JPH10105965A - 磁気記録媒体の製造方法および装置 - Google Patents
磁気記録媒体の製造方法および装置Info
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- JPH10105965A JPH10105965A JP25568896A JP25568896A JPH10105965A JP H10105965 A JPH10105965 A JP H10105965A JP 25568896 A JP25568896 A JP 25568896A JP 25568896 A JP25568896 A JP 25568896A JP H10105965 A JPH10105965 A JP H10105965A
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Abstract
装置において、製造される磁気記録媒体の磁気特性、電
磁変換特性、耐久性を優れたものとする。 【解決手段】 冷却キャン4の下方に、磁性材料10を収
容した蒸発容器11が配設され、この蒸発容器11の周囲に
は磁性材料10を加熱するための高周波誘導加熱コイル12
が配設される。さらに磁性材料10が蒸発して生じる蒸気
流が通過する経路を、その周壁が囲うように蒸気拡散制
御壁15が設けられ、さらに蒸気流が冷却キャンに沿って
搬送されるベースフイルム3に入射する角度を規制する
入射角規制用のマスク13および14が設けられる。さらに
蒸気拡散制御壁15の近傍に酸化性ガスを蒸気流に向けて
吹き付ける第2のガス吹付部16と、入射角規制用のマス
ク14の近傍に酸化性ガスをベースフイルム3に向けて吹
き付ける第1のガス吹付部17を設けて、蒸気流に酸素を
豊富に吹き付けることにより、ベースフイルム3に蒸着
される磁性薄膜の磁気特性等が向上せしめられる。
Description
方法および製造装置に関し、詳細には、磁性材料を加熱
溶融せしめてこれを蒸発させ、その蒸気流をベースフイ
ルム等の可撓性基板上に堆積、成長せしめるいわゆる蒸
着プロセスにより磁気記録層を形成するようにした磁気
記録媒体の製造方法に関するものである。
2 O3 、CoをドープしたFe3 O4、γ−Fe2 O3
とFe3 O4 のベルトライド化合物、Coをドープした
ベルトライド化合物、CrO3 、Baフェライト等の酸
化物磁性体、あるいはFe、Co、Ni等を主成分とす
る合金磁性体等からなる磁性材料の粒子を、添加物とと
もに塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の
高分子バインダー中に分散混合せしめ、この分散混合物
をポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエス
テルやポリプロピレン等のポリオレフィンからなるベー
スフイルム(基板)上に塗布し、その後これを硬化また
は乾燥せしめて製造される、いわゆる塗布型の磁気テー
プが広く知られている。
強くなり、磁気記録媒体の磁性層における磁性材料の高
密度化、保磁力の向上、磁性層の薄膜化、あるいは周波
数特性の短波長側へのシフト化、といった検討が行われ
ている。
バインダーが残存するため、高密度記録に要求される上
述の諸条件を満たすことが困難となってきている。
ンプレーティング等の蒸着法、あるいは電気メッキ、無
電解メッキ等のメッキ法による磁気記録媒体の製造方法
が注目され、種々の提案もなされている。これらの方法
によれば、バインダーを介すことなく磁性材料を直接に
基板上に堆積・成長させて磁性層を形成することができ
るため、磁性層における磁性材料の充填密度を高め、さ
らに磁性層の膜厚も薄くすることができる。
ルム上に形成される膜厚の調整制御が容易であるととも
に、塗布型のテープの製造工程における磁性層塗布液の
調整作業や塗布後の乾燥等の磁性層形成に伴う処理工程
も不要となるなど実用上有用な利点を有する。
方法において必要とされる廃液処理も不要であり、また
堆積した磁性膜の成長速度も早いという利点を有する。
このような蒸着法によってベースフイルム上に形成され
た磁性層を記録層とする磁気テープは、従来の塗布型の
磁気テープに比べて再生出力が格段に大きく、また記録
信号の周波数特性もより短波長側で向上する等、高密度
磁気記録媒体として有用なものとなっている。
には、例えば図2に示す真空蒸着装置1により行うこと
が知られている。図2に示すように、真空蒸着装置1
は、減圧状態とされた真空槽2の内部に、外形が円筒状
で、かつその円筒外周面上にポリエステルフイルム、ポ
リアミドフイルム、ポリイミドフイルム等の非磁性材料
からなる長尺のベースフイルム3を長手方向に巻装する
冷却キャン4を備え、この冷却キャン4は矢印Y方向に
回転して送出し軸5側から巻取り軸6側へと移送される
ベースフイルム3が、その円筒外周面上で搬送される。
ースフイルム3の送出しおよび巻取りを行う巻取り室8
と、ベースフイルム3に磁性材料を蒸着せしめる蒸着室
9とに分割されている。蒸着室9には、冷却キャン4の
図中下方にCoやCoNi合金、CoCr合金、CoC
rNi合金等の蒸発源である磁性材料10を入れた蒸発容
器11が配設され、電子銃加熱、抵抗加熱、高周波誘導加
熱等の加熱手段12により磁性材料10を加熱、蒸発させ
る。蒸発して上昇する蒸気流たる磁性材料10の粒子(磁
性粒子、または蒸発粒子と称する)は、冷却キャン4の
回転に伴なって矢印Y方向に搬送されるベースフイルム
3の表面に連続的に衝突し、そこで冷却されることによ
り沈着し、かくして磁性層が形成される。
く基板上に付着させて蒸着効率を高めるためには、この
蒸発した粒子が広く拡散しないようにすればよく、例え
ば特開昭63- 204513号、特開平2-56730号により開示さ
れた技術によれば、蒸発源と冷却キャンとの間であっ
て、この蒸発した粒子が通過する部分の回りをその周壁
で囲んでその流路を規制するように、例えば、円筒状の
ような蒸気拡散制御壁(蒸気拡散制御手段)15を設けれ
ばよい。なお、このような蒸気拡散制御壁15には、その
内壁面に付着した磁性材料10の蒸発粒子を再蒸発あるい
は凝集回収させるため、または再蒸発と凝集回収とを組
み合わせるために、内壁面の温度を加熱あるいは冷却す
る手段を具備する。
場合、加熱手段として一般に利用される電子銃加熱手段
を用いるのは困難である。すなわち、この場合はその電
子銃から蒸発容器11に入れられた磁性材料10までの電子
