JPH1010262A - 燃料装荷方法およびブレードガイド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】中性子検出器を移動したり、切り替えたりする
必要がなく、燃料装荷時間を短縮できる燃料装荷方法
と、これに使用するブレードガイドを提供する。 【解決手段】本発明の燃料装荷方法は従来、燃料初装荷
時の監視時のみに使用していた仮設の中性子検出器を使
用することなく、本設の起動用中性子検出器８のみで監
視を行う。これにより中性子検出器の移動および切り替
えを必要としない。また、ブレードガイド12の筒体内に
エアタンクなどの中性子透過材を設けて、炉水による中
性子の減衰を防止する。このブレードガイド12を中性子
源７と起動用中性子検出器８の間に位置する制御棒セル
４内の全てに予め配置する。さらに、上記ブレードガイ
ド12を中性子源７と起動用中性子検出器８の間の制御棒
セル４にのみ配置し、その他の制御棒セル４内には従来
のブレードガイド５を配置して、燃料装荷を効率的に行
う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は沸騰水型原子炉（Ｂ
ＷＲ）の炉心へ燃料集合体を装荷するための燃料装荷方
法およびこの燃料装荷時に使用するためのブレードガイ
ドに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、沸騰水型原子炉（以下、ＢＷＲ
と記す）および改良型沸騰水型原子炉（以下、ＡＢＷＲ
と記す）は原子炉圧力容器内に図４に示す炉心１が収容
され、この炉心１は多数の横断面正方形の制御棒セルが
配列され、単一の制御棒セル内に２行２列配置する４体
１組の燃料集合体２が装荷される。各組の燃料集合体２
間の中央部には十字状空間が形成され、この空間内に横
断面十字状の制御棒３が挿入される。この制御棒３を炉
心１に挿入，引抜きを行うことによって原子炉の起動，
停止や炉出力がコントロールされるようになっている。

【０００３】図４は 135万KW級のＡＢＷＲにおける燃料
集合体２の初装荷開始直後の炉心１の構造を示す平面
図、図５は図４における炉心の要部を拡大して示す部分
図である。すなわち、炉心１内には多数の正方形状制御
棒セル４が構成され、この制御棒セル４内には４体１組
で燃料集合体２が装荷される。燃料装荷時、核反応を抑
制するため、制御棒３は全挿入状態としておく必要があ
る。

【０００４】もともと制御棒３は４体の燃料集合体２の
中央部横断面十字状空間を燃料集合体２に支えられなが
ら挿入される設計となっているため、制御棒セル４内に
燃料集合体が装荷されていない状態では制御棒３を挿入
できない。

【０００５】そこで、図５で示すように燃料集合体２が
装荷されてない場合に制御棒３を支えて全挿入できるよ
うにするため、燃料集合体２と外形が同様の形状をした
ブレードガイド５を制御棒セル４の対角位置に２体装荷
しておく。

【０００６】ブレードガイド５は軽量化のため、内部空
洞の直方体をしており、炉心１に装荷された場合、空洞
に炉水が入る構造となっている。通常初装荷燃料の装荷
は制御棒セル４毎に４体ずつ装荷してゆく。最初の２体
はブレードガイド５の装荷されていない対角位置に装荷
され、そしてブレードガイド５を搬出し、残りの２体を
ブレードガイド５が搬出された位置に装荷することで１
セルが完成する。

【０００７】なお、燃料集合体２の装荷およびブレード
ガイド５の搬出は燃料交換機によって行っている。また
ブレードガイド５は２体１組となって対角に連結固定さ
れたものである。

【０００８】初装荷炉心の場合、燃料集合体２の燃料自
体は自発的に核分裂を行わないため、中性子６が自動的
に放射されない。そこで、図４で示すような位置（ 135
万KW級のＡＢＷＲ）に中性子源７を炉心１に予め装荷し
ておく。燃料装荷はその中性子源７の周りから開始す
る。

【０００９】炉心１には低レベルの中性子線を検出する
起動用中性子検出器８が設けられており、この起動用中
性子検出器８で制御棒全挿入時にも中性子線量を測定
し、未臨界状態を確認できるようになっている。図６は
図５において炉心に装荷した対角に連結した一対のブレ
ードガイド５と、その近傍の中性子源７および起動用中
性子検出器８の配置状態を示している。

【００１０】しかし燃料初装荷時において燃料装荷体数
の少ない部分炉心１では、図６で示すように中性子６が
炉水９で減衰されるため、燃料集合体２がまだ装荷され
ていない位置の起動用中性子検出器８は中性子束の指示
が上がらず監視を行うことができない。

