JPH10102671A - 下地材吊り用ハンガー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 吊りボルトにスピーデーに固定保持できるバ
ネ板製の固定クリップ付きハンガーを提供する。 【解決手段】 ハンガー１の中央部に、勘合片３を設け
たハンガー１を形成する。次に、このハンガー１に組み
合わされる固定クリップ４は、素材は薄くてバネ性を有
するステンレス材で成る長片板の両端部が上部で上板
５、下板６が交互に２枚重ねになるように略四角形状に
曲げ形成し、その２枚重ねされた中ほど部位に、卵形の
ボルト固定穴７、７を施し、さらに上板５の折り曲げ寄
り部位には、固定リブ片８を設けた上、底板９の中ほど
部位にボルト穴保持１０を形成し、加えて上部の固定リ
ブ片８対向側部位の底板９一辺中央には、上方に曲げ形
成した係止片１１を形成した固定クリップ４本体を、ハ
ンガー１に組み合わせて構成している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、建築の際に天井造
作に於ける野縁受けの下地材吊りハンガーを、吊りボル
トに機能的にしてスピーデーに固定保持させることがで
きる、バネ板製の固定クリップを組み合わせたハンガー
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、天井造作に於ける下地材を吊りボ
ルトに固定する方法は、古くからある技術としては、あ
らかじめ天井に等間隔に埋め込まれた吊りボルトに、下
部がＪ字状の受け部を成し、上部は逆Ｌ字状に折り曲げ
てボルト穴を有する軽天ハンガーなる部材（以下ハンガ
ーと称す）を吊りボルトに通して後に、ナット止めして
固定した上で、下地材をハンガーの受け部に固定して野
縁受けを造作していた。しかし、この方法ではハンガー
を吊りボルトに固定する際は上下を二つ一組のナットで
一々固定する面倒が多いため、既に本出願人はナットを
用いずに専用クリップで、下地材吊りハンガーを吊りボ
ルトに簡易に固定できる技術として、実開平７−２６４
２６号に示すような技術を提供している。さらに、これ
に類するものとして、図８に示すようなコの字型に折り
曲げた下板の一方辺を、側部及び上面にまで至るように
延長させて曲げ形成した２枚の上板及び下板の中ほど
に、変形の卵形状のボルト穴を設けて構成したハンガー
クリップも提供されている。

【０００３】

【発明が解決しょうとする課題】天井の造作に於ける下
地材吊り用として、吊りボルトにハンガーを固定する方
法としては上述のような技術があるが、しかし、実際面
に於てはいずれも大小次のような課題や欠点があった。
まず、古くから用いられているナット止め方式は、吊り
ボルトにハンガーを固定する際は最初のナットを通して
からハンガー、ナットの順に納めて後、高さ位置を調節
して一々ナット止めするので大変面倒な作業であり、コ
スト高要因は避けられないものであつた。

【０００４】その不便や手間を解消するものとして、実
開平７−２６４２６号に示す本出願人による技術とし
て、ステン板による素材で二つ折り形成した専用クリッ
プを考案することで、ナットを使わず吊りボルトにハン
ガーを簡易に固定できるユニークにして機能的なもので
あるが、但し、このクリップにて古くからある上部が逆
Ｌ字状のシンプルな形状のハンガーに採用するには、二
つ折りした薄いクリップでは吊りボルトのグラつきを呈
すことも多いので、実際の採用に当たっては開示されて
いるように、上部がコの字型状に曲げ形成した専用ハン
ガーに組み合わせて使用する必要があるため、ハンガー
のコストが多少高くなることに加え、クリップ自体の構
造により、吊りボルトのネジ溝に係合するクリップの接
触部は吊りボルトの半周部位相当のみ接触していないの
で、固定用リブ部を設けてハンガーのズレ防止は成され
ているが、強固に保持させるには今一つ課題があった。

【０００５】さらに、図８に示すタイプのクリップは、
古くから見られるシンプルなハンガーに対応したハンガ
ー止めのクリップとして提供されているものであるが、
このタイプは一枚の金属板を上下一定間隔を成すように
コの字型に折り曲げ、かつ下板の一辺より延長した板片
を、側部から上面に至るように曲げ形成した複雑な構成
であるので、なんと言ってもコスト高要因はきわめて高
く、加えてハンガーをこのクリップに組み合わせて吊り
ボルトに通して後、スライドさせて固定する仕組みは前
記、実開平７−２６４２６号に類するものであるので、
ボルト周部の接触範囲も同じであり、特に下板の保持穴
部位は半周のみでしか吊りボルトを支えるしかないの
で、グラつき要因を呈すことは避けられなかった。

