JPH10103127A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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Publication number
JPH10103127A
JPH10103127A JP8254952A JP25495296A JPH10103127A JP H10103127 A JPH10103127 A JP H10103127A JP 8254952 A JP8254952 A JP 8254952A JP 25495296 A JP25495296 A JP 25495296A JP H10103127 A JPH10103127 A JP H10103127A
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JP
Japan
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intake air
amount
air amount
throttle
target
Prior art date
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Pending
Application number
JP8254952A
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English (en)
Inventor
Masaru Kurihara
優 栗原
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Heavy Industries Ltd filed Critical Fuji Heavy Industries Ltd
Priority to JP8254952A priority Critical patent/JPH10103127A/ja
Publication of JPH10103127A publication Critical patent/JPH10103127A/ja
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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】油圧式スロットルアクチュエータを採用したエ
ンジン始動時及び始動直後の空燃比状態の悪化を防止
し、始動性及び始動直後の安定性を向上し、目標吸入空
気量に対応する燃料噴射量及びスロットル弁開度を適正
に得る。 【解決手段】エンジン回転数及び吸気管圧力に基づき1
気筒1吸気行程当たりの実行程吸入空気量Gaを設定
し、運転者の要求出力に相応する要求行程吸入空気量M
Ga1を設定すると共に、アイドル要求行程吸入空気量
MGa2を設定する。スロットル開度が度よりも小さい
値の設定値よりも大きい間は、Gaにより燃料噴射量並
びにスロットル開度制御量を目標行程吸入空気量MGa
3に設定し(S125)、スロットル開度が設定値以下にな
った後は、以後、MGa1とMGa2とを加算した総目
標行程吸入空気量A(S113)によって、燃料噴射量並び
にスロットル開度制御量を目標行程吸入空気量に設定す
る(S127)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転者の要求出力
量に応じて燃料噴射量を設定すると共に、スロットル弁
開度を可変制御して要求出力に適合する吸入空気量を気
筒へ供給するエンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、スロットル開度を電子的に制御し
て運転者の要求出力に対する応答性を改善し、良好な走
行性能を得る技術が種々提案されている。例えば、SA
Eペーパ780346(1978年)、或いは特公平3
−63654号公報には、運転者の要求出力量としてア
クセルペダル踏込み量を検出し、このアクセル踏込み量
に応じて燃料噴射量を設定すると共に、この燃料噴射量
とエンジン回転数及びエンジン温度等に基づき、所定空
燃比を得るための目標吸入空気量を設定し、この目標吸
入空気量から、所定のスロットル通過空気流量(スロッ
トル弁を通過する吸入空気流量)となるスロットル弁開
度を設定する、いわゆる燃料主導制御(或いは燃料空気
同時制御)の技術が開示されている。
【0003】上記先行技術では、スロットル弁上流に配
設した吸入空気量センサでスロットル通過空気流量を検
出し、この検出したスロットル通過空気流量が目標吸入
空気流量に収束するように上記スロットル弁開度をフィ
ードバック制御している。
【0004】このとき、スロットル弁を作動させるスロ
ットルアクチュエータとしては、特開平7−77088
号公報、特開平7−166897号公報に示されるよう
に、ステップモータ、或いはサーボモータ(DCモー
タ)が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ステップモー
タをスロットルアクチュエータとして用いた場合には、
下記の不都合がある。
【0006】(1)位置決め精度、耐久性は良いが、動
作速度がやや遅い。
【0007】(2)ステップモータのコストが高い。
【0008】(3)ステップモータの駆動回路に専用の
ロジックが必要でありコストが高い。
【0009】(4)動作速度を上げようとすると専用の
ステップモータが必要であり、非常にコストが高くな
る。
【0010】また、サーボモータをスロットルアクチュ
エータに用いた場合には、 (1)位置決め精度、動作速度が良く、サーボモータ単
品のコストは妥当であるが、サーボモータの駆動回路の
コストがやや高い。
【0011】(2)サーボモータの制御ソフトの計算負
荷が重く専用のCPUを必要とする。
【0012】(3)サーボモータの回転をギヤで減速す
る必要があり、減速機構が必要となってコストがかか
る。
【0013】(4)サーボモータのブラシが摩耗するこ
とによる耐久性上の問題がある等の不都合がある。
【0014】このため、エンジン運転に伴い発生する油
圧に着目し、この油圧を駆動源とする油圧式スロットル
アクチュエータを採用すれば、上記問題は解消すること
ができるが、エンジンクランキングからエンジン始動直
後においては、オイル流動の流動不足により油圧が不足
し、油圧式スロットルアクチュエータに対するスロット
ル開度制御量を設定しても目標吸入空気量に対応するス
ロットル開度を得ることができず、空燃比状態が悪化
し、始動性および始動直後のアイドル安定性が悪化する
不都合がある。
【0015】本発明は、上記事情に鑑み、エンジン運転
に伴い発生する油圧を駆動源とする油圧式スロットルア
クチュエータを採用した場合のエンジン始動時および始
動直後における空燃比状態の悪化を防止し、始動性およ
び始動直後のアイドル安定性を向上することが可能で、
且つ、エンジン始動後においては目標吸入空気量に対応
する燃料噴射量及びスロットル弁開度を適正に得ること
ができて空燃比制御性を向上することが可能なエンジン
の制御装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明は、運転者の要求出力量に応じて燃
料噴射量及びスロットル弁開度を可変制御するエンジン
の制御装置において、図1の基本構成図に実線で示すよ
うに、少なくとも上記要求出力量に基づいて1気筒が1
吸気行程当たりに吸入する空気量の目標値を設定する目
標行程吸入空気量設定手段と、上記目標行程吸入空気量
に基づいて、エンジンの運転に伴って発生する油圧を駆
動源とする油圧式スロットルアクチュエータに対するス
ロットル開度制御量を設定するスロットル開度設定手段
と、エンジン始動後、所定期間はDジェトロニック方式
により燃料噴射量を設定し、該所定期間後は上記目標行
程吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設定する燃料噴射
量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記油圧式スロットルアクチュエータは、
十分な油圧が得られないエンジン始動時にスロットル弁
を所定の初期設定開度に維持してエンジン始動を確保す
る位置決め機構を備えており、図1の基本構成図に破線
で示すように、上記燃料噴射量設定手段は、切換条件判
別手段においてエンジン始動後、スロットル開度が上記
初期設定開度より小さい設定値以下となったことが判別
されたとき、上記所定期間が経過したと判断することを
特徴とする。
【0018】請求項3記載の発明は、運転者の要求出力
量に応じて燃料噴射量及びスロットル弁開度を可変制御
するエンジンの制御装置において、エンジンの運転に伴
って発生する油圧を駆動源とし、且つ十分な油圧が得ら
れないエンジン始動時にスロットル弁を初期設定開度に
維持してエンジン始動を確保する位置決め機構を備えた
油圧式スロットルアクチュエータを採用し、図2の基本
構成図に実線で示すように、エンジン回転数とスロット
ル弁下流に発生する吸気管圧力とに応じて1気筒が1吸
気行程当たりに実際に吸入する空気量を設定する実行程
吸入空気量設定手段と、上記要求出力量に基づいて運転
者の要求出力に対応する行程吸入空気量の目標値を設定
する出力要求行程吸入空気量設定手段と、エンジン回転
数に基づいてアイドル時の行程吸入空気量の目標値を設
定するアイドル要求行程吸入空気量設定手段と、エンジ
ン始動後、スロットル開度が上記初期設定開度より小さ
い設定値以下になったか否かを判別する切換条件判別手
段と、エンジン始動後のスロットル開度が上記設定値よ
り大きい間は上記実行程吸入空気量に基づいて行程吸入
空気量の目標値を設定し、スロットル開度が上記設定値
以下になった後は上記出力要求行程吸入空気量とアイド
ル要求行程吸入空気量とを加算して目標値とする目標行
程吸入空気量設定手段と、少なくとも上記目標行程吸入
空気量に基づいて上記油圧式スロットルアクチュエータ
に対するスロットル開度制御量を設定するスロットル開
度設定手段と、上記目標行程吸入空気量に基づいて燃料
噴射量を設定する燃料噴射量設定手段とを備えたことを
特徴とする。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、上記目標行程吸入空気量設定手段は、エン
ジン始動後のスロットル開度が上記設定値よりも大きい
間は、上記実行程吸入空気量による目標行程吸入空気量
の上限を、上記アイドル要求行程吸入空気量を所定倍し
た値により規制することを特徴とする。
【0020】請求項5記載の発明は、請求項1ないし請
求項4記載の発明において、図1或いは図2に一点鎖線
で示すように、エンジン回転数とスロットル弁下流に発
生する吸気管圧力とに応じて1気筒が1吸気行程当たり
に実際に吸入する空気量を設定する実行程吸入空気量設
定手段と、エンジン回転数とスロットル弁上流に発生す
る吸気管圧力に応じてスロットル弁全開に対応する最大
実行程吸入空気量を設定する最大実行程吸入空気量設定
手段とを有し、上記スロットル開度設定手段は、上記実
行程吸入空気量と上記目標行程吸入空気量との平均値の
上記最大実行程吸入空気量に対する割合を表す吸気供給
割合を算出し、また、上記実行程吸入空気量と上記目標
行程吸入空気量とに基づいて算出された回転数増減分を
エンジン回転数に加算してエンジン回転数指標値を設定
し、上記吸気供給割合と上記エンジン回転数指標値とに
基づいて上記スロットル開度制御量を設定することを特
徴とする。
【0021】請求項6記載の発明は、請求項1ないし請
求項5記載の発明において、上記要求出力量は、アクセ
ルペダル踏込み量であることを特徴とする。
【0022】すなわち、請求項1記載の発明では、少な
くとも運転者の出力要求量に基づき1気筒が1吸気行程
当たりに吸入する空気量の目標値となる目標行程吸入空
気量を設定し、吸入空気系については、この目標行程吸
入空気量に基づいて、エンジン運転に伴い発生する油圧
を駆動源としスロットル弁を作動させる油圧式スロット
ルアクチュエータに対するスロットル開度制御量を設定
する。又、燃料系については、エンジン始動後、所定期
間はDジェトロニック方式により燃料噴射量を設定し、
所定期間経過後は上記目標行程吸入空気量に基づいて燃
料噴射量を設定する。
【0023】この際、請求項2記載の発明では、十分な
油圧が得られない始動時、油圧式スロットルアクチュエ
ータに備えた位置決め機構によってスロットル弁が所定
の初期設定開度に維持され、エンジン始動が確保され
る。そして、エンジン始動後、スロットル開度が上記初
期設定開度より小さい設定値以下になったか否かを判断
し、エンジン始動からスロットル開度が上記設定値より
も大きい間は、Dジェトロニック方式により燃料噴射量
を設定し、スロットル開度が上記設定値以下となった後
は、以後、上記目標行程吸入空気量に基づいて燃料噴射
量を設定する。
【0024】請求項3記載の発明では、十分な油圧が得
られない始動時、油圧式スロットルアクチュエータに備
えた位置決め機構によってスロットル弁が所定の初期設
定開度に維持され、エンジン始動が確保される。また、
エンジン回転数とスロットル弁下流に発生する吸気管圧
力とに応じて1気筒が1吸気行程当たりに実際に吸入す
る実行程吸入空気量を設定し、要求出力量に基づいて運
転者の要求出力に対応する行程吸入空気量の目標値とし
ての出力要求行程吸入空気量を設定すると共に、エンジ
ン回転数に基づいてアイドル時の行程吸入空気量の目標
値となるアイドル要求行程吸入空気量を設定する。そし
て、エンジン始動後、スロットル開度が上記初期設定開
度より小さい設定値以下になったか否かを判断し、エン
ジン始動後のスロットル開度が上記設定値よりも大きい
間は、上記実行程吸入空気量に基づいて、燃料噴射量並
びにスロットル開度制御量を設定するための目標値とな
る目標行程吸入空気量を設定し、スロットル開度が上記
設定値以下となった後は、以後、上記出力要求行程吸入
空気量とアイドル要求行程吸入空気量とを加算して目標
行程吸入空気量を設定する。そして、吸入空気系につい
ては、少なくとも上記目標行程吸入空気量に基づいて、
エンジン運転に伴い発生する油圧を駆動源とする上記油
圧式スロットルアクチュエータに対するスロットル開度
制御量を設定する。又、燃料系については、上記目標行
程吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設定する。
【0025】すなわち、エンジン始動からスロットル開
度が上記設定値よりも大きい間は、ンジン始動時或いは
始動直後でエンジン運転に伴って発生する油圧が不足
し、油圧不足により油圧式スロットルアクチュエータが
スロットル開度制御量による目標スロットル開度に追従
作動していないと判断し、実行程吸入空気量によって設
定された目標行程吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設
定する。ここで、上記実行程吸入空気量はスロットル弁
下流の吸気管圧力とエンジン回転数とに基づいて設定さ
れ、従って、このとき上記実行程吸入空気量によって設
定される燃料噴射量は、Dジェトロニック方式と同様、
スロットル弁下流の吸気管圧力とエンジン回転数とによ
るエンジン状態に応じ設定されることとなる。そして、
スロットル開度が上記設定値以下となったときは、エン
ジン運転に伴い油圧が上昇して油圧式スロットルアクチ
ュエータが目標スロットル開度に追従作動したと判断し
て、出力要求行程吸入空気量とアイドル要求行程吸入空
気量とを加算した目標行程吸入空気量に基づいて燃料噴
射量を設定し、スロットル開度と整合する燃料噴射量を
得る。
【0026】この際、請求項4記載の発明では、エンジ
ン始動からスロットル開度が上記設定値よりも大きい間
は、上記実行程吸入空気量による目標行程吸入空気量の
上限を、上記アイドル要求行程吸入空気量を所定倍した
値により規制することで、スロットル弁の開弁固着等の
故障に起因して過大な燃料噴射量が設定されるのを防止
する。
【0027】また、請求項5記載の発明では、エンジン
回転数とスロットル弁下流に発生する吸気管圧力とに応
じて1気筒が1吸気行程当たりに実際に吸入する実行程
吸入空気量を設定すると共に、スロットル弁の上流に発
生する吸気管圧力に基づいてスロットル弁全開に対応す
る最大実行程吸入空気量を設定する。そして、上記実行
程吸入空気量と上記目標行程吸入空気量との平均値の上
記最大実行程吸入空気量に対する割合を表す吸気供給割
合を算出し、また、上記実行程吸入空気量と上記目標行
程吸入空気量とに基づいて算出した回転数増減分を現在
のエンジン回転数に加算してエンジン回転数指標値を設
定する。そして、この吸気供給割合とエンジン回転数指
標値とに基づいて、上記油圧式スロットルアクチュエー
タに対するスロットル開度制御量を設定する。
【0028】また、請求項6記載の発明では、運転者の
要求出力量としてアクセルペダル踏込み量を用いる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の一形態を説明する。
【0030】先ず、図34に基づきエンジンの全体構成
について説明する。同図において符号1は自動車等の車
輌用のエンジンであり、本実施の形態においては水平対
向型4気筒エンジンである。このエンジン1のシリンダ
ヘッド2に形成された各吸気ポート2aに吸気マニホル
ド3が連通され、この吸気マニホルド3に各気筒の吸気
通路が集合するエアチャンバ4を介してスロットルチャ
ンバ5が連通され、このスロットルチャンバ5上流側に
吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエ
アクリーナ7が吸入空気の取り入れ口であるエアインテ
ークチャンバ8に連通され、更に、上記吸気管6の上記
エアクリーナ7の下流側にレゾネータチャンバ9が介装
されている。又、上記シリンダヘッド2の排気ポート2
bに排気マニホルド10を介して排気管11が連通さ
れ、この排気管11に触媒コンバータ12が介装されて
マフラ13に連通されている。
【0031】また、符号14はターボ過給機であり、上
記吸気管6の上記レゾネータチャンバ9の下流にコンプ
レッサが介装され、上記排気管11の中途にタービンが
介装されている。更に、上記ターボチャージャ14のタ
ービンハウジング流入口には、ウエストゲート弁15が
介装され、このウエストゲート弁15には、ウエストゲ
ート弁作動用アクチュエータ16が連設されている。こ
のウエストゲート弁作動用アクチュエータ16は、ダイ
ヤフラムにより2室に仕切られ、一方がウエストゲート
弁制御用デューティソレノイド弁17に連通される圧力
室を形成し、他方が上記ウエストゲート弁15を閉方向
に付勢するスプリングを収納したスプリング室を形成し
ている。
【0032】上記ウエストゲート弁制御用デューティソ
レノイド弁17は、上記レゾネータチャンバ9と上記吸
気管6の上記ターボ過給機14のコンプレッサ下流とを
連通する通路に介装されており、後述する電子制御装置
80(図45参照)から出力される制御信号のデューテ
ィ比に応じて、上記レゾネータチャンバ9側の圧力と上
記コンプレッサ下流側の圧力とを調圧し制御圧として、
上記ウエストゲート弁作動用アクチュエータ16の圧力
室に供給する。
【0033】すなわち、上記電子制御装置80によって
上記ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁1
7を制御し、上記ウエストゲート弁作動用アクチュエー
タ16を作動させて上記ウエストゲート弁15による排
気ガスリリーフを調整することにより、上記ターボ過給
機14による過給圧を制御する。
【0034】一方、上記吸気管6の上記スロットルチャ
ンバ5の直上流にインタークーラ18が介装され、上記
スロットルチャンバ5にスロットル弁5aが介装されて
いる。このスロットル弁5aは、図35に示すアクセル
ペダル19とは機械的に連設しておらず、併設する油圧
式スロットルアクチュエータの一例としての油圧モータ
式スロットルアクチュエータ20の回動によりスロット
ル開度、すなわちスロットル弁5aを通過する吸入空気
流量(以下、「スロットル通過空気流量」という)が制
御される。尚、上記アクセルペダル19を支持するアク
セルレバー19aには、運転者の要求出力量として上記
アクセルペダル19の踏込み量θaccに相応する値を
電子制御装置80へ出力するポテンショメータ等からな
る第1,第2のアクセル開度センサ21a,21bが併
設されている。又、上記電子制御装置80では、第1ア
クセル開度センサ21aで検出した値に基づきアクセル
ペダル19の踏込み量θaccを検出すると共に、両ア
クセル開度センサ21a,21bの出力値を比較して、
両出力値が一致しているか否かで、上記第1アクセル開
度センサ21aの故障診断を行う。
【0035】また、上記吸気マニホルド3に、スロット
ル弁5a下流の吸気管圧力P1を絶対圧で検出する吸気
管圧力センサ22が連通され、更に、上記インタークー
ラ18の下流に上記スロットル弁5a上流の吸気管圧力
