルア
ミノエタノール4部を加えて中和し、その後イソプロピ
ルアルコールを加えて不揮発分60%のポリエステル樹
脂溶液(b−1N)を得た。
【0076】5)アクリル樹脂エマルジョン(c−1) 反応容器内に脱イオン水140部、30%「Newco
l 707SF」(界面活性剤、日本乳化剤(株)製、
商品名)2.5部および下記単量体成分−2(注2)を
1部加え、窒素気流中で混合し、60℃で3%過硫酸ア
ンモニウム水溶液3部を加える。ついで、80℃に加温
してから、単量体成分−2(注2)79部、30%「N
ewcol 707SF」2.5部、3%過硫酸アンモ
ニウム水溶液4部および脱イオン水42部からなる単量
体乳化物を4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に
加えた。添加終了後1時間熟成する。
【0077】さらに、80℃において下記単量体成分−
3(注3)20.5部と3%過硫酸アンモニウム水溶液
4部を同時に1.5時間要して反応容器に並列滴下す
る。その後、1時間熟成してから、脱イオン水30部を
加えて希釈し、30℃で、200メッシュのナイロンク
ロスで濾過した。この濾過液にさらに脱イオン水を加え
ジメチルアミノエタノールアミンでpH7.5に調整
し、平均粒子径0.1μm、不揮発分20%のアクリル
樹脂エマルジョン(c−1)を得た。
【0078】注2:単量体成分−2 メタクリル酸メチル55部、スチレン8部、アクリル酸
n−ブチル9部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル5
部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート2部およ
びメタクリル酸1部からなる。
【0079】注3:単量体成分−3 メタクリル酸メチル5部、アクリル酸n−ブチル7部、
アクリル酸2−エチルヘキシル5部、メタクリル酸3部
および30%「Newcol 707SF」0.5部か
らなる。
【0080】6)ポリウレタンエマルジョン(c−2) ポリブチレンアジペート(数平均分子量2,000)2
30g、ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量
2,000)230g、ジメチロールプロピオン酸46
g、1,4−ブタンジオール13g及びイソホロンジイ
ソシアネート240gを反応せしめてNCO含有量4.
0%の末端NCOプレポリマーを得た。次に、得られた
プレポリマーにアセトン330gを加え均一に溶解した
後、撹拌下にトリエチルアミン31gを加え、更に、イ
オン交換水1,200gを加え、得られた水分散体を5
0℃で2時間保持し水伸長反応を完結させた後、減圧下
アセトンを留去し、固形分42%のポリウレタンエマル
ジョン(c−2)を得た。
【0081】7)アクリル樹脂溶液(a−2) 120℃に加温したスワゾール#1000(丸善石油
(株)製、商品名)40部に、単量体成分−4(注4)
を3時間を要して加え共重合させて、水酸基価120お
よび数平均分子量約6000である不揮発分70%のア
クリル樹脂溶液(a−2)を得た。
【0082】注4:単量体成分−4 スチレン30部、アクリル酸ブチル35部、アタクリル
酸2−エチルヘキシル10部、アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル25部およびα,α´−アゾビスイソブチロニ
トリル4部からなる。
【0083】8)アクリル樹脂非水分散液(d−1) 60%ユーバン28−60(三井東圧化学(株)製、商
品名、メラミン樹脂)58部、n−ヘプタン30部およ
びベンゾイルパーオキシド0.15部からなる溶液を反
応容器に仕込み、これを95℃に加熱してから、下記単
量体成分−5(注5)を3時間を要して滴下した。滴下
終了後1時間経過してから、t−ブチルパーオクトエー
ト0.65部とシェルゾール1403.5部とからなる
混合物を1時間かけて滴下し、その後95℃に保ったま
ま2時間撹拌した。減圧して溶剤を除去し、樹脂固形分
含有率60%、ワニス粘度A(ガードナー気泡粘度計)
のアクリル樹脂非水分散液(d−1)を得た。
【0084】9)着色ベース塗料(A−1)の調製 アクリル樹脂溶液(a−1N)100部(固形分)、二
酸化チタン顔料99.98部およびカーボンブラック
0.02部をイソプロパノールで混合し均一に分散させ
て得た。不揮発分40%、粘度25秒/フォードカップ
#4/20℃、塗膜色調はマンセルチャートN8.5で
あった。
【0085】10)着色ベース塗料(A−2)の調製 ポリエステル樹脂溶液(b−1N)100部(固形
分)、二酸化チタン99.98部およびカーボンブラッ
ク0.02部をイソプロパノールで混合し均一に分散さ
せて得た。不揮発分50%、粘度25秒/フォードカッ
プ#4/20℃、塗膜色調はマンセルチャートN8.5
であった。
【0086】11)着色ベース塗料(A−3)の調製 アクリル樹脂溶液(a−1N)50部(固形分)、ポリ
エステル樹脂溶液(b−1N)50部(固形分)、二酸
化チタン顔料99.98部およびカーボンブラック0.