【００１１】その代わりに中性子束を監視するため、図
４で示すように従来から装荷されている燃料集合体２の
周辺に高感度の仮設高感度中性子検出器10を挿入するこ
とで中性子束レベルの監視を行っている。この仮設中性
子検出器10は炉心１の上から燃料集合体２と同じように
挿入して燃料装荷体数に応じて移動をして監視を行って
いく。

【００１２】燃料装荷体数が増えて起動用中性子検出器
８で十分な指示が得られるようになったら仮設中性子検
出器10を炉心１の外に搬出して起動用中性子検出器８で
監視を行う。なお、この仮設中性子検出器10はケーブル
を水密性を保ち、炉心１の上方から炉外に引き出して本
設の起動用中性子検出器８のモニタに接続して監視を行
っている。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】従来から燃料初装荷時
に使用している仮設中性子検出器10は炉心１の上方から
挿入されていて、燃料集合体２の装荷体数の増加により
炉心内で移動を行う。このため、仮設中性子検出器10の
不具合が発生しやすい分、損失の割合が高くなり、また
仮設中性子検出器の移動および本設の起動用中性子検出
器への切り替えにより燃料装荷の時間が長くなる課題が
ある。

【００１４】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、本設の起動用中性子検出器のみで中性子束の
監視を行うことにより検出器の移動および切り替えが必
要なく、燃料装荷時間を短縮できる燃料装荷方法および
効率よく運ぶことができかつ容易に着脱できるブレード
ガイドを提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】請求項１に該当する発明
は、正方格子状に配置された多数の制御棒セルが構成さ
れ、この多数の制御棒セルの単一の制御棒セル内に２行
２列配置する４体１組の燃料集合体が装荷され、これら
の燃料集合体の中央部十字状空間内に１体の横断面十字
状制御棒が挿脱し、前記多数の制御棒セル間の所定位置
に複数の中性子源と複数の起動用中性子検出器が配置さ
れた沸騰水型原子炉炉心の燃料装荷方法において、前記
燃料集合体を前記単一の制御棒セル内に装荷する前に中
性子透過材を有する第１のブレードガイド４体を前記制
御棒セル内に装荷し、前記中性子源と起動用中性子検出
器の間の制御棒セルに中性子透過材を有しない第２のブ
レードガイドを対角に装荷したのち、前記第１のブレー
ドガイドを装荷した制御棒セルから前記起動用中性子検
出器に隣設した制御棒セル内に前記４体装荷された第１
のブレードガイドのうち対角の２体を引き抜き、この引
き抜いた対角の位置に燃料集合体を装荷し、順次この燃
料集合体の装荷操作を行い、この燃料集合体の装荷が終
了した後、次に第２のブレードガイドが装荷された制御
棒セルに対して前記中性子源の周囲から始めて炉心中心
から燃料集合体を装荷することを特徴とする。

【００１６】請求項１の発明によれば、従来から燃料装
荷時に監視を行っていた仮設中性子検出器を使用しない
で、本設の起動用中性子検出器への移動および切り替え
を必要としない。また、ブレードガイドに中性子透過材
を設けて中性子の減衰の原因となる炉水を除去すること
によって起動用中性子検出器による監視を容易にでき
る。

【００１７】請求項２に該当する発明は、前記中性子源
と前記起動用中性子検出器に隣接する制御棒セル内全て
に予め前記中性子透過材を有する第１のブレードガイド
を装荷することを特徴とする。

【００１８】請求項２の発明によれば、炉心内の水（炉
水）が取り除かれるような状態となり、中性子の減衰を
少なくすることができる。また、中性子透過材を密封し
たブレードガイドを中性子源と起動用中性子検出器の間
の制御棒セルのみに配置して、その他の制御棒セルには
従来例と同様な配置とすることにより燃料装荷作業を効
率的に行うことができる。

【００１９】請求項３に該当する発明は、前記起動用中
性子検出器に隣接する制御棒セル内から前記燃料集合体
の装荷を始めることを特徴とする。請求項３の発明によ
れば、燃料装荷初期の状態からより多くの中性子束指示
が確認できる。

【００２０】請求項４に該当する発明は、正方角筒状筒
体と、この筒体内に設けた中性子透過材を有する容器
と、前記筒体の頂部に取着した把持部と、前記筒体の下
部に取着した下部タイプレートとを具備したことを特徴
とする。請求項４の発明によれば、個々のブレードガイ
ドを効率よく複数体同時に運ぶことができ、ブレードガ
イドを２体連結したり解体する着脱作業が容易となる。