であるスロットル前圧力P2を絶対圧で検出するスロッ
トル前圧力センサ23が連通されている。
【0036】更に、上記吸気マニホルド3の各気筒の吸
気ポート2aの直上流側にインジェクタ24が臨まさ
れ、上記シリンダヘッド2には、先端の放電電極を燃焼
室に露呈する点火プラグ25が各気筒毎に取り付けられ
ている。この点火プラグ25には、各気筒毎に配設され
た点火コイル26を介してイグナイタ27が接続されて
いる。
【0037】一方、上記インジェクタ24は燃料供給路
28を介して燃料タンク29に連通されており、この燃
料タンク29にはインタンク式の燃料ポンプ30が設け
られている。この燃料ポンプ30からの燃料は、上記燃
料供給路28に介装された燃料フィルタ31を経て上記
インジェクタ24及びプレッシャレギュレータ32に圧
送され、このプレッシャレギュレータ32から上記燃料
タンク29にリターンされて上記インジェクタ24への
燃料圧力が所定の圧力に調圧される。
【0038】また、上記スロットル弁5aに、スロット
ル開度に応じた電圧値を出力するスロットル開度センサ
33aとスロットル弁全閉でONするアイドルスイッチ
33bとを内蔵したスロットルセンサ33が連設されて
いる。更に、上記エアチャンバ4に吸気温度センサ34
が臨まされ、上記エンジン1のシリンダブロック1aに
ノックセンサ35が取り付けられていると共に、シリン
ダブロック1aの左右バンクを連通する冷却水通路36
に水温センサ37が臨まされ、上記排気マニホルド10
の集合部に排気ガス中の酸素濃度を検出するO2 センサ
38が配設されている。
【0039】また、上記シリンダブロック1aに支承さ
れたクランクシャフト39にクランクロータ40が軸着
され、このクランクロータ40の外周に、所定のクラン
ク角に対応する突起を検出する電磁ピックアップ等から
なるクランク角センサ41が対設され、更に、上記クラ
ンクシャフト39に対して1/2回転するカムシャフト
42に連設されたカムロータ43に、電磁ピックアップ
等からなる気筒判別用のカム角センサ44が対設されて
いる。
【0040】上記クランクロータ40は、図36に示す
ように、その外周に突起40a,40b,40cが形成
され、これらの各突起40a,40b,40cが、各気
筒(#1,#2と#3,#4)の圧縮上死点前(BTD
C)θ1,θ2,θ3(本実施の形態においては、θ1
=97゜CA、θ2=65゜CA、θ3=10゜CA)
の位置に形成されている。
【0041】上記クランクロータ40の各突起は、上記
クランク角センサ41によって検出され、BTDCθ
1,θ2,θ3に対応する各クランクパルスがエンジン
1/2回転毎(180゜CA毎)に電子制御装置80へ
出力される。そして、電子制御装置80では、クランク
角センサ41から出力されるクランクパルスの入力間隔
時間をタイマによって計時し、エンジン回転数Neを算
出する。
【0042】また、図37に示すように、上記カムロー
タ43の外周には、気筒判別用の突起43a,43b,
43cが形成され、突起43aが#3,#4気筒の圧縮
上死点後(ATDC)θ4の位置に形成され、突起43
bが3個の突起で構成されて最初の突起が#1気筒のA
TDCθ5の位置に形成されている。更に、突起43c
が2個の突起で形成され、最初の突起が#2気筒のAT
DCθ6の位置に形成されている。尚、本実施の形態に
おいては、θ4=20゜CA、θ5=5゜CA、θ6=
20゜CAに設定されている。そして、上記カムロータ
43の各突起が上記カム角センサ44によって検出さ
れ、カム角センサ44からカムパルスとして電子制御装
置80へ出力され、電子制御装置80は、各気筒の燃焼
行程順を#1→#3→#2→#4とした場合、この燃焼
行程順と、上記カム角センサ44からのカムパルスをカ
ウンタによって計数した値とのパターンに基づき、気筒
判別を行う。
【0043】上記油圧モータ式スロットルアクチュエー
タ20について図38〜図44に基づき詳細に説明する
と、スロットル弁5aを作動する油圧モータ式スロット
ルアクチュエータ20は、エンジン1の運転に伴い発生
する油圧を駆動源とするもので、本実施の形態において
は、図38及び図39に示すように、パワーステアリン
グ機構45における作動油のパワステ油圧を採用し、パ
ワステオイルリターン通路中のパワステ油圧を用いる。
【0044】ここで、エンジン1の運転に伴い発生する
油圧としてエンジンオイル或いは自動変速機(オートマ
チックトランスミッション、AT)のATオイルの油圧
を採用することも考えられるが、エンジンオイル系にお
いては、油圧(オイルポンプ吐出圧)が1〜3kg/c
m2、オイル流量(吐出量)が4〜50l/minであ
り、油圧が低く、且つ油量もエンジン回転数に応じて大
きく変動し不安定のため、エンジンオイル系の油圧を用
いた場合には、油圧モータ式スロットルアクチュエータ
20を満足に駆動するには不十分であり、且つ制御性も
悪化する。また、ATオイル系の油圧においては、例え
ば、ライン圧を用いた場合には、油圧(ライン圧)が
4.5〜16kg/cm2であり油圧が比較的高く、ま
た、オイル流量も比較的安定しているが、手動変速機
(マニュアルトランスミッション、MT)搭載車に適用
できない不都合がある。
【0045】これに対して、パワーステアリングは略全
ての自動車に採用されており、パワーステアリングオイ
ル系の油圧(パワステ油圧)は75〜80kg/cm
2、オイル流量は5〜7l/minであり、油圧が高
く、且つ油圧及び流量とも略一定であり安定している。
従って、パワーステアリング機構20のパワステ油圧を
油圧モータ式スロットルアクチュエータ20の駆動源と
して用いることで、スロットル弁5aを作動させるに十
分な駆動力、及び十分且つ安定したスロットル開度制御
性を得ることが可能となる。
【0046】パワーステアリング機構45については、
周知のようにエンジン1によりベルト等の伝動機構46
を介してオイルリザーバ47内に配設されたベーンポン
プ47aが駆動され、ベーンポンプ47aからパワステ
オイルが吐出される。吐出されたパワステオイルは、上
記ベーンポンプ47aと一体のフローコントロールバル
ブ47bによりエンジン回転数に応じて適量に制御され
(5〜7l/min)、且つリリーフバルブ47cとの
共働によりパワステ油圧が制御され(75〜80kg/
cm2)、パワステオイル供給通路48を介してステア
リングホイール49a,ステアリングシャフト49b,
ピニオン軸49cと一体のコントロールバルブ49dに
供給される。
【0047】そして、ステアリングホイール49aによ
りステアリング操舵を加えると、該ステアリングホイー
ル49a,ステアリングシャフト49b,ピニオン軸4
9cと一体のコントロールバルブ49dが働き、転舵方
向に従ったパワステオイルの流路が形成され、パワステ
オイルは、通路50aまたは通路50bを通り、パワー
シリンダ51の第1作動室51aまたは第2作動室51
bに供給される。第1作動室51a(第2作動室51
b)に入ったパワステオイルは、ラック軸52と一体の
ラックピストン52aに作用し、ラック軸52に図39
において右(左)への軸力を発生させ、操舵力を補助軽
減する。ラックピストン52aの移動により、第2作動
室51b(第1作動室51a)内のパワステオイルは押
し出され、通路50b(通路50a)、コントロールバ
ルブ49d、パワステオイルリターン通路53a,53
bを経由して、オイルリザーバ47へ戻される。
【0048】ここで、上記パワステオイルリターン通路
53a,53bが油圧モータ式スロットルアクチュエー
タ20に延出されて、パワステ油圧が駆動源として油圧
モータ式スロットルアクチュエータ20に供給される。
【0049】油圧モータ式スロットルアクチュエータ2
0は、図39に示すように、スロットルチャンバ5の外
部に固定され、このスロットルアクチュエータ20のケ
ース本体55がスロットル弁5a側を開口した円筒形状
に形成され、その開口部にスロットルチャンバ5に形成
されたボス部5bに当接し且つ油圧モータ式スロットル
アクチュエータ20内に供給されるパワステオイルをシ
ールするための蓋体56が配設されている。そして、上
記ケース本体55内にパワステオイル油圧により回転動
作するプレート57が内装されており、このプレート5
7に、スロットル弁5aのスロットルシャフト5cの一
端が上記蓋体56を貫通して固定されている。なお、ス
ロットルシャフト5cの他端は、スロットルチャンバ5
の外部に装着された上記スロットルセンサ33に連接さ
れる。
【0050】また、図40に示すように、ケース本体5
5の内部に、扇状の2組の油圧室55a,55bが形成
され、この油圧室55a,55b内に上記プレート57
に突出形成されたピストン57a,57bが移動自在に
挿通されている。
【0051】そして、これらピストン57a,57bに
より各油圧室55a,55bがそれぞれ第1油圧作動室
55cと第2油圧作動室55dとに仕切られ、各第1,
第2油圧作動室55c,55dが、ケース本体55内に
形成された2組の第1,第2オイル通路55e,55f
をそれぞれ介して、ケース本体55の中心部に配設され
たロータリバルブ58の回転によって、上記パワステア
リング機構45のコントロールバルブ49dからのパワ
ステオイルリターン通路53aに連通するオイル供給室
55gと、オイルリザーバ47へのパワステオイルリタ
ーン通路53bに連通するドレイン室55hとに選択的
に連通されるようになっている。
【0052】また、上記ロータリバルブ58は、ケース
本体55に回転可能に支持されており、ロータリバルブ
58のバルブシャフト58aがケース本体55を貫通し
て延出され、バルブシャフト58aの先端に180°対
向するS,N極(図40において上方がN極、下方がS
極)を備えた永久磁石からなるロータ磁石59が取付固
定されている。従って、ロータリバルブ58、バルブシ
ャフト58a、及びロータ磁石59によりロータが構成
されている。
【0053】なお、上記ロータリバルブ58及びロータ
磁石59は、図示しないストッパにより図40の中立位
置に対し、図42、図44に示すように、時計回り方
向、反時計回り方向に各θR(本実施の形態において
は、θR=20°)の回動範囲に規制されている。
【0054】更に、上記ロータ磁石59と対向するよう
に、U字状(図39においては逆U字状)の積層コア6
2がケース60の内周面に取付固定されており、このケ
ース60が上記ケース本体55に固定されている。そし
て、積層コア62の中央部の外周に励磁コイル63が巻
装されており、上記積層コア62と励磁コイル63とに
よりソレノイド61が構成される。すなわち、本実施の
形態では、ロータリソレノイド構造によりアクチュエー
タ20内のパワステオイルの通路接続を切換えること
で、第1油圧作動室55c、或いは第2油圧作動室55
dへのパワステオイル供給、排出を切換えて、ピストン
57a,57bの回動によりプレート57を回転させ、
これにより、このプレート57に固定されたスロットル
シャフト5cを介してスロットル弁5aを開閉作動させ
る。
【0055】また、図41に示すように、上記励磁コイ
ル63の両端端子63a,63bがHブリッジ回路64
に接続されている。このHブリッジ回路64は、インバ
ータ65と、4個の電界効果トランジスタ(Field Effe
ct Transistor、以下「FET」と略記する)FET1
〜FET4とからなり、FET1及びFET3はPチャ
ンネル形FETであり、ゲート電圧がHレベルのときO
FFし、ゲート電圧がLレベルのときONしてドレイン
D〜ソースSが接続され、FET2及びFET4はNチ
ャンネル形FETであり、逆にゲート電圧がHレベルの
ときONしてドレインD〜ソースSが接続され、ゲート
電圧がLレベルのとき、OFFする。
【0056】そして、後述する電子制御装置80のPW
M信号出力回路103にインバータ65の入力端子が接
続されると共にFET1及びFET2のゲートGが接続
され、上記インバータ65の出力端子にFET3及びF
ET4のゲートGが接続されている。また、FET1及
びFET2の各ドレインDが上記励磁コイル63の一方
端子63aに接続され、FET3及びFET4の各ドレ
インDが励磁コイル63の他方端子63bに接続され、
更に、FET1及びFET3の各ソースSがグランド接
続(接地)され、FET2及びFET4の各ソースSが
12V電源(バッテリ)に接続されている。
【0057】本実施の形態においては、電子制御装置8
0において演算されたデューティ比DUTYに比例して
デューティ比DUTYが大きいほど、PWM信号出力回
路103から一定周期Tに対するHレベル電圧(5V電
圧)出力時間、すなわち、ON時間TONが長くなるPW
M信号(パルス幅変調信号)が出力される(図29参
照)。
【0058】そして、TON時間によりPWM信号出力回
路103からHレベル電圧出力のときには、FET2及
びFET3がONし、FET1及びFET4がOFFす
ることで、励磁コイル63の一方端子63aがFET2
により12V電源に接続されると共に、他方端子63b
がFET3によりグランド接続され(図30参照)、図
41に実線の矢印で示すように、励磁コイル63に順方
向の電流(順電流)が流れ、同図において左方向に、積
層コア62に励磁コイル63の励磁による磁界が発生し
て、積層コア62の一方端62aにN極、他方端62b
にS極の磁極が発生する。また、PWM信号のLレベル
電圧(0V)期間中は、逆にFET2及びFET3がO
FFし、FET1及びFET4がONし、励磁コイル6
3の一方端子63aがFET1によりグランド接続され
ると共に、他方端子63bがFET4によって12V電
源に接続され(図30参照)、図41に破線の矢印で示
すように、励磁コイル63に逆方向の電流(逆電流)が
流れ、同図において右方向に、積層コア62に励磁コイ
ル63の励磁による磁界が発生して、積層コア62の一
方端62aにS極、他方端62bにN極の磁極が発生す
る。
【0059】従って、上記ロータリバルブ58は、該ロ
ータリバルブ58と一体のロータ磁石59と、上記ソレ
ノイド61との吸引力・反発力によって、図40の中立
位置に対し最大±20°回動し(上述のように図示しな
いストッパによる規制位置まで回動可能)、上記デュー
ティ比DUTYが50%よりも大きくPWM信号のON
時間TONが一定周期時間Tに対して50%よりも大きい
ほど、逆電流に対し順電流期間が増加して、ロータ磁石
59とこれと一体のロータリバルブ58が図の反時計回
り方向に回動し、これにより、各第1油圧作動室55c
が第1オイル通路55eを介してオイル供給室55gに
連通して第1油圧作動室55cにパワステオイルが供給
されると共に、各第2油圧作動室55dが第2オイル通
路55fを介してドレイン室55hに連通して第2油圧
作動室55d内のパワステオイルが排出され、第1油圧
作動室55c内に供給されるパワステオイルの油圧によ
ってピストン57a,57bが図の時計回り方向に回動
して、このピストン57a,57bと一体のプレート5
7を介してスロットルシャフト5cが時計回り方向に回
転し、スロットル弁5aの開度が増加される。
【0060】そして、上記デューティ比が100%でP
WM信号のTON時間TONが100%のとき、上記励磁コ
イル63に順方向に最大電流が流れ、ロータリバルブ5
8の反時計回り回動速度が最大となり、第1油圧作動室
55cに連通する第1オイル通路55eのオイル供給室
55gに対する開口面積の増大速度、及び第2油圧作動
室55dに連通する第2オイル通路55fのドレイン室
55hに対する開口面積の増大速度が最大となって、こ
れに伴いピストン57a、57bの時計回り方向の回動
速度、すなわち、スロットル弁5aの開弁速度が最大と
なる。
【0061】また、上記デューティ比DUTYが50%
よりも小さくPWM信号のON時間TONが一定周期Tに
対して50%よりも大きいほど、順電流に対し逆電流期
間が増加して、ロータ磁石59とこれと一体のロータリ
バルブ58が図の時計回り方向に回動し、逆に、各第1
油圧作動室55cが第1オイル通路55eを介してドレ
イン室55hに連通して第1油圧作動室55cのパワス
テオイルが排出されると共に、各第2油圧作動室55d
が第2オイル通路55fを介してオイル供給室55gに
連通して第2油圧作動室55dにパワステオイルが供給
され、第2油圧作動室55d内に供給されるパワステオ
イルの油圧によってピストン57a,57bが図の反計
回り方向に回動して、このピストン57a,57bと一
体のプレート57を介してスロットルシャフト5cが反
時計回り方向に回転し、スロットル弁5aの開度が減少
する。
【0062】そして、上記デューティ比DUTYが0%
でPWM信号のTON時間TONが0%のとき、上記励磁コ
イル63に逆方向に最大電流が流れ、ロータリバルブ5
8の時計回り回動速度が最大となり、第1油圧作動室5
5cに連通する第1オイル通路55eのドレイン室55
hに対する開口面積の増大速度、及び第2油圧作動室5
5dに連通する第2オイル通路55fのオイル供給室5
5gに対する開口面積の増大速度が最大となって、これ
に伴いピストン57a、57bの反時計回り方向の回動
速度、すなわち、スロットル弁5aの閉弁速度が最大と
なるなお、デューティ比DUTYが50%でPWM信号
のON時間TONが一定周期Tに対して50%のとき、励
磁コイル63の平均的な電流値がゼロとなり、これによ
って、ロータリバルブ58が中立位置となりスロットル
弁5aが停止する。
【0063】従って、目標とするスロットル開度(目標
スロットル開度)よりも実際のスロットル開度(実スロ
ットル開度)が小さければ、それに応じて50%より大
きいデューティ比DUTYのPWM信号を油圧モータ式
スロットルアクチュエータ20に与えることで、スロッ
トル弁5aは時計回り方向に回転し、実スロットル弁開
度が増大する。また、目標スロットル開度よりも実スロ
ットル開度が大きければ、それに応じ50%よりも小さ
いデューティ比DUTYのPWM信号を油圧モータ式ス
ロットルアクチュエータ20に与えることで、スロット
ル弁5aが反時計回り方向に回動し、実スロットル回度
が減少する。そして、実スロットル開度が目標スロット
ル回度に一致したときデューティ比DUTYが50%の
PWM信号を油圧モータ式スロットルアクチュエータ2
0に与えることで、スロットル弁5aが停止する。
【0064】ここで、PWM信号の周波数が高いと(一
定周期Tが短い)、油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20の精度は向上するものの動作速度が遅くなり、
また、PWM信号の周波数が低いと(一定周期が長
い)、励磁コイル63の順電流期間と逆電流期間の増大
によりロータリバルブ58の振動が大きくなり、制御性
が悪化するため、PWM信号の周波数は、デューティ比
DUTY=50%においてロータリバルブ58が僅かに
(振幅1度程度)振動する程度の値を選択する(本実施
の形態では、250Hz)。
【0065】また、図40に示すロータリバルブ58の
中立位置で、全てのポートが開いている(アンダーラッ
プする)構成となっており、オイル供給室55gとドレ
イン室55hとの連通により、オイル供給室55gから
ドレイン室55hへ容易にパワステオイルが流れ、パワ
ステオイルのリターン系を油圧モータ式スロットルアク
チュエータ20の駆動源として用いてもパワーステアリ
ングに影響を与えないようになっている。
【0066】そして、図42に示すように図の反時計回
り方向に各ピストン57a,57bが回動して各ピスト
ン57a,57bが各油圧室55a,55bの反時計回
り方向壁面に当接したとき、スロットル弁5aが全閉位
置に規制され、一方、図44に示すように時計回り方向
に各ピストン57a,57bが回動して各ピストン57
a,57bが各油圧室55a,55bの時計回り方向壁
面に当接したとき、スロットル弁5aが全開位置に規制
される。
【0067】ここで、スロットルアクチュエータとして
パワステオイルを駆動源とする油圧モータ式スロットル
アクチュエータ20を用いることにより、従来のステッ
プモータ式スロットルアクチュエータ、サーボモータ式
スロットルアクチュエータに対し、下記の利点を有す
る。
【0068】(1)パワステオイル系は上述のように油
圧が高く安定しており、且つ流量も比較的多く安定して
いるため、スロットルアクチュエータの動作速度が早
く、また、スロットルアクチュエータ内はパワステオイ
ルにより潤滑され摩耗部分がほとんどなく、耐久性に優
れる。
【0069】(2)油圧モータ部等は単純なダイキャス
トにより制作可能であり、コストを低減することができ
る(従来のロータリソレノイド式アイドル回転数制御弁
(ISC弁)と同等のコストで実現可能)。
【0070】(3)油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20の制御回路(PWM信号出力回路103、Hブ
リッジ回路64)のコストは、従来のISC弁駆動回路
と同等以下のコストで実現できる。
【0071】(4)油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20に対する制御ソフトは、目標スロットル開度に