【０００６】加えて吊りボルトが通されるクリップは、
上部に２枚と下に１枚と枚数が多いためハンガーを組み
合わせて後に吊りボルトを差し込みにくく、特に上下の
間隔があることに加え、折り曲げ方向が異なる形成であ
るので下部のボルト穴はズレやすく、もし輸送時や取り
付け時の無理な力により位置が歪んだりすると、一層、
吊りボルトを通しにくくなるので、穴位置を補正した上
で入れ直すか、別のものに替えなければならないなど大
きな欠点があった。また、一旦固定した上で高さ変えな
どの調節する際は、吊りボルトに係合しているクリップ
の板の数や構造の複雑さから、解除、調節いずれも難し
く、また、それらを成す場合は専用の取り付け用具など
もって行なわなければならず大変面倒であった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
従来の欠点を解消するために成されたもので、次のよう
な構成としてワンタツチで、かつ強固に固定できるクリ
ップとする。まず、ハンガー（１）は下部がＪ状で上部
が逆Ｌ字曲げにして、上面にボルト穴（２）を設けた古
くから多用されているシンプルタイプとし、そのハンガ
ー（１）の上部位より少し下がった位置に、打ち抜き曲
げによる勘合片（３）をボルト穴（２）側に突設したハ
ンガー（１）を形成する。

【０００８】次に、このハンガー（１）に組み合わされ
る固定クリップ（４）は、薄くてバネ性があるステンレ
ス材の帯板を四角状に折り曲げ、かつ上面部は両端部が
２枚折り重ねになるように曲げ形成された上板（５）と
下板（６）の中ほど部位には、中央寄りに行くほど小さ
い穴径を成す卵形のボルト固定穴（７）、（７）をそれ
ぞれの中ほどに設け、さらに下部の底板（９）中央には
丸いボルト保持穴（１０）を設け、また２枚の板が折り
重なり形成される上部の上板（５）側の折り曲げ部位寄
りには、コの字型の切れ込みを付けて下側に曲げた固定
リブ片（８）を設け、さらに固定リブ片（８）と対向側
になる底板（９）の中央一辺部には、上方向に折り曲げ
た係止片（１１）を形成した固定クリップ（４）本体
を、前記ハンガー（１）に組み合わせて本発明の下地材
吊り用ハンガーを構成する。尚、四角状に曲げ形成され
た固定クリップ（４）の断面形状は略四角形を成してい
るが、両側板は上方に行くほど少し広がる形状を成し、
２枚が重なる上板（５）と下板（６）の先端も互いに少
し傾斜して重ね形成され、左右方向にスライドする構成
とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明によるハンガー（１）は従
来から多用されているシンプルなものに勘合片（３）を
設けたタイプを採用し、また固定クリップ（４）の形成
素材は薄くても強く、かつバネ性を有するものを採用
し、加えて一枚の帯板を両端部が上部で上板（５）、下
板（６）２枚重ねされ、側板の上方は広くなる略四角形
状に形成された構成であるので、通常は上板（５）、下
板（６）面に施したボルト固定穴（７）、（７）は外側
に少しズレて、中央寄りの小さい穴径部位が合う位置で
あるが（図３）、吊りボルト（Ａ）にハンガー（１）を
止める際は、上板（５）、下板（６）の間にハンガー
（１）板を差し入れてのち固定クリップ（４）の左右を
つまむと、上板（５）、下板（６）は内側にスライドし
て吊りボルト（Ａ）と合う大きな穴径位置に合うので、
そのまま吊りボルト（Ａ）下部より差し込むとスムーズ
に任意の位置に納められ、位置が決まった後に手を離す
とバネ特性の力で上板（５）、下板（６）は元の外側方
向にズレることでハンガー（１）を仮止めできる。

【００１０】かつ、本止めする場合は、固定クリップ
（４）の両側板を左右に押し広げるか、ドライバーなど
の工具の先を差し込んで広げると下板（６）端部は固定
リブ片（８）により完全にロックされ、加えてボルト固
定穴（７）、（７）は広がりきると、小さい穴径部位で
強く左右から吊りボルト（Ａ）を挟み込む作用でネジ溝
部に食い込むように保持固定され、さらにハンガー
（１）の勘合片（３）は固定クリップ（４）の係止片
（１１）に勘合し、しかも吊りボルト（Ａ）下部はボル
ト保持穴（１０）など複数ケ所でしっかりと保持固定さ
れるので、グラつき要因は全くなく、しかも固定クリッ
プ（４）はシンプルにして取り付け操作もきわめてスピ
ーデーにして簡単に吊りボルト（Ａ）にハンガー（１）
を固定できる。