ビームの通過軌道を確保する必要があるが、蒸発容器11
の上方に蒸気拡散制御壁15を設けた場合、この電子ビー
ムの通過軌道を確保するのが困難だからである。したが
って通常は加熱手段としては高周波誘導加熱手段を用い
るようにしている。
磁性薄膜の磁気特性、特にその保磁力は、磁性材料10の
蒸気がベースフイルム3に到達したときの、ベースフイ
ルム3となす角度、即ち蒸発容器11内からベースフイル
ム3に向かって飛散する磁性材料10のベースフイルム3
への入射角によって決定される。このため、通常、冷却
キャン4の蒸発容器11側(図中、冷却キャン4の下方)
には、冷却キャン4から所定の距離だけ離間して遮蔽部
材たるマスク13および14が配設され、ベースフイルム3
の搬送方向に対して上流側に位置するマスク13により最
大入射角が、下流側に位置するマスク14により最小入射
角がそれぞれ規制され、磁性材料10の蒸気は、マスク13
および14によって形成される開口部18を通じて、図中に
おいて斜め下方からベースフイルム3の表面に供給され
る。なお入射角とは、ベースフイルム3の表面に垂直な
直線とのなす角度をいう。
に、蒸着に際し酸素を吹き付けることが有効であること
が判明している。この酸素を吹き付ける方式は、通常
は、ベースフイルム3の搬送方向に対して下流側に位置
するマスク14の近傍にガス吹付部17を配設し、酸素ガス
を磁性材料10の蒸発粒子に吹き付けることにより行われ
ている。例えば、特公平2-27732号に開示された技術に
よれば最小入射角近傍から酸素ガスを吹き付けるととも
に、蒸着開始側(最大入射角側)からも不活性ガスを吹
き付けて、磁性材料10の物理的充填率および磁気的充填
率を調整している。
が、磁気記録媒体の耐蝕性を向上させることを目的とし
た場合にも、蒸着中に酸素ガスを系内に吹き付けること
が行われる。例えば、特公平3-19621号に開示された技
術によれば、基板であるベースフイルムの幅方向に配設
した複数個のノズルから酸化性ガスを系内に吹き付け
て、磁性層を構成する元素と反応させて酸化物を合成せ
しめ、この酸化物による酸化膜が腐蝕に対する保護効果
を生じせしめている。
酸素原子が基板から遠ざかるにつれて斬減するように、
最大入射角近傍に酸化性ガスの吹付部を配設し、磁性膜
の厚さ方向における酸素含有量を調整する、という技術
が開示されている。さらに、特開平6-131662 号では、
最大入射角近傍に配設された第1のガス吹付ノズルと、
最小入射角近傍に配設された第2のガス吹付ノズルと、
第1,第2のガス吹付ノズルの間に配設された第3のガ
ス吹付ノズルとから、それぞれ酸化性ガス、または酸化
性ガスと不活性ガスとの混合ガスを吹き付け、効果的に
磁性膜の酸化を促進する技術が提案されている。
吹き付けながら磁性材料を基材上に斜め蒸着することに
より、耐久性が優れ、磁気特性、電磁変換特性の良好な
磁気記録媒体を得ることが行われている。
ス、酸化性ガスまたは酸化性ガスと不活性ガスとの混合
ガスを吹き付けながら蒸着を行って磁気記録媒体を製造
するとき、この吹き付けるガスの吹付量およびその吹付
位置によっては、ベースフイルム上に蒸着された磁性材
料の薄膜の保磁力が低下する場合があることが本願出願
人らの研究により新たに見出だされた。特に、最大入射
角側では成膜速度が遅いため、蒸着する磁性粒子量に対
して吹き付けられるガス量が多すぎると、このガスが磁
性膜中に取り込まれにくくなり、酸化性ガスがベースフ
イルムの表面上に残存して蒸発源から蒸発してくる磁性
材料の粒子と衝突し、その結果、この磁性粒子がベース
フイルムに到達するのが妨害され、磁性膜における磁性
粒子の充填密度が減少して保磁力が低下する原因となる
ことが判明した。また磁性粒子の指向性が悪くなり、角
型比が低下することも判明した。
って、磁性膜中への酸素の吹き付けを効率的に行うこと
により、磁気特性、電磁変換特性、耐久性に優れた磁気
記録媒体を製造する方法および装置を提供することを目
的とする。
体の製造方法および装置は、係る目的のためになされた
ものであり、真空雰囲気中で、長尺の可撓性基板を搬送
するとともに、前記基板が搬送される経路の下方に配設
された磁性材料からなる蒸発源を加熱して、前記磁性材
料を蒸発せしめ、前記蒸発源と前記可撓性基板との間に
設けた、前記磁性材料の蒸発によって生じる蒸気流の拡
散方向を規制制御する蒸気拡散制御手段中を通過させる
とともに、前記蒸気流の前記可撓性基板への入射角度を
規制する入射角規制手段を設けて前記蒸気流の指向性を
制御しつつ、該蒸気流を前記可撓性基板表面に蒸着させ
て、磁性薄膜を形成せしめる磁気記録媒体の製造方法に
おいて、前記可撓性基板に付着しつつある前記蒸気流に
向けて、少なくとも酸化性のガスを含むガスを吹き付け
るとともに、前記蒸気拡散制御手段から前記可撓性基板
へ向けて飛散する前記蒸気流に向けて、少なくとも酸化
性のガスを含むガスを吹き付けることにより、前記磁性
薄膜中の深さ方向の酸素含有量を制御することを特徴と
する磁気記録媒体の製造方法により達成される。
板を搬送する搬送手段と、前記基板が搬送される経路の
下方に配設された磁性材料からなる蒸発源を加熱蒸発さ
せる蒸発手段と、前記蒸発源と前記可撓性基板との間に
配置されて、前記蒸発源から蒸発した蒸気流の拡散方向
を規制制御する蒸気拡散制御手段と、前記蒸気流の前記
可撓性基板への入射角度を規制する入射角規制手段とを
備え、前記可撓性基板上に前記蒸気流を蒸着させて磁性
薄膜を形成せしめる磁気記録媒体の製造装置において、
前記可撓性基板表面と前記入射角規制手段との間から、
前記蒸気流に向けて、少なくとも酸化性のガスを含むガ
スを吹き付ける第一のガス吹付手段と、前記蒸気拡散制
御手段の、前記可撓性基板側に対向した開口部直上の前
記蒸気流の向けて少なくとも酸化性のガスを含むガスを
吹き付ける第二のガス吹付手段とを備えたことを特徴と
する磁気記録媒体の製造装置により達成される。
れたものをいうが、本明細書においては、説明の便宜
上、この蒸発源である磁性材料を収容してなる蒸発容器
を含めて蒸発源ということがあるものとする。また、酸
化性ガスを含むガスとは、酸素ガス、酸化性ガスまたは
酸化性ガスと不活性ガスとの混合ガスのような酸化性ガ
スを含むガスを指し、以下、単にガスと称することがあ
る。
付量v2 (cc/分)は、基板表面に向けて吹き付けるガ
スの吹付量v1 (cc/分)より小さい方がよく、その容
量の比の値v2 /v1 は詳細は後述するが0.05以上0.55
以下となるように設定することが望ましく、さらには0.