対する実スロットル開度の開度誤差(=目標スロットル
開度−実スロットル開度)に応じてデューティ比DUT
Yを設定するだけであり、計算負荷が軽く、エンジン制
御と容易に統合できる。
【0072】(5)油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20の駆動源はパワステオイル系のリターン油圧を
用いるので、パワーステアリングに影響を及ぼすことな
く実現でき、油圧モータ式スロットルアクチュエータ2
0への油圧配管を追加するのみで容易に実現できる。
【0073】しかし、エンジン運転に伴い発生する油圧
(本実施の形態においては、パワステオイルの油圧)を
駆動源とする油圧モータ式スロットルアクチュエータ2
0においては、走行中およびアイドル中にはパワステオ
イルの油圧が途切れることはないので問題ないが、唯一
の留意点は、エンジンクランキング時および低温始動直
後等、油圧不足時に工夫が必要となることである。
【0074】そこで、−30°Cでエンジン始動でき、
且つ始動後アイドルを維持できるスロットル開度を、例
えば、15%開度(スロットル弁5aの全開開度を10
0%としたときの15%の開度)とすれば、パワステオ
イルの油圧がゼロの時にスロットル弁5aが15%開度
の初期設定開度となるよう、図39及び図40に示すよ
うに、エンジン始動のための初期設定開度をスロットル
弁5aに与える初期位置決め機構66が上記油圧モータ
式スロットルアクチュエータ20に設けられている。な
お、本実施の形態においては、図39に示すように、上
記初期位置決め機構66は、上記蓋体56とスロットル
チャンバ5との間の空間に配設される。
【0075】この初期位置決め機構66は、洗濯挟み状
のクリップからなり、スロットル弁5aのスロットルシ
ャフト5cに対して回転可能なクランプによって、スロ
ットルシャフト5cの回転位置をスロットルチャンバ5
に立設固定された固定ピン67の位置に一致させること
で、スロットル弁5aを初期設定開度にするものであ
る。すなわち、初期位置位置決め機構66は、スロット
ルシャフト5cが回転自在に挿通された第1,第2のク
リップ片68a,68bと、両クリップ片68a,68
bにより上記固定ピン67を狭持するためこれらクリッ
プ片68a,68bに架け渡された引っ張りスプリング
69とから構成される。
【0076】そして、スロットルシャフト5cに固設さ
れ先端部が曲げ起こし形成されたレバー5dの両側面が
上記固定ピン67よりも内周側で上記両クリップ片68
a,68bの内面に当接され、油圧モータ式スロットル
アクチュエータ20に供給されるパワステオイルの油圧
がゼロ或いは微小のとき、上記スプリング69の付勢力
によって第1,第2のクリップ片68a,68bによ
り、スロットルチャンバ5に立設固定された固定ピン6
7と共に上記レバー5dが挟持され、スロットルシャフ
ト5cの回転位置が固定ピン67の位置と一致し、スロ
ットルシャフト5cと連結するスロットル弁5aの開度
が初期設定開度(15%開度)に保持される。
【0077】これにより、エンジンクランキング時およ
び低温始動直後等の油圧不足時に、スロットル弁5aが
初期設定開度(15%開度)に保持されて、エンジン始
動及び始動後アイドルが確保される。
【0078】なお、クランプに用いる上記引っ張りスプ
リング69の付勢力(引っ張り力)は、油圧モータ式ス
ロットルアクチュエータ20の通常動作時の回転力に比
べて十分に小さい力となるように設定する。
【0079】そして、エンジン始動後、パワステオイル
の油圧が十分上昇すると、油圧モータ式スロットルアク
チュエータ20の回転力により初期位置決め機構66の
引っ張りスプリング69の付勢力に抗し、スロットルシ
ャフト5cを介してスロットル弁5aが動作される。す
なわち、油圧モータ式スロットルアクチュエータ20の
回転力によりスロットル弁5aが初期設定開度から閉弁
されるときには、図42に示すように、第2のクリップ
片68bは固定ピン67に当接したまま、第1のクリッ
プ片68aは、油圧モータ式スロットルアクチュエータ
20の回転力によるスロットルシャフト5cの回転によ
り、このスロットルシャフト5cに固設されたレバー5
dの左側端面により押圧されて、引っ張りスプリング6
9の付勢力に抗し、スロットルシャフト5c及びレバー
5dと共に反時計回り方向に回転し、固定ピン67から
離間する。
【0080】一方、油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20の回転力によりスロットル弁5aが初期設定開
度から開弁されるときには、図43(図43はスロット
ル弁が50%開度のときを示す)又は図44に示すよう
に、逆に、第1のクリップ片68aが固定ピン67に当
接したまま、第2のクリップ片68bが、油圧モータ式
スロットルアクチュエータ20の回転力によるスロット
ルシャフト5cの回転により、このスロットルシャフト
5cに固設されたレバー5dの右側端面により押圧され
て、引っ張りスプリング69の付勢力に抗し、スロット
ルシャフト5c及びレバー5dと共に時計回り方向に回
転し、固定ピン67から離間する。
【0081】従って、エンジン始動後においてパワステ
オイルの油圧が十分上昇した後は、この初期位置決め機
構66によって、油圧モータ式スロットルアクチュエー
タ20によるスロットル弁5aの閉弁或いは開弁動作が
阻害されることはない。
【0082】次に、電子制御装置(ECU)80の構成
を図45に基づいて説明する。ECU80は、燃料噴射
制御、点火時期制御、スロットル開度制御等を行なうメ
インコンピュータ81と、ノック検出処理専用のサブコ
ンピュータ91との2つのコンピュータを中心として構
成され、各部に所定の安定化電源を供給する定電圧回路
101、上記メインコンピュータ81に接続される駆動
回路102、PWM信号出力回路103、及びA/D変
換器104、及びサブコンピュータ91に接続される各
種の周辺回路が内蔵されている。
【0083】上記定電圧回路101は、電源リレー11
0のリレー接点を介してバッテリ111に接続され、バ
ッテリ111に、上記電源リレー110のリレーコイル
がイグニッションスイッチ112を介して接続されてい
る。また、上記定電圧回路101は、直接、上記バッテ
リ111に接続されており、イグニッションスイッチ1
12がONされて電源リレー110のリレー接点が閉と
なるとECU80の各部へ電源を供給する一方、上記イ
グニッションスイッチ112のON,OFFに拘らず、
常時、メインコンピュータ81のバックアップRAM8
5にバックアップ用の電源を供給する。更に、上記バッ
テリ111には、燃料ポンプリレー113のリレー接点
を介して燃料ポンプ30が接続されている。
【0084】上記メインコンピュータ81は、CPU8
2、ROM83、RAM84、バックアップRAM8
5、カウンタ・タイマ群86、シリアル通信インターフ
ェースであるSCI87、及び、I/Oインターフェイ
ス88がバスライン89を介して互いに接続されたマイ
クロコンピュータであり、上記バックアップRAM85
には、上記イグニッションスイッチ112のON,OF
Fに拘らず、上記定電圧回路101からバックアップ電
源が常時供給されてデータが保持される。
【0085】なお、上記カウンタ・タイマ群86は、フ
リーランカウンタ、カム角センサ信号(カムパルス)の
入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射用タイ
マ、点火用タイマ、定期割込みを発生させるための定期
割込み用タイマ、クランク角センサ出力信号(クランク
パルス)の入力間隔計時用タイマ、及び、システム異常
監視用のウオッチドッグタイマ等の各種タイマを便宜上
総称するものであり、上記メインコンピュータ81にお
いては、その他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマ
が用いられる。
【0086】又、上記サブコンピュータ91も、上記メ
インコンピュータ81と同様、CPU92、ROM9
3、RAM94、カウンタ・タイマ群95、SCI9
6、及び、I/Oインターフェイス97がバスライン9
8を介して互いに接続されたマイクロコンピュータであ
り、上記メインコンピュータ81とサブコンピュータ9
1とは、上記SCI87,96を介してシリアル通信ラ
インにより互いに接続されている。
【0087】上記メインコンピュータ81のI/Oイン
ターフェイス88の入力ポートには、アイドルスイッチ
33b、車速センサ71、エアコンスイッチ72、自動
変速機のシフトレバーによるレンジ位置を検出するシフ
トスイッチ73(MT車の場合はニュートラルスイッ
チ)、ラジエータファンスイッチ74、クランク角セン
サ41、及びカム角センサ44が接続されており、更
に、上記A/D変換器104を介して、第1アクセル開
度センサ21a、第2アクセル開度センサ21b、吸気
管圧力センサ22、スロットル前圧力センサ23、スロ
ットル開度センサ33a、吸気温度センサ34、水温セ
ンサ37、及びO2センサ38が接続されると共に、バ
ッテリ電圧VBが入力されてモニタされる。
【0088】又、上記I/Oインターフェイス88の出
力ポートには、イグナイタ27が接続されると共に、ウ
エストゲート弁制御用デューティソレノイド弁17、イ
ンジェクタ24、及び燃料ポンプリレー113のリレー
コイルが上記駆動回路102を介して接続され、更に、
上記PWM信号出力回路103を介して油圧モータ式ス
ロットルアクチュエータ20のHブリッジ回路64が接
続されている。
【0089】一方、上記サブコンピュータ91のI/O
インターフェイス97の入力ポートに、クランク角セン
サ41、カム角センサ44が接続されると共に、ノック
センサ35がアンプ105、周波数フィルタ106、A
/D変換器107を介して接続され、上記ノックセンサ
35からのノック検出信号が上記アンプ105で所定の
レベルに増幅された後に上記周波数フィルタ106によ
り必要な周波数成分が抽出され、上記A/D変換器10
7にてデジタル信号に変換されて入力される。
【0090】上記メインコンピュータ81では、各セン
サ・スイッチ類からの検出信号を処理し、燃料噴射制
御、点火時期制御、スロットル開度制御等の各種エンジ
ン制御を行い、一方、上記サブコンピュータ91では、
エンジン回転数とエンジン負荷とに基づきノックセンサ
35からの信号のサンプル区間を設定し、このサンプル
区間でノックセンサ35からの信号を高速にA/D変換
して振動波形を忠実にデジタルデータに変換し、このデ
ータに基づきノック発生の有無を判定する。
【0091】上記サブコンピュータ91のI/Oインタ
ーフェイス97の出力ポートは、上記メインコンピュー
タ81のI/Oインターフェイス88の入力ポートに接
続されており、上記サブコンピュータ91でのノック判
定データがI/Oインターフェイス88に出力される。
そして、上記メインコンピュータ81では、上記サブコ
ンピュータ91からノック発生有りの判定結果が出力さ
れると、SCI87を介してシリアル通信ラインよりサ
ブコンピュータ91からノックデータを読込み、このノ
ックデータに基づき直ちに該当気筒の点火時期を遅ら
せ、ノックを回避する。
【0092】このようなエンジン制御系において、イグ
ニッションスイッチ112がONされると、電源リレー
110がONし、上記メインコンピュータ81では、定
電圧回路101を介して各部に定電圧が供給されて各種
制御を実行する。すなわち、CPU82が、ROM83
に記憶されているプログラムに従い、I/Oインターフ
ェイス88を介して入力されるセンサ・スイッチ類から
の検出信号、及びバッテリ電圧VB等を処理し、RAM
84に格納される各種データ及びバックアップRAM8
5に格納されている各種学習値データ、ROM83に記
憶されている固定データ等に基づき、各種制御量を演算
する。そして、演算した燃料噴射量に相応する駆動信号
を所定のタイミングで該当気筒のインジェクタ24に出
力して燃料噴射制御を行い、又、演算した目標スロット
ル開度に対する、スロットル開度センサ33aにより検
出される実際のスロットル開度(以下、「実スロットル
開度」という)の開度誤差に対応するデューティ比DU
TYのデューティ信号をHブリッジ回路64に出力して
油圧モータ式スロットルアクチュエータ20によるスロ
ットル開度制御を行い、更には演算した点火時期に対応
するタイミングでイグナイタ27に点火信号を出力して
点火時期制御を実行する。尚、上記サブコンピュータ9
1はノック検出処理専用のコンピュータであるため、そ
の詳細動作説明は省略する。
【0093】上記メインコンピュータ81による燃料噴
射制御、及びスロットル開度制御を実行するための機能
を図3に基づき説明する。
【0094】運転者の要求出力量として第1アクセル開
度センサ21aの出力値に基づきアクセルペダル19の
踏込み量θaccを検出し(アクセルペダル踏込み量検
出201)、運転者の要求出力量を得るために必要とす
る行程吸入空気量(1気筒が1吸気行程当りに吸入する
空気質量)の目標値、すなわち出力要求行程吸入空気量
としてのアクセルペダル要求行程吸入空気量MGa1を
算出する(アクセルペダル要求行程吸入空気量算出20
2)。また、クランク角センサ41から出力されるクラ
ンクパルスの間隔時間からエンジン回転数Neを算出し
(エンジン回転数算出203)、アイドル回転数でエン
ジンフリクションを相殺するフリクション相当行程吸入
空気量と釣り合うアイドル時の目標値となるアイドル要
求行程吸入空気量MGa2をエンジン回転数Neに基づ
いて設定する(アイドル要求行程吸入空気量設定20
4)。
【0095】一方、スロットル開度センサ33aにより
検出される実スロットル開度θthをエンジン始動のた
めの前記初期設定開度(15%開度)よりも小さい予め
設定された設定値θths(例えば、12%開度相当
値)と比較し、実スロットル開度θthが設定値θth
s以下になったかを判断する(切換条件判別205)。
そして、エンジン始動から実スロットル開度θthが上
記設定値θthsよりも大きい間は、上記アイドル要求
行程吸入空気量MGa2により総目標行程吸入空気量A
を設定し、実スロットル開度θthが設定値θths以
下になった後は、以後、上記アクセルペダル要求行程吸
入空気量MGa1とアイドル要求行程吸入空気量とを加
算して、1気筒が1吸気行程当たりに吸入する実行程吸
入空気量Gaの目標値となる総目標行程吸入空気量Aを
算出する(総目標行程吸入空気量206)。
【0096】そして、不可能な指示値をリミットするた
め総目標行程吸入空気量Aの制御可能な上限値MGam
axと下限値MGaminとを算出し(上限値算出20
7a,下限値算出207b)、上記総目標行程吸入空気
量Aを上限値MGamax、下限値MGaminで制限
し(不可能な指示値のリミット208)、また、エンジ
ン始動から実スロットル開度θthが上記設定値θth
sよりも大きい間は、エンジン回転数Neと吸気管圧力
センサ22により検出されるスロットル弁5a下流の吸
気管絶対圧力P1とに基づき設定される実行程吸入空気
量Gaにより燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3
を設定する。この際、実行程吸入空気量Gaによる燃料
量算出用目標行程吸入空気量MGa3の上限を、上記ア
イドル要求行程吸入空気量MGa2による総目標行程吸
入空気量Aを所定倍した値(本実施の形態では、1.5
×A)によって規制する。又、実スロットル開度θth
が設定値θths以下になった後は、以後、上記不可能
な指示値のリミットした後の総目標行程吸入空気量A
を、燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3として採
用する(燃料量算出用目標行程吸入空気量設定209)
そして、上記燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3
を基本として、燃料系と吸入空気系とにおいて燃料噴射
量Gf、スロットル開度制御量をそれぞれ設定する。す
なわち、上記燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3
が燃料噴射量およびスロットル弁開度を設定するための
目標値となる。
【0097】燃料系では、上記燃料量算出用目標行程吸
入空気量MGa3に対して吸入空気系の油圧モータ式ス
ロットルアクチュエータ20の動作遅れに燃料系を同期
させる為のむだ時間処理を行い(むだ時間遅れ処理21
0)、むだ時間処理後の燃料量算出用目標行程吸入空気
量MGa5に基づき目標空燃比を得るための燃料噴射量
Gfを設定する(燃料噴射量設定211)。そして、燃
料噴射量Gfに基づいてインジェクタ24に対する燃料
噴射パルス幅Tiを設定する(燃料噴射パルス幅設定2
12)。
【0098】すなわち、エンジンクランキングからエン
ジン始動直後の所定期間においては、上述のように、油
圧モータ式スロットルアクチュエータ20の駆動源とな
るパワステオイルの油圧が不足し、目標行程吸入空気量
(総目標行程吸入空気量A)に基づいて油圧モータ式ス
ロットルアクチュエータ20に対するスロットル開度制
御量を設定しても油圧モータ式スロットルアクチュエー
タ20が目標スロットル開度に追従作動することができ
ず、目標吸入空気量に対応するスロットル開度を得るこ
とができない。
【0099】従って、このとき、目標行程吸入空気量
(総目標行程吸入空気量A)に基づいて燃料噴射量Gf
を設定すると、目標吸入空気量に対応するスロットル開
度が得られないため、空燃比状態が悪化して、始動性が
悪化すると共に、始動後のアイドル安定性も悪化する。
【0100】ここで、スロットル開度制御量は上記燃料
量算出用目標行程吸入空気量MGa3を基に設定され、
且つ、エンジン始動直後においては、通常、アクセル解
放状態にあり、上記初期設定開度(15%開度)以下の
スロットル開度要求となる。従って、エンジン始動から
実スロットル開度θthが上記設定値θthsよりも大
きい間は、目標スロットル開度要求に対し実スロットル
開度θthがパワステオイル油圧の不足により追従して
いないことを示し、このときは、実行程吸入空気量Ga
により燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3を設定
し、すなわち、実行程吸入空気量Gaによって燃料噴射
量Gfを設定する。この実行程吸入空気量Gaは、スロ
ットル弁下流の吸気管圧力P1とエンジン回転数Neと
に基づいて設定され、従って、このとき上記実行程吸入
空気量Gaによって設定される燃料噴射量Gfは、Dジ
ェトロニック方式と同様、スロットル弁下流の吸気管圧
力とエンジン回転数とによるエンジン状態に応じ設定さ
れることとなり、エンジン状態に適合する燃料噴射量を
得ることができ、因って、エンジン始動時および始動直
後におけるパワステオイルの油圧不足に伴う油圧モータ
式スロットルアクチュエータ20の不作動に起因する空
燃比状態の悪化が防止され、始動性および始動後アイド
ル安定性を向上することが可能となる。
【0101】更に、このとき、実行程吸入空気量Gaに
よる燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3の上限
を、アイドル時の目標値となる上記アイドル要求行程吸
入空気量MGa2による総目標行程吸入空気量Aを所定
倍した値(本実施の形態では、1.5×A)によって規
制することで、例え、スロットル弁の開弁固着等の故障
に起因して実行程吸入空気量Gaが大きくなったとして
も、これが規制され、過大な燃料噴射量が設定されるの
が防止され、万が一、スロットル弁5aが開弁固着等の
故障を生じても不測の事態が回避される。
【0102】また、エンジン始動後においてエンジン運
転に伴いパワステオイルが流動化してパワステオイルの
油圧が十分上昇し、実スロットル開度θthが設定値θ
ths以下となり、初期設定開度以下のスロットル開度
要求に対して実際にスロットル弁5aが追従して動き出
したことが確認できた後は、アクセルペダル要求行程吸
入空気量MGa1とアイドル要求行程吸入空気量MGa
2とを加算して設定した総目標行程吸入空気量Aによる
燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3により燃料噴
射量Gfを設定することで、目標吸入空気量に対応する
燃料噴射量及びスロットル弁開度を適正に得ることがで
き、スロットル開度と整合する燃料噴射量Gfが得ら
れ、空燃比制御性が向上する。
【0103】なお、本実施の形態においては、油圧が十
分上昇し油圧モータ式スロットルアクチュエータ20が
正規に作動するまでの所定期間の判断を、スロットル開
度θthが上記初期設定開度より小さい設定値θths
以下になったか否かにより行うようにしているが、エン
ジン始動後の経過時間、或いは油圧により判断するよう
にしてもよい。
【0104】一方、吸入空気系では、燃料付着遅れ補正
モデル式により1気筒1サイクル中に噴射燃料の一部が
