JPH10118210A

JPH10118210A - 投てき消火用具

Info

Publication number: JPH10118210A
Application number: JP28211296A
Authority: JP
Inventors: Takayuki Iwasaki; 孝行岩崎
Original assignee: SUPIRITSUTO KK
Current assignee: SUPIRITSUTO KK
Priority date: 1996-10-24
Filing date: 1996-10-24
Publication date: 1998-05-12

Abstract

(57)【要約】【課題】容器を把持し易く、かつ破壊し易い構造とす
ることにより、初期消火の効果を高める。【解決手段】消火剤３を充填した手投げ可能な合成樹
脂製容器１の一端に筒状の把持部２を設けるとともに、
容器の外周面に、補強リブ６により囲まれた複数の脆弱
面７を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、火災発生時に火元
に投てきすることにより、容器を破壊させ、内部の消火
剤により消火を行うようにした投てき消火用具に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の消火用具としては、特開昭５８
−１２７６６８号公報、特開昭６０−１８１８１号公報
に開示されているものがある。前者は、ほぼ角筒形をな
す合成樹脂製の容器内に、塩化アンモニウムを主成分と
する消火剤を充填して構成され、また後者は、外周面に
多数の小突起を有する中空球形状のガラス製の容器内
に、消火剤を充填して構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】投てき消火用具は、通
常、火災の初期消火に用いられるため、老弱男女を問わ
ず、何人でも、容易につかんで火元に投てきするのに適
する形状とする必要がある。

【０００４】また、投てきされた容器が確実に破壊し、
内部の消火剤が火元のまわりに飛散することが要求され
る。

【０００５】しかし、上述した従来の投てき消火用具で
は、容器の形状が角筒状または球形を呈しているため、
把持しにくく、しかもその中に初期消火に必要な量(例
えば1000cc前後)の消火剤を充填すると、重量が増すた
め、投てき力の弱い老人や子供等が投てきした際に、火
元からそれたり、火元に届かなかったりして、初期消火
に効を奏さないことがある。

【０００６】特に、合成樹脂製の容器を用いた前者の消
火用具において、投てき力が弱いと、容器が全壊に至る
ことなく、消火剤の飛散効果が薄れることがある。

【０００７】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、容器を、把持し易く、かつ破壊し易い構造とする
ことにより、誰でも簡単に火元に向かって確実に投てき
することができ、しかも小さな衝撃力により容易に破壊
されるようにし、もって、初期消火の効果を大幅に高め
うるようにした、投てき消火用具を提供することを目的
としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 消火剤を充填して密封した手投げ可能な薄肉の容
器の一部に、容器の内部と連通する筒状の把持部を設け
る。

【０００９】(２) 上記(１)項において、容器を、衝撃
力により破壊可能な合成樹脂材により形成するととも
に、その外周面の複数個所に、補強リブにより囲繞され
た脆弱面を形成する。

【００１０】(３) 上記(１)または(２)項において、脆
弱面の一部に切込みを付設して、この部分を薄肉とす
る。

【００１１】(４) 上記(１)〜(３)項のいずれかにおい
て、把持部を、薄肉の容器の一端面より、その軸線方向
に突設する。

【００１２】(５) 上記(１)〜(４)項のいずれかにおい
て、把持部の外面に、滑り止め用の環状突条を設ける。

【００１３】(６) 上記(１)〜(４)項のいずれかにおい
て、把持部の外面に、滑り止め用の多数の突起を設け
る。

【００１４】(７) 上記(１)〜(３)項のいずれかにおい
て、容器の両端部を筒体とし、両者を、筒状の把持部を
もって、流通可能に連結する。

【００１５】(８) 上記(７)項において、筒体を、角筒
体とし、かつそれらの位相を互いに周方向に異ならせ
る。

【００１６】(９) 上記(７)または(８)項において、把
持部の外面に、滑り止め用の環状突条を設ける。

【００１７】(10) 上記(７)または(８)項において、把
持部の外面に、滑り止め用の多数の突起を設ける。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面に
基づいて説明する。図１は、本発明の第１実施例を示す
もので、容器(１)は、容積が５００〜１２００cc、好ま
しくは６００〜８００ccの範囲となるように形成された
角筒形をなし、その上端面の中心には、軸線方向を向
き、かつ容器(１)の長さのほぼ１／２の長さの円筒状の
把持部(２)が突設されている。把持部(２)の内部空間
は、容器(１)の内部と連通している。容器(１)内には、
後記する組成の消火剤(３)が充填されている。

