JPH10110049A - 印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルム

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JPH10110049A
JPH10110049A JP8285918A JP28591896A JPH10110049A JP H10110049 A JPH10110049 A JP H10110049A JP 8285918 A JP8285918 A JP 8285918A JP 28591896 A JP28591896 A JP 28591896A JP H10110049 A JPH10110049 A JP H10110049A
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weight
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resin film
thermoplastic resin
ethyleneimine
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JP8285918A
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Koichi Asami
耕一 浅見
Fumiko Shibata
文子 柴田
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Yupo Corp
Original Assignee
Yupo Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高温、多湿下の夏期においても紫外線硬化型
インクのインク転移性、インク密着性、および印刷の地
汚れのないオフセット印刷性に優れた熱可塑性樹脂フィ
ルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの表面に、(A)
水溶性の窒素含有アクリル系ポリマー100重量部に対
して、(B)下記式(I)で示される変性エチレンイミ
ン系重合体2〜60重量部、(C)ポリアミンポリアミ
ドのエチレンイミン付加物20〜100重量部および
(D)ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加
物40〜150重量部を配合してなる塗工剤層が形成さ
れている。 (式中R1 〜R4 はそれぞれ独立に、H、炭素数が1〜
24のアルキル基若しくはアルケニル基、脂肪族環状炭
化水素基又はベンジル基であり、その内の少なくとも一
つはH以外の基を表わし、mは0〜300、n、p及び
qはそれぞれ1〜300の数値で表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷性の優れた熱
可塑性樹脂フィルムに関し、特にポリオレフィンフィル
ム上に特定の化合物を含有する塗布皮膜を形成せしめ、
高温、多湿下においてもインク転移性、インク密着性、
および印刷版の地汚れのないオフセット印刷性に優れた
熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。本発明によ
り得られる熱可塑性樹脂フィルム、特に合成紙は、屋外
宣伝用ステッカーや冷凍食品用容器のラベルや工業製品
のネーマー(使用方法、注意書を記載したラベル)の用
紙として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、屋外宣伝用ステッカーや冷凍食品
用容器に貼着されるラベルとしては、該ステッカーやラ
ベル用紙であるコート紙の耐水性が乏しいので、それを
補強するために、該コート紙の表面を更にポリエステル
フィルムで被覆されたものが用いられていた。近年、こ
の様なラベル用紙として耐水性が良好なポリオレフィン
系合成紙が上記ポリエステルフィルム被覆コート紙に代
替する有望な素材として注目されている。しかし、この
ようなポリオレフィン系合成紙は、その原料樹脂である
ポリオレフィンが無極性で疎水性を示すものであること
から、オフセット印刷性及び加工性において必ずしも満
足すべきものでなく、そのために、適当な表面処理を施
してから使用するのが普通である。
【0003】このような表面処理方法の一つとして、樹
脂フィルム表面に塗布剤を塗布する方法が知られてい
る。該表面処理方法に使用される塗布剤としては、具体
的には、ポリエチレンイミンやエチレンイミン・エチレ
ン尿素共重合体をプライマー(塗工剤)として用いるこ
とが知られている(特公昭40−12302号、特公昭
53−6676号、特開昭57−149363号の各公
報参照)。
【0004】また、ポリオレフィン樹脂フィルムの表面