吸気ポート壁面に付着することによる燃料付着遅れ分に
相当する吸入空気量ΔMtを算出し、上記燃料量算出用
目標行程吸入空気量MGa3から燃料付着遅れ分相当空
気量ΔMtを減算してスロットル開度を設定する際の基
準となるスロットル開度設定用目標行程吸入空気量MG
a4を算出する(燃料付着遅れ補正モデル213)。そ
して、この燃料付着遅れ分の補正の後、逆チャンバーモ
デル式によりスロットル開度を設定する。
【0105】すなわち、エンジン回転数Ne、吸気管圧
力センサ22により検出されるスロットル弁5a下流の
吸気管絶対圧力P1、及び吸気温度センサ34により検
出される吸気温度(絶対温度)T1に基づき実行程吸入
空気量Gaを算出すると共に(実行程吸入空気量設定2
14)、エンジン回転数Ne、スロットル前圧力センサ
23により検出されるスロットル弁5a上流のスロット
ル前圧力P2、及び吸気温度T1に基づきスロットル弁
全開時に相当する気筒へ供給することのできる最大実行
程吸入空気量Gamaxを算出する(最大実行程吸入空
気量設定215)。そして、実行程吸入空気量Gaと上
記スロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4と
の平均値を算出し、この平均値の上記最大実行程吸入空
気量Gamaxに対する割合を表す吸気供給割合SGa
を算出すると共に、実行程吸入空気量Gaとスロットル
開度設定用目標行程吸入空気量MGa4とに基づいて回
転数増減分を算出し、この回転数増減分を現在のエンジ
ン回転数Neに加算してエンジン回転数指標値MNeを
算出し、これら吸気供給割合SGa及びエンジン回転数
指標値MNeに基づき目標スロットル開度Mθthを設
定する(目標スロットル開度設定216)。
【0106】そして、上記目標スロットル開度Mθth
からスロットル開度センサ33aにより検出される実ス
ロットル開度θthを減算して開度誤差Δθthを算出
し、この開度誤差Δθthに基づいてマップ参照により
スロットルアクチュエータ20に対するスロットル開度
制御量としてのデューティ比DUTYを設定し(スロッ
トル開度制御量設定217)、このデューティ比DUT
Yのデューティ信号をPWM信号出力回路103に出力
することで、このデューティ比DUTYに対応するPW
M信号がHブリッジ回路64に出力され、油圧モータ式
スロットルアクチュエータ20の励磁コイル63に流れ
る順電流期間および逆電流期間が制御されて、ロータリ
バルブ58による油路切換えによりピストン57a,5
7b、プレート57が回転し、このプレート57に取付
固定されたスロットルシャフト5cの回転によりスロッ
トル弁5aが目標スロットル開度Mθthに追従するよ
う作動される。
【0107】これら各機能は、後述するように具体的に
は図4〜図20のフローチャートに示す各ルーチンを実
行することにより実現される。
【0108】次に、本実施の形態に係る基本原理につい
て説明する。先ず、エンジン始動から停止までの全運転
領域においてアクセルペダル19の踏込み量θacc、
エンジン回転数Ne等のエンジン運転状態を示す各種パ
ラメータに基づき、1気筒が1吸気行程当たりに吸入す
る空気質量[g]である行程吸入空気量のΔt時間後の目
標値(目標行程吸入空気量)を設定する。そして、エン
ジン始動から実スロットル開度θthが設定値θths
以下になるまでの間は、実行程吸入空気量Gaに基づい
て燃料噴射量Gfを設定すると共に(Dジェトロニック
方式による燃料設定と同義)、目標行程吸入空気量に基
づきスロットル開度を設定し、実スロットル開度θth
が設定値θths以下となった後は、この目標行程吸入
空気量に基づき、所定空燃比を得るための燃料噴射量を
設定すると共に、スロットル開度を設定する。ここで、
所定空燃比を得るために気筒へ供給する吸入空気量がΔ
t時間後に目標行程吸入空気量となるように、スロット
ル弁5aの動的開度を、いわゆる逆チャンバモデル式
(目標行程吸入空気量が決定された場合、Δt時間後の
行程吸入空気量を上記目標行程吸入空気量に一致させる
にはスロットル開度を何度に設定すればよいかを求める
式)を用いて設定する。
【0109】例えば4サイクル4気筒エンジンでの、定
常時のスロットル通過空気質量流量AvQth[g/sec]
は、エンジン回転数をNe[rpm]、目標行程吸入空気量
をMGa[g]とすると、次式によって容易に表わすこと
ができる。 AvQth=2Ne・MGa/60 …(1) 但し、定常状態では、MGa=Ga(Ga:実行程吸入
空気量)である。
【0110】従って、その際におけるスロットル開度θ
thもエンジン回転数Ne及び目標行程吸入空気量MG
aから求められることになる。ここで、上記目標行程吸
入空気量MGaをスロットル弁全開にしたときに相当す
る最大実行程吸入空気量Gamaxにより正規化した値
をパラメータとして、スロットル開度θthは、下記の
関数で表すことができる。 θth=f(MGa/Gamax,Ne) …(2) 一方、過渡時のスロットル通過空気質量流量Qthは、
図21に示すように、チャンバ容積内の吸気質量の変化
分(dM/dt)と、エンジンへ供給された吸入空気質
量流量(2Ne×Ga/60)との和と考えることがで
きる。
【0111】 Qth=dM/dt+2Ne×Ga/60 …(3) ここで、吸気行程の最後では、チャンバ内と各気筒内と
の空気密度がほぼ等しいと仮定した場合、チャンバ容積
をV、行程容積をDとすると、 M/V=Ga/D …(4) の関係が成り立ち、チャンバ内の空気質量Mの変化を実
行程吸入空気量Gaの式で表せば、 dM/dt=V/D・dGa/dt …(5) となる。
【0112】従って、(3)式に(5)式を代入する
と、過渡的なスロットル通過空気流量Qthは、 Qth=(2Ne・Ga/60) +(V/D)・dGa/dt …(6) 従って、 Qth=AvQth+V/D・dGa/dt …(7) となり、定常的なスロットル通過空気流量AQthにチ
ャンバ内の空気変化分を加算した値で示すことができ
る。又、V/D=一定であるため、過渡的なスロットル
通過空気流量Qthは、定常的なスロットル通過空気流
量AvQthと同様、上記(6)式の通り実行程吸入空
気量Gaとエンジン回転数Neとの関数として表すこと
ができる。
【0113】離散時間系で考えた場合、目標行程吸入空
気量MGaが変化したとき、これに実行程吸入空気量
(実際に気筒へ供給される吸入空気量)Gaが追従し、
Δt時間後に目標行程吸入空気量MGaと一致すると仮
定した場合(但し、Δt時間内でのエンジン回転数は一
定)、図22に示すように、目標行程吸入空気量MGa
が変化したときの値を用いて、Δt時間内の平均スロッ
トル通過吸入空気流量AQthを、離散時間系で表す
と、 となる。尚、ここで、AGaは定常状態での平均行程吸
入空気量である。
【0114】上述したように、目標吸入空気量MGaが
設定されたとき、実行程吸入空気量Gaがこれに追従す
ると考えれば、上記平均行程吸入空気量AGaは、 AGa=(Ga+MGa)/2 …(9) として表すことができ、又、行程吸入空気の変化量ΔG
aは、 ΔGa=MGa−Ga …(10) であり、(9),(10)式を(8)式に代入すれば、 AQth=2Ne・((Ga+MGa)/2)/60 +V/D・(MGa−Ga)/Δt …(11) となり、右辺第2項に、(60・AGa)/(60・A
Ga)を掛けると、AGa=(Ga+MGa)/2であ
るため、
【数1】 となる。
【0115】過渡時の平均スロットル通過空気流量AQ
thを上記(12)式のように変形すると、定常時のス
ロットル通過空気流量AvQthを示す(1)式のMG
aに、 (Ga+MGa)/2 …(a) を代入し、Neに、 Ne+[60V・(MGa−Ga) /D・Δt・(Ga+MGa)] …(b) を代入することで、Δt時間後のスロットル通過空気流
量Qthを導き出せることが解る。ここで、上記(b)
式の第2項は、エンジン回転数Neの増減量分であり、
当該(b)式がエンジン回転数指標値MNeとなる。
【0116】従って、定常時のスロットル通過空気流量
AvQthを求めることが出来る場合には、その値を変
形することで、過渡時におけるΔt時間後のスロットル
通過空気流量Qthをも算出することが可能になる。
【0117】ところで、スロットル通過空気流量Qth
は、アイドル時等の少流量に対し最大馬力発生時や急加
速時のスパイク的に急増する領域では、100倍以上変
化する。すなわち、上記スロットル通過空気流量Qth
は、時間を基準としたディメンションであり、例えば、
エンジン回転数が700rpmでのスロットル弁5a全
閉時に対し700rpmでのスロットル弁全開時におい
ては10倍以上大きく、また、エンジン最大回転数を7
000rpmとすると、このときには、単純計算的に、
700rpmの下でのスロットル通過空気量Qthに対
し10倍大きくなり、従って、10×10=100によ
り、アイドル時に対しスロットル弁全開のエンジン最高
回転数時にはスロットル通過空気流量Qthが100倍
以上となり、例えば、1/100の精度を得ようとすれ
ば、ダイナミックレンジは1万倍以上となり、ダイナミ
ックレンジが非常に大きい。
【0118】従って、このダイナミックレンジの大きい
スロットル通過空気流量Qthによりスロットル開度θ
thを設定して全ての領域で高精度に且つ同一制御精度
を得るためには、コンピュータの演算負荷を増加させる
ことになり、高速、大容量のコンピュータが必要にな
り、従来からエンジン制御で採用する既存のコンピュー
タでは演算負荷が重く、満足に対応することができな
い。
【0119】これに対し、本実施の形態では、上記スロ
ットル通過空気流量Qthを直接求めることなく、上記
エンジン回転数指標値MNeと、スロットル弁5aを全
開にしたときの供給量である最大実行程吸入空気量Ga
maxに対するΔt時間の平均行程吸入空気量AGa
(=(Ga+MGa)/2)の割合である吸気供給割合
SGaとに基づき、マップ参照によりスロットル開度θ
thを設定する。
【0120】
【数2】 尚、定常時は、行程吸入空気量Gaと目標行程吸入空気
量MGaとが一致するため、上記(13)式は、前記
(2)式と一致し、定常時においても適用することが出
来る。すなわち、換言すれば過渡状態を含むスロットル
開度θthのセッティングを、定常状態でのセッティン
グで行うことが可能となり、逆に、定常時であれば、上
記(13)式に代えて前記(2)式を採用してスロット
ル開度θthを設定しても良い。
【0121】すなわち、目標行程吸入空気量MGaの最
大実行程吸入空気量Gamaxに対する割合を算出して
該目標行程吸入空気量を正規化し(MGa/Gama
x)、この値とエンジン回転数Neとに基づき、スロッ
トル開度制御量を設定する。
【0122】ところで、Lジェトロニック方式、或いは
Dジェトロニック方式を採用する従来の制御系では、吸
入空気量センサ或いは吸気管圧力センサで気筒へ供給さ
れる吸入空気が計測された後、この吸入空気量に基づい
て燃料噴射量を設定すると云うように、吸入空気系と、
燃料系とが直列の関係にあるため、過渡時においては、
吸入空気系、燃料系双方の遅れが加算的に作用してしま
う。
【0123】例えば、ドライブバイワイヤシステムにお
いて、アクセルペダルを踏込んで、エンジントルクの増
加指示、すなわちスロットルアクチュエータに対してア
クセルペダル踏込み量の増加に相応するスロットル開度
指示が出力された後、実際にエンジントルクが増加され
る迄の追従性の遅れについて検討する。図46に示すよ
うに、吸入空気系において、(1)最初に、スロットル
アクチュエータの動作遅れによりスロットル通過空気流
量の増加遅れが生じ、(2)次に、吸気チャンバへの空
気の充填遅れが生じる。
【0124】その結果、過渡時において気筒へ供給され
る吸入空気量は、ある加算的な遅れを持って増加される
ことになる。この吸入空気系の遅れに引き続いて、燃料
系において、(3)燃料噴射量を決定するために吸入空
気量をセンサにより検出する際に、Dジェトロニック方
式ではスロットル弁下流の吸気管圧力の脈動を除去する
ためのなまし処理が施され、又、Lジェトロニック方式
では吸入空気量センサ固有の遅れがあるため、何れのセ
ンサを用いた場合であっても計測結果にある遅れが生
じ、(4)次に、インジェクタから噴射された燃料の一
部が吸気ポート内に付着し、壁流或いは再蒸発により筒
内へ流入する、いわゆる付着遅れが生じる。
【0125】そして、吸入空気系、燃料系の全ての遅れ
が直列(加算)的に作用した後、増加された吸入空気と
燃料とが共に筒内へ到着されたとき、はじめてエンジン
トルクが増加される。
【0126】これに対して、本実施の形態では、図33
に示すように、吸入空気系と燃料系とが並列に制御され
る関係にあり、例えば、エンジントルクをステップ的に
増加させたい場合、エンジントルクとほぼ比例関係にあ
る目標行程吸入空気量MGaを設定する。そして、燃料
系では、上記目標行程吸入空気量MGaに基づいて燃料
噴射量を設定する。その結果、燃料系における燃料噴射
自体を遅れなく制御することは可能だが、燃料の一部が
吸気ポート壁面に付着する分の遅れが存在する。尚、図
に示されているむだ時間分の遅れは、吸入空気系のスロ
ットルアクチュエータの動作遅れに燃料噴射量を同期さ
せるために加算する強制的な遅れである。
【0127】一方、吸入空気系では、逆チャンバモデル
式を用いて可能な限り遅れなく筒内へ吸入空気を到着さ
せるようなスロットル開度が設定されるが、スロットル
アクチュエータの動作遅れ分の遅れが生じる。尚、燃料
系で燃料付着分の遅れが生じるため、それに同期させて
吸入空気系でも目標行程吸入空気量を強制的に遅らせ
る。
【0128】以上の結果、本実施の形態では、燃料の壁
面付着遅れやスロットルアクチュエータの動作遅れはあ
るものの、燃料系と吸入空気系とが並列の関係にあるた
め、従来のように、それらの遅れが加算されることがな
く、その分、エンジントルクの追従性が良くなる。
【0129】以下、上記ECU80(メインコンピュー
タ81)による燃料噴射制御、及びスロットル開度制御
について、図4〜図20に示すフローチャートに従って
説明する。
【0130】図4に示す初期化ルーチンはイグニッショ
ンスイッチ112のONによりECU80に電源が投入
されたとき、初回のみ実行され、ステップS1で、燃料
噴射量を実行程吸入空気量Gaにより設定(Dジェトロ
ニック方式による燃料噴射量設定)することを指示する
ためのDジェトロニックフラグFLGDJをセットし(F
LGDJ←1)、ルーチンを抜ける。
【0131】これにより、エンジン始動時において、後
述する燃料量算出用目標行程吸入空気量設定サブルーチ
ン(図14)で、燃料噴射量およびスロットル弁開度を
設定するための目標値となる燃料量算出用目標行程吸入
空気量MGa3が実行程吸入空気量Gaにより設定さ
れ、この燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3、す
なわち実行程吸入空気量Gaに基づいて燃料噴射量設定
ルーチン(図19)において燃料噴射量Gfが設定され
る。
【0132】また、図5に示す切換条件判別ルーチン
は、所定時間(例えば、50msec)毎に実行され、
実行程吸入空気量Gaに基づく燃料噴射量Gfの設定
(Dジェトロニック方式による燃料噴射量設定)から目
標行程吸入空気量に基づく所定空燃比を得るための燃料
噴射量Gfの設定への切換条件を判断する。
【0133】すなわち、先ず、ステップS11で、Dジ
ェトロニックフラグFLGDJを参照し、Dジェトロニッ
クフラグFLGDJがクリアされ(FLGDJ=0)、目標
行程吸入空気量による燃料噴射量設定が指示されている
ときには、そのままルーチンを抜け、Dジェトロニック
フラグFLGDJがセットされているときのみ(FLGDJ
=1)、ステップS12へ進み、スロットル開度センサ
33aにより検出される実スロットル開度θthを、エ
ンジン始動のための前記初期設定開度(15%開度)よ
りも小さい予め設定された設定値θths(例えば、1
2%開度相当値)と比較する。
【0134】そして、実スロットル開度θthが設定値
θthsよりも大きいときには(θth>θths)、
エンジンクランキング或いはエンジン始動直後で、パワ
ステオイルの油圧不足により目標スロットル開度要求に
対し実スロットル開度θthが追従していないと判断
し、ルーチンを抜ける。従って、このときには、Dジェ
トロニックフラグFLGDJがセット状態に保持され、実
行程吸入空気量Gaに基づく燃料噴射量の設定(Dジェ
トロニック方式)が継続され、エンジン回転数Neとス
ロットル弁下流の第1の吸気管圧力P1とによるエンジ
ン状態に応じた燃料噴射量Gfが設定されて、エンジン
状態に適合する燃料噴射量が得られ、エンジン始動時お
よび始動直後におけるパワステオイルの油圧不足に伴う
油圧モータ式スロットルアクチュエータ20の不作動に
起因する空燃比状態の悪化が防止され、始動性および始
動後アイドル安定性が向上する。
【0135】一方、ステップS12で、実スロットル開
度θthが設定値θths以下のときは(θth≦θt
hs)、エンジン始動後においてパワステオイルが流動
化してパワステオイルの油圧が十分上昇し、初期設定開
度以下のスロットル開度要求に対して実際にスロットル
弁5aが追従して動き出したことを示し、ステップS1
3で、DジェトロニックフラグFLGDJをクリアして
(FLGDJ←0)、ルーチンを抜ける。
【0136】従って、以後、本ルーチンの実行時にはス
テップS11から、そのままルーチンを抜け、Dジェト
ロニックフラグFLGDJがFLGDJ=0に保持され、目
標行程吸入空気量に基づく燃料噴射量Gfの設定とな
り、上記目標行程吸入空気量により燃料噴射量Gfを設
定することで、目標吸入空気量に対応する燃料噴射量を
スロットル弁開度と共に適正に得ることができ、空燃比
制御性が向上される。
【0137】次に、燃料噴射量設定、及びスロットル開
度設定の説明に先立ち、図6に示す吸気損失質量及び体
積効率設定ルーチンについて説明する。この吸気損失質
量及び体積効率設定ルーチンは、所定時間(例えば、5
0msec)毎に実行され、ステップS21,S22
で、エンジン回転数Neに基づき一次元マップを補間計
算付きで参照して吸気損失質量ηb、及び体積効率ηv
をそれぞれ設定し、ルーチンを抜ける。
【0138】図23に示すように、行程吸入空気量Ga
と、気体密度ρ1に基づき算出する理論行程吸入空気量
Gathとが、ほぼ一次関数で表すことの出来る比例関
係にあり、上記体積効率ηvは、その傾きを示し、又、
吸気損失質量ηbは、理論行程吸入空気量Gathが完
全な真空になる前に実際の行程吸入空気量Gaがゼロに
なる横軸接点を示す。又、上記体積効率ηv、上記吸気
損失質量ηbの値は、理論的には一定であるが、エンジ
ン回転数毎にカムの同調などの影響によって変化するた
め、エンジン回転数Ne毎に設定する必要がある。図2
4に、上記吸気損失質量ηb、及び体積効率ηvを設定
する際に参照する一次元マップの一例を示す。本実施の
形態では8格子の一次元マップを採用している。
【0139】上記吸気損失質量ηb、及び体積効率ηv
は、図7に示す目標スロットル開度設定ルーチンで読込
まれる。この目標スロットル開度設定ルーチンは、所定
時間(例えば、10msec)毎に実行され、ステップ
毎に設定したサブルーチンで、スロットル開度制御に必
要な物理量の演算を行う。以下の説明では、図7に示す
目標スロットル開度設定ルーチンを中心に、各ステップ
において実行されるサブルーチンを順次説明する。
【0140】<ステップS31>このステップS31で
は、図8に示す実行程吸入空気量Gaを設定する実行程
吸入空気量設定サブルーチンが実行される。この実行程
吸入空気量設定サブルーチンでは、先ず、ステップS5
1で、スロットル弁下流の吸気管絶対圧力P1、及び吸
気温度T1に基づきスロットル弁5a下流の空気密度ρ
1を、 ρ1←P1/(T1・R) から算出する。尚、ここで、Rは気体定数である。
【0141】そして、ステップS52で、行程容積(1
行程でピストンが排除する容積)Vcyに上記吸気密度
ρ1を乗算して、理論行程吸入空気量Gathを算出し
(Gath←Vcy・ρ1)、ステップS53で、上記
理論行程吸入空気量Gathを基本として、実行程吸入
空気量Gaを、 Ga←(Gath−ηb)・ηv の一次関数により算出し(図23参照)、ルーチンを抜
ける。
【0142】<ステップS32>ステップS32では、
図9に示す最大実行程吸入空気量設定サブルーチンが実
行される。この最大実行程吸入空気量設定サブルーチン
は、1気筒が1吸気行程当たりに吸入することの可能な
行程吸入空気量Gaの最大値である最大実行程吸入空気
量Gamaxを算出する。
【0143】先ず、ステップS61で、スロットル弁5
a上流の吸気管圧力であるスロットル前圧力P2と吸気
温度T1とに基づき、スロットル全開時に対応するスロ
ットル弁5a下流の空気密度ρ2を、 ρ2←P2/(T1・R) から算出する。
【0144】次いで、ステップS62で、上記空気密度
ρ2に基づき、スロットル全開時理論行程吸入空気量G