【００１９】把持部(２)の外周面には、複数の滑り止め
用の環状突条(４)が形成されている。環状突条(４)の代
わりに、多数の突起もしくは凹凸を設けることもある。
把持部(２)の上端部外周面にはおねじ(図示略)が形成さ
れ、このおねじには、把持部(２)の上端の注入口(図示
略)を密栓するためのキャップ(５)が螺合されている。

【００２０】容器(１)は、耐薬品性に優れるとともに、
衝撃荷重に対して脆弱で割れ易い合成樹脂材、例えばス
チロール樹脂(ポリスチレン)又は塩化ビニール等により
薄肉(例えば1.0mm前後)に形成され、把持部(２)を除い
た容器(１)の外周面には、外向きに膨出する複数の環状
補強リブ(６)が形成されている。

【００２１】上下のリブ(６)(６)同士の間の外周面は、
脆弱面(７)となっており、容器(１)の一部に衝撃力が作
用すると、その部分が容易に破壊されて、内部の消火剤
(３)が飛散するようになっている。

【００２２】消火剤(３)としては、次のような組成のも
のを用いるのがよい。炭酸アンモニウム((ＮＨ₄)ＣＯ₃)
２５重量％からほぼ飽和量まで、塩化アンモニウム((Ｎ
Ｈ₄Ｃｌ)１５〜３５重量％、炭酸カリウム(Ｋ₂ＣＯ₃)１
０〜２５重量％、第二リン酸アンモニウム((ＮＨ₄)₂Ｈ
ＰＯ₄)４〜７重量％、重炭酸ナトリウム(ＮａＨＣＯ₃)
２〜４重量％よりなる薬剤混合物を、所要量の水により
溶解し、さらにこれを、２〜３倍の水に希釈して、その
比重を1.1〜1.3とする。

【００２３】このような組成の消火剤(３)は、燃焼物の
熱により化学反応を起こして、熱と酸素を奪い、かつ水
蒸気の発生により空気を遮断して、火災を消失させる。

【００２４】すなわち、上記各成分の作用は、次の通り
である。

【００２５】(１) 炭酸アンモニウムの水溶液は、ほぼ
７０℃で分解し、次のように反応する。 (ＮＨ₄)ＣＯ₃→２ＮＨ₃＋ＣＯ₂＋Ｈ₂Ｏ上記ＮＨ₃は、酸素と反応すると次のように分解する。４ＮＨ₃＋３Ｏ₂→２Ｎ₂＋６Ｈ₂ＯこれらのＣＯ₂、Ｎ₂、ＮＨ₃、Ｈ₂Ｏにより、酸素が排除
され、燃焼が抑制される。

【００２６】(２) 塩化アンモニウムと炭酸カリウムと
は常温でもわずかながら次のように反応し、弱いアンモ
ニア臭を発する。２ＮＨ₄Ｃｌ＋Ｋ₂ＣＯ₃→２ＮＨ₃＋ＣＯ₂＋２ＫＣｌ＋
Ｈ₂Ｏ温度の上昇と共に反応は急速に進行するから、消火剤を
火中に散布した場合激しく反応し、発生したＮＨ₃は酸
素と次のように反応して分解する。４ＮＨ₃＋３Ｏ₂→２Ｎ₂＋６Ｈ₂Ｏ従って、上記(１)項と同様、ＣＯ₂、Ｎ₂、ＮＨ₃、Ｈ₂Ｏ
が酸素を急激に排除するため、炭酸アンモニウムとの相
乗効果により燃焼が大幅に抑制される。

【００２７】(３) 第２リン酸アンモニウムは消火剤と
知られており、以前から消火器に使用されている物質で
あるが、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び炭
酸カリウムとの相乗作用により、一層強力に消火作用に
寄与する。

【００２８】(４) 重炭酸ナトリウムは常温における上
記(１)及び(２)項の反応を抑制し、安定化作用をなして
いるが、高温では分解してＣＯ₂を発生し、消火作用の
一翼を担うものである。