【００２１】請求項５に該当する発明は、前記端部を連
結する着脱式フックを２個有し、これら２個のフックを
接続するタイプレートを有し、このタイプレートにより
前記把持部を介して前記中性子透過材を内蔵した筒体を
２体対角線上に連結してなることを特徴とする。請求項
５の発明によれば、ブレードガイドを２体対角線に沿っ
てタイプレートで連結することにより、炉心への装荷、
炉心から引き抜きを２体同時に行うことができる。

【００２２】

【発明の実施の形態】本発明に係る燃料装荷方法の実施
の形態を図１および図２により説明し、本実施の形態の
燃料装荷方法において使用するブレードガイドの実施の
形態を図２および図３により順次説明する。

【００２３】図１は燃料集合体を装荷する前の炉心配置
を示している。燃料集合体２を装荷した状態の炉心１は
図４と同様に正方格子状の制御棒セル４が多数配置さ
れ、この多数の制御棒セル４のうち、単一の制御棒セル
４内に２行２列に４体１組の燃料集合体２が装荷され、
４体１組の燃料集合体２の中央部空間内に１体の制御棒
３が挿脱する。多数の制御棒セル４間の所定の位置には
複数の中性子源７と起動用中性子検出器８が配置されて
いる。

【００２４】ここで、燃料集合体２を装荷する前に予め
制御棒セル４内に図６に示すブレードガイド５と図２に
示す中性子透過材11を有するブレードガイド12を２行２
列に４体装荷しておく必要がある。逆に中性子源７と起
動用中性子検出器８の間以外の炉心位置では中性子束が
起動用中性子検出器８に与える影響が少ないと考慮さ
れ、かつ４体ともブレードガイド12を装荷すると、燃料
集合体の装荷時間が長くなる恐れがあるので従来と同様
に対角にブレードガイド５を装荷する。

【００２５】つぎに装荷の手順例として、燃料集合体の
装荷前に図２で示される中性子透過材11を有するブレー
ドガイド12を装荷している制御棒セル４から燃料装荷を
開始する。まず、起動用中性子検出器８に隣接した制御
棒セル４内に４体装荷されているブレードガイド12をセ
ル４内の対角の２体を引き抜く。

【００２６】つぎにブレードガイド12を引き抜いた対角
の位置に燃料集合体２を装荷する。そして残りの２体の
ブレードガイド12を引き抜く。最後にブレードガイド12
を引き抜いた位置に燃料集合体２を装荷すると一つのセ
ルが完成する。これを中性子透過材11を有するブレード
ガイド12を装荷しているセルについて同様な手順で検出
器８に近い位置から順々に燃料集合体の装荷を行ってい
く。

【００２７】これらのセルについて燃料集合体の装荷が
終了したら、つぎに従来と同じ手順で燃料集合体の装荷
を実施していく。装荷の順番としては、１つの中性子源
７の周りから始めて、炉心中心から燃料集合体が装荷さ
れるように行う。

【００２８】つぎに図２および図３（ａ），（ｂ）によ
り前述した燃料装荷方法で使用したブレードガイド12の
実施の形態を説明する。図２および図３（ａ）におい
て、ブレードガド12の外形は燃料集合体と同様の形状を
有している。すなわち、チャンネルボックスに相当する
正方角筒状筒体13の頂部にハンドリングヘッドに相当す
る把持部14と、底部に燃料集合体の下部タイプレートに
相当する下部タイプレート15とを具備し、筒体13内に中
性子透過材11としてエアタンク16が設けられている。

【００２９】把持部14はブレードガイド12が対角に２体
１組となって連結部材17の着脱式フック18に吊り下げら
れる部材である。連結部材17にはボタン19を有し着脱式
フック18の開閉を操作する。連結部材17の上面には取っ
手20を有し、この取っ手20は燃料交換機の主ホイスト21
に連結される。着脱式フック18は図３（ｂ）に示したよ
うに可変バー22を有する支持杆23と下部にかぎ形部24を
形成した引っ掛け杆25とからなっている。

【００３０】しかして、本実施の形態に係るブレードガ
イド12によれば、単一のブレードガイド12を搬出する際
の効率を向上できる。すなわち、対角に位置するブレー
ドガイド12を同時に運べることができる連結部材17を連
結でき、この連結部材17は把持部14を掴持し、燃料交換
機の主ホイスト21により掴むことができる。

【００３１】一方、ブレードガイド12を掴む着脱式フッ
ク18は図３（ｂ）に示すように可変バー22を使用するこ
とで自由に掴みと離しができる。まず、ブレードガイド
12を掴む場合には把持部14により可変バー22を押し上げ
てかぎ形部24に引っ掛けるようにする。また離す場合に
はボタン19により可変バー22が上昇し、ブレードガイド
12を離すことができる。