aWTを、 GaWT←Vcy・ρ2 から算出し、ステップS63で、上記スロットル全開時
理論行程吸入空気量GaWT、及び前記吸気損失質量η
bと体積効率ηvとに基づき、気筒へ供給することの出
来る最大実行程吸入空気量Gamaxを算出し(Gam
ax←(Gawt−ηb)・ηv)、ルーチンを抜け
る。
【0145】<ステップS33>ステップS33では、
図10に示すアクセルペダル要求行程吸入空気量設定サ
ブルーチンが実行される。先ず、ステップS71で、ア
クセルペダル踏込み量θaccを読込み、ステップS7
2で、アクセルペダル要求行程吸入空気量MGa1を、 MGa1←K1・θacc K1:定数 から算出し、ルーチンを抜ける。
【0146】上記アクセルペダル踏込み量θaccには
運転者の要求出力が反映されており、当該サブルーチン
においては、運転者の要求出力に相応する行程吸入空気
量の目標値を設定する。尚、本実施の形態では、アクセ
ルペダル要求行程吸入空気量MGa1をアクセルペダル
踏込み量θaccに比例する関数として設定しているた
め、単純に計算すると、例えば、1000[rpm]からス
ロットル弁5aを全開にした場合には、アクセルペダル
踏込み量θaccに基づき設定する上記アクセルペダル
要求行程吸入空気量MGa1として、実際にはあり得な
い値が算出されることになるが、このような場合には、
後述する目標行程吸入空気量上限値MGamaxでリミ
ットされるため、制御不能となることはない。又、上記
アクセルペダル要求行程吸入空気量MGa1を設定する
に際しては、アクセルペダル踏込み量θaccのみなら
ず、エンジン回転数Ne、車速、変速比をはじめ、車輪
のスリップ率や前車との車間距離等の因子を加味するよ
うにしても良い。
【0147】<ステップS34>ステップS34では、
図11に示すアイドル要求行程吸入空気量設定サブルー
チンが実行される。このアイドル要求行程吸入空気量設
定サブルーチンでは、アイドル時の要求行程吸入空気量
MGa2が設定される。先ず、ステップS81で、エン
ジン回転数Neを読込み、ステップS82で、エンジン
回転数Neに基づき一次元マップを補間計算付きで参照
してアイドル要求行程吸入空気量MGa2を設定してル
ーチンを抜ける。
【0148】図25に、上記ステップS82で参照する
一次元マップの特性を示す。アイドル要求行程吸入空気
量MGa2は、アイドル回転数でエンジンフリクション
を相殺するフリクション相当行程吸入空気量と釣り合
い、低回転数では大きい値に、高回転数では小さい値に
設定されている。従って、アイドル運転時においては、
上記特性に沿ってアイドル要求行程吸入空気量MGa2
を変化させれば、安定したアイドル運転が得られる。
尚、アイドル要求行程吸入空気量MGa2に、水温セン
サ37による冷却水温、エアコン動作時のアイドルアッ
プ、目標アイドル回転数への追従制御をはじめとする種
々のアイドル制御への要求項目を補正項として加えるこ
とで、より安定したアイドル制御を行うことができる。
【0149】<ステップS35>ステップS35では、
図12に示す目標行程吸入空気量上限値設定サブルーチ
ンが実行される。この目標行程吸入空気量上限値設定サ
ブルーチンでは、逆チャンバモデル式による逆算が不能
となる目標行程吸入空気量の上限側の限界値を設定す
る。
【0150】先ず、ステップS91で、実行程吸入空気
量Gaとエンジン回転数Ne、及び予め設定された最大
エンジン回転数Nemaxとに基づいて目標行程吸入空
気量上限値MGamaxを次式から算出する。 MGamax←[(K2+Nemax−Ne)/ (K2+Ne−Nemax)]・Ga …(14) 但し、K2=60V/(D・Δt)、すなわち、エンジ
ンによって特定される定数であり、上記最大エンジン回
転数Nemaxは、実際のエンジンの限界回転数に対し
てある余裕度を持たせた値(例えば、12000[rp
m])、すなわち実際の限界回転数よりも高い値に設定さ
れている。本実施の形態では、後述するように、スロッ
トル開度を、最大実行程吸入空気量Gamaxに対する
平均行程吸入空気量の割合を表す吸気供給割合SGaと
エンジン回転数指標値MNeとに基づきマップ参照によ
り設定するが、マップの回転数格子の最大値を上記最大
エンジン回転数Nemaxに設定している。実際のエン
ジンの限界回転数に近い値を回転数格子の最大値に設定
すると、限界回転数付近での制御性に余裕が無くなり、
制御性能に支障を来してしまうためである。
【0151】そして、ステップS92で、上記(14)
式の右辺第1項の分母(K2+Ne−Nemax)が0
以下かを判断し、(K2+Ne−Nemax)≦0、す
なわち、ゼロ或いは負の値を示すときは、ステップS9
3へ進み、目標行程吸入空気量上限値MGamaxを無
限大に設定し(MGamax←∞)、ルーチンを抜け
る。又、正の値を示すときは、ステップS94へ分岐
し、上記目標行程吸入空気量上限値MGamaxと、前
記最大実行程吸入空気量Gamaxとを比較し、最大実
行程吸入空気量Gamaxが目標行程吸入空気量上限値
MGamax以上のときは、そのまま、ルーチンを抜け
る。一方、最大実行程吸入空気量Gamaxに対して目
標行程吸入空気量上限値MGamaxが上回っていると
きは、ステップS95へ進み、目標行程吸入空気量上限
値MGamaxを最大実行程吸入空気量Gamaxで設
定して(MGamax←Gamax)、ルーチンを抜け
る。
【0152】尚、目標行程吸入空気量上限値MGama
xを設定するのは、以下の理由による。
【0153】前述したように、本実施の形態では、スロ
ットル開度を逆チャンバモデル式を用いて設定するが、
前記(13)式に示すエンジン回転数指標値MNeを決
定する因子である目標行程吸入空気量MGaの値が大き
過ぎて、上記エンジン回転数指標値MNeがマップの回
転格子の最大値を超えてしまうと、理論的に正しい空燃
比制御が実行できなくなる。
【0154】すなわち、前記(13)式のエンジン回転
数指標値MNeは、
【数3】 である。従って、上記(15)式の分母の(K2+Ne
−Nemax)がゼロ或いは負の値を示すときは、上限
を定める必要がないため、ステップS93で目標行程吸
入空気量上限値MGamaxを無限大に設定する。
【0155】一方、(K2+Ne−Nemax)が正の
値、且つ、MGamax>Gamaxのときには、上記
ステップS95で、目標行程吸入空気量上限値MGam
axを最大実行程吸入空気量Gamaxで設定する。こ
れは以下の理由によるためである。
【0156】(1)目標行程吸入空気量MGaは最大実
行程吸入空気量Gamaxを越えることはない。 (2)前記(13)式に示す吸気供給割合SGaが1
(100%)を越えることはない。
【0157】<ステップS36>ステップS36では、
図13に示す目標行程吸入空気量下限値設定サブルーチ
ンが実行される。この目標行程吸入空気量下限値設定サ
ブルーチンでは、逆チャンバモデル式による逆算が不能
となる目標行程吸入空気量の下限側の限界値を設定し、
目標行程吸入空気量MGaが小さくなり過ぎて、前記
(13)式の目標エンジン回転数指標値MNeが負の値
になることを防止する。すなわち、例えば、加速走行か
らアクセルペダル解放の減速要求によりスロットル弁5
aを急閉する場合でも、しばらくはスロットル弁5a下
流のチャンバ内に残留する空気が気筒へ供給されるの
で、目標行程吸入空気量MGaが小さくなり過ぎ、或は
物理的に有り得ない負の値となり、その結果、上記エン
ジン回転数指標値MNeが負の値に設定されてしまう
と、スロットル開度の算出が不能になってしまうので、
当該サブルーチンにおいて制御可能な下限値を設定す
る。
【0158】先ず、ステップS101で、実行程吸入空
気量Gaとエンジン回転数Neとに基づいて目標行程吸
入空気量下限値MGaminを次式から算出する。
【0159】MGamin←[(K2−Ne)/(K2
+Ne)]・Ga 次いで、ステップS102で、上記目標行程吸入空気量
下限値MGaminが負の値かを判断し、負の値(MG
amin<0)のときは、ステップS103へ進み、目
標行程吸入空気量下限値MGaminをゼロとして(M
Gamin←0)、ルーチンを抜け、又、ゼロ或は正の
値(MGamin≧0)のときは、そのままルーチンを
抜ける。
【0160】上記エンジン回転数指標値MNeがゼロ、
或は正の値を示すためには、上記目標行程吸入空気量下
限値MGaminは、ステップS101に示すように、
【数4】 を満足する必要がある。
【0161】又、目標行程吸入空気量MGaが負の値を
取ることは物理的にあり得ないので、ステップS102
において、目標行程吸入空気量下限値MGaminが負
の値を示すときは、ステップS103で、上記目標行程
吸入空気量下限値MGaminをゼロに設定する。
【0162】以上の結果、スロットル開度制御ルーチン
のステップS35,S36で目標行程吸入空気量MGa
の制御可能な上限値MGamaxと下限値MGamin
とを設定し、後述するように、この上限値MGamax
と下限値MGaminとで、1気筒が1吸気行程当たり
に吸入する実行程吸入空気量Gaの目標値となる総目標
行程吸入空気量Aを制限して、燃料噴射量を設定するた
めの指示値となる燃料量算出用目標行程吸入空気量MG
a3を設定することで、燃料噴射制御では、スロットル
開度制御による吸入空気系における吸入空気量の制御が
可能な範囲の中で、予め燃料噴射量を設定することがで
き、過渡を含む全運転領域で適正な空燃比制御を行うこ
とが出来る。
【0163】<ステップS37>ステップS37では、
図14に示す燃料量算出用目標行程吸入空気量設定サブ
ルーチンが実行される。この燃料量算出用目標行程吸入
空気量設定サブルーチンでは、Dジェトロニックフラグ
FLGDJの値に応じ、FLGDJ=1で実行程吸入空気量
Gaによる燃料噴射量設定(Dジェトロニック方式)が
指示されているとき、すなわち、エンジン始動、或いは
エンジン始動直後のときには、アイドル要求行程吸入空
気量MGa2により燃料量算出用目標行程吸入空気量M
Ga3を設定し、又、FLGDJ=0で目標行程吸入空気
量による燃料噴射量の設定が指示されているときには、
各要求行程吸入空気量MGa1,MGa2の総和に基づ
き燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3を設定し、
この燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3が、上記
ステップS35,S36で設定した目標行程吸入空気量
上限値MGamaxと目標行程吸入空気量下限値MGa
minに収まるように上下をリミットする。
【0164】先ず、ステップS111で、Dジェトロニ
ックフラグFLGDJを参照し、FLGDJ=1で実行程吸
入空気量Gaによる燃料噴射量設定が選択されエンジン
始動或いはエンジン始動直後のときには、ステップS1
12へ進み、前記アイドル要求行程吸入空気量MGa2
により総目標行程吸入空気量Aを設定し、FLGDJ=0
でエンジン始動後の通常時により目標行程吸入空気量に
よる燃料噴射量設定が指示されているときには、ステッ
プS113へ進み、前記アクセルペダル要求行程吸入空
気量MGa1とアイドル要求行程吸入空気量MGa2と
の総和により、総目標行程吸入空気量Aを算出し(A←
MGa1+MGa2)、ステップS114で、前回設定
した燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtを読込む。
【0165】そして、ステップS115〜ステップS1
18で、上記目標行程吸入空気量上限値MGamaxと
目標行程吸入空気量下限値MGaminとを上記燃料付
着遅れ分相当空気量ΔMtの値に応じて拡張する。
【0166】ステップS115では、該燃料付着遅れ分
相当空気量ΔMtが正の値かを判断し、燃料付着遅れ分
相当空気量ΔMtが正の値(ΔMt>0)のときは、ス
テップS116へ進み、上記目標行程吸入空気量上限値
MGamaxを上記燃料付着遅れ分相当空気量ΔMt分
だけ加算した値で更新し(MGamax←MGamax
+ΔMt)、ステップS119へジャンプする。又、燃
料付着遅れ分相当空気量ΔMtが負の値或いはゼロ(Δ
Mt≦0)のときは、ステップS117へ進む。
【0167】そして、上記ステップS115からステッ
プS117へ進むと、上記燃料付着遅れ分相当空気量Δ
Mtが負の値かを判断し、負の値(ΔMt<0)のとき
は、ステップS118へ進み、上記目標行程吸入空気量
下限値MGaminを上記燃料付着遅れ分相当空気量Δ
Mt分だけ加算した値で更新し(MGamin←MGa
min+ΔMt)、ステップS119へ進む。又、燃料
付着遅れ分相当空気量ΔMtがゼロ(ΔMt=0)のと
きは、過渡付着量相当空気量Mtが変化していないた
め、そのままステップS119へ進む。
【0168】図16に示すように、後述するスロットル
開度設定用目標行程吸入空気量MGa4を算出する際
に、燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3から上記
燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtを減算することが予め
解っているため、該燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtの
値に応じて、目標行程吸入空気量上限値MGamax、
或いは目標行程吸入空気量下限値MGaminを上記燃
料付着遅れ分相当空気量ΔMt分だけ拡張させておくこ
とで、急なトルク要求に対してのレスポンス特性が向上
し、且つ、吸入空気系のスロットル開度制御と燃料系の
燃料噴射制御との整合性が図られ、適正な空燃比制御性
を得ることが可能となる。
【0169】次いで、ステップS119〜ステップS1
22で、上記ステップS112或いはステップS113
で算出した総目標行程吸入空気量Aが、上記目標行程吸
入空気量上限値MGamaxと目標行程吸入空気量下限
値MGaminとの間に収まるように、上下をリミット
する。
【0170】先ず、ステップS119では、上記総目標
行程吸入空気量Aが目標行程吸入空気量上限値MGam
axを越えているかを判断し、越えているとき(A>M
Gamax)は、ステップS120へ進み、目標行程吸
入空気量上限値MGamaxで上記総目標行程吸入空気
量Aを設定し(A←MGamax)、ステップS123
へジャンプする。又、上記総目標行程吸入空気量Aが上
記目標行程吸入空気量上限値MGamax以下のときは
(A≦MGamax)、ステップS121へ進み、上記
総目標行程吸入空気量Aが目標行程吸入空気量下限値M
Gaminよりも低いかを判断し、低いときは(A<M
Gamin)、ステップS122へ進み、目標行程吸入
空気量下限値MGaminで上記総目標行程吸入空気量
Aを設定し(A←MGamin)、ステップS123へ
進む。又、上記総目標行程吸入空気量Aが目標行程吸入
空気量上限値MGamaxと目標行程吸入空気量下限値
MGaminとの間にあるときは(MGamax≧A≧
MGamin)、そのままステップS123へ進む。
【0171】ステップS123では、再度、Dジェトロ
ニックフラグFLGDJを参照し、FLGDJ=1で実行程
吸入空気量Gaによる燃料噴射量設定が選択されエンジ
ン始動或いはエンジン始動直後のときには、ステップS
124へ進み、実行程吸入空気量Gaを、上記総目標行
程吸入空気量Aを設定倍(本実施の形態では、1.5
倍)した値と比較する。
【0172】そして、1.5×A>Gaのときには、ス
テップS125で、実行程吸入空気量Gaにより燃料量
算出用目標行程吸入空気量MGa3を設定してルーチン
を抜け、又、1.5×A≦Gaのときには、ステップS
126で、総目標行程吸入空気量Aを設定倍した値
(1.5×A)により燃料量算出用目標行程吸入空気量
MGa3を設定し、ルーチンを抜ける。
【0173】ここで、FLGDJ=1のときには、エンジ
ンクランキング或いは始動直後で、パワステオイルの油
圧不足により目標スロットル開度要求に対し実スロット
ル開度θthが追従していない時であり、このときに
は、実行程吸入空気量Gaにより燃料噴射量Gfを設定
するための燃料量算出用目標行程吸入空気基MGa3を
設定することで、実行程吸入空気量Gaによってエンジ
ン回転数Neとスロットル弁下流の第1の吸気管圧力P
1とによるエンジン状態に適合する燃料噴射量Gfを設
定して、エンジン始動時および始動直後におけるパワス
テオイルの油圧不足に伴う油圧モータ式スロットルアク
チュエータ20の不作動に起因する空燃比状態の悪化を
防止し、始動性および始動後アイドル安定性を向上す
る。
【0174】しかし、このとき、スロットル弁の開弁固
着等の故障が生じると、吸気管圧力P1が高くなって実
行程吸入空気量Gaが大きくなり、これに応じて燃料噴
射量が設定されると暴走を生じる虞がある。従って、F
LGDJ=1により実行程吸入空気量Gaによる燃料噴射
量設定が指示されているときには、総目標行程吸入空気
量Aを、アイドル時の目標値となるアイドル要求行程吸
入空気量MGa2のみにより設定し(ステップS11
2)、これを設定倍した値(本実施の形態では、1.5
×A)によって実行程吸入空気量Gaの上限を規制する
ことで、例え、スロットル弁の開弁固着等の故障に起因
して実行程吸入空気量Gaが大きくなったとしても、こ
れを規制し、過大な燃料噴射量の設定を防止して、万が
一、スロットル弁5aの開弁固着等の故障が生じたとし
ても、不測の事態を回避する。
【0175】なお、上記設定倍は、小さ過ぎると実行程
吸入空気量Gaが規制され過ぎて、実行程吸入空気量G
aに応じた、すなわち、エンジン状態に応じた燃料噴射
量が設定できず、空燃比の悪化防止効果が低下し、ま
た、大き過ぎると、スロットル弁5aの開弁固着等に起
因する暴走を適切に防止することができず、1.5程度
が望ましい。
【0176】一方、上記ステップS123において、F
LGDJ=0で目標行程吸入空気量による燃料噴射量の設
定が選択されているエンジン始動後の通常時には、ステ
ップS127へ進み、上記総目標行程吸入空気量Aに
て、燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3を設定
し、ルーチンを抜ける。従って、このときには。アクセ
ルペダル要求行程吸入空気量MGa1とアイドル要求行
程吸入空気量MGa2との加算値により設定され、且つ
上記上限値MGamaxと下限値MGaminとにより
制御可能な値に制限された総目標行程吸入空気量Aによ
って燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3が設定さ
れ、この燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3によ
り、目標吸入空気量に対応する燃料噴射量Gfをスロッ
トル弁開度と共に適正に得ることができ、空燃比制御性
が向上する。
【0177】<ステップS38>ステップS38では、
図15に示す燃料付着遅れ分相当空気量設定サブルーチ
ンが実行される。この燃料付着遅れ分相当空気量設定サ
ブルーチンでは、インジェクタ24から噴射された燃料
の一部が吸気ポート壁面に付着する分の、気筒へ供給さ
れる燃料量に対する付着遅れ(図33参照)を想定し、
吸入空気系の吸入空気量を上記燃料付着遅れに合わせて
遅らせることで、空燃比の適正化を図る。
【0178】先ず、ステップS131で、エンジン回転
数Neに基づき、一次元マップを補間計算付きで参照し
て、燃料付着遅れに関する一次遅れ時定数τを設定す
る。
【0179】例えば、エンジン運転領域毎に、吸気ポー
トに対する定常的な燃料付着量Mxが決定され、ある運
転領域から他の運転領域へ変化する過渡時における過渡
的な燃料付着量Mtは一次遅れを有して新しい運転領域
の定常的な燃料付着量Ms’へ追従するものとした場
合、このような一次遅れ時定数τも、運転領域毎に決定
される。図26(a)に示すように、上記一次元マップ
には、エンジン回転数Neが高回転へ移行するに従って
吸気ポートを通過する吸入空気の流速が速くなるため、
次第に短い値の一次遅れ時定数τが格納されている。
【0180】次いで、ステップS132で、エンジン回
転数Neと前記燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa
3とに基づき、1吸気ポート当たりのポート吸気流量Q
pを、次式から算出する。 Qp←(Ne・MGa3)/K3 [mg/10 ms] …(17) ここで、K3は使用するエンジンによって決定される定
数で、4サイクル4気筒エンジンの場合、演算周期が1
0msであるため、K3=2・60・100である。但
し、燃料付着遅れは低負荷、低回転運転領域で顕著に現
れ、高負荷、高回転領域(例えば、6000[rpm]以
上)では殆ど問題にならないため、このような高負荷、
高回転領域では、ポート吸気流量Qpを一定値としても
良い。
【0181】次いで、ステップS133で、上記ポート
吸気流量Qpに基づき一次元マップを補間計算付きで参
照して定常付着量相当空気量Msを設定する。この定常
付着量相当空気量Msは、目標空燃比を理論空燃比(14.
