JPH10109159A - 雰囲気ろう付け方法 - Google Patents

雰囲気ろう付け方法

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JPH10109159A
JPH10109159A JP26563296A JP26563296A JPH10109159A JP H10109159 A JPH10109159 A JP H10109159A JP 26563296 A JP26563296 A JP 26563296A JP 26563296 A JP26563296 A JP 26563296A JP H10109159 A JPH10109159 A JP H10109159A
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JP
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brazing
brazed
atmosphere
metal coating
work
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JP26563296A
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English (en)
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Isao Matsumoto
勲 松本
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DKK Co Ltd
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Denki Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう材の位置ずれを生じることなく、ろう付
けすべき継手部の空隙へのろう材の流れ込みを良好に行
なわしめることができ、ろう付け欠陥のない高品質のろ
う付け製品を得ることができるような雰囲気ろう付け方
法を提供する。 【解決手段】 被ろう付け部材及びろう付け部材の少な
くとも一方の部材(例えば、羽根6)の表面上にろう材
金属から成るろう材金属被膜14を形成し、被ろう付け
部材及びろう付け部材と共にろう材金属被膜を雰囲気炉
内で所要のろう付け温度に加熱することによりろう材金
属被膜14を溶融させ、この溶融されたろう材金属を継
手部(例えば、第1及び第2の継手部A,B)の空隙内
に流れ込ませて継手部のろう付けを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雰囲気炉を利用し
た加熱によりろう付けを行なう方法(雰囲気ろう付け方
法)に関するものである。また、本発明は、自動変速機
用トルクコンバータの主要構成部材であるポンプインペ
ラー機構部の椀状のケーシング内に複数の羽根及び連結
リングを組付けて雰囲気炉による加熱にてろう付け(雰
囲気ろう付け)を行なう方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】還元性雰囲気に保持された雰囲気炉内で
ろう材を加熱溶融させて部材間の継手部分のろう付けを
行なうようにした従来の雰囲気ろう付け方法にあって
は、線材,板材,或いは粉末材等から成るろう材を被ろ
う付け部材の継手部分の形状に合わせて予め成型してお
き、ろう付け継手部に嵌め込むか或いはこの上に載置し
た状態で加熱溶融させるか、又は粉末材をペースト状に
して継手部に塗布して加熱溶融させるような、いわゆる
「置きろう方式」を採用することが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き従来の置きろう方式では、次のような問題点がある
のが実状である。すなわち、被ろう付け部材とろう付け
部材と継手部の近傍箇所の形状によっては(例えば、こ
れら両部材が複雑形状の場合等)、継手部にろう材を嵌