10以上0.50以下となるように設定するのが再生出力を向
上させるうえで、より望ましい。なお、v1 およびv2
の量は、基板の幅 100(mm)当たり、かつ搬送速度20
(m/分)当たり、 100〜500 (cc/分)の範囲内から
設定するのが好ましい。なお、ここでいうガスの体積は
通常の大気圧下での換算値である。
の近傍からガスを吹き付ける際は、蒸気流が基板に入射
する入射角が最小となる側から吹き付けるのが望まし
い。これは、最小入射角側は最大入射角側よりも磁性粒
子の基板上への堆積速度が速いため、吹き付けられるガ
スが多い場合にも、そのガスによって磁性粒子の基板上
への堆積が阻害されることが少なく、またガスを効率的
に膜中に吹き付けやすいからである。
る装置は、真空雰囲気中で長尺の可撓性基板を搬送する
搬送手段と、前記基板が搬送される経路の下方に配設さ
れた磁性材料を収めた蒸発源と、蒸発源を加熱して磁性
材料を蒸発せしめる加熱手段と、搬送される前記可撓性
基板の近傍に、磁性材料の蒸発により生じる蒸気流が基
板に入射する入射角度をに規制する入射角度規制部材と
を備え、基板を搬送しつつ基板に磁性材料を蒸着せしめ
ることにより基板上に磁性薄膜を形成せしめる磁気記録
媒体の製造装置であって、蒸発源と前記可撓性基板との
間に、前記蒸気流を通過させるとともに所定の範囲をそ
の拡散方向を規制制御する蒸気拡散制御壁等からなる蒸
気拡散制御手段と、前記可撓性基板表面近傍より前記可
撓性基板に蒸着される蒸気流に向けて、酸化性ガスを含
むガスを吹き付ける第1のガス吹付部と、蒸気拡散制御
手段の近傍に設けられた、蒸気拡散制御手段を通過した
蒸気流に向けて、酸化性ガスを含むガスを吹き付ける第
2のガス吹付部とを備えたことを特徴とするものであ
る。
に設けられた第1のガス吹付部からガスを吹き付ける際
は、蒸気流が基板に入射する入射角が最小となる側から
吹き付けるのが望ましい。これは、最小入射角側は最大
入射角側よりも磁性粒子の基板上への堆積速度が速いた
め、吹き付けられるガスが多い場合にも、そのガスによ
って磁性粒子の基板上への堆積が阻害されることが少な
く、またガスを効率的に膜中に吹き付けやすいからであ
る。
加熱手段を適用するのが望ましい。これは、加熱手段と
してはこの高周波誘導加熱手段のほか、電子ビーム加熱
手段を使用することもできるが、電子ビーム加熱手段を
使用した場合には、電子ビーム加熱手段から出射された
電子ビームを蒸発源に導くための通路を確保する必要が
ある。このような通路は、蒸気拡散制御手段の側壁に設
け、あるいは蒸気拡散制御手段と蒸発源との間に設ける
こととなるが、この通路を設けることにより、蒸気流
(蒸発粒子)の拡散を規制・制御するという蒸気拡散制
御手段の作用の効率が低下することとなるからである。
一方、高周波誘導加熱手段を使用した場合にはそのよう
な通路を要しないため、蒸気拡散制御手段の作用の効率
が低下することはなく、この点で高周波誘導加熱手段を
用いるのが好ましい。
段の上方であって蒸気流の周囲を囲むように配設され、
そのガス吹付方向は、蒸気拡散制御手段の開口部を通過
した蒸気流の蒸発方向に対して略直角方向から略平行方
向までの範囲の方向とするのが望ましい。さらに第2の
ガス吹付部は、蒸気拡散制御手段と基板との間に、蒸気
流の蒸発方向に沿って多段階的に複数設けた構成を採用
することもできる。
方法および装置によれば、加熱手段によって磁性材料か
らなる蒸発源が加熱されて磁性材料は蒸発し蒸気流を生
じる。この蒸気流は上方向を含み広く拡散するが、所定
の範囲を超えて広く拡散する蒸気流の磁性粒子は、蒸発
源の直上に設けられた、例えば円筒状のような蒸気拡散
制御手段の内壁面に付着する。この内壁面に付着した磁
性粒子は凝集して蒸発源に回収されたり、再蒸発した
り、また凝集回収と再蒸発が同時に生じたりしている。
流はさらに上昇するが、蒸気拡散制御手段の近傍(第2
のガス吹付部)からこの蒸気流に向けてガスを吹き付け
ることによって、この蒸気流中に豊富な量の酸化性ガス
が取り込まれ、このようにガスが取り込まれた蒸気流は
さらに上昇して入射角度規制部材にまで達する。
はこの入射角度規制部材により規制された角度の範囲内
で、搬送される基板の表面に衝突し、沈着する。このと
き入射角度規制部材の近傍からはガスが基板に吹き付け
られ、これにより蒸気流中にさらに多くのガスが取り込
まれ、蒸着された磁性膜中に効率良く酸素が取り込まれ
る。
が取り込まれることにより、磁気特性、電磁変換特性お
よび耐久性の優れた磁気記録媒体を作成することができ
る。また、磁性膜の厚さ方向における略中央部の酸素濃
度の絶対値を高めることもできる。さらにこの第2のガ
ス吹付部に加えることによって、蒸気流に吹き付けられ
る酸化性ガスの総量を変えることなく、マスク(入射角
規制手段)近傍の第1のガス吹付部からの酸化性ガスの
吹付量を少なくすることができ、これにより蒸気流の蒸
着がこの基板近傍から吹き付けられる酸化性ガスにより
妨げられるのを低減させることができる。
方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の磁気記録媒体製造方法を実施するための
製造装置である真空蒸着装置の一実施形態の概略構成を
示すものである。
に、円筒状の冷却キャン4を備え、この冷却キャン4の
円筒面(外周面)には、磁気記録媒体の基板としてのベ
ースフイルム3が巻装される。ベースフイルム3は、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナ
フタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン、三酢酸セルロースや二酢酸セルロース等の
セルロース誘電体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、
ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルフ
ァイド等のプラスチックを長尺フイルム状に加工したも
のであり、その厚さは例えば3〜100 μmのものが使用
される。
要に応じてアンダーコートが施される。アンダーコート
はバインダー(メチルセルロース等のセルロース類、P
ET等の飽和ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリアミ
ド、ポリアクリレート等)とフィラー(シリカ、チタニ
ア、アルミナ、炭酸カルシウム等)を溶解して塗布した
表面突起を有するものであり、その高さは5〜30nmで、
密度500 万〜10000 万個/mm2 の突起を有するものであ
る。この高さ、密度は要求される密着性能等により適宜
選択しうる。
放電処理やイオン照射処理、熱処理、薬品処理等の前処
理を施してもよい。
ャン4の円筒面を介して巻取り軸6に掛け渡され、冷却
キャン4が矢印Y方向に回転することにより冷却キャン
4の円筒面上を例えば10〜100 m/分の速度で搬送さ
れ、巻取り軸6に巻き取られる。冷却キャン4は、内部
に冷却水、その他の冷媒を循環させた構造であり表面温
度は例えば−35〜+25℃に維持されている。
フイルム3の送出しおよび巻取りを行う巻取り室8と、
ベースフイルム3に磁性材料を蒸着する蒸着室9とに仕
切られている。巻取り室8と蒸着室9とは、各別に減圧
のための排気系(図示せず)を備え、各室内の圧力は各
別に調整可能である。特に蒸着室9は、真空槽2の外部
から後述のガスが吹き付けられるため、室内の圧力およ
び各種残留ガスの分圧が詳細は図示しない調整手段によ
って常時調整される。
に対する既述の前・後処理のための装置、例えば、グロ
ー放電処理装置、イオン照射処理装置、熱処理装置、C
VD処理装置等を配設してもよい。また、冷却キャン4
は円筒状に限るものではなく、蒸発容器11に対して所定
の斜面を形成し得るエンドレスベルト状の金属板であっ
てもよい。
性材料10を収容した蒸発容器11が配設され、この蒸発容
器11の周囲には、磁性材料10を加熱するための、内部を