【００３２】

【発明の効果】本発明の燃料装荷方法によれば、仮設中
性子検出器を設ける必要がなく、起動用中性子検出器の
みを使用するので、中性子検出器の移動および切り替え
を必要としない。よって、中性子検出器の不具合の低減
および燃料集合体の装荷作業時間を大幅に短縮すること
ができる。また、燃料集合体を起動用中性子検出器が隣
接する制御棒セル内から装荷することで、より多くの中
性子束を検出できる。

【００３３】本発明に係るブレードガイドによれば、中
性子透過材により炉水をカットでき、中性子の減衰が少
くなり、燃料集合体の装荷時に起動用中性子検出器によ
る中性子束の監視が可能となる。

【００３４】また、ブレードガイド内に中性子透過材を
設けることにより、燃料集合体の装荷ではブレードガイ
ドの搬出とともに搬出されるため、特別な搬出手順を必
要としない。さらにブレードガイドを同時に効率よく２
体運ぶことができるとともに掴み離しの操作を容易にで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る燃料装荷方法の実施の形態を説明
するための炉心平面図。

【図２】図１において、炉心内でのブレードガイドの作
用を説明するための斜視図。

【図３】（ａ）は本発明に係るブレードガイドの実施の
形態を示す斜視図、（ｂ）は（ａ）における吊り下げ部
を拡大して示す斜視図。

【図４】従来の燃料装荷方法を説明するための炉心平面
図。

【図５】図４における炉心の要部を拡大して示す部分
図。

【図６】図５において炉心に装荷したブレードガイドと
中性子源および起動用中性子検出器を示す斜視図。

【符号の説明】

１…炉心、２…燃料集合体、３…制御棒、４…制御棒セ
ル、５…ブレードガイド、６…中性子、７…中性子源、
８…起動用中性子検出器、９…炉水、10…仮設中性子検
出器、11…中性子透過材、12…ブレードガイド、13…筒
体、14…把持部、15…下部タイプレート、16…エアタン
ク、17…連結部材、18…着脱式フック、19…ボタン、20
…取っ手、21…燃料交換機の主ホイスト、22…可変バ
ー、23…支持杆、24…かぎ形部、25…引っ掛け杆。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 正方格子状に配置された多数の制御棒セ
   ルが構成され、この多数の制御棒セルの単一の制御棒セ
   ル内に２行２列配置する４体１組の燃料集合体が装荷さ
   れ、これらの燃料集合体の中央部十字状空間内に１体の
   横断面十字状制御棒が挿脱し、前記多数の制御棒セル間
   の所定の位置に複数の中性子源と複数の起動用中性子検
   出器が配置された沸騰水型原子炉炉心の燃料装荷方法に
   おいて、前記燃料集合体を前記単一の制御棒セル内に装
   荷する前に中性子透過材を有する第１のブレードガイド
   ４体を前記制御棒セル内に装荷し、前記中性子源と起動
   用中性子検出器の間の制御棒セルに中性子透過材を有し
   ない第２のブレードガイドを対角に装荷したのち、前記
   第１のブレードガイドを装荷した制御棒セルから前記起
   動用中性子検出器に隣設した制御棒セル内に前記４体装
   荷された第１のブレードガイドのうち対角の２体を引き
   抜き、この引き抜いた対角の位置に燃料集合体を装荷
   し、順次この燃料集合体の装荷操作を行い、この燃料集
   合体の装荷が終了した後、次に第２のブレードガイドが
   装荷された制御棒セルに対して前記中性子源の周囲から
   始めて炉心中心から燃料集合体を装荷することを特徴と
   する燃料装荷方法。
2. 【請求項２】 前記中性子源と前記起動用中性子検出器
   に隣接する制御棒セル内全てに予め前記中性子透過材を
   有する第１のブレードガイドを装荷することを特徴とす
   る請求項１記載の燃料装荷方法。
3. 【請求項３】 前記起動用中性子検出器に隣接する制御
   棒セル内から前記燃料集合体の装荷を始めることを特徴
   とする請求項１記載の燃料装荷方法。
4. 【請求項４】 正方角筒状筒体と、この筒体内に設けた
   中性子透過材を有する容器と、前記筒体の頂部に取着し
   た把持部と、前記筒体の下部に取着した下部タイプレー
   トとを具備したことを特徴とするブレードガイド。
5. 【請求項５】 前記端部を連結する着脱式フックを２個
   有し、これら２個のフックを接続するタイプレートを有
   し、このタイプレートにより前記把持部を介して前記中
   性子透過材を内蔵した筒体を２体対角線上に連結してな
   ることを特徴とする請求項４記載のブレードガイド。