6)等のように固定値とし、定常的な付着量Mxに空燃比
を乗算して設定した値であり、図26(b)に示すよう
に、ポート吸気流量Qpが増加するに従い、すなわちエ
ンジン運転領域が高負荷、高回転側へ移行するに従い、
定常付着量相当空気量Msの変化が次第に少なくなる。
【0182】その後、ステップS134で、前回(10 m
s前に)設定した過渡付着量相当空気量Mtを前回の過
渡付着量相当空気量MtOLDとし、ステップS135
で、今回設定した定常付着量相当空気量Msと前回設定
した過渡付着量相当空気量Mtとを、次式に基づき加重
平均処理して、今回の過渡付着量相当空気量Mtを算出
する。
【0183】Mt←[Mt・(τ−1)+Ms]/τ 次いで、ステップS136へ進み、前回算出した過渡付
着量相当空気量MtOLDと今回算出した過渡付着量相当
空気量Mtとに基づき、次式から1気筒1サイクル中の
燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtを算出し、ルーチンを
抜ける。
【0184】 ΔMt←(Mt−MtOLD)・T2/10[ms] ここで、T2は1気筒の1サイクルに要する時間、すな
わち2回転時間である。
【0185】このように、燃料付着モデル式を用いて燃
料の壁面付着による筒内への到着遅れを想定し、吸入空
気系を燃料付着遅れに合わせて遅らせるようにすること
で、応答性を多少犠牲にする反面、複雑、且つ激しく変
化する過渡トルクの要求に対しても安定した空燃比が得
られ、滑らかな過渡トルク特性と排気エミッションの向
上が図れる。
【0186】また、本実施の形態では燃料付着モデルを
順モデルのまま吸入空気系で利用しているので、例え
ば、多量の燃料が吸気ポートに付着した高負荷状態か
ら、瞬時に低負荷状態へ移行したとき、筒内へ流れ込む
付着燃料量がその時の吸入空気量に対して適正な燃料量
を上回っている場合には、燃料噴射量をゼロにしてもオ
ーバリッチとなってしまう。このような場合、従来の燃
料付着逆モデルでは、燃料付着遅れ分の燃料量を燃料噴
射量に加算することで、燃料付着遅れを相殺するように
しているため、燃料噴射量を最小値であるゼロ以外に制
御することが出来ず、空燃比オーバリッチを回避するこ
とは出来ないが、本実施の形態では、上述のように吸入
空気系において燃料付着遅れ分の補正を行うので、筒内
へ流れ込む付着燃料量に合わせて吸入空気量が設定さ
れ、過渡時においても適正な空燃比制御を行うことが出
来る。
【0187】<ステップS39>ステップS39では、
図16に示すスロットル開度設定用目標行程吸入空気量
設定サブルーチンが実行される。このスロットル開度設
定用目標行程吸入空気量設定サブルーチンでは、筒内へ
供給される燃料量に相応する吸入空気量であるスロット
ル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4を算出する。
【0188】すなわち、ステップS141で、燃料量算
出用目標行程吸入空気量MGa3から燃料付着遅れ分相
当空気量ΔMtを減算し、Δt時間後に筒内へ流入する
燃料量に相応する吸入空気量の目標値であるスロットル
開度設定用目標行程吸入空気量MGa4を算出し(MG
a4←MGa3−ΔMt)、ルーチンを抜ける。
【0189】ここで、上記燃料付着遅れ分相当空気量Δ
Mtが正の値のときには(ΔMt>0)、アクセルペダ
ル踏み込み量θaccの増大による加速要求等により燃
料噴射量が増大して前回(10 ms前)の付着燃料量に対
し今回の付着燃料量が増加し、インジェクタ24から噴
射される燃料噴射量に対して実際に気筒に供給される燃
料量が減少することを示し、燃料量算出用目標行程吸入
空気量MGa3から上記燃料付着遅れ分相当空気量ΔM
tを減算してスロットル開度を設定するための目標値と
なるスロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4
を算出することで、筒内に供給される燃料量に適合する
吸入空気量を得るスロットル開度を設定することがで
き、目標とする過渡空燃比に適合する適正空燃比が得ら
れ、空燃比制御性が向上する。
【0190】また、燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtが
正の値のときには、上述のように、上限側の限界値を設
定する目標行程吸入空気量上限値MGamaxが、この
燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtにより拡張されるの
で、スロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4
は、結果的に、実行程吸入空気量Gaとエンジン回転数
Neとに基づいて設定された元の目標行程吸入空気量上
限値MGamaxによって制限されることになり、制御
許容上限が上記燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtに相当
する分、不必要に縮小されることが防止され、スロット
ル開度を設定するための指示値となるスロットル開度設
定用目標行程吸入空気量MGa4を許容限界まで有効に
設定することが可能となる。
【0191】一方、上記燃料付着遅れ分相当空気量ΔM
tが負の値のときには(ΔMt<0)、アクセルペダル
踏み込み量θaccの減少による減速要求等によりスロ
ットル弁が急閉して吸気管負圧によって付着燃料がポー
ト壁面から剥離されて前回(10 ms前)の付着燃料量に
対し今回の付着燃料量が減少し、この付着燃料が気筒に
供給されることで気筒に供給される燃料量が増加するこ
とを示し、燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtはこのとき
マイナス値であり、燃料量算出用目標行程吸入空気量M
Ga3から上記燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtを減算
することで、結果的にスロットル開度を設定するための
目標値となるスロットル開度設定用目標行程吸入空気量
MGa4は燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3に
対して上記燃料付着遅れ分相当空気量ΔMt分、増加さ
れることになり、これによって、減速時においても筒内
に供給される燃料量に適合する吸入空気量を得るスロッ
トル開度を設定することができ、目標とする過渡空燃比
に適合する適正空燃比が得られ、空燃比制御性が向上す
る。
【0192】更に、燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtが
負の値のときには、上述のように、下限側の限界値を設
定する目標行程吸入空気量下限値MGamaxが、この
燃料付着遅れ分相当空気量ΔMtによって、より下限側
に拡張されるので、スロットル開度設定用目標行程吸入
空気量MGa4は、結果的に、実行程吸入空気量Gaと
エンジン回転数Neとに基づいて設定された元の目標行
程吸入空気量下限値MGaminによって制限されるこ
とになり、制御許容下限が上記燃料付着遅れ分相当空気
量ΔMtに相当する分、不必要にアップされることが防
止され、スロットル開度を設定するための指示値となる
スロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4を許
容限界まで有効に設定することが可能となる。
【0193】ところで、上記燃料付着遅れ分相当空気量
ΔMtはその性格上、燃料量算出用目標行程吸入空気量
MGa3が増減する際に、この変化を打ち消す方向、す
なわち燃料増量に対しては減量する方向へ、燃料減量に
対しては増量方向へ作用するため、スロットル開度設定
用目標行程吸入空気量MGa4の変化範囲は、燃料量算
出用目標行程吸入空気量MGa3よりも必ず小さい値に
なる。従って、上記ステップS131で、燃料量算出用
目標行程吸入空気量MGa3から燃料付着遅れ分相当空
気量ΔMtを減算してスロットル開度設定用目標行程吸
入空気量MGa4を得る場合、このスロットル開度設定
用目標行程吸入空気量MGa4がオーバフローしたり、
アンダーフローすることはなく、それらのリミットを設
定する必要はない。
【0194】<ステップS40>ステップS40では、
図17に示す目標スロットル開度設定サブルーチンが実
行される。この目標スロットル開度設定サブルーチンで
は、前記(13)式に示す吸気供給割合SGaとエンジ
ン回転数指標値MNeとに基づきスロットル開度マップ
を補間計算付で参照して目標スロットル開度Mθthを
設定する。
【0195】先ず、ステップS151では、吸気供給割
合SGaを、 SGa←[(Ga+MGa4)/2]/Gamax …(13−1) に基づいて算出し、次いで、ステップS152で、エン
ジン回転数指標値MNeを、 MNe←Ne+[(MGa4−Ga) /(Ga+MGa4)]・K2 …(13−2) 但し、K2=60V/(D・Δt)に基づいて算出す
る。
【0196】そして、ステップS153で、上記吸気供
給割合SGaとエンジン回転数指標値MNeとに基づき
目標スロットル開度マップ(図27参照)を補間計算付
きで参照して目標スロットル開度Mθthを設定し、ル
ーチンを抜ける。
【0197】前述のように、定常時においては、実行程
吸入空気量Gaと目標行程吸入空気量MGa、すなわち
スロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4とが
一致するため、定常時においても上記スロットル開度マ
ップを参照することで、目標スロットル開度Mθthを
設定することが出来る。すなわち、定常時の吸気供給割
合SGaは、 SGa=MGa4/Gamax …(13−1’) であり、又、エンジン回転数指標値MNeは、 MNe=Ne …(13−2’) である。
【0198】すなわち、スロットル開度設定用目標行程
吸入空気量MGa4の最大実行程吸入空気量Gamax
に対する割合を算出して吸気供給割合SGa(=MGa
/Gamax)を算出し、この値とエンジン回転数Ne
とに基づき、スロットル開度マップを補間計算付きで参
照して目標スロットル開度Mθthを設定し、後述する
スロットル開度制御量設定ルーチン(図18)で、この
目標スロットル開度Mθthに基づいてスロットルアク
チュエータ20に対するスロットル開度制御量としての
デューティ比DUTYを設定する。
【0199】従って、上記スロットル開度マップとして
過渡時のマップを特別設定する必要が無く、図27に示
すように、不等間隔格子によって設定された定常時のス
ロットル開度マップを利用し、過渡時には吸気供給割合
SGaとエンジン回転数指標値MNeとの値を過渡状態
に応じて変更するだけで、目標スロットル開度Mθth
を設定することが出来る。
【0200】ここで、吸気供給割合SGa及びエンジン
回転数の大きい領域においては、吸気供給割合SGa或
いはエンジン回転数の僅かな変化で目標とするスロット
ル開度、すなわち、目標スロットル開度Mθthが大き
く変化する。従って、図27に示すように、スロットル
開度マップをこれに対応させて、各パラメータ、すなわ
ち吸気供給割合SGa及びエンジン回転数指標値MNe
の格子を不等間隔とし、吸気供給割合SGa及びエンジ
ン回転数指標値MNeの大きい領域で格子を広げること
で、適正にセッティングを行うことが可能となり、この
吸気供給割合SGaに応じた適切な目標スロットル開度
Mθthを得ることができる。そして、この目標スロッ
トル開度Mθthに基づきスロットルアクチュエータ駆
動量Dactが適正且つ高精度に設定されるため、スロ
ットル開度制御性が向上する。
【0201】本実施の形態では、目標スロットル開度M
θthを設定する際に、ダイナミックレンジの大きなス
ロットル通過空気流量を直接求めることなく、1気筒が
1吸気行程当たりに吸入する実行程吸入空気量Ga、ス
ロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4、及び
エンジン回転数Neの各変数から定常時のマップを利用
して定常時は勿論のこと過渡的な目標スロットル開度M
θthをも設定しているため、上記各行程吸入空気量は
1吸気行程を基準としたものであり前記スロットル通過
空気流量Qthに対してダイナミックレンジが1/10
以下となり、また、運転時のエンジン回転数Neのダイ
ナミックレンジもアイドル回転数から最高エンジン回転
数までであり、スロットル通過空気流量Qthに対して
ダイナミックレンジが著しく小さい。
【0202】従って、スロットル開度制御量としてのデ
ューティ比DUTYを設定する際に採用する変数のダイ
ナミックレンジが小さく、全運転領域において適正なス
ロットル開度制御を、コンピュータに負担をかけること
なく行うことが出来る。
【0203】更に、上記(13−2)式を用いてエンジ
ン回転数指標値MNeを算出することで、スロットル開
度誤差の自己回復機能が備えられる。すなわち、スロッ
トル開度に誤差があり、実行程吸入空気量Gaが上記ス
ロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4に一致
しない場合、上記(13−2)式によれば、仮に実行程
吸入空気量Gaがスロットル開度設定用目標行程吸入空
気量MGa4よりも大きいときには、エンジン回転数指
標値MNeは、実際のエンジン回転数Neよりも低く設
定される。
【0204】定常時のスロットル開度マップは、実行程
吸入空気量Gaを一定とした場合、エンジン回転数指標
値MNeが低回転ほど小さい目標スロットル開度Mθt
hが設定されている。従って、上記エンジン回転数指標
値MNeに基づき上記スロットル開度マップを参照した
場合、自動的にスロットル開度が閉方向へ制御される。
その結果、実行程吸入空気量Gaは小さい値に補正さ
れ、実行程吸入空気量Gaがスロットル開度設定用目標
行程吸入空気量MGa4に追従することになる。実行程
吸入空気量Gaがスロットル開度設定用目標行程吸入空
気量MGa4よりも小さい場合も同様に、自動的にスロ
ットル開度θthが開方向へ補正するように動作して、
スロットル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4に追
従することになる。
【0205】具体的に説明すれば、上記定数K2は、 K2=60V/(D・Δt) であり、例えば、V/D=4、Δt=1/100[sec}
とした場合、 K2=24000[rpm] となり、実行程吸入空気量Gaとスロットル開度設定用
目標行程吸入空気量MGa4とに1%の偏差が発生した
場合、通常のエンジンでは、約120[rpm]ほどずらし
てスロットル開度マップを参照することになる。又、同
じ120[rpm]のずれであっても、スロットル開度マッ
プの特性上、低回転ほどスロットル開度変化は大きくな
る。従って、スロットル開度誤差の発生し易い低回転ほ
ど、スロットル開度誤差に対する自己回復機能が強く作
用することになり、上記定数K2(=24000[rp
m])は、スロットル開度制御時の誤差フィードバックの
P分ゲインと捉えることが出来る。
【0206】以上により、目標スロットル開度Mθth
が設定される。
【0207】そして、この目標スロットル開度Mθth
が図18に示すスロットル開度制御量設定ルーチンで読
み込まれ、目標スロットル開度Mθthに対する実スロ
ットル開度θthの開度誤差Δθth(=Mθth−θ
th)に基づきスロットル開度制御量として前記PWM
信号出力回路103へ出力するデューティ信号のデュー
ティ比DUTYを設定し、PWM信号出力回路103を
介して前記Hブリッジ回路64にPWM信号を出力する
ことで、油圧モータ式スロットルアクチュエータ20を
作動させてスロットル弁5aが目標スロットル開度Mθ
thとなるようフィードバック制御する。
【0208】次に、このスロットル開度制御量設定ルー
チンについて説明する。
【0209】図18に示すスロットル開度制御量設定ル
ーチンは所定時間(例えば、4msec)毎に実行さ
れ、先ず、ステップS161で、スロットル開度センサ
33aの出力値に基づき検出した実スロットル開度θt
hを読込み、ステップS162で、目標スロットル開度
Mθthから実スロットル開度θthを減算して開度誤
差Δθthを算出する(Δθth←Mθth−θt
h)。
【0210】そして、ステップS163で上記開度誤差
Δθthに基づき一次元マップを補間計算付きで参照
し、デューティ比DUTYを設定し、ステップS164
で、上記デューティ比DUTYをセットして、ルーチン
を抜ける。
【0211】上記デューティ比DUTYを設定するため
の一次元マップを、図28に示す。同図に示すように、
開度誤差Δθthがゼロで、実スロットル開度θthが
目標スロットル開度Mθthに一致するとき、デューテ
ィ比DUTYが50%に設定される。
【0212】また、開度誤差Δθthがマイナス値のと
きには、デューティ比DUTYが50%よりも小さい値
に設定され、目標スロットル開度Mθthに対して実ス
ロットル開度θthが大きく、開度誤差Δθthがより
マイナス側であるほど、デューティ比DUTYが小さい
値に設定される。一方、開度誤差Δθthがプラス値の
ときには、デューティ比DUTYが50%よりも大きい
値に設定され、目標スロットル開度Mθthに対して実
スロットル開度θthが小さく、開度誤差Δθthがよ
りプラス側に大きいほど、デューティ比DUTYが大き
い値に設定される。
【0213】ここで、開度誤差Δθthが一定基準より
大きい範囲、すなわち図において、θth=−4.25
〜−2.5deg、及び2.5〜4.25degの区間
では、開度誤差Δθthに対するデューティ比DUTY
の変化を大きく設定し、傾きを大きくして制御ゲインを
大きくすることで、油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20によるスロットル弁5aの回転速度を早くし、
スロットル弁5aの実スロットル開度θthの目標スロ
ットル開度Mθthに対する収束性を向上する。
【0214】なお、図において、−4.25deg以
下、及び4.25deg以上の範囲では、デューティ比
DUTYが制御限界に近づき、油圧モータ式スロットル
アクチュエータ20によるスロットル弁5aの回転速度
が略最高回転速度となるため、開度誤差Δθthに対す
るデューティ比DUTYの変化の傾きを小さくし、そし