冷却水が循環する管状構造の高周波誘導加熱コイル12が
配設されている。さらに、高周波誘導加熱コイル12に高
周波電力を供給するための高周波電源20および高周波誘
導加熱コイル12の管内に冷却水を循環させる高周波電力
供給用フィーダー21が配設されている。
CoNi、FeCo、FeCu、FeCr、CoCr、
CoCu、CoAu、CoPt、CoW、NiCr、C
oV、MnBi、MnAl、CoFeCr、CoNiC
r、CoRh、CoNiPt、CoNiFe、CoNi
FeB、FeCoNiCr、CiNiZn等の強磁性金
属や強磁性合金から適宜選択される。
を収容する耐火物ルツボ11a は、例えばMgO、ZrO
2 、Al2 O3 、CaO、Y2 O3 、ThO2 、BN、
BeOCaO安定化ZrO2 、Y2 O3 安定化ZrO2
等のセラミックスや炭素または炭素化合物や他の耐熱性
のある材料から適宜選択する。
を有する容器型であり、水平断面形状は真円形、楕円
形、長円形、正方形、長方形、その他のいかなる形状で
あってもよく、垂直断面形状も正方形、長方形、台形、
その他のいかなる形状であってもよい。
ルツボ11a の側面に対応する形状とするのが好ましい。
また高周波電源20としては、例えば周波数200kHz、出力
20kW/高周波誘導加熱コイル1個、の電源を用いるが、
周波数、出力、コイルの数、巻数等は磁性材料、所望の
膜厚、可撓性支持体の搬送速度に応じて適宜選択しうる
ものである。
材料10を収容した蒸発容器11との間であって、磁性材料
10が蒸発して生じる蒸気流が通過する経路を、その周壁
が囲うように蒸気拡散制御壁15が設けられ、また冷却キ
ャン4の近傍であって後述するマスク13,14の近傍に
は、酸素ガス、酸化性ガスまたは酸化性ガスと不活性ガ
スとの混合ガスのような酸化性ガスを含むガスをベース
フイルム3に向けて吹き付けるための第1のガス吹付部
17が設けられ、さらにまた蒸気拡散制御壁15と冷却キャ
ン4との間には、このガスを蒸発流に向けて吹き付ける
第2のガス吹付部16が設けられている。
属やセラミックス等により形成され、耐火物ルツボ11a
と略連続した状態で略垂直方向に延びる規制面で囲まれ
る蒸発蒸気流路を構成するように配置されており、下面
および上面は磁性材料10の蒸発粒子の通過を許容すると
ともにその指向性を向上させるように開口し、周壁のみ
を有する筒型形状であり、水平断面形状は円形、楕円
形、長円形、正方形、長方形、その他のいかなる形状で
あってもよい。垂直断面形状も正方形、長方形、台形、
その他のいかなる形状であってもよい。
ば抵抗加熱ヒーター、高周波誘導加熱用コイル等の加熱
源を含む加熱構造体、あるいは内部に冷却水や液体窒
素、液体ヘリウム、エチレングリコール等の冷媒を循環
させ、本体はFe、Cu、Al、Ni、Ti、Mg、Z
nおよびこれらの合金、ステンレス鋼等で形成された冷
却構造体等を備えた構成を採ることができる。
溶湯面内の中心を基準とし、この基準とされた点から蒸
発して上方に飛び出した磁性材料10の蒸発粒子が、後述
の最大入射角規制用のマスク13および最小入射角規制用
のマスク14によって規定される最大入射角θmax から最
小入射角θmin に亘る連続した範囲に付着するのを妨げ
ないように構成されているものとする。
周波誘導加熱コイル12、高周波電源20、高周波フィーダ
ー21等は一例にすぎず、ベースフイルム3が幅方向(ベ
ースフイルム3面内の搬送方向に直交する方向)に広い
場合は、ベースフイルム3の幅に応じて蒸発容器11の形
状を変えるようにし(例えば蒸発容器11の水平断面形状
が楕円形状であり、ベースフイルム3の幅が広い場合に
は、蒸発容器11の楕円形状の長軸方向をベースフイルム
3の幅方向に合わせる等)、蒸発容器11をベースフイル
ム3の幅方向に対応させて複数組配列した構成を採るこ
ともできる。この場合、蒸発容器11(耐火物ルツボ11a
を含む)、高周波誘導加熱コイル12、高周波電源20、高
周波フィーダー21をそれぞれ独立に複数組配設した構成
や、蒸発容器11を複数組配設し、高周波誘導加熱コイル
12、高周波電源20、高周波フィーダー21を共通にした構
成を採用することもできる。
の上方であって、冷却キャン4の下方に位置し、蒸気拡
散制御壁15を通過して拡数が規制、制御された状態で上
方に飛散する蒸発粒子に対して、その飛散方向と略直角
方向から略平行方向となるような角度の範囲で、前述の
酸化性ガスを含むガスを吹き付ける。
曲線状等いかなる形状であってもよく、またガス吹付部
16の数は1組に限らず2以上の複数組備えた構成を採る
ことができる。さらには、蒸発容器11に対して前後左右
対称形に複数個を配置してもよく、蒸気拡散制御壁15と
冷却キャン4の間に上下方向に多段に配置してもよい。
蒸気拡散制御壁15の開口端部を包囲するような形状であ
って、かつその開口部を通過した蒸発粒子に対して、そ
の粒子の飛散方向の略斜め方向に吹き付けるようにする
のが、保磁力を向上させるうえでより効果的であり望ま
しい。
えば、金属細管に直径0.1 〜1.0 mmのガス吹付用のノズ
ルを一定間隔ごとに設けたものや、開口幅0.03〜0.5 mm
のガス吹付用のスリットを設けたものにより構成するこ
とができる。また金属細管のガス吹付ノズルやガス吹付
スリットから蒸発粒子に向けて均一に酸化性ガス等を吹
き付けるために、図3(A)に示すように供給ガス配管
をトーナメント式に分岐したり、(B)に示すように均
一化ガスポケットを有する複数のガス供給配管の集合に
より構成することもできる。ノズルの経やスリットの
巾、間隔は、吹き付けるガスの量や、所望の保磁力値、
ベースフィルム3の搬送速度、ベースフィルムの巾等に
よって適宜選択される。
ス吹付ノズルやガス吹付スリットの吹付部内部に邪魔板
を設けることにより、これらから吹き付けられるガスの
分布を均一化することもできる。
られるガスとしては、O2 やオゾンあるいはこれらを主
成分とする混合ガスが挙げられ、混合させる成分として
はHe、Ne、Ar、Kr、Xe、N2 、H2 、H
2 O、その他の不活性ガスがある。また、ガスの種類、
吹付量は、蒸着される磁性材料10の種類やベースフイル
ム3の搬送速度巾第1のガス吹付部17からのガス吹き付
け等により適宜調整される。
が幅方向(ベースフイルム3の移送方向に直角の方向)
に広く、それに合わせて蒸発容器11の形状がベースフイ
ルム3の幅方向に広がった形状である場合(例えば蒸発
容器11の断面が楕円形状で、その長軸の方向をベースフ
イルム3の幅方向に合わせる)や、蒸発容器11をベース
フイルム3の幅方向に対応させて複数組配列する場合
は、それぞれ第2のガス吹付部16を蒸発容器11の形状に
合わせ、複数組配列された蒸発容器11に対応させて複数
組の第2のガス吹付部16を配設するのが好ましい。
ら一定の距離だけ離間し、通常は内部に冷却水あるいは
冷媒が循環する構造のマスク13および14が配設される。
この距離は2〜15mm、より好ましくは2〜10mm、最も好
ましくは3〜5mmである。2mmより狭いと上記第1のガ
ス吹付部を設置するスペースが確保できず、15mmを超え
ると蒸気流がマスクとベースフィルムの間に回り込ん
で、冷却キャンに付着し汚れの原因等になるからであ
る。ベースフイルム3の搬送方向について上流側に位置
するマスク13は、磁性材料10の蒸発粒子のベースフイル
ム3に対する入射角θの最大値(最大入射角)θmax を
規制し、下流側に位置するマスク14は、この蒸発粒子の
ベースフイルム3に対する入射角の最小値(最小入射
角)θmin を規制する。なお、θmax は90°、より好ま
しくは87°、最も好ましくは85°を上限とし、θmin は
20°、より好ましくは25°、最も好ましくは30°を下限
とするように設定されることが望ましい。なぜならば上
記範囲をはずれると望ましい保磁力(Hc)が得られな
いからである。
開口部および第2のガス吹付部16を通過し、マスク13お
よび14によって形成される冷却キャン4への開口部18を
通じて、図中において斜め下方からベースフイルム3の