に、 (A’)水溶性の第四級窒素含有ポリマーよりなる帯電防止剤 :100重量部 (B’)ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリアミンポ リアミドのエチレンイミン付加物からなる群より選ばれたポリイミン系化合物 :20〜500重量部 (C’)ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物 :20〜500重量部 (D’)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金 属塩 : 5〜 50重量部 の割合で配合したプライマー層を設けた印刷性の良好な
フィルムが提案されている(特公平2−2910号、特
公平5−57110号の各公報参照)。
【0005】しかし、この様なポリエチレンイミン、又
は、第四級窒素含有ポリマーよりなる帯電防止剤と炭酸
ナトリウム、炭酸カリウムとを含有するプライマー層を
設けた樹脂フィルムは、プライマー層を設けた直後のフ
ィルムにおいては十分実用に耐え得る印刷物が得られる
が、表面処理後のポリオレフィン樹脂フィルムが印刷前
に高温下で保管されているものであったり、製造後1年
も経過したものであると、印刷時に、特に紫外線硬化型
インク(UVインク)及びオフセット印刷インクでの印
刷時に、インクの転移に不良が生じたり、インク密着性
が実用に耐え難い程度のものになることがある。従っ
て、紫外線硬化型インキの接着性を改良を目的とした印
刷フィルムとしてアルキル変性エチレンイミン系重合体
のプライマー水溶液をポリオレフィン樹脂フィルム上に
塗布し、乾燥した皮膜層を形成した印刷性の優れた熱可
塑性樹脂フィルムが提案されている(特開平1−141
736号公報参照)。
【0006】しかし、このものは、紫外線硬化型インク
の転移性、接着性に優れたものであるが、プライマーを
塗布した印刷フィルムを高温、多湿下に保管したもの
は、紫外線硬化型インクの転移が不十分なものが生じ
る。先に我々は、かかる問題点を解決した印刷用フィル
ムとして、熱可塑性樹脂フィルムの表面に、(A)水溶
性の窒素含有アクリル系ポリマー,アルキル変性エチレ
ンイミン系重合体およびポリアミンポリアミドのエチレ
ンイミン付加物より選ばれた窒素含有ポリマー100重
量部に対して、(B)燐酸のアルカリ金属塩、カリ明礬
及びアンモニウム明礬より選ばれた無機化合物を2〜6
0重量部の割合で配合しなるプライマー層を形成した印
刷用フィルムを提案した(特開平7−73326号公報
参照)。
【0007】このものは、耐水性、帯電防止性を有し、
高温、多湿下の夏期においても紫外線硬化型インク(U
Vインク)の転移性、密着性の良好な、印刷性の優れた
熱可塑性樹脂フィルムであるが、このプライマー塗工剤
を塗布した印刷フィルムを用いるとオフセット印刷時に
オフセット印刷版または印刷フィルムの印刷されない白
地部分にインク汚れがたびたび生じることが判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐水性、帯
電防止性を有し、高温、多湿下の夏期においても紫外線
硬化型インクの転移性、インクの密着性が良好で、地汚
れがない印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルムの提供を
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
フィルムの表面に、(A)水溶性の窒素含有アクリル系
ポリマー100重量部に対して、(B)下記の式(I)
で示される変成エチレンイミン系重合体2〜60重量
部、(C)ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加
物20〜100重量部および(D)ポリアミンポリアミ
ドのエピクロルヒドリン付加物40〜150重量部を配
合してなる塗工剤層〔但し、(B)成分と(C)成分の
重量比(B/C)は、0.1〜0.6である。〕が形成
されている、印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルムを提
供するものである。
【0010】
【化2】 (式中R1 〜R4 はそれぞれ独立に、H、炭素数が1〜
24のアルキル基若しくはアルケニル基、脂肪族環状炭
化水素基又はベンジル基であり、その内の少なくとも一
つはH以外の基を表わし、mは0〜300、n、p及び
qはそれぞれ1〜300の数値で表わす。)
【0011】
【作用】水溶性の窒素含有アクリル系ポリマー(A)、
ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物(D)と
共に、ポリエチレンイミン系重合体として変性エチレン
イミン系重合体(B)とポリアミンポリアミドのエチレ
ンイミン付加物(C)を特定比で併用することにより、
塗工剤を塗布した印刷フィルムの長期保存性が保たれ、
印刷版及び印刷フィルムの印刷されない部分(白地)の
地汚れ(インクの付着)が防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 〔I〕熱可塑性樹脂フィルム層(基材層) (1)原料素材 本発明の印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルムにおい
て、基材層として用いられる熱可塑性樹脂フィルムの原
料素材となる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、
プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン−
1共重合体、ポリエチレン等のポリオレフィン類、ナイ
ロン−6、ナイロン−66、ナイロン−6,10、ナイ
ロン−6,12等のポリアミド類、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポ
リエステル類、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ
フェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂を挙げることが
できる。
【0013】これらの熱可塑性樹脂フィルム用素材樹脂
の中でも、本発明の効果をより一層発揮するためには非
極性のポリオレフィン樹脂類を用いることが好ましい。 (2)樹脂フィルム 熱可塑性樹脂フィルムは、延伸されたものでも、延伸さ
れていないものでも良く、また、無機微細粉末や有機フ
ィラーを含有していないもの、含有しているものでも良
い。しかし、特に、無機微細粉末を含有するポリオレフ
ィン樹脂フィルムを表面層とするフィルム又はその延伸
物である合成紙を用いることが好ましい。このような合
成紙は、公知のものであり、その詳細については、例え
ば特公昭46−40794号、特公昭49−1782
号、特開昭56−118437号、特開昭57−126
42号及び特開昭57−56224号の各公報等を参照
することができる。
【0014】上記合成紙の中で最も好ましいのは、焼成
クレイ、重炭酸カルシウム、酸化チタン及びタルク等の
微細無機粉末を含有するポリオレフィン樹脂フィルムを
一軸延伸して、この微細無機粉末粒子を中心として表面
に無数の亀裂を生じさせて半透明或いは不透明化せしめ
た層を表面に形成したフィルムからなるものや、特公平
1−60411号、特開昭61−3748号の各公報等
に記載されているような、表面層に無機微細粉末を実質
的に含有しないポリオレフィン樹脂フィルム層を形成し
た積層体である合成紙等を挙げることができる。これら
合成紙や樹脂フィルムの肉厚は、一般に8〜500μ
m、好ましくは30〜150μmの範囲のものが用いら
れる。 (3)表面処理 これら合成紙やフィルムには、その表面にプライマー塗
布剤を施して塗工層を形成する前に、コロナ放電処理、
その他の表面処理に付すことができる。
【0015】〔II〕塗工層 本発明の印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルムの塗工層
を形成するために、前記熱可塑性樹脂フィルム(基材
層)上に塗布されるプライマー(塗工剤)は、(A)水
溶性の窒素含有アクリル系ポリマー100重量部に対し
て、(B)変性エチレンイミン系重合体2〜60重量
部、(C)ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加
物20〜100重量部、および(D)ポリアミンポリア
ミドのエピクロルヒドリン付加物40〜150重量部の
割合で配合した帯電防止性プライマー(固型分)を水あ
るいは水とアルコールとの混合溶媒に溶解したものであ
る。必要により、更に、(A)成分100重量部に対
し、(E)燐酸のアルカリ金属塩、カリウム明礬及びア
ンモニウム明礬より選ばれた無機塩2〜60重量部を配
合する。
【0016】(A)水溶性の窒素含有アクリル系ポリマ
ー 塗工層に帯電防止性を付与する水溶性の窒素含有アクリ
ル系ポリマーは、第三級窒素又は第四級窒素含有アクリ
ル系ポリマーであってもよく、例えば次の〜の成分
を共重合させたものである。 成分: 下記の一般式(II)〜(VIII)にて
示される化合物より選ばれた単量体10〜65重量%。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】 〔ここで、各式中におけるR5 は水素又はメチル基を、
6 及びR7 はそれぞれ低級アルキル基(好ましくは炭
素数が1〜4、特に好ましくは炭素数が1〜2の)を、
8 は炭素数1〜22の飽和又は不飽和アルキル基若し
くはシクロアルキル基を、X- は四級化されたN+ の対
アニオン(例えば、ハライド(特にクロライド))を、
Mはアルカリ金属イオン(例えばナトリウム、カリウム
又はリチウム)を、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を
表わす。〕
【0024】また、第四級窒素含有単量体(III)、
(V)及び(VII)は、その前駆体((II)、(I
V)及び(VI)の形で重合させてから、アルキルハラ
イド、ジメチル硫酸、モノクロロ酢酸エステル等のカチ
オン化剤により第四級化することによって重合体中に存
在させるようにすることができることはいうまでもな
い。更に、アルカリ金属イオン(M)と対アニオン