て、開度誤差Δθthが−6deg以下でデューティ比
DUTYが略0%に、6deg以上でデューティ比DU
TYが略100%に設定される。
【0215】また、開度誤差Δθthが一定基準より小
さい範囲、図において、Δθth=−2.5〜−0.7
5deg、及びΔθth=0.75〜2.5degの範
囲では、開度誤差Δθthに対するデューティ比DUT
Yの変化を小さく設定し、傾きを小さくして制御ゲイン
を小さくし、徐行区間とすることで、開度誤差Δθth
の大きい状態から一定基準より小さい範囲に入ったとき
の油圧モータ式スロットルアクチュエータ20によるス
ロットル弁5aの回転速度を落とし、スロットル弁5a
の目標スロットル開度Mθthに対する実スロットル開
度θthのオーバーシュートを防止し、制御性を安定さ
せる。
【0216】さらに、デューティ比DUTYが50%近
傍は、油圧モータ式スロットルアクチュエータ20の不
感帯であるため、僅かな開度誤差Δθthに対してデュ
ーティ比DUTYを大きく変化させ(図において、Δθ
th=−0.75〜0.75degの区間)、これによ
り不感帯を脱したときに直ちに油圧モータ式スロットル
アクチュエータ20の動作を可能とし、目標スロットル
開度Mθthに対するスロットル弁5aの追従性を向上
する。
【0217】そして、デューティ比DUTYのセットに
より、該デューティ比DUTYのデューティ信号がPW
M信号出力回路103に出力され、デューティ比DUT
Yに対応する一定周期T当たりのTON時間のPWM信号
(図29参照)がPWM信号出力回路103から油圧モ
ータ式スロットルアクチュエータ20のHブリッジ回路
64に出力される。
【0218】従って、開度誤差Δθthがプラス側に大
きく、目標スロットル開度Mθthに対して実スロット
ル開度θthが小さいほど、上記デューティ比DUTY
が50%よりも大きく開度誤差Δθthに対して比例的
に設定され、PWM信号出力回路103から油圧モータ
式スロットルアクチュエータ20のHブリッジ回路20
に出力されるPWM信号のON時間TONが一定周期Tに
対して50%よりもより大きくなり、油圧モータ式アク
チュエータ20の励磁コイル63に対しHブッリジ回路
64による順電流期間が逆電流期間よりも増加して、ロ
ータ磁石59とこれと一体のロータリバルブ58が、図
40に示す中立位置から反時計回り方向に回動し、これ
により、各第1油圧作動室55cが第1オイル通路55
eを介してオイル供給室55gに連通して第1油圧作動
室55cにパワステオイルが供給されると共に、各第2
油圧作動室55dが第2オイル通路55fを介してドレ
イン室55hに連通して第2油圧作動室55d内のパワ
ステオイルが排出され、第1油圧作動室55c内に供給
されるパワステオイルの油圧によってピストン57a,
57bが図の時計回り方向に回動して、このピストン5
7a,57bと一体のプレート57を介してスロットル
シャフト5cが時計回り方向に回転し、スロットル弁5
aの開度が増加される。
【0219】そして、実スロットル開度θthが目標ス
ロットル開度Mθthに近づくに従い、開度誤差Δθt
hが小さくなってデューティ比DUTYが50%方向に
小さく設定され、これにより、ロータリバルブ58が順
次、元の中立位置に戻り、実スロットル開度θthが目
標スロットル開度Mθthに一致した時点で、ロータリ
バルブ58が中立位置となり、これによりスロットル弁
5aが停止する。
【0220】また、逆に開度誤差がマイナス値であり、
目標スロットル開度Mθthに対して実スロットル開度
θthが大きいほど、上記デューティ比DUTYが50
%よりもより小さく設定され、PWM信号出力回路10
3から油圧モータ式スロットルアクチュエータ20のH
ブリッジ回路20に出力されるPWM信号のON時間T
ONが一定周期Tに対して50%よりもより小さくなり、
油圧モータ式アクチュエータ20の励磁コイル63に対
しHブッリジ回路64による逆電流期間が順電流期間よ
りも増加して、ロータ磁石59とこれと一体のロータリ
バルブ58が、図40に示す中立位置から時計回り方向
に回動し、逆に、各第1油圧作動室55cが第1オイル
通路55eを介してドレイン室55hに連通して第1油
圧作動室55cのパワステオイルが排出されると共に、
各第2油圧作動室55dが第2オイル通路55fを介し
てオイル供給室55gに連通して第2油圧作動室55d
にパワステオイルが供給され、第2油圧作動室55d内
に供給されるパワステオイルの油圧によってピストン5
7a,57bが図の反計回り方向に回動して、このピス
トン57a,57bと一体のプレート57を介してスロ
ットルシャフト5cが反時計回り方向に回転し、スロッ
トル弁5aの開度が減少される。
【0221】そして、実スロットル開度θthが目標ス
ロットル開度Mθthに近づくに従い、開度誤差Δθt
hがゼロに近づき、デューティ比DUTYが50%方向
に順次大きく設定され、これにより、ロータリバルブ5
8が元の中立位置に戻り、実スロットル開度θthが目
標スロットル開度Mθthに一致した時点で、ロータリ
バルブ58が中立位置となり、これによりスロットル弁
5aが停止する。
【0222】その結果、実行程吸入空気量Gaがスロッ
トル開度設定用目標行程吸入空気量MGa4に追従する
ように、スロットル弁5aの開度が制御される。
【0223】尚、図31(a)、図31(b)にシミュ
レーションによる実験データを示す。図31(a)は、
サイン波形の目標スロットル開度Mθthに対する実ス
ロットル開度θthの追従状態を示し、また、図31
(b)は、階段波形の目標スロットル開度Mθthに対
する実スロットル開度θthの追従状態を示す。同図に
よれば、目標スロットル開度Mθthのサイン波形、階
段波形共に、実スロットル開度θthの追従性が極めて
良いことが解る。
【0224】また、図32に示すように、運転領域が変
化する過渡時において、スロットル開度設定用目標行程
吸入空気量MGa4がステップ的に変化するのに対し、
スロットル開度θthは、チャンバ内の充填空気がある
分、オーバシュート的な変化が要求される場合が多い
が、吸気管圧力センサ22の出力値に基づき検出する実
行程吸入空気量Gaがスロットル開度設定用目標行程吸
入空気量MGa4に可能な限り追従できるような動作速
度の速いスロットルアクチュエータ20を備えること
で、本ルーチンで実行されるスロットル開度制御をより
高性能化させることが可能である。
【0225】次に、図19、図20に示すフローチャー
トに従い、燃料系の制御について説明する。但し、図3
3に示すように、燃料系の遅れとして吸気ポート壁面付
着による燃料付着遅れがあるが、この燃料付着遅れにつ
いては、前述したように吸入空気系で同期させているた
め、この燃料噴射量設定ルーチンでは、基本的に燃料量
算出用目標行程吸入空気量MGa3に基づき、目標空燃
比に適合する燃料噴射量を設定する。尚、この燃料噴射
量設定ルーチンは10msec毎に実行される。
【0226】先ず、ステップS171で、上記燃料量算
出用目標行程吸入空気量MGa3を読込み、ステップS
172で、図20に示すむだ時間設定サブルーチンを実
行し、吸入空気系の油圧モータ式スロットルアクチュエ
ータ20の動作遅れに燃料系を同期させ、油圧モータ式
スロットルアクチュエータ20の動作遅れに起因する過
渡時における空燃比のリッチスパイク、リーンスパイク
を防止する。
【0227】すなわち、スロットル弁5aを作動させる
油圧モータ式スロットルアクチュエータ20には動作遅
れが有り、アクセルペダル踏み込みによる加速要求時、
或いはアクセルペダル解放、アクセルペダル踏み込み量
の減少等の減速要求時、ECU80から目標スロットル
開度Mθthを得るための上記デューティ比DUTYの
PWM信号を、油圧モータ式スロットルアクチュエータ
20へ出力しても、スロットルアクチュエータ20が作
動して、このスロットルアクチュエータ20の作動によ
りスロットル弁5aが目標スロットル開度Mθthに実
際に開弁或いは閉弁するまでには時間遅れが生じる。こ
れに対して、インジェクタ駆動による燃料噴射には、遅
れがない。
【0228】このため、加速時には油圧モータ式スロッ
トルアクチュエータ20の動作遅れに起因するスロット
ル弁5aの開弁遅れにより、燃料噴射量に対して吸入空
気量が過少となって空燃比のリッチスパイクを生じ、ま
た、減速時には、油圧モータ式スロットルアクチュエー
タ20の動作遅れによるスロットル弁5aの閉弁遅れに
より燃料噴射量に対し吸入空気量が過多となって空燃比
のリーンスパイクを生じ、過渡時における空燃比制御性
が悪化する。
【0229】従って、燃料系では、上記燃料量算出用目
標行程吸入空気量MGa3に対し、油圧モータ式スロッ
トルアクチュエータ20の動作遅れ時間に対応するむだ
時間処理を施して、このむだ時間処理後の燃料量算出用
目標行程吸入空気量MGa5に基づいて燃料噴射量Gf
を設定することで、吸入空気系の油圧モータ式スロット
ルアクチュエータ20の動作遅れに対応して強制的に燃
料系を遅らせ、燃料系を吸入空気系に同期させてスロッ
トルアクチュエータ20の動作遅れに起因する過渡時の
空燃比のリッチスパイク、或いはリーンスパイクを防止
するのである。
【0230】このむだ時間設定サブルーチンでは、ステ
ップS181からステップS185において、所定レジ
スタM1〜M5に格納されている燃料量算出用目標行程
吸入空気量MGa3を順次繰り上げ、ステップS181
において、レジスタM5に格納されている50msec
前に設定した燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3
を、今回の燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa5と
して設定し、又、ステップS186において、今回読込
んだ燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3をレジス
タM1に格納し、ルーチンを抜ける。
【0231】すなわち、本ルーチンの実行周期を定める
設定時間毎(10 ms毎)に、上記燃料量算出用目標行程
吸入空気量MGa3を複数のレジスタM1〜M5のうち
最下位レジスタM1に格納すると共に、各レジスタに格
納されている値を順次繰り上げ、最上位レジスタM5に
格納されている値(本形態では、50ms前の燃料量算
出用目標行程吸入空気量)を、燃料噴射量を設定する際
の指示値となる燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa
5として採用する。
【0232】ここで、本形態では、むだ時間処理を行う
に、複数のレジスタの値をルーチン実行毎に順次繰り上
げ処理するだけで良く、油圧モータ式スロットルアクチ
ュエータ20の動作遅れに対応する燃料系のむだ時間処
理を非常に簡単且つ確実に行うことができる。
【0233】そして、燃料噴射量設定ルーチンのステッ
プS173へ戻り、むだ時間処理を施した上記燃料量算
出用目標行程吸入空気量MGa5と目標燃空比(F/A)と
に基づき、燃料噴射量Gfを設定し(Gf←MGa5・
(F/A))、ステップS174で、次式に基づき燃料
噴射量を定めるインジェクタ24に対する燃料噴射パル
ス幅Tiを設定し、 Ti←KA/F・α・Gf/Ne+Ts ルーチンを抜ける。
【0234】尚、KA/Fはインジェクタ特性補正定数、
αは空燃比フィードバック補正係数、Tsはバッテリ1
11の端子電圧VB に基づきインジェクタ24の無効噴
射時間を補間する電圧補正パルス幅である。
【0235】その結果、所定タイミングで該当気筒のイ
ンジェクタ24に上記燃料噴射パルス幅Tiの駆動信号
が出力され、該インジェクタ24から所定に計量された
燃料が噴射される。
【0236】ここで、燃料噴射量Gfを設定する際の指
示値となる上記燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa
3は、上述の図14の燃料量算出用目標行程吸入空気量
設定サブルーチンにより設定され、エンジンクランキン
グ或いは始動直後で、パワステオイルの油圧不足により
目標スロットル開度要求に対し実スロットル開度θth
が追従していない時は(FLGDJ=1)、実行程吸入空
気量Gaにより設定され、燃料噴射量Gfは実行程吸入
空気量Gaにより設定される。従って、このときは、実
行程吸入空気量Gaによってエンジン回転数Neとスロ
ットル弁下流の第1の吸気管圧力P1とによるエンジン
状態に適合する燃料噴射量Gfが設定され、これによ
り、エンジン始動時および始動直後におけるパワステオ
イルの油圧不足に伴う油圧モータ式スロットルアクチュ
エータ20の不作動に起因する空燃比状態の悪化が防止
され、始動性および始動後アイドル安定性が向上する。
【0237】また、このとき、実行程吸入空気量Gaに
よる燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa3は、上述
のように、アイドル時の目標値となるアイドル要求行程
吸入空気量MGa2のみによって設定された総目標行程
吸入空気量Aを設定倍した値(1.5×A)によって、
その上限が規制されているため、スロットル弁の開弁固
着等の故障に起因して実行程吸入空気量Gaが大きくな
ったとしても、これが規制されて過大な燃料噴射量の設
定が防止され、万が一、スロットル弁5aの開弁固着等
の故障が生じても不測の事態が回避される。
【0238】一方、エンジン始動後においてエンジン運
転に伴いパワステオイルが流動化してパワステオイルの
油圧が十分上昇し、実スロットル開度θthが設定値θ
ths以下となり、初期設定開度以下のスロットル開度
要求に対して実際にスロットル弁5aが追従して動き出
したことが確認できた後は(FLGDJ=0)、燃料量算
出用目標行程吸入空気量MGa3が、アクセルペダル要
求行程吸入空気量MGa1とアイドル要求行程吸入空気
量MGa2とを加算した総目標行程吸入空気量Aによっ
て設定される。そして、このとき燃料系では、燃料噴射
パルス幅Tiを、実行程吸入空気量Gaによらず上記燃
料量算出用目標行程吸入空気量MGa3にむだ時間遅れ
を施した燃料量算出用目標行程吸入空気量MGa5に基
づき設定し、一方、吸入空気系では気筒へ流入する燃料
量に基づき所定の空燃比となるような吸入空気側での目
標行程吸入空気量MGa4を設定し、実行程吸入空気量
Gaが上記目標行程吸入空気量MGa4に追従するよう
にスロットル開度を設定する、いわゆる燃料主導制御が
実行され、仮にスロットル弁が固着するような故障が生
じても、燃料噴射量はスロットル通過空気流量に関係な
く設定され、急加速等の不測の事態を、この場合におい
ても回避することがきる。又、目標吸入空気量に対応す
る燃料噴射量及びスロットル弁開度を適正に得ることが
でき、スロットル開度と整合する燃料噴射量Gfが得ら
れ、空燃比制御性が向上し、燃料噴射量と、この燃料噴
射量に適合する所定空燃比を得るための行程吸入空気量
を得るスロットル開度とが同時に設定されるため、過渡
時においても良好な空燃比制御性能を得ることが出来
る。
【0239】尚、本実施の形態においては、運転者の要
求出力量としてアクセルペダル踏込み量θaccを用い
ているが、本発明はこれに限定されず、例えば手動によ
りレバーを操作することでエンジン出力を可変させるエ
ンジンの場合にはレバーの操作量を運転者の要求出力量
として採用する。
【0240】又、アクセル操作をマイクロコンピュータ
等からなる電子制御装置で操作することで自動運転制御
に適用することも可能であり、この場合、上記運転者は
人員のみならず上記制御装置をも含むものである。
【0241】更に、本実施の形態では、エンジンクラン
キング或いは始動直後で、パワステオイルの油圧不足に
より目標スロットル開度要求に対し実スロットル開度θ
thが追従していない時は(FLGDJ=1)、燃料噴射
量を実行程吸入空気量Gaにより設定し、実行程吸入空
気量Gaによってエンジン回転数とスロットル弁下流の
吸気管圧力とによるエンジン状態に適合する燃料噴射量
を設定するようにしているが、このとき、通常のDジェ
トロニック方式によってエンジン回転数とスロットル弁
下流の吸気管圧力とに基づきマップ検索等により直接的
に燃料噴射量を設定するようにしても良いことは勿論で
ある。
【0242】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
によれば、少なくとも運転者の出力要求量に基づき1気
筒が1吸気行程当たりに吸入する空気量の目標値となる
目標行程吸入空気量を設定し、吸入空気系については、
この目標行程吸入空気量に基づいて、エンジン運転に伴
い発生する油圧を駆動源としスロットル弁を作動させる
油圧式スロットルアクチュエータに対するスロットル開
度制御量を設定する。又、燃料系については、エンジン
始動後、所定期間はDジェトロニック方式により燃料噴
射量を設定し、所定期間経過後は上記目標行程吸入空気
量に基づいて燃料噴射量を設定するので、エンジン始動
或いは始動直後で、油圧不足により油圧式スロットルア
クチュエータが不作動或いは正規に作動しない所定期間
は、Dジェトロニック方式によりエンジン回転数とスロ
ットル弁下流の吸気管圧力とによるエンジン状態に適合
する燃料噴射量が得られ、これにより、エンジン始動時
及び始動直後における油圧不足に伴う油圧式スロットル
アクチュエータの不作動或いは正規に作動しないことに
起因する空燃比状態の悪化が防止され、始動性および始
動後のアイドル安定性を向上することができる。
【0243】また、エンジン運転に伴い油圧が上昇して
油圧式スロットルアクチュエータが正規に作動する所定
期間経過後は、少なくとも運転者の出力要求量に基づく
目標行程吸入空気量に追従して油圧式スロットルアクチ
ュエータが作動し、この目標行程吸入空気量によって燃
料噴射量が設定され、スロットル開度と適合する燃料噴
射量が得られる。従って、油圧式スロットルアクチュエ
ータが油圧の上昇によって正規に作動するエンジン始動
後においては、運転者の出力要求量に応じた目標行程吸
入空気量に対応する燃料噴射量及びスロットル弁開度を
適正に得ることができ、空燃比制御性を向上することが
できる。更に、このとき、燃料噴射量はスロットル通過
空気量に関係なく運転者の出力要求量に応じた目標行程
吸入空気量に基づいて設定されるので、仮にスロットル
弁が固着するような故障が生じても、急加速等の不足の
事態を回避することができる。