【００１１】

【実施例】本発明の実施例を図１に示す分解図と図２に
示すボルト取り付け例図及び図３の固定クリップの平面
図、図４〜図５のボルト差し込み状態動作図、図６のク
リップ固定時のＣ−Ｃ線断面図、さらに、図７に示す本
発明の使用状態を示す斜視図そぞれを参照しながら説明
する。まずハンガー（１）は、下部がＪ状で上部が逆Ｌ
状を成してボルト穴（２）を有する従来から多用されて
いるシンプルなタイプを採用し、そのハンガー（１）
に、より効果的にクリップ止めできるように、ハンガー
（１）の上端部より少し下がった中央部に、コの字型の
切れ込みを付けてボルト穴（２）側に曲げ突出させて勘
合片（３）を設けたハンガー（１）を形成する。

【００１２】次に、このハンガー（１）に組み合わされ
る固定クリップ（４）は、素材は薄くて強いバネ性を有
するステンレス材で成る長片板の両端部が上部面で上板
（５）、下板（６）が交互に２枚重ねになるように略四
角形状に折り曲げ形成し、その２枚重ねされたそれぞれ
の中ほど部位に、固定クリップ（４）の中央部位寄りに
行くほど小さい穴径を成す卵形のボルト固定穴（７）、
（７）を施し、さらに２枚重ねされる上板（５）の折り
曲げ寄り部位には、小さなコの字型切れ込みを付けて下
方に折り曲げた固定リブ片（８）を設け、さらに四角状
を成す底板（９）の中ほど部位に丸いボルト穴保持（１
０）を形成し、加えて上部の固定リブ片（８）の対向側
部位の底板（９）一辺中央には、上方に曲げて設けた係
止片（１１）を形成した固定クリップ（４）本体を、前
記、ハンガー（１）に組み合わされて本発明を構成して
いる。

【００１３】実施例に於ける特徴は、下地材保持用のハ
ンガー（１）は従来から多用されコストも安価なシンプ
ルタイプを採用し、それに組み合わされる固定クリップ
（４）もシンプルにしてユニークな構成であることに加
え、その最も顕著な特徴はバネ性を有するステンレス板
を採用した固定クリップ（４）であり、かつ、そのバネ
特性と特徴あるコの字形成の相乗効果とにより、ワンタ
ッチでハンガー（１）を吊りボルト（Ａ）に固定できる
ものであるが、さらに図３〜図６に示すハンガー取り付
け時の固定クリップ取り付け動作例図等を参照して詳述
する。

【００１４】固定クリップ（４）本体の素材はバネ性を
有する薄いステンレス板で成され、しかも、断面形状は
略四角状に折り曲げられた固定クリップ（４）の両側板
は、図１〜図３に見られるように上方向に行くにしたが
い少し広がる形を成して形成され、上部の２枚重ねされ
た上板（５）、下板（６）も左右にズレ、よって上板
（５）、下板（６）面に設けたボルト固定穴（７）、
（７）もそれぞれ少し左右にズレて、中央寄りの小さい
穴径部位が合う形であるが（図３）、この固定クリップ
（４）左右を手でつまむと、前記、上板（５）、下板
（６）はスライドし、ズレていたボルト固定穴（７）、
（７）は大きい穴径部位が合うことととなる。

【００１５】したがって、ハンガー（１）を吊りボルト
（Ａ）に固定する際は、図１のようにハンガー（１）の
ボルト穴（２）板部を、固定クリップ（４）の上部２枚
重ねの上板（５）と下板（６）の間に差し込んでボルト
穴（２）とボルト固定穴（７）、（７）部を合わせるよ
うにして後、固定クリップ（４）の両側板を指で押して
大きい穴径に合わせてから、そのまま吊りボルト（Ａ）
の下部より差し込んで高さの位置調節して後（図４）、
位置が決まったら手を離すとバネ力により、上板（５）
と下板（６）は外側方向に自動的にスライドすることで
ボルト（Ａ）にハンガー（１）をワンタッチで仮止めで
きる。