表面に供給される。マスク13および14は、上記の入
射角範囲に規制するよう、その配置が調整される。
部16との間には、必要に応じて、磁性材料10のベースフ
イルム3への蒸着を容易に開始・終了させるためのシャ
ッター機構(図示せず)を設けてもよい。このシャッタ
ー機構は、通常、内部に冷却水あるいは冷媒を循環させ
た構造であって、上記第2のガス吹付部16から開口部18
に至る蒸気の通路を、必要に応じて開放し、または遮蔽
することができるように構成されたものである。
および14の近傍には、前述した第1のガス吹付部17が配
設される。この第1のガス吹付部17の配設位置は、最大
入射角θmax を規制するマスク13の下流側端部A近傍、
最小入射角θmin を規制するマスク14の上流側端部C近
傍、あるいはマスク13とマスク14の中間部B近傍のう
ち、少なくとも1箇所から選択された位置に配設され
る。第2のガス吹付部16の配設位置、ガス吹付角度、配
設数は、蒸着される磁性材料10の種類やベースフイルム
3の搬送速度に応じて適宜決定されるものである。
例えば、金属細管に直径0.1 〜1.0mmのガス吹付用のノ
ズルを一定間隔ごとに設けたものや、開口幅0.03〜0.5
mmのガス吹付用のスリットを設けたものにより構成する
ことができる。また金属細管のガス吹付ノズルやガス吹
付スリットから蒸発粒子に向けて均一にガスを吹き付け
るために、図5(A)に示すように供給ガス配管をいわ
ゆるトーナメント式に分岐したり、(B)に示すように
均一化ガスポケットを有する複数のガス供給配管の集合
により構成することもできる。また、図4(A)、
(B)に示すようにガス吹付ノズルやガス吹付スリット
の吹付部内部に邪魔板を設けることにより、ガス吹付分
布を均一化することもできる。
られるガスとしては、第2のガス吹付部16から吹き付け
られるガスと同様、O2 やオゾンあるいはこれらを主成
分とする混合ガスが挙げられ、混合する成分としてはH
e、Ne、Ar、Kr、Xe、N2 、H2 、H2 O、そ
の他の不活性ガスがある。また、このガスの種類、吹付
量は、蒸着される磁性材料10の種類、ベースフイルム3
の搬送速度、第2のガス吹付部16からのガス吹付量、種
類等により適宜調整される。
の作用について説明する。
等のガスが、バキュームポンプ等の図示しない減圧手段
によりそれぞれ外部に排気され、蒸着室9および巻取り
室8の内部の状態は、例えば5.0 ×10-5〜4.0 ×10-4To
rrの真空状態とされる。蒸着室9および巻取り室8の内
部をこのように真空状態にした後、高周波電源13を用い
て高周波誘導加熱コイル12に電力を供給し、これにより
高周波誘導加熱コイル12は発熱して蒸発容器11の磁性材
料10を加熱、蒸発させる。
は、蒸発容器11の上方に向かって飛散し、蒸気拡散制御
壁15の周壁で囲まれた内側を通過して上昇する。またこ
の蒸気流の一部は拡散しようとして蒸気拡散制御壁15の
周壁内面に付着する。残りの蒸気流は蒸気拡散制御壁15
の開口部を通過し、第2のガス吹付部16で囲まれる部分
に到達し、この第2のガス吹付部16から吹き付けられる
ガスにより、蒸気流である磁性材料10の粒子の一部が酸
化され、この蒸気流はさらに上昇してマスク13およびマ
スク14により形成されるマスク開口部18を通じて、ベー
スフイルム3に対する入射角θが最大入射角θmax から
最小入射角θmin に徐々に変化しながらベースフイルム
3に蒸着される。このときベースフイルム3は、送出し
軸5から送り出されて巻取り軸6に巻き取られるように
搬送されている。
いる間中、第1のガス吹付部17からはベースフイルム3
に向けてガスが吹き付けられる。これにより、強磁性金
属蒸気流の一部が酸化され強磁性金属薄膜が形成され
る。そしてこの強磁性金属薄膜中には酸素の吹き付けが
効率的に行われているため、この磁気記録媒体は磁気特
性、電磁変換特性、耐久性が優れたものとなる。
は、その強磁性金属薄膜は単層膜であってもよいし、多
層膜であってもよい。またベースフイルム3と金属磁性
薄膜間、あるいは多層薄膜間の各層間には付着力向上、
保磁力の制御等のために下地層あるいは中間層をさらに
設けてもよい。
層)のいずれの場合(重層の場合は総層)も、1200〜22
00オングストロームであり、より好ましくは、1300〜20
00オングストローム、最も好ましくは1400〜1600オング
ストロームである。なお、1200オングストローム未満で
は出力が確保できず、2200オングストロームを超えると
ノイズが大きくなる。また、Cu、Al、Tiなどの非
磁性有機物からなる中間層を設けた場合、その厚さは、
50〜300 オングストローム、より好ましくは、80〜200
オングストローム、最も好ましくは100 〜160 オングス
トロームがよい。50オングストローム未満では膜強度が
保てず、300 オングストロームを超えるといわゆるスペ
ーシングロスが生じるからである。
く、この場合その材料を適宜選択することにより下記の
種類の膜が保護層として形成される。すなわち具体的に
は、アモルファス状カーボン膜、グラファイト状カーボ
ン膜、ダイヤモンド状カーボン膜、ZrO2 膜、Al2
O3 膜、CrO2 膜、BN膜、MgO膜、Co酸化膜、
SiO2 膜、Si3 N4 膜、SiNx 膜、SiNx −S
iO2 膜、SiC膜、TiO2 膜、TiC膜、TiN膜
等が保護層として形成される。これらは単層膜であって
もよいし、多層膜であってもよい。この保護層の厚さと
しては、50〜300オングストロームが適切であり、より
好ましい厚さは 100〜200 オングストロームである。
必要に応じてバックコート層を設けてもよい。バックコ
ート層は、非磁性粉末(カーボンブラックを主成分とし
炭酸カルシウム、酸化鉄、アルミナ、チタニア等を含
む)と樹脂(ニトロセルロース等のセルロース誘電体、
ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリ塩
化ビニルやこれらの共重合体を単独もしくは混合したも
のにイソシアネート系硬化剤を加えたもの)を溶解、分
散し、0.4 〜0.8 μmの厚さで塗布する。
種機能層を形成してもよい。潤滑剤層は、パーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤(例えばモンテフルオス社製FOMB
LINZ-DOL 、AM2001、デュポン社製KRYTOX143AZ 、157FS
L、ダイキン社製デムナムSY等)、アルキル系潤滑剤
(ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の
アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等)、フッ
素化アルキル系潤滑剤(アルキル系潤滑剤の一部または
全部の水素原子をフッ素原子に置換したもの)、リン酸
系潤滑剤(リン酸アルキルエステル、チオ亜リン酸、フ
ォスフィン等)、防錆剤(ベンゾトリアゾール、ベンズ
チアゾール、テトラザイデン環誘電体、チオウラシル環
誘電体等)の化合物を単独もしくは混合して使用する。
特に好ましくはリン酸系潤滑剤とパーフルオロポリエー
テルやフッ素アルキル潤滑剤等のフッ素系潤滑剤を混合
して使用する。
従来型の製造装置(比較例イ〜ハ)とによりそれぞれ製
造された各磁気記録媒体について、より具体的に磁性層
(単層膜)の深さ方向の組成(アルゴンイオンエッチン
グで蝕刻した)、特に酸素濃度をオージェ電子分光法に
より調べた結果を以下に示す。
蒸発容器11の直上に第2のガス吹付部16を、マスク14の
上流側端部C近傍に第1のガス吹付部17を配設してなる
構成のもの。
第2のガス吹付部16はなく、第1のガス吹付部17がマス
ク14の上流側端部C近傍の1箇所に配設されたもの(ガ
ス吹付部は合計1か所)。
装置、すなわち第2のガス吹付部16はなく、第1のガス
吹付部17をマスク14の上流側端部B近傍およびマスク13
の下流側端部A近傍にそれぞれ配設したもの(ガス吹付
部は合計2か所)。