【0244】請求項2記載の発明によれば、十分な油圧
が得られない始動時、油圧式スロットルアクチュエータ
に備えた位置決め機構によってスロットル弁が所定の初
期設定開度に維持され、エンジン始動が確保される。そ
して、エンジン始動後、スロットル開度が上記初期設定
開度より小さい設定値以下になったか否かを判断し、エ
ンジン始動からスロットル開度が上記設定値よりも大き
い間は、Dジェトロニック方式により燃料噴射量を設定
し、スロットル開度が上記設定値以下となった後は、以
後、上記目標行程吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設
定する。すなわち、スロットル開度制御量は上記目標行
程吸入空気量を基に設定され、且つ、エンジン始動直後
においては、通常、アクセル解放状態にあり、上記初期
設定開度以下のスロットル開度要求となる。従って、エ
ンジン始動からスロットル開度が上記設定値よりも大き
い間は、目標スロットル開度要求に対し油圧式スロット
ルアクチュエータによるスロットル開度が油圧の不足に
より追従していないことを示す。これによって、請求項
1記載の発明の効果に加え、油圧式スロットルアクチュ
エータの作動判断を確実に行うことができ、油圧が上昇
したことによる油圧式スロットルアクチュエータの目標
スロットル開度への追従作動に伴い、適切に燃料噴射量
の設定をDジェトロニック方式から目標行程吸入空気量
による設定に切り換えることができ、より制御性を向上
させることができる。
【0245】請求項3記載の発明によれば、十分な油圧
が得られない始動時、油圧式スロットルアクチュエータ
に備えた位置決め機構によってスロットル弁が所定の初
期設定開度に維持され、エンジン始動が確保される。ま
た、エンジン回転数とスロットル弁下流に発生する吸気
管圧力とに応じて1気筒が1吸気行程当たりに実際に吸
入する実行程吸入空気量を設定し、要求出力量に基づい
て運転者の要求出力に対応する行程吸入空気量の目標値
としての出力要求行程吸入空気量を設定すると共に、エ
ンジン回転数に基づいてアイドル時の行程吸入空気量の
目標値となるアイドル要求行程吸入空気量を設定する。
そして、エンジン始動後、スロットル開度が上記初期設
定開度より小さい設定値以下になったか否かを判断し、
エンジン始動後のスロットル開度が上記設定値よりも大
きい間は、上記実行程吸入空気量に基づいて、燃料噴射
量並びにスロットル開度制御量を設定するための目標値
となる目標行程吸入空気量を設定し、スロットル開度が
上記設定値以下となった後は、以後、上記出力要求行程
吸入空気量とアイドル要求行程吸入空気量とを加算して
目標行程吸入空気量を設定する。そして、吸入空気系に
ついては、少なくとも上記目標行程吸入空気量に基づい
て、エンジン運転に伴い発生する油圧を駆動源とする上
記油圧式スロットルアクチュエータに対するスロットル
開度制御量を設定し、又、燃料系については、上記目標
行程吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設定するので、
エンジン始動からスロットル開度が上記設定値よりも大
きい間は、エンジン始動或いは始動直後で、油圧不足に
より油圧式スロットルアクチュエータが目標スロットル
開度要求に対し追従作動していないと判断し、このと
き、実行程吸入空気量により燃料噴射量が設定され、従
って、この実行程吸入空気量によりエンジン回転数とス
ロットル弁下流の吸気管圧力とによるエンジン状態に適
合する燃料噴射量が得られ、これにより、エンジン始動
時および始動直後における油圧不足に伴う油圧式スロッ
トルアクチュエータの不作動に起因する空燃比状態の悪
化が防止され、始動性および始動後アイドル安定性を向
上することができる。そして、このとき、常時算出され
ている実行程吸入空気量を用いるので、制御装置の演算
負担を増加することなく容易に実現することができる。
【0246】また、スロットル開度が上記設定値以下と
なったときは、エンジン運転に伴い油圧が上昇して油圧
式スロットルアクチュエータが目標スロットル開度に追
従作動したことを示し、これ以後は燃料系では、実行程
吸入空気量によらず、アイドル時の目標値となるアイド
ル要求行程吸入空気量と運転者の要求出力に相応する行
程吸入空気量の目標値としての出力要求行程吸入空気量
とを加算した目標行程吸入空気量に基づいて燃料噴射量
が設定され、吸入空気系では、実行程吸入空気量が目標
行程吸入空気量に追従するようにスロットル開度制御量
が設定され、目標吸入空気量に対応する燃料噴射量及び
スロットル弁開度をより適正に得ることができ、スロッ
トル開度と整合する燃料噴射量が得られ、空燃比制御性
が向上する。また、このとき、燃料噴射量と、この燃料
噴射量に適合する所定空燃比を得るための行程吸入空気
量を得るスロットル開度とが同時に設定されるため、過
渡時においても良好な空燃比制御性能を得ることができ
る。更に、このとき、燃料噴射量はスロットル通過空気
流量に関係なく運転者の出力要求量に応じた目標行程吸
入空気量に基づいて設定されるので、仮にスロットル弁
が固着するような故障が生じても、急加速等の不測の事
態を回避することがきる。
【0247】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明に効果に加え、エンジン始動からスロットル開
度が上記設定値よりも大きい間は、上記実行程吸入空気
量による目標行程吸入空気量の上限を、上記アイドル要
求行程吸入空気量を所定倍した値により規制するので、
スロットル弁の開弁固着等の故障に起因して実行程吸入
空気量が大きくなったとしても、これが規制されて過大
な燃料噴射量の設定が防止されるのを防止することがで
き、万が一、スロットル弁の開弁固着等の故障が生じて
も、始動時及び始動直後においても不測の事態を未然に
回避することができる。
【0248】請求項5記載の発明によれば、エンジン回
転数とスロットル弁下流に発生する吸気管圧力とに応じ
て1気筒が1吸気行程当たりに実際に吸入する実行程吸
入空気量を設定すると共に、スロットル弁の上流に発生
する吸気管圧力に基づいてスロットル弁全開に対応する
最大実行程吸入空気量を設定する。そして、上記実行程
吸入空気量と上記目標行程吸入空気量との平均値の上記
最大実行程吸入空気量に対する割合を表す吸気供給割合
を算出し、また、上記実行程吸入空気量と上記目標行程
吸入空気量とに基づいて算出した回転数増減分を現在の
エンジン回転数に加算してエンジン回転数指標値を設定
する。そして、この吸気供給割合とエンジン回転数指標
値とに基づいて、上記油圧式スロットルアクチュエータ
に対するスロットル開度制御量を設定するので、請求項
1ないし請求項4記載の発明の効果に加え、エンジンに
供給される実行程吸入空気量を目標行程吸入空気に一致
させるためのスロットル開度制御量が適正に得られ、従
って、実行程吸入空気量を目標行程吸入空気量に一致さ
せるに必要なスロットル通過空気流量を得るスロットル
開度を適切に得ることができ、制御性をさらに向上する
ことができる。
【0249】また、スロットル通過空気流量を直接求め
ることなく、1気筒が1吸気行程当たりに吸入する行程
吸入空気量を用い、エンジン回転数指標値と吸気供給割
合に基づいてスロットル開度制御量を設定するため、ス
ロットル通過空気流量に対してダイナミックレンジが小
さく、既存のコンピュータであっても、目標吸入空気量
に対応する燃料噴射量及びスロットル弁開度を高精度に
設定することができ、また、目標行程吸入空気量に基づ
き所定空燃比を得るための燃料噴射量と、この燃料噴射
量に適合する行程吸入空気量を得るスロットル開度とを
同時に設定することが可能となり、過渡時における空燃
比制御性を向上することができる。
【0250】請求項6記載の発明によれば、請求項1な
いし請求項5記載の発明の効果に加え、上記運転者の要
求出力量としてアクセルペダル踏込み量を用いること
で、本発明を車輌用エンジンのエンジン制御に対して容
易に適用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図
【図2】本発明の基本構成図(続き)
【図3】エンジン制御装置の機能を示すブロック図
【図4】初期化ルーチンのフローチャート
【図5】切換条件判別ルーチンのフローチャート
【図6】吸気損失質量及び体積効率設定ルーチンのフロ
ーチャート
【図7】目標スロットル開度設定ルーチンのフローチャ
ート
【図8】実行程吸入空気量設定サブルーチンのフローチ
ャート
【図9】最大実行程吸入空気量設定サブルーチンのフロ
ーチャート
【図10】アクセルペダル要求行程吸入空気量設定サブ
ルーチンのフローチャート
【図11】アイドル要求行程吸入空気量設定サブルーチ
ンのフローチャート
【図12】目標行程吸入空気量上限値設定サブルーチン
のフローチャート
【図13】目標行程吸入空気量下限値設定サブルーチン
のフローチャート
【図14】燃料量算出用目標行程吸入空気量設定サブル
ーチンのフローチャート
【図15】燃料付着遅れ分相当空気量設定サブルーチン
のフローチャート
【図16】スロットル開度設定用目標行程吸入空気量設
定サブルーチンのフローチャート
【図17】目標スロットル開度設定サブルーチンのフロ
ーチャート
【図18】スロットル開度制御量設定ルーチンのフロー
チャート
【図19】燃料噴射量設定ルーチンのフローチャート
【図20】むだ時間設定サブルーチンのフローチャート
【図21】エンジンのチャンバモデルを示す説明図
【図22】スロットル通過空気流量、実行程吸入空気量
及び目標行程吸入空気量の関係を示すタイムチャート
【図23】行程吸入空気量と理論行程吸入空気量との関
係を示す説明図
【図24】吸気損失質量及び体積効率を設定する際に参
照する一次元マップの説明図
【図25】アイドル要求行程吸入空気量を設定する際に
参照する一次元マップの説明図
【図26】燃料付着遅れに関する一次遅れ時定数と定常
付着量相当空気量とを設定する際に参照する一次元マッ
プの説明図
【図27】目標スロットル開度マップの説明図
【図28】デューティ比を設定する際に参照する一次元
マップの説明図
【図29】PWM信号の説明図
【図30】PWM信号、インバータ出力、各FETの作
動状態、及びコイル電流の関係を示すタイムチャート
【図31】シミュレーションによる実験データを示すタ
イムチャート
【図32】スロットル開度とスロットル開度設定用目標
行程吸入空気量との関係を示す説明図
【図33】エンジン制御における吸入空気系と燃料系の
遅れの関係を示す説明図
【図34】エンジンの全体概略図
【図35】アクセルペダルの側面図
【図36】クランクロータとクランク角センサの正面図
【図37】カムロータとカム角センサの正面図
【図38】パワーステアリング機構と油圧モータ式スロ
ットルアクチュエータとの配置関係を示す斜視図
【図39】パワーステアリング機構と油圧モータ式スロ
ットルアクチュエータとの概略を示す断面側面図
【図40】スロットル弁が初期設定位置での油圧モータ
式スロットルアクチュエータと初期位置決め機構との作
動状態関係を示す説明図
【図41】Hブリッジ回路の回路図
【図42】スロットル弁が全閉時の油圧モータ式スロッ
トルアクチュエータと初期位置決め機構との作動状態関
係を示す説明図
【図43】スロットル弁が50%開度時の油圧モータ式
スロットルアクチュエータと初期位置決め機構との作動
状態関係を示す説明図
【図44】スロットル弁が全開時の油圧モータ式スロッ
トルアクチュエータと初期位置決め機構との作動状態関
係を示す説明図
【図45】電子制御系の回路構成図
【図46】従来のエンジン制御における吸入空気系と燃
料系の遅れの関係を示す説明図
【符号の説明】 1 エンジン 5a スロットル弁 19 アクセルペダル 20 油圧モータ式スロットルアクチュエータ(油圧式
スロットルアクチュエータ) 21a,21b アクセル開度センサ 22 吸気管圧力センサ 23 スロットル前圧力センサ 24 インジェクタ 33a スロットル開度センサ 41 クランク角センサ 66 初期位置決め機構 80 電子制御装置 81 メインコンピュータ θacc アクセルペダル踏込み量(要求出力量) MGa3 燃料量算出用目標行程吸入空気量(目標行程
吸入空気量) DUTY デューティ比(スロットル開度制御量) Gf 燃料噴射量 θth スロットル開度 θths 設定値(初期設定開度より小さい設定値) Ne エンジン回転数 P1 吸気管絶対圧力(スロットル弁下流に発生する吸
気管圧力) Ga 実行程吸入空気量 MGa1 アクセルペダル要求行程吸入空気量(出力要
求行程吸入空気量) MGa2 アイドル要求行程吸入空気量 P2 スロットル前圧力(スロットル弁上流に発生する
吸気管圧力) Gamax 最大実行程吸入空気量 SGa 吸気供給割合 MNe エンジン回転数指標値

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者の要求出力量に応じて燃料噴射量
    及びスロットル弁開度を可変制御するエンジンの制御装
    置において、 少なくとも上記要求出力量に基づいて1気筒が1吸気行
    程当たりに吸入する空気量の目標値を設定する目標行程
    吸入空気量設定手段と、 上記目標行程吸入空気量に基づいて、エンジンの運転に
    伴って発生する油圧を駆動源とする油圧式スロットルア
    クチュエータに対するスロットル開度制御量を設定する
    スロットル開度設定手段と、 エンジン始動後、所定期間はDジェトロニック方式によ
    り燃料噴射量を設定し、該所定期間後は上記目標行程吸
    入空気量に基づいて燃料噴射量を設定する燃料噴射量設
    定手段とを備えたことを特徴とするエンジンの制御装
    置。
  2. 【請求項2】 上記油圧式スロットルアクチュエータ
    は、十分な油圧が得られないエンジン始動時にスロット
    ル弁を所定の初期設定開度に維持してエンジン始動を確
    保する位置決め機構を備えており、上記燃料噴射量設定
    手段は、切換条件判別手段においてエンジン始動後、ス
    ロットル開度が上記初期設定開度より小さい設定値以下
    となったことが判別されたとき、上記所定期間が経過し
    たと判断することを特徴とする請求項1記載のエンジン
    の制御装置。
  3. 【請求項3】 運転者の要求出力量に応じて燃料噴射量
    及びスロットル弁開度を可変制御するエンジンの制御装
    置において、 エンジンの運転に伴って発生する油圧を駆動源とし、且
    つ十分な油圧が得られないエンジン始動時にスロットル
    弁を初期設定開度に維持してエンジン始動を確保する位
    置決め機構を備えた油圧式スロットルアクチュエータを
    採用し、 エンジン回転数とスロットル弁下流に発生する吸気管圧
    力とに応じて1気筒が1吸気行程当たりに実際に吸入す
    る空気量を設定する実行程吸入空気量設定手段と、 上記要求出力量に基づいて運転者の要求出力に対応する
    行程吸入空気量の目標値を設定する出力要求行程吸入空
    気量設定手段と、 エンジン回転数に基づいてアイドル時の行程吸入空気量
    の目標値を設定するアイドル要求行程吸入空気量設定手
    段と、 エンジン始動後、スロットル開度が上記初期設定開度よ
    り小さい設定値以下になったか否かを判別する切換条件
    判別手段と、 エンジン始動後のスロットル開度が上記設定値より大き
    い間は上記実行程吸入空気量に基づいて行程吸入空気量
    の目標値を設定し、スロットル開度が上記設定値以下に
    なった後は上記出力要求行程吸入空気量とアイドル要求
    行程吸入空気量とを加算して目標値とする目標行程吸入
    空気量設定手段と、 少なくとも上記目標行程吸入空気量に基づいて上記油圧
    式スロットルアクチュエータに対するスロットル開度制
    御量を設定するスロットル開度設定手段と、 上記目標行程吸入空気量に基づいて燃料噴射量を設定す
    る燃料噴射量設定手段とを備えたことを特徴とするエン
    ジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 上記目標行程吸入空気量設定手段は、エ
    ンジン始動後のスロットル開度が上記設定値よりも大き
    い間は、上記実行程吸入空気量による目標行程吸入空気
    量の上限を、上記アイドル要求行程吸入空気量を所定倍
    した値により規制することを特徴とする請求項3記載の
    エンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 エンジン回転数とスロットル弁下流に発
    生する吸気管圧力とに応じて1気筒が1吸気行程当たり
    に実際に吸入する空気量を設定する実行程吸入空気量設
    定手段と、エンジン回転数とスロットル弁上流に発生す
    る吸気管圧力に応じてスロットル弁全開に対応する最大
    実行程吸入空気量を設定する最大実行程吸入空気量設定
    手段とを有し、上記スロットル開度設定手段は、上記実
    行程吸入空気量と上記目標行程吸入空気量との平均値の
    上記最大実行程吸入空気量に対する割合を表す吸気供給
    割合を算出し、また、上記実行程吸入空気量と上記目標
    行程吸入空気量とに基づいて算出された回転数増減分を
    エンジン回転数に加算してエンジン回転数指標値を設定
    し、上記吸気供給割合と上記エンジン回転数指標値とに
    基づいて上記スロットル開度制御量を設定することを特
    徴とする請求項1ないし請求項4記載のエンジンの制御
    装置。
  6. 【請求項6】 上記要求出力量は、アクセルペダル踏込
    み量であることを特徴とする請求項1ないし請求項5記
    載のエンジンの制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013060932A (ja) * 2011-09-15 2013-04-04 Honda Motor Co Ltd エンジン制御装置
JP2013160074A (ja) * 2012-02-02 2013-08-19 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置

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