02をイソプロパノールで混合し均一に分散させて得
た。不揮発分43%、粘度25秒/フォードカップ#4
/20℃、塗膜色調はマンセルチャートN8.5であっ
た。
【0087】12)着色ベース塗料(A−4)の調製
(比較用) アクリル樹脂溶液(a−1N)70部(固形分)、サイ
メル370(三井サイテック社製、商品名、メラミン樹
脂、固形分含有率88%)30部(固形分)、二酸化チ
タン顔料99.98部およびカーボンブラック0.02
部をイソプロパノールで混合し均一に分散させて得た。
不揮発分40%、粘度25秒/フォードカップ#4/2
0℃、塗膜色調はマンセルチャートN8.5であった。
【0088】13)着色ベース塗料(A−5)の調製
(比較用) ポリエステル樹脂溶液(b−1N)70部(固形分)、
サイメル370 30部(固形分)、二酸化チタン9
9.98部およびカーボンブラック0.02をイソプロ
パノールで混合し均一に分散させて得た。不揮発分50
%、粘度25秒/フォードカップ#4/20℃、塗膜色
調はマンセルチャートN8.5であった。 14)着色ベース塗料(A−6)の調製(比較用) アクリル樹脂溶液(a−1N)35部(固形分)、ポリ
エステル樹脂溶液(b−1N)35部(固形分)、サイ
メル370 30部(固形分)、二酸化チタン顔料9
9.98部およびカーボンブラック0.02をイソプロ
パノールで混合し均一に分散させて得た。不揮発分43
%、粘度25秒/フォードカップ#4/20℃、塗膜色
調はマンセルチャートN8.5であった。
【0089】15)水系着色塗料(B−1)の調製 酸化チタン被覆りん片状雲母粉末「イリオジン103
R」(メルク社製造、商品名)10部をアクリル樹脂溶
液(a−1N)50部に混合し、さらに脱イオン水40
部を加え分散した。さらに、この分散液にポリエステル
樹脂溶液(b−1N)50部を混合し、ついでポリウレ
タンエマルジョン(c−2)100部を配合してから脱
イオン水を加えて、不揮発分20%、粘度40秒/フォ
ードカップ#4/20℃の水系着色塗料を得た。
【0090】16)水系着色塗料(B−2)の調製(比
較用) 酸化チタン被覆りん片状雲母粉末「イリオジン103
R」(メルク社製造、商品名)10部をアクリル樹脂溶
液(a−1N)50部に混合し、さらに脱イオン水40
部を加え分散した。さらに、この分散液にポリエステル
樹脂溶液(b−1N)50部およびサイメル370 3
4部を混合し、ついでアクリル樹脂エマルジョン(c−
1)100部を配合してから脱イオン水を加えて、不揮
発分20%、粘度40秒/フォードカップ#4/20℃
の水系着色塗料を得た。
【0091】17)熱硬化性クリヤー塗料(C−1)の
調製 アクリル樹脂溶液(a−2)57部、アクリル樹脂非水
分散液(d−1)50部、サイメル303(三井サイテ
ック社製、商品名、メラミン樹脂、固形分含有率88
%)30部、25%ドデシルベンゼンスルホン酸溶液4
部およびBYK−300(ビッグケミージャパン社製、
商品名)0.5部の混合物をスワゾール#1000を加
えて、不揮発分55%、粘度30秒/フォードカップ#
4/20℃に調整した。
【0092】2.実施例および比較例 脱脂およびりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG314
1、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電
着塗料(「エレクロン9400HB」関西ペイント
(株)製、商品名、エポキシ樹脂系カチオン樹脂に硬化
剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用)を
常法により、膜厚20μm(硬化塗膜)になるように電
着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させてか
ら、該電着塗面に中塗塗料(「ルーガベーク中塗り」関
西ペイント(株)製、商品名、ポリエステル樹脂・アミ
ノ樹脂系、有機溶剤型、塗膜のマンセルチャートNをそ
れぞれの着色ベース塗料(A)と同じになるようにし
た)を膜厚40μm(硬化塗膜)になるように塗装し1
40℃で30分加熱して架橋硬化させた。
【0093】このようにして得た塗装鋼板に着色ベース
塗料(A−1)〜(A−6)をミニベル回転式静電塗装