製造装置、すなわち第2のガス吹付部16はなく、第1の
ガス吹付部17をマスク14の上流側端部C近傍、マスク13
の下流側端部A近傍、およびマスク14とマスク13との中
間部B近傍にそれぞれ配設したもの(ガス吹付部は合計
3か所)。
スとしては、いずれもO2 ガスを用い、ガス吹付量は、
比較例イのマスク14の上流側端部C近傍からの吹付量(c
c/分) を基準値1.0 として、実施例ではマスク14の上流
側端部C近傍からの吹付量を1.0 、第2のガス吹付部16
からの吹付量を0.2 、比較例ロではマスク14の上流側端
部C近傍からの吹付量を1.0 、マスク13の下流側端部A
近傍からの吹付量を0.6 、比較例ハではマスク14の上流
側端部C近傍からの吹付量を1.0 、マスク13の下流側端
部A近傍からの吹付量を0.6 、マスク14とマスク13との
中間部B近傍からの吹付量を0.6 に設定した。
例および比較例イ〜ハの磁気記録媒体製造装置により製
造された各磁気記録媒体の磁性薄膜の深さ方向の酸素濃
度分布を示すグラフであり、(A)は実施例、(B)は
比較例イ、(C)は比較例ロ、(D)は比較例ハ、にそ
れぞれ対応するものである。
により製造された磁気記録媒体は、第2のガス吹付部16
から吹き付けられた酸化性ガスによりベースフイルム3
の近傍から磁性体表面にわたって高い酸素濃度領域が連
続して均一的に形成され、第1のガス吹付部17からの酸
化性ガスの吹き付けにより磁性薄膜の表面近傍にさらに
高い酸素濃度領域が形成されていることが分かる。これ
により、磁性体中央の略一定の酸素濃度部分について、
その絶対値を高めるのに有効であることが分かった。
ス吹付部の構成であり、図8(B)によれば、磁性層の
深さ方向の酸素分布はベースフイルム3近傍の酸素濃度
が少し高く、表面に向かってほぼ一定の酸素濃度が形成
され、磁性薄膜の表面近傍で高い酸素濃度領域が形成さ
れているのが分かる。さらに詳細には、磁性体の厚さ方
向の中央部近傍で略一定である酸素濃度部分について、
その絶対値は実施例の方が比較例イよりも高いことが分
かる。そして、磁性体中央の略一定の酸素濃度の絶対値
を高めるためには、最小入射角を規制するマスク14の上
流側端部C近傍からのガス吹付量を増加させる必要があ
るが、単にその吹付量を増加させただけでは酸素吹付量
の増加に伴って、磁性薄膜の表面近傍の酸素濃度領域が
より一層高くなり、表面酸化層の厚さが相対的に増大し
てスペーシングロスが増加し、再生出力が低下するとい
う弊害を生じることとなる。
イに比べて特にベースフイルム3近傍の酸素濃度が高く
なっているという特徴が認められた。しかし、両者共、
実施例と比べると磁性体中央部分の酸素濃度の絶対値は
実施例の方が高いことが分かる。このような酸素吹付方
式は、特にベースフイルム3近傍の酸素濃度を高くする
には有効であるが、磁性体中央部分の酸素濃度の絶対値
を高めるには効果が小さいことが分かる。
磁気記録媒体の製造装置によれば、電磁変換特性を低下
させるスペーシングロスの増加を伴うことなく、磁気特
性、電磁変換特性、耐久性を向上させるのに有効な、磁
性体中央部分の酸素濃度の絶対値を高めることが可能で
ある。
酸素が効率的に膜中に取り込まれるので、第1のガス吹
付部17(最小入射角を規制するマスク14の上流側端部C
近傍)からの酸素吹付量を少なく抑えることもできると
いう効果がある。すなわち、酸素吹付量を抑制すること
により、真空槽2内に残留する酸素ガスを低減させるこ
とができ、高真空状態を維持しやすく、この状態での磁
性薄膜の形成により磁気特性を向上させることができ
る。
る酸素が効率的に膜中に取り込まれる効果は、実施例で
述べた高周波誘導加熱手段を用いた蒸発容器11および蒸
気拡散制御壁15との組合わせにおいて最も効果的であ
る。これは高周波誘導加熱手段を用いた蒸発容器11と蒸
気拡散制御壁15とを組み合わせた蒸発方法において、蒸
発粒子の指向性が高められ、蒸気流密度の高い領域にお
いて酸化性ガスが吹き付けられるための効果と推定され
る。なお、この蒸発方法は加熱手段として電子ビームを
用いて蒸気拡散制御壁15と組み合わせた構成においても
適用することができ、本実施例の態様に限定されるもの
ではない。
る。
1を用いて、蒸着磁気記録媒体を作成した。ベースフイ
ルム3は、幅300 mm、長さ6000m、厚さ6μm、のポリ
エチレンテレフタレートから成る。ベースフイルム3の
表面にはバインダー(メチルセルロース)とフィラー
(シリカ)を溶解、塗布して形成された表面突起(高さ
15nm、6000万個/mm2 )を有していた。
された後、O2 グロー放電処理室(図示せず)を経て、
2基の冷却キャン4aおよび4b(図示せず)上を順次
搬送され、巻取り軸6に巻き取られる。冷却キャン4
a,4bは、いずれも直径 800mm、幅 400mmの円筒状の
ドラムであり、表面はハードクロムメッキが施された後
に鏡面研磨されてその表面粗さは 0.8Sに仕上げられて
おり、内部には冷媒(エチレングリコール)が循環され
てその表面温度は−30℃に保持した。
れる各蒸発容器11を含む構成要素も各冷却キャンごとに
同一であるので、以下、冷却キャン4a(以下、冷却キ
ャン4という)側の1組の蒸発容器を含む構成要素につ
いてのみ説明する。
に離間した位置に、内部に20℃の冷却水が循環された、
本体がSUS304製のマスク13および14を配設した。マスク
13は、ベースフイルム3の搬送方向に沿ってマスク14よ
りも上流側に位置し、蒸発粒子がベースフイルム3に入
射するときの最大入射角θmax を規制し、一方、このマ
スク13よりも下流側に位置するマスク14により、蒸発粒
子がベースフイルム3に入射するときの最小入射角θmi
n を規制する。入射角は後述の耐火物ルツボ11a内の溶
融面の円中心を基準とし、この基準とされた点とマスク
13およびマスク14の各端部とを結ぶ直線と、冷却キャン
4上のそれぞれの各マスク端部位置での法線とのなす角
度で定義され、マスク13により規制される最大入射角θ
max を90°、マスク14により規制される最小入射角θmi
n を45°にそれぞれ設定した。マスク13とマスク14との
間隙により形成されるマスク開口部18の幅方向(ベース
フイルム3の移送方向に直角の方向)の開口幅は 290mm
に設定した。
の搬送方向について下流側に位置し、最小入射角θmin
を規制するマスク14の近傍で、マスク14と冷却キャン4
との間隙に配設されている。吹付ガスとしてはO2 ガス
を用いた。第1のガス吹付部17のガス吹出し部の詳細を
図6に示す。開口幅0.2 mmのガス吹付スリット17aとガ
ス吹付分布を均一化するためのガスポケット17bを端部
に備えた金属細管であり、供給ガス配管からトーナメン
ト式に分岐した8つの分岐配管から吹き付けたガスは、
ガスポケット17bに入った後、ガス吹付スリット17aか
ら蒸発粒子に吹き付けられる。ガス吹付スリット17aの
吹付方向は、蒸発粒子の最小入射角θmin を規定する冷
却キャン4上の基準点における冷却キャン4上の接線に
ほぼ平行な向きとした。
より、蒸気拡散制御壁15および第2のガス吹付部16の円
環の開口部を通過した蒸発粒子の飛散方向に対して、略
斜め方向にO2 ガスが吹き付けられ蒸発金属粒子の一部
を酸化した。
蒸発金属粒子がベースフイルム3の表面に付着すること
を妨げる機能を有し、内部に20℃の冷却水を循環させ、
本体がSUS304製で形成された可動式のシャッター装置
(図示せず)を配設した。
周波電源20、高周波フィーダー21は、それぞれ2組をベ
ースフイルム3の幅方向(ベースフイルム3の移送方向
に直角の方向)に配設した。耐火物ルツボ11aはカップ
状(内径φ80mm、外径φ95mm、高さ100 mm、内部深さ92
mm)であり、材質はY2 O3 で安定化したZrO2 を用
いた。耐火物ルツボ11aの内部には蒸発用の強磁性材料
10としてCo100 を用いた。高周波誘導加熱コイル12
は、内部に冷却水が循環する直径φ12mmのCuパイプ製
であり、高周波誘導加熱コイル12は8巻で、内径φ120