【００２９】上記作用に加えて、火中に散布された消火
剤の中のうち、気体となって拡散することなく残った塩
化物、リン酸塩等が物体をカバーして延焼を防止するの
で、再発火を抑止する作用がある。なお、上記各種の薬
剤を溶解している水自体の大きな気化潜熱(吸熱)及び発
生する水蒸気による酸素の排除に基づく消火作用につい
ては言うまでもない。

【００３０】上記組成の消火剤(３)に代えて、炭酸アン
モニウムのみの水溶液、又は上記組成から塩化アンモニ
ウムと炭酸カリウムを除いた組成の消火剤(３)としても
よい。このような消火剤(３)としても、主成分である炭
酸アンモニウムの優れた燃焼抑制作用により、高い消火
能力が得られる。

【００３１】また、上述した各組成のものに、空気遮断
効果の高い泡沫消火剤、例えばアルキルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ等を主成分とする界面活性剤系の薬剤を添加
すると、油火災に対してより効果的である。

【００３２】上記第１実施例においては、把持部(２)を
片手でつかんで投てきしうるので、投てき方向が大きく
それることはなく、火元への命中率は高く、また遠心力
を十分利用して投てきしうるので、投てき力の弱い老人
や子供でも、離れた火元へ向かって投げることができ
る。しかも容器(１)の脆弱面(７)が衝撃により容易に破
壊するため、効果的な初期消火を行うことができる。

【００３３】図２及び図３は、本発明の第２実施例を示
す。この実施例では、補強リブ(６)を若干厚肉として縦
横に格子状として形成し、かつ容器(１)における交差す
る補強リブ(６)により囲まれた矩形状の部分を、薄肉の
脆弱面(７)としてある。その他は、第１実施例と同様で
あるので、同様の部分に同じ符号を付すにとどめて、そ
の説明は省略する。

【００３４】投てき時において容器(１)の一部に衝撃力
が加わり、容器(１)が全体として変形すると、薄肉の脆
弱面(７)に局部的に大きな応力が作用し、各脆弱面(７)
はランダムに破壊される。そのため、消火剤(３)は諸方
向に飛散して、効果的な消火が行われる。

【００３５】図４〜図６は、本発明の第３実施例を示
す。この実施例では、第２実施例と同様の形状の容器
(１)における縦横の補強リブ(６)の交差部に、補強リブ
(６)の長手方向と直交する切込み(８)を付設するととも
に、矩形状の各脆弱面(７)の外面に、対角線状の切込み
(９)を付設して、それらの部分をより薄肉としてある。
その他は、第１、第２実施例と同じである。

【００３６】このようにすると、投てき時における容器
(１)に加わる衝撃力が小さくても、補強リブ(６)や脆弱
面(７)は確実に破壊される。

【００３７】補強リブ(６)側の切込み(８)を省略するこ
ともある。なお、この実施例の容器(１)は、第１実施例
と同様、補強リブ(６)を含む全体の肉厚を一定厚とし、
ブロー成形を容易としてある。

【００３８】図７は、本発明の第４実施例を示す。この
実施例の容器(10)は、互いに離間し、かつほぼ同形をな
す上下１対の角筒体(10a)(10b)と、これらの角筒体(10
a)(10b)同士を流通可能に連結する筒状の把持部(10c)と
からなっている。把持部(10c)は、片手で把持しうる長
さと径の鼓形を呈し、その内部と上下の角筒体(10a)(10
b)内には、上述と同様の消火剤が充填されている。上部
側の角筒体(10a)に形成された消火剤の注入口は、キャ
ップ(５)により密栓されている。角筒体(10a)(10b)の外
周面には、上記実施例と同様、補強リブ(６)と脆弱面
(７)とが形成されている。把持部(10c)の外面には、滑
り止め用の環状突条、または多数の突起を設けることが
ある。

【００３９】この第４実施例によると、中央の把持部(1
0c)を片手でつかんだ際の重量バランスは良く、非力の
者でも容易に取扱うことができ、また火元への命中率は
高く、初期消火に効果的となる。なお、この実施例で
も、補強リブ(６)や脆弱面(７)に、上記第２実施例のよ
うな切込み(８)を形成してもよいのは勿論である。