【００１６】さらに、本止めする場合は、両手でコの字
型を成す両側板を外側に押し広げるか、ドライバーなど
のような工具の先端をボルト（Ａ）と側板の間に差し込
んで広げるだけでさらに上板（５）、下板（６）は外側
にズレ、よって固定リブ片（８）下部に位置していた対
向側の下板（６）端部は固定リブ片（８）より外れて完
全にロックされ（図５）、ボルト（Ａ）は固定クリップ
（４）の上板（５）と下板（６）に設けた小さい穴径部
位により、それぞれ左右から挟み込むようにしてボルト
（Ａ）のネジ溝に食い込むようにして強固に保持固定さ
れ、かつ下部はハンガー（１）の勘合片（３）が底板
（９）の係止片（１１）に勘合され（図６）、かつボル
ト保持穴（１０）に納まり保持されるのでグラつき要因
は全くなり、従来のクリップなどに見られるような課題
は完全に解決される。尚、固定クリップ（４）の上板
（５）に設けられているロック用の固定リブ片（８）は
上板（５）に設けるのが好ましいが、下板（６）の折り
曲げ部寄りに上向きに突設させて設けても差し支えない
ものであり、特に限定されない。

【００１７】

【発明の効果】本発明による下地材吊り用ハンガーは以
上のような構成としているので、従来には見られない次
のような効果や長所を提供できるものである。本発明に
於けるハンガー部材として提供されるハンガーは、従来
から多用されているシンプルなタイプに勘合片を設けて
効果的に係止できる安価なハンガーに加え、それに組み
合わされて使用される固定クリップは、薄くても強いバ
ネ性を有するステンレス板で成る帯板の上両端部が、上
部で交互に２枚重ねされる略四角形を成したきわめてシ
ンプルな構成としているので、まず、ユーザーが最も気
に掛かるコストの点では、従来品に比べて格段に安価に
解決されるものであり、したがって、実際の現場に於て
は使い捨ては珍しくないが気になる程のことはなく、し
かも使用されるハンガーも安価なタイプのものが使える
ので、部材としてもコスト軽減効果を呈すものである。

【００１８】加えて、その構成形状と形成素材の強いバ
ネ性を有するステンレス材との相乗効果とにより、ハン
ガーを吊りボルトに取り付ける際は固定クリップの左右
側板を軽くつまんで後、吊りボルト下部より差し込んで
後に手を離すと、バネ特性により固定クリップの上板は
外側にズレることで自動的に仮止めできる簡便性があ
り、ちなみにナット止め方式に比べると、実質４倍程度
のスピードアップで作業ができて飛躍的に作業効率を高
められるので、現在、人手不足などによる人件費高騰の
中に於いては計り知れない経済性をもたらすことができ
る。

【００１９】加えて、下地作業に於けるスピードアップ
は単に作業コスト軽減効果のみでなく、従来は多く見ら
れていた次の工事や作業への遅延要因をなくすものであ
り、また固定クリップの扱いも取り付け時は両側板をつ
まみ、ロック時は左右に押し広げるか、工具などの先を
ボルトと側板の間に差し込むだけでワンタッチにしてス
ピーデーにハンガー止めができる方式であるので、熟練
者で無くてもきわめて容易にできる機能的にして扱い易
いハンガー取り付け部材を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す分解斜視図。

【図２】ハンガーのボルト取り付け例零図。

【図３】固定クリップの平面図。

【図４】ボルト差し込み状態動作図。

【図５】ボルト差し込み状態動作図。

【図６】固定クリップ固定時のＡ−Ａ線断面図。

【図７】本発明の使用状態を示す斜視図。

【図８】従来品の使用例を示す斜視図。

【符号の説明】

１・・・ハンガー ２・・・ボルト穴 ３・・・勘合片 ４・・・固定クリップ ５・・・上板 ６・・・下板 ７・・・ボルト固定穴 ８・・・固定リブ片 ９・・・底板 １０・・ボルト保持穴 １１・・係止片 Ａ・・・吊りボルト

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建築の天井造作に関する下地材吊り用ハ
   ンガーに於て、ハンガー（１）に組み合わされるボルト
   止め用の固定クリップ（４）は、薄くてバネ性を有する
   金属板で成される帯板状のものとし、その両端部が上部
   で上板（５）、下板（６）２枚重ねされて断面形状が略
   四角形に曲げ形成されるものとし、かつ上板（５）、下
   板（６）面それぞれにボルト固定穴（７）、（７）を施
   し、さらに上板（５）又は下板（６）の折り曲げ部位寄
   りに固定リブ片（８）を設け、加えて下部の底板（９）
   面にボルト保持穴（１０）を設けた固定クリップ（４）
   を、前記ハンガー（１）に組み合わせて構成される下地
   材吊り用ハンガー。
2. 【請求項２】 固定クリップ（４）の底板（９）面の一
   辺部に、上向きの係止片（１１）を設けた請求項１記載
   の下地材吊り用ハンガー。