mm、高さhは105mmである。発振周波数25kHz 、出力30k
Wの高周波電源20は真空槽2の外部に2台設置し、高周
波フィーダー21と真空用フィードスルー(図示せず)を
通じて真空槽2の内部に配設された2つの高周波誘導加
熱コイル12に接続した。高周波フィーダー21はCu製で
あり、また高周波誘導加熱コイル12の延長Cuパイプ部
は、それぞれがAl2 O3 製の絶縁管によって囲われ、
互いに電気的に絶縁させた。
面の内壁部は、円筒状(内径φ80mm、外径φ95mm、高さ
hは75mm)のZrO2 を用いた。外周部は円筒状(内径
φ100 mm、外径φ200 mm、高さhは75mm)であり、内部
に18℃の冷却水を循環させ、本体がCuで形成された冷
却構造体を用いた。
の直上に位置し、内壁部の円筒の開口部(金属蒸発粒子
が通過する範囲)を囲む円環状のSUS 製細管(内径φ4
mm、外径φ6mm)であり、円環の中心を基準として15°
の等角度をもって円周方向に24個のガス吹付ノズル16a
(穴径φ0.4 mm)を有する。それぞれのガス吹付ノズル
16aのガス吹出し方向は、円環の中心に向かい、水平面
から30°上方に傾斜した方向に吹き出す構造である。さ
らにこの円環状のSUS 製細管は円周方向に4ブロックに
分割されており、元の供給ガス配管をトーナメント式に
分岐することにより、それぞれのブロックに同一流量の
ガスが供給される構造である。吹付ガスとしてはO2 ガ
スを用いた。
より、蒸気拡散制御壁15の開口部を通過した蒸発粒子の
飛散方向に対して、略斜め上方にO2 ガスが吹き付けら
れ蒸発粒子の一部を酸化させた。
取り室8のガスを油回転ポンプおよびメカニカルブース
ターにより粗排気してからクライオポンプ(図示せず)
により排気して、5.0 ×10-5Torrの真空状態に保持した
後、蒸発容器11の磁性材料10を前記2組の高周波電源20
を用いて高周波コイル12に電力を供給することで磁性材
料10を加熱、溶解させ、溶解開始から昇温、溶解中はシ
ャッター装置(図示せず)を閉状態として、ベースフイ
ルム3に蒸気粒子が付着しない状態を維持した。
一定となった後、送出し軸5よりベースフイルム3を80
m/分の搬送速度、張力8.0kgf/300 mmの条件で送り出
し、処理室(図示せず)においてベースフイルム3の磁
性薄膜を形成する側の面に、O2 ガスを用いたグロー放
電処理を施し、その後、冷却キャン4a上を搬送させ
る。そしてシャッター装置(図示せず)を開状態とし
て、同時に第1のガス吹付部17および第2のガス吹付部
16からO2 ガスを吹き付けつつ、ベースフイルム3上に
第1層目の、厚さ800 オングストロームのCo−O磁性
薄膜を形成せしめた。
(図示せず)上において、第1層目の磁性薄膜上に第2
層目の、厚さ800 オングストロームのCo−O磁性薄膜
が形成された後、巻取り軸6に巻き取られる。連続して
長さ6000mの2層構造の磁性金属薄膜が形成された後、
シャッター装置(図示せず)を閉状態とし、同時に第1
のガス吹付部17および第2のガス吹付部16からのO2 ガ
スの吹き付けと高周波電源20からの電力供給とを停止し
て成膜を完了させた。
後、磁性薄膜表面にはリン酸系潤滑剤にパーフルオロポ
リエーテル潤滑剤を加えたものと防錆剤(ベンゾトリア
ゾール)との混合剤を溶解して塗布した。バック面には
カーボンブラックを主成分とする非磁性粉末とニトロセ
ルロース、ポリエステル、ポリウレタンの混合材料とイ
ソシアネート硬化剤を溶解、分散して、厚さ0.5 μmで
塗布した。
ガス吹付部16からのO2 ガス吹付量を変化させてサンプ
ルを作成した。各サンプルの蒸着中の真空度、静磁気特
性、電磁変換特性、耐久性について評価した結果を表1
に示す。
験例1において第1層目を成膜するときの第1のガス吹
付部17から吹き付けられるO2 ガスの総量を表し、同様
に第2のガス吹付量とは、第1層目を成膜するときの第
2のガス吹付部16から吹き付けられるO2 ガスの総量を
大気圧状態の体積に換算して表すものである。
ゲージによる測定値である。保磁力(Hc)、飽和磁束
密度(Bm)、角型比(SQ)等の静磁気特性はVSM
(VIBRATING SAMPLE MAGNETOMETER)装置( 東英工業株
式会社製VSM−P−7型)を用いて測定した。電磁変
換特性はソニー製8mmVTR(EV-S900)を用い、7.6MHz
における再生出力を測定し、比較例3のテープ(磁気記
録媒体)を基準として、それに対する相対値で評価し
た。耐久性は、同じくソニー製8mmVTR(EV-S900)を
用い当初の再生出力レベルから−3dB以上の出力低下
が発生するまでの時間をスチル耐久時間として評価し
た。
ガス吹付方法、すなわち第2のガス吹付部がなく、した
がって第2のガス吹付量を0(cc/分)とし、第1のガ
ス吹付部によるガス吹付量を 600, 800,1000,1200
(cc/分)と変化させて作成したサンプルである。
のガス吹付量を比較例3と同量の1000(cc/分)とし、
第2のガス吹付量を50, 100, 200, 300, 400, 50
0, 600(cc/分)と変化させたものである。
を 200(cc/分)とし、第1のガス吹付量を 600, 80
0,1000,1200(cc/分)と変化させたものである。
のガスを吹き付けてない比較例1〜4と第2のガス吹付
けのある実施例13,14,7,15とを、第1のガス吹付量
が等しいもの同士を比較すると、第2のガス吹付けが付
加された本発明の装置によるテープ(実施例13,14,
7,15)は従来のものによるテープ(比較例1〜4)と
比べて、それぞれ保磁力、再生出力、スチル耐久性が向
上した。
同士(比較例1と実施例12、比較例2と実施例13、比較
例3と実施例14、比較例4と実施例7)を比較すると、
本発明の装置(実施例12,13,14,7)は、従来のもの
(比較例1〜4)よりもそれぞれ蒸着室の圧力が高く維
持されるという効果も認められた。
吹付量v2 (cc/分)と第1のガス吹付量v1 (cc/
分)との比の値v2 /v1 に対する再生出力を、比較例
3のテープの再生出力を基準(=0dB)とした相対値
(正は再生出力が向上、負は再生出力が低下したことを
示す)により評価すると、図9のグラフに示すように、
この比の値v2 /v1 が0.05以上0.55以下のときに、比
較例3よりも再生出力の向上が認められた。
着装置1において、蒸発源の加熱源を高周波誘導加熱源
から電子ビーム加熱源に置き換えたものである。図7は
実験例2の蒸発源周辺部のみを示したものである。
容する構造の横長箱型の形状をなし、その長手方向がベ
ースフイルム3の幅方向(ベースフイルム3の移送方向
に直角の方向)に一致するように配設した。耐火物ルツ
ボ11aの形状は外壁長400 mm、外壁幅150 mm、外壁高さ
100 mm、内壁開口長340 mm、内壁開口幅100 mm、内壁深
さ80mmとし、内壁底長90mm、内壁底幅320 mmとした。耐
火物ルツボ11aの材質はMgOを用い、磁性材料10とし
てはCo100 を用いた。
様に、蒸気拡散制御壁15を配置した。但し、耐火物ルツ
ボ11aと蒸気拡散制御壁15との間には、磁性材料10に電
子ビーム12を照射するため、少なくとも電子ビームが通
過する軌道分の間隙が設けられている。電子ビーム加熱
源は出力100kW 、走査周波数200Hz 、90°偏向型の電子
ビームを1基用いた。
第2のガス吹付部16、マスク13および14、シャッター装
置、その他のハンドリング装置の構造および配置は実験
例1と同様とした。
よび巻取り室8のガスをクライオポンプ(図示せず)に
より排気して、5.0 ×10-5Torrの略真空状態に保持した
後、電子ビーム(EB)を磁性材料10上に均一に照射す
ることにより、磁性材料10を加熱、溶解させた。溶解開
始から昇温、溶解中はシャッター装置(図示せず)を閉
状態にし、ベースフイルム3に蒸気粒子が付着しない状
態を維持した。
ムの照射ポイントを蒸気拡散制御壁15の開口部の直下に