【００４０】図８は、本発明の第５実施例の平面図を示
すもので、上記第４実施例における上下の角筒体(10a)
(10b)の位相を、互いに周方向に４５°異ならせたもの
である。

【００４１】このようにすると、容器(10)を投てきした
際、両角筒体(10a)(10b)の角部(11)が燃焼物に衝突する
確率が大となり、その際の容器(10)全体の変形により、
各脆弱面(７)は容易に破壊し、消火剤の飛散効果が高ま
る。

【００４２】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はない。例えば、容器(１)(10)の形状は、実施例のよう
な角筒体の外、円筒形(第５実施例は除く)や多角筒形で
あってもよい。容器(１)(10)に充填する消火剤を、粉末
消火剤とすることもある。

【００４３】第２〜第５実施例では、縦横の補強リブ
(６)を直交させているが、斜めに交差させ、それにより
囲繞される部分を脆弱面(７)としてもよい。

【００４４】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得ら
れる。 (ａ) 容器に筒状の把持部を設けてあるため、投げ易
く、誰でも簡単に火元に向けて確実に投てきしうるの
で、初期消火を効果的に行いうる。

【００４５】(ｂ) 請求項２のようにすると、脆弱面が
容易に破壊されて、消火剤の飛散効果が増大するので、
消火の効果はより高まる。

【００４６】(ｃ) 請求項３のようにすると、投てき時
に容器に加わる衝撃力が小さくても、脆弱面は確実に破
壊される。

【００４７】(ｄ) 請求項５、６、９、１０のようにす
ると、把持及び投てきを、容易かつ確実に行うことがで
きる。

【００４８】(ｅ) 請求項７のようにすると、重量バラ
ンスが良くなり、取扱いが容易となる。

【００４９】(ｆ) 請求項８記載のようにすると、角筒
形とした容器の角部が燃焼物に衝突する確率が高くな
り、その際の容器の変形により、脆弱面は容易に破壊さ
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す一部切欠正面図であ
る。

【図２】同じく、第２実施例を示す一部切欠正面図であ
る。

【図３】図２のIII−III線に沿う横断平面図である。

【図４】本発明の第３実施例を示す正面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿う要部の拡大横断平面図で
ある。

【図６】同じく、VI−VI線に沿う要部の拡大横断平面図
である。

【図７】本発明の第４実施例を示す正面図である。

【図８】同じく、第５実施例を示す正面図である。

【符号の説明】

(１)容器 (２)把持部 (３)消火剤 (４)環状突条 (５)キャップ (６)補強リブ (７)脆弱面 (８)(９)切込み (10)容器 (10a)(10b)角筒体 (10c)把持部 (11)角部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】消火剤を充填して密封した手投げ可能な
薄肉の容器の一部に、容器の内部と連通する筒状の把持
部を設けたことを特徴とする投てき消火用具。
【請求項２】容器を、衝撃力により破壊可能な合成樹
脂材により形成するとともに、その外周面の複数個所
に、補強リブにより囲繞された脆弱面を形成した請求項
１記載の投てき消火用具。
【請求項３】脆弱面の一部に切込みを付設して、この
部分を薄肉とした請求項１または２記載の投てき消火用
具。
【請求項４】把持部を、薄肉の容器の一端面より、そ
の軸線方向に突設してなる請求項１〜３のいずれかに記
載の投てき消火用具。
【請求項５】把持部の外面に、滑り止め用の環状突条
を設けてなる請求項１〜４のいずれかに記載の投てき消
火用具。
【請求項６】把持部の外面に、滑り止め用の多数の突
起を設けてなる請求項１〜４のいずれかに記載の投てき
消火用具。
【請求項７】容器の両端部を筒体とし、両者を、筒状
の把持部をもって、流通可能に連結したことを特徴とす
る請求項１〜３のいずれかに記載の投てき消火用具。
【請求項８】筒体を、角筒体とし、かつそれらの位相
を互いに周方向に異ならせた請求項７記載の投てき消火
用具。
【請求項９】把持部の外面に、滑り止め用の環状突条
を設けてなる請求項７または８記載の投てき消火用具。
【請求項１０】把持部の外面に、滑り止め用の多数の
突起を設けてなる請求項７または８記載の投てき消火用
具。