め込むことが困難であったり、或いはその作業が極めて
面倒である等の問題点がある。
【0004】また、成形された板状或いは線状のろう材
を単に被ろう付け部材上に載せて被ろう付け部材を高周
波誘導加熱する場合には、被ろう付け部材及びろう付け
部材の形状によっては、非常に不安定となり、ろう材が
定位置からずれ易く、継手部に対する相対位置が変化し
てしまう不具合がある。このような事態を生じると、溶
融されたろう材の流れが不均一となり、継手部の空隙に
ろう材が流れ込まない部分が生じ、ろう付け欠陥を生じ
易い。また、粉末状のろう材をペースト状にして継手部
の近傍箇所に塗布する場合には、その塗布量が一定とな
らないので、ろう材の流れ不足を防止すべくその塗布量
を過剰にする必要がある。
【0005】上述した不具合は、複数のろう付け箇所を
有する部品、例えば自動変速機用トルクコンバータの主
要構成部材であるポンプインペラー機構部の30余枚の
羽根を椀状のケーシングにろう付け加工するような場合
において大きな問題点となり、ろう材の流れ不良を生ず
る箇所が発生するおそれが多分にある。その上、従来の
雰囲気ろう付け方法では、ろう材のセッティングに時間
を要し、ろう付け作業の能率が極めて悪いという問題点
がある。特に、30余枚の羽根を有するポンプインペラ
ー機構部のように多数箇所のろう付け処理を行なう必要
がある場合には、ろう材をロボット等にて自動供給した
としても、セッティングに要する時間が長くなってろう
付け作業能率が低くなってしまうのが実状である。な
お、ペースト状のろう材を使用する場合が最もセッティ
ング時間を要する。
【0006】さらに、このような問題点に加えて、従来
の雰囲気ろう付け方法では、ろう材の成形加工費が高く
つくという問題点もある。すなわち、線材から成るろう
材をリング加工する時にはその加工作業の自動化は容易
であるが、複数個を同時に加工することができない。従
って、加工能率が悪く、製作コストが高くなる。また、
板状のろう材のリング加工は複数個同時に行なうことが
できるが、端材が発生する。この端材は廃棄処分となる
ため、材料費が高くつこととなる。
【0007】以上述べたリング加工はろう付けすべき継
手部の形状が単純な円形状の場合であり、継手部の形状
が複雑な場合にはろう材の成形加工費はより高くなる。
また、ろう材を粉末とした場合には、ペースト状にする
必要があるため、より割高となる。さらに、粉末材でも
酸化し易い金属、例えば銅材はその保管に注意を要し、
還元性雰囲気に加えてフラックスを併用してろう付けし
なければならない場合がある。
【0008】このように、従来の方法では、ろう付け作
業に関する生産性,経済性及び信頼性等の観点から不満
足な点が多々あるのが実状である。
【0009】本発明は、このような実状に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、ろう材の位置ずれを生じ
ることなく、ろう付けすべき継手部の空隙へのろう材の
流れ込みを良好に行なわしめることができ、ろう付け欠
陥のない高品質のろう付け製品を得ることができるよう
な雰囲気ろう付け方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、還元性ガス雰囲気に保持された雰囲
気炉内に、被ろう付け部材とこの被ろう付け部材にろう
付けされるろう付け部材とを互いに組付けて成るワーク
を収容配置し、前記雰囲気炉内で前記ワークを加熱する
ことにより前記被ろう付け部材とろう付け部材との間の
継手部をろう付けするようにした雰囲気ろう付け方法に
おいて、前記被ろう付け部材及びろう付け部材の少なく
とも一方の部材の表面上にろう材金属から成るろう材金
属被膜を形成し、前記被ろう付け部材及びろう付け部材
と共に前記ろう材金属被膜を前記雰囲気炉内で所要のろ
う付け温度に加熱することにより前記ろう材金属被膜を
溶融させ、この溶融されたろう材金属を前記継手部の空
隙内に流れ込ませて前記継手部のろう付けを行うように
している。
【0011】また、本発明では、還元性ガス雰囲気に保
持された雰囲気炉内に自動変速機用トルクコンバータの