集中させ、蒸気拡散制御壁15の開口部の直下において、
蒸発レートが最も高い状態に保持した。本実験例では蒸
気拡散制御壁15の開口部が耐火物ルツボ11aの長手方向
に2箇所存在するため、電子ビーム12の照射ポイントが
耐火物ルツボ11a内のCo溶融面の2箇所に集中的に照
射されるよう電子ビームを走査した。
よりベースフイルム3を80m/分の搬送速度、張力8.0k
gf/300 mmの条件で送り出し、前処理室(図示せず)に
おいて、ベースフイルム3の磁性薄膜が形成される側の
面に、O2 ガスを用いたグロー放電処理を施した後、冷
却キャン4a上を搬送させた。そしてシャッター装置
(図示せず)を開状態とし、同時に第2のガス吹付部16
および第1のガス吹付部17からO2 ガスを吹き付けつ
つ、ベースフイルム3上に第1層目の、800 オングスト
ロームのCo−O磁性薄膜を形成した。
(図示せず)において、第1層目の磁性薄膜上に第2層
目の、800 オングストロームのCo−O磁性薄膜が形成
された後、巻取り軸6に巻き取られる。連続して長さ60
00mの2層構成の磁性金属薄膜が形成された後、シャッ
ター装置(図示せず)を閉状態とし、同時に第2のガス
吹付部16および第1のガス吹付部17からのO2 ガスの吹
付と電子ビームの照射とを停止して成膜を完了した。
後、磁性薄膜表面にはリン酸系潤滑剤にパーフルオロポ
リエーテル潤滑剤を加えたものと防錆剤(ベンゾトリア
ゾール)の混合剤を溶解して塗布した。またバック面に
はカーボンブラックを主成分とする非磁性粉末とニトロ
セルロース、ポリエステル、ポリウレタンの混合材料と
イソシアネート硬化剤を溶解、分散し、厚さ0.5 μmで
塗布した。
熱法との比較および電子ビーム加熱法における第1のガ
ス吹き付けの効果について、各サンプルの静磁気特性、
電磁変換特性、耐久性について評価した結果を表2に示
す。
例2において、第1層目を成膜するときの第1のガス吹
付部17から吹き付けられるO2 ガスの総量を表し、同様
に第2のガス吹付量とは第1層目を成膜するときの第2
のガス吹付部16から吹き付けられるO2 ガスの総量を表
す。評価方法は(実験例1)と同様である。
導加熱法と電子ビーム加熱法との比較では、比較例1と
比較例4との各特性から高周波誘導加熱法の方がやや良
好である。
〜5は、従来のガス吹付方法、すなわち第2のガス吹付
量が0であり、第1のガス吹き付けのみにより作成した
各サンプル(テープ)の評価結果である。実施例6〜8
は、第1のガス吹付量を比較例4と同量の1000(cc/
分)とし、第2のガス吹付量を変化させたものである。
を200(cc/分)とし、第1のガス吹付量を変化させたも
のである。第2のガス吹付を付加することによって保磁
力、再生出力、スチル耐久性が向上することが確認でき
た。
の真空蒸着装置(磁気記録媒体製造装置)の一実施形態
の概略構成を示す図
る第2のガス吹付部の、(A)トーナメント式の供給ガ
ス配管、(B)均一化ガスポケットを有する複数のガス
供給配管の集合、をそれぞれ示す図
よびガス吹付スリットの、(A)図3(A)のA−A′
線断面を示す断面図、(B)図3(B)のB−B′線断
面、をそれぞれ示す断面図
る第1のガス吹付部の、(A)トーナメント式の供給ガ
ス配管、(B)均一化ガスポケットを有する複数のガス
供給配管の集合、をそれぞれ示す図
す概略図
概略構成図
分布をそれぞれ示すグラフであり、(A)は実施例、
(B)は比較例イ、(C)は比較例ロ、(D)は比較例
ハ、をそれぞれ示す
との比の値v2 /v1 に応じた、比較例3のテープの再
生出力を基準とした再生出力の相対値を示すグラフ
Claims (2)
- 【請求項1】 真空雰囲気中で、長尺の可撓性基板を搬
送するとともに、前記基板が搬送される経路の下方に配
設された磁性材料からなる蒸発源を加熱して、前記磁性
材料を蒸発せしめ、前記蒸発源と前記可撓性基板との間
に設けた、前記磁性材料の蒸発によって生じる蒸気流の
拡散方向を規制制御する蒸気拡散制御手段中を通過させ
るとともに、該蒸気流の前記可撓性基板への入射角度を
規制する入射角規制手段を設けて前記蒸気流の指向性を
制御しつつ、該蒸気流を前記可撓性基板表面に蒸着させ
て、磁性薄膜を形成せしめる磁気記録媒体の製造方法に
おいて、 前記可撓性基板に付着しつつある前記蒸気流に向けて、
少なくとも酸化性のガスを含むガスを吹き付けるととも
に、 前記蒸気拡散制御手段から前記可撓性基板へ向けて飛散
する前記蒸気流に向けて、少なくとも酸化性のガスを含
むガスを吹き付けることにより、前記磁性薄膜中の深さ
方向の酸素含有量を制御することを特徴とする磁気記録
媒体の製造方法。 - 【請求項2】 真空雰囲気中で、長尺の可撓性基板を搬
送する搬送手段と、前記基板が搬送される経路の下方に
配設された磁性材料からなる蒸発源を加熱蒸発させる蒸
発手段と、前記蒸発源と前記可撓性基板との間に配置さ
れて、前記蒸発源から蒸発した蒸気流の拡散方向を規制
制御する蒸気拡散制御手段と、前記蒸気流の前記可撓性
基板への入射角度を規制する入射角規制手段とを備え、 前記可撓性基板上に前記蒸気流を蒸着させて磁性薄膜を
形成せしめる磁気記録媒体の製造装置において、 前記可撓性基板表面と前記入射角規制手段との間から、
前記蒸気流に向けて、少なくとも酸化性のガスを含むガ
スを吹き付ける第一のガス吹付手段と、 前記蒸気拡散制御手段の、前記可撓性基板側に対向した
開口部直上の前記蒸気流に向けて少なくとも酸化性のガ
スを含むガスを吹き付ける第二のガス吹付手段とを備え
たことを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25568896A JP3516286B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 磁気記録媒体の製造方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP25568896A JP3516286B2 (ja) | 1996-09-27 | 1996-09-27 | 磁気記録媒体の製造方法および装置 |
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JPH10105965A true JPH10105965A (ja) | 1998-04-24 |
JP3516286B2 JP3516286B2 (ja) | 2004-04-05 |
Family
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Country | Link |
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JP (1) | JP3516286B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008139788A1 (ja) * | 2007-05-16 | 2008-11-20 | Silver Seiko Ltd. | 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造装置 |
KR20220115652A (ko) * | 2021-02-08 | 2022-08-18 | (주)에스브이엠테크 | 고주파 유도가열 장치 |
CN117053438A (zh) * | 2023-07-31 | 2023-11-14 | 南方科技大学 | 一种花洒式液氦蒸发器以及制冷机 |
-
1996
- 1996-09-27 JP JP25568896A patent/JP3516286B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR20220115652A (ko) * | 2021-02-08 | 2022-08-18 | (주)에스브이엠테크 | 고주파 유도가열 장치 |
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