(X)によって形成される塩(MX)は、必要に応じ
て、濾別、イオン交換等の手段により除去することも可
能である。) 成分: (メタ)アクリル酸エステル 次式(IX)で示されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル 6〜80重量%
【0025】
【化10】 (式中、R5 、R9 は炭素数1〜24のアルキル基、シ
クロアルキル基を表わす。) 具体的には、エチルアクリレート、プロピルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、カプリルアクリレート、ステ
アリルメタクリレート等を挙げることができる。 成分: 他の疎水性ビニル単量体 0〜20重量% 疎水性ビニル単量体としては、スチレン、塩化ビニル等
が利用できる。
【0026】(A)第三級窒素又は第四級窒素含有アク
リル系ポリマー これら(A)成分の第三級窒素又は第四級窒素含有アク
リル系ポリマーの中でも特に好ましい帯電防止剤重合体
としては、成分の単量体が前記の式(VI)で示され
る単量体で、X- がCl- であるものであり、このもの
は三菱化学(株)より「サフトマー ST」の商品名で
販売されている。 (B)変性エチレンイミン系重合体 (B)成分の変性エチレンイミン系重合体は、次の一般
式(I)で示される水溶性のポリエチレンイミン変性体
である。
【0027】
【化11】 (式中、R1 〜R4 はそれぞれ独立に、H、炭素数が1
〜24のアルキル基若しくはアルケニル基、脂肪族環状
炭化水素基又はベンジル基であるが、それらの内で少な
くとも一つはH以外の基を表わし、mは0〜300、
n、p及びqはそれぞれ1〜300の数値を表わす。)
【0028】このポリエチレンイミン変性体は、重合度
が200〜3,000のポリエチレンイミンを、炭素数
1〜24のハロゲン化アルキルを変性剤として用いて変
性して得られたものである。上記変性剤として用いるハ
ロゲン化物としては、炭素数1〜24のハロゲン化アル
キル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化シクロアルキ
ル又はハロゲン化ベンジル等であり、具体的には、塩化
メチル、臭化エチル、塩化n−ブチル、塩化ラウリル、
沃化ステアリル、塩化オレイル、塩化シクロヘキシル、
塩化ベンジル、塩化アリル、塩化シクロペンチル等を挙
げることができる。これらの中でも塩化ブチル、塩化シ
クロヘキシルを用いることが好ましい。
【0029】上記変性剤を用いて行なう変性反応は、ポ
リエチレンイミンに、変性剤として挙げた前述のハロゲ
ン化物を添加し、必要に応じて水及び/又は親水性溶媒
の共存下に、50〜200℃、好ましくは80〜120
℃の温度で、5〜200時間、攪拌下に加熱することに
より行われる。上記親水性溶媒の具体例としては、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール
類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグ
リコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノエーテルアセテート等のセロソ
ルブ類等を挙げることができ、水に対する溶解度が10
g/100g以上の、エチルアルコール、イソプロピル
アルコールを用いることが好ましい。
【0030】(C)ポリアミン・ポリアミドのエチレン
イミン付加物;(C)成分のポリアミン・ポリアミドの
エチレンイミン付加物は、エチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキ
レンポリアミンと、アジピン酸、グルタル酸、琥珀酸等
の二塩基酸とを反応せしめて得られるポリアミンポリア
ミドに、更にエチレンイミンを付加することによって得
られたものである。該ポリアミンポリアミドの分子量は
任意のものが使用されるが、好ましくは500〜20,
000のものである。付加されるエチレンイミンの重合
度は任意のものを使用されるが、好ましくは20〜3,
000のものである。ポリアミン・ポリアミドのエチレ
ンイミン付加物は、BASF社よりポリミン−SNの商
品名で入手できる。
【0031】(D)ポリアミンポリアミド・エピクロル
ヒドリン付加物 (D)成分のポリアミンポリアミド・エピクロルヒドリ
ン付加物としては、炭素数3〜10の飽和二塩基性カル
ボン酸とポリアルキレンポリアミンとからポリアミドを
エピクロルヒドリンと反応させて得られる水溶性で陽イ
オン性の熱硬化性樹脂である。このような熱硬化性樹脂
の詳細については、特公昭35−3547号公報に詳細
に述べられている。上記炭素数3〜10の飽和二塩基性
カルボン酸の具体例としては、炭素数4〜8のジカルボ
ン酸、特にアジピン酸である。また、上記ポリアルキレ
ンポリアミンの具体例としては、ポリエチレンポリアミ
ン、特にエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミンであり、就中ジエチレントリアミ
ンである。