ポンプインペラー機構部を収容配置し、前記雰囲気炉内
で前記ポンプインペラー機構部を加熱することにより、
前記ポンプインペラー機構部の椀状のケーシングとこの
ケーシング内の円環状領域において等角度間隔をもって
配置された複数の羽根との間の第1の継手部、及び、前
記複数の羽根とこれらの羽根を互いに位置決めして連結
する連結リングとの間の第2の継手部にそれぞれ流し込
んでろう付けを行なうようにした雰囲気ろう付け方法に
おいて、前記ケーシング,羽根及び連結リングのうちの
少なくとも1部材の表面上にろう材金属から成るろう材
金属被膜を形成し、前記ろう材金属被膜を前記ケーシン
グ,羽根及び連結リングと共に前記雰囲気炉内で所要の
ろう付け温度に加熱することにより前記ろう材金属被膜
を溶融させ、この溶融されたろう材を前記第1及び第2
の継手部の空隙に流れ込ませて前記第1及び第2の継手
部のろう付けを行なうようにしている。
【0012】また、本発明では、前記ろう材金属被膜を
めっき法或いはその他の金属被覆法にて形成するように
している。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。なお、本実施例においては、本
発明に係るろう付け方法を使用することにより、自動車
用自動変速機用のトルクコンバータ1の主要構成部材で
あるポンプインペラー機構部2の製造(銅ろう付け)を
行なうようにしている。
【0014】図1〜図3はポンプインペラー機構部(羽
根車)2の組立完成品を示すものであって、このポンプ
インペラー機構部2は、一端側に開放口3を有しかつ他
端側の中心部に開孔4を有する椀状のケーシング5と、
このケーシング5の内部の円環状領域において等角度間
隔をもって配設された軟鋼製の複数枚(例えば,32
枚)の羽根6と、これらの羽根6の上部を互いに連結す
る位置決め兼補強用の連結リング7とから構成されるも
のである。上述の羽根6には図2に示すように3つの突
起8,9及び10が一体成形されており、これらのうち
の片側の一対の突起8,9がケーシング5の径方向の2
箇所に形成された凹部11,12にそれぞれ係合された
状態で、各羽根6の一端面6aがケーシング5に当接配
置されている。そして、羽根6の他端面6bの中間箇所
に一体成形された突起10が、前記連結リング7の孔部
13にそれぞれ挿入配置された状態となされている。こ
れにより、複数枚の羽根6は、ケーシング5の所定位置
に位置決めされてこのケーシング5と連結リング7との
間に一体に組付けられると共に(図2及び図3参照)、
ケーシング5の径方向に対して所定の角度に傾斜された
状態で配設されてろう付けされるようになっている(図
1参照)。
【0015】なお、図2及び図3において、Aは羽根6
とケーシング5とが互いに銅ろう付けにて結合される第
1の継手部であり、Bは羽根6と連結リング7とが互い
に銅ろう付けにて結合される第2の継手部である。ま
た、図示を省略したが、前記ケーシング5の中央箇所に
は開孔4を閉塞した状態で駆動軸が一体に結合されるよ
うになっている。
【0016】本発明の第1実施例においては、ろう付け
作業の前に、被ろう付け部材である羽根6の全表面がめ
っき法や溶射法等の金属被覆法によりろう材金属である
銅材にて予め被覆されるようになっており、所要膜厚の
銅材金属被膜(ろう材金属被膜)14が図4に示すよう
に羽根6の全表面上に形成されている。なお、この銅材
金属被膜14の形成方法は、通常の電気めっき法、溶融
めっき法、機械めっき法等の各種のめっき法であっても
よく、また還元材と共に銅材を溶射するような一般的な
溶射法であってもよい。なお、本例では、羽根6のみに
銅材金属被膜14を予め形成し、その他の部材すなわち
ケーシング5及び連結リング7には銅材金属被膜14を
形成しないようにしている。
【0017】また、図5は、ポンプインペラー機構部2
のケーシング5内に複数の羽根6及び連結リング7を組
込んで雰囲気ろう付け方法を施行するために用いられる
還元ガス雰囲気炉20を示している。この雰囲気炉20
は、通常のメッシュベルトコンベア型加熱炉であり、加
熱室21、冷却室22、雰囲気ガス供給装置23、メッ