機を用い、ブース内湿度を変動させて塗装した。塗装膜
厚は硬化塗膜に基いて10μmであった。着色ベース塗
料を塗装後、ブース内で1分放置してから、ウエットオ
ンウエット状態で、水系着色塗料(B−1)または(B
−2)をエア霧化式静電塗装機を用い1ステージで着色
ベース塗料と同じブース内湿度で塗装した。塗装膜厚は
硬化塗膜に基いて10μmであった。水系着色塗料を塗
装後、ブース内で1分放置してから、熱風循環式乾燥炉
で80℃で10分加熱して揮発成分の殆どを揮散させ
た。その後、塗膜温度を室温にしてから、該塗面に熱硬
化性クリヤ−塗料(C−1)をミニベル回転式静電塗装
機を用いて塗装した。塗装膜厚は硬化塗膜に基いて40
μmであった。室温で5分放置してから、熱風循環式乾
燥炉で140℃で30分加熱して着色ベース塗料
(A)、水系着色塗料(B)および熱硬化性クリヤー塗
料(C−1)からなる三層塗膜を同時に架橋硬化した。
【0094】かかる工程で塗装された塗膜性能をそれぞ
れの工程と共に表1に示した。
【0095】塗膜性能試験方法はつぎのとおりである。
【0096】真珠光沢感:ALCOPE LMR100
(富士工業(株)製、商品名)を用い、IV値を測定し
た。この値が大きくなると真珠光沢感が優れていること
を示す。
【0097】平滑性:RENAULT社製、テンション
メーターにて測定した。この値が大きくなると平滑性が
優れていることを示す。
【0098】鮮映性:日本色彩研究所製、鮮明度光沢計
P.G.D−IVにて測定した。この値が大きくなると
鮮映性が優れていることを示す。
【0099】耐衝撃性:JIS K−5400 8.
3.2(1990)に従って行なった。尖端半径6.3
mmの撃ち型を用いて500gのおもりを30cmの高
さから落として膜の割れおよび剥がれを目視で評価し
た。
【0100】 ○:割れおよび剥がれが、まったく発生しない △:落下地点およびその周辺に部分的に剥がれを生じた ×:落下地点およびその周辺部が剥離した 耐チッピング性:Q−G−Rグラベロメータ(Qパネル
社製)を用い、7号砕石0.5kgを4kg/cm2
エア圧、20℃の温度条件で試験板に砕石を吹き付け、
塗膜に衝撃を与えた後、JIS Z−2371に規定さ
れた方法に準じて塩水噴霧試験を48時間実施した。錆
発生の状態を総合的に評価し、次の基準で表示した。
【0101】 ○:優れている(7×7cmの試験板に錆発生2個以
下) △:やや劣る (7×7cmの試験板に錆発生3〜9
個) ×:劣る (7×7cmの試験板に錆発生10個以
上)
【0102】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 貢 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 島川 幹巨 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体樹脂が酸価5〜100で且つそれらが
    塩基で中和されており、実質的に熱により架橋しない熱
    可塑性有機溶剤系着色ベース塗料(A)を塗装し、該着
    色塗面に、実質的に熱により架橋しない熱可塑性水系着
    色塗料(B)を塗装し、必要に応じて50〜100℃で
    予備乾燥してから、熱硬化性有機溶剤系クリヤー塗料
    (C)を塗装した後、加熱して上記(A)、(B)およ
    び(C)からなる三層塗膜を同時に硬化させることを特
    徴とする塗膜形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005334717A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Kansai Paint Co Ltd 複層塗膜形成方法、塗膜構造及び塗装物品
JP2010036095A (ja) * 2008-08-04 2010-02-18 Toyota Central R&D Labs Inc 塗装方法およびそれにより得られる塗装体
WO2019138876A1 (ja) 2018-01-11 2019-07-18 旭化成株式会社 塗装方法及び塗膜

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