【0032】(E)燐酸のアルカリ金属塩、カリ明礬及
びアンモニウム明礬より選ばれた無機化合物 (E)成分の無機化合物は、高温多湿下に移管後の紫外
線硬化型インクの転移性、密着安定性を向上させる。紫
外線硬化型インキの転移性、接着性を向上させるために
配合される(E)成分の燐酸のアルカリ金属塩、カリ明
礬及びアンモニウム明礬より選ばれた無機化合物(複水
塩)としては、ピロ燐酸ソーダ(Na42 7 ・10
2 O)、トリポリ燐酸ソーダ(Na5 3 10・6H
2 O)、第一燐酸ソーダ(NaH2 PO4 ・2H
2 O),、カリ明礬(KAl(SO4 2 ・12H
2 O)、アンモニウム明礬(Al(NH4 )(SO4
2 ・12H2O)等を挙げることができる。無機化合物
(複水塩)の中でも、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウ
ム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水酸化バ
リウム、メタ珪酸ナトリウムを使用する場合は風解性が
あり、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムを使用する
場合は潮解性があり、塗工剤を塗布した印刷フィルムの
長期保管が困難である。
【0033】塗工剤の組成は次の通りである。 (A)水溶性の窒素含有アクリル系ポリマー100重量
部に対し、(B)変性エチレンイミン系重合体を2〜6
0重量部、好ましくは5〜30重量部、(C)ポリアミ
ンポリアミドのエチレンイミン付加物20〜100重量
部、好ましくは25〜70重量部、(D)ポリアミンポ
リアミドのエピクロルヒドリン付加物4〜150重量
部、好ましくは、60〜120重量部、(E)燐酸のア
ルカリ金属塩、カリウム明礬及びアンモニウム明礬より
選ばれた無機塩0〜60重量部、好ましくは2〜30重
量部、である。但し、(B)成分と(C)成分の重量比
(B/C)は、0.1〜0.6、好ましくは0.2〜
0.5の範囲であり、(B)成分と(C)成分をこの割
合で併用しないと、印刷版汚れや印刷フィルムの白地部
分の汚れの原因となる。
【0034】(B)、(C)および(D)は、プライマ
ー層の樹脂フィルムへの密着性、インクの密着性、耐熱
性に寄与する。(B)、(C)および(D)成分の和
は、(A)成分100重量部に対しプライマー層の帯電
防止性を発揮させる面から250重量部以下、好ましく
は200重量部以下とするのがよい。(E)成分を配合
するときは、UVインクの塗工層への密着性から60重
量部以下とする。塗工剤は、上記(A)、(B)、
(C)、(D)および(E)成分以外に、水、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶
剤、界面活性剤、水溶性重合体、を含有させることもで
きる。
【0035】この塗工剤は、通常、固形分量が一般に
0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の濃
度の水溶液として用いられる。また、熱可塑性樹脂フィ
ルムへの塗布量は、固形分量で一般に0.005〜10
g/m2 、好ましくは0.01〜5g/m2 の範囲であ
る。プライマーの塗布方法としては、ロール、ブレー
ド、エアーナイフ、サイズプレス等の通常の塗布方式を
採用することができる。 〔III〕 印刷 このようにして得られる熱可塑性樹脂フィルム層(基材
層)の表面にプライマー層が形成された印刷用の熱可塑
性樹脂フィルムは、溶剤型オフセット印刷、グラビア印
刷、フレキソ印刷は勿論のこと、UVオフセット印刷
(紫外線硬化型オフセット印刷)も可能である。
【0036】
〔合成紙の製造例〕
製造例1 メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のポ
リプロピレンに、平均粒径1.5μmの重質炭酸カルシ
ウム16重量%を配合した組成物(C’)を、270℃
に設定した押し出し機にて混練した後、シート状に押し
出し、冷却装置にて冷却して無延伸シートを得た。
【0037】このシートを140℃の温度に加熱した
後、縦方向に5倍延伸した。 MFRが4.0g/m2 のポリプロピレン50重量%
とマレイン酸変性ポリプロピレン5重量%と平均粒径
1.5μmの炭酸カルシウム45重量%とを混合した組
成物(A’)を270℃に設定した押し出し機により溶
融混練したものと、MFRが4.0g/m2 のポリプロ
ピレン55重量%と平均粒径1.5μmの炭酸カルシウ
ム45重量%を混合した組成物(B’)を270℃に設
定した別の押し出し機で溶融混練したものをダイ内で積
層し、この積層物を(A’)が外側となるように上記
にて得られた縦5倍延伸シートの両面に共押し出しして
5層積層物(A’/B’/C’/B’/A’)を得た。
次いでこの5層積層物を155℃に加熱した後、横方向
に7.5倍の延伸を行って、5層積層フィルム(肉厚3
0μm.3μm.64μm.3μm.30μm)を得
た。
【0038】製造例2 合成紙の製造例1におけるA’の組成中のMFRが4.