シュベルトコンベア24、及びコンベアベルト駆動部2
5にて構成されている。そして、雰囲気炉20の内部は
気密が保たれて還元性ガス雰囲気となされており、この
雰囲気中に発熱体や炉材がさらされている。なお、雰囲
気炉20の入口及び出口は、雰囲気ガス自身で燃焼する
フレームカーテンにて仕切られており、これにより炉内
への外部空気の侵入が防止されるようになっている。
【0018】次に、上述の如き雰囲気炉20を用いてポ
ンプインペラー機構部2の組立作業(ろう付け作業)を
行なう際の手順及び動作について説明する。
【0019】(1) まず、トルクコンバータ1のポン
プインペラー機構部2の構成部材であるケーシング5の
内面上に、所要膜厚の銅材金属被膜14が予め形成され
た複数の羽根6を所定位置に載置してケーシング5の係
合凹部11,12内に各羽根6の突起8,9をそれぞれ
係合させた状態で組付ける。しかる後に、連結リング7
の孔部13に各羽根6の突起10を嵌着させた状態でこ
の連結リング7を複数の羽根6の上部箇所に配置する。
これにより、複数の羽根6をケーシング5と連結リング
7との間に位置決めされた状態で組付けて図2に示すよ
うなワーク(組立体)Wを得る。
【0020】(2) 次に、このワークWを雰囲気炉2
0のメッシュベルトコンベア24の上に載置し、これに
同期してコンベアベルト駆動部25を作動状態にする。
これに伴い、メッシュベルトコンベア24を駆動せしめ
て、メッシュベルトコンベア24上のワークWが雰囲気
炉20の入口から炉内に搬入する。この際、ワークWは
還元ガス雰囲気中の加熱室21を所定速度で通過すると
きに、所要のろう付け温度に昇温されると共にそのろう
付け温度に保持加熱される。これに応じて、各々の羽根
6の表面に予め形成されている銅材金属被膜14が加熱
溶融されて羽根6の表面上を上下両方向に向けて流れ
(下方へは重力及び継手部Aの空隙部分の毛管作用によ
り、また上方へは継手部Bの空隙部分の毛管作用により
流れる)、銅から成るろう材14が図6に示すように継
手部A,Bの両部に集まる。かくして、図6に示すよう
に、羽根6とケーシング5との継手部Aの空隙に溶融状
態の銅材がろう材として流れ込むと共に、羽根6とケー
シング5とによって形成された角部の円環状領域にろう
材が盛り付けられて盛り上がり部4aが形成される。一
方、羽根6と連結リング7との継手部Bの空隙に溶融状
態の銅材がろう材として流れ込むと共に、羽根6と連結
リング7とによって形成された角部の円環状領域にろう
材が盛り付けられて盛り上がり部14bが形成される。
これらの盛り上がり部14a,14bは余盛(補強)と
しての機能を果たすこととなる。
【0021】(3) しかる後に、所要のろう付け温度
に設定されたワークWは加熱室21から冷却室22内へ
搬送させ、ここで常温まで冷却させる。
【0022】(4) この後、冷却されたワークWは、
ろう付けが完了した製品(ポンプインペラー機構部2)
として雰囲気炉20の出口から排出させ、一連のろう付
け作業を完了する。
【0023】このような本例のろう付け方法を使用した
場合には、被ろう付け部材である羽根6の表面上にろう
材金属から成る堅固に密着した銅材金属被膜14を形成
するようにしているので、ろう材は安定した状態を保つ
ことができると共にそのろう材量も一定に設定すること
が可能であり、従ってろう材金属はろう付けすべき第1
及び第2の継手部A,Bの空隙に良好に流れ込ませるこ
とができ、ろう付け欠陥の発生のない理想的なろう付け
を行なうことができる。さらに、ろう材のセッティング
作業を省略することができるので、ろう付け作業の能率
を向上させることが可能である。また、自動ライン化も
容易に可能となる。
【0024】以下に、上記実施例の具体的な加工条件を
述べる。加工条件の具体例 (2) 羽根の被膜形成条件 〈ア〉 被膜形成方法(被覆方法) : 銅めっき法 〈イ〉 被膜の厚さ(膜厚) : 100μm (3) 雰囲気炉による加熱条件 〈ア〉 昇温時間 : 15分 〈イ〉 保持時間 : 5分 〈ウ〉 加熱温度 : 1150℃ 〈エ〉 冷却時間 : 120分