0g/m2 のポリプロピレンをMFRが10g/10分
のエチレン−プロピレンランダム共重合体に変更する以
外は、製造例1と同様にして5層積層物を得た。 製造例3 合成紙の製造例1におけるA’の組成をMFRが4.0
g/m2 のポリプロピレンに変更する以外は製造例1と
同様にして5層積層物を得た。
【0039】〔塗工剤〕 (A)第四級窒素含有アクリル系樹脂 (A−1)三菱化学(株)製商品名「サフトマー・ST
−3200」を用いた。このものは、次の一般式で示さ
れる基を分子鎖に含むアクリル酸アルキルエステル系重
合体である。
【0040】
【化11】 (A−2)三菱化学(株)製商品名「サフトマー・ST
1100B」を用いた。 (B)変性エチレンイミン系重合体 (B−1)アルキル変性エチレンイミン系重合体 攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備え
た四つ口フラスコ内に、日本触媒(株)製ポリエチレン
イミン”エポミン P−1000”(商品名;重合度1
600)の25重量%水溶液100部、n−ブチルクロ
ライド10部及びイソプロピルアルコール10部を入れ
て、窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性
反応を行なって20.8重量%濃度のブチル変性ポリエ
チレンイミン水溶液を得た。
【0041】(B−2)アリル変性エチレンイミン系重
合体 上記B−1の製造において、n−ブチルクロライド10
部の代わりに、アリルクロライド13重量部を用いた以
外は、同様に実施して、濃度19.5%のポリマー水溶
液を得た。 (B−3)シクロペンチル変性エチレンイミン系重合体
の製造 上記B−1の製造において、n−ブチルクロライド10
部の代わりに、シクロペンチルクロライド13重量部を
用いた以外は、同様に実施して、濃度19.5%のポリ
マー水溶液を得た。 (C)ポリアミン・ポリアミドのエチレンイミン付加物 ポリアミン・ポリアミドのエチレンイミン付加物25重
量%水溶液(BASF製、商品名「ポリミンSN」)を
用いた。
【0042】(D)ポリアミンポリアミド・エピクロル
ヒドリン付加物 大日本インキ化学工業(株)製商品名「WS−570」
を用いた。 (E)無機化合物 無機化合物として、ピロ燐酸ソーダ、カリ明礬、アンモ
ニウム明礬、炭酸ソーダ又は硫酸ソーダを用いた。 〔評価方法〕紫外線硬化型インクのインキ転移性及びイ
ンキ接着性については、以下に示す測定方法によって評
価した。
【0043】(1)インク密着性の測定 プライマー塗工剤の塗布されたポリプロピレン樹脂フィ
ルムを40℃の温度、相対湿度80%の雰囲気下に3日
間保管した後、紫外線硬化型インク(東華色素化学工業
(株)製、ベストキュアー−161;商品名)をRIテ
スター(明製作所製)で約1.5g/m2 となるように
展色し、80W/cmのアイアグラフィック(株)のメ
タルハライドランプ灯1本の下10cmの所を、10m
/分の速度で1回通過させて照射することによって乾燥
した後、その印刷面にニチバン(株)製の粘着テープ商
品名「セロテープ LP−24」を張り付け、玉状にし
たガーゼで軽く押しながら5回擦り、素早くテープを剥
離してインキ接着性を評価した。インクの密着性を次の
5段階で評価した。 5;全くインクが剥離しない(実用上問題ない)。 4;僅かな部分のインクが剥離した(実用上問題な
い)。 3;剥離部分が25%以下であった(実用上問題な
い)。 2;剥離部分が25〜50%程度であった(実用上やや
問題あり)。 1;剥離部分が50%以上であった(実用上問題あ
り)。
【0044】(2)インク転移性の測定 プライマー塗布剤の塗布された合成紙を40℃の温度、
相対湿度80%の雰囲気下に保管した後、RIテスター
(明製作所製)にて紫外線硬化型インク(東華色素化学
工業(株)製L−カートン(墨))を1.5g/m2
なるよう展色し、前記同様メタルハライドランプにて照
射乾燥させた。その後マクベス濃度計(米国コルモーゲ
ン社製)にて光反射濃度(マクベス濃度)を測定し、展
色面に塗布筋、白抜け等の転移不良がないかどうかを目
視にて観察し、次の5段階にて評価した。 5;大変良い。 4;良い。 3;転移インキの色が薄いが実用上支障がない。 2;転移インキの色が薄く塗布筋が見える(実用上問題
あり)。 1;ほとんど転移しない(実用上問題あり)。
【0045】(3)UVオフセット印刷時の地汚れ(白
紙部分にインク付着、及び刷版の感脂化)の測定 プライマー塗布剤の塗布されたポリプロピレン樹脂フィ
ルムを高速度小型オフセット印刷機(ハマダ612C
D;ハマダ印刷機(株)社製)にて2000枚印刷した
後、刷版及びフィルムの印刷面白紙部分の状態を目視に
て観察し、次の3段階にて評価した。 3;刷版、フィルム共に白紙部のインク付着なし(実用
上問題なし)。 2;刷版のみ白紙部にインク付着あり(実用上問題あ
り)。 1;刷版、フィルム共に白紙部のインク付着あり(実用
上問題あり)。
【0046】(実施例1)プライマー塗工剤水溶液10
0重量部中、各成分の有効成分量(蒸発残査量;固型
分)が下記の配合組成となるように各成分及び水を秤量
し、十分に攪拌してプライマー塗布水溶液を調整した。 成分(A−1) : 0.5重量部 成分(B−1) : 0.1重量部 成分(C) : 0.3重量部 成分(D) : 0.5重量部 成分(E)ピロ燐酸ソーダ : 0.1重量部 これを3ヵ月保管した。
【0047】製造例1の合成紙の両表面をコロナ放電処
理した後、上記プライマー塗工剤溶液を両表面に、蒸発
残査量が片面で0.06g/m2 となるようにロールで
塗布し、65℃の温度で乾燥して皮膜を形成せしめ、巻
き取った。得られたフィルムの紫外線硬化型インキによ
るインキ転移製及びインキ接着性は、表1に示すよう
に、高温、多湿下でも実用上問題のないレベルであり、
印刷版汚れもなかった。また、23℃、30%相対湿度
下での表面固有抵抗値の変化を測定し、その結果を表1
に示す。
【0048】(実施例2〜13、比較例1〜11)表
1、表2及び表3に示す合成紙、塗工剤を用いる他は実
施例1と同様にして評価した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、高温、多
湿下の夏期においても紫外線硬化型インクの転移性、密
着性に優れ、地汚れのない印刷性に優れた熱可塑性樹脂
フィルムを提供することができた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの表面に、(A)
    水溶性の窒素含有アクリル系ポリマー100重量部に対
    して、(B)下記式(I)で示される変性エチレンイミ
    ン系重合体2〜60重量部、(C)ポリアミンポリアミ
    ドのエチレンイミン付加物20〜100重量部および
    (D)ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加
    物40〜150重量部を配合してなる塗工剤層が形成さ
    れている、印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルム〔但
    し、(B)成分と(C)成分の重量比(B/C)は、
    0.1〜0.6である。〕。 【化1】 (式中R1 〜R4 はそれぞれ独立に、H、炭素数が1〜
    24のアルキル基若しくはアルケニル基、脂肪族環状炭
    化水素基又はベンジル基であり、その内の少なくとも一
    つはH以外の基を表わし、mは0〜300、n、p及び
    qはそれぞれ1〜300の数値で表わす。)
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂フィルムの表面に、(A)
    水溶性の窒素含有アクリル系ポリマー100重量部に対
    して、(B)アルキル変性又はアリル変性エチレンイミ
    ン系重合体2〜60重量部、(C)ポリアミンポリアミ
    ドのエチレンイミン付加物20〜100重量部、(D)
    ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物40
    〜150重量部および(E)燐酸のアルカリ金属、カリ
    ウム明礬及びアンモニウム明礬より選ばれた無機塩2〜
    60重量部の割合で配合された塗工剤層が形成されてい
    る、印刷性の優れた熱可塑性樹脂フィルム〔但し、
    (6)成分と(C)成分の重量比(B/C)は、0.1
    〜0.6である。〕。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000046280A1 (fr) * 1999-02-05 2000-08-10 Yupo Corporation Film de resine thermoplastique presentant une aptitude a l'impression satisfaisante

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WO2000046280A1 (fr) * 1999-02-05 2000-08-10 Yupo Corporation Film de resine thermoplastique presentant une aptitude a l'impression satisfaisante

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