【0025】以上、本発明の一実施例(第1実施例)に
つき述べたが、本発明はこの実施例に限定されるもので
はなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び
変更が可能である。すなわち、以下に述べる実施例(但
し、図示は省略するが、既述の符号はそのまま使用する
ものとする)においても上述の第1実施例の場合と同様
の作用効果を得ることができる。
【0026】本発明の第2実施例においては、ポンプイ
ンペラ機構部2を構成するケーシング5,複数の羽根6
及び連結リング7の全ての部材の表面上に所要膜厚の銅
材金属被膜(ろう材金属被膜)をそれぞれ形成するよう
にしている。具体的には、本例の場合、複数の羽根6が
組付けられる椀状のケーシング5の内側円環状領域面、
前記複数の羽根6の表面、前記複数の羽根6に対向する
前記連結リング7の羽根接合面(第2の継手部Bの側の
面)に、めっき法又は溶射法によりろう材金属である銅
材にて予め被覆し、所要膜厚の銅材金属被膜14を予め
形成する。
【0027】また、本発明の第3実施例においては、ケ
ーシング5の内側円環状領域面と、連結リング7の羽根
接合面とにのみ同上の銅材金属被膜14を形成するよう
にし、羽根6には銅材金属被膜を形成しないようにす
る。
【0028】また、本発明の第4実施例においては、複
数の羽根6の表面と、連結リング7の羽根接合面とにの
み同上の銅材金属被膜14を形成するようにし、ケーシ
ング5の内側円環状領域面には銅材金属被膜を形成しな
いようにする。
【0029】また、本発明の第5実施例においては、ケ
ーシング5の内側円環状領域面と複数の羽根6の表面と
にのみ同上の銅材金属被膜14を形成するようにし、連
結リング7には銅材金属被膜を形成しないようにする。
【0030】また、本発明の第6実施例においては、複
数の羽根6にそれぞれ形成された突起10を連結リング
7の開孔13に係合させた状態でこれらの部材6,7の
組付けを行なうように構成すると共に、連結リング7に
銅材金属被膜14をろう材金属被膜として形成する場合
(上述の第2,第3及び第4実施例のような場合)に、
連結リング7の羽根接合面及びこの羽根接合面とは反対
側の面の両面に同上の銅材金属被膜14を形成する。
【0031】
【発明の効果】以上の如く、請求項1に記載の本発明
は、被ろう付け部材及びろう付け部材の少なくとも一方
の部材の表面上にろう材金属から成るろう材金属被膜を
形成し、被ろう付け部材及びろう付け部材と共にろう材
金属被膜を雰囲気炉内で所要のろう付け温度に加熱する
ことによりろう材金属被膜を溶融させ、この溶融された
ろう材金属を継手部の空隙内に流れ込ませて継手部のろ
う付けを行うようにした方法であるから、ろう材である
ろう材金属被膜は位置ずれを生じるおそれがなくなり、
しかもろう材金属を一定量に設定することが可能となる
ため、ろう付け欠陥を発生することのない良好なろう付
けを行なうことができる。従って、本発明の雰囲気ろう
付け方法によれば、ろう付け欠陥のない高品質のろう付
け製品を得ることができる。さらに、被ろう付け部材及
びろう付け部材とを互いに組付けるだけでろう材も所定
位置にセッティングされることとなるため、従来のよう
なろう材のセッティング作業を省略することができ、ろ
う付け作業の簡易化及び高能率化を図ることが可能とな
る。
【0032】また、請求項2に記載の本発明は、自動変
速機用トルクコンバータのポンプインペラー機構部を構
成するケーシング,羽根及び連結リングのうちの少なく
とも1部材の表面上にろう材金属から成るろう材金属被
膜を形成し、ろう材金属被膜をケーシング,羽根及び連
結リングと共に雰囲気炉内で所要のろう付け温度に加熱
することによりろう材金属被膜を溶融させ、この溶融さ
れたろう材を第1及び第2の継手部の空隙に流れ込ませ
て第1及び第2の継手部のろう付けを行なうようにした
方法であるから、多数(例えば、30余枚)の羽根をケ
ーシング及び連結リングに同時にろう付けする必要があ
りしかもろう付け箇所が複雑形状であるようなポンプイ
ンペラー機構部の製作にあたって本発明の雰囲気ろう付
け方法を適用すれば、ろう付け欠陥のない信頼性の高い
ポンプインペラー機構部を高能率で製作することができ
る。
【0033】また、請求項3に記載の本発明は、ろう材
金属被膜をめっき法等の金属被覆法にて形成するように
した方法であるから、極めて簡単な作業にて均一な定量
のろう材を被ろう付け部材又はろう付け部材に堅固に被
覆させることができ、経済性及び実用性の点で有益であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るろう付け方法にてろう付けが施さ
れるトルクコンバータのポンプインペラー機構部を示す
平面図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】図1におけるY−Y線拡大断面図である。
【図4】ケーシング及び連結リングにろう付けされる羽
根の断面図である。
【図5】ポンプインペラー機構部の羽根をろう付けする
還元性ガス雰囲気炉の断面図である。
【図6】羽根をろう付けした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ 2 ポンプインペラー機構部 5 ケーシング 6 羽根 7 連結リング 8,9,10 突起 11,12 係合凹部 14 銅材金属被膜(ろう材金属被膜) 14a,14b 盛り上がり部 20 還元性ガス雰囲気炉 21 加熱室 22 冷却室 23 ガス発生器 24 メッシュベルトコンベア 25 コンベアベルト駆動部 A 第1の継手部 B 第2の継手部 W ワーク(組立体)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性ガス雰囲気に保持された雰囲気炉
    内に、被ろう付け部材とこの被ろう付け部材にろう付け
    されるろう付け部材とを互いに組付けて成るワークを収
    容配置し、前記雰囲気炉内で前記ワークを加熱すること
    により前記被ろう付け部材とろう付け部材との間の継手
    部をろう付けするようにした雰囲気ろう付け方法におい
    て、前記被ろう付け部材及びろう付け部材の少なくとも
    一方の部材の表面上にろう材金属から成るろう材金属被
    膜を形成し、前記被ろう付け部材及びろう付け部材と共
    に前記ろう材金属被膜を前記雰囲気炉内で所要のろう付
    け温度に加熱することにより前記ろう材金属被膜を溶融
    させ、この溶融されたろう材金属を前記継手部の空隙内
    に流れ込ませて前記継手部のろう付けを行うようにした
    ことを特徴とする雰囲気ろう付け方法。
  2. 【請求項2】 還元性ガス雰囲気に保持された雰囲気炉
    内に自動変速機用トルクコンバータのポンプインペラー
    機構部を収容配置し、前記雰囲気炉内で前記ポンプイン
    ペラー機構部を加熱することにより、前記ポンプインペ
    ラー機構部の椀状のケーシングとこのケーシング内の円
    環状領域において等角度間隔をもって配置された複数の
    羽根との間の第1の継手部、及び、前記複数の羽根とこ
    れらの羽根を互いに位置決めして連結する連結リングと
    の間の第2の継手部にそれぞれ流し込んでろう付けを行
    なうようにした雰囲気ろう付け方法において、前記ケー
    シング,羽根及び連結リングのうちの少なくとも1部材
    の表面上にろう材金属から成るろう材金属被膜を形成
    し、前記ろう材金属被膜を前記ケーシング,羽根及び連
    結リングと共に前記雰囲気炉内で所要のろう付け温度に
    加熱することにより前記ろう材金属被膜を溶融させ、こ
    の溶融されたろう材を前記第1及び第2の継手部の空隙
    に流れ込ませて前記第1及び第2の継手部のろう付けを
    行なうようにしたことを特徴とする雰囲気ろう付け方
    法。
  3. 【請求項3】 前記ろう材金属被膜をめっき法等の金属
    被覆法にて形成するようにしたことを特徴とする請求項
    1又は2に記載の雰囲気ろう